CLAMP TALK Vol.32 Non-Edit Version

NAKAI in talking with MOTOHARU SANO.
- 中居:
- こんばんは。はじめまして。お会いするのはもちろん初
めてですよね。
- 佐野:
- ええ。
- 中居:
- 僕もビデオであったり、ライヴビデオであったり、ビデ
オクリップであったり、そういう中ではお会いしたことあるんですけど。まずい
ちばん最初に聞きたいことは、“生”、“学習”、“労働”、“結婚”、
“死”。この五つの中で佐野さんは何がいちばん大事だと思われますか?
- 佐野:
- そうだな、いちばん大事なのはやっぱり“生”かな。
- 中居:
- “生”。
- 佐野:
- うん。生まれなかったら僕はここにいないわけだから。
お袋のからだから生まれて、“生”が僕の人生の中でいちばん大事なイベント
だったんじないかな。
- 中居:
- で、あの、今回、久し振りに7月のアルバム「フルー
ツ」が発売されるじゃないですか。その「フルーツ」のなかで、この五大要素が
この「フルーツ」の中に含まれていると書かれていましたよね。
- 佐野:
- はい。
- 中居:
- なぜその五つが「フルーツ」と結び付くのかな? って
いう疑問があったんですよ。
- 佐野:
- そうだね 。正直に言うと、アルバムのタイトルをつけ
る時は、どうしてこんなアルバムのタイトルを自分でつけてしまったのか、わか
らないことがあるんだよね。たいていレコーディングをしてる最中に、レコー
ディングっていうのは10曲も20曲もスタジオの中で録っていくんだけども、レ
コーディングをしていくなかで「もしかしたらこの曲が、このアルバムのなかで
いちばん大事な曲になるんじゃないかな?」って、そういう直感を感じる曲ってい
うのがレコーディングのなかで必ず1〜2曲出てくる。で、今回の場合は「フルー
ツアルバム」のいちばん最後に収録した「フルーツ」っていう曲があるんだけど
も、その曲を録音している時に「ああ、この曲がこのアルバムの代表になるだろ
うな」って直感があって。で、自動的にその曲のタイトルがアルバムのタイトル
になったわけなんだな。
- 中居:
- それが“生”、“学習”、“労働”、“結婚”、“死”
と。
- 佐野:
- うん。あの「フルーツ」という曲の中にそれらのテーマ
が全部含まれているわけではないんだけど、何か僕らが生きている営みといった
らいいのかな、それが「フルーツ」という曲の中で、僕の考えが「フルーツ」と
いう曲のなかに盛り込めたかな? とは思ってる。ただそれは、聴いてくれる人が
いるわけで、聴いてくれる人の想像力の助けを借りてあの曲は完成するんじゃな
いかなと思うんだけどね。
- 中居:
- じゃあ、佐野さんが生きてくうえで、その五つの、僕が
いちばん気になったのは“結婚”というのが入ってましたよね。“結婚”ていう
のは佐野さんにとってどういうイメージで抱いてることなのかなと思って。
- 佐野:
- うん、そうだね 。ロマンティックに言えば、お互いの
魂を共有する相手を見つけるイベントというか。人生の中で大切なイベントだと
思うんだ。で、「フルーツアルバム」のなかでは「天国に続く芝生の丘」という
曲のなかでね、あるカップルが教会で結婚式を挙げる、その午前中から午後まで
の様子をスケッチした曲を書いたんだけども。結婚というテーマは、僕は曲を書
くんだけれども、僕なんかソングライターにとっては、すごく興味深い、奥深い
テーマだよね。だから、多分1曲だけじゃなくて、これからも結婚というのをテー
マにして2曲目3曲目が出てくるんじゃないかなって思ってる。
- 中居:
- それとあと、“労働”ってありましたよね。佐野さんに
とって、曲を作ること、詞を作ること、ステージをすること、ビデオを作るこ
と、それは労働の一貫として考えてらっしゃいますか?
- 佐野:
- 僕はね、そう思ってない。本当の労働っていうのは、多
分ね、僕の考えだけども、汗を流して橋を作ったり、ビルを作ったりする、そう
いうことが労働だと思ってる。僕は曲を書いたりとか、ステージで自分の曲を
歌ったりするけども、それはね、労働とは感じてないんだ。楽しみの延長のよう
な。
- 中居:
- 僕、ビデオ観てね、お会いいる前の僕なりの想像ってい
うのあるじゃないですか。佐野さんは、僕が考えてたなかで「俺のロックを聴い
てみろよ!」「俺の音楽を見てみろよ!」「格好いいだろ!?」って、すごく力の
入った、自信を持った、肩をいからせながらやってるアーティストの方かな?
