インタビュー

奈緒さん 吉野みち役

今作のオファーを受けた時の感想は?

「実は、原作の『あなたがしてくれなくても』を読んでいたんです。すごく面白くて、先の展開がどうなるんだろう?とワクワクしている一読者でしたので、出演のお話を伺って、映像化するんだ!と驚きましたし、絶対に面白い作品になるだろうなとも思いました。みち役をいただけたことは責任重大だと感じながらも、すごく嬉しかったです」

台本を読んでいかがでしたか?

「原作はまだ続いているので、どういう風にドラマの台本に落とし込んでいくのかな?と気になりながら読ませていただきました。ドラマ化するにあたって登場人物の描き方が、コミック原作に忠実に寄せるのか?ドラマとしてのオリジナリティー、エッセンスを加えるのか?作品によって異なってくると思います。今作に関しては、連続ドラマということで、きっと見てくださる皆さん、現在を生きている皆さんがより身近な話のように感じていただける台本になっているなと思いました。原作で大切にされている事は繊細に描きながら、ドラマとして新たに楽しんでいただける内容になっているので、私自身も楽しく読ませていただきました」

みちは“普通の女性”とうかがっていますが、どのように演じようと?

「“普通”を演じるのはすごく難しいと思っています。今は特に、自分の個性を表現しやすい時代になって、“普通”というものも人によって違うと思います。ですが、絶対に人の中には“誰かに愛されたい”という情緒などがあると思います。そういった情緒をみちの中で大切に出来たら、皆さんの中に偏在している“普通”というものに触れることが出来るのではないかと感じています。皆さんが“わかる、わかる”と頷いてくださったり、少し愛おしくなるような主人公だと思いますので、私も台本を読みながらみちの良い面だけではなく、ちょっとずるい瞬間も出てきたり、未熟で感情的になってしまう瞬間などもあるので、そういった部分も愛おしく大切に演じたいと思っています」

演じる上で特に注意したいところは?

「みち自身が悩んでいる場面が台本にも多いので、一緒に悩めたら良いなと感じています。もちろん、悩んだ後もストーリーは続いて行くんですけど、みちが一生懸命に悩んで出した選択だからこそ、間違っていても正しくても皆さんに届くものがあるのではないかと思うので、悩むシーンに慣れてしまうことなく、みちと一緒にもがいていけたら良いなと思います。すごくセンシティブなストーリーになるので、みちの心の矢印が今誰に向かっているのか?とか、さらにその心の奥底にある気持ちはどういうものなのか?ということも大切に汲み取っていきたいです」

みちに共感するところは?

「みちが悲しくなる瞬間にはすごく共感します。今回はそれが“セックスレス”という、言葉としてもパワーがある、皆さんも一瞬ハッ!とするような言葉だと思うんです。もちろん“セックスレスがテーマにはなるんですけど、その裏側にどんな夫婦の悩みがあるのか?幸せな時間はあるのか?ということを丁寧に描いていきます。
みちが陽ちゃん(陽一:永山瑛太)に触れてもらえない、求められないから寂しくなる気持ちは、紐解いていくと彼を愛しているからです。だからこそ、陽ちゃんに打ち明けた時にすごく小さなことのように扱われてしまうと傷ついてしまうんです。自分はこんなに悩んでいるのに、私たちの関係をちゃんと考えてくれていないの?と不安になって心が満たされなくなってしまいます。そういうところは、すごく共感できます。だからこそ、本当に些細なことで、過去に陽ちゃんから優しくされたり、大切にしてもらったことをみちは必死にすくいとろうとするんです。
今を生きることも大切ですが、やっぱりどうしても過去の幸せな瞬間に支えられることは誰にでもあると思いますし、それが人間だとも思います。みちのそういう部分、人間らしさにも共感します」

陽一を演じる永山さんの印象は?

「永山さんとは今回で3回目の共演になります。こんなにしっかりと目を見てお芝居をする時間が長い作品は今回が初めてで、俳優としてすごく尊敬している先輩とご一緒出来るのは嬉しいです。最初は、夫婦として長い時間を共に過ごしている家族の空気感を作ることに、緊張していました。瑛太さんはそんな私の気持ちも汲み取って、収録に入る前に2人でお話しする時間を作ってくださいました。そこでいろいろお話をさせていただいたんですが、本当に心が大きい方なので何でも受け取ってくださいます。
収録の3ヶ月間は心の拠り所と言いますか、わからないことも含めて…私はまだ結婚生活は未知なのですが、瑛太さんは夫婦生活の先輩でもあるので、そういうところは素直にご相談させていただいて、みちと陽一を実在する夫婦のように描けたら良いなと思います」

新名誠役の岩田剛典さんは?

「岩田さんは壁を感じない方です。今回初めてお会いしたんですがお話ししやすくて、優しい空気が岩田さんから放たれているので、それが作品の中で演じられている、会社で人気者の新名さんに通じるものを感じます。これから岩田さんが演じる新名さんの優しい空気感にみちがついつい寄り添いたくなってしまうような、新名さんが寄り添ってくれるような、そんな雰囲気を今から作っていったり、一緒にお芝居をしていくのが楽しみになりました。
そうだ!岩田さんで話しておかなくてはいけないことがありました。初対面の日に、岩田さんが“お誕生日でしたよね?”と私にプレゼントをくださったんです!初対面の日に…ですよ?なんて良い人なんだろう!と、思いました(笑)」

では、新名楓役の田中みな実さんは?

「お会いしての印象と言うよりは、今までご出演されたお芝居やバラエティーなども含めてなんですけど、いろいろなことを突き詰めていらっしゃる格好良い方だと思っています。
今作もポスターから楓さんの印象が伝わってくるような感じがします。まだ、なかなかみちと楓さんがシーンとして一緒になる事がなく、これからの展開次第になってしまうんですけど、ぜひ一緒にお芝居ができたら良いなと思っています。
私は、楓さんというキャラクターが原作を読んでいる時から好きでしたので、田中さんご自身が本当に努力なさっている姿がリンクしている気がします。なので、田中さんが演じる楓さんはイチ視聴者として楽しみにしています」

収録現場の雰囲気はいかがですか?

「今作はスタッフの皆さんが今までご一緒されていた方々で、チームとしての空気感が出来上がっていたので、撮影初日からすごく居心地の良い現場でした。私自身はまだ緊張感があるのですが、これをいち早く解いて皆さんの空気感の中に溶け込んでけたら良いなと思っています。スタッフの皆さんはそれぞれをあだ名で呼び合っているので、私も収録が終わるまでには皆さんをあだ名で呼べるようになりたいです(笑)」

最後に視聴者の皆さまにメッセージをお願いします。

「きっと私たちは人間関係を失ったら生きていくことは出来ないと思います。特に家族は基本的な人間関係で、夫婦として新しい家族を作ったということは、ひとつの新しい挑戦でもあり、新しい幸せを見つけたり、一緒に困難を乗り越えていくことだと思います。今作の登場人物たちが家族という関係の中でもがきながら、立ち向かって乗り越えていく姿は“いつか”の皆さんに繋がることかもしれません。このドラマがもちろん、今大切な人と向き合うきっかけ、自分自身と向き合うきっかけになってくれたら嬉しいです」

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