アナマガ
どちらかというと シッカリ書きたい人のためのコーナー 10年以上の渡り、続いてきたアナルームニュースの中で 好例の連載企画を「コラム」という形で集めました。 個性あふれるラインアップ!ブログとはひと味違う魅力をお楽しみください!
アナルームニュース 2007年02月20日号


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さあ、例年2月の声を聞くと、編集作業が始まる「てんこてん・観劇日記」。ただ、2006年は観劇数は激減しております。父がね、年明けから何度も危篤状態をくりかえしまして、7月にね、亡くなっちゃったんですよ。ああ、しんど。優しい父でした。あたし、はっきり言って溺愛されてましたから、そりゃあ悲しかったですよ。しばらくは、喪失感に打ちのめされておりました。でも、くよくよしても始まらないし、父もそんなあたしの姿は、別に見たくも無いだろう・・・・・というわけで、徐々に復活しつつあります。そういえば、新宿紀伊国屋ホールで、父の海軍兵学校時代の同期生である名優・小沢昭一さんの舞台を父と観に行ったこともあったなあ。ああ、思い出は尽きません・・・・・。今回は書ける範囲で書いてみました、お許しを。 |
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第10位 | 「アジアの女」
10月3日(火)19:00~21:00 新国立劇場
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作・演出の長塚圭史は、笹塚の新国立劇場・初登場。長塚自ら「最小限の台詞と最小限の出来事」と語る作品。震災後の都市という設定で、豊かなものを失った人々は最後に何を求めるのか、を問う意欲作。静かな作品という印象の中、時折見せる狂気が不気味。近藤芳生、富田靖子、岩松了ら芸達者が笑いを誘いながら、舞台を不気味にシリアスに深めていく。ラストに芽吹くグリーンが生命の強さ、豊かさを感じさせ印象深い。 |
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第9位 | 「オレステス」
9月13日(水)19:00~ 渋谷・シアターコクーン
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何と!最前列の席で度肝を抜かれました。これも、藤原竜也ファンクラブ会員のご利益か?!席に着くと、座席にビニールシートとご丁寧にタオルが!これは、びしょぬれコースだと腹をくくりましたが、案の定凄かった・・・。のっけから舞台の前面の三分の一にスコールのような激しい雨が降り、まず中嶋朋子がぐしょぬれ。コロスの女性たちの持つ傘にはねてくる水しぶきを、最前列の私たちが、しっかと受け止めました。その雨の中から何と!テント地にくるまった竜也クンが登場。結局彼が登場してからラストまで、一貫して、濡れていない時は無く、髪が整うことも無かったという珍しい舞台。まあ、私の目には、竜也クンが全力で傷だらけになりながら芝居に取り組んでいる姿が神々しく映るわけだが。 シェークスピアとギリシャ悲劇をよく日本人は一緒くたにしがちですが、この舞台も途中まではシェークスピア俳優の吉田鋼太郎が出ていたりするので混同しそうになりました。しかし、シェークスピアのような言葉遊びがあるわけではありません。母による父親殺しを許せなかった姉弟が、今度は母を殺してしまい、その罪を問われて姉弟が死刑になりそうになるが、北村有起哉演じる幼馴染が立ち上がり、力を貸すという話。ラストシーンがあまりにあっけない。アポロン神のご託宣があり、一気に解決してしまうが、だったら最初から手を貸さんかい!と、ツッコミたくもなる。まあ、今回の舞台はとにかく体中赤・青・黄色のアザだらけになりながら、竜也クンが模索していた作品。それにしてもこの演出、竜也クンに頼りすぎの感あり。 |
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第8位 | 神田紫 独演会「血文字お定 ~阿部定事件より~」
11月2日(木)19:00~20:50 築地本願寺ブディストホール