と。まあ、失礼ですけども、そういうイメージせ抱いてた面があったんですよ。
ビデオ観てびっくりしたのが、笑顔が多いんですよね。
- 佐野:
- そうね。たまたま嬉しかったんだろう、ステージで。
- 中居:
- そうなんですかね? それでね、会場で観てるお客さん
たちが、もう本当、楽しそうなんですよ。
- 佐野:
- そうですね。
- 中居:
- だから、佐野元春を見にきてるとか、聴きにきてると
か、それはもちろんあるでしょうけども、佐野元春と一緒に、今、この時間を一
緒に楽しみたいっていう気持ちがすごく伝わってきたんですよ。
- 佐野:
- どうもありがとう。
- 中居:
- ああいう空間、僕なんかにもやっぱり共通する点もあり
ますし。ですから、ある面ではちょっと悔しいじゃないですけどもね、僕なんか
以上にっていうか、なんか悔しい気持ちを燃やさせる楽しい雰囲気が漂ってきた
んで、ちょっと。
- 佐野:
- ああ、そう感じた?
- 中居:
- ええ。だから、僕だけじゃなく、テレビを見てる人の中
でも、やっぱりテレビの出演も少ないですし、本来の佐野元春はどういう人間な
のかっていうのをわからない部分てたくさんあると思うんですよ。その抱いてた
イメージとライヴを観てるイメージとはギャップがあったんでね。あんなに曲を
楽しくね、本当、ちょっと悔しいぐらいでしたけどね。
- 佐野:
- 正直に言うと、こうやって喋っていても、例えばギター
が肩からぶら下がってなかったりすると、なんとなく心もとなくて。まだ本当の
こと言うとドキドキしてるんだ。
- 中居:
- 今ですか?
- 佐野:
- うん。でも、ステージに立つ時にはバンドという仲間が
いて、まあ、気の知れた仲間たちでね。そして、僕がもう何年間も愛用してるギ
ターを肩からかけて。そしてステージに飛び出していく。ちっともドキドキしな
いな。むしろ、すごく「ああ、本当の場所に戻ってきたな」という感じ。本当の
場所に戻ってきて、みんなの前で歌えるんだなっていう感じがいつもしてる。
- 中居:
- それは嬉しさですか? 喜びですか?
- 佐野:
- うん。居心地のいい場所に戻ってきたっていう感じ。
- 中居:
- 自分の家みたいな感じですかね?
- 佐野:
- うーん? 近いかもしれないね。でも、そこにはたくさ
んのオーディエンスが前にいるわけだし。コンサートというのは、その彼らと音
楽でもって気持ちを会話する場所ですから。僕は一つだけ大事にしてることがあ
るとしたら、悲しい気持ちとか、淋しい気持ちでオーディエンスと繋がり合いた
くないな。うん。むしろ嬉しい気持ちや幸せな気持ちでオーディエンスと繋がり
合えたらいいなと、いつも思ってる。うまくいくかはわからないけど、ステージ
に上がる時にはそのことを考えるかな。淋しい気持ちとか辛い気持ちとか、そう
したことで結び付き合いたくない。
- 中居:
- 常に自分がハッピーでいたい?
- 佐野:
- すごく難しいんだけどね。毎日が100%ハッピーなん
て、そんなことは無理だけども。せめてステージにいる時はね、そうあって欲し
いなって思う。
- 中居:
- でも、レコーディング、作るわけですよね。作品を創
る、音楽を創る時、なんかのために、誰かのために理由があって作るわけじゃな
いですか。それが例えばまあ、お客さんのためであったり、ライヴのためであっ
たり、そして自分たちの楽しさのためかもしれませんけども。佐野さんにとって
何を目的に音楽をやられてるのかなと思って。
- 佐野:
- すごいいい質問だね。時々、考えてみるけど答えは出な
い。でも、曲を書くことによって、または詞を書くことによって、自分がどんな
ことを考えているのか最初はわからなかったんだけども、曲を書いて「ああ、こ
んな曲を自分は書いたんだな」って思うと、なんだか自分を知ったような気分に
なることがある。それは、曲を書くという作業は多分、自分のことを知っていく
作業かもしれないなと思って。そういうふうにして見ると、もしかしたら曲は自
分のために書いているのかもしれない。
- 中居:
- やっぱり辿り着くところは自分なんでしょうかね?
