CLAMP TALK SPECIAL : CHAR


TK in Talking with CHAR.



CHAR:
俺がまあ二十代の頃と違うのは、例えばコマーシャルひ とつにしても、この番組もそうかもしれないけども、みんな 音楽が好きで、映像が好きで、作ってる気がするのね。で、その音楽というの は、基本にロックがあると思うから。そこから始まっているような。だから、話 が早くなったし。例えば、コマーシャルやるにも、映像の監督さんと直接話して もね。それは年齢的なこともあるかもしれないけども、どういうイメージで、ど ういう感じの曲で、どう映像とリンクさせてくかって話できるようになって。昔 は、音楽はコマーシャルの中でも最後にくるもので。今も、そういうところはあ るけど。バジェットの隅の隅じゃない?音楽は。それが、クリエイティブな部分 では、同時進行できるようになったよね。だから、コマ−シャルだから、もしく はアートだからってものは関係なくてね。違う分野の人たちと、同じテーブルで 話しながら、いいものを一緒に作っていくための会話ができるようになったか ら。だから、CM音楽みたいなところにも出やすくなったし。

tk:
あ、そうですね。例えば好きなバンドの名前ひとつでもそ れがもわかる人が一緒に仕事してるの人の中でも増えてきましたよね。

CHAR:
そうだよね。だから、自分が仮に50歳になっても、相 手に「ストーンズとか、ビートルズを知らない」とは言わせないぞ、っていうの があるじゃないすか。

tk:
まあ、それはそうですね。

CHAR:
まあ、50歳になっても、「スト−ンズだぜ」とか言っ ている人は、意外とカラオケで演歌を歌っちゃうんですけどね、意地になって。 80年代は非常につらかったと。俺もつらかった。俺もつらかった。

JIM:
そうだね。でも、CHARの音楽もまた流行ってきたね。

tk:
80代頃、バグルスの『ラジオ・スターの悲劇』という曲 があって…『Videostar killed Radiostar』という曲が ありましたけど、あれに近いものもありましたよね、一瞬ね。

CHAR:
まあ、良い悪いは抜きにして、アーティストじゃなく て、エンジニアとか、もしくはプロデューサーとか、そういう人たちが作ってい たから。

tk:
そうですね。今、僕なんかがやってるようなことですけど ね。

CHAR:
だから、そういう世界は今でもあるし、もちろん70’ sにも60’sにもあったんだけども、やっぱりコンピューターだね、一番大き かったのは。それとビジュアルだと思うのね。

tk:
そうですね。ちょっと関係ないかもしれないけど、ジャミ ロ・クワイとかをどう思いますか?

JIM:
好きだよ。70年代のソウルミュージックがルーツにあ るみたいだよね。僕の耳にはスティービー・ワンダーのように聴こえたけど。初 期の頃のスティービーにね。そうでしょ?だけど、若いミュージシャンがしっか りとプレイしているところが印象的で、すごくいいことだと思うよ。今、最も 乗っているミュージシャンだね。

CHAR:
まあ、さっきの話に戻るけども、アメリカのブルースか ら始まって、その影響のされ方がね、島国同士でイギリスと日本が似てるって話 だけど、大きな違いはやっぱりあるよね。その根には言葉があるのかもね。

tk:
ええ、ありますね。

CHAR:
例えば、ポリス聴いても、最初は「あ、レゲエに影響さ れてるな」って思うけど、最後までレゲエはやらないじゃん。

tk:
うん、うんうん。

CHAR:
ものすごいインファレンスを持ってやるけども、やっぱ りポリス・サウンドじゃない。でも、じゃあ、日本ではどうかっていったらば、 「レゲエやろうぜ」とか言って、レゲエになっちゃうじゃない。それは、ひょっ としたらば、サウンドしか入ってこないからかもしれないね。

tk:
ああ、なるほどね。言葉がダイレクトじゃないですから ね。

CHAR:
言葉が入ってくれば、さっきの話のお洒落とかカッコい いって部分も伝わりやすいかもしれない。だから、そこをサイケデリックスで超 越したいなとは思ってるんだけども。野茂を見習って。

tk:
その英語圏のマーケットに対してはどんな考えを持ってい ます?

