CLAMP TALK Vol.33

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NAKAI in talking with TAMIO OKUDA.


中居:
よくアーティストの方は、充電期間1年間乃至2年間と か言うじゃないですか。僕なんかにとっては、ちょっと考えられないことじゃ ないですけども。とりあえず、何を充電してるのか?

奥田:
ああ、いや、まあ。

中居:
いや、本当にわからないんですよ、本当に。ただ体を 休めてるっていっても、1日2日寝れば休まるんじゃないかなとか。

奥田:
ああ、そうですね。

中居:
1年か2年間ぐらい充電期間て?

奥田:
体力面で言うと、なくなりましたから、体力が、休ん だから。マイナスになってるんですけどね。充電したのがね。あの、まあ曲と かを作るのに、まあ作るだとかライヴをやるだとか、そういうのをずっとやっ てると飽きるというか。なんて言うのかな?まあ要するに煮詰まって作るのが楽 しくなくなってたりちょっとしたんですよ。だからもう音楽とかをぜんぜん家 でも聴かなかったし。

中居:
それは自分に対して「忘れたい」っていう?

奥田:
忘れたいっていうか、そういう気が起こらなかったん ですよね、当分。もう解散して、抜けた状態になってですね、けっこう何もや る気が起きない的なことになったんですよ。それでまあ、1年ぐらい休めるよと いうような周りの状況だったんで、どうなるのか、まあちょっと。

中居:
じゃあ、その間はもう本当、真っ白の状態ですか?

奥田:
そうですね。あんまだから、人の曲とかも聴かなかっ たし。ギターを持つこともあんまなかったですし。

中居:
それは何がきっかけで自分が曲を作るなり、何がきっ かけで?

奥田:
そうですね。まあだから、ずっと離れていたら、まあ 逆に、だんだんやっぱりやりたくなってきてるんですね。

中居:
恋しくなる?

奥田:
そうですね。それで、例えば友達のライヴとかに観に いったりすると、もう「ああ、これをやっぱりやりたいな」という気持ちで。

中居:
刺激されてってことですね。

奥田:
うん。それでまあ、休んだ分なんて言うんスかね?曲 とかも素直にどんどん出来たというかですね。まあ、やる気が増したという か。

中居:
やっぱりグループでいたヴォーカルの民生さんと、一 人のアーティストとしての奥田民生さんていうのは、また違うと思うんですよ ね。

奥田:
ええ、ええ、そうですね。

中居:
やっぱりぜんぜん勝手が違うんですか?

奥田:
勝手?そうですね。あの、今は例えばツアーのメン バーとかとね、レコード作ってて。その現場ではバンドの乗りでべつに変わら ないんですけど。なんか一人になった時というかですね、曲を作る時にまあ。

中居:
不安感とかありませんでした?

奥田:
一人のですか?ありますよ。例えば、こういう場にも 一人で来て喋らなきゃいけないじゃないですか。それがね、恐かったんですよ ね、最初。まあ、今もちょっと恐いんですけど。

中居:
今、恐いんですか?

奥田:
っていうか、いたら何とかなるじゃないですか。

中居:
まあ、無責任じゃないですけどもね。

奥田:
そういうのでやってきたので、ポッと一人になると ね、辛いんスよね、けっこうね。

中居:
え?それはこういう番組だけでなく、音楽に対しても もちろん?

奥田:
そうですね。曲作る時とかも、メンバーのその「こう いうことをやりそうなメンバーだ」っていうのをわかっていて、それを頭で想 定して曲を作ってたんで。それがなくなると本当にもう、まあ自由にはなるん ですけど、その自由なぶん何やっていいのか、ちょっとわからなくなったりす ることもあるんじゃないかと思うんですよ。

中居:
まあ、自分の出した作品が全部自分に返って来るわけ ですし。

奥田:
そうですね。そういうのもありますし、人のせいに出 来ないのでちょっとね。だから、今はこの一人の状態なんですけど、早く友達 が欲しいなと思いまして。

中居:
でも、木村君とかもね。

奥田:
っていうか、バンドを僕はやっぱり結成したいんです けど。

中居:
改めてですか?

奥田:
そうです、そうです。バンドは好きなんですよ。

中居:
やっぱり仲間と一緒に音楽を作るっていうのが?

奥田:
そうですね。それがやっぱり責任逃れというか。そう いうのもまあ、あるんですけど。ある程度無責任なところでやる音楽っていう のも、ありだと思うんですよ。一人の個人的な音楽もまあ確かにいいんですけ ど。そうじゃなくて、何人かでやって、いろんな意見が入ってて、統一されて んだかされてないんだかっていう状態の音楽というのも好きで。

中居:
その複数でグループを組んで、バンドを組んでやって ますと、100%120%は自分のやりたいことっていうのは出来ないですよね、逆 に。

奥田:
そうですね。まあでも、完全に自分のやりたいこと じゃなくても、逆に自分に出来ないことが出来るので。自分の中でしか考えて いないものが、人の意見が入るとまあダメになることもあれば、大きくなるこ ともあるので。そっちのほうがギャンブル性があるのでね。

中居:
ああ、なるほどね。 じゃあ、決して人真似とかっていうのは好きじゃないですね。

奥田:
でも、どうなんですかね?いわゆるロックバンドの形 態というのはね、例えばレッド・ツェッペリンとかっていうのは、形態として は僕はすごくカッコいいと思っていて。それはずっと今でも変わらなくて。あ れ以外のスタイルでバンドを新しいものを作るんだという気はないわけです よ。形態的にはあれを真似ていたいというかですね、そういう後ろ向きなとこ ろがけっこうあって。

