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カマンベール 第62回 2003年9月21日 「世界に知られるチーズ」

今や世界中で作られているカマンベールチーズ。
その発祥の地は、名前の如くフランス・ノルマンディ地方にある小さな町・カマンベール。
この地のチーズには「カマンベール・ド・ノルマンディ」という名前がつき、
この地の牧草だけを食べて育った牛のミルクでしか作れないもの。
周りに白カビをつけ、中は柔らかなクリーム色をした本場&本物のカマンベールチーズを紹介。
世界に知られるチーズ

それは今からおよそ200年以上も前の事…
ノルマンディの小さな町・カマンベールに、一人の女性が住んでいました。
「マリー・アレル」
(1761〜1812)


彼女は、この町を訪れた修道僧から
当時、パリ近郊で作られていたチーズの作り方を教えられると、その方法を取り入れ独自のチーズを作り上げたというのです。
以来、この町の名を授かり、長きに渡り、作り継がれてきたカマンベールチーズ。


それは、直径11センチに固められたチーズに塩と白カビの菌をふりかけて熟成させるという独特の方法で作られているのです。
湿度85%の部屋で2週間


「Camembert de Normandie
// カマンベール・ド・ノルマンディ」
レストランでは、頑なに昔ながらの味を守ってきたカマンベールチーズを使い、料理にも生かしていました。


ミルクと卵、香辛料と共にミキサーにかけると、内側に溶かしバターを塗った器に入れオーブンで湯煎焼きにします
「フラン・ド・カマンベール」


今や世界中で親しまれている、この町の味・カマンベールチーズ。

濃厚な味わいと柔らかくクリーミーな食感がこのチーズの魅力なんです。


スタッフからのメッセージ
 今回取材させて頂いたカマンベールチーズは、今や世界中で作られている同名のチーズとは違い「カマンベール・ド・ノルマンディ」という名前の付いた特別なチーズです。というのも、フランスには伝統的なチーズに対して、原産地を限定して伝統的な作り方や品質を法的に保護するために定められたAOC(原産地呼称統制)というものがあり、その厳しい条件に則したものだけにAOCによる呼称(この場合は「カマンベール・ド・ノルマンディ」)をつけることが許されているからです。つまり、この名前が付いているチーズだけが、発祥地の原料を使い、昔ながらの製造方法で作られたカマンベールのチーズだという事なのです。ちなみに、その厳しいAOCの基準を聞いてみると非常に興味深いものがありました。たくさんの基準がある中で代表的なものをいくつか挙げてみると、まず、脂肪分が45%以上のもの。そして地元産の牛から絞られた無殺菌のミルクを使っている事。出来上がりの直径が約11センチ。重さは最低でも250g。製造後21日で完成させ、30〜35日で食べられるもの。色は外側が白(カビの部分)で中がクリーム状になっているもの、などです。一見、非常に細かすぎる基準のようにも思えますが、こうした基準で守られているからこそ、カマンベールチーズが誕生して200年以上も経った今も、当時の味を楽しむ事ができるという訳なのです。実際に、試食させて頂いた感想はというと、日本で食べるカマンベールチーズは、ヨーロッパで作られるチーズの中でも比較的食べやすい印象を持っていたのですが、本場のチーズは風味が強く、濃厚でコクがあるという感じ。しかも、あのクリーミィな食感は何ともいえない柔らかさ。これこそが、本当の本物の味なんだと実感できました。
 ところで、今や世界中に知られているチーズの故郷・カマンベールという町。そこは一体どんな所なのだろうと、誰もが興味を持っているのではないかと思います。そういう私も期待を持って今回の取材に当ったわけですが、いざ、その町を訪ねてみると、「こんなに小さな町だったんだ」と驚いてしまうほど、そこには小さくて可愛い町が広がっていました。地形の殆どが平地といっても良いくらいのノルマンディ地方には珍しく、そこは少し起伏のある丘が連なっていて、その丘の上のひとつにチョコンという感じでできた町。それがカマンベールです。町といっても建物は教会にチーズ博物館、観光案内所の他に3〜4軒の家しかなく、その中のひとつがカマンベールチーズを作り上げたマリー・アレルさんの生家です。車で丘を上がっていくと1分もしないうちに町を通り過ぎてしまい、町というよりは村といった方が良いかもしれません。それでも、丘の上から望む風景は素晴らしく、丘の傾斜に沿って牧場と林が広がり、緑豊かな自然の中にたくさんの牛が遊んでいるのが良く見えます。きっとこの地域には、チーズだけではなく、そのチーズが生まれた土地の風景も変わらないよう守らなければならないという思いがあったのでしょう。この町を訪れ、その風景を見て、そんな気持ちにさせられました。

レシピ 「フラン・ド・カマンベール」

<材料>
カマンベールチーズ1個、ミルク500cc、卵6個、ナツメグ、コショウ適量

<作り方>
[1] カマンベールチーズを適当な大きさに切りミキサーに入れる。
[2] 暖めたミルクを加え、ミキサーで攪拌する。
[3] [2]の中に卵、ナツメグ、コショウを加える。
[4] あらかじめ溶かしバターを内側に塗った器に[3]を入れる。
[5] 水を張った大きなバットに[4]の器を入れ、オーブンで20分湯煎焼きにする。

カマンベルティエールというチーズ料理の得意なレストランで取材させてもらったのですが、この料理の他にも、前菜としてクレープやタルトにカマンベールチーズを使ったものがありました。チーズを食材として使っていると聞くと、どうしても味が濃く、重たい味になってしまうような気がしていたのですが、どの料理も、チーズの味が主張しすぎず、それでいてカマンベールの風味が良く効いていて、美味しく頂けました。


M.Francois DURAND(フランソワ・デュラン氏 チーズ生産者)
住所:LA HERONNIERE 61120 CAMEMBERT
TEL:02 3339 0808  FAX:02 3335 6731

CAMEMBERTIERE(レストラン)
住所:L'Hotellerie Faroult 61120 Les Champeaux
TEL:02 3339 3187  FAX:02 3367 2032

「Au bout du compte」
LiLicub
作詞/作曲:Carre
レコード会社/CD NO:POLYDOR/POCP 7392
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