アナマガ

どちらかというと シッカリ書きたい人のためのコーナー 10年以上の渡り、続いてきたアナルームニュースの中で 好例の連載企画を「コラム」という形で集めました。 個性あふれるラインアップ!ブログとはひと味違う魅力をお楽しみください!

アナルームニュース 2004年02月03日号

吉崎アナの「2008年・演劇てんこてん」

学芸員【学芸員】
お待たせしました!
塩原アナウンサーの年間映画ベストテンと並んで、アナマガの恒例企画・吉崎アナウンサーの年間演劇ベストテン略して「てんこてん!」が今年も登場です。
今回は再演新作それぞれのベスト5を合わせてのベスト10。
果たして、みなさんが観た舞台は、出てくるでしょうか・・・!


皆様こんにちは。今年も書かせてもらいますよ。2003年は、担当番組「スーパーニュース・文化芸能部」の取材でさまざまな稽古場を訪ねる機会を得て、私にとってさらに舞台の魅力を深く感じる年でもありました。いままで、何回か書いてきたベスト10は原則として「新作」が対象でしたが、2003年はあまりにも再演が数多く、かつ質の高い舞台が多く悩みました。結論と致しまして、「新作・ベスト5」と「再演・ベスト5」というカテゴリーを勝手に設けまして、合わせて「ベスト10」ということで参ります。よろしく!!
まずは、「再演・ベスト5」から。
第5位 「越路吹雪物語」 (日生劇場 10・18)
 初演が2月。これを見逃したことを残念に思っておりましたが、あまりに早い再演に驚きました。好評につき・・・・ということだそうですが、それも納得!のそっくりぶりです。「コーちゃんが自分の中に入ってきている気がする」と語っていた池畑慎之介さん。観客席は、どよめいておりましたよ・・・・。それから、もうひとつ。岩谷時子役の高畑淳子さんもあまりに似ていてスゴイ!の声しきりでした。高畑さんが、「白い巨塔」の撮影で先日フジテレビのメイク室にいらしたとき、ついお声をかけてしまいました。「のりうつっていたようでホント!感激でした・・・」と。すみません・・・ミーハーで。
第4位 「飛龍伝」 (青山劇場 12・4)
 つかこうへいダブルスと銘打って人気2作品を同じ俳優で連続上演したこともさることながら、主演の広末涼子妊娠・結婚という話題で一躍有名になった舞台。舞台初日直前に稽古場を訪ね、広末・筧の2ショット取材をさせていただきました。彼女の「最近実によく眠るんですよねえ・・・・平均8時間かなあ。」の一言が妊娠を予感させたといえばそう言えなくもないのですが、私はまったく気づきませんでした。さて舞台の感想。広末涼子さんの可憐なフワフワ感と、果敢な初挑戦づくし(殺陣・ダンス・男言葉)にエール!つかさんといえば、口立てでどんどん台詞が変わることでも有名。女優がもっとも輝くように、その場で台詞を変化させていく演出方法はさすがです。過去、この舞台は内田有紀さんでも見ていますが、かっこよかったもんね。いずれにしても、共演の筧利夫さんの存在感の大きさに脱帽です。いつも女優が光るのは、この方の、ハイテンション&ハイレベルな俳優としての才能があったればこそなのです・・・・。
第3位 「オケピ!」 (青山劇場 3・30)
 主演・コンダクター役の真田広之さんが再演に登場できず、作・演出の三谷幸喜さんが白井晃さんに泣きついたという話は上演前に語り草にもなりました。結論から言いますと、再演で面白みは増して、明快さもプラスされました。ヒロインの松たか子さんが、天海祐希さんへと変わり男っぽさも加わり、整理された感じです。布施明さんが、別れた娘と喫茶店で再会するナンバーは、泣けました。ミュージカルなんだわ、と再認識する場面です。
第2位 「欲望という名の電車」 (青山円形劇場 11・9)
 なにしろ不朽の名作です。過去さまざまなブランチがいましたよね。その中でも、男性が演じるブランチなんて・・・・と違和感を感じるあなた。見てびっくり。篠井英介ブランチは時に本物の色香を漂わせておりました。女形俳優の面目躍如ですね。初演より8キロだか減量したそうで、さらに美しくなりました。スタンリー役が今回は古田新太さんで、野卑でナチュラルな粗暴さがあってイイ。篠井、古田を支える久世星佳さんがかわいくて、賢くて透明感があって存在感が大。
第1位 「夏祭浪花鑑」 (シアターコクーン 6・8)
 去年の一位に選んだ作品。またか、と思わないでくださいよ。平成8年のシアターコクーン、14年の平成中村座、そして今回。何しろ、見るたび完成度は増すし、芸術性も高くなって評価は高まるばかり・・・・。好きだなあ、何度見ても。今までにない演出(串田和美)といえば、ラストシーンに度肝を抜かれました。舞台が外に開き、中村勘九郎丈が外に向かって走る趣向は同じなのですが、何と!パトカーが登場!これは一体!と思わせる演出は斬新。舞台が外に開く時間になると、コクーン周辺に出待ちが集まったという逸話が。私、今回、泥まみれの義平次役の笹野高史さんに、つい「淡路屋!」と掛け声をかけてしまいました。(笹野さんは、淡路島出身。)歌舞伎界出身でないにも関わらず、これだけ印象的な演技を見せてくれた笹野さんの存在はすごい!のひとことです。歌舞伎役者さんには、一度も声をかけたことはありませんが、「民間出身(本人談)」の笹野さんには親近感も湧いたのでしょうね?
