CLAMP TALK Vol.36

NAKAI in talking with TAKURO.
- 中居:
- じつはあの、拓郎さんがデビューしたのが70年で、僕、72年生まれなんですよ。
- 吉田:
- ああ、そうですか。
- 中居:
- ……………。
- 吉田:
- ああ、そうですか。
- 中居:
- ええ、「イメージの詩」っていうので。
- 吉田:
- ええ、そうなんですけど。
- 中居:
- その時は、僕はまだ生まれてなかったですよね。
- 吉田:
- ああ、そうですか。
- 中居:
- なんで、こういうふうにね、番組とかテレビを通して、生まれる前にスタートした御自分、拓郎さんと、ここで話すっていうのはなんか感覚的にはどんな感じなんだろうかなとか思って。
- 吉田:
- そうですよね。僕がそちらの立場だったら嫌ですよね。
- 中居:
- いやでも、僕はでも。
- 吉田:
- ですから、やっぱ、なんかすごく申し訳ないような気持ちもあるんですけどもね。でも、中居さんにお会いできるっていうだけでもまた、なんか生きていてよかったなと。
- 中居:
- ……………。
- 吉田:
- 僕、だって、僕はやっぱり本音を言うと「SMAPの方にお会いできることはないだろう」と思ってたんですよ。だいたい出不精でこういう人間ですから、あんまりその、なんて言うんですか?あんまり器用なほうじゃないですからね。
- 中居:
- テレビもあんま、そんな出るタイプでもないですね。
- 吉田:
- じゃないですから。だから、家で、お茶の間で見てる以外で、どっかで擦れ違うぐらいしかないのかな。あと、遠くから幸せを祈るぐらいの感じでいるのかなと思ってますけどね。お会いして、こうやってお話できるとは、これはもう家族の誉ですね。
- 中居:
- 面白い方ですね。
- 吉田:
- 今日から僕、胸張って生きていける。いや、テレビってそういうもんですよ。憧れて見てるのが素晴しくて。
- 中居:
- でもあの、ね、まあ年月じゃないですけども、やっぱりその場数じゃないですが、やってるその歴史っていうのは拓郎さんはやっぱり、だいぶ先輩になるわけですし。そういう人がなんか、そういうふうに言っていただけると。
- 吉田:
- いや、でもね、本当なんですよ。あの、僕、テレビとかがよくその、こっち側にね、テレビ側っていうこの内側のほうによく来ない人ですから、よくわかりませんけども。基本的にテレビを見る自分ていうのは、テレビに出てる人に憧れてるんですよ、いつも。だから、「素敵だな」とか「つまんない奴だな」とかねそういうのをいつも感じながら。だから、「素敵だな」と思う人なんかが出てくると、やっぱりつい見てしまったりとか。僕はすごいミーハーなね、テレビファンだなっていうのは、もう若い頃からそう思ってます。
- 中居:
- へぇー。
- 吉田:
- いつも僕の中で、いつも憧れのスターとかヒーローがいましたし。それはテレビに出たりする人でね。だから、自分ではなかなかそういう機会がなかったけども、今でもやっぱりお茶の間で見ながら「あ、いいなぁ」とか。お幾つですか?
- 中居:
- 23です。
- 吉田:
- だからね。もう、それだけでもう素晴しいじゃないですか。もう23ていうだけで、もうすごいですよ、ええ。
- 中居:
- じゃあ、世の中いっぱいすごい人いますよね。
- 吉田:
- あ、それは23ぐらいの人たちは、みんな「自分はすごい」って思っていいんですよね。絶対すごいですよ、23だっていうだけで。
- 中居:
- え?拓郎さんの23の時も?
- 吉田:
- すごかったですもん。もう本当に。もう東京へ広島から出てきて、2〜3年経ってましたけども、もう自分ですごいと思ってましたもん。
- 中居:
- え?何に対してですか?
- 吉田:
- もう何にでも。世の中だろうが、政治だろうが、ミュージシャンだろうが、俺がすごいって思ってましたから。それは勘違いですけどね。そう思って、思い込んだ日からもう、そのまんま10年ぐらい経っちゃいましたからね、アッという間に。
- 中居:
- へぇー。それ、自信ですか?