- 佐野:
- うーん? そうだね 。曲を書いてる時にはね、好きなあ
の子に想いを馳せて、彼女がこっちを振り向いてくれるような、そんな科白を並
べた曲をたくさん書いてるんだよ。だから、その時は彼女のために書いてると
思っているんだけども、結局はなにか自分のために詞を書いてるのかな? 曲を書
いてるのかな? って思うことがあるね。
- 中居:
- ですから、我々もグループでお客さんの前でライヴやっ
たりしますけども、お客さんを目の前にして、この短い時間にどれだけ喜びで
あったり、楽しさであったり、幸せであったり、どれだけこの人たちと一緒に時
間を過ごしていけるかっていうのが僕は常に考えてるんですよ。それは、バラエ
ティ番組であったり、ドラマであったり、それは過程に過ぎないんですけども、
でも結局はその喜ぶ顔を、楽しんでる顔を見たうえで自分が楽しかったりするん
ですよね。結局はそうなると、自分のために働いているのかな? 動いているのか
な? って気がするんですよね。
- 佐野:
- そうだね 。
- 中居:
- だから、佐野さんも多分ね、誰かのたるにとはいえ、
やっぱり返ってくるのは自分であるんじゃないかと。
- 佐野:
- そうだね 。そうかもしれないよ。
- 中居:
- あと、さっきの五大要素のなかにありましたけど、“学
習”ってありましたよね。
- 佐野:
- はい。
- 中居:
- 佐野さんが今、何を学習しているのか。
- 佐野:
- 今、学習してること? えぇと、何だろうね? 僕、未だ
にね、人と会った時に上手にお辞儀が出来ないの。固くなってしまってウマくお
辞儀ができないの。
- 中居:
- それは挨拶ですよね。それっていうのは「おはようござ
います」「ありがとうございました」「よろしくお願いします」、これが奇麗な
挨拶なのかって言われた時に、僕は疑問に持つんですよ。
- 佐野:
- ああ、なるほど。
- 中居:
- 例えば初対面で「おはようございます」「ありがとうご
ざいました」「よろしくお願いします」。僕はこれは決して正しい挨拶では。
- 佐野:
- 形になっちゃったりするとね。
- 中居:
- 気持ちでは「本当、今回よろしくお願いします」と思っ
てても、自分の気持ちと行動が反比例する時がありますから。
- 佐野:
- そうそう。「こんにちは。よろしくお願いします」って
いうのが、なんか形になっちゃってるから、本当に「こんにちは」本当に「よろ
しくお願いします」っていう相手に、本当の気持ちを本当に100%伝えるには、ど
んな挨拶をしたらいいのかってわかんなくなる時がある。まあ、たいていそうい
う時はあとで手紙を書いて贈ったりするけどね。
- 中居:
- 改めて。
- 佐野:
- 改めて。
- 中居:
- 挨拶が苦手ですか。
- 佐野:
- だから、それを学習してるんだ。ウマい挨拶の仕方を学
習してる。
- 中居:
- でも、そういうのってやっぱり演出じゃないですけど
も、自分で挨拶っていうのは作るべきなことなんでしょうかね?
- 佐野:
- また、学習というと、自分から学ぶという要素もあるけ
れども、誰か僕の知らないことを知っている誰かから教えてもらうということも
あるよね。僕が小学校に通っていた頃、あるいは中学校に通っていた頃いつも
思っていたのは、先生たちはいろんなことを教えてくれるんだけども、いつも教
えてもらうことが、すぐに古臭くなってしまうなと思ってた。
- 中居:
- え? たとうばどういう点ですか?
- 佐野:
- どういうことだろうな?
- 中居:
- 古臭くなってしまう?
- 佐野:
- どんどん新しいことを教えてもらうんだけど、現実のほ
うがスピードが早くって、先生から教えてもらったことが現実に役に立たないと
いうかね。
- 中居:
- それは学校の勉学っていうことですか?
- 佐野:
- うん。いわゆる学習ってこと。学校の中の学習。だか
ら、これは自分でどうにかね、何か学習していかなくちゃいけないなってことを
なんか思ってた。
- 中居:
- 学校の勉強以上にもっと大事な?
- 佐野:
- ことがあるんじゃないかと毎日思ってた。
- 中居:
- もっとやらなければならないことがあるんじゃないかっ
てことですか?
- 佐野:
- 焦ってた。それでたまたま15歳ぐらいだったかな? 14
歳ぐらいだったかな? 僕の好きなソングライターの一人に、ボブ・ディランとい
うソングライターがいるんだけれども。彼のレコードを何かのきっかけで聴い
て、そこでは英語で歌われていたから、歌詞の意味はその時にはわかんなかった
けれども、レコードを買って聴いてみたら、非常に共感を覚えたんだね。
- 中居:
- それは音で共感を覚えたっていうことですか?
- 佐野:
- うん、音。それから歌い方。それから詞の内容。ギター
の弾き方。そしてまたボブ・ディランというアーティストの雰囲気かな。それが
何か言葉では言えないんだけれども…うーん?
- 中居:
- その当時っていうのは、佐野さんは音楽は?
- 佐野:
- もう何かやり始めてた。ギターを持って曲を書きはじめ
てたり、詞を書き始めてたかもしれない。
- 中居:
- その共感ていうのは、尊敬であったり、憧れであったり
とか?
