アナマガ

どちらかというと シッカリ書きたい人のためのコーナー 10年以上の渡り、続いてきたアナルームニュースの中で 好例の連載企画を「コラム」という形で集めました。 個性あふれるラインアップ!ブログとはひと味違う魅力をお楽しみください!

2011年1月14日号

中村アナの旅の恥はかきすて日記~ミラクルジャーニー

去年4月、1人の同期がフジテレビを退社しました。
島根の家業を継ぐためだ、と、彼は言う。
遊びに来いよ!出雲大社も一般の人が入れないところを案内してやるよ、とも・・・。

むむむ。お主、ナニヤツ?
と、思うことなかれ。
彼の名は、知る人ぞ知る
『 第二十五代 田部 長右衛門(だいにじゅうごだい たなべ ちょうえもん) 』
でありまする~~~。


いや~すごい人が同期にいたもんだ。
内定時代から遊んでいるけど、そんなに凄いとは。
でも、行ってびっくり!
彼は私の想像以上に凄い人だった!!
そして神の国・島根で私の第六感が冴え渡る!?


☆1日目☆

中村仁美アナ

10月、神無月の頃。
島根では“神有月”とよばれる、とある日、30歳をすぎてからやっと自分が捻くれている事に気がついた女子2人(私と島田彩夏アナ)が、出雲空港に降り立ちました。

島田彩夏アナ

「私、気づいちゃったんです。」と、ある日唐突に言い出したナカムラ。
女30、色々あるよねえ。

中村仁美アナ

図らずも、前日から“出雲縁結び空港”と愛称を変えたらしいこの空港。
なんだか少しむずがゆい。
だって“あわよくば”という下世話な気持ちがなかったと言ったら嘘になりますが、 ガッつりそれ目当てだと思われるのも・・・
やっぱり少し恥ずかしい(汗)。

ただ気合が入っていたのも確かです。
前日夜遅くまで生放送に対応していた彩夏さんは、羽田空港近くに宿をとり、
私は機内寝ずに彩夏さんに借りた神話の本を読みふける。前日深夜まで飲んでいたにも関わらず・・・。

島田彩夏アナ

そう、昨夜の睡眠時間はお互い3時間ほどでした。
でも、はしゃいで機内で眠れない自分たちってちょっとカワイイと思う!

中村仁美アナ

そんなカワイイ私達を縁結び空港まで迎えに来てくれたのは、かの長右衛門こと“タベ”君(同期はみんなこう呼びます)。
ちょっと見ない間に、貫禄がでましたな~。

島田彩夏アナ

貫禄、っていい表現です。まるめて表現することを覚えた私たちもオトナになりましたねえ、ナカムラさん。

中村仁美アナ

大人です。
だって同期のタベ君はすでにパパになり、5つの会社の社長をしています。そんなお年頃です。
なんだか仰々しい肩書きをもっている彼ですが、とにもかくにも2日間、このタベ君にお世話になります!

島田彩夏アナ

このウキウキに「年甲斐」なんて関係ないっよっ、とはしゃぐ我々を不安げにちら見するタベ君の運転でレッツゴー♪ わお~緑深くてきもちイイッ。

中村仁美アナ

まずは、田部家繁栄のきっかけとなった、“たたら”のある雲南市吉田町に向かいます。
“たたら”と聞いてピンと来る方もいらっしゃると思いますが、じつはここ『もののけ姫』にでてくる“たたら場”のモデルになった場所なんだそうです!!
車中、田部家の歴史や島根の神話を饒舌に説明するタベ。
そんなタベをちょっぴり頼もしく思いながらも・・・
“もののけ好き”の私にとって、タベとの会話に“たたら”という言葉でるたびに大興奮!
話し半分、頭の中では田中裕子さんの声が響きます。

島田彩夏アナ

だからナカムラ急にひとりで歌い出したのね・・・。
もうNOBODY CAN’T STOP!イエイ!!  三十路だから・・・。

中村仁美アナ

到着したのは・・・“たたら”ではなく、その近くにある雲南市吉田町にある“タベ”の実家。しだれ桜が印象的な、こんな私でも長い歴史をひしひし感じことのできる日本家屋です。
一般公開はしていませんが、この辺りの観光スポットの1つになっているそうで、 今回は“若さま”がいるので、勿論中を見学させてもらいます!!