さあ、ここからは新作。
第5位 「第98独立普通科連隊」 劇団S.W.A.T! (新国立劇場 12・11)
 イラクへ自衛隊派遣か、というニュースが大きく取り上げられていたこの時期に、あまりにタイムリーで怖いくらいの作品。作・演出の四大海さんの先見の明ありあり。途中で出てくる「北の兵士」が追い詰められて毒をあおるシーンで私は思い出してしまった。「船の科学館」で展示されていた不審船を見学しに行ったときに見た、船室に開いた穴に衣類を詰めて沈没を防ごうとした跡。実に生々しかった。この舞台を見て、自衛隊員のことがもっと知りたくなった。
第4位 「ブラスト!」 (オーチャードホール 8・1)
 すばらしいエンターテインメント。ブラスバンド部のお嬢さんを持つ友人にチケットを頼まれたものの、完売でした・・・。楽器の演奏ができ、ダンスが踊れ、そしてみめうるわしい。こんな3拍子そろったスターがアメリカにはいっぱいいるのですねえ・・・。メンバーで唯一の日本男子・石川直(28)さんが張り切っていた。休憩時間に、ロビー脇でドラムの演奏をするサービスぶりでした。それにしても、トイレに向かって走っていくのかと思いきや、ロビー目指して一直線とは、ファンの義理堅さよ。
第3位 「ハルディン・ホテル」 (本多劇場 11・11)
 劇団ナイロン100℃の10周年記念作品。人気者の団員が多く、一堂に会したのは久しぶりで嬉しくなる。ひとつのホテルでおきる様々なエピソードと、それぞれの10年後という設定。メルヘンチックで、恐怖一歩手前の品の良さで、面々が大活躍。大好きな大倉孝二も健在。「DON'T TRUST OVER 30」(ユースケ・サンタマリア 奥菜恵主演)や、「OVER SEAS」(藤原紀香主演)でも光っていた村岡希美が低いトーンのいい声で存在感を示し、新谷真弓が突き抜けたアニメ声で笑える。
第2位 「維新派 ノクターン ―月下の歩行者―」 (新国立劇場 9・16)
 白塗りの役者がわらわら出てきて、こりゃ関西の山海塾かと思った。最初は理解不能の発語(ヂャンヂャンオペラというらしい)が、慣れるにつれノスタルジックな懐かしさとリズムで心地好くなっていく。たとえばこんな風だ。ぽっちゃん、とっぽん(水の音)、須田、岡田、ますだ、戸田、井田、福井、松井、吉井、・・・なんて韻を踏むように発語していく。うーーん、うまく伝えられないけど、面白いのですよ!!もったいないと思ったのは、座席が結構すいていたこと。¥4.200で、あんなに迫力ある斬新な装置が見られるし、発見だらけの舞台で、コストパフォーマンス相当いいぞ!・・・・・。もともと野外ばかりの劇団であり、このように劇場で上演されるのは珍しいらしいです。CX事業部の聖子チャンに報告したら「あたし、維新派のおっかけなんですよ。関西まで行って見たけど、やっぱり屋外がサイコー!」だって。上には上がいる!
第1位 「ハムレット ―HAMLET―」 (シアターコクーン 11・26)
 これまでの、「悩める虚弱青年・ハムレット」のイメージを一新させる作品。体の芯からこみあげる爆発的な怒りに突き動かされるも、敢えて抑制するという新しいハムレット像を21歳の藤原竜也が作り上げた。膨大なシェークスピアの台詞を実によく理解・解釈し、起伏に富んだ言い回しを工夫し、かつ集中力もすごい。午後7時の開演から10時半までの長丁場を、観客を飽きさせず、ぐいぐい引き込む力はお見事!のひとこと。胸がきゅんとしたエピソードをひとつ。黒マントの衣裳の肩にロングヘアーがかかっていたのですが、熱演による汗がマントにかかり、細かいしぶきが玉となってころがり、コロコロコロコロ・・・と裾へ丸まっていくさま。ああ、マントになりたい・・・・。(ばーかっ!って誰か言いました?)このところ、「エレファントマン」や「オイル」などの話題作にも出ていましたが、この作品は「身毒丸」に次ぐ代表作になると思います!
学芸員【学芸員のひとりごと】
去年も観まくったみたいですねぇ・・・てんこさん。おそるべし!!
このうちのいくつかは学芸員もご一緒したのですが、終演後の食事とお酒の席(これが楽しい!)のてんこさん最高です。
正直に、でも熱く、今見た舞台について語る姿はとっても可愛くて、「ああ、本当に演劇を愛していらっしゃるのだなあ」と、しみじみ思わされるのでした。

こんなに舞台好きなてんこさんが自ら舞台に上がる「ラヴシーン8」はもちろん必見!お楽しみに♪