- 佐野:
- あ、憧れっていうのはあったかもしれない。それからむ
しろ、さっきの学習の話でもないけれども、学校の社会科で学ぶよりも、そのボ
ブ・ディランというソングライターの曲、詞を通して社会や世界を見たほうが現
実感があったんだね。
- 中居:
- 自分だけのためには、その彼の学習をしたほうが?
- 佐野:
- っていうか、彼の音楽のほうが、学校で勉強いるよか役
に立つような、そんな感じを受けた。そのくらい彼の詞は何というか、僕にとっ
て現実味を持って迫ってきた。
- 中居:
- その詞っていうのは、悲しい詞でしたか?
- 佐野:
- 悲しい詞でもなかった。一言で言えばね、とても難解な
詞だった。それから、言いたいことが10も20も30もあるので、ただそれをスケッ
チして書いただけでは言い足りないといったような様子。それから、右からも見
て左からも見て、上からも下からも立体的に見て、一つの詞が出来てくる。だか
ら、ものすごく立体的な詞であるし。言葉もなんか僕は難解だと思う。難解な詞
だった。だけども、なんかわかったような気がしちゃうんだな。また、10代の時
は何か難しいものに憧れてしまうという部分もあるじゃない。
- 中居:
- うんうん、わかります。自分の未知の世界のものにね。
- 佐野:
- そう、未知の世界のものに、憧れも含めてね。そういう
気持ちも相まっていたのかもしれない。
- 中居:
- それがきっかけで音楽に対する姿勢っていうのも、執着
心みたいなのも深くなって。
- 佐野:
- ええ。今、考えるとボブ・ディランのレコードを聴いた
ことが深く影響してるな。で、彼のなんて言うかな? 世界とか社会に対する態度
とか、まあ彼の音楽からしか推し量ることしか出来ないんだけども、実際に会っ
たことはないからね、どういう人かはわからない。でも、そこから10代のすごく
多感な時期に学習したことは、多かったような感じがする。
- 中居:
- 佐野さんにとっての人生の転機でもあったんじゃないか
と。
- 佐野:
- そうかもしれないね。
- 中居:
- へぇー。
- 佐野:
- とにかく、それ以来もうギターを持って毎晩毎晩詞を書
き、曲を書き始めたよ。
- 中居:
- 佐野さんの詞っていうのは、自分の言いたいことだった
り、物事をいろんな角度から見て結果が今に繋がってます?
- 佐野:
- 繋がってます。10代の時に僕が経験したこと。それから
感じたこと。それらは今でも僕の役に立ってる。
- 中居:
- でもね、さっきちょっと資料を見させていただいたんで
すけど、今、いろんなグループのロックバンドの方が出てますよね。そしてま
あ、数字的なことで言うと売れてる、売れてないじゃないですが、いろんなバン
ドの方がいて。佐野さんは今のこの日本のロック界に対する見方っていうのはじ
ういうものなのかな?
- 佐野:
- 今、新しい世代から、こんなこというと先輩面しちゃう
みたいで、本当はこんな表現はいけないのかもしれないけども、素晴しいソング
ライター、素晴しいバンドがかつてなくたくさん生まれてると僕は思う。今回の
僕の新しいアルバム「フルーツ」でも、実を言うと新しいバンド、新しい世代に
属するバンド、ごめんね、僕の視点から言うと新しい世代に属するバンドね。と
ても素晴しいバンドがいて、彼らと一緒にセッションした。それはすごく楽しい
経験だった。多分このMUSICCLAMPではもう特集したのではないかな? プレイグス
というバンドなんだけど。
- 中居:
- はい、はい。
- 佐野:
- まあ、トリオのロックバンドなんだけども、彼らと一緒
にセッションした。それは僕にとっても素晴しい経験だったよ。
- 中居:
- でも佐野さんは、今、流行っている音楽、今みんなに支
持されるんじゃないかと思われる音楽を敢えてしないみたいな。
- 佐野:
- そんなことはないよ。僕はね、曲を書くでしょ。曲を書
き終わった後「出来た。これがチャートNo.1になりますよに」っていつもお願い
してる。なかなかなれないけどね。それから、これは嘘だろってみんな言うかも
しれないけども、多くの人が知ってくれている僕の代表曲。例えば「SOMEDAY」で
あったり「ガラスのジェネレーション」。あるいは「ダウンタウンボーイ」や
「スターダストギッズ」という非常に初期の曲があります。これらの曲は当時、
僕が発表した時にヒットチャートにノミネートされなかったの。シングル
「SOMEDAY」は当時、最高位74位ぐらいだった。
- 中居:
- ええ?
- 佐野:
- 「アンジェリーナ」や「ガラスのジェネレーション」は
TOP100にも入ってなかったの。
- 中居:
- え? そうでしたっけ?
- 佐野:
- そうなの。
- 中居:
- あ、そうですか? あれ?
