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バール・ル・デュック 第111回 2004年9月5日 「宝石色のジャム」

パリから少し東に行った町、バール・ル・デュック。ここでは「フランスのキャビア」と呼ばれるほど貴重なすぐりでジャムを作っている。ワインと同じように赤・白・ローズ色の3種類の実があり、その小さな実を地元の主婦達が昔と変わらず、ガチョウの羽の先で一つ一つ丁寧にタネを取っていく。そんな手の込んだジャムを使った地元ならではの料理を紹介。
宝石色のジャム


ロレーヌ地方にある小さな町、バール・ル・デュック。
ルネッサンスの面影が残るこの町で、あるものの収穫が始まっていました。

それは、「すぐり」と呼ばれる、小さな小さな果実でした。



1339年、緑の多いこの地に自生していた美しい果実がジャムに使われ始めました。
フランスでも珍しいすぐりのジャムは実が崩れにくく、甘みが強いのが特徴。

〜フランス最古のジャム〜



小さな実の中には、いくつもの小さな種が入っています。 そこで、種を取り除くために昔からある道具が使われていました。それが……

〜ガチョウの羽〜



先を尖らせたガチョウの羽で、ひと粒ひと粒、小さな種を取り出していきます。
種が残っているとジャムの品質が落ちるので、この作業はとても大切。

こうして気の遠くなるような手間と時間をかけて貴重なジャムが出来上がるのです。

〜すぐりジャム〜



地元のレストランでは、このすぐりのジャムを料理にも生かしていました。
この店では鴨肉の味を引き立てるソースとして使っています。

程よい甘さと酸味の利いた味のジャムは、ビネガー、ドミグラスソースとの組み合わせで更に繊細な味に……



「マグレ・ドゥ・カナー・ホチ・ア・ラ・グロゼイユ」

ほんのりと香るすぐりの甘酸っぱい香り。
昔から変わらない方法で、時間をかけて作り続けてきたジャムの味は今でも町の人々に喜ばれているのです。



スタッフからのメッセージ
 「すぐり」という実は日本では長野や北海道などの山間に多く自生しているそうですが、フランスではあらゆる所で見かけることができます。市場や八百屋さんでも色鮮やかなすぐりの実が箱詰めになって売られていたりしていました。その中で、取材したバール・ル・デュックのすぐりは土地に石灰分を含んでいるので実がしっかりしているとのこと。それが煮崩れすることなく、実の形が残ったままジャムにできるので、この地で「すぐりのジャム」が作られ始めたそうです。その歴史は番組でも紹介したように遡ること1339年。あまり知られてはいませんが、フランス最古のジャムなのです。その歴史の裏には地元の主婦たちの努力があり、町の人々の協力があってこそ今まで残ってきたという経緯があります。というのも、一時期は副業の主婦やすぐりの生産農家が少なくなり、消滅の危機にあったのです。それが今では何とか町の人々の努力で回復の傾向にあるとのこと。
 何といっても大変なのは小さなすぐりの実から一粒ずつ種を取り出していく作業。手馴れた主婦で1時間、350グラムできるかできないか……。しかも、粒の小さいもののほうが香りが高く、ジャム向きというのですから、かなりの手間がかかるに違いありません。ガチョウの羽の先を切ったオリジナルの道具で横から入れて抉り取るという感じで取り除いていきます。そこで、私もチャレンジさせていただきました。……よくあるパターンですが、見ていると簡単そうなのにこれが難しい!「一回すぐりの実に羽の先を入れたら1回で全部の種を取り出さねばならないのよ。」と教えられ、やってはみたものの、小さな粒に20個も入っている更に小さな種を取り出すことはできず……。つくづく大変さを実感したのでした。それなら1瓶15ユーロ(約2000円)も頷けるな……と。まさにフランスのキャビアの名に相応しいものだと思いました。
 さて、ここのすぐりジャムには3種類のジャムがあります。それは赤、白、ローズの3種類。それぞれ味も微妙に違って、赤は甘く、白はきりっとした甘さ、そしてローズはその中間といった感じで、まさにワインと同じ。ジャムにしてもその味の違いが楽しめます。
 取材時は残念ながら小雨が降ってしましましたが、地元の子供達も一緒に一生懸命すぐりを摘んでくれて、種取りも一生懸命にやってくれたのが印象的でした。この子達が将来このバール・ル・デュックのすぐりジャムを支えていくのかもしれないなぁと思いました。
(子供達の方がすぐりの種取りがとてもうまかった……流石です。)

レシピ
「コンフィテュール・ド・グルゼイユ」(すぐりジャム)
[1] 種を取ったすぐりと砂糖を1:1.5になるように準備。
[2] まず砂糖だけ鍋に入れ、少し水を足しながら110℃になるまで煮詰める。
[3] 煮詰まったらすぐりを入れる。実が崩れないように直接かき混ぜず、鍋を持って振るように混ぜるのがコツ。
[4] 灰汁を取りながら90℃を保って煮詰めていく。
[5] すぐりが浮かび上がってきたら火を止め、熱を取る。徐々に冷してできあがり。

「マグレ・ドゥ・カナー・ホチ・ア・ラ・グロゼイユ」
[1] 鴨肉の表面を軽く焼いたらオーブンで10分焼く。
[2] すぐりジャム、ワインビネガー、ドミグラスソース、バターをまぜてソースを作る。
[3] 付け合わせにあげたジャガイモにパセリとニンニクバターをからめる。
[4] お皿に盛り付けたらできあがり。


Confrerie des groseilles(すぐり愛好会)
住所:9 rue du General de Gaulle 55000 BAR LE DUC
Tel/FAX:03 29 79 36 27


「DOCURA FORTE/AGUA E LUZ」
JOYCE
作詞/作曲:JOYCE
レコード会社/CD NO:東芝EMI/TOCP-67386
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