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- 中居:
- こんばんは、中居正広です。さて、夏休みも間もなく終わろうとして、夏休みが終わると同時に「ああ、今年の夏が終わったな」と感じる方、たくさんいらっしゃると思いますけども。今週のゲストの方は、僕から見て非常に熱い方です。存在が熱いんじゃないんです。人間の中身そのものが熱いような気がします。御紹介しましょう、宇崎さんです。どうも。
- 宇崎:
- どうも、こんばんは。
- 中居:
- どうも、こんばんは。このあいだは「SMAP×SMAP」に。
- 宇崎:
- このあいだは、どうもありがとうございました。
- 中居:
- どうもありがとうございました。ねぇ、あの番組に出てくださるとは思いませんでしたし。
- 宇崎:
- あ、本当に?
- 中居:
- ええ。
- 宇崎:
- いや、呼んでもらえるとは、なんか思わなかった。
- 中居:
- 逆にね。ま、僕はいろいろともうね、あの時のエンディングでもチラッと「SMAP×SMAP」の時に話して、やっぱりいろいろ感じることもありましたし。逆にもっとなんか聞きたいことっていうのも、本当、帰ってからいっぱい、いっぱい出てきたんですよ。
- 宇崎:
- あ、本当。
- 中居:
- で、宇崎さんはあれなんですよね? もうじゃあ、あの、ダウンタウンブギウギの時の宇崎さんがいて、で、作曲家としての宇崎さんがいて、ソロシンガーとしての宇崎さんがいて、映画監督での宇崎さんがいて、いろんな宇崎さんを御自分のなかで持ってらっしゃるわけですよね。で、僕なんかこの前会った時は、ソロシンガーとしての宇崎さんとお会いしてお話ししたんですけども。自分のなかで、どれがいちばん心地がいいのかな?
- 宇崎:
- 自分?
- 中居:
- ええ。
- 宇崎:
- ……バンドマン。バンドマンとしている自分が一番。いちばん真っ当な自分かなって思ってるね。
- 中居:
- でも、ソロシンガーとしてもやっぱりロックの形っていうのは、もちろん変わってないですし。ソロとしても。で、曲を書いた時もやっぱり、バンドマンの一人としてやっぱりやってらっしゃると思うんですけど。
- 宇崎:
- うん、あのね、だからね、フィードバックしてるんだ。全部バンドマンに戻ってくんですよ。映画にもし出て、役、演らしてもらっても、その時はもう完全に素の状態で出ていくでしょ。で、監督たちがどうしたいかっていうことを、どんだけ自分が媒体になって出来るのかなっていう、役者としての才能があるかないか考えてないから。もし役者として才能があると思ったら、僕、役者のほうにいってるわけですよね。
- 中居:
- それは自分で分析して、自分自身で分析して、自分の判断で?
- 宇崎:
- うん。それは例えば、仕上がった映画を観て、本当の役者の人が何人も出てる。そのなかに僕はまあ、ミュージシャンとして役柄をもらって入ってく。そうすると例えば、うーん? 役者が演ってるところは「役者だなぁ」と思うんだよね。「役者だなぁ」っていうか「プロだなぁ」と思うわけ。「それでお金とってよろしい」と思うんだけど、俺の出てるとこ観ると、「ダメだなぁ」って思うんだよね。
- 中居:
- それは?
- 宇崎:
- 「出来てないなぁ」って思うの。
- 中居:
- 自分の基準で?
- 宇崎:
- うん、多分、役者の人も自分で自分の出てるもの観て、そう思うことはあるかもしれないし。僕ら歌い手に戻った時もね、レコード聴いても「やりきれなかったなぁ」って、「ウマくいかなかった」っていう反省は毎回あるじゃん。それは同じかもしれないんだけど。でも、自分の本分は、やっぱりミュージシャンっていうかバンドマンだなぁと。で、バンドマンを楽しくやってく時に、「バンド、バンド、バンド」って追求してく人もいるけど、僕はわりと横を、よそ見をね、しながら。
- 中居:
- いろんなものを見て。
- 宇崎:
- そう。いろんなものを見たり、人と会ったり、違うジャンルの人と触れ合ったり。「あ、なるほど。こういう人もいる、ああいう人もいる。こういう芸術かせあれば、こういう芸能もある。こういう若い人がいて、こういうベテランもいる」と。そういう人たちとやってくのが、自分の栄養だと思ってんのね。
- 中居:
- いろんな人に揉まれて、いろんなもの吸収して。
- 宇崎:
- うん。だから、このあいだ一緒にね、SMAPと一緒に歌って、で「ああ、やっぱり若いっていいな」って思うことあんじゃん。でも、僕はもう若いところに戻れないけど、今の若いアーティストたちやタレントの人たちっていうのは、一緒にその現場を共にすると、いろいろ感じられるものがあるじゃない。それはべつに抵抗意識で負けまいとするんではなくて、「わかった。SMAPはそうなんだな。俺はどういようかなぁ」とかって、そういうなんか自分のなかの最確認ていうの?
- 中居:
- 自分の武器はこれなんだ、と。
- 宇崎:
- そういうものをほら、うん、「俺はこれでいこう」と。
- 中居:
- SMAPは若さが武器であるが。
- 宇崎:
- こっちは歳が武器なんだからさ。
- 中居:
- ああ、なるほどね。
- 宇崎:
- で、いろんな人に会って、いろんな世界に首突っ込んでたほうが、視野が広がるっていうかな? 自分の栄養になるって。
- 中居:
- それはバンドマンとしての広がりが?
- 宇崎:
- うん。だから、一生バンドマンでいたいわけね。
- 中居:
- ああ、やっぱりでも、最後に辿り着くところはバンドマンであると。
- 宇崎:
- うん、そうだね。
- 中居:
- ふーん。
- 宇崎:
- だって、楽しいんだもん。
- 中居:
- やっぱ楽しいですか?
- 宇崎:
- いちばん楽しいのね。で、もちろんその、今までいくつかバンドやってきて、苦しい瞬間もたくさんあったし。
- 中居:
- え? その苦しい瞬間ていうのは?
