
- この作品のオファーを受けて、どういうところに魅力を感じましたか?
- 魂が震えるような感動があったと同時に人として役者として強い使命感が沸き上がってきました。その後、台本を読んでとても感動して、是非出演させていただきたい、と思いました。
- 今回演じる朝顔は、どういう女性だと捉えていますか?
- 時任三郎さん演じるお父さん、石田ひかりさん演じるお母さんのふたりの間で育った朝顔。一つのことに没頭して、しっかりと最後まで仕事と向き合ってっていうところはお父さんに似てるし、ちょっとホワンとしてて明るいところはお母さんに似てるのかなって思っています。ただ、お母さんは東日本大震災に被災して、今も遺体が見つかっていません。どういうふうに亡くなったのか、お母さんの最期がわからず、だからこそ、仕事でご遺体と向き合い、そこに自分の誠意を向けることで、自分自身が救われているのかもしれないです。そして震災で、大切な人を失い生きていく気持ちを、朝顔を通して、たくさんの人に理解してもらったり、考えてもらえるきっかけになればすごくいいなと思っています。決して暗い気持ちになるドラマではなく人を労わり合って生きていく温かさが詰まっています。元号が変わって最初の月9というのもありますし、そんな機会にドラマを作れるっていうのはありがたいことですので、精一杯がんばりたいなと思います。

- そして、朝顔は新米法医学者という役どころですが?
- 以前、『グッド・ドクター』で小児外科医役をやらせていただいたのですが、法医学者は、小児外科医よりも少なくて、解剖室はオペ室とは全然違いますし、向き合うのは生きている患者ではなく、亡くなっているご遺体。法医学者の方が出されている本を読ませていただいても、ご遺体が亡くなった理由が「気持ち的にも環境的にも不自然だよね」というように、死因の究明とともにご遺体の心に耳を傾け、心情や心理も垣間見える特別なお仕事だと気付きました。だからこそ、法医学者というのは、人間的な部分こそ持つように心がけて、演じていかなければいけないな、と思っています。
- 父親の平は刑事として、仕事でも一緒になります。
- 基本的には仲のいいお父さんと娘で、お父さんも刑事として朝顔と近いところで働いているという関係が素敵だと思いました。実際に時任さんと現場にいても和やかで。時任さんがツイッターをフォローしてくれたので私もフォローしました(笑)。全然ドラマに関係ないことをつぶやいても「いいね!」を押してくれるんです(笑)。まるで、プライベートも仕事も共にする平と朝顔みたいで嬉しくなります。『江~姫たちの戦国~』では、時任さんが江の父親である浅井長政を演じていらっしゃったのですが、そのとき江は赤ちゃんで、長政が死んでしまってから私が江を演じたので、実質今回初共演ということになるのですが、それがこの作品で本当に嬉しくよ思います。

- 月9への出演は、『のだめカンタービレ』以来、13年ぶりです。何か特別な思いはありますか?
- 私が芸能界のお仕事のオーディションを初めて受けたのが13歳だったので、それくらいの年月が経ったと思うと、かなり長い旅をして帰ってきたという感じですね。監督は『エンジン』などでお世話になった平野眞さんです。「君は、スタッフだから」って言われて、最初は「え?」って思ったんですよ(笑)。でも、気を遣わないでいてくれるからそういうふうに言ってくださるわけだし、それがすごくうれしくて。「私はスタッフなんだ」と思って(笑)。だからと言って、何ができるわけではないんですけど、でも自分が足手まといにならないで、ちゃんとベストを尽くして、周りの素晴らしいキャストの方々に気持ちよく自分のお芝居を発揮してもらって、みんなで楽しく作品を作れたらいいなって思っています。
- 注目してほしいシーンは?
- お父さんとふたりの食卓のシーンで、台本を読んだ時には、リビングのダイニングテーブルなのかなと思ったんですけど、日本家屋でちゃぶ台なんです。そこにお母さんはいなくて、常にお母さんが生きていたときに座ってた位置を空けているんです。電車に乗ってもお母さんが座る位置が空いている。だから、まだふたりの中でお母さんの存在は全然消えてなくて、そういった細かいところを感じ取ってもらえるような食卓シーンになればいいなって思っています。あと監督の平野さんにも、「監督は、このドラマで何を大事にされたいですか?」と聞いたら、「食べること。とにかく食べてもらうから。全部食べてもらうから」って。食べることは生きること。ご遺体に向き合う日々の中で、だからこそ食べるということを本当に大事にしたいということだったので、お腹空かせて取り組もうと思っています(笑)。
