CLAMP TALK Vol.31

NAKAI in talking with TORTOISE MATSUMOTO.
- 中居:
- これは僕ももちろんだけど慎吾君とかね、剛君とか本当好きでね。「ガッツだぜ」の曲のあのビデオはとにかく好きでね、みんな。最初、僕、わかんなかったんですよ。で、「これ、誰が作ってる人なのか?」って。で、「誰が構成してるのかな?」ってメンバーと話してて。「このビデオ、何処に向かってる?」って。
- 松本:
- どこに向かうか?
- 中居:
- うん。「これは何を訴えたいんだろうね?」って話をしてたんですよ。でね、「これを作った人とか演じてる人はね、多分、向かうところが自分たちでもわかってないんじゃないの?」って話をしてて。でも、あれは何か意図的なことあるんですか?
- 松本:
- いや、向かうところはね、どこでもないんですよね。
- 中居:
- やっぱそうだ。
- 松本:
- だからもう、終わらないんですよね、どのビデオも。だから、僕らのビデオはなんかこう、2つ3つぐらい特徴があって、1つは行進パターンですよね。
- 中居:
- ありますね。僕ね、全部見させていただきましたけども。
- 松本:
- どこへ向かうのか知れないって。
- 中居:
- 商店街とかね。
- 松本:
- 団体が行進するっていう。その行進とあとね、もう一つ、ただ行進するパターンともう一つ何ちゅうのかな?変装するパターン。
- 中居:
- あの大阪の?「大阪ストラット」?
- 松本:
- ええ、「大阪ストラット」。
- 中居:
- これ僕、いちばん好きだった。
- 松本:
- あ、これね。
- 中居:
- かなりイっちゃってますよね。
- 松本:
- これね、企画、原案、僕なんですよ。
- 中居:
- 全部自分で構成・演出やられたんですか?
- 松本:
- ええ、もうこれ、俺フィルムですわ。
- 中居:
- これ僕見た時にね、「あ、マズいな」って思いましたもん。
- 松本:
- 何で?何で?
- 中居:
- 「あれ?歌ってる人でSMAPより面白い人たちが出てきちゃったよ」って話してて。
- 松本:
- いやいやいや。
- 中居:
- だから今のバンド、ウルフルズのみなさんがやってるのは見せるバンドっていうのかな?聴くだけじゃなく見せてもくれるから。逆に「今度のビデオではどういうのやってくれるのかな?」「どういうの見せてくれるのかな?」っていう期待感がすごい膨らみますよね。でも、これってね、本当でもぜんぜんまだ売れる前っていったらあれですけども、メジャーになる前ですよね。
- 松本:
- そう。「大阪ストラット」とかね、1万枚越えるのに、すごい長いことかかりましたよ。
- 中居:
- 1万枚ですか?
- 松本:
- うん。1万5千枚ぐらいいった時に、もう泣きそうになりましたから、喜んで。「嘘や!俺らが1万5千枚も売れてええのか!?」っていう。そのぐらいでしたよ。
- 中居:
- これはでも、何年ぐらい前ですか?
- 松本:
- 撮影自体はね、1年ちょい前ぐらいです。でももう、ぜんぜん余裕で撮影しましたからね。街角で。
- 中居:
- そうですよね。大阪ド真ん中ですもんね。
- 松本:
- 警察に捕まりながら。
- 中居:
- え?警察に捕まったって?
- 松本:
- あの、勝手に撮影してるじゃないですか。
- 中居:
- え?撮影許可とかは?
- 松本:
- ぜんぜん取らなくて。
- 中居:
- それ、違反ですよ!?