現在は田部家年間行事の時のみしか使用していないそうなんですが、タベが幼少の頃まで代々住んでいた家。
きちんと手入れされたお庭と、維持するだけで莫大なお金がかかるであろう広大な敷地に建つ日本家屋。

天井が低く外へ繋がる“横への開放感”が、私達の奥深くに潜む“日本人の遺伝子”を呼び起こし、しばし得意のお喋りも身を潜めます。

縁側の先にある緑の生い茂る庭まで含めて“部屋”なんだ・・・・。
都内のカーテンを閉め切った自分のマンションが“閉鎖的なただの箱”に感じてしまう。
昔、昔に作られた、お金では決して買えないもの。
これぞ本当の贅沢なんだ、と、改めて思うのでした。

島田彩夏アナ

「これは、僕のおじいちゃんが整備した庭で、こっちはお父さんが、それでここには・・・」
尽きることのないタベ君の、祖父や父への思い。
「ここではね、年末に餅つきがあるんだよ。ずっとやってきたことなんだよ」
と、こちらを長年守ってきたスタッフの方々も目を細めて案内してくれます。
皆さん、本当に誇りを持って歴史を受け継いでいらっしゃることが伝わってきました。
振り返ると、誰もいない広場から笑いや熱気、賑わいがまるで見えてくるようです。

中村仁美アナ


“歴史を引き継ぐ”って
本当に大変なこと。

でも、みなさんが誇りをもって
後世に残そうと尽力しているところが、少し羨ましくもあったり・・・。

一通り見学させてもらい、
『ランチの前にお茶でも飲んでく?』とタベ。
『え~私“本当のお茶”とか飲めないからね~。普通のお茶ならいいよ♪』と冗談で言ったつもりが・・・ 本当にお抹茶がでてきました。
しかも器を代えて、二杯も。
タベ君に基本的な飲み方を聞いて、素敵なお庭を見ながら静々とお茶を飲む。
心と二日酔いの胃にしみわたりました。

そしてここで出された茶巾栗が!!!
と~~~っても美味しかったのです。
栗より栗らしい丁度良い甘み。お抹茶の苦味と栗の甘み。最高です!
普段は甘いものを食べない彩夏さんも、珍しく完食。おお~~。

島田彩夏アナ

おいし~♪ 私だって塩辛ばっかりつまんでるわけじゃないのよ。
タベ君は奥さんと一緒に今茶道を学んでいるそうです。さすがの向学心ね。

中村仁美アナ

胃が活動し始めたようなので、
続いては古民家風のお店でランチ。
昼時なのに誰もいないので、まるまる
一軒貸切状態。
島根の地のもので作られた、
豪華な懐石が本日のメニュー。
島根を味わってるな~。

島田彩夏アナ

近くの山や川でとれた山菜に栗や魚がそれはもう美しくて美味しくて。
お店の方は「なんにもないのですけれど・・・」とおっしゃいますが、こんな贅沢ほかに 知りません。

中村仁美アナ

『まさか若様がご自分で運転されていらっしゃるなんて・・・』
『さきほど御上(タベの実家)に伺いまして・・・』と話すお店のご夫人。

ぎょ!!!
タベ・・・なんか今まで、ごめん。

さらに作法を要所要所で指導してくるタベ。
何もない緑豊かな山道を見て
『この景色は“当たり前”なんかじゃなくて、“贅沢”なんだと言うことに村の人に気がついて欲しい』 と、語るタベ。
タベ・・・君がなんだか“大人”に見えるよ・・・。ね、彩夏さん。

島田彩夏アナ

貫禄は伊達じゃなかった。

中村仁美アナ

さて、お腹いっぱいになったら、
いよいよ“たたら”へ。

この“たたら”、現存する最古の“たたら”なんですが・・・
目に見えないところまで全てが計算尽くされた、感心と驚きの連続でした。

島田彩夏アナ

島田の受け売りミニメモ♪

「たたら」って、鉄を作るところです。たたら製鉄は大変古い歴史を持つ製鉄法で、木炭で砂鉄を何日も燃焼させて鉄を作るのです。タベくんの家、すなわち田部家はその昔このたたらによって富を成しました。炭が大量に必要なため結果的に山林を所有し「山林王」となったのです。

たたら製法では「村下(むらげ)」と呼ばれる技師がリーダーとなり全てを取り仕切りました。時には爆発や家事も起こりうる大変危険な職場でした。炉に空気を送り込む「番子(ばんこ)」という職人が2人交代で労に就くことから「代わり番子」という言葉が生まれたそうです。へええええ。

田部家所有の「菅谷たたら」は、いにしえの職人たちの熱気と息吹を感じられる歴史的にも貴重な場所。お出かけの際は鉄の神さまが宿るカツラの木もご見学お忘れなく!