- 宇崎:
- やっぱり壁。音楽的な壁とかね。
- 中居:
- それは自分がやってる音楽が、まあ、納得いかないっていうことですか?
- 宇崎:
- うん。「どこへ自分行くのかな?」てビジョンがちゃんとハッキリしてない。「俺たち5年後どこ行ってんのかな?」っていうのが。「こう行きたい」っていうさ、夢とか希望とか目標みたいなものが、確固たるものがあればいいけど、そう思って走ってたのに、5年経ったら「あれ? 次の5年目が見えなくなっちゃった」っていうこともあるよね。長くやればいいっていうもんじゃないじゃない。長くやることも、すごく大事だと思うんだけど。そんなことを悩んだりする時間もあったね。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- だから、この、今やってる井上堯之さんと一緒にやってるのは、もう堯之さん37年のキャリアでしょ。だから、他のメンバーたちも、もうやっぱり、かなりのベテランだし。なんかそういう悩み、音楽的な悩みももちろん、これからも出てくるかもしれないけど。もうちょっと違う、なんていうのかな? 状況で悩んだりするのは嫌だなぁとかって。だから、堯之さんに言われちゃったんだよ、作った時にね「死ぬまでね」って言われちゃったから。僕ら今のバンド「死ぬまでバンド」っていうの。解散がないのね。
- 中居:
- え? どういうことですか?
- 宇崎:
- 普通、解散するじゃん。
- 中居:
- まあ、集まったものがあれば離れるものもありますね。
- 宇崎:
- やっぱり散ることもあるよね。それはいろんな事情で散るよね。だから、それは解散することのが自然だったりする瞬間てあるじゃん。だから、僕「バンドやりましょうよ」とかさ「チーム作りましょうよ」って、誘い合う瞬間て、いちばん燃えてる時だよね。その燃えがさ、だんだん本当に熱がバァーッて温度がいって、で、ピークいって、で、どっかである一回冷めたりするじゃん。
- 中居:
- はいはい、はいはい。
- 宇崎:
- で、もう一回いくやつもいるけど、冷めた瞬間で割れちゃって、いっちゃうやつもいれば、もう一回いくやつもいる。それが3度そういうこと迎えて、まだ続いてるバンドやチームもいるけど。でも、結局、人間関係や音楽的なズレみたいなのは、みんな認識しながら無理矢里ヘッドロックしながらさ、してくって、苦しいことだよね。
- 中居:
- 苦しいですよね、それはわかります。
- 宇崎:
- だけど堯之さんはもう、「死ぬまで解散したくない」って言われちゃったから。
- 中居:
- でも、それはでも、わからないですよ。今のそのね。
- 宇崎:
- わかんない。でも、今、3年経って、解散しないことを目標にやるにはどういうしたらいいかっていうことを、ちょっと自分の中で考えようと。っていうことは、少し疲れたなぁと思ったら、「休もう」とかね。
- 中居:
- もう、なんかに、例えば「作ろう」「次はあれ作ろう。これ作ろう」っていうんじゃなく、自分たちが楽しく、自分の居心地のいい場面で、居心地のいい状況でやってればいいんじゃないかと。休みたい時は休む。やりたい時にはやる。
- 宇崎:
- そうですね。贅沢だよね。
- 中居:
- そういうのんびりな感じしますけどね。
- 宇崎:
- うん、だから、この前、この番組だったかな? 見てたらSMAPの人たちが集まってて、自分たちのことをどうしようかという話をなんかしてた時に、一番であって欲しいってやめた森君が君たちにメッセージしたっていう、なんかこの番組じゃなかったかな?
- 中居:
- いや、この番組です。
- 宇崎:
- そうでしょ?
- 中居:
- ええ。
- 宇崎:
- で、そういう話聞いてて、一番を狙える人が、絶対どの時代にもいたほうがいいと思う、僕は。一番を狙ってるSMAPがいるのは、僕は正解だと思う。それは、あるレースだよね。レースで「一番獲るんだぞ」。オリンピックと同じだよね。「金メダル獲るぞ」って走ってる人と同じ意識だよね。僕らは、リタイアはしないけど、レースはしないって決めたのね。それはね、いくつか僕も砂漠のラリーに出たことがあるんだけど、いわゆるパリ=ダカール・ラリー。ラリーっていう言葉は、日本語に変えると、レースとは絶対に違う。レースは「競争」ですよね。
- 中居:
- はい。
- 宇崎:
- 「競う」。ラリーは「集う」。で、もともとパリ=ダカール・ラリーでも、一等賞とることが目的ではなくて、みんなが砂漠に集まって、そして走って、誰かが苦労してたら、本当はレースだったらこのまま行っちゃうんだけど、止まって「サポートしてやろうか? 水が欲しい? 貸してやる、俺の水を」っていう、こういうコミュニケーションがありながら、最後にダカールの海をね、どんだけの車が見れるだろうっていう意味の「集う」っていうのさ。だから、俺たちは、そういうバンドでそれやりたいな。
- 中居:
- へぇー。いいですねぇ。わかりますわかります。
- 宇崎:
- だから、もしかしたらね、SMAPと同じ日にさ、レコードをリリースするものがあったとしても、そっちは「一番獲るぞ」って言って、それは若さだと思う。で、それでいいと思う。で、僕らはでも、「SMAPに負けねぇぞ」って言ってるのは若々しく見えるんだけど、それには無理があるなと自分たちでも。だから「SMAPに負けねぇぞ」じゃなくて、「僕らは僕らなりの道を集いながら行きたい。でも決して込みたちの存在は無関係ではない。僕らがサポートできることがあったら、君らが僕らに何か栄養を与えてくれることもあるかもしれないな」。そうすっと、みんなの番組に出たり出来るよね。あそこで「負けねぇぞ」みたいになっちゃったらさ、見苦しいよなと思うよな。
- 中居:
- これはでも、それは宇崎さんの器だと思いますけどもね。器の大きさっていうのかな? それとも今までのその、僕はその、宇崎さんて昔からそういうふうに考えてました?
