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ソー 第130回 2005年1月23日 「古代麦のデザート」

初夏になると、たくさんのラベンダーが咲き、その横ではエポトゥールといわれる古代麦の穂が揺れるソーという町周辺は、その畑の色から「青と金色の町」と呼ばれている。そんな風景に心惹かれ、この町にホテル&レストランを開いたのがガトゥシオ・イヴさん。彼はもともと物作りが大好きで、その一瞬のひらめきが料理作りにも影響を与えていると話している。そんな彼が注目したのが古代麦と言われているエポトゥール。彼はこの麦を使って新しいデザートを作り出した。
古代麦のデザート


街の周辺にラベンダー畑が広がるプロヴァンス地方の田舎町・ソー。
ここに、新しくホテルが出来たのは、今から11年前の事でした。

初夏になるとラベンダーが咲き、その周りで古代の麦・スペルト小麦が実る丘陵地帯。

〜青と金色の町〜



そんな風景に誘われて、この場所に移り住んできたのは、このホテルのオーナーシェフ、ガトゥシオ・イヴさんでした。

彼は、もともと、写真や絵を描くことが大好きで、一瞬一瞬を作品として切り取る、その閃きが、料理作りにも役に立つと考えているのです。



この町に開いたホテルの室内コーディネートも、イヴさん自らが手がけたもの。

〜大好きなアジアンテイストに〜



そして、そんな彼が注目したのが、紀元前から伝わる古代の麦、スペルト小麦だったのです。

〜Epeautre/スペルト小麦〜

インスピレーションで新しい料理のアイデアが生まれると話すイヴさんが考え出したのは、スペルト小麦のビールを入れたオリジナルアイス。



更に、キャラメルの中にもスペルト小麦を入れて一度延ばした後、筒状にし、

その中に出来上がったアイスを入れて仕上げます。



「ソルベ・エポートル・オン・エポートル・キャラメル」


この店のシェフ・イヴさんの閃きで、冷たいデザートとして生まれ変わった、古代の麦・スペルト小麦。
彼の挑戦は、まだまだ続いていきそうです。



スタッフからのメッセージ
 この取材で、まず印象的だったのは、取材地であるソーの町周辺に広がるラベンダー畑です。といっても残念ながら取材時期が花の開花時期とは違っていたため、プロヴァンスの風景としてよく見かけるラベンダーの紫色を見ることは出来なかったのですが、6月から7月にかけての開花時期に、もし、この場所に再び来る事ができたら、どんなにか美しい風景を見る事ができるだろうかと思ってしまうほど、本当に、辺り一面ラベンダー畑が広がっていたのです。それはもう、花が咲いていなくても、つい写真を撮ってしまったほどの景色で、フランス各地を案内してくれるコーディネーターも、しっかり地図に、この場所の印を書き込んでいました。
 それから、もうひとつ印象的だったのは、今回取材したホテルのオーナーシェフ、ガトゥシオ・イヴさんです。彼は、こうしたラベンダー畑とスペルト小麦の畑が延々と続き、その間にポツンポツンと小さな町があるだけの静かな土地が気に入り、この場所にホテルを建てたというのですが、実際に訪れてみると、そこは町外れ。山道に入って、こんな所にホテルなんかあるんだろうか?と思うような場所に、突然現れてくるのが、彼のホテルだったのです。そして、インテリアは何故かアジアンテイスト。正直、せっかくフランスの地でフランスの料理を紹介するのに、アジアンテイストってミスマッチかも…なんて少々思ってしまいましたが、シェフの話を聞けば全て納得。彼は、写真や絵を描くことが大好きで、何かを考えたり作っている時に突然と浮かぶ「閃き」、これが、料理を考えるのにも大切なんだと一生懸命話してくれました。そんな中、今、気に入っているのが東南アジアなんだそうです。その理由は、景色や人柄もありますが、強いスパイスの利かせ方、強火で一瞬に火を通す料理方法など、もちろん興味は料理の方にも向いています。見せて頂いた写真も、こうした東南アジアのものばかり。なんでも興味を持ち、自分でやる事が大好きな彼は、だからこそ、このホテルのコーディネイトもアジアンテイストにしてしまったという訳なんです。
 さて、番組で紹介した食材・スペルト小麦は、古くは紀元前9000年前から料理に使われてきた穀物のルーツともいわれるもの。フランス語では「エポートル/Epeautre」と言います。今では、小麦が主流を占め、料理の食材としては忘れられかけていた存在でしたが、15年ほど前、その栄養の豊富さなどが見直され、再び、注目を浴び始めているようです。今回、作って頂いたデザートは、イヴさんの閃きの賜物で、なんとアイスの材料にスペルト小麦のビールを入れるという斬新なもの。こうしたシェフのアイデアで、古代の麦も、その存在価値を回復していくのかもしれませんね。

レシピ 「ソルベ・エポートル・オン・エポートル・キャラメル」
<作り方>
[1] 砂糖シロップと水飴を火にかけながらよく混ぜる。
[2] 冷ました後、スペルト小麦のビールを加え、更に、砂糖を加える。
[3] アイスクリームメーカーに入れ、冷やしながらクリーム状にする。
[4] 別の鍋に砂糖、水飴、水を入れ、茶色くなるまで煮詰める。
[5] その中に、生のスペルト小麦を入れる。
[6] 冷やしながら麺棒で延ばし、固まる前に筒状に丸める。
[7] [3] で作ったアイスクリームを [6] のキャラメルの筒の中に入れる。

Hostellerie du val de Sault(ホテル&レストラン)
住所:Route de Saint Trinit 84390 SAULT
TEL:04 90 64 01 41/FAX:04 90 64 12 74

「Ballade pour un Matin (Golden Slumbers)」
bia
作詞/作曲:Jacques Higelin/Lennon-McCartney
レコード会社/CD NO:SARAVAH/OMCX-1046
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