- 佐野:
- それでもね、アルバムはみんなたくさんの方が聴いてく
れて。また、当時、全国的にもツアーライヴやってましたからね。ライヴはいつ
も多くの人が集まってくれて。だから、確かにソングライターとして正直に言え
ば、「最高の曲を創ったんだ。こいつがNo.1にならないはずはない!」ぐらいの自
信を持ってレコード会社に「出来ました」って言うんだけど。なかなかNo.1にな
らない。けれども、ガックリきたりはしないんだ。
- 中居:
- え? それはなんで?
- 佐野:
- まあ、僕がデビューした時に、「SOMEDAY」や「アン
ジェリーナ」を当時出した時に、特にシングルヒットということはなかったけれ
ども、ライヴでそれらの曲を歌って。で、だんだんと多くの人がその曲を、逆に
心のヒットチャートというかな? それぞれの心のヒットチャートのNo.1に押し上
げてくれたんじゃないかなって思ってる。時間はかかったのかもしれないけれど
も、そのことは僕はすごく誇りに思ってる。とは言っても、やっぱりシングル
No.1は欲しいさ。だって、自分が書いた曲をたくさんの人が聴いて愛してくれて
るな、なんて思うことは最高じゃないか。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 佐野:
- 本当にそんな素晴しいことはないと思うから。
- 中居:
- でも、失礼ですけど、なぜそのNo.1にならないアーティ
ストの佐野さんのライヴに、常にたくさんのお客さんが詰めかけるかっていうの
は、佐野さん自身は?
- 佐野:
- 僕は、考えてみたことはない。それは僕自身がライヴで
演奏することがすごく好きなんだな。なんかすごく好きなの。何か自分が作った
曲、自分が考えた言葉をバンドの仲間の連中と一緒になって、列車に乗り飛行機
に乗り、いろいろな街に行って、待ってくれてるオーディエンスの前で1時間半か
2時間ダーッと演奏して。そこで、そのホールがすごくホットになって、で、みん
なに「おやすみ」という。公演が終わって「おすみなさい」という。そうした一
連のことがすごく好きなのね。
- 中居:
- その過程までもが、自分にとって好きなわけですよね。
- 佐野:
- そうだね 。生きてるなぁって感じがする。どうも家に
いて、机の前に座って詞を書いたてたりすると、「これは本当の僕じゃない」と
か思って。「早くツアーに行きたい」って思うことがある。だから、曲を作る時
も書く時も、たいてい机の前にかじりついて言葉を練り出すというよりか、自分
が動いてる時にハッと出てくることが多いよ。
- 中居:
- そう、僕も思ったんです。自分がね、例えば時間に追わ
れてるだったり、周りに追われるとかじゃなく、「曲を書かなきゃいけない」
「詞を作らなきゃいけない」っていう気持ちで作られてるんじゃないなと思って
たんですよ。誰からも強制されず、自分の趣くままに曲・詞・音楽を作ってらっ
しゃる方なんじゃないかなと思ったんですけど。
- 佐野:
- うん。それが僕のやりたいことかな。
- 中居:
- でも、今までもね、本当、長い間ファンの方々はその7
月のアルバムっていうのは、本当、久し振りな形で出されるわけですよね。その
長い間、ずっとアルバム作りをしていたのか、それとも自分が趣くままに書いて
作って、それが出来た結果が今になったんだよっていうことなのか。
- 佐野:
- アルバム、実際に制作に入ったのが去年の春ぐらい。4
月ぐらいかな? それで「よーし、アルバム制作入った。今は4月だ。パッパッ
パッと計算して、夏の終わり頃、つまり蝉の鳴き終わるぐらいまでには、みんな
に聴いてもらえるだろう」と思って、ある雑誌で「次のニューアルバムは蝉の鳴
き終わる頃には発表できると思います」って。ところがレコーディング始まって
みると、なかなかそうウマくいかなかったんだ。どんどん時間が。もう蝉もだん
だん静まってきてしまうし。時間に追われてくるし。で、結局、約束した時間に
は出来ないことがわかった。だから、わかった時点で、とは入ってもファンに約
束してるし、まあ、僕が元気にやってるところを見せなきゃいけないなっていう
気持ちもあって、翌年、年が明けてから、だから、今年の1月だったかな? 1月2
月、新しいバンドと共にツアーに出た。レコーディング作業はちょっとこっちに
置いといてツアーに。で、僕が大好きなツアーをとにかく2ヶ月間ぶっ続けでやっ
て、そうしたら体も心も頭脳も、すごくクリアになったような感じがして。ツ
アーから帰ってきた後、思いの他スムーズにアルバムをフィニィッシュすること
ができた。
- 中居:
- へぇー。そういうもんなんですかね。
- 佐野:
- だからね、アルバム作ってる間っていうのは、確かに
ね、レコード会社は「3ヶ月で作ってください」「もう締切ですから、どうにかし
てください」とせっ突かれるんだけども。「まあ、ちょっと待ってください」っ
ていつも僕言ってて、「少しだけ自由に作らせて欲しい」って。で、「もし、こ
のレコードを発表して、僕が後悔するようなことがあったらば、よくないから。
自由に心ゆくまで作らせて欲しい」。まあ、ちょっとわがままかもしれないけ
ど、いつもレコード会社にはそう言って。で、時間をかけて作ってる。
- 中居:
- 佐野さんの作ってる作品、音楽っていうのは、常に自信
のあるものと考えていいんですね? 聴く側としては。
- 佐野:
- 自信があるもの? そうだな、今、僕が歌いたい曲。そ
れと、僕が今、自分で聴きたい曲。
- 中居:
- 聴きたい曲?
