CLAMP TALK : つんく

TK in Talking with TUNKU.
- 小室:
- まあねこのあいだ来てもらった時もお話ししましたけども,カラオケ屋さん,今,圧倒的にシャ乱Qしか歌ってないね,男の人ね.
- つんく:
- そうですね.
- 小室:
- カラオケチャートとか見てるでしょ?
- つんく:
- 相変わらずベストテンに3〜4曲入ってます.
- 小室:
- 入ってるでしよ.もう,絶対,聴くでしょうね.
- つんく:
- そうですね.歌いやすいのかな? なんなんでしょう?
- 小室:
- お客さんというより,お店の人が歌うよね,きっとね.
- つんく:
- ああ,そうみたいですね.ラストは必ず『シングルベッド』とかね.そのお店の「あ,これかかったら帰らなきゃ」みたいなね.昔でいうと布施明の『そっとおやすみ』とかのポジションにきてるみたい.
- 小室:
- 敢えていくとこまでいっちゃっおうかな? って感じですか.
- つんく:
- 「ちょっと,あそこまではいけないよな」っていうところで,ファッションなり,そういうトークなりしてても,レコードとかCDが売れるっていうのはカッコいいなって思うから.まあ,だから,そこにブラ下がってる状態なんですかね.
- 小室:
- まあじゃあ,自分なりには.それもだから,僕たちからいわせてみれればプロデュースだよね.
- つんく:
- ええ.特にバンドブームが終わったあとに出てきたバンドの人たちとの,すごい差別化として,バンドなんだけどバンド以上の音が出てるバンドが,すっごいいっぱい世の中に溢れてる.で,どう見ても「30人編成のオケでしょ?」っていうバンドの中で,僕らは「5人でやってるんだ」っていう音をハッキリ出すことが「俺たちだ」っていうのを,どんどん自分たちで勝手に差別化してったんですけど.初めは僕らも,頑張って30人出そうとしてたんですけど,無理に気付いてっていうか.
- 小室:
- あれ? タイセイ君だっけ?
- つんく:
- ええ,キーボードの.
- 小室:
- じゃあ,彼も敢えて打ち込み出したりしないで,弾いてちゃんとライヴの時も演奏してるの?
- つんく:
- そうですね.基本的にはリズムは昔から,ほとんど手弾きだったんですけど.ただ,同期ものとか,やっぱストリングスとかを入れたくなるじゃないですか.今もまあ,隠し程度には入れるんですけど,ピコピコいうのがまずメインに,とか,そういうハッタリがメインになった時っていうのがあったんですけど,もう,そういうことをぜんぜん考えなくなったっていうか.「リズム撚れなさい.どんどんズレてください」みたいな,なんかそういうふうになってきましたね.
- 小室:
- だから,ずーっとそういう編成で,どんな箱でもやってきたわけでしょ? そのへんが,ちゃんと売れてきても,そのまま形になってるんだよね,きっとね.
- つんく:
- 逆にいうと,どんどん削られていって,どんどん剥き出しになっていきますよね.ええ,気持ちいいですよ.
- 小室:
- そこらへんはでも,なんていうのかな? いいよね.バンドのメンバーだって別になんか当て振りばっかやってるわけじゃないからね.
- つんく:
- ライヴはもう,ぜんぜん違いますから.まあ,テレビはやっぱり多いですけど.
- 小室:
- まあ,テレビはね.
- つんく:
- もう100%ですけどね,今はもう.
- 小室:
- しょうがない.あれはべつになんていうの? プロモーションですかね.
- つんく:
- そうです.だから,僕ら,そこに対して「おい,どういうことなんだ?」とか腹立たしく思ったりはぜんぜんしないですけど,ロック系でそこに本気でムカつく人もいるみたいですよ.「なんだ?」って.
- 小室:
- うーん.そこらへんがやっぱり,なんていうんですかね? 売れちゃう,売れちゃわないっていうか,一つのそのラインのなんか,鍵かもしれないね.
- つんく:
- そうですね.
- 小室:
- べつにそれに限ったことじゃないけどね.
- つんく:
- 寛大でいたいな,と思うんですよ,自分では.大枠でいたいっていうか.だから,自分でそこ,首締める必要はないな,とは思う.
- 小室:
- リーダーっていうのはつんくなの?
- つんく:
- 一応,リーダーはギターのハタケです.
- 小室:
- でもなんか,そういった方向っていうのは?
