FNSドキュメンタリー大賞
本州唯一のナベヅルの飛来地・山口県八代盆地。
かつて300羽以上もいたナベヅルが、現在はわずか13羽。
人間と野生動物が共存できる地域とは…?
10年間にわたり、綴ったナベヅルの記録と、
八代の住民の取り組みを追ったドキュメンタリー。

第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
「黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜」

(制作:テレビ新広島)

<7月22日(金)2時50分〜3時45分放送>
 【7月21日(木)26時50分〜27時45分放送】

 7月22日(金)【7月21日(木)】放送の第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜』(テレビ新広島)<2時50分〜3時45分【26時50分〜27時45分】>では、八代の住民とナベヅルが織りなす10年間の軌跡をとおして、人間と野生動物の共存について考える。

<あらすじ>

 絶滅危惧種ナベヅルは、かつて身近な鳥として、日本各地で見ることができた。
 しかし、戦中戦後の食糧難による捕獲によって、その数は激減し、今では山口県の八代盆地が本州で唯一、ナベヅルが飛来する村となった。
 元来、湿地帯を好むナベヅルがどうして山里の八代だけに飛来するのか?
 そこには、日本で初めての自然保護条例をつくった八代の住民たちの懸命な取り組みがあった。番組では“自然保護の原点”ともいえる八代の住民たちの活動と、ナベヅルが織りなす10年間の日々を追い、人間と野生動物の共存について考える。

<みどころ>

 山口県周南市熊毛町の八代盆地。10月になると、この村に“客人”が訪れる。
 その客人とは、『ナベヅル』。シベリアの湿原に生息するナベヅルは、10月になると越冬のため、はるばる2,000kmも離れた南方の地、八代へやってくる。
 かつてナベヅルは身近な鳥として、日本各地で見ることができた。
 しかし戦中戦後の食料難による捕獲によって、その数は激減し、今では八代が本州で唯一のナベヅルの飛来地となった。
 元来、海や川の沿岸など湿地帯を好むナベヅルがなぜ、山里の八代だけに飛来するのか?それは明治時代から続く、八代の住民たちの取り組みにあった。

 明治20年、日本各地で鳥が乱獲され、その数が減少したことから、密かに猟師がナベヅルを捕獲しようと、八代に来るようになった。しかし八代の住民は、半鐘を打ち鳴らし、手に鋤や鍬を持って猟師からナベヅルを守った。そして『八代村のツルの捕獲を禁じる県令』をつくった。これが日本初の自然保護条例である。

 ナベヅルの絶滅を危惧する八代の住民たちの取り組みは、後世へと受け継がれ、今でも秋になると、ナベヅルが飛来する前に、ねぐらとなる休耕田の草を刈って水をまいたり、田んぼにツルの模型をたてて、誘致を促す。それでもひとたびツルがやってくると、彼らの領域には決して足を踏み入れず、遠くからそっと見守ってやる。八代の子どもたちは、観察記録を“ツル日記”にしたため、歓迎の意を表する。
 35年間、野鶴監視員を務めた弘中数実さん(現84歳)も、「ツルの住めない場所は、人間の住めないところだ」と、ナベヅルの存続を懸命に訴え続けてきた住民の一人だ。

 そんな八代の住民にとって、ナベヅルの存在とは…?
 番組では取材をすすめていくうちに、ある1羽のナベヅルと出会った。名前は“黒太郎”。名づけ親は地元の小学生で、毎年、妻ヅルと子ヅル2羽を引き連れて八代にやってくる。八代のツルの中で最も強くて、最も優しいリーダー的存在。
 いわば“八代の番長”でもある黒太郎は、ナベヅルの世界にも、まさに人間さながらの愛情物語が存在することを教えてくれた。家族の絆、夫婦愛、そして最愛なるものを失う悲しみ…。野生動物とは思えない極めて人間的な感性をもつ、黒太郎一家をずっと見守ってきた八代の住民にとって、彼らはペットや動物ではなく『仲間』同然なのである。

<制作者の思い:テレビ新広島ディレクター 白神道空>

 「人間のように教育を受けたり、誰に教わるわけでもないのに、本能的に備わっているナベヅルの“家族愛”には驚かされました。
 黒太郎をとおして、八代の住民がどのようにナベヅルと接し、守ってきたかを描きたい。自然保護の原点とも言える“八代流”の取り組みに注目してください」


<番組タイトル>
 第14回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
 『黒太郎一家の10年〜ナベヅルと暮らす村・八代〜』(テレビ新広島制作)
<出演者>
 ナレーター 石田ひかり
<スタッフ>
 プロデューサー 川上伸一(テレビ新広島)
寺田治司(TSSプロダクション)
 ディレクター 白神道空(TSSプロダクション)
 構成作家 司 透
 編集 寺田治司/白神道空
 制作 テレビ新広島

2005年7月8日発行「パブペパNo.05-205」 フジテレビ広報部