- 宇崎:
- いや、もっとギラギラしててね。
- 中居:
- 昔はもちろんやっぱり、闘争心を剥き出しにしてたんじゃないですか?
- 宇崎:
- うん、もう剥き出しにしてたと思うね。
- 中居:
- やっぱ、それを経て、経験を経て、キャリアを積んで、今の宇崎さんだから。で、あるところで、あるいい評価を得たうえでの宇崎さんであるから言えることであったり考えられることじゃないかと思うんですけどね。
- 宇崎:
- だから、評価はもちろん、いろんな評価をいただいてるけど、支えてくれた人たちがいるわけでね。そういう人たちがいて僕がいるなぁってね、もうそれはね、それに気付くのがすごく遅かったわけ。「俺がいるからみんな食えてるんだろう」とかさ、ね。だって、俺たちステージ立った時に、売れた時にね、売れない時期もあったから。売れない時は、なぜ売れないのか不思議でしょうがなかったのね、自分の中で。ビアガーデンでやってることもあってね、2年ぐらい、ね。そういうダウンタウン時代なんてさ、「何で売れねぇのかなぁ?」って思ってたんだ。で、売れたらさ、「ほら見ろ。当たり前じゃねぇか」って思ったから、もう天狗になってたわけで。で、客が満杯になってさ、「ギャァー!!」とかいってるとさ、「うるせぇなぁ」とかさ。ステージの上から「騒ぐんじゃねぇよ」なんてね。それ普通さ、感謝じゃない。本当は感謝するべきことだよね。俺たちはもちろんカッコいいよ。ただ、じゃあ、SMAPに置き換えた時ね、みんなが並んだら「ギャァーッ!!」って言ってるのはさ、その個々に対してファンの人たちがいて、そのチームに対して「ワァーッ」と声援を送ってるやつらに対してさ、やっぱり「どうもありがとう」って気持ちだよね、素直にどっかきっと。で、それと同時に、やっぱりどっかプライドもあったりね、「俺がいるから盛り上がってんだろ」とかっていうのもあるけどさ、俺はもう、それしかなかったからさ。だから、客は集まって当然だし。
- 中居:
- 当時の宇崎さんは嫌な奴ですよねぇ。
- 宇崎:
- そう、その時の俺はね、最低だと思うよ。
- 中居:
- 嫌な奴ですねぇ。
- 宇崎:
- だって、俺だってさ、本当にさ、あの、売れてから歌番組いっぱいあったでしょ、その頃。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 宇崎:
- でさ、「向こうが挨拶するまですんなよ」って言ってたんだよ。
- 中居:
- ……そんなの、ヤクザの出入りじゃないんですからね。
- 宇崎:
- 本当に。メンバーたちに、ね。うん、俺たちはキャリアは少ないけど、その時まだだって、デビューとか3年目ぐらいだよね。で、キャリアからいけば森進一さんとか、五木ひろしさんとか、そういう人たちのがぜんぜんね、歳は下でも上だよね。「挨拶すんなよ。向こうからするまで」って。
- 中居:
- 向こうが頭下げるまで、こっちすんじゃないよと。
- 宇崎:
- そんなのくだらないエネルギーだよね。でも、そうやってないと自信持てなかったんだよ。要するに、歌がウマいわけじゃない、演奏がウマいわけじゃない、何がいいわけじゃねぇよっていうさ、何か拠り所ないわけさ。その時あったのは、歌が売れたっていう。でも、これだって2発目は売れるのか3発目も売れるのか、何の自信もないわけ。裏付けはね。そうすると、なんかさ、どっかで突っ張ってねぇと、「ちわーっス」ってなっちゃうような気がするのね、自分は。いわゆる芸能界って中で。「どうも、こんちわス」、あっちもこっちも、右も左も「こんにちは」みたいになっちゃうと、俺たちなんか勝てないなって。みんなさ、芸があるんだよ。
- 中居:
- まあ、それは歌唱力であったり。
- 宇崎:
- そうでしょ。踊れるとかさ、喋りがウマいとかさ。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 宇崎:
- なんか必ず芸があるの。僕が自信持てたのは、「なんか面白い曲は書けるだろう」っていう自信は多少あったかもしんないし、でも、バンド全体の音楽性とかさ、ルックスとかね、歌とかってのはさ、何にも自信がなかったんだね、そういう意味の。
- 中居:
- それでも、あっちが頭下げるまでは。それ、何だったんでしょうかね? 「ナメられたくない」ってのがあったんですかね? それはね。
- 宇崎:
- あ、そうそう、そうそう。
- 中居:
- ね。
- 宇崎:
- うん。わけもなく「ナメられねぇぞ」っていうね。で、訳はあるわけだよ、だからさ。「歌ヘタだな」って。例えばね、僕らが歌ってるとこを後ろで見てる人たちはさ、モニターで聴いてたら「歌、ウマくねぇなぁ、宇崎は」って思われることは思われちゃうわけだから、ね。勝手に評価できるわけだから。でも、それでもってなんか態度変えられちゃうのは嫌だなとかって思ったし。だから要は、自分に自信がないからそういうことやって。やっぱり自分の目がもうちょっと鋭くていい男だったら、サングラスしてないだろうし。ね、そういうのあるわけよ。
- 中居:
- へぇー。え? でも、いつその、まあ先ほどね、感謝の気持ちっておっしゃったじゃないですか、ね。感謝の気持ちは、最初に売れた頃にはなかったって。「俺がいるからおまえら」逆に「おまえら俺に感謝しろよ」っていう立場だったんですよ。
- 宇崎:
- それはね、やっぱりね、ドツボにはまったからだね。
- 中居:
- ドツボにはまった?
- 宇崎:
- だから、25年やったんだよね。それでさ、ダウンタウンて8年半ぐらいやってたんだよね。で、後半のね、1年半ね、今まで自分たちのヒット曲っていうのがいくつかあって、みんなに愛された曲がたくさんあったんだよ。それを一回ね、しまっちゃおうって宣言しちゃったわけ。「やんねぇよ」って言ったの。これ、傲慢だよな。
- 中居:
- なぜ? 何がそう?