中村仁美アナ

興奮の“もののけ姫モデル地”を訪れた後は、宍道湖を横目に本日のお宿に向かいます。
島根には沢山の温泉街があるんですが、今回は玉造(たまつくり)温泉です。
夕食までしばし若様とお別れ。
大きな温泉が2箇所あり、広いお庭もあるタベお勧めの旅館です。

部屋に入った私達がまっ先にしたのは・・・、部屋中のカーテンを締め切り、温泉には目もくれず、とにかく時間まで爆睡。
30歳・働く女子、とにかく必要なのは“睡眠”なんですね。

島田彩夏アナ

そうそう、1秒で完全に寝たね。なにごともスパッとが30女子の特徴よね。
あーよく寝た。すっきり。さて~、お昼寝のあとは、お楽しみの・・・・

中村仁美アナ

夕食!!タベお勧めの和食屋さんへ。
カウンターには新鮮な魚介類が所狭しと並べられています。

“若様お任せコース”だったんですが、まあすごいメニューの数々で、どれも感涙ものの美味しさ!!


特に忘れられないのが
“のどくろの煮付け”と
“スダチと塩で食べるウニ”。
もおおおおおおおお~!!!
って感じです。


のどくろなんて美味しすぎてずっと口に入れておきたいから、ゆっくりゆっくり噛んで、たっぷり味わってからやっと飲み込む。飲み込むのがモッタイナイ!!って思うほど美味しかったです。
ウニも、あの味を知ってしまうと、もうお醤油では食べられません。
なんて罪作りな島根のお料理たち♪

とにかく美味しくて、そりゃお酒もすすみます。
最終的に、東京で飲むときより“ひどい絡み方”を彩夏さんにしていたようで・・・。
あは。すみません、彩夏さん。

島田彩夏アナ

ほんっとに美味しかったねー。島根って美味の宝庫だったんだぁ。取材やロケで今まで色んなところで色んなものを頂いたけど、十指に入る忘れ難き味になりました。東京に帰ってきた今も時々夢想するくらい美味しかった!
ところでナカムラさん、これから一緒に飲む時ハイボールは5杯までにすること!6杯目以降は禁止です!!あなた完全にドリフの酔っ払いのオヤジになっておったよ・・・。繰り返される会話。デジャビュの嵐!!もう勘弁してくださ~い。

中村仁美アナ

その夜。
反省の歌を歌いながら眠りについてしまった私は、あまりの暑さで夜中に目が覚めてしまいました。
汗びっしょりで布団を抱えるように寝ていると
ちょうど彩夏さんがトイレに起きたようで・・・
まあ彩夏さんも結構飲んでたからな~。
そして用をすませた彩夏さんが、まるで母親が子供の布団に寄り道していくかのように、なぜか私の布団に添い寝!
こんなに汗をかいているから、彩夏さん汗臭くないかしら??
と心配しつつも再び夢の中へ。

翌朝、「そうだよ、ママいつまで寝てるの、
もう起きなきゃね。」と、可愛い女の子の声で目覚めた私。
誰もいないのに。。。
ゆっくり温泉に入ってタベが迎えにくるのを彩夏さんとロビーで待ちます。
『そう言えば彩夏さん、昨日なんで私の布団に入ってきたんですか??
汗臭くなかったですか??』

島田彩夏アナ

『・・・は?なんのこと?なんで私がナカムラのベッドに入んなきゃいけないの?絶対に入ってませんけど・・・』

中村仁美アナ

確かに感じた背中での人の気配と感触。
いや、あれは夢でも寝ぼけていたわけでもない。
なんとも・・・不思議なできごと。
タベはこの話しを聞いて、私達2人が“怪しい関係”だと勘違いしそうになっていましたが。

島田彩夏アナ

ナカムラさんそれって、ついに来たんじゃない!?
愛の神さまのお告げの予兆かもよ~~。
それにしてもナカムラって蓑虫みたいに寝るんだね(笑)!!
なんだか急にたまらなく愛しくなってしばらく眺めちゃったわぁ~~。



後編につづく… 次回もお楽しみに!