- 松本:
- いやいや、いや。
- 中居:
- それ、ダメですよ。
- 松本:
- でもね、ずこいね、大阪の警察の人はね、大らかなんですよ。
- 中居:
- え?警察に大らかも何も。
- 松本:
- いやいや、僕だけど、その交番入って髭剃ったんですから。そうそう、「じゃあ、そろそろ撮影」って時に、僕がいつも持ち歩いてる髭剃りが動かなくて。「あかん、どっかで電源借りるとこないかな?ホテルまで帰るのはちょっと時間かかるし。あ、交番あるから、『すいません、ちょっと髭剃りたいんですけど、電源貸して欲しいんですけど』」って。
- 中居:
- 何て言ってました?そこの人。
- 松本:
- 「じゃあ、そこにあるから使いィ」って。
- 中居:
- 警察も警察ですね。
- 松本:
- で、ヴィーンて髭剃ってたんですよ、しゃがんで、警察署で。で、「自分ら何やってんのん?」って言うから。衣装とか着てますからね。「いや、ちょっと撮影で」とかいったら「へぇー」て。「チャッチャとやりや、チャッチャと。人が集まってきたらワシら仕事柄、止めなしゃーないがな」って。「面倒臭いねんからチャッチャとやってタッと帰ってや。プロやねんから」って。
- 中居:
- 安易だな、それ。いいですよね、でもね、それ。
今トータスさんお幾つですか?
- 松本:
- 僕29です。
- 中居:
- っていうことは二十歳、21の頃に。
- 松本:
- そうそう、そうそう。始めたんです。
- 中居:
- じゃあもう、長かったです?
- 松本:
- 長いっスよ。アマチュア4年でしょ。で、プロデビュー4年でしょ。だから、プロになってからのほうが長いですよね。なんか気分的にはね。
- 中居:
- アマチュア時代っていうのは、もちろんやっぱり稼ぎはないわけですよね?
- 松本:
- うん。ないない。バイト。バイトしながらですよね。
- 中居:
- バイトしながら音楽活動?
- 松本:
- なんか、身を削って働いてお金を稼ぐっていうことをバイト時代に4年間やってるから。デビューしてからのしばらくはね、すごいなんか「こんなんでええの?俺」っていう感じでしたよね。
- 中居:
- だからあの、自分を見失う時期でもありますよね。
- 松本:
- そうそう。見失うんですよ。
- 中居:
- なんかもう自分がすごい人間になっちゃったりね。自分で勘違いする時期なんでしょうね、やっぱり。
- 松本:
- SMAPとかって、そういうの見失うんですか?見失った時期あるんですか?
- 中居:
- SMAPは見失いかけた時に、痛い目に会いましたからよかったですよ。
- 松本:
- それ、何年ぐらい前ですか?
- 中居:
- SMAPが結成されて3年半ぐらいして、3年ちょっとしてからCDを出したんですけども。で、CDでデビューして、まあその時はもう追っかけもいましたしね。まあ、「キャー!」って言われましたしね。歌番組にも出れましたし。まあ自分たちでは「うん、いいな。多分、俺なんか芸能界で一番なんだな」とか思った時期があって。やっぱりコンサートなんかもね、小さい会場だけだけど「大きい会場でやろうぜ!こんな小さい会場で何回もやるんだったらさ、大きな所でガツンと花火上げちゃおうぜ!」とか、みんなで言ってたんですよ。その時に、前もここでお話しましたけど、大きい会場でやって、お客さんが半分も入ってなかったっていうことがあったんですよ。ダァーッてカーテンが上がった時には、アリーナ席には半分ぐらい、スタンド席には誰もいなかったってたいう。
- 松本:
- へぇー。
- 中居:
- それでやっぱり見失いかけてた自分たちを冷静に見ることが出来たんじゃないですかね。
- 松本:
- けっこう傷ついたりした?
- 中居:
- いや、ショックでしたね。もう「どうしようか?」って。
- 松本:
- 僕らもデビューして、あのね、馬鹿ですよね、今から考えたら。デビューしたらね、もうスターになれるモンやと思い込んでたんですよね。
- 中居:
- ありますよね。僕もそうでしたもん。
- 松本:
- CD作って出したらもう、そらもう行くとこ行くとこ「キャー!」ってなるんやって思ってたから。最初のデビューアルバム発売記念ライヴ、日清パワーステーションとかでやったんですわ。
- 中居:
- いいじゃないですか。
- 松本:
- そんなもん客なんかぜんぜん入ってへん。チョロチョロともう「寂しい」っていう、ほんまに。ちょっと不貞腐れましたよね。
- 中居:
- それでもやったんですか?