- 宇崎:
- うーん?
- 中居:
- それはやっぱり、その時代の自分がカッコいいって思ったんですかね? 何が?
- 宇崎:
- あのね、うーん? まあ、だから、ある種の自分に対する挑戦でもあったのね。だから、いっぱい作品を持ってる、ヒット曲を持ってるってことは、すごい財産だ。だけど、俺派やっぱり、その時は若気の至りだと思うけどね、例えば僕はプレスリーが好きだったりビートルズが好きだったり、いろんなバンドが、いろんなアーティストが好きだ。と、ぜんぜん違う方向性出しても「でも好きなんだよ」っていうことに変わりはない。「どの歌を歌ったから好き」じゃなくて、歌にくっ付いてるんじゃなくて、「俺はその人にくっ付いてんだ」って自分は思ってた。だから、ヒット曲捨てても、俺たちがとんでもない歌を歌っても、ファンは来るってタカくくってたわけ。
- 中居:
- ああ。
- 宇崎:
- それの挑戦だった。そしたら1万人コンサートに20人しか来なかったりとかいうことがあって。
- 中居:
- ……カッコ悪いですねぇ。
- 宇崎:
- 最低だよな。「あら? いないわ」って。で、後ろにタレ幕「1万人コンサート」って書いてあんだ。入れる会場なの、1万人ぐらい。それが20人しかいないんだ。俺、ビール配っちゃった、お客さんに。「すいません、飲んで下さい」って。
- 中居:
- それ見た時、もうショックだったでしょ。
- 宇崎:
- まあ、でも、これは自分で選んでね、自分でやっちゃった傲慢なやり口だったから、しょうがねぇやって思った。で、そこで20人来てくれた人にものすごく感謝したわけ。これがあと100人いたり、200人いたりっていうことじゃん。それが積もり積もって1万人になっていくわけだし、積もり積もって何十万枚のレコードが売れるわけだから。だから、僕はたくさん今まで25年のあいだに、たくさんファンの人を裏切ってるな、と今でも思う。だから、今はファンを裏切らないということではなく、奇麗な裏切り方かな。
- 中居:
- え? どういうことです? 奇麗な裏切り? 裏切りは、奇麗な裏切り方っていいますと?
- 宇崎:
- なんか「こうきたのか!? ウワァーッ!」ってみんなが膝を打ってくれるようなさ、そういう。
- 中居:
- 期待に応えた意外性っていのかな?
- 宇崎:
- だから、期待っていうのはさ、不特定多数でさ、最大公約数、ね。ただじゃあ、「宇崎さんに歌って欲しい歌は、こういう歌」っていうのをアンケートとったとするじゃん。すっと大体こういうのが出ると、「バラード」。で、出せばある程度の人が買ってくれるかもしれない。「バラードをみんな望んでんのか、……やめよう」っていって、で、「とんでもない歌を歌ったら面白いじゃん」っていうふうに意識が変わるっていうことかな、向こう側の。そういうものを作っていく楽しみっていうのは、作家としての自分の中にあるわけだよね。そうやって、なんかだから、そういう裏切り方だったらまだいいけど。例えば、やっぱりダウンタウンてのは、ブルースだロックンロールだっていう。白いつなぎ着てさ、バァーン! てやって。裏街の話、路地裏の話をテーマにしてさ、で「俺ぁよぉ」っていうような歌を歌ってたわけ。そして、次に作ったバンドは竜童組。
- 中居:
- はいはい、はい。
- 宇崎:
- そうすっと和太鼓叩いちゃう。と、「ええ? ロックンロールじゃないの?」って思ってた奴は、「なんであれがドンツク叩くんだよ、この野郎!」っつって離れていく人がいた。だけど、新しいファンが付く。「面白い。なんだかこのグループ、お祭バンドみたい」とかいって。そして、それもまた6年やって、また店終いしちゃう。それで次作ったグループは井上さんとシンプルなロックね。やると、「ドンツクどこ行っちゃったの?」っていう話になるわけでしょ。
- 中居:
- ええ、ええ。ある意味では、すごい挑戦ていうか。でも、ある意味ではすごく決意がいることだと思いますよ。それを持続することだけがいいものなのか、切り替えていくのがいいものなのか、正解はないと思うんですけども。
- 宇崎:
- うん、でも、飽きちゃうんだよ。
- 中居:
- あ、宇崎さん本人がもう?
- 宇崎:
- うん。
- 中居:
- 今まで自分のやってて、先に飽きがきちゃうんですか?
- 宇崎:
- うん、そうそう。飽きちゃったら、そのまま続けていくのは失礼だなと。そのチームの人たちに対して。で、なんか「休もうかな」とかさ。
- 中居:
- でも、自分の作ってきた作品、音楽には後悔は?
- 宇崎:
- ないない。
- 中居:
- それがいいですね。後悔ないから多分いえると思うんですよ。
- 宇崎:
- うん。で、やっぱ財産だし、そんだけの曲はね。だから、支えてくれた人たちは。だから今度は、出来上がった曲だってね、みんなが育ててくれたわけだから、作って自分で育てるっていうことは出来ないわけね、曲はね。やっぱりだから、やっと、やっとここ本当に10年ぐらいかな。一生懸命なんかひたむきに作品を書いて、ひたむきにバンドをやり続けていくのが自分の本望っていうかね。だから、そのためだったら、それをよくするために、もしもお誘いがあって映画の話やドラマの話があって、自分がやれそうな「やれっかな?」って。それも半歩ぐらい先いけることね。だったらある種の挑戦だし、そこで栄養もらえるかもしんないなぁとかね。そんなつもりで引き受けてるから。きっと音楽捨てて俳優になっちゃうとかってことはないからなぁと思って。
- 中居:
- 常にベースは音楽、バンドマンであり。で、いろんな寄り道をして。
- 宇崎:
- そうだね。
- 中居:
- いろんな道草をして。で、得たものを逆に自分にとっては「これは違うんなじゃないか?」っていうものをやっぱり、いいものだけを吸収して。自分にとって、自分の基準で悪いものは捨てて。で、バンドに帰って。一つ成長してバンドに帰ってくるわけですよね。
- 宇崎:
- うん。そうなればいいなと思ってるけど、成長してるかどうかはわかんねえんだよ。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 宇崎:
- ガキだなって思ってるわけだし、今、自分でもやっぱり。
- 中居:
- いや、でも、その感謝のね、その20人に対する感謝の気持ちっていうのは大事ですよね。
- 宇崎:
- だってさ、呆気に。だから、自分で蒔いた種だから仕方がないんだけどさ、ある日突然、武道館に20人しかいなかったら「あ、びっくりカメラかな?」って思うじゃない。それはさ、ね。
- 中居:
- それはそういうふうに極めてからの20人ですからね。それはびっくり。僕なんかもやっぱそういうのはありましたし。コンサートでその、お客さんがいなくて、最初「ドッキリカメラかな?」っていう時あったんですよ。
- 宇崎:
- あ、そう?
