アナマガ

どちらかというと シッカリ書きたい人のためのコーナー 10年以上の渡り、続いてきたアナルームニュースの中で 好例の連載企画を「コラム」という形で集めました。 個性あふれるラインアップ!ブログとはひと味違う魅力をお楽しみください!

アナルームニュース 2003年03月04日号

吉崎アナの「2008年・演劇てんこてん」

学芸員【学芸員】
お待たせしました!
塩原アナウンサーの映画編と並んでアナルームニュースの恒例企画である吉崎典子アナウンサーの「演劇編年間ベストテン」原稿が入荷しました。
学生時代は劇場の照明スタッフのアルバイトをし、アナウンサーになっていなければきっとお芝居のお仕事していたに違いないてんこさん
年間100本を越える「観劇と感激」のなかから選ばれた、2002年のベストテンとは!


今年も書かせていただきます! 2002年末に「ぴあ」から「年間演劇ベスト5」を依頼されました。初めての体験で楽しかったですよ。ということで、ベスト5までは決まっていますが、その後がなかなか決まらず悩みました。まずは…
10位 DOWN TOWN FOLLIES (5.9 青山円形劇場)

掘り出し物! 高平哲郎の当て書きの勝利。歌い・踊る舞台人にとって、必要な要素はたくさんある。タップ、日舞に歌唱力。島田歌穂・玉野和紀・吉野圭吾・北村岳子の4人のプロ集団は、40数曲を歌いまくる・踊りまくる!これは見事。特に、脚線美・北村岳子のどこか抜けていて、愛敬のある表情が好き。

 9位 東京のSF (12.14 シアターアプル)

赤穂浪士・討ち入りの日、新宿にて。演劇シーンのリーダーであるケラリーノ・サンドロヴィッチ率いる「ナイロン100℃」の新作という話題性と、所属劇団員たちの自信と、観客の余裕が良い相乗効果を生んでいた。作者のケラ氏が生れた1963年の東京が舞台となったノスタルジー漂うSF喜劇。客演の渡辺えり子を始め、犬山犬子、峯村リエ、松永玲子、少年役の新谷真弓ら女優陣が魅力的だった。

 8位 アテルイ (8・11 新橋演舞場)

新橋演舞場でこんなに若い観客層が集結するのも、堤真一&市川染五郎人気ならでは。アンコールでいきなり総立ちになってびっくりしましたが、ロックのコンサートのノリなのでしょうねえ。しかしこの若者達は休憩時間にけっしてお弁当を食べない。客席で持ち込みの菓子パンをかじっている。演舞場にとっては、お金を落とさない客層ですね。
アンコールの際に、とちった役者が罰ゲームをする決まりがあるらしく、この日、堤真一がアテルイ役の染五郎に刀を渡し忘れるという、とんでもないとちりがあったということで、北島三郎の「祭り」を歌った。上手い!面白い!ラッキー!役者全員がスニーカー着用なのは、さすがアクション歌舞伎。水野美紀は、昔アクション女優だったらしく(知らなんだ)立ち姿も、主役2人同様に美しい。いのうえ歌舞伎おなじみ・人物登場のSEのくどさもやみつき。 陽気なヒーロー2人にもう釘付けさ!

 7位 業音(ごうおん) (10・11 草月ホール)

人気の松尾スズキ率いる「大人計画」。 怖いものなし女優・荻野目慶子の捨て身の全裸に脱帽。人間、怖いものが無くなると凄いですね、つんのめり方が。相変わらず、きれいだったなあ、おぎのめちゃんのオッパイ。その昔出版された「ヌード写真集」を思い出します。チュチュをまとってトップレス姿が良かったですよねー。劇中の役名が「荻野目慶子」ですよ、あなた。自分を演じる気持ちってどんなでしょう?
(追伸)片桐はいりは、怪女優だ。頭の大きさ(というより、えらの張り具合)と背の高さと声の高さが、今まで見たこともないようなバランスで、これはこれで凄い。

 6位 エレファントマン (10・23 赤坂ACTシアター)

全裸女優NO.1が荻野目ちゃんなら、全裸男優NO・1は何といっても、藤原竜也できまり!自分が藤原竜也ファンクラブ会員だから(ホントです。ははは)言うわけじゃあないけど、弱冠20歳でこの難役に挑戦はエライ!よく頑張った!!裸も美しかった!!!全裸つながりでいうと、「身毒丸」再演(3.20 シアターコクーン)も良かった!これで見納めですって。くすん…涙…。劇中、たらいで全裸の藤原竜也が水浴びするのですが、以前よりさらにたくましくなった背中の筋肉がキレイ。見とれます…!今までは抱きしめてあげたい線の細さでしたが、こうなると抱きしめて欲しい男らしさを感じるの。

 5位 空飛ぶ雲の上の団五郎一座・アチャラカ再誕生 (8・26 ラフォーレミュージアム原宿)