- つんく:
- そうですね.僕もやっぱ歌うからには,例えば,ライヴのMCとか進行も,やっぱ僕がノれないと結局その日のライヴ,全部ダメになっちゃう.これはもうヴォーカルの特権でもあれば,性でもある.だからまあ,そのへんはある程度,逆にみんな任せてくれるっていうか,そういう感じするんですけど.
- 小室:
- そうか,けっこうまあ,知らず知らずでプロデュース志向みたいのはあるんだね.プロデュースっていう言葉じゃあないかもしれないけど.
- つんく:
- まあ,バンド本来のあるべき姿だとは思ってるんですけどね.だから本当,これからのアマチュアとかのヤツらも,なんかどんどんそうなって欲しいなっていうか,僕らも刺激になりたし.
- 小室:
- 刺激にずいぶんなってると思うよ,きっと.
- つんく:
- 今,本当いないっスよね.バンド.
- 小室:
- あの,一見さ,なんかシャ乱Qとかは,すぐ作れそうな感じするだろうから,きっとアマチュアバンドの人たちとか.本当はけっこう深いかもしんないんだけどね.
- つんく:
- いや,そんなことないっスよ.
- 小室:
- 案外,これから多くなるんじゃないの? 急に,にわかシャ乱Qは,きっと出てくると思うよ,たくさん?
- つんく:
- にわかシャ乱Qですか.シャ乱Qらしいような.
- 小室:
- らしいようなのが.やっぱりちょっとしたプロデュースの人の,そういう楽しい感じの人でね.バンド形態で出てくるかもしれないね.でもまあ,さっきもいったけど,やっぱり基本のメロディがね,すごいあるから.まあ,詩の世界あるかもしれないけどね.
- つんく:
- メロディ…そうですね.でも,詩,好きですね,日本人のみなさん.
- 小室:
- そうですね.これからはどうなんですか? まあ,このあいだも,これは聞いたんですけど,いろいろあらゆる方にいくっていうか,そんなにこだわりはないっていうか.
- つんく:
- まあ,確かにないんですけど,それもやっぱほら,こっちが要するに余裕があって,ネタがないとそこにいけないわけですから.そうっスね,まあ,今年は本当にすごかったんですよ,とにかく.あの,本当は今年だけですから,いわば100万いったのも今年で.
- 小室:
- 今年はね.だって,このあいだここに来てくれた時ぐらいから,もうガァーンとね,なってて.
- つんく:
- 僕の手応えでいうと,まあ,僕の第一時期「お,つんくいいじゃん」ていう時期は過ぎたな,と思ってんですよ,自分ではやっぱね.飽きられてきてるって言葉は悪いですけど.その次に俺がなんかしないと,このまま横這いだなっていう気はするんですよ.で「じゃあ,なにをするんですか?」って言われると,ぜんぜんわかんないところに,すごく不安もあったりとかするんですけど.でもまあ,なんとなくあっちに行こうっていう光は見えてるんですよ.
- 小室:
- ああ,なるほどね.でもそうだね,なんとなくあっちに行こうっていうのは大事だよね,すごく.
- つんく:
- やっぱ結局でもね,本当いえばまあ,ある程度バンドっぽい音を録ってたのは,ジュン・スカさんとか,ブルー・ハーツさんとか.やっぱ,今,思えばあのBOOWYって,あれはけっこうすごい音作ってたんだな,っていうの思いますよね.
- 小室:
- なるほどね.ああ,そうだよね,本当に.
- つんく:
- だから,あの人らも,ちゃんと4ピースっていうか,ギター,ベース,ドラムだけ.たまにちょっと,SEというか効果音的なキーボードが入ったりする程度で,基本的にはギターがリズムもメロディも全部やってる,みたいな音を今思えば.で,しかも,今,怖いからみんなチキチキチキチキって入れるじゃないですか? リズムをキープするために.まあ,僕らもそうなんですけど.もう,ないんですよ,フロアいったらもう,ハイ・ハットの音が全部消えてて♪ドッ,ドッ,ドドドッ,ドドッ〜ああ,って.今思えばね,画期的だなぁって.要するに,ベースの音がリズムだったりとか.日本には無かったなぁ,みたいな.振り返ってみれば,それ以前は.
- 小室:
- そうだね.まあ,外国になっちゃうけど,U2とかね,ああいう人たちもそういう感じでしたから.あとポリスとかね.
- つんく:
- あのへんもそうですよね.
- 小室:
- まあ,確かにああいう3ピースぐらいでしっかりヒット曲,メロディを歌ってっていうのは無いね.