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講談を初めて聞いた。思ったよりもエキセントリックではなく、ソフトな感じ。驚いたのは、講談という範囲でこんなにいろいろな表現ができてしまうこと。紫さん自身が、華奢な体躯を生かして、男も女も自在に演じている。嫌味の無い、紫さんのあのキャラクターで「阿部定」をやるとすごく私の中に入ってくる。ストンと落ちる。阿部定の相手の吉蔵が、愛欲が過ぎて精根尽き果てる表現が一番面白かった。器用な人だ。もう一席「赤穂義士伝より・南部坂雪の別れ」は本格的な講談で、小気味がいい。赤穂浪士四十七人の名前を全員唱えられるのはすごい!いいところに目をつけましたね。このネタは毎年できますね。講談に興味津々! |
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第7位 | 「桜飛沫(さくらしぶき)」阿佐ヶ谷スパイダース
2月10日(金) 世田谷パブリックシアター
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水野美紀は、清楚で天然で一途で、魅力的な「舞台女優」である。三人目を産んだら間引かなければならないという厳しい掟の寒村。しかし、そこに住む男たちは蛇を食する習慣のため、精力絶倫・・・。産児制限を説く医者(橋本じゅん)のけなげさがおかなしい。 (可笑しくて悲しい、の意。うわっ、造語してしまった・・・。)二部構成であり、男優二人(山本亨・橋本じゅん)をそれぞれに立たせようとしたあまり、やや冗長になったきらいあり。一部のたくみな作りには、舌を巻いた。二部の装置の、「桜吹雪」がものすごく綺麗だった。 |
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第6位 | 「夫婦レコード」
9月15日(金)19:00~ 六本木・俳優座劇場
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再演。母の急死に驚く父と、その五人姉妹が織り成す人情芝居。津嘉山正種の存在感が大きい。初演は湯浅実が演じ、風采の上がらない父を好演したらしい。泊まる用意をしてこなかったために通夜の晩に真っ赤な水玉模様のパジャマを着せられるお婿さんや、葬式の中で起こる笑えるエピソードがてんこ盛り。私の場合、父が7月に亡くなったばかりだったので、すごくリアルで涙が出た。一番思うのは「ああもしてやれた、こうもしてやれた・・・」と、いろいろ後悔してしまうことですね。母の違った一面というものは、同じ性である「娘」がよーく見ていたりするのですよね。仲が良くても意外と互いを知らないのは夫婦ばかりなのかも??一間(ひとま)だけの舞台装置なのに、奥行きのある空間を生み出し、1977年頃の時代設定を鮮やかに浮かび上がらせた。中島淳彦の脚本は深みのある人物描写で秀逸だ。長女を演じた女優・那須佐代子さんは笠井アナの早稲田大学・放送研究会の後輩。青年座の層の厚さと、地味ながらも質の高さを感じさせる俳優陣が、品格があって素晴らしい。 |
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第5位 | 「決闘!高田馬場」
3月6日(月) PARCO劇場
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三谷幸喜+市川染五郎の、念願の舞台。とにかく染五郎が走る走る走る走る~!!これだけのエネルギーを注ぐうえに、昼夜二公演はほんと!ごくろうさま。市川亀治郎のコミカルな演技がひときわ光っていた。儲け役でしたね、あれは。中村勘太郎は、汗と涙とヨダレでもう大変!三谷さんは「PARCO歌舞伎~」とお囃子連中に連呼させていましたが、これは早くも「シリーズ化」を狙った実力行使か?!と意味深な演出も。三谷さんお得意の、シチュエーション・コメディならではの、「ためてためてためてためて・・・」の笑い爆発が大・・・ではなく「中」爆発か?やや歌舞伎の様式に、三谷さんがからめとられた感がある。 |
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第4位 | 「獏のゆりかご」
9月16日(土)19:00~ 新宿・紀ノ国屋ホール
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動物たちの老齢化と入園者減により閉園が噂される動物園で繰り広げられる人間模様。11歳の男児を持つシングルマザーの飼育員の女性が、弱気になったり傷つきながらも、雄々しく生き抜いていく姿を描く。女性の気持ちが分からない身勝手で幼児的な男たち、心を病む主婦、動物を殺す子供のエピソードなど、何がおきるわけでもない日常生活をリアルに生き生きと青木豪が描く。高橋克実・杉田かおる・段田正則・マギー・池内のぶえ・・・芸達者が揃い踏みして、「あるある!こんな話。いるいる!こんな人。」と思わせる。あて書きをしているのでは?と感じるほど役がぴったりはまっている。アドリブはまったくといって良い程なく、台詞の「っていうか」とか、「ええと」とかすべて台本にあるそうです。幕があいても台詞がカットされたり、いろいろ役者を緊張感に包む演出家らしいです。この芝居のために何度もテレビ出演して宣伝した中で、フジテレビのクイズ番組「ネプリーグ」後が一番チケットが売れたというエピソードがあるそうです。役者の皆さん、ご苦労様でした。 |