CHAR:
全部を見たわけじゃないから、一概には言えないけど も、やっぱりヨーロッパは…日本以外のところでは、音楽ビジネスとしては厳し いよね?

JIM:
うん、時期的にも厳しいよ。

CHAR:
マーケットとしてはヨーロッパは勢いをなくしてるし。

tk:
確かに日本の方が大きいですね。

CHAR:
ぜんぜん大きいよ。そうなると、日本の次はアメリカっ てことになるんだけど、俺の見た限りでは、ハリウッドとか L.A.は日本よりも芸能界っぽいっていうか。

tk:
too much businessなんですかね?

CHAR:
それはプロダクションにもよるけども。人にもよるけ ど。やっぱり特にL.A.は、まずは映画があって次に音楽があるって感じがす るんだよね。

tk:
うん。

CHAR:
だから、まあ、田舎だよね。で、ニューヨークはまた別 の国だと思うし。

tk:
そうやって考えてくと、日本のマーケットでやるのが、そ れなりの面白さがあるんですかね?あの、CHARさんがやっている江戸屋レコ −ドというのは、今の話の流れで関連ありますか?

CHAR:
なぜ、5〜6年前に、要するにインディのレコード会社 を作る気になったかっていうと、きっかけレコード屋のオヤジと喧嘩してからな のね。

tk:
すごい直線的です。でも、ひとつのエポックメイキング だってと思いますけど。

CHAR:
「今、作れ」と言われて、そんなエネルギーないね。あ の時は、年齢的な幼稚さもあったから。「面倒臭いから、レコード会社を作っ ちゃおうぜ」みたいな発想だけで。やっちゃったところもあるんだけど。でも、 それが正解かどうかは、今から決まることだと思うし。ただ、俺は、60年代、 70年代の頃は、レーベルでレコ−ドを買ってたわけだよね。

tk:
ええ。

CHAR:
「やっぱアイランドのフリーはいい」とか。ポール・ロ ジャースとか書いてあるけど。レコードはレーベルで買ってたよね?

JIM:
そうだね。

CHAR:
やっぱりその、インディ−ズ的発想で、「ここのレーベ ルを買えばいい」とかって志向があって。で、高校生の時、みんなで集まって、 喫茶店でたむろして、「将来はよぉ、自分達のよぉ、レーベル持って、スタジオ 持ってよぉ」みたいな話をしてたのを実現してるだけでね。子供の時と変わんな いっていうか。将来の展望とかないんだけど。ただ、やっぱり、90年代のアー ティストというのは、俺みたいなアーティストだけじゃないし思うし。いろん な、もっと新しいアーティストも出てくるだろうし。だから、どれだけアンテナ を、広げてあげていくかがテーマだと思って。だから、別に音楽にはこだわって ないんだけどね、江戸屋は。たまたま俺がミュージシャンだったから、音楽から 始まって、レコード会社から始まっちゃったけど、そうじゃなくてもいいわけ。 俗にいう文化っていうところで、絵を描くヤツ、写真を撮るヤツ、映像を作る 人、本を書く人、なんでもいいから、そういう人たちが、集まって通り抜けてい けるような場所を作りたかっただけですね。その先にはメジャーって会社がある から。俺は江戸屋をこれ以上は、大きくしたくないし。その人がメジャーに出て くための…まあ、悪い言葉だと思うけど…ふるいになってくれてもいいし。もし くは踏み台にしてくれてもいいし。

tk:
そういうしっかりしたコンセプトがあるんですね。

[CONTENTS] | [CLAMP] | [INFO] | [PRODUCTS] | [CLIPBOARD]

(C) FujiTelevision Network,Inc. All rights reserved.