2008.9.12
<2008年9月13日(土)深夜3時25分〜4時20分放送>
優しい歌声と、独自の感性で作曲を行い、人々に喝采を浴びる15歳の少年がいる。
長崎県佐世保市に在住の中学3年生(現在高校1年生)・掛屋剛志君。
剛志君は、生まれた時から視覚障害、そして知的障害があり現在、養護学校に通う。彼は、目がほとんど見えないせいか、小さい頃から音に敏感で、壁や床、電信柱まで、叩いて音が鳴るものはなんでも楽器にしてしまう程で、その才能は、今なお独自の世界観を広げ続けている。
彼が音楽と出会ったのは、3歳のときに弾いた鍵盤ハーモニカ。美しい音色を奏でるこの楽器が、彼を音楽の世界へ引き込み、人生を大きく変えることとなる。
剛志君の才能は、人並みはずれた記憶力。曲や歌詞を数回聞くと頭の中にインプットしてしまい、さらには、曲をジャズにアレンジしたり、独自の感性で音楽を奏でる。
口コミで広がっていく彼の音楽は、各地から演奏依頼が殺到。大好きな拍手をもらうたびに、音楽家・掛屋剛志として成長を続けている。
しかし、そんな彼はさまざまなハンディを抱える。成長ホルモンの分泌不全や、低血糖症などである。剛志君に毎日ホルモンの注射を打つ父・孝志さん、そして、剛志君にハンディがあることを自分のせいだと責め続けた母・しのぶさん。両親は、高校生になる剛志君の将来への不安を抱えている。自立する力を持っていない剛志君の将来の姿が見えてこないのだ…。
番組では、15歳の掛屋剛志君を通して、健常者でも、障害者でも、人は支えあって生きている。誰かの助けがなければ決して一人では生きていくことはできない。それぞれの人生はつながりを持ち大きな意味がある…。そして、好きなことを純粋に続ければ、他のだれかに感動を与えたりメッセージを伝えたりできるということを伝えたい。
番組中盤では、掛屋くんと同世代の中学生たちとの交流があるが、お互いに言葉を交わしてもいない同士が、歌を通して心が一つになるさまは、見所のひとつだ。
おそらく、剛志くんは、欲とか見栄とか、そんな気持ちはまったくなく、まっすぐな気持ちで音楽に取り組んでいるから、聴く人を魅了するのだろうと思う。
家族の絆と、懸命に生きる音楽少年の物語を描いた。
この番組を作ったきっかけは、テレビ長崎で掛屋剛志くんの生演奏を体感したことだ。
彼の演奏を見て感激し、どうして感動したのか? どうして心に伝わってきたのか?疑問を持ち、その理由を見つけたいと考えた。
実際に演奏会を見に行ったところ、剛志くんと同世代の子や、年配の方まで、涙を流す方が大勢いることにまた驚いた。自分も幾度となく涙腺が緩み目頭を押さえたことは言うまでもない。
ある時、演奏会を聞いた方にインタビューしてみると、彼の演奏は、心から音楽を楽しんで、生きていることを楽しんでいるから感動するのではないですか。といわれ納得した。彼は、ただ音楽の才能が優れているだけではなく、周りの人達に、その才能を引き出してもらっているようだ。
さまざまな病気や障害を抱え、一人で生きていくことは難しいとされる彼だが、家族や、病院の先生、学校の先生、おじいちゃん、おばあちゃんなど、大きな愛情に包まれ、音楽を精いっぱい楽しめることが、彼を立派な音楽家に育てあげてきたのではないかと思う。
家族との絆や、人は誰でも支えあって生きているということを、剛志くんの生き方から感じてもらえればうれしい。
第17回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『絆 家族と歩む音楽少年』
2008年9月13日(土)深夜3時25分〜4時20分
2008年9月11日発行「パブペパNo.08-253」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。