高齢化と過疎に悩む秋田県能代市の山間の地区、 常盤地区を活性化するというプロジェクトに女子学生6人が参加。 世界自然遺産・白神山地の麓にある農村地帯で地域活性化に向けた活動を去年4月に始めた。
今、農村に求められているのが何なのか、過疎からの脱却、地域活性化に必要なものは何なのかを探る。
第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『おんな6人 やるべ! 村おこし』
(制作:秋田テレビ)
<2005年12月6日(火)深夜2時33分〜3時28分> |
秋田県大潟村にある県立大学短期大学部の卒業式。この席で突然、一人の女子学生が音頭をとって、巣立ちの歌の合唱が始まった。あっけにとられる父兄や教授たち。この女子学生はあるプロジェクトのメンバーだった。そのプロジェクトとは高齢化と過疎に悩む秋田県能代市の山間の地区、常盤地区を活性化するというもの。そして、このプロジェクトには、この女子学生を含む大学の女子学生6人が参加、世界自然遺産・白神山地の麓にある農村地帯で地域活性化に向けた活動が去年4月始まった。
プロジェクトの6人の女子学生の出身地は、埼玉、福島、大阪、青森、島根、そして1人だけが秋田。それぞれ違った地域から違った目的で大学に入った6人が同じ目標に向かって走り出した。この6人の最初の課題は、地元の人たちの理解を得ること。降って沸いたような「村おこし」の話、それも孫や娘のような学生が進めようとする計画に戸惑う住民たち。また学生6人もそれぞれ考え方、感覚の違いがあり、決して順調に進むことはなかった。
そんな6人がはじめに取り組んだイベントは、昔ながらの田植えを地区の人たちに教わりながら行うというもの。地区の親子と行う初めての共同作業。泥にまみれながら楽しんだ田植え作業で6人は少しずつ、地域の人たちとの溝が埋まってきた。そして、このおコメが収穫の秋、6人にもう一つ大きな体験をさせてくれることになる。イベントは田植えだけではない。6人は、とにかく大きなダチョウの飼育も始める。ペットとしてではなく、豚や牛と同じ家畜としての飼育を行い、おコメ以外の地域の特産品を作ろうというものだった。また、地域の子供たちが夏休みに入ると、6人はこうした農業を中心にした「村おこし」だけでなく自然体験も取り入れ始めた。舞台は山と川。川遊びに、昆虫採集。常盤地区の魅力は、この素晴らしい自然。この地域の特徴の自然を生かした「村おこし」もいけるのではないか。
こうした活動の中で、6人は徐々に、地域の人たちの中にとけこみ始めていた。そんな活動が、認められた。文部科学省が「現代的教育ニーズ取組み支援事業」に指定され国の支援を受けることになった。学生が主体となっての取組みが指定されるのは、秋田県内では初めてのこと。3年間で3700万円を超える補助がついた。
そして、収穫の秋を迎える。地域の人たちと一緒に、汗水流して作った「あきたこまち」は、スーパーで売っているコメとは一味違う。であれば、このコメを東京で売ろう、そして、この地域のPRに役立てよう。6人は東京に向かった。駅の広場で街頭販売をする。声をからしながら、道行く都民にPRする6人。その努力のかいあってか、2キロ入りのコメ、180袋が瞬く間に、売り切れた。地域の人たちとの努力の成果が得られた瞬間だった。そして、真冬の12月。1年を締めくくる地域の人たちとのシンポジウム。出席した地域の人たちからは、さすがに、はじめは戸惑ったこと、そして、6人の真摯な姿勢に心を打たれ、自分たちも、立ち上がらなければならないことに気づいたこと、などという話が出てきた。女子大生6人の、思いが通じた瞬間だった。
6人は大学を卒業し、それぞれの道を歩み始めている。しかし、このプロジェクトは後輩たちに、受け継がれ、2年目の活動が始まっている。そして、なによりも、地域の人たち自身が、地域の特産品や自然を生かした取組みを始めようとしていた。これこそが、6人が目指した、地域活性化の目標だったのかもしれない。地域の活性化は、外からの力だけでなく、地域の人たち自身が立ち上がること、6人はその手助けをしたのだ。
12月6日(火)放送の第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『おんな6人 やるべ! 村おこし』(秋田テレビ)<深夜2時33分〜3時28分>では、農村に求められているのが何なのか、過疎からの脱却、地域活性化に必要なものは何なのかを探る。
(制作趣旨)
地域の活性化、「村おこし」にさまざまな形で取り組むケースをよく見かける。しかし、必ず大きな成果が得られるとはいえないようだ。こうした中で、秋田県内の農業を学ぶ女子大生たちが「村おこし」の計画を進めることに、関心を持った。都会出身の女子学生6人がはたして、どんな村おこしをするのだろうか。そして、農村の人たちとどんな交流、どんなドラマが見られるのかに関心を持ち、取材を開始した。そして、次第に農村の人たちとの心の交流が生まれる様を見ながら、地域活性化「村おこし」に必要なものが、押し付けではできないことに、地域の人たちが気づく様子が分かった。
世界自然遺産・白神山地の麓に広がる農村地帯の季節の変化をからめながら、今農村が必要としているものを探った。
【スタッフ】
撮影 |
今野 智 清水 聡 木川 聡 横井 茂 |
音声 |
吉岡 稔 土谷三代 |
効果・MA |
加藤彦二郎 山崎茂之 |
編集 |
辻 正憲 |
ライン編集・美術 |
山本寿樹 |
題字 |
伊藤 正 |
構成 |
佐々田朋美 |
ディレクター |
佐々木重基 |
プロデューサー |
高田二郎 |
制作著作 |
秋田テレビ |
2005年11月17日発行「パブペパNo.05-398」 フジテレビ広報部
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