- 吉田:
- うん。23の頃の自信っていうのがやっぱ、今、考えると素晴しかったなぁって思って。あれはつまりその、いろんな仕事をこなした上で生まれてくる自信じゃなくて、若いっていうことを裏付けにした自信だから、自然な自信だから。成り上がりでも、もう勘違いでも、素敵に思えちゃう。計算ずくじゃないから。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 吉田:
- そういうなんか、若いっていう自信ていうのは、それ、絶対に素晴しい。
- 中居:
- え?じゃあ、今、拓郎さんは?
- 吉田:
- 僕、50です。
- 中居:
- 50は26〜7年経ってますけども、自信は?
- 吉田:
- いやぁ、ないですね。自信ないですね。もう今、そういう感じをちょっとでも出そうものなら、ちょっともうダメですよね、それは。もう、そういうのはないんですよ。
- 中居:
- へぇー。まあそれは若い頃は。じゃあ、決して守りに入るようなことはなかったでしょうね。
- 吉田:
- ないですよ。守りなんか絶対ないです。23の頃に守りに入ってたら、まあそれは相当違う人生を送ってるような気がするんだけども、絶対にない。それはもう、女性に対しても攻めるし、仕事でも攻めるし。とにかく絶対。
- 中居:
- 前へ前へ前へですよね。
- 吉田:
- うん。後ろなんか絶対見ないし。
- 中居:
- あ、そうですか。
- 吉田:
- それってやっぱり、20代の頃じゃないと出来ないそういうエネルギーとかバイタリティっていうのがあって。で、40ぐらいになってから「あの時みたいにやろう」ったってもう出来ないっていうのがあると思うんですね、僕は。それはね、すごいんですよね。だから、自然に頬がこけてる人の自信は羨ましい。
- 中居:
- いや、でも僕はあんまり自信は……。いつも不安と隣り合せじゃないですけども。
- 吉田:
- ああ、それはだから多分、おそらく僕らの時代とは時代も変わったから、けっこうそういうナイーブな、非常に感性豊かな若者がいっぱい出てきたっていうことじゃないですか?僕らの時代はもう、とにかくみんな、ともかく「俺が俺が」って言う奴ばっかですから。ぜんぜんね、周りと仲良くしようと思わない連中ばっかりだったの、周りが。
- 中居:
- 自分が一番でありたい。
- 吉田:
- うん、自分が一番。そんなんで、夜、酒飲み行ったりとか騒いでても、みんなお山の大将で「俺が俺が」っていうタイプばっかりですもん。僕もですけども。
- 中居:
- へぇー。あ、そうなんだ。
- 吉田:
- だから、バンドとかグループっていうのに、すごい憧れてましたね、やっぱ。なんか「よくそんな仲良くやってられるな」ってね、ああいうグループとかバンドっていうのは。だからバンドなんか解散すると「やっぱりかな」とか思ってましたね。今でもバンドとかグループに憧れてますからね。僕、年齢さえ若かったらSMAPに入りたかった、本当に。
- 中居:
- あ、じゃあ、年齢だけで?
- 吉田:
- 才能はちょっと。顔とか。僕ね、顔で売ってたんですよ、昔。
- 中居:
- ルックスでしたっけ?
- 吉田:
- ええ。僕、ルックスだけだったんですよ。才能ゼロで。それからまあ、見てくれだったんですね、僕は。本当に。周りが変な奴ばっかですから。見てくれだったんですよ、本当に。それ、すっごい今、面影ないんだけど、すごかった。
- 中居:
- あ、そうですか。
- 吉田:
- ええ、浮いてましたよ、だから。
- 中居:
- 50ですよね?
- 吉田:
- はい。
- 中居:
- 面白いの好きですか?