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第3位 | 「プライベート・ライブズ」
9月17日(日)14:00~ 青山円形劇場
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久世星佳と葛山信吾、キャラメルボックスの西川浩幸、ともさと衣という四人芝居。(あ、その他に、超おデブのメイド役の女優さんもいた!)元夫婦のアマンダとエリオットが偶然フランスのホテルで出会って始まる、大人のスパイスが効いた恋愛喜劇。別れても断ち切ることができない腐れ縁というのがあるのが男女の仲。 久世・西川が芸達者で、場内は笑いの渦。笑いは「間」なんだということが、この二人の演技を見ているとよく分かる。私、根本的にウエルメイドな喜劇、それも翻訳ものが相当好きなのだとあらためて自覚しました。 |
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第2位 | 「イヌの日」阿佐ヶ谷スパイダース
11月21日(火)19:00‐21:40 本多劇場
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何で「イヌの日」なのか?タイトル「イヌの日」は「DOG DAYS」・・・・英語で、7月から8月にかけての盛夏の頃をいう。明るいシリウス=DOG STARが見えることから来ているらしい。子供の頃に監禁したらいつの間にか14年もたっていて・・という設定は、新潟で同様の事件で実在した。この頃から、事実は小説よりも奇なり・・・な時代になってきた感がある。今回は再演で、初演にはなかった監禁犯の母親役が加えられ、その役の美保純さんもドロドロに女を感じさせ、よかった。軽快なキャラの中に狂気を感じさせる八島智人・中山祐一朗が存在感大。剣持たまきを見て思い出しました。この女優さん、「ナイン」というミュージカルでゴールドの女神みたいな衣裳で人間離れした存在だった。無邪気な中に悪意が潜む、という今回の役はぴったり。 帰りがけに観劇していた「吉田鋼太郎」さんを見かけましたが、すっごーいカッコよかった!!長髪・革ジャン姿の吉田さん、古典でも現代劇でも本当に存在感が大きいのですが、ふだんもものすごく目だってカッコいいことがわかり、感激しました。 それにしても、2006年は、長塚圭史を良く見てるな~。これで3本目だもの、トップ10入りは。 |
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第1位 | 「海猫街―ソコハ、海賊ノ末裔ノ地」劇団桟敷童子
10月10日(金)19:30‐21:45 ベニサンピット
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久しぶりの桟敷童子。今回、特にベニサンピットという小屋と、この劇団の持ち味が良くマッチしていた。相変わらず「虐げられたものたち」を描かせたらピカ一!!こんなにもエネルギッシュに描かれた海賊の末裔たち、そのなかでもさらに「海女」を生業とする一段低い扱われ方をする「上海女」に板垣桃子。色素欠乏症のイサナ役は、あくまでも神聖なる存在感。色白で、その透明感がたまらない。わが後輩・鈴木めぐみ(東京学芸大学・劇団漠OGなの、私たち)の婆役は今回も健在。わたし、婆が最後の力をふりしぼって海に潜るシーンは号泣したね。装置も素晴らしかった。いままでの小屋と違い、たっぱ(高さ)があるため、水上に浮かぶ集落と、海の深さ・青さをとてもリアルに感じた。集落が最後にうなりをあげてきしみ、これでは崩壊してしまうのではないかと思うほど、ダイナミックな装置だった。300本の木材を使って劇団員が総出で作ったそうですが、斬新でした。これで、¥2,800は超お得ですがな。 昨今、総じてチケット代高すぎ!の感あり、ですもの。 |
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