やっぱりすごく単純な言い方だけどさ,バンドっていうとギターサウンドみたいのがさ,しっかりガァーッて出てる方がそういうふうに聴こえがちじゃない.聴こえやすいでしょ? だから,やっぱりギターの人,ハタケ君ともう一人いるんだっけ?
- つんく:
- ギターは,アコースティックギターは僕が弾いてます.
- 小室:
- ああ,そうか,そうか.じゃあ,ハタケ君が,かなりしっかりしたアンサンブル作ってかなきゃいけない感じがするんだよね,そしたらね.で,あの,やっぱりタイセイ君がオルガンの音出すにしても,シンセだとさ,今,レスリーとか使ってんの?
- つんく:
- レスリーとハモンド.
- 小室:
- ハモンドも使ってんだっけ? だから,そういうハモンドとかだとバンドっぽく見えるよね.けっこう単純なことだけど,ちょっとしたことでなんか,そういう差別化っていうのはできてくるのかもしれないね.
- つんく:
- そうですね.それは多分,大きく違うような気はしますね.僕らにとってはね.だから,ピアノも全部,生だし.
- 小室:
- ああ,なるほどね.
- つんく:
- アコースティックギターもラインは絶対使わないし.
- 小室:
- けっこうこだわってますね,そのへんはね.
- つんく:
- でも,そんなことはこの番組ですから,僕も言いたくなるし.
- 小室:
- まあそれはね,他のバラエティ番組じゃあ言えないよね.
- つんく:
- いっても仕方ないし,僕,音楽雑誌でもあんまり言わないようにしてるんですよ.でもなんか,小室さんだから聞いて欲しいっていうとこもあったりとか.なんか,すごい番組だなって本当思うんですけどね.
- 小室:
- あの,アレじゃないの? きっとシングルってさ,やっぱりすごくそういうのをさ,一般的にダァーッと知らしめる大きな発信基地でしょ?
- つんく:
- うん,そうですね.発信基地ですね.
- 小室:
- だから,そういうとこに例えば,ハタケ君のギターとかがさ,わかんないけどイントロとか,サビの美味しいところとかに,すごくバンド的なわかりやすいことが表現してあったりとか.オルガンだったり,ドラムのそれがね,べつにフロア・タムでもいいんだけどさ,そういうのとか入ってくると,なんかできるかもしれないよね,シングルが.それで,今のシャ乱Qのパワーでさ,そのシングルはシングルでちゃんといったりすると,そこらへんて出るのかもしれないけど.また,でもそれは,葛藤もあるだろうけどね,今度.
- つんく:
- いや,でもね,僕は大丈夫だと思います.ぜんぜん大丈夫だと思うし.まあ,今,出てる『My Babe 君が眠るまで』というのも.
- 小室:
- なるほどね.ああ,でもね,それはわかるよ.俺なんかも今はそんなにこだわってないけど,カラオケになる時に,カラオケ屋さんが真似できない音を作ろうと思うわけ.
- つんく:
- ああ,そうですね.
- 小室:
- 特にバンドサウンドっていうのはさ,今,通信カラオケだからさ,全部シンセじゃない.ギターも.
- つんく:
- そうですね.オール・イン・ワン・シンセみたいなヤツでね.
- 小室:
- 全部ね.だから,そこらへんてギターサウンドがカッコよければカッコいいほど違っちゃうでしょ?
- つんく:
- ええ,ええ.真似できないですよね.
- 小室:
- だから,そうすると,俺たちとしてはすごく自分たちのサウンドのオリジナリティを感じれるわけだよね.だから,今度,逆に,お客さんの立場になった時に,通信カラオケで歌ってる人が「オケがぜんぜん違う!」と.それで「アレみたいに歌いたいよ!」って思って時に,それでどうするかっていうとこもね,まあ,あるのかもしれないし.でも,それはシングルでヒットしてたら,ガンガンいってたら,それはバンドの勝ちだし.
- つんく:
- 勝ちですね.
- 小室:
- そういうなんか,面白い戦いはあるよね.
- つんく:
- ありますよね.全体が底上がってきますからね.
- 小室:
- そうだよね.きっとそうだよ.そうすると通信カラオケ屋さんも,それを絶対,再現しないと客が寄り付かない.
- つんく:
- そうですよね.各種,各メーカーでどこまで再現できるかっていうね.
- 小室:
- そうそう,そう.で,戦いがあって,いい底上げになるかもしれないしね.
- つんく:
- そうそう,そう.音楽業界のね.
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