~「黒部川 フライ教室編」~
1995年、益田は富山県の宇奈月温泉を流れる黒部川を取材した。そこで出会ったのが、宇奈月小学校で放課後子どもたちにフライフィッシングを教える熱血先生・本村雅宏さん。卒業式の日、式を終えて黒部川で釣りに興じる教え子たちと先生の姿を追った。
あれから12年。益田は欠かさず続けている取材相手との年賀状の交換で近況を手に入れている。本村さんからの便りにはこう書かれていた —『リバーウォッチングの時、中学生だったヒロシが社会人になる年齢になりました。川は同じように流れています』。
教え子のひとり朝倉寛さんは小学校の先生に、そして本村先生は副校長になっていた。かつて「子どもたちは、フライフィッシングを知ることで世界像を手に入れる」と言っていた本村先生とその教え子に会うために益田は12年ぶりに黒部川を訪ねる…。