CLAMP TALK Vol.43

NAKAI in talking with KAI BAND.
- 甲斐:
- あのね、やっぱり、それはまあ僕のアイデアだったんで
すど。あのほら、20代だったらさ、もう音出しただけで勢いってあるじゃないで
すか。勢いがいいとは限らないんだけど。で、なんか、一回レコーディングして
る曲ばっかりなんで、あの、みんな一発録りっていうことで逆境に追い込めば、
闘争本能のメラメラと、巨人の星のようにさ。
- 中居:
- ああ、はいはい、はい。
- 甲斐:
- やっぱり炎がね。
- 中居:
- プレッシャーはかかりますよね。
- 甲斐:
- そうそう、そうそう。
- 田中:
- ええ、ありますよね。
- 中居:
- 追い込まれますよね。
- 甲斐:
- 追い込まれるね。
- 中居:
- それを出したかった?
- 甲斐:
- 中居君が「いいとも」で歌わされるようなもんですね。
……あ、そうか。ゴメンね。
- 中居:
- …………。あ、なるほどね。ある意味では、緊迫感を自
分たちに?
- 田中:
- そうですね。
- 中居:
- 自分自ら与えたかったってことですかね?
- 甲斐:
- そうするとなんかね、すごくホットなテイクがね、録れ
るっていうふうに思ったんですよ。そうしたらやっぱ、案の定すごくホットなや
つが録れたんで。
- 中居:
- それは仕上がったものがやっぱり?
- 甲斐:
- そうそう、そう。やっぱりね。やっぱりなんて言うか、
ほらもう、間奏どういうフレーズ弾こうかっていって、もう瞬時に思わなきゃい
けないわけじゃないですか。
- 中居:
- じゃあ、その時その時、自分のやりたい。
- 甲斐:
- うん。
- 中居:
- へぇー。でもそれは、冒険でもありますけどもね。
- 大森:
- でも、やっぱり20年近くやってるから、ある程度経験で
出来るのね、やっぱり。とっても楽しいし、瞬時に考えるのもいいし。
- 中居:
- いやぁ、そんなもんですかね?で、10年振りにやっぱり
会って「はい!やってみよう!」ってことですよね?それまでみなさん、いろんな音
楽の接し方をして、いろんな音楽やっぱり吸収してきたわけじゃないですか。そ
したらやっぱり、音楽に対するね、今までのお互いのイメージってまた変わって
るんじゃないかっていう不安感みたいのもあったんですか?
- 田中:
- いや、でもまあ、それはあるでしょうけども。初めてそ
の、ガキの頃バンド組んだ時点で、それまでの人生って短いながらあるじゃない
ですか。で、好みもあれば音楽的趣味もあるんですけど、一つの曲をカッコよく
しようとする時に、意外と一致する奴が同じバンド組んだりしますよね。
- 中居:
- え?そんなもんなんですか?
- 田中:
- で、今回、まずは甲斐バンドの昔の楽曲を録っていった
わけですから、曲のどこに一番大事なエッセンスがこもってるかっていうこと
は、まあそれぞれがわかっているわけですから。一つの掟を、ビートの一つを決
めると、あとは早いですよね。
- 中居:
- へぇー。そんなもんですかね?でも。
- 大森:
- だから、僕と一郎はギターなんだけど、僕がきっとこう
いうことを弾けば、一郎はこういうこと弾いてくれるだろうっていうのは、もう
わかってるわけ、前もって。だから、すごくやってて緊張感が溢れるし。また、
それをやってくれた時の喜びっていうのも、とっても楽しい。
- 松藤:
- 歳いってる分、もう自分の好きなことを、逆にもう固
まってきちゃってるから。余計に昔悩んでてやってた時よりも、もう一発これを
出せば「これが俺だ!」みたいなのも出来ちゃってるんで。「俺が俺が」で、
ちょっとうるさかったですけどね、ギター。
- 中居:
- やっぱりその12年間の間も、曲を作るに当たって、曲が
出来た時、「いや、俺はこれやりたいんだけども、その音は僕は違うと思うん
だ」ってやっぱり、音楽に対する食い違みたいのって絶対に生じると思うんです
よ。
- 甲斐:
- うん、そうそう。だから、それは若い頃、それを熱とし
て、その摩擦を熱としてね、ずっとやるわけじゃないですか。で、あの、多分そ
れは解散までずっと続いたはずなんですよ。で、一旦10年間ってインターバル置
いたことで、そこばっかり言っててもしょうがないし、かといって妥協するわけ
じゃないしっていう、ちょうどいいバランスで一枚作れたんだと思うんですけど
ね。
- 中居:
- でも、それはやっぱデビューから解散までの12年間てい
うのは、もうやっぱり、お互いやっぱりぜんぜん食い違うこともやっぱり。
- 甲斐:
- そうそう。ミーティングがすごく長いバンドだったんで
す、終わって。
- 中居:
- あ、例えばライヴならライヴが終わった後に。
- 甲斐:
- うん。で、あの、ライヴ終わるじゃない。で、会場の閉
館時間てあるじゃない。閉館時間超すわけ、ミーティングで。
- 中居:
- ああ、それは迷惑なバンドさんですね。
- 甲斐:
- そうそう。
- 田中:
- 迷惑だ。
- 大森:
- 本当にそう。
- 中居:
- 嫌がられますよ。
- 甲斐:
- でもなんかさ、モメてる時のがいいよね
- 田中:
- うん。
- 甲斐:
- そうでしょ?なんか、何だっけ?摩擦こそ力じゃない。絶
対大事だよね、それ。
- 中居:
- いや、でも、モメるの嫌じゃないですか。
- 甲斐:
- いやいや、リーダーでしょ?俺もそう。
- 田中:
- リーダー対談。
- 中居:
- でも、嫌じゃないですか、モメるの。
- 甲斐:
- で、あの、だけど胃が痛くなりそうなリーダーでしょ?
