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エクス・アン・プロヴァンス 第123回 2004年11月28日 「セザンヌの食卓」

エクス・アン・プロヴァンスという街で生まれ、晩年をこの町で過ごしたという現代絵画の父、ポール・セザンヌ。彼が地元プロヴァンスで食べていたといわれる料理のレシピが1冊の本に残されていた。本の名は「ポール・セザンヌの南仏の味」。アトリエで数々の静物画を描き、またたくさんの「サン・ヴィクトワール山」を描いた作品を残すセザンヌが食べていた料理とは…。今回は、その中からウサギの料理を紹介する。
セザンヌの食卓


世界中に知られる画家・セザンヌが、生まれた事で知られる街、エクス・アン・プロヴァンス。
ここには、彼が使っていたアトリエが、昔のままの姿で残されていました。

1839年に、プロヴァンスで生まれ、その晩年を、このアトリエで過ごしてきた印象派の画家・ポール・セザンヌ。

Paul Cezanne(1839〜1906)



〜仕事場はそのままに〜

後に「現代絵画の父」とまで呼ばれるようになった彼は、この場所で多くの作品を生み出しながら、その情熱をキャンバスの上に描いてきたのです



〜街から望むサント・ヴィクトワール山〜

そして、そんなセザンヌが、ここプロヴァンスで食べていた料理…

〜ポール・セザンヌのプロヴァンスの味〜



この日、レシピを元に作った料理は、プロヴァンス特有の香草をふんだんに使った、ウサギの肉のオーブン焼き。

大きめに切ったウサギの肉に、一度、塩と胡椒をまぶし、更にオリーブオイルを塗って、あらかじめすり潰しておいたニンニクや香草を乗せていきます。



〜網脂で包む〜

仕上げは、炒めたトマトの上に肉を乗せ、更に、トマトで味付けしたソースを加え、オーブンで焼き上げます。

〜オーブンで45分〜



「ラパン・アン・パケ」


生まれた街を愛し、そして、この土地の料理を愛してきたセザンヌ。
彼の足跡は、ここエクス・アン・プロヴァンスの歴史にしっかりと記されています。



スタッフからのメッセージ
 1839年にエクス・アン・プロヴァンスで生まれたポール・セザンヌは、57歳の時、友人に宛てて、こんな手紙を書いていたそうです。「エクスにいた頃は、他の所の方が良いのではと思っていたが、現在ここにいて、エクスを離れていた事を後悔し…(中略)…ここで生まれたならば、全て良し、付け加えることなど何もないのだ」。
 この手紙にある通り、セザンヌは、エクス・アン・プロヴァンスで生まれましたが、その後、自らの世界を広げるためパリに滞在。時々、エクスに戻りながらもフランスの各地を転々と回っていたようです。そして、手紙の言葉のように、我が故郷の良さに気づいたのが56歳の時。以後、番組で紹介した「サント・ヴィクトワール山」を何度も書くなど、この地での作品創作に没頭していったのだそうです。では、そんなセザンヌが大好きだったというエクス・アン・プロヴァンスの街は、どんな場所なのでしょうか?
 街に入って一番に目に付くのが、ゴール広場にある大きな噴水です。実は、ここエクスの街には大小合わせると100以上の噴水があるそうで、一面苔に覆われた温水の出る泉や、17世紀の彫刻が施された噴水、あるいは、一見水道の蛇口から水が流れているだけにしか見えない小さな噴水など、確かに、あちこちで、噴水を見かけます。資料によると、ここは、紀元前の時代から湧き水が多い場所だったそうで、その名残りが今も噴水として残っているという事なのです。そして、一番大きな噴水のあるゴール広場からまっすぐに伸びているポプラ並木のメインストリートがミラボー通り。道沿いにはたくさんのカフェが建ち並び、その中の「カフェ・レ・ドゥ・ギャルソン」は、セザンヌの行きつけの店でした。どうせ、この街を歩くならセザンヌの縁の場所に行ってみたい。そう思う人は、歩きながら足元に注目して見ると良いでしょう。エクスの道を注意深く足元を見ながら歩いていると、「CEZANNE」という文字が書かれた鋲が埋め込まれていて、それが2〜3m置きに並んでいます。これは、観光客などが街中に残るセザンヌ縁の地を道順良く見ることが出来るように埋められたもので、この鋲に沿ってブラリブラリと歩いていけば、彼の生家や行きつけのカフェ、母親のアパート、通った学校などなどに辿り着くというわけです。ゴール広場にある観光案内所には日本語のパンフレットも置かれているので、その資料を片手にエクス散歩でもすれば、貴方も俄かサザンヌ通になれること間違いありません。ただし、セザンヌが使っていたアトリエは、この街から、やや離れた場所にありますので御注意を。(歩いていけないことはありません)とにかく、この街は、観光客や学生などは一年中溢れているようです。道沿いのオープンカフェで一休みしながら歩いている人々を眺めていると、世界各国ありとあらゆる人種を見ることが出来ます。(勿論日本人も…)これだけ活気のある街、そして、すぐ傍に自然が残る街だからこそ、セザンヌがエクスに惹かれたのではないか…改めて振り返ってみると、そんな気がしてきました。
 ちなみに、今回紹介した料理は、エクスが大好きなセザンヌが、この土地で食べたと思われるプロヴァンス料理をまとめた本「Le Gout de la Provence de Paul Cezanne(ポール・セザンヌのプロヴァンスの味)」の中から選んだものです。それを、エクスにあるレストランのシェフにお願いして再現して頂きました。

レシピ 「ラパン・アン・パケ」
<作り方>
[1] ウサギの肉を大きめに切り、塩、コショウをする。
[2] ニンニク、塩、ナツメグ、タイム、ローズマリをすり鉢の中に入れ、すり潰す。
[3] [1] の肉をオリーブオイルに浸け、その上から [2] の香草を乗せる。
[4] その後、網脂で肉を包む。
[5] 別の鍋で、ウサギの骨、オリーブオイル、月桂樹を水に入れて煮込み、更にトマトを加えて煮込んだ後スープを濾しておく。
[6] オリーブオイルを入れたフライパンにトマト、タイム、塩、コショウを入れて炒める。
[7] 耐熱皿に、まず [6] のトマトと薄く切ったニンニクを入れ、その上に [4] の肉、塩、コショウ、薄切りニンニク、月桂樹を乗せ、[5] のスープを入れる。
[8] [7] の皿をオーブンに入れて45分間焼く。途中、焼き具合を見ながら何度かスープを肉にかけ、最後の10分位は更に蓋をして焼き上げる。

Atelier de Cezanne(セザンヌのアトリエ)
住所:9, AVENUE PAUL CEZANNE 13090 AIX EN PROVENCE
TEL:04 42 21 06 53

Restaurant La Vieille Auberge(レストラン)
住所:63, Espariat 13100 AIX EN PROVENCE
TEL:04 42 27 17 41/FAX:04 42 26 38 35

「Mademoiselle A」
Elie Semoun
作詞/作曲:Elie Semoun/David Koven
レコード会社/CD NO:Rambling Records/RBCS-2078
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