- 佐野:
- 自分で聴きたい曲を自分で作るんだ。
- 中居:
- まあ、歌いたい曲っていうのはわかりますけどね。自分
で作った作品を、聴きたい曲を出すっていうことですか?
- 佐野:
- っていうかね、街にはいっぱい音楽があるよね。世界中
にいっぱい音楽がある。でも、どれも聴いてピンと来ないとしたら、自分が本当
に聴きたい音楽を自分で作るしかないと思っちゃうの。そういう意味。
- 中居:
- はいはい、はいはい。
- 佐野:
- だから、「フルーツアルバム」に収録されてるのは、
今、自分が聴きたい曲だし。また、今、心から歌いたい曲を収録しました。
- 中居:
- その「フルーツ」のなかで、いちばん最後に“死”とい
う言葉が。“そして、死”と最後にありましたけど。死というのは、やっぱり生
きている我々にとって、誰もが経験のないことで、誰もがやっぱり未知の世界で
あって。で、空想するわけですよね。佐野さんにとってその“死”に対するこだ
わりじゃないですけど、どういうふうに考えてらっしゃるのかな?
- 佐野:
- 僕は小さい頃、死ぬことが恐かった。いろいろと想像し
てみて、「死ってどういうことだろう?」「自分がこの世の中からになくなってし
まうって、どんなことだろう?」。そんなことを想い巡らせてると、死っていうの
はすごく恐く感じて。ただ、少し成長して、映画や小説や、いろいろな他の作家
たちが書いた作品を通してね、その死というものは、それほど恐くない。そんな
に恐れることではない。誰もが経験することだし、何も自分だけに起こる出来事
ではないんだなっていうふうに、少し、昔ほど死を恐れないようになったの。そ
して、さらに成長して、これは1年前、僕の母が亡くなった。で、僕は母が亡くな
る時ずっと一緒にいたんだ。2ヶ月間ぐらいずっと一緒にいた。で、彼女がコトッ
と息を止めて天国に行く瞬間まで、僕はずっと彼女のことを看てたんだ。その時
に「死はちっとも恐くない」「死はとても厳かで、感動的なものだ」って思っ
た。でも、100%そう思ったかどうかわからない。悲しみのほうが先に立つから
ね。そう思い込もうとしたのかもしれない。でも、これから何年僕が生きるかわ
からないけども、きっと自分が死ぬ時に、死についてもっと本当のことがわかる
だろうなって思う。難しいテーマだけどね。
- 中居:
- そうですよね。これは断定できないですからね、「死と
いうのはこういうものなんだ」って。でも、その五つの要素が「フルーツ」に。
だから、「フルーツ」っていう言葉を聞いた時に、すごく甘いアルバムなのかな
と。すごい甘い香のするアルバムかと思ったんです。でも、その「フルーツ」と
いうタイトルに対する五つの要素が、あまりにも僕にとって疑問じゃないですけ
ど、ちょっと衝撃があったんで。どういう感性で、どういう物の捉え方でこうい
うふうに付けられたのかな? って思ったんですけどね。あの五つっていうのは、
僕にとってちょっと衝撃的だったですね。で、その前に組んでらっしゃったグ
ループから、今の。
- 佐野:
- ええ、インターナショナル・ホボ・キング・バンド。
- 中居:
- その昔やってたバンドと今やってるバンドっていうの
は、やっぱり捉え方っていうのはぢかうと思うんですけども。佐野さんにとって
どうなんでしょうかね? 音楽に対する接し方が変わったのか、それとも逆にただ
メンバーが変わっただけなのか。そのへんはどうなんでしょうかね?
