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キュイール 第110回 2004年8月29日 「キッチンの大発明」

料理好きの家庭なら、必ずはあるであろう料理の道具。それはムーラン・ア・レギュームといわれる野菜用のミル(粉砕器)。この道具が生まれたキッカケは、時を遡ること約70年前。ある家庭でジャガイモのピュレを作った時、うまくできないことから。その家の主人は、妻に文句を言うと「それなら自分でやってみて」と言い返され、その結果発明されたのが、この道具だった。
キッチンの大発明


フランスの料理好きな家庭なら必ずやあるであろう便利な道具。
それは、ある男の発明から生まれたものでした。

1932年に発明され、以来、野菜をすり潰す道具として使われてきたキッチンの必需品…



〜Moulin a Legumes/ムーラン・ア・レギューム〜

この道具を考え出したのが、もともと発明が大好きだったというジャン・モントゥレでした。



〜設計図〜

彼は、妻がジャガイモのピュレをうまく作れなかったのを見て、なんとか簡単に作る方法はないかと考え、遂に、新しい道具を完成。

〜第1号作品〜



そして会社を築き、大量生産にも成功すると、この道具は、キッチンになくてはならない存在になっていったのです。

今、家庭では、ピュレを作るだけではなく、野菜のスープを作る道具としても使われています。



〜圧力鍋で20分〜

やわらかく茹で上げた圧力鍋の中には甘みを増した色とりどりの野菜が一杯

こうして、たくさんの野菜を「ムーラン・ア・レギューム」の中に入れるとあとは、ゆっくりとすり潰し、その旨みを引き出します。



「ポタージュ・オ・レギューム」

キッチンの一つの発明が、食卓をより豊かにしてくれる…
たくさんの野菜の味が凝縮されたスープにはそんな歴史が隠されていたのです。



スタッフからのメッセージ
 フランスには、唯一「コンクール・レピンヌ」という発明コンクールがあるそうです。これは、当時、パリ市長だったルイ・レピンヌ(リヨン出身)が、1900年に経済不況対策として、新製品の発明コンクールを発案したのがキッカケで生まれたもので、今でも毎年1回行われている大規模なものです。そして、その「コンクール・レピンヌ」で1932年に金賞を獲得したのが、今回紹介した「ムーラン・ア・レギューム」だったのです。
 そもそも、このムーラン・ア・レギュームを発明するきっかけとなったのは、ジャン・モントゥレ家のキッチンで起こった、ある些細な出来事からでした。それは、ある日、モントゥレ氏の奥さんがジャガイモのピュレを作った時の事。そのピュレが上手に裏漉しできていなかったのを見て、モントゥレ氏は、ついつい奥さんに文句を言ってしまったのだそうです。すると奥さんは彼に、「そんな事を言うのなら、自分で作って見れば…」と言い返しました。もともと父が経営していた農機具を発明する会社に勤めていて、自らも発明好きだった彼は、それなら自分で上手くジャガイモを裏ごしできる道具を作ってみようと思い立ち、その後、色々な試行錯誤の末に生まれたのが「ムーラン・ア・レギューム」。発明者であるモントゥレ氏は、この野菜用ミルで、今まで経営していた会社を更に大きくし、後に、ムリネックスという家電会社を創設するまでに至ったのです。
 今回、番組で紹介した「ポタージュ・オ・レギューム」は、たくさんの野菜を圧力鍋で茹で、このムーラン・ア・レギュームですり潰すだけという簡単なものでした。味付けは茹でる時に加えた塩味のみ。それでも、この道具で野菜をすり潰すだけで、たくさんの素材から旨みが出て、充分満足するポタージュに仕上がります。日本でいうスープの感覚は、出汁を取ったスープの中に野菜や肉の具を入れて作り、具から滲み出る旨みが加わったスープの味と、逆に、スープの味が染み込んだ具の味を楽しむというものが多いような気がします。特に汁物などは、そう言えるのではないでしょうか。これがフランスの場合、具を入れて煮込む場合は、かなり長時間煮込んでスープというよりも具の味を楽しむ場合が多く、また、スープ(汁)の味を楽しむ場合は、素材そのものをすり潰してスープやポタージュにしてしまう事が多いような気がします。カボチャのスープもそうですし、ジャガイモのスープ、今回の野菜のスープもそうです。スープを飲む時には、その素材の姿形は無く、すり潰してスープそのものにしてしまいます。つまり、汁と具を一緒に味わうのが日本なら、汁は汁だけで、具は具だけで味わうのがフランス流。こう考えれば、「ムーラン・ア・レギューム」のような道具が、スープを作る時には必ず必要になってくるのは当たり前のことなのかもしれません。
 キッチンの些細な出来事から、この道具を生み出したジャン・モントゥレ氏。もし、彼の発明が無かったら、フランスの食文化は少し変わっていたかもしれませんね。

レシピ 「ポタージュ・オ・レギューム」
<作り方>
[1] 適当な大きさに切った野菜(ニンジン、ダイコン、カブ、ズッキーニ、ネギ、白玉ネギ、セロリ、ウイキョウ、ジャガイモ、ニンニク)を圧力鍋に入れ、水、塩を加えて20分茹でる。
[2] 茹で上がった野菜をムーラン・ア・レギュームですり潰す。


Groupe SEB, service conservatoire(販売)
Tel:04 7268 7381


「Mes yeux pour pleurer」
ANNA KARINA
作詞/作曲:Ph.Katerine
レコード会社/CD NO:UNIVERSAL MUSIC/5435262
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