- 中居:
- それからやっぱり、僕なんかも物の考え方すごい…。
- 宇崎:
- SMAPでもそういうのあったの?
- 中居:
- あ、あったんですよ。
- 宇崎:
- 本当に。
- 中居:
- それからやっぱり仕事に対する接し方っていうのかな、人への感謝の気持ちっていうのがやっぱり、うん、強くなってきましたね。
- 宇崎:
- いや、俺、思ったよ。例えばさ、昔はね、昔のダウンタウンの頃はさ、「ナメられんなよ」っていうのを合言葉みたいにして見てるから、アイドルっていう存在っていうのはさ、「なんだよ」ってどっかで思ってた。正直言って。その頃は郷君とかさ、ね、「なにが郷だよ」とか思ってたの。だけどさ、例えばさ、なんだろう? あのほら、隠し芸大会とかあったじゃない。
- 中居:
- はいはい、はい。
- 宇崎:
- ああいうのに、僕らも出たことあったんだ、ダウンタウンで。そうすると、みんなすごいよね。あのエネルギーっちゅうか。たった何回しかないなかで、ものすごく頑張ってやるじゃない、例えばそういうのって。それはもしかしたら日常茶飯なんだろうね、SMAPやなんかもそういうことが。与えられた仕事というのを、どうやって自分の中でクォリティをさ、いいクォリティでもって高めていくかっていう。
- 中居:
- はい、はい。
- 宇崎:
- 例えば、踊り一つでもそうだね。じゃあ、このあいだのダンスをさ、このあいだやった時のダンスを、あれ、何回やってああいうふうに決めたの? っていったら、大してリハーサルもしてないでしょ。でも、みんなピッピッてピピピッてインプットして、パパッとアウトプットしてくじゃん。こっちはインプットできなくて、アウトプットもできなくて、本番で間違えちゃったりとかさ。そうするとさ、ステップ一つだって、科白一つだって、コント一つだって、みんなさ、すげぇエネルギー入れてやってんだなと。そうするとさ、「もう絶対、真似できねぇ」と、自分には。こっちは身勝手なこと、勝手に欲張りにやって贅沢にやってるけど。やっぱり提出されたものを、どんだけ自分のものにしてくかっていうのを見ていくと、そういう意味ではもう自分は自分で曲書いてくとかっていう苦しみはあるけど、アイドルの人たちっていうのは逆に、その提出されたものをどんだけ自分のものにしてくっていうエネルギー。
- 中居:
- その与えられてものに対して、例えば期待10されたら12応えようっていう。
- 宇崎:
- そうでしょ。
- 中居:
- そういう努力っていうのはやっぱりしますね。
- 宇崎:
- そのへんのだからさ、ことは真似出来ないなと思って。そっから僕は尊敬するようにしたんだよね、本当に。「偉いなぁ」って。だから、絶対馬鹿にできないよって。
- 中居:
- いや、でも、どうなんでしょうかね? だから、今は自分たちがね、やってるこっていうのは、うん、やっぱり自分たちやっぱ、まだまだやんなきゃいけないことありますし。やっぱ満足はいってないですし、もっと向上心を持たなきゃいけないなっていうのもありますしね。だから、宇崎さんがずっとロックをやって。例えば、僕なんてっていうのはもう、先ほど言ったように隠し芸ももちろんやりますし、踊って歌ってお芝居してコントして、で、こういうふうに司会もして、いろんなジャンルに手を付けすぎて、なんか一貫するものがないんですよね。これをやらせたらSMAPは、我々のグループは負けないよって。
- 宇崎:
- このあいだ、そういってたな。この番組で。
- 中居:
- ええ、この番組で言ってたんですよ。
- 宇崎:
- で、僕は、これはまあ評論家じゃないんだけど、僕なんかから見てるSMAPっていうのは、いいじゃん。いいってそんなもの。だからなんかね、栄養つけてくのはいいよ。だからなんだろう? うん、楽器を誰かが一生懸命、みんなが楽器を練習するとか。それとかステップをもっとウマくやるようにするとか、振り付けを考えるとか。それから、例えば誰かが作品を書くとか、詞を書くとか。それは、したけりゃやればいいじゃん。でも、俺が見たいSMAPは、それがあってもいいけど、なくたっていいよ。そういうことで、俺がだからSMAPに期待してることってのは、SMAPって存在がいつもキラキラって輝いてれば、その輝き方はね、楽器を手にしてたからとかじゃなくたっていいんだって。だから、それは、ピカピカッて光るの見えるじゃん、なんか後ろから後光がさ。今のSMAPなんか、みんな後ろから後光差してんじゃん、ピカピカ。それを磨いてりゃいいんじゃないの? どんな磨き方でもさっていう。と、そんな感じするなぁ。
- 中居:
- ああ、なるほどね。
- 宇崎:
- あと、個人の欲求としたらさ、「俺、ギターもっとウマくなりてぇな」とか。中居君がもっと振り付けをさ、「俺はもっと面白ぇ、斬新な振り付けを、ブロードウェイでも通用するようなもの考えてやろうかな」とか。それはいいじゃん、だって。みんながやれば。でも、それが寄り集まった時に、それはどっか見えなくて背景でもって。でも、見たらピカピカピカピカって光ってんなっていうのがね、そういうのが10年後でも光ってたら丸だなって。
- 中居:
- ね。10年後そうですよね。そう言っていただけると自信がないですけどもね。
- 宇崎:
- そんなこと言っちゃダメだよ。
- 中居:
- いや、でも宇崎さんも自分の、変な話、ね、その映画やったり曲を例えば人に提供。ね、この前ヒロミさんにね、提供したり。いろんな、変な話、道草をし、いろんなジャンルに人と出会って。でも、帰るところがあるじゃないですか。
- 宇崎:
- うん。
- 中居:
- で、自分のやりたいことに対する、一貫した貫くところがあるじゃないですか。だからいいですよ。どこいっても「俺はバンドが好きで、バンドに帰るんだ。バンドをやっていたい。バンドやってる自分が好きである」そういうのあるからいいじゃないですか。でも、僕らっつうのは、どれが本職なんだかわかんないんですよね。
- 宇崎:
- そうか、そうか。それ、いつか気が付くんじゃない?
