インタビュー

改めて藤堂雅史というキャラクターを演じるにあたって、特に意識されたことはありましたか?
何かを変えようという意識は特になかったです。第1シーズンが終わった後も、登場人物たちの日常がそのまま続いていたんだろうな、という感じですね。
第2シーズンで、みなさんと再会されたときはどんな雰囲気でしたか?
多分、みなさんもそうやと思うんですけど、1年前にやっていたことなので、ちょっとだけ休んでいて、また次のエピソードの撮影が始まった、みたいな感覚ですかね。セットの風景も、キャストもスタッフも顔なじみなので懐かしいという感覚もなかったですし。自然と、スーッと入った感じでしたね。
この第2シーズンは2クールの放送ですから、いままで描かれていなかったエピソードもあって楽しいですよね。
息子の大輔(小山春朋)も登場しましたからね(笑)。最初気づかなかったんですけど、5年前に朝ドラ(『まれ』)出た時に、山﨑賢人くんが僕の息子役だったんですけど、その山﨑くんの息子役で彼が出てたんですよ。ビックリしましたけど、ちょっと縁も感じました。なかなか良いキャラクターですよね。つぐみ(加藤柚凪)ちゃんとふたりで遊んだりしてて。
奥さんの絵美先生を演じる平岩紙さんは『ダウンタウンのごっつええ感じ』世代ということで、板尾さんとの共演をとても喜んでいました。夫婦役で共演されてみての印象はいかがですか?
彼女は、ホントに長年連れ添った奥さんみたいな……ちょっとドラマの設定の藤堂と絵美の関係とは違いますけど、デスクも隣同士で、動きがあってもふたり一緒で、みたいな感じなんですけど、彼女が普通に横にいてくれるだけで凄くやり易いんです。
第1シーズンのとき、平岩さんは「あの方たち(ごっつのメンバー)はお笑いの神だと思って育ってきた」とおっしゃっていたんです。
いえいえ、そんなことないですよ(笑)。ドラマの中では、ちょっと格差が出たりしましたけど、いつもちゃんと“奥さん”“同僚”という感じで隣にいてくれるので助かっています。
考えてみると、設定とはいえ、家でも職場でもずっと一緒で席も隣同士、というのはなかなか凄いですね。
よく考えるとヘビーな設定で、相当仲が良いのか、相性が良いのか、どっちかが凄く我慢しているのか、その辺はちょっとわからないですけど(笑)。でも多分、相性が良いんでしょうね。いつもああいう感じで。
朝顔先生を演じている上野樹里さんの印象は?
彼女は、主演ですからお芝居以外にも気を遣うことがたくさんあると思いますし、ロケでもスタジオでも一番に来て、最後までずっといるような感じで撮影シーンもたくさんあって……。僕らは研究室と解剖室のシーンがほとんどですけど、彼女は万木家のシーンもありますからね。でも、彼女は「私、頑張ってます!」みたいな雰囲気を、僕らに感じさせないというか、いつも自然体で振る舞ってくれているので、そこが頼もしいというか、素直に凄いなと思っています。もちろんお芝居の集中力は凄いんですけど、良い意味でパーフェクトに作ってこないので、余裕があるというか。何があっても対応するし、どっしりしているんですよ。いや、わかりませんよ、僕の勝手なイメージだけなんで。でも、頼もしく見える、余裕がありそうに見える。だから僕らも、ヘンに気を遣う必要もなく過ごせているんじゃないかな、と。
法医学教室チームの雰囲気はとても素敵ですよね。仕事に取り組むときの姿勢と、それ以外のときのちょっとゆるい感じのギャップもあり……。
そうですね。実際の法医学教室がどういう感じなのかわからないですけど、こういう職場だったらいいな、という空気は出せているんじゃないかと思います。ご遺体を解剖して、顕微鏡をのぞき、原因を調べて……という大変なお仕事ですけど、普通にご飯も食べるし、冗談も言うし、泣いたり、笑ったりもする、という“普通”な感じが良いですよね。超人的な人がいるわけでもないしね(笑)。みんな、どこにでもいるような人の集まりだと思います。原作は漫画ですけど、漫画みたいな感じじゃないのが良いと思います(笑)。
それにしても、法医のお仕事は大変だと思わされます。
なかなか難しい仕事やと思います。それに、法医の仕事をここまで表現するというのも大変だと思うんです。脚本家さんも、プロデューサー、ディレクター陣も大変やと思いますよ、伝えるの。内科とか外科のことをお芝居で伝えるのは、作り手側も馴染みのあることですけど、法医はもっと科学的な、込み入った世界ですからね。ドラマとして成立させて視聴者のみなさんに伝えるのは難しいと思うんです。
ドラマの方は後半戦に入りました。この先も、いろいろなことが起きそうですね。
そうですね。まだプロットしか読んでいないですけど、まだまだ山がありそうです。
ドラマの最後にある、朝顔さんのナレーションを聞いていろいろ想像されている方も多いようです。
このドラマは、朝顔という主人公を中心とした家族の話ですからね。凄く幸せになってほしいとか、凄く報われてほしい、というお話でもないじゃないですか。普通に暮らしていけたら良い、ということじゃないですか。僕は、そういう、あまり大きく振れない感じが好きなんですよね。ドラマとしては事件というのが必要かもしれないですけど、例えば、事件がなくても、解剖シーンがなくても、見ていられるような気がするんです。そういう回があっても良いんじゃないかと僕は思うんですけどね(笑)。不思議なドラマですね。
最後に、ドラマを応援してくれている視聴者のみなさんへ、メッセージをお願いします。
味はそんなに濃くないんですけど、この3年くらいの年月で『監察医 朝顔』というドラマを作ったというか、そういう時があったということが、僕らにも、見てくれている人の心も残ってくれると良いと思っていますし、また、そうしなきゃいけないと思っています。最後まで楽しんでもらえたら嬉しいです。

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