インタビュー

岩田剛典さん 新名誠役

今作のオファーを受けた時の感想は?

「フジテレビ木曜劇場は、僕が出演したドラマ『ディア・シスター』(2014年)以来なんです。久しぶりにこの枠に帰ってくるので、これは僕個人の問題なんですけど、成長した姿を視聴者の皆さん、ファンの皆さんに届けられたら良いのかな?と思いました。今作の内容とは関係ないところなんですけど(笑)。作品は一口にラブストーリーとは言えないかもしれませんが、“大人の”ラブストーリーになります。今までも恋愛をテーマにした作品に参加させていただいたことはあるのですが、今作はより心情描写のさじ加減が繊細な作品だろうなと思ったので、すごくやり甲斐を感じました。エンターテイメントしすぎていない、リアルに寄った作品を表現するのは難しいと思います。テレビドラマとして制作するのはあまり想像つかないと言うか、映画のように届ける場所、届けたい方々が決められている方が表現しやすいテーマではないでしょうか?逆にそういう作品をあえてテレビドラマとして届けようとするチャレンジ精神に惹かれました。また、西谷(弘)監督が撮るということが、僕にとっては大きいです。西谷監督とは映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(2022年)ぶりに声をかけていただいて、バディ物ではない作品でもぜひご一緒したかった監督なので、今回もご教授いただきたいと思って参加させていただきました」

台本を読んでいかがでしたか?

「オファーをいただいてから原作を読みました。楽しく読みましたが、まだ原作は完結してないんですよ。ですから、結末がすごく気になるんですが…。そして、台本は現在(インタビュー時点)3話までしかいただいていないんですが、すでに原作に追いついてしまうんじゃないの?というぐらい話が進んでいるんですよ。ですので、ドラマがどんな展開になっていくのかは原作ファンの方も視聴者の皆さんにも想像を膨らませていただきたいと思いますし、僕自身も“どうなるの?”とワクワクしながら撮影に臨んでいるところです」

演じる新名はどのようなキャラクターですか?

「新名は世間からはいわゆる優等生とか、エリートとしての立ち位置をずっと歩んできたような人間だと把握しています。また、台本の新名は、原作よりも仕事が出来たり、知性などを感じさせるキャラクターになっています。きっと陽一(永山瑛太)との対比をハッキリと描きたいんだな?と理解して読んでいます。若くして大手ゼネコンで出世していて、仕事も順調、綺麗でバリキャリな奥さんもいて…。夫婦で稼ぎも多いと思うので、はたから見たら幸せに見える。そんなステレオタイプ的な役ではあるのですが、やはり幸せの裏に家庭の中にある満たされない思いをずっとひた隠しにしています。そこから、新名の心の溝を埋める出会いがあって、果たしてどうなっていくのか?という感じです」

新名の役作りは?

「特に何かしたということはないですね。監督からは“体は鍛えて欲しい”と言われたんですけど、いつも鍛えていますので(笑)。あっ、ひとつありました。これは僕と言うよりも衣装さんなんですけど、劇中で新名が着ているスーツは全部オーダーメイドで作りました。本当に僕の体にフィットするようにした完璧なサイジングになっています。ベルトレスなので、一切ベルトをしないのも新名の完璧主義っぽいこだわり、キャラクターになるのかなとも思っていて…。西谷監督も、生地選びから、ボタンの種類、裏地に至るまでご一緒してくださいました。ただ、スーツなので劇中ではグレーがチャコールグレーになるぐらいの変化なのでわかりやすい衣装替えではありません(笑)。ここまでオーダーしてこだわった衣装は自分の中でも珍しい役作りに入るのかもしれません」

西谷監督の魅力は?

「作品に関して、全てが僕の想像を超えた考えを持っていらっしゃいます。自分が用意してきたものを遥かに上回る演出をつけてくださいます。それが、演じにくくなるようなことはなく、確かにそうですよね!となって後に繋がっていくので、僕はすごく信頼しています。それは今作でもすでに感じています。今作は繊細なドラマなので、自分は果たして正解を出せているのか?と、毎日自信をなくしながら演じているんですけど(笑)。例えば“大丈夫”と言うセリフひとつでも、実は“大丈夫ではない”という意味だったりするんです。それを表情と音でどう伝えるか?また、喋っていないシーンが重要になってきて、やたら僕が喋っているシーンがあっても映っているのは僕ではなく別の方の表情を追っていたり…セリフ覚えるの大変だったのになぁとか思ったり(笑)。そういう事が多いですね。だから、西谷監督がどのように仕上げるのかが本当に楽しみです」

今作のヒロイン、吉野みちを演じる奈緒さんの印象は?

「奈緒さんはみちっぽいです(笑)。すごく自然体な方ですね。現場にどしっと構えているんだと思います。イメージ的にはどしっと構えている感じはしないじゃないですか?でも、実は静かに現場にいらっしゃる感じが伝わってくるんです。お芝居は僕との掛け合いが多いので、その呼吸の捉え方に助けられています。お芝居をきちんと構築されていらっしゃるので、僕も演じやすくなるんです。ご本人は天真爛漫な感じでもあるのかな?とも思います。まだ、ご一緒して日が浅いんですが、スタッフさんとのコミュニケーションとか、カメラが回っていないところで絵を描いたり、写真を撮られていたり…。多趣味なのかな?現場では楽しそうになさっています」

新名の妻、楓を演じる田中みな実さんは?

「楓役に田中さんはピッタリです。あくまでも田中さんのパブリックイメージ的なものですけど、素晴らしいキャスティングだと思いました。でも、現場では神様のような気遣いをなさる方なんです。本当に“大丈夫ですよ”というぐらい気を遣ってくださるんです。お芝居への取り組み方もすごく真摯な方。また、よく話しかけてくださって話題も尽きないんです。それも、もしかしたら気を遣ってくださってるのかな?とても、ありがたいのですが、あまり気を遣わせないように僕も頑張ります!(笑)」

最後に視聴者の皆さまにメッセージをお願いいたします。

「タイトル『あなたがしてくれなくても』からもわかるように、センセーショナルなドラマです。でも、ちょっと人ごとだから覗いてみようかな?という好奇心をくすぐられるかもしれません。作品のテイストはリアリティに溢れているかもしれませんが、攻めた内容の方がエンターテイメントとしては楽しんでいただけるのではないかと思っています。みちのセリフやモノローグは女性の皆さんはすごく共感出来るのではないでしょうか。男性の方でも“そうなのかぁ”と感じられると思いますので、ぜひご覧ください」

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