- 中居:
- そうなんですよ。今、だから、無理してそう決めつけめこともないでしょうし。いつかなんかうん、なに気なくでも浮かんでくればいいのかなと思ったりするんですけどもね。
- 宇崎:
- うん、今なんか、トータルしてるからね。あれも出来る、これも出来るっていうので見えてる部分だけど。でも、自分でも見えてないもんて、いつか出てくるんじゃないの?
- 中居:
- 出てくるんですかね?
- 宇崎:
- 「ええ!? こんなの俺、できたんだよ!」っていうの。それはだから、自分がどっかで夢に見てるものじゃないかな?
- 中居:
- うーん? どうなんですかね? 自分でも気付かないところで、そういうの出来てるかもしれないですね。
- 宇崎:
- 俺は遅いってことないと思うんだ。なんか、スタートするっていうことでさ。
- 中居:
- だから、宇崎さんの今回のそのバンドの形式も、スタートですよね。
- 宇崎:
- うん、デビューだもんね。
- 中居:
- デビューですから、スタートですよね。
- 宇崎:
- うん。
- 中居:
- えらい遅いデビューとかスタートだなと僕も思いましたよ。
- 宇崎:
- そうでしょ。だって、僕、ダウンタウンでデビューしたの26だもん。中居君よりもっと上でしょ?
- 中居:
- 僕より年上ですよ。
- 宇崎:
- で、売れたの27かそこらだもん。8か。見てもらえなかったけど、あんまりガキっぽかったから。27でさ、売れてっていう感じでしょ。だいたい26でバンド作るっていったら、みんな笑い者にされたもん。だって、それまでマネージャーやってたんだから、僕は。
- 中居:
- え? マネージャーやってらっしゃったんですか?
- 宇崎:
- GSのマネージャーやってたんですよ、僕。
- 中居:
- ……また、なんでバンドを? だったら、もっと早く。
- 宇崎:
- あのね、大学卒業して、行くとこなくなって。あんまりにも学校の成績が悪いから、僕の姉さんの旦那さんていうのがプロダクションやってて。で、そこの会社にはいろんなミュージシャンがいたんですよ。バンドも。いちばん売れたのがブルーコメッツですね。「ブルーシャトー」ってのが。
- 中居:
- ああ、はいはい。知ってます、ええ。
- 宇崎:
- ね。それがレコード大賞とった年に、僕がその会社に入れてもらって。そして、ブルーコメッツの後ろのチーフマネージャーの次の次の次の次の次ぐらいにボウヤみたいな感じでものもって「はーい!」っていって。
- 中居:
- へぇー!? それ、10代、まあ、大学卒業して二十前後ですね。
- 宇崎:
- 21ぐらいかな。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- それで、その時はもうグループサウンド華やかなりし頃だから、「探してこい!」とか言われて大阪まで行って泊り込みで探したりね。そして、結局、新宿でなんか貸スタジオでアマチュアがやってるっていうんで、見にいったらウマいヴォーカリストがいて。面白い編成の、まあ、バンドだなぁって思って。それでちょっと「いいなぁ」ってピックアップして。で、レコード出す前に解散しちゃったっていうか、ぶっ壊れちゃったんだ。それで松崎しげるがいたりとか。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- だから俺とやってるあいだ、松崎売れなかったけど、俺から離れたら売れたんだけど。マネージャーが悪かったんだな。「俺でなくてよかったな」って言ってるけどさ。でも、見る目はあっただろ。
- 中居:
- そうですね。外出てからでね、一人でも。
- 宇崎:
- 出てからでも、人の目に「やっぱりあいつの歌ウマい」って思って、今でも歌のウマいベテランとしているわけだから。そういうグループ、それはミルクっていうグループだったんだけど。それから、その前にはガリバーズっていうグループで、レコード一枚しか出さなかったんだけど。
- 中居:
- ……一枚ですか?
- 宇崎:
- うん。一枚シングル出して。「赤毛のメリー」っていうの出して終わっちゃったんだけどね。
- 中居:
- 面白いですね。
- 宇崎:
- 今でもね、GSのカルトみたいな奴いるでしょ。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 宇崎:
- そういう人が「赤毛のメリー」っていう、すごいっていってなんかね。
- 中居:
- あ、知ってらっしゃる人いるんですか?
- 宇崎:
- うん。そういうのを探してレコード買いにいってる人もいるみたい。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- そんなことをやってたんですよ、5年間。
- 中居:
- それで26ですか。ブギウギが。
- 宇崎:
- うん。だって僕、歌い手になろうって思ってなかったもん。だから、何になるかなんて、本人が望んでいたり望んでいなかったりって、望んでいてもなれない人もいれば、望んでないのにその場でなっちゃう人もいるでしょ。僕は作曲家にはなりたいなぁって思ってたけど、学生時代から曲書いてて。マネージャー時代も曲書いてて。で、人の営業ぜんぜん取れなくて。でも、それで曲は書いてたんだけど、「自分は歌は、これを自分で歌うだろう」と。例えば井上陽水さんとか吉田拓郎さんみたいに、シンガーソングライターになれると思ってなかったから。「曲を提供してくだけだろう」と。「いつかは作曲家になりたい」と思ってた。
- 中居:
- 作曲家として? ああ、はいはい。
- 宇崎:
- そしたらある日、「おまえレコード出さないか?」っていう人出てきたの。レコード会社が。「ウウーッ!?」って。
- 中居:
- え? それは宇崎さんの声とか歌ってる姿ってのも?
