COME BACK CLAMP TALK
: 小沢健二

- tk:
- 一応,前フリじゃないんですけどね,二人の共通したらせいぜいあの,例の番組しかないんでですね.
- 小沢:
- ああ.例の番組ですね.
- tk:
- あれね,僕見たんですよ.小沢君が二人に挟まれてる時の,見たんですけど.
- 小沢:
- あれね,独特のものがありますよね.
- tk:
- なんかね,一応スタッフの中では,小沢君の回が一番面白かったらしいんですよ.で,僕が2番目らしいんですよね.
- tk:
- なんかこの,ちょっと資料見せていただいて,文学部だったっていうんで,詞がやっぱり好きなのかな?って思ってたんだけども.でも,もともとは詞じゃない?普通に楽器で?ギターとかから曲作りだしたの?
- 小沢:
- 僕,生まれて初めて書いたのは・・・.
- tk:
- 生まれて初めて書いた曲って,詞ありました?
- 小沢:
- いきなりあったんです.
- tk:
- いきなりあったんですか.
- 小沢:
- あのね,『おなかに棒をいれても,戦車は返ってこない』っていう歌なんですけどね.「♪おなかに〜棒を〜」っていう,なんか暗い,かなり難解な曲を.で,だんだん僕今,わかりやすくなってる過程で,もうちょっとすると,もうちょっとわかりやすくなるんじゃないかと.とにかくその最初の曲は本当に,すごい難解でしたね.
- tk:
- 多分それは3歳でいったら文学的なんじゃない?
- 小沢:
- 3歳だか何歳だか知らないですけどね.日本語で初でしょうね.それなんでしょうね?なんで戦車は返ってこないんでしょうか?
- tk:
- わかんないね,それはね.え?今も僕はちゃんと歌詞とか見てないんだけど,そういうなんかこう,小沢君にしかわからないようなところもあるわけ?
- 小沢:
- わかんない.どうでしょうね.僕今ね,ギュウギュウに詰め込むのが好きなんですよ.譜割り的にもそうなんだけど,うーん,真面目なことをいうと,内容的に.だから僕はその,例えば東大文学部卒とか,そういうプロフィールとか必ず出てるんだけど,それは別物で「いやぁ東大なんか関係ないよ」っていうのでやってないんですね.もうメッチャメチャ東大文学部卒のそのまんまでやってんですよ.それで,うーんと,じゃあその,すごくキチンとね,いろんな,もう考えは完全に停止してますけど,やめましたけど.そうやってちゃんと考えて,こういうふうにやってったら,どうなって,どんなことが今までやって,今まで死んだ人達は,じゃあ何をどんなふうに表現してたのかなぁ,とかって知ったことって,ぜんぜん無駄じゃない.今そんなこと意識してないですけど,思いっきりそういうのの上にあるんですね.それでだから,なんか,うーん,思いっきりあるんですけど,最終的にはぜんぜん忘れちゃってるんですけどね.でもその,そういうことをギュウギュウに,こんなことはわからなくてもいい,っていうレベルまで必ず詰め込みますね.だからね,僕の曲,例えば『ラブリー』っていう曲があって,すごい楽しそうなんですよ.でもね,ライブとか来るとわかると思うけどね,絶対なんかもう,けっこう気持ち悪くなっちゃうっていうか,猛烈に悲しくなっちゃうっていうか.なんかそういうのがあるんですよね.
- tk:
- 表現でそういうふうになっちゃうんですか?
- 小沢:
- うーん,なんかわかんない.多分僕自身もそうだし,で,ぜんぜん表面はもうすごい明るい.♪なんとか〜なんて.でも猛烈になんかすごいウワァーッってなって,それが猛烈に気持ちいいんですけど.
- tk:
- なるほどね.
- 小沢:
- だからね,僕自身にしかわからないとか言うんじゃなくて,僕にもよくわからないんですけど.とにかく無意識で一生懸命たくさん,絶対これは表面としてね,ヒットするとかヒットしないとか,僕そういう考え方ぜんぜんわかんないし,結局なんかね,なんかわかんないけど,付いてくる物っていうか,僕は知ってる範囲のものは全部詰め込みたい.いつも.
- tk:
- そうか.あの,今ヒットとかっていうのちょっとでたけど,まあ有りがちなパターンとして,自分のいわゆる方向性と,その大衆に向けての,いわゆる落とし込むことっていう.
- 小沢:
- 落とし込む.すごいな.
