12月28日（月）放送の『監察医 朝顔』第９話ラストには、主人公の万木朝顔（上野樹里）がアルバイトの医学部生・牛島翔真（望月歩）へ、涙ながらに自身の思いを語る１シーンが登場します。

　2020年最後の放送となる『監察医 朝顔』の第９話では、朝顔たちのもとへ21歳の大学生で人気読者モデルの小湊真由（愛甲ひかり）の遺体が運ばれてきます。マンションの前で死亡していた真由は、全身を11ヵ所も刺されており、死因は背部刺創による出血性ショック。SNS上にはこの事件に関するさまざまな憶測や情報が流れ、その中には、真由と親交があったモデル仲間や、かつて交際が噂（うわさ）された男性の犯行を疑う声も上がっていて……。

　そんな第９話のラストに、朝顔が牛島へ涙ながらに切々と訴えかけるシーンが。第８話（12月21日放送）から新たに登場した牛島は、法医助手として法医学教室でアルバイトをする大学医学科３年生。一見、飄々とし、何でも要領よくこなす一方、感受性が強く、他人の悲しみを思って涙を流すような顔も持つ牛島は、第９話で、正義感から法医学者としてやってはならないことを犯してしまうのです。朝顔は、安岡光子（志田未来）、高橋涼介（中尾明慶）、藤堂絵美（平岩紙）、藤堂雅史（板尾創路）ら同僚が見守る中、牛島に、なぜ法医学者という存在がいるのか、法医学者とは遺体にどう向き合うべきなのか、法医学教室で自身の思いを投げかけていきます。

　同シーンは、第９話最大の山場として約10分間にもわたって描かれ、台本では７ページにもおよび、ほとんどが朝顔のセリフとなっています。撮影本番では、10分間の長セリフを一度も間違えずに演じきった上野さん。演出を務める平野眞監督からOKの声がかかったあとも、そのお芝居を目の当たりにした制作スタッフからは、すすり泣く声が漏れていました。

　今回、朝顔から牛島へ向けて発せられる言葉には、実は2020年だからこそ届けたい、ドラマサイドの思いが込められています。セリフは制作スタッフと上野さん本人が練りに練ったもの。撮影前には平野監督と金城綾香プロデューサー、そして上野さんの３人で、まるで舞台のような場当たり稽古をおこないセリフの確認をするという、異例の入念さで作り上げていきました。金城は「いつもは穏やかな朝顔が怒ることって何だろう、と考えて生まれたお話でした。世の中は変わりました。理不尽さに心が痛くなったり、悲しいニュースの連続に、先の見えない不安がまだまだ消えそうにありません。もし、誰か大切な人が亡くなるときに、朝顔先生のような人が親身に考えてくれたら、少しでも救われた気持ちになるのではないか、そういった願いも込めて、みんなで作り上げたお話です。上野さんの熱量の全てが込められたラストのお芝居に、練習に立ち会った私も、その場で涙が出そうでした。カメラがその全てを収めてくれていると思います。2020年の最後、ぜひ『監察医 朝顔』で締めていただきたいです」と話しています。

　激動の１年となった2020年も残りわずか。命に寄り添う朝顔から2020年を生きたすべての人に送る涙のメッセージを、どうかお見逃しなく。