- 佐野:
- 多分、テレビみている方たちもね、バンドというものが
どういう関係で成り立っているのか、多分、ウマく想像できない方が多いと思う
んだ。で、それぞれのバンドによって成り立ち方も違いますしね。僕がレコー
ディングアーティストとしてデビューしてから、ずっと長い間組んでいたバンド
がありました。それはザ・ハートランドという名前だった。僕らがまだ22歳ぐら
いの時に結成したバンドで。そいて、ザ・ハートランドは当初、「頑張れベアー
ズ」だった。
- 中居:
- なかなか売れないじゃないですけど。
- 佐野:
- まあ僕も含めて下手クソだし、お客さんの前で歌っても
投げやりな拍手って感じだし。でも、「今に見てろ」っていう気持ちはいつも
あったのね。いつか本物のでっかい球場で、たくさんの人たちを前に、彼等の熱
狂するようなコンサートをやりたい。それは幸せなことに8年後が9年後に実現す
るんだけどね。とにかくバンドを組んだ時、僕ら「頑張れベアーズ」だった。そ
して、みんな22〜3歳。まだ多感といえば多感の頃だよね。で、僕ら出会った。そ
して僕らは15年間、一緒にライヴをするためにいろいろな街に行き、また、レ
コーディングもした。で、その間、僕らはお互いの成長を見続けた。それは例え
ばレコーディングスタジオの中で。あるいはそれぞれライヴに行った公演先の楽
屋の中で。感じからいったら、ザ・ハートランドというのは僕にとっては兄弟の
ような感じだった。中居君も一つのグループの中にいるわけでしょ?
- 中居:
- ええ。
- 佐野:
- もうどれぐらい経つの?
- 中居:
- 我々はもう8年。9年目です。
- 佐野:
- あ、そんなに経つんだ?
- 中居:
- ええ。
- 佐野:
- そうするとやっぱり、長男の役割とか次男の役割とか出
てくる?
- 中居:
- そうですね。役割分担じゃないですけど、そういうキャ
ラクターももちろんありますし。それはやっぱり兄弟に近いものはありますよ
ね。
- 佐野:
- そうするとやっぱり、お互いの成長を「あ、あいつ少し
成長したな」とか。
- 中居:
- でも、兄弟っていうのは、ちょっと捉え方違いますけど
も、我々にとってはある意味ではライバルでもあるんですよね。
- 佐野:
- ああ、なるほど。
- 中居:
- たとえば他のメンバーが活動であったり発言でもそうな
んですけど。すごい刺激になるわけですよ。
- 佐野:
- なるほど。
- 中居:
- でも兄弟っていうと、例えば弟がいたら「ほら、何やっ
てんだよ。ついてこいよ、おまえ」って。弟は「お兄ちゃん、お兄ちゃん」て。
最初の結成当時はそうだったんですけど、やっぱり年が経つにつれて、一人で自
分が人に頼らずに自分でやってく。それは兄弟でもそうでしょうけども、ある意
味ではもうライバル。いつも一番でいたい。常に一番でいたいっていうライバル
意識が我々にはありますから。だから、兄弟とはまたちょっと違うんじゃないか
なと思うんですけどもね。
- 佐野:
- その集まりはでも、すごく前進を目指す集まりだと思う
な。僕らがやってたザ・ハートランドの場合には、僕はなんとなく長男の役割を
してたんだけども、みんななんか次男坊みたいに優しくてボーッとしてるんだ。
いい意味でだよ。優しくてボーッとしてる。ピースフルなんだ。戦闘的ではな
い。
- 中居:
- 平和ですよね、でも。
- 佐野:
- そうだね 。まあ、バンドによっては、やはり自己主張
がたいへん強いメンバーが一人二人いると、彼らがエゴでぶつかってしまって急
にバンドが解散とかいうことはよくある。けども、かつて僕が組んでいたザ・
ハートランドというバンドに属していたメンバーは、みんなすごくピースフルな
連中だった。音楽をすごく愛していて、争いを好まない。そういう連中たちが集
まっていた。だから、何かいい意味でずっと仲良しでいられたんだな。
- 中居:
- でも、ぶつからないっていうことは、その次男坊たち、
自分たちのやりたい音楽が密かに自分の中であったかもしれないって。
- 佐野:
- 僕もそう思う。だから、ちょうど解散した時に彼らは自
分の音楽を作り出した。そして自分のレコードを作り始めた。だから、なんか仲
間として見ていて、僕も含めて、彼らも含めてバンドから一人一人が自立してい
く様子っていうのかな。それがちょっとだけ見えて、なんとも仲間として嬉し
かったんだ。そして僕もデビューしてから、もうだいぶ経つけれども。またバン
ドを結成してもう長い時間経ったけれども、バンドを解散した時に初めて「あ
あ、これで僕は本当に自立したのかな?」「バンド解散の日は、僕にとって独立記
念日だったのかな?」そんなことを思いました。あんな感じは、僕、初めてだっ
た。そして今、また新しい仲間たちと一緒にやってるけどね。
- 中居:
- それ、また勝手が違うと思うんですよね。今までのね、
次男坊たちじゃないですけど、「みんな俺についてこい」というのとは環境も違
うでしょうし。その他のバンドのメンバーの方々の音楽に対する姿勢も多分、違
うと思うんですよ。逆にまた闘争心じゃないですが、闘いが同じメンバー内で生
まれてくるんではないかなと。
- 佐野:
- ええ。かもしれない。今、新しいバンドがインターナ
ショナル・ホボ・キング・バンドっていう、ちょっと長ったらしい名前がついて
るんだけども。そこで演奏してくれてる彼らはみんな腕前は一級の連中たちで。
そして、みんなすごく個性が強い。一人一人個性が強い。で、初めて彼らと会っ
たリハーサルスタジオで「じゃあ、これから一曲やろう」って言った時に、「あ
あ、これはもう、まとまり切れないな」と最初から思った。
- 中居:
- え? まとまり切れないんですか?