- 松本:
- やりました、やりました。やったけど、ぜんぜん違うねん、俺のイメージと。出ていったらもう「アアァァーッ!!」ってなると思うてたん。
- 中居:
- 「松本さーん!こっち向いて!」って?
- 松本:
- そうそう、そうそう。出てく時も、もう「押すな押すな」ってなりながら。ガァーッ引っ張られながら。
- 中居:
- 「やめろよ、おまえたち」みたいな?
- 松本:
- そう。ぜんぜんならへん。パラパラパラーッてもう。それがすっごいショックやった。でも、今、思ったらそんなん当り前やん、やっぱりね。いや、それぐらいなんか甘かったんですよね。
- 中居:
- でも、それがでも逆にいいかもしれないですよね。アマチュアの時代は目標があって。「売れてやる」プロの世界で「お客さんの前で歌ってやる」。それがいちばんの目標だったわけじゃない。でもプロになってから目標を持たずに、何かに向かって。何かに向かってるんでしょうけど、その目的地がわからないような活動っていうのは大切なんじゃないかな?僕なんかもやっぱり、わかりませんもん。
- 松本:
- 何処へ向かおうとしてんのか?
- 中居:
- うん。なんでお笑いをやっているのか。なんで芝居を、ドラマをやっているのか。今なんで歌ってんのか。でも、ライヴやった時にね、やっぱり喜んでくれる人たちのためにやってるんだ。なにかの為にやってる。誰かの為にやってるんじゃないかっていうのがやっぱり考えますけどね。
- 松本:
- だから、お笑いやったりとか、芝居やったりとか、歌歌ったりとかしてる、どれにもべつに「なんで俺がこれをやらなあかんのか?」っていう疑問はないでしょ?
- 中居:
- ええ、ないです。
- 松本:
- 僕もないんですよ。「なんでこんな馬鹿なことやらなあかんの か?」っていう疑問がないんです。なんで歌唄うのかっていう疑問もない。全部がね、同じぐらいのレベルでね、やりたいことなんですよね。だからそれは「もっとカッコよくビシッとしてれば、それだけでいいのに」って思ってる人もいるかもしれないし。「もうそこまでお笑いやるんやったら、お笑いとかやらんかってもいけるんちゃう?」って思ってるひともおるかもしれへん。でも、僕の中ではね、どれだけでもね、満足できない。どれも並行して大事なもんなんですよね。
- 中居:
- で、疑問なんだけど、なんで渡辺満里奈が出てんのかな?って。僕、びっくりしたんですよ、「サン・サン・サン」。
- 松本:
- あ、これね、このストーリーがね、最初出来てたんですね。で、僕とタケウチは家の近所のファミリーレストラン行って、次の「サン・サン・サン」のビデオどうしようか?て二人で向かい合ってね、カレーとか食いながらあれこれ台本書いてたんですよ。で、「マドンナ役って書いてあるけど、マドンナって女の人使うの?」ってタケウチに聞いたら、「あんまりモデルとかじゃなくて、有名なマドンナ役が欲しいねんけど、誰か知り合いいないの?トータス君」ていうから。「うーん?ぜんぜんいないんですよ。売れてないから、ぜんぜん」て。
- 中居:
- だって接点がないでしょ?会う機会もないですし。
- 松本:
- で、グルグルと頭のなかフル回転して、誰か芸能界にと思って考えてんけどいない。で、そう言やパワステのライヴに渡辺満里奈さんが観に来てくれてたっていう話を聞いたなと思って。
- 中居:
- あ、観に?
- 松本:
- ええ。なんかね、好きだったらしいんですよ。で、そのパワステの業界招待者のとこらへんにいたらしくて。「ちょっといっぺん頼んでみようか」っつったら、なんか快く引き受けてくれて。
- 中居:
- へぇー。
- 松本:
- そうそう。それで出てらっしゃるんですよ。
- 中居:
- へぇー。いいですよね。
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