池上彰がフェイクニュースの被害に遭っていた!談志の“居眠り事件”の真相も
6月7日(金)20時~『池上彰SP!みんなダマされている!?悪質フェイクニュース 嘘とホントの見分け方』
池上彰が、日本や世界の重要なニュースをわかりやすくスタジオ解説するシリーズ。今回取り上げるのは、人の命を奪うこともある「フェイクニュース」。ネット社会で暴走するフェイクニュースの実態、見分けるにはどうすれば良いのかを学んでいく。
立川談志の“居眠り事件”…ツイッター上では全く違うことに!
番組では、ゲストの身の回りで起きたフェイクニュースの被害も明らかに。
「私の師匠の立川談志の“居眠り事件”というものがあるのですが…」と、語り始めたゲストの立川志らく。“居眠り事件”とは、談志の独演会で居眠りをした客を、主催者が退出させたところ、その客が主催者を提訴。判決で裁判所は訴えを棄却したというのが事実なのだが…。
志らくは、「よく知らない人がツイッター上で『立川談志は、寝ている客を訴えた』と。これは全然違うんです」、「印象だけで書かれちゃって、それが広まって消すのは大変だった」と語った。
無実の男性が殺害された事件はなぜ起こったか?
昨年の夏、メキシコのアカトランという町で、フェイクニュースによって無実の男性2人が焼き殺されるという悲劇が起きた。
ある男が、2人を誘拐犯だとするフェイクニュースを発信すると、それを信じた群衆がその無実の男性2人に暴行を加えた上で、ガソリンをかけ火をつけたのだ。その様子を人々はスマートフォンで撮影し、さらに群衆は2人の被害者に向かって「これは正義」「正義は私たちと共にある」と、“正義”いう言葉を繰り返し浴びせていた。
この事件に、「ショック…。こういう状況の中でもみんながスマートフォンで撮影していることも信じられない」とジャニーズWESTの中間淳太も衝撃を受ける。 立川志らくも「一番怖いのは、正義。正義というのは一見正しいように見えて、ちょっと間違えるとものすごく恐ろしいことになる」と訴える。
住民はなぜフェイクニュースを信じたのか?そして今、住民はこの事件をどのように受け止めているのか。
番組は、事件が起きたアカトランの町を取材。そして亡くなった男性の母親が、番組の取材に悲痛な胸の内を語った。息子たちが暴行を受ける様子を、フェイスブックの生配信で目にしてしまったという母親。暴行をやめるように訴えたが聞き入れられなかったという。
母親は、「本当か嘘かを知る必要があるといつも言っています。だけど不幸が自分の身に起こるまでは誰も理解しない」と涙を流して訴える。
池上は「ゆがんだ正義感が芽生えて、集団心理で殺人までに発展してしまった」「日本で全く起きないかというと、異常な状態での集団心理で何が起きるか分からないという危機意識を私たちは持っておく必要がある」と警鐘を鳴らす。
出身校にまつわる情報が錯綜(さくそう)!池上もフェイクニュースの被害者に
<池上彰 コメント>
Q.フェイクニュースが人の命まで奪ってしまうことに衝撃を受けました。
無実の罪でみんながよってたかってリンチをするというのは、過去にもあちこちで起きていますが、SNSを使うと瞬時に人が集まってあっという間に事件が起きてしまうというのは、本当に危険だなと思いますね。これはメキシコの片田舎の話ではないんです。日本でも起きるかもしれないことなんです。
Q.最新の技術を使い捏造される“ディープフェイク”。技術が進化し、今後ますます見分けがつかなくなることが懸念されます。
ここまで来ると、本当か嘘か見分けろと言っても素人には無理ですよね。だから逆に、見分ける力というよりは、いわゆる健全な常識といいますか、「ちょっと待てよ」と考えてみてください。「それはどの番組で言っているのか」、「どこのサイトに書かれているのか」、「まさかこのサイトでこんなニュースが出るわけがないよね」というような、いわゆる常識を働かせることがますます大事になると思いますね。
Q.メディアが気を付けるべき事は?
例えば、今は視聴者の投稿映像ってあるでしょう。報道機関のカメラマンが現場に行くよりも、その時現場にいた人が携帯で撮影した動画などが次々投稿されていますよね。いち早く映像を入手できるのですが、その中には悪意で他の映像を送ったり、あるいは場合によっては悪意じゃなくても勘違いをして誤った映像を送ってくることがあるかもしれません。
「いち早く入手できた」「特ダネだ」というのが、いかに危険かということなんですね。つまり私たちはこれまでどれだけ速報を出せるか、他の社よりも早く速報するということをずっと頑張って努力してきたんですが、これだけフェイクニュースが出たときには、むしろ“ファストニュース”よりも“スローニュース”、本当に事実と確認されるまでグッと我慢する、出さない勇気というのも求められると思いますね。
Q.これまで印象に残ったフェイクニュースはありますか?
個人的なことですと、私は長野県松本市の生まれということから、“松本深志高校卒業”とネットで出ていたんです。そのため、松本深志高校の生徒たちから「先輩ですね!」と言われるのですが、「いや、違いますよ。都立高校の卒業生なんですよ」と。
勝手に私の経歴がネットに書かれて、そこに“松本深志高校出身”と誤った情報が書いてあったわけです。ところが一方で、私が“東京都立大泉高校卒業”という正しい情報も出ているわけです。そうしたら、さらに想像力を働かせた人がいて、“池上は松本深志高校に入った後、都立大泉高校に転校した”という情報がネットに出ていたんです。
大泉高校の同窓会に行った時にその情報を見ていた人がいて、「池上、お前は入学式からいたよな?」と言うので、「うん、いたけど何か?」と答えたら、「お前、途中から転校したことになってるぞ!」と言われて「えーっ!」とびっくりしました(笑)。ちょうど私がフリーになって、民放テレビに出始めたころの話ですが、まるで学歴詐称みたいですよ(笑)。
番組概要
『池上彰SP!みんなダマされている!?悪質フェイクニュース 嘘とホントの見分け方』
<放送>
6月7日(金)20時~21時55分
<出演>
【解説】
池上 彰
【進行】
高島 彩
【ゲスト】
立川志らく
千秋
土田晃之
中間淳太(ジャニーズWEST)
モモコ(ハイヒール)
(五十音順)
笹原和俊