中居:
ああ、なるほどね。

奥田:
とか音作りとかにしてもね、誰もやっていない新し い音とか、僕はあまり好きというか、あまり求めないんですよ。その昔のレッ ド・ツェッペリンのジミー・ペイジが出してた音が出したいとか。そういうこ とがけっこう多いので。そういう意味では真似をするのは好きかもしれないで すね。

中居:
へぇー。余計わかんなくなってきましたね。

奥田:
まあでも、曲とかそういう作品、なんて言うんですか ね?トータルでね、そういうスタイルを真似するけども、トータルで見ると誰も 他に例がないというのは、目指すところなんですけどね。

中居:
だから、部分部分でね、この音が出したい、あの時の あのアーティストの音が出したいって。

奥田:
ええ、そうなんですよ。

中居:
詞を書く時でも曲を作る時でもそうですけど、やっぱ り何らかの形で自分の訴えたいものであったり、自分の主張じゃないですけ ど、聴く人の前での標準ていうかね、聴き方もぜんぜん違うでしょうけども ね、何らかの形であるような気がするんですよね。僕、曲とか詞とかって作っ たことないんで。

奥田:
まあだから、もともとは作り物なので、曲っていうの はね。なんて言うんですかね?作り物というか、要するに紛い物でもいいと僕は 思っているので。要するに作品として良ければいいやっていう。けっこうそう いうスタンスでいるほうが、いろんなことが出来るかなと思ってね。あんまり 自分の「俺の心の叫びを聞いてくれ!」っていう状態だと、やっぱりそんなに心 の叫びっていうのはたくさんないと思うので、凝り固まると思うんですよ。 やっぱり広げようとすると、「曲なんてたかが作り物だ」というスタンスでい くのがいいんじゃないかなとは思うんですよね。でも、やっぱり作ると、やっ ぱり自分の性格が出てくるので、やっぱりそうは言っていてもね。

中居:
出ちゃいますよね。

奥田:
そう、出ちゃうんですけどね。出て「いかんな」とか 「このまま煮詰まるかな?」とか思いつつ、つい出ちゃうんですけど。一応、志 はそういう志を持ちたいと思っていてですね。

中居:
じゃあ、民生さんが自分に一方的に音楽、作品、歌を 作って、一方的にって言っちゃああれですけど、まあ「楽しんでもらえればい いな」と。ライヴなりで。

奥田:
そうですね。まあ、長く音楽をやりたいので、いろん な方法を試したいし。いろんな音楽をやりたいのでね。その、できるだけ凝り 固まるような要素は排除してはいきたいんですよね。特に、長くだんだんやっ てると、まあべつに僕はそんな長くはやってないですけど、それでもまあ、例 えば10年やったら嫌いなもののほうが増えていくんですよね、音楽とかも。

中居:
そういうものですか?

奥田:
好きなものっていうのは、だんだんなんて言うんです かね?嫌いなものってなんか増えるんですよ。

中居:
え?それは音楽?

奥田:
音楽のジャンルとかにしても。

中居:
そんなもんですかね?

奥田:
なんかね。だから、そういうのがあった時期とかも あって。それで、普通に音楽聴いてるだけだとしたら、そんなこと多分ないと 思うんですけど。自分でやるっていうことで、とりあえず自分に出来ないこと だったりとか、そういうのを自然に排除してしまっていたりしてはいないだろ うか?とかね。それがけっこう危機感になってたりするので。

中居:
例えばプレッシャーとかにも。

奥田:
だから、そのままどんどん小さくなって、音楽を嫌い になったらとうしようかとかいう不安もなんかあるんですよね。

中居:
狭まって狭まって。

奥田:
そうそう、そうそう。

中居:
嫌いなものどんどん避けてってことですね。

奥田:
そう。音楽自体が嫌いになったらね。

中居:
ちょっとマズいっスよね。

奥田:
そう。掃除しなくてはいけなくなってしまう。

中居:
でも、民生さんやっぱり今の段階で、音楽だけやって るのが自分ではやっぱり心地いいですか?

奥田:
あの、まあ他のことを知らないだけなんですが。あ の、音楽を例えば、もうちょっと突き詰めてなんか「ああ、俺はすごいか な?」って自分でもし思えば、ちょっと他のことも目に見えてくるかもしれない ですけどね。とりあえずだから、余裕がないですね、その他のことに目を向け る。

中居:
でも、時間がある限りいろんなジャンルじゃないです けども。

奥田:
もともと性格としてはね、一つのものをずっと追及す るタイプではないと思うんですけど、たまたま音楽以外の才能で、自分で「こ れだ!」と思えるもの今のところないし。それで音楽もそのまま楽しくできてい るし。そういうことで他のものが目に入る余裕っていうのがあんまりなくて。

中居:
好奇心はあるわけですよね?

奥田:
あの、まあ、変わらないのが多分、変わらないのが じゃないや。変わるのが恐いんですよね、だから。

中居:
それは変わりたくないっていうことですか?

奥田:
そうですね。今の状態っていうのは多分、いい状態だ と思うんですよ。なんか良くさせていただいてるし、いろんな面でもいい状態 だと思うんで、これをこのまま維持したいという気持ちはけっこうあるんです よ。だから、出来ることならこのままの状態でいけたら、まあ楽は楽だし、い いかなと思って。音楽的にもね、そうやって一つのことに突き進めるっていう のは、きっといいことだろうと思うので、いいんじゃないかなと思うんですよ ね。

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