- 宇崎:
- 自分でだからオリジナルを歌ってた時があるのね。ある、ちっちゃいコンサートで歌った、2曲ぐらい。そしたらパパパッてきて、「レコード出そうよ」「ええ!?」って。「こういう顔でいいの? こういう声で」「いいじゃん」「あ、本当に?」。そして、「いや、僕は歌わない」ってどっかで思ってたわけじゃん、ずっと。して、「待てよ? この顔で、この声でいいって? 周りにこんなメックスの悪くて声も悪い奴いるかな?」って思ったら「あ、泉谷しげるがいるわ」と思って。「あ、あいつが歌ってんだったらいいだろう」。泉谷がいたから、僕、デビューできたんだ。
- 中居:
- ああ、泉谷さんは宇崎さんにとって、もう計り知れない自信になったわけですね。
- 宇崎:
- 恩人だよね、あいつは。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- で、それでやっぱ初めて、歌うならフォークギター持たずに、エレキギター持ってバンドでやりたいなって思ってダウンタウン作った。
- 中居:
- へぇー。あ、そうですか。デビューまでにちょっと、いろいろあったわけですね。もう本当にいろいろあったわけですよね。
- 宇崎:
- そうだね。
- 中居:
- いわゆるいろいろってまあね、いろいろっていう言葉で簡単に片付けられちゃうっていうのは、ちょっとあれなんですけども。本当、いろいろあったんですよね。
- 宇崎:
- うん。
- 中居:
- それでここまで。え? デビューして何年?
- 宇崎:
- 25年。
- 中居:
- 25年。
- 宇崎:
- よく続いてるなと思ってさ。自分でもビックリしちゃうんだよ。
- 中居:
- だから、それはもういろんな新しいもの、例えばね、自分がつまんなかったものを捨てて、新しいもの作って。何かつまんなくなった音楽を捨てて、また新しい音楽を求めて。それがやっぱりだから、いいんじゃないんですかね? いいと思いますよ。でも、ベースはバンドじゃないですか。
- 宇崎:
- うん。でも、それもだから、今から26年前は想像してないんだからね。
- 中居:
- 今の自分であったり、今までの自分を?
- 宇崎:
- うん。だって、バンドだって、「レコード出してやるよ」っていう一言だから。レコード出すっていうことはさ、もしかしたら申し訳ないけど、さほど難しいことじゃないかもしんないじゃん。一枚レコード出してもらうことは。終わっちゃう人もいっぱいいるわけだから。だから、これで俺なんてレコードデビュー出来たからって、歌手でずっとやってこうとか、バンドマンでやってこうなんて、その時も思ってないのよ。「あ、一発売れたら解散しよう」って思ってたんだよ。ダウンタウンは。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- でも、なんかやると面白いじゃない。
- 中居:
- ええ、ええ。やってくと面白くね。
- 宇崎:
- やってくことがね。「ああ、面白い面白い」と思ってやってったら8年半やっちゃったってことだから。
- 中居:
- へぇー。でも、その8年半はもうアッと言う間だったんじゃないですか?
- 宇崎:
- アッと言う間だったね。駆け抜けたって感じだよね。
- 中居:
- へぇー。
- 宇崎:
- だから、わかんないって、何になるかは。
- 中居:
- でも、何やってんですかね?
- 宇崎:
- 25年前は生まれてないでしょ?
- 中居:
- 生まれてないですね。
- 宇崎:
- 何になるかわかんなかったじゃんか。
- 中居:
- ちょうどそう、お腹の中にいましたね。
- 宇崎:
- そうでしょ。
- 中居:
- ええ。そうです。僕なんかもやっぱり、来年の自分が何やってるかっていうの、今でもわからないですし。宇崎さん自身も、今でもわかんなかったりします?
- 宇崎:
- 何を?
- 中居:
- 来年の自分が何をやってるかっていうの。
- 宇崎:
- うん。何をやってるか、あんまり決め付けちゃいけないなと思ってね。だけど、思いも寄らない仕事が入ってくるかもしれないし。自分が思いつくかもしれないし。そういうものに素直に、だから、思いつくっていうか、閃くっていうかな? それがポッてキャッチした時に、「お? これはみんなが反対しても、俺はもう絶対面白いと思う」って思ったら、絶対やっちゃう。わがままなんだよな。
- 中居:
- いや、それはでもね、人として、人間としてすごい強いことだと思いますよ。だからね、僕なんかだって本当に「ああ、この先どうなっちゃうのかなぁ?」ある意味では不安になったりする時期とかもあるんですよ。不安を抱えるってことって?
