- 絵美というキャラクターを演じるにあたって特に意識されたことは?
- 最初に台本を読んだとき、割と等身大でやらせて頂けるかも?という印象を持ちました。自分よりは絵美のほうが、ハッキリと潔く、スピード感がある女性ですが、ペースは違えど考え方なんかは似ているように思いました。その後リハーサルがあったんですけど、自然体でそのまま入れた感じがします。
- 法歯学者という職業に関しては、何か事前に調べたりされたんでしょうか?
- 実は、第1話の試写会のときに、司会の佐野瑞樹アナウンサーが「法歯学者は日本に数えるほどしかいない」とおっしゃっていて、「そうなんだ!?」と驚いたくらいなので、特に勉強はしていないのですが、台本の情報から、もっと知りたい事などは調べたりすることはあります。
- この作品は、法医学教室を舞台にした医療ドラマであり、刑事ドラマでもあると同時に、家族のドラマでもあります。台本を読んだとき、どのような印象をお持ちになりましたか?
- オンエアを見ていても思ったんですけど、いろいろな要素が盛り込まれているにも関わらず、バランスがとても良くて、何にも偏っていないドラマなんじゃないかと。脚本作りはもちろんですけど、私たちが出ていないシーンの撮影などもとても大変だと思うんですけど、すべてにちゃんと心を込めて作っている感じが素敵だと思いました。台本を読んだだけで涙が出ちゃうこともよくありますし……。だから、自分が出演していないシーンを見るのも楽しみのひとつなんです。
- 視聴者のみなさんも、細かいところまで楽しんでくれているようです。朝顔(上野樹里)の娘のつぐみ(加藤柚凪)が登場してまた空気感が変わりましたが、テーブルの角に子どもを守るコーナーガードがあることや、玄関に虫よけスプレーが置かれていることなどをSNSに投稿されている方もいらっしゃいましたから。
- ちゃんと見て下さっていて、本当に嬉しいです。美術部さんが作られた万木家の感じとか、素敵ですよね。ああいうお家っていまはもう少なくなってきてしまったのかもしれないですけど、どこか懐かしく家族で暮らしている温かさが宿っていて、「ああ、良い家だなぁ」と思って見ています(笑)。
- この現場で上野樹里さんとお芝居をされてみての印象は?
- 芯が強い方というか、ご自分が納得しないと出来ないんだろうな、と思う素直さを感じました。わからないままやらないし、何となくやらないし……という部分がそのまま朝顔にも繋がっているし、樹里ちゃんにも繋がっているような気がします。ホントにお花のような、自然の中で水を得て、真っ直ぐに育ってきた方だな、という印象があります。今でもお話をさせてもらうときは、ちょっとドキドキします(笑)。
- 法医学教室のメンバーはみなさん魅力的です。普段のみなさんは、どんな感じですか?
- 結構、あのまんまですよ(笑)。現場にいるから誰かが盛り上げ役をする、みたいなこともなく、みなさんマイペースですし。だから、無理してしゃべる必要もないですし、しゃべりたかったら自由にしゃべっていいし……みたいな。だから、法医学教室の撮影との垣根があまりないような気がします。良い意味で緊張していないですけど、良い作品にしたいという共通の思いが見えない糸で繋がっている感じがして心地良いです。私は、現場に行くとき結構気構えしてしまうんですけど、今回はそういうこともないですから。
- そういう空気感は、撮影開始当初からあったものですか?
- 自然と出来てきたような気がします。静かに静かにどんどん落ち着いていって、そういう関係性が深くなっていったような。みんなの居心地の良さとか目指すところが暗黙の了解である感じがして、それが同じだから生まれたんじゃないかと思います。
- お話をうかがっていると、そうした雰囲気はこの作品に合っている感じがします。
- 私もそう思います。みなさん、良い人ですからね。類は友を呼ぶ、じゃないですけど、どういう意図でキャスティングされたのか、プロデューサーさんに是非聞いてみたいです(笑)。ゲストで参加される方も、新しく加わった方も、みなさん空気が柔らかくて……。こういう現場、なかなかないと思います。演者もスタッフさんも優しさを持って取り組んでいるから、悲惨な事件などが描かれても、ちゃんとそれが伝わるのかな、と思いました。
- 夫の藤堂雅史役を演じるのは板尾創路さんですが……。
- とっても嬉しかったです!旦那さんが板尾さんだと聞いたときは「やったー!」って感じでした。私も『ダウンタウンのごっつええ感じ』世代ですから。あの方たちのお笑いは神だ、と思って育ってきたので(笑)。好き過ぎると会うのが嫌なんですけど、でも実際にお会いしたら超自然体の方で、もしかしたら妖精なんじゃないかと思ったくらいで(笑)。NGを出しても、「しゃーない、しゃーない。人間なんやから」みたいな(笑)。その居方に、助けられていますし、肩の力を抜いて本番に臨めています。
- 不思議なお方です。
- 黙っていても気にならないですし、しゃべっていても気にならないですし(笑)。板尾さんご自身がそういう方なので、一緒にいるだけで楽なんだろうなと思いました。
- ドラマの中では、いつの間にか夫婦間格差が広がってしまいましたが……。
- そうなんですよ。だから、ちょっとキツめにセリフを言わなければいけないときは、ちょっと心が痛いです(笑)。まあ、好き同士な上での関係性ですから、穏やかでいられるんですけど。
- それにしても、改めて法医学者というのは大変なお仕事だな、と思いました。
- ほんとに改めて凄いお仕事だと思います。精神的にも体力的にも相当にハードですし、解剖を終えてパクパクご飯を食べる。それは普通のことであり、生きるために、人のために、自分のために必要なこと。このお仕事をすることで、物事の捉え方もきっと変わるんでしょうね。もしかしたら、とてもシンプルなのかもしれないと思いました。
- 平岩さんご自身は、周りの方から、何かドラマに関する評判は聞きましたか?
- 普段、ドラマを見ないような人たちもみんな見てくれているんです。役者関係の方だけじゃなく、一般の方たちからも「良いドラマだね」って言ってもらえるのが嬉しいです。私自身もそう思っているので。
- 最後に、ドラマを応援してくれている視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
- 私も、今後どうなっていくのか知らないで演じてきたので、多分、視聴者のみなさんと同じような気持ちだと思うんですけど、このまま登場人物それぞれを見守ってくれたら嬉しいです。
- 役者さんとしては、最後がわかった上で演じるのと、知らないで演じるのでは違いがありますか?
- 最後の答えがあるから演技が変わる、ということももしかしたらあるのかもしれないですけど、毎週の『少年ジャンプ』のように、台本をいただくのが楽しみですし、その時その時、順を追って丁寧に演じていけばいいんじゃないかと思っています。私は、すごろくのコマのようにそこに乗っかっていけば、脚本家さんやプロデューサーさんが作ってくれた最後にたどり着けるんじゃないかと思っています。