3日間公演で、この日千秋楽。アチャラカをよく知らなかった私は、三谷幸喜のアドリブに笑い転げ、久し振りの俳優姿に何かこう、懐かしいものを感じた。その昔「東京サンシャインボーイズ」の公演では、ひときわ目立つ「くどい」メークで笑いをとっていた三谷さん。久し振りの出演に、きっとご本人も御満悦だったことでしょう。現に、朝日新聞「三谷幸喜のありふれた生活 123」でこう書いている。
……千秋楽の「キュリー夫人」ではYOUさんと僕とで、アドリブで夫婦喧嘩のシーンを演じることに。(中略)十分の上演時間は大幅に延長されたけど、お客さんは大喜び。客席で観ていた阿川佐和子さんは終演後、「本当に喧嘩しているみたいだった」とおっしゃっていた。出番を終えて楽屋に戻るとYOUさんは言った。「楽しかったね」こうして僕の舞台俳優としての暑い夏は終わった。……(朝日新聞2002年9月11日付)

 4位 モーツアルト (10・5 日生劇場)

良質のミュージカルを見た!という感じ。主役のモーツアルトはWキャストで、この日は芸大4年在学中の若きスター・井上芳雄クン。(ちなみに、もう一人の中川晃教クンは、この作品で平成14年度 文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞 および 第10回 読売演劇大賞 杉村春子賞 を獲得。)ミュージカルは、歌の上手さが基本中の基本ですが、日本でもようやくレベルの高い舞台が登場。市村正親・松たか子・山口祐一郎の上手さもさることながら、久世星佳の貫禄そして存在感の大きさにびっくり!さすが、ロンドンに歌のレッスンに行っていただけのことはありますねえ。久世さんの歌うこの舞台のテーマ曲が、いまだに頭の中をぐるぐる回っています。

 3位 おかしな2人・女編 (9・11 パルコ劇場)

ニール・サイモンの傑作喜劇。映画でおなじみのこの作品を「女編」と「男編」で演じ分けるという話題作。両方見ましたが、私は「女編」が好き。「がさつな女」役の小林聡美がナチュラルスタイルの笑いを余裕でかましてくれるかと思えば、「異常なほどのきちょうめんな女」役の小泉今日子が興奮のあまり、笑っちゃったり素人っぽくて、可愛かった。登場しただけで場内を大爆笑させるスペイン人兄弟役の高橋克実・八嶋智人の実力はすさまじく、本当に面白かった。(余談ですが、「トリビアの泉」のプロデューサーがこの舞台を見て、二人の司会を決めたという逸話も残っています)

 2位 平成中村座大阪公演・夏祭浪花鑑 (11・17 平成中村座)

筋肉質の白い尻に食い込む真っ赤な下帯と刺青が闇に浮かぶ。実に鮮やかな色彩のコントラストだ。中村勘九郎の「男の色気」が匂い立つ。東京・浅草から、今年は大阪・扇町公園内にテントを移設。秋風は立つとも、舞台と客席は熱く一体化し、串田和美の新演出は(大枚はたいても)観る価値があったのだった。

 1位 ダブリンの鐘つきカビ人間 (6・1 パルコ劇場)

見た時点で、「あ、上半期ベストワンだ」と思った。結局ナンバーワンになったけど。後藤ひろひとの脚本&G2演出コンビが、メルヘンで泣けていい。思ったことと逆のことを言ってしまう女の子役の水野真紀は舞台初挑戦。タイトルの「鐘をつく悲しいカビ人間」の大倉孝二が、テンション高くて背も高くて可愛くて好き。「阿佐ヶ谷スパイダース」主宰の才人・長塚圭史は、俳優長塚京三の息子で自然な演技と間の良さが特徴。遠藤久美子も舞台初挑戦ながら、思い切りの良いのびのびとした演技で魅せてくれる。後藤ひろひとの王様役は他の追随を許さない当たり役。こんなに、役者陣のことをこまごま思い出させてくれるのは、当て書きがぴったりはまった時の脚本の醍醐味か。2003年も後藤&G2コンビに期待!

学芸員【学芸員のひとりごと】
うーん、さすがですねー!
小さい劇場から大きな劇場、そして地方都市にまで精力的に足を運んで大好きなお芝居を観るその目は、演劇少女そのままにきらきらと楽しそうで、しかも暖かです。
しかし考えてみればウィークデイは夕方の「スーパーニュース」担当のため、観劇のときはオンエア終わりでダッシュ!
お休みの週末ももちろん劇場通い。
さらに、公開前に何度も試写会が行われ、公開後も複数の映画館で1日複数回上映される映画と違い、お芝居を見ることが出来るのは、基本的に上演期間中の本番だけ。しかも多くて1日2公演。
てんこさん、すごい! あらためて尊敬しちゃいまーす。