- tk:
- もしかしたら,言い方としてはそういう言い方してもいいと思うんだけど.それは考えたり悩んだりしません?
- 小沢:
- あのね,僕,いまだにわかんないです.ぜんぜんわかんないし.でもね,今落とし込むって言われた時に,あとね,このあいだ筒美京平さんに,僕初めて人に曲を書いてもらったら筒美京平さんで.それで京平さんはね,僕ずーっと昔にナンパされて,「メシ食いに行こうよ」っていって,すごい好きなんですね,人間として.で,あの,なんかね,贅沢な人で.楽しいんですよ,一緒にいると.それで,じゃあちょっとスタジオに一緒に入ってみたいなって,どういうこと言うのかなと思って,聞いてて面白くって.それでいまの落とし込むっていうのも,ちょっと「そうか」って思うんだけど,僕自身はぜんぜんわからないっていうかね.ヒット曲を,きっとこうやって京平さんとか,小室さんとかがヒット曲を書くと,その時のこう,世の中の感じみたいのが,すごい見えてくんだろうなって思う.
小室さんホクロあるんですね,ここ.
- tk:
- ああ,こっちありますね.
- 小沢:
- ホクロ嫌じゃなかったですか?昔.
- tk:
- うーんとねぇ?
- 小沢:
- 小室さん嫌じゃない人だ.おーっ,僕すごい嫌だったですよ.もう死のうかと思った.ホクロで.
- tk:
- ああ,あるってことでね.でも手術して取るまでは思わなかった?
- 小沢:
- でもね,子供の時,似顔絵書くと,必ず書かれたでしょ?もうすっごい嫌でしたね.だけどね,「ホクロあったらあったでいっかぁ」って段階的に思ってって.で,だんだんこうね,目が醒めてきてそう,今はちょうど「いっかぁホクロあっても」っていう感じになってますね.で,なんかテレビの出方とかもわかんないし,でもまあ,なんか,まんまで通ってけばいっかなって思って,だから,なんか,うん,まんま普通にしてられたらいいなって.そしたらなんか,楽ですね.
- tk:
- うん,楽だし,そういうとこで普通の人って,何にも考えてないんだけど,そういうの察知しますよね.きっとね.まあそういうのが「自然体でやってる人だなぁ」っていうことを,もしも思ったら,魅力感じるんじゃないかなぁ.
- 小沢:
- そうだったのか.
- tk:
- 多分そこが,今,魅力としてみんな捉えてる思いますよ.
- 小沢:
- そうだったの?わっかんない.それは大人の意見.僕ね,ぜんぜんわかってない.本当.あのね,っていうかね,こうなると半分,意地なんですね.あの,もうこれでまんまで通ってこうって,思ったらもうそれはけっこう悲壮な決意なんですよ.それで僕そういうふうに,とにかくいつもその余裕だからさ,けっこうすごい人に嫌われたりするんですよ.そんで上級生とかみんな嫌いなの.小室さんもどうせ女にモテただろうけど,僕も,メチャメチャモテたんですよ.
- tk:
- あぁ,そうなんだ.
- 小沢:
- ここでモテる較べしてもしょうがないんだけど.
- tk:
- いいことじゃない.
- 小沢:
- それで,わかんないけど,でもそれはそれで嫌だったんで.小室さんよかったんだ?
- tk:
- 俺はよかったよ.
- 小沢:
- いいなぁ.僕ね,天才,天才つてすごいいわれてて,天才バカボンからコメントくるぐらい.
- tk:
- あ,本当に.
- 小沢:
- で,なんだっけ?小林よしのりさんの,なんかの解説のアレがきてね,来た編集の人が嬉しそうにカーッて来て,「もう小沢君,小林よりのりさんの代表作っていったら,『東大一直線』と『オボチャマくん』と『ゴーマニズム宣言』なんですけど,小沢君もう」なんだっけ?えぇと「『東大』『傲慢』『お坊ちゃま』って3拍子そろってますから」って言われたんですけど.
とか言われたんですけど,そんなことはもう表面の事にすぎません.もう誰よりも努力してるつもりなんですけどね.
- tk:
- 狙ってバーンて当ててくの?
- 小沢:
- うん.それはね,もうそれですごい一流でカッコいいと思います.
- tk:
- それは,好きな方だね.
- 小沢:
- それにね,絶対なんだかんだ言って,京平さんにしても,小室さんにしても,絶対自分がもう,自分大好きなんですよ,きっと.
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