FNSドキュメンタリー大賞
知的障害者の子供を抱えながら16年
「家族新聞」を書き続ける家族…
家族のあり方、子育ての意味を見つめていく。

第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品

『家族の風景〜すぐそこにある幸せ〜』

(制作:テレビ長崎)

<10月13日(金)深夜3時35分〜4時30分放送>

 10月13日(金)深夜3時35分〜4時30分放送の第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『家族の風景〜すぐそこにある幸せ〜』(制作:テレビ長崎)は、知的障害者の子供を抱えながら「家族新聞」を書き続ける家族を追うことにより、家族のあり方、子育ての意味を見つめていく。

<企画概要>

 長崎県の雲仙・普賢岳の麓に5人家族、隈部家が暮らしている。隈部家でずっと続けていること、それは家族新聞。母・浩美(ひろみ)さんが、3人の子供たちの子育ての様子などを16年書き続けている。実は末っ子・大樹君が生まれた頃から、新聞には一点の不安がのぞくようになった…大樹君は知的障害を抱えていたのだ。しかし今、隈部家の家庭はとても明るい。それは大切なことを大樹君は家族に教えてくれたから…。この隅部家を追うことにより、家族のあり方、子育ての意味を見つめていく。

<番組内容>

 今回の主人公である隈部さん家族は、今では珍しい昔ながらの家族らしい家族。それは、外で働く一家の大黒柱、お父さんの清久(きよひさ)さんが家族の真ん中にいて、専業主婦で家の仕事をするお母さんの浩美さんが、その横にいる。そして、子供たち3人が、しっかり両親から守られている。
 ちょっと前なら、当たり前のようにあったこんな家族の風景。でも、そんな「当たり前」が、今では珍しいことのように映る。なぜなら日本の社会では、相次いで家族を殺害する事件が多発しているからだ。「家族」という括りの中で、大きな異変が起きているのだ。見失われつつある家族の姿。愛情に溢れた温もり。隈部家には、そんな家族のあり方を伝える大切なメッセージがある。家族の会話や家族の団欒、そのひとつひとつがしっかりと家庭の中にあるからこそ、絆が生まれる。番組ではそんな隈部家の日常に迫り、家族を描く。
 隈部家で家族を結びつける大切な要素の1つになっているのが、家族新聞の存在。何気ない日常の1コマ1コマを浩美さんがユーモアいっぱいに書きつづる。16年ものあいだ、それが家族の歴史になっている。新聞はまさに、浩美さんの家族への愛情の表れとなっている。そして、一番家族を結びつけている存在が、末っ子・大樹(だいき)君。生まれつき筋力が弱く、知的障害を抱えている。両親は大樹君が障害を持っていることを知り、立ちすくんだ…どのように育てていけばいいのかわからなくなった。原因もわからない障害に、悩み苦しむ。しかし、悩み続けるなかで、大切なことを大樹君は教えてくれていた。両親は大樹君が喜ぶ笑顔に、大きな感動を覚えた。不安の中にも、家庭が笑顔でいっぱいになることを考えるようになった。それから、日常に楽しさがあることを見つけるようになった。今では、そんな家庭だからこそ、両親もそして兄弟も、しっかりと結び付けられている。
 そしてその大樹君もこの春、中学生になった。地域の中で育ってきた大樹君は、皆と同じ公立中学校へ進む。この地元の中学校で新たに特殊学級をつくることになったものの、初めて特殊学級を受け持つことになった担任の先生など、今までと勝手の違う、まったく未知の教育を戸惑いながらも進めていく教師たちの姿を追う。一方、教育現場ではこれまで特殊教育を受けていた子供たちの環境が変わりつつあった。それは、これまで通常学級に在籍していたLD(学習障害)などの子供たちも含めて、あらためて教育を進めていくというもの。大幅に枠の広がった障害児への教育で、今後考えなければいけない問題を見つめてゆく。
 番組では、隈部家の人々を通して見えてくる家族、大樹君を取り巻く地域の人たちの姿から、新たな教育とは、家族は子供とどう向き合っていくかを深く見つめていく。

 取材のきっかけは、ディレクターの大石と今回の出演者、隈部さんの個人的な付き合いからはじまった。番組制作に取り掛かる2年半ほど前、ローカル番組の取材先で大石ディレクターは隈部さんと出会う。障害を抱える大樹君がいる隈部家。その家庭は、とても明るく楽しさでいっぱいだった。
 そして、母・浩美さんが家族新聞を書いていることを知る。その内容も、ユーモアいっぱい、愛情で溢れた手作りのあったかい新聞。なぜ、隈部さんはこんなに明るいのだろう。その背景には、何があるのだろう。大石ディレクターは、隈部家の人々に引き付けられてゆくようになった。それ以後、隈部さんは、およそ2ヵ月に1回のペースで新聞ができるたびに、家族新聞を送ってくれるようになるようになった。ずいぶんたくさんの新聞が集まり、少しずつ子供たちも成長してゆく。大樹君が小学校を卒業することを機に、隈部さんの家族をドキュメンタリーとして描いてみたいと考えるようになり、隈部さんが教えてくれた大切なことを作品として表現することで、多くの人たちに伝えられれば…そんな思いから、この番組は生まれている。

<制作担当者コメント>

 番組をご覧になった人たちが、それぞれに家族のことを考え、大切なことを感じてもらえたらいいなと思います。本当の幸せの意味を、あらためて感じてもらえる。番組が、そのきっかけとなればいいです。


<番組概要>

 ◆番組タイトル 第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『家族の風景〜すぐそこにある幸せ〜』
 ◆放送日時 2006年10月13日(金)深夜3時35分〜4時30分
 ◆スタッフ
プロデューサー 山本正興
ディレクター 大石久貴
ナレーター 丸尾知子
撮影 松尾和彦
音声 矢竹憲介
編集 古川英明
音響効果 高田暢也
MA 駒路健一

2006年10月10日発行「パブペパNo.06-345」 フジテレビ広報部