1960年代、アメリカの片田舎。チェコ出身のセルマ（ビョーク）は、工場で働きながら、女手一つで息子ジーン（ヴラディカ・コスティク）を育てている。しかし、実はセルマは遺伝性の病気のために視力を失いかけていて、ジーンも手術を受けないと同じ運命をたどることになるのだ。セルマはその事実を隠しながら、手術費用を密かに貯めていたが、そんな彼女のただ一つの生きがいはミュージカル。アマチュア劇団で稽古をしたり、友人のキャシー（カトリーヌ・ドヌーヴ）とハリウッドのミュージカル映画を観ることを唯一の楽しみとしていたセルマだったが、視力は日増しに弱くなり、仕事上でもミスを連発、ついには工場を解雇されてしまう。さらに、不幸は重なり、何とジーンの手術代として密かに貯めていた金を、盗まれてしまったのだ……。