- 佐野:
- 「これはもう、まとまらないな」と思った。むしろ一人
一人個性が強いから、彼らに自由にやってもらったほうが、バンドとして逆にま
とまりが出てくるなと思った。
- 中居:
- じゃあ、闘いっていうか、必ず音楽の感性っていうのは
みんな違うわけですよね。それがぶつかることって絶対に生まれてくるんじゃな
いですか?
- 佐野:
- ぶつかったら僕がなんとかするよ。ってな感じかな。み
んな素晴しい音楽的なバックグラウンドを持っていて、みんな集まった時には一
つの曲に向かってね、みんな自分が知ってることを100%出して、ドラマーは叩
き、ベーシストは弾き、ギタリストは弾き、キーボードは弾くっていうような感
じ。だから、その点で言えば、すごく刺激的だよ。みんなが自分の知っている、
自分の音楽的な才能をフルに120%ぶつけて来るわけだから。だから、お互いにお
互いの演奏を聴いたり見たりプレイして様子をみたりして、「わぁ、すげえ
な」って心の中で思ってると思う。だから、すごく刺激的だよ。
- 中居:
- なるほどね。いや、でも、また音楽変わってくるでしょ
うね。
- 佐野:
- うん、僕そう思う。彼らの力を借りて、また、彼らとの
交流の中でね、自分の新しい音楽が出てくるなと思ってる。決して僕一人では僕
の音楽は出来ない。
- 中居:
- 御自身でもそう思われるんですか?
- 佐野:
- うん。僕はもちろんアコースティックギター1本でス
テージに立って歌うことはできる。だけど、2曲3曲そうして歌っているうちに飽
きてしまうんだ。そうして歌っているうちに、バックビートが聞えてくる。ドラ
ムやベースの音が聞こえ、どこかしらからブラスセクションのメロディが聞こえ
てくる。「やっぱりバンドが欲しいんだな」と思う。そして、複数の違った考え
を持った人たちが集まって、何か一つの方向にいく時にすごいエネルギーが出て
くるんじゃないかなって僕は思ってる。
- 中居:
- メチャクチャ格好いいッスよね。
- 佐野:
- そうなんだ。それが僕のバンドに対する憧れかな。
- 中居:
- それはカッコいいっスよね。
- 佐野:
- そんなバンドを目指してるんだ。僕らまだデビューした
てだから。
- 中居:
- でも、今後なんですけど、やっぱりライヴを中心にやっ
てくんですよね?
- 佐野:
- ライヴは続けていきます。
- 中居:
- 少しでもやっぱりテレビで、ライヴで会えない期間てい
うのはファンの人としては、テレビを通じて見たいっていう気持ちが絶対にある
と思うんですけどね。
- 佐野:
- そうですね。
- 中居:
- だから、このようにやっぱりね、何らかの形で会える機
会っていうのを、ちょっと増やして欲しいなっていう気持ちが。
- 佐野:
- 考えます。
- 中居:
- わかりました。ええ、そういったわけで、最後にです
ね、一つ聞きたいんですけども。
- 佐野:
- ええ。
- 中居:
- 今、いちばん欲しいものはなんですか?
- 佐野:
- いちばん欲しいものはね、えぇっと、今いちばん欲しい
ものは……友達が来た時に座る椅子。足りないんだ。今ちょっと足りないんだ。
あと3脚ぐらい必要なんだ。
- 中居:
- これ(セットの椅子)持っていきます?
- 佐野:
- いい?
- 中居:
- ええ。これ、じゃあ、一つだけにしてもらえますか?
- 佐野:
- わかりました。持って帰ろ。
- 中居:
- 三つだとちょっと番組、今後苦しいんで。一つだけじゃ
あ。
- 佐野:
- ありがとう。持って帰るよ。
- 中居:
- じゃあ、今後の活動も期待してますんで。我々を裏切ら
ないよう頑張っていただきたいと思います。今週のゲストは佐野元春さんでし
た。どうもありがとうございました。
- 佐野:
- どうもありがとう。
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