- 中居:
- もう、嫌ですよ。
- 甲斐:
- どっちかっていうと嫌でしょ。ものすごく気ぃ遣ってる
よう感じするもんね、いつも見てて。
- 中居:
- そんなじゃないですけど。
- 甲斐:
- いいなぁと思って、思うんですけど。モメさせるリー
ダーだもん。
- 中居:
- 火をつけるの?
- 甲斐:
- そうそう、そう。
- 中居:
- 火ぃつけちゃダメですよ。
- 甲斐:
- そうなんですよ。
- 中居:
- 常に丸く収めようとしないとダメですよ。
- 甲斐:
- そうなんだよね。いいなぁ。どうなんだろうね?だか
ら、それでどっちが何年続くかっていう。そんな勝負してどうすんだよって。
- 中居:
- でも、ぶつかる時はやっぱり、もう本当に正面からボー
ンとぶつかりますけどね。
- 甲斐:
- そうそう、そう。なんかそれのがいいもんね。
- 中居:
- ええ、気持ちいいですし。
- 甲斐:
- 忌憚のないほうが気持ちいいですね。
- 中居:
- どんな感じになるんでしょうかね?その昔の盛り上がり
ね、活動してた当時の盛り上がりが、今もそのまんま同じ雰囲気をすることがで
きるのか、今やっぱりね、先程もいったように、いろんなバンドの人が出てき
て、いろんな見方があって、いろんな聴き方があるじゃないですか。やっぱり、
そこらへんの形態も変わってきてるのかなとか思うんですけども。今、現時点の
バンドとか御覧になってどう思います?
- 甲斐:
- でもさ、あの、今みんなバッて出てきたらワッとスタン
ディングオベイションで立ってやるじゃないですか。あれ。一番最初にやったの
僕らなんですよ。昔は立っちゃいけなかったんだもん。
- 中居:
- みんな座って観てたんですか?
- 甲斐:
- そうだよ。
- 中居:
- ええ!?
- 松藤:
- 立っちゃいけなかったの。
- 甲斐:
- それで、アンコールだけ、いきなり人が変わったように
前に走るの。
- 松藤:
- うん、前に走ってくるの。ずっと座って観てて。
- 甲斐:
- 気持ち悪いでしょ?
- 中居:
- 嫌ですね、それ。
- 甲斐:
- 嫌でしょ。
- 中居:
- 盛り下がっちゃう。
- 甲斐:
- それで、1980年ぐらいの時に僕が、小屋の人とかみんな
説得して、「自分の席だけで立たせるようにとますから」とかって説得して、会
場回してさ。
- 中居:
- へぇー。
- 甲斐:
- それで、で、曲2曲やるじゃん、最初。2曲やったら、客
に「自分で買った場所なんだから、自分でそこの場所動かないんだったら、立っ
ていいよ」っていう話を、なんか2年ぐらしてまわりましたよね、俺は。
- 松藤:
- やってたよね。
- 大森:
- 全国ツアーで。
- 甲斐:
- 巡礼のように。で、当時、100本から120本ぐらい回って
たから、1年間に。っていうような、「全部俺がやったんだよ」って、そういうこ
とじゃなくって、そういう手助けを、あの時一緒にしたんですよ。
- 中居:
- へぇー、すごい。
- 甲斐:
- それ、すごいだろ、なんか。
- 中居:
- 今もう本当、当り前じゃないですれけども。
- 甲斐:
- 当り前になってるでしょ。
- 中居:
- 当り前のように本当に。
- 田中:
- いや、あそこ、自分の椅子で立つ人っていなかったの
よ。すわって聴くか怒涛のごとく押し寄せるか。
- 甲斐:
- 前に行くか。でもさ、前に行くと、なんか200人だけ人
だかりで、200人だけ熱狂してて、後ろちっとも熱狂してなとかってなるじゃん、
なんか。そういうの人のコンサート観てて、日本人のフォークの人観てて、嫌だ
よなぁってすごく思ってて。なんか、エルトン・ジョンとかさ、サンタナとかな
んか来るじゃない。レオン・ラッセルとか。そういうの来ると、ワァーッて盛り
上がってるわけ、みんな。立たないけどね、当時は。
- 中居:
- いわゆる会場もステージも一つになるじゃないですけ
ど。
- 甲斐:
- そう。一番後ろまでしっかり盛り上がってるわけ。ああ
いうのが、一番幸せじゃないですか。だから、方法はないのかなって思って。だ
からアメリカでいうスタンディングオベイション形式とは違うんですよね。アメ
リカってのは、盛り上がった時だけ、みんながバァーッて立ってるバァーッてや
るじゃない。で、またサーッと静かになってったりするんだけど。ちょっと日
本、エセスタンディングオベイションなんだけど。なんかそういうふうなほうが
面白いなって、すごく思ってたんだけどね。
- 中居:
- お客さんのその見方っていうのも、それぞれ違いますか
らね。バァーッて前に行く人もいれば、後ろでとにかくゆっくり観たいっていう
人もいれば。いやぁ、でも、それは初耳ですね。
- 甲斐:
- だからなんかね、巡礼のようだったよ。何やってんだろ
うって。
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