2009.8.26

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『「拝啓 龍馬殿」 〜桂浜に寄せられる“希望”〜』
(制作:高知さんさんテレビ)

高知県立坂本龍馬記念館にあるポスト「拝啓 龍馬殿」に、
1万2千通超の龍馬への手紙が投函されていた。
没後140年以上にもなる1人の男に、なぜ手紙が届くのか?
記念館の学芸員が差出人を訪ねる旅に出た。
見えてきたのは“太平洋に臨む龍馬”。
人生の岐路に立った差出人が桂浜の坂本龍馬像の前で新たな一歩を踏み出していた。
龍馬像建立から80年、銅像の制作者2人が再会することになった。
そして、知られざる桂浜と龍馬の密接な関係にたどり着く。

<2009年8月28日(金)深夜4時〜4時55分放送>


すべてのきっかけは、一つの小さなポスト

 坂本龍馬の生まれ故郷である、高知県・高知市。この街の高台には坂本龍馬像があり、像と同様に太平洋に面して建つ高知県立坂本龍馬記念館がある。ここに平成3年の開館当初から設置されているのが、龍馬に手紙を書くコーナー「拝啓 龍馬殿」。置かれている小さな一つのポストに、これまで1万2千通を超える手紙が投函されていた。
 没後140年以上も経つ今も、龍馬に手紙が届き続けるのはなぜだろうか? その疑問を携えて、記念館の学芸員が、差出人を訪ねる旅に出た。

差出人の中に学芸員が見たもの、それは桂浜の龍馬

 私たちがそれぞれに直面する、人生の岐路。出産、別れ、戦い…。これまで体験したことのないものを目の前にして、差出人たちはみんな、桂浜の高台に建つ坂本龍馬像に出会っていた。太平洋のはるか彼方に視線をやる桂浜の龍馬。その姿が彼らに勇気を与え、そして、新たな一歩を踏み出させていた。桂浜に坂本龍馬像が建っていなかったなら、記念館に手紙は届いていなかったに違いない。そう、“桂浜に生かされている坂本龍馬”が、確かに、存在している。

よみがえる80年前の情熱と、かけがえのないきずな

 桂浜の坂本龍馬像は、昭和3年に建てられ、このほど80歳の誕生日を迎えた。訪れる人のカメラになかなか収まりきらないその高さは、13メートルを超え、建立当初は東洋一とうたわれたほどである。
 昭和初期に、この巨大な銅像を制作したのは、二人の専門家である。高知出身の彫塑家・本山白雲と、東京の鋳造家・角川健治。二人はこのほど、桂浜の龍馬像が産声を上げた鋳造所で、それぞれの子孫を通し30年ぶりの再会を果たすことになった。80年前の趣を残す鋳造所で、巨大な銅像を作り上げた二人のきずながよみがえってくる。そして、この関係は永遠に続くものではなかったと、思い知らされる。

桂浜には“希望”がある

 坂本龍馬が最後に帰郷をしたのは、慶応3年9月。船で高知に上陸した龍馬はまもなく桂浜に程近い、中城家を訪れた。しかし、龍馬が桂浜の浜辺を歩いたかどうかは、証拠がなく誰もわからない。にもかかわらず、坂本龍馬の銅像は桂浜に建ったのである。
 銅像の裏に刻まれた建設者の名前、「高知懸青年」。坂本龍馬像は、建立当時は大学生だった青年たちの募金活動で、桂浜に建立された。その時、つづられたメッセージが、龍馬が立つべき場所がなぜ桂浜なのかを、私たちに悟らせてくれる。彼らの心の中にあったのは、未来への“希望”だった。

龍馬が桂浜に立つ限り、届き続けるメッセージ

 一つ、確かなことは、桂浜に龍馬が立つ限り手紙が届き続けることである。それは、桂浜の龍馬に出会った人には、80年前の青年の心の中にあったものがおのずと見えているからである。それこそが、桂浜に生かされている“坂本龍馬”の正体。あなたが桂浜に立ったとき、どんな坂本龍馬が見えるだろうか?

制作者コメント

 最初、私の目の前にあったのは、坂本龍馬記念館に届いていた山のような手紙だけ。差出人の思いは聞けても、あて先の坂本龍馬が語ってくれるわけはなく、どうしたらいいのか見当がつかないまま、カメラを片手に飛行機に搭乗していました。
 坂本龍馬の郷土にある放送局として、桂浜の龍馬像の撮影には力を入れたつもりです。どこかで見たことのある龍馬像ではなく一味違う龍馬像が欲しいと、地元企業に協力を懇願して、13メートルの高さからすくむ足で撮影したりしました。
 龍馬像の鋳造所に初めてカメラを入れることができたのは、本当に幸運でした。鋳造から80年経った今も、仕事を続ける誇らしい姿がそこにありました。取材時はもちろん、編集段階でも目頭を熱くしました。
 番組を通してあなたが感じる坂本龍馬はどんな人ですか? 「桂浜の龍馬に会いたい」と思ってくれたなら、幸いです。


[番組概要]

◆番組タイトル

第18回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『「拝啓 龍馬殿」 〜桂浜に寄せられる“希望”〜』
(制作:高知さんさんテレビ)

◆放送日時

2009年8月28日(金)深夜4時〜4時55分放送

◆スタッフ

プロデューサー
林 寛
ディレクター
斎藤晴江
構成
鍋島康夫
斎藤晴江
撮影
川田卓史
岡林 聡
斎藤晴江
編集
川田卓史
CG
服部淳一
ナレーション
斎藤晴江

2009年8月26日発行「パブペパNo.09-211」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。