FNSドキュメンタリー大賞
2006年4月、岩手初のホスピス医療がスタート。
岩手県立磐井病院緩和医療科開院までの医師や看護スタッフの取り組みを通して、
岩手における緩和医療の現状と今後の課題を探る。

第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品

『旅立ちは自分らしく〜岩手初のホスピス医療〜』

(制作:岩手めんこいテレビ)

<9月23日(土)深夜3時25分〜4時20分放送>

 9月23日(土)深夜3時25分〜4時20分放送第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『旅立ちは自分らしく〜岩手初のホスピス医療〜』(制作:岩手めんこいテレビ)は、2006年4月スタートした岩手初のホスピス医療、岩手県立磐井病院緩和医療科開院までのスタッフの取り組みを通して、岩手における緩和医療の現状と今後の課題を探る。

<企画概要>

 全国で唯一ホスピス(緩和ケア)病棟がなかった岩手県で、2006年4月、県立磐井病院に緩和医療科が開院された。ホスピスとはどんな施設なのか。また、がんの末期患者はどんなことを望んでいるのか。そのために患者の家族、医師、看護師たちは何ができるのか。
 岩手県立磐井病院緩和医療科の開院に向けた佐藤智医師や看護スタッフの取り組みを紹介しながら、岩手における緩和医療の現状と今後の課題を探る。

<番組内容>

 岩手県立磐井病院緩和医療科長の佐藤智医師は外科医だったが、宮城県の病院で緩和ケアの専門医と出会う。モルヒネを使った治療で患者の痛みが軽減されることを目の当たりにして、痛みを取ることも医者として大事な仕事だと気が付いた。

 開院に向けて毎晩勉強会が行われた。このうち「傾聴」では、患者さんへの話し方を学ぶ。「がんは痛い、苦しむ」というイメージがあるが、現在ではモルヒネなどを使い、痛みの80パーセントぐらいは取り除くことができる。しかし、専門医が圧倒的に足りない。医師は病気を治すことには一生懸命だが、治癒が望めなくなると緩和ケアは自分の専門外という意識がまだまだある。また、医療法によって緩和医療科の看板を出すことはできない。医学部では緩和医療について勉強できるところもない。

 一方、現在、盛岡市には、最期は家で過ごしたいという患者のために在宅による緩和ケアがある。もりおか往診クリニックでは、こうした患者のために医師が患者宅を訪れ、痛みを取りながら生活できるようにサポートしている。「昔の患者に比べたら自分は殿様のようだ」と話す小田喜代治さんは、肺がんと胃がんの手術をした。現在は痛みをコントロールしながら自宅での生活を送っている。

 『ホスピスがあったら妻は苦しむことなく最期を迎えられたと思う。』
「岩手にホスピス設置を願う会」は、川守田裕司さんが奥さんをがんで亡くしたことをきっかけに4年前に設立された。現在、会員は400人。会では盛岡市にできるホスピスのために自分たちでボランティアの育成をしながら病院と連携していくことにした。
 番組では、岩手県立磐井病院緩和医療科の開院に向けた佐藤智医師や看護スタッフの取り組みを紹介しながら、岩手における緩和医療の現状と今後の課題を探る。

<ディレクター・佐々木茂博コメント>

 がんのイメージは「死」「痛みとの闘い」、けっして楽しいテーマではない。がんに苦しむ患者とそれを支える医師や看護師たち…番組の作りも最初からみえてくる。でも、岩手でホスピスができることをきっかけに、今伝えなければならないテーマだという気持ちがあった。「岩手初のホスピス」、他の局からも取材の申し込みがあると思っていたが、どこもなかった。興味をもっているマスコミもいない。「絵にならない。取材は難しい…」ということだろうか。そこで私はまず、取材する医師との信頼関係を築き番組にする必要性の認識を共有。そして、自分でカメラを回し、できるだけ現場に足を運び、できるだけ邪魔にならないように医師、がん患者、ボランティアをフォローした。延命治療、安楽死、尊厳死という言葉をよく聞くようになった現在。自分がどんな最期を迎えたいかを考えるきっかけになればと思う。


<番組概要>

 ◆番組タイトル 第15回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『旅立ちは自分らしく〜岩手初のホスピス医療〜』
 ◆放送日時 2006年9月23日(土)深夜3時25分〜4時20分放送
 ◆スタッフ
ナレーター 佐々木紀代子(フリーアナウンサー)
撮影 佐々木茂博
今野賢也
編集 佐々木 浩
MA 山内智臣
ディレクター 佐々木茂博
プロデューサー 一戸俊行
制作 岩手めんこいテレビ

2006年9月12日発行「パブペパNo.06-302」 フジテレビ広報部