- 宇崎:
- あるよ。でも、すぐ捨てる。なぜか。だってさ、不安は人並みにあるよ、俺だって。で、くるじゃん。そしたらさ、「これ、どうなってんのかな?」とか「いやぁ、恐いなぁ」っていう恐怖心に時間費やして、心ドキドキさせて、「うーん?」て言ってる時間が長きゃ長いほど疲れちゃうよね。
- 中居:
- うん、うん。
- 宇崎:
- で、なんか意味があんの? これって。これに、今使った時間にいい答えが出ればいいけど、たいがい出ねえんだよな。
- 中居:
- うん、うん。
- 宇崎:
- 不安ていうものが先にあったら、どうやったって不安がどんどん募ってくだけだ。僕は、それは「やめよ、やめよ。楽観しよう」って。で、「何やったら楽しいかだけ考えよう」ってやると、だいたい不安は飛んでくじゃん。
- 中居:
- それがでもねぇ、出来ないですよ。これ多分、見てる方々の中にやっぱり、常にやっぱり人間は不安であったり悩みっていうのは抱えるわけじゃないですか。だからその、不安だったり悩みを一つ抱えると、余計なことまでが不安になって、悩みが重なって重なって重なって。
- 宇崎:
- そうだよね。
- 中居:
- それで自分が追い詰められて、自分が嫌になっちゃう時があるじゃないですか。その時、どうフッ切るか。僕なんかもそういう時期やっぱりありましたし。でも、「どうすればいいんだろうな?」って考えた時はもう、「ま、何とかなんべ」と。
- 宇崎:
- そうでしょ。
- 中居:
- 「もう、いいじゃんか、そんなこと。長い人生考えたら、何とかなんじゃないかな」っていう。本当、楽天的に考えればね、本当、すごい心スッとすんですよね。
- 宇崎:
- そうでしょ。
- 中居:
- だから、そこに辿り着くまでが、けっこうやっぱり時間かかったりしますね。
- 宇崎:
- それはだから、うん、多少のそういうものってのは必要かもしれないけど。でも、それに費やす時間をもっと、人から見ると阿呆っぽいんだけど、能天気に見えるかもしれないけど、もっと楽しいことに、そういうものを想像して「アッハッハ、これやったら面白ぇだろうな」っていうふうに費やしたほうが、きっとエネルギーになるじゃん。で、要するにさ、みんな不安になってて、だんだんその、さっき言ったように自分が嫌いになってっちゃうじゃない。自分を嫌いになってくと辛いじゃん。
- 中居:
- 自己嫌悪に陥ったりするんですよね。
- 宇崎:
- そうでしょ。なんか、それで得になる? なんないんだよな。
- 中居:
- 悩むだけですね。何にも結果も出ないですしね。
- 宇崎:
- そうでしょ。じゃあ、自分のどっかいいところ見っけて、褒めてやったほうがいいじゃん。
- 中居:
- うん、うん。
- 宇崎:
- 俺ね、こういうこと考えんの。もう番組どうでもいいんだけど。
- 中居:
- いや、気持ちですから。今、話してて。
- 宇崎:
- 人間て100%じゃん。100%だよ、ね、どう頑張ったって。そしたらさ、50%悪いとこあるとすんじゃん。欠点。で、50%いいとこあるよね。
- 中居:
- 長所と短所ですね、ええ。
- 宇崎:
- うん。そしたらこのマズい50%をさ、みんなどうにかしようと思うのね。これを減らそうと思うじゃん。だけどこれ違うんだって。放っとけよって、これ。
- 中居:
- それ放っといたらでも、ずっと残ったままだったりしますよ。
- 宇崎:
- いや、残るよね。じゃあこっち(いいほう)の50%を増やせばいいじゃん。
- 中居:
- ああ、なるほどね。向上心ですよね。
- 宇崎:
- うん。こっち(いいほう)を60%にするとどうなるのって。全体からして。この(悪いほうの)50%は40%にならない?
- 中居:
- うんうん、うん。
- 宇崎:
- で、こっち(いいほう)70%になったら、これ(悪いほう)30%にならない? っていうふうに、僕は勝手にそうやって思って、いっつも自分を褒めてるわけ。「よくやったね、宇崎」って。
- 中居:
- へぇー。いいですね、そういうの。
- 宇崎:
- いや、君らだっていっぱい自分を褒めるとこ、いっぱいあるじゃない。「どうしてこう出来ねぇんだろうな?」じゃなくって、「こんなこと出来てんじゃねぇか」って褒めてやればいいじゃないか。だって、他の人に出来ないこと、みんな出来てるんだもん。
- 中居:
- いや、でも、もっと反省する部分ていうか。後悔はないんですよ、僕も。
- 宇崎:
- うん。
- 中居:
- 今までやってきたことに対しての後悔は一つもないです。胸を張って「これ、失敗しましたよ」「これ、つまんなかったでしょ」「これ、僕が出た作品です。つまんなかったでしょ」「芝居ヘタでしょ」。もう僕は、自信のないものに対して自信をもって言いたいんですよ。難しいんですけどもね。自分の弱点であったり、自分の自信のないものでも、歌が例えば不得意だったとしても、「僕は歌がヘタです」と、胸を張っていいたいんですよ。「僕は背が低いです」、もう胸を張って言いたいんです。でも、ね、でもやっぱり反省する部分のがやっぱり多い。
- 宇崎:
- そう。反省は必要だと思いますよ。僕だって全く反省してないわけじゃなくね、反省してるよ。「マズかったな」ってのはね、俺だってあるよ。それが成長に結び付くわけでしょ、だって。そうだよね。
- 中居:
- 難しいですね、でも。でも、だからすごい憧れますよ。そう一貫してるっていうのは。
- 宇崎:
- いや、一貫してるように見えるけど、あっちへフラフラ、こっちへフラフラさ、寄り道したりさ、遠回りしたりしてるんスよ。
- 中居:
- でも、その姿勢っていうのはでも、いくらね、爺ぃになっても、なんかその姿勢っていか、その生き様っていうの変えて欲しくないですね、宇崎さんとかには。それをなんか貫き通すみたいなものっていうのはやっぱり、いいオッちゃんでいて欲しいですよね。
- 宇崎:
- 早く60になりたいなって思ってんだ。
- 中居:
- もう歳とんないかなって思ったりするんですけどもね。だから、本当なんか、今のまんまでいて欲しいですね、宇崎さんとかには。うん、変わらずに。そういうのありますね。
- 宇崎:
- うん、気持ちは今のまんまだろうなと思うな、多分。もうちょっとお利口になりてぇなと思うけどね。あまりにお馬鹿すぎるな、とかさ。
- 中居:
- なるほどね。また今度会った時には、そのまんまの宇崎さんであることを楽しみにしてますんで。
- 宇崎:
- ありがとうございます。
- 中居:
- どうも今日はありがとうございました。
- 宇崎:
- どうも。
- 中居:
- はい、どうもありがとうございました。今週のゲストは宇崎竜童さんでした。ありがとうございました。