- 吉田:
- ええ。大好きですね。僕、志村けんさんの大ファンなんですよ。
- 中居:
- ってことは、今後もじゃあ、僕と志村けんさんを天秤にかけるわけですね。
- 吉田:
- これね、選びにくい選択ですよね、僕にとってはね。本当に。ちょっと悩ませて下さい。どちらを一の師匠にするかっていうのは。けっこう心の師ですからね。志村さんもけっこう老けてますからね。肌の衰えは僕ぐらいっていうことで、中居さんのほうがね。
- 中居:
- でも、作ってる歌と喋ってる…。
- 吉田:
- ええ、作ってる歌は嘘です。
- 中居:
- ……え?
- 吉田:
- あれは嘘です。あれはポーズですから。
- 中居:
- ……え?ショック。
- 吉田:
- ええ、嘘ですよ。
- 中居:
- え?そんな。ちょっと、嘘でもそんなこと言わないで下さいよ。
- 吉田:
- いやいや、嘘なんですよ。本当にね、お酒をガバガバ飲んだりとか、煙草スッパスッパ喫って引っ繰り返るようなことはないんですよ。すごい健康に気を付けて。
- 中居:
- いえ、その作った当時ですよ。デビュー当時の。
- 吉田:
- いや、それなりにやっぱりね、「自分ではこのへんが限界だ」と思うと、すぐ切り上げるっていう奴なんですよ。
- 中居:
- なんか僕、アルバムとか聴いた時に、あの、僕が知らない曲なんだけども、なんか自分の昔かなんかを思い出させるような歌なんですよね。
- 吉田:
- 嘘なんですよ、だから。本人、ぜんぜんわかってないんですから。なんか深そうなことばっかり言ってるんだけど、本人はすごい上っ面に、表面だけで生きてきたんですから。だから、女性に対して、なんか理屈っぽくて。なんかいろいろ考えてそうで、じつはぜんぜんわかってなくて顔から入っちゃってそれで終わってるという。そんだけのことなんですよ。ええ、本当に。
- 中居:
- だから僕、詞を見て拓郎さんのイメージじゃないですけども、人間をいろいろと考えて、理想がとにかくあったんですよ。とにかくやっぱりこだわりがすごくある方だと。
- 吉田:
- ああ、それはないですね。
- 中居:
- で、常になんか強い気持ちがあって、常になんか人と違う視野でいろんなものを見てんじゃないかなと。
- 吉田:
- ああ、僕ね、そういうあの、ちょっと変わったとことかは知ってたかもしれませんけど、基本的にはメチャクチャ女々しい奴で、すぐ泣いちゃう、若い頃から。いじめられたりとか殴られたらすぐ泣いちゃう。弱いんです。
- 中居:
- え?なんでああいう詞が書けるんです?
- 吉田:
- いや、嘘なんですよ、だから。
- 中居:
- もう想像で?
- 吉田:
- なんかそういう自分で描く理想のものがあって、それをなんか自分で書いてるうちにそこになり切って、自分で。で、それに例えば、夕べフラれてね、こんな詞書いてるうちに「その女が何だかんだ」なんて書いてるうちに自分でその気になって、次の日からはそうやって肩で風切ってあれいて、街を。「俺はあんな女に」なーんて言ってるのが一つのポーズだったんだけども、よく考えると全部嘘で。本当は追っかけてって「助けてくれ」って。「俺を捨てないでくれ」って言いたいようなことだったんだろうけど。そんな気がするんです、全部。
- 中居:
- へぇー。
- 吉田:
- で、家へ帰って、きっとフラれて、例えばね、女性と別れた時なんかは、奇麗に別れたりしたような歌作ってるんだけど、じつは家帰って一人でグジグジグジグジね、言ってたに決まってるんですよ。
- 中居:
- そういうのを詞にしようとは思ったことは?
- 吉田:
- だって、「あの娘の家に火つけたい」って歌にならないでしょ、そういうのはね。うん。だから、それぐらいのことを考えてたんじゃないですかね?すげぇつまんねぇことを。
- 中居:
- へぇー。ちょっとギャップが。僕にとってちょっと大き過ぎましたね。
- 吉田:
- いや、そんなもんですよ。
- 中居:
- そんなもんなんですかね?
- 吉田:
- ええ、そんなもんですよ。
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