![]() |
![]() |
![]() |
- 中居:
- こんばんは、中居正広です。えぇ、突然ですが、テレビを御覧の皆様は、僕、中居正広のイメージってあると思います。よく喋る、笑う、明るい。いろんなイメージがあると思いますけども。今日のゲストは、僕とまるっきり反対じゃないかと世間の人は思うかもしれません。本当のところを今日は突いてみたいと思います。御紹介しましょう、小沢健二さんです。
- 小沢:
- こんにちは。
- 中居:
- どうも、こんにちは。
- 小沢:
- こんにちは。
- 中居:
- 多分、世間の人は。
- 小沢:
- そうですか?
- 中居:
- 僕と正反対じゃないかと思うんですけどもね。
- 小沢:
- あんまり喋らないとか? 今のだとなんだ? 「喋らない」と。
- 中居:
- 僕はよく喋ります。
- 小沢:
- 中居君はどうですか? 喋る?
- 中居:
- 僕はよく喋りますし。
- 小沢:
- はい。
- 中居:
- まあ、イメージ的に明るい。世間体ですからね。
- 小沢:
- じゃあ、僕は「暗い」んですね。
- 中居:
- 僕が率直に思うのは、うーん? ちなみに小沢さんは、世間の人からどういうふうに思われてると思います?
- 小沢:
- どうでしょうね? わかんないですよ。あんま気にしないっス。
- 中居:
- いろいろ言われるじゃないですか。いろいろ書かれたりもしますし、噂もありますし。
- 小沢:
- ああ、そうですね。うーん? なんかそういう噂とかっていうのはあの、わかんないと言うか。不思議ですね。あの、「そっかぁ」とかね。「こんなこと出てたよ」って言われて見て、「うーん? そうかな?」っていう。
- 中居:
- 結局、素っ気なかったり?
- 小沢:
- 自分とはあんまり関係ないような気が。
- 中居:
- あ、自分がこう、なんか?
- 小沢:
- そうですね。なんか「オザケン」とか言われた時点で、もう「片仮名4文字になったら他人だな」って思います。
- 中居:
- はい。僕なんかのメンバーの木村拓哉も。
- 小沢:
- 木村君も「キムタク」は他人なんじゃないかな。
- 中居:
- 「キムタク」って言われてるじゃないですか。でも、「自分でもピンとこない」って言ってましたし。そういう感覚なんですかね? やっぱり。
- 小沢:
- ですね。中居君は「中居君」なんですね?
- 中居:
- 僕は「ナカマサ」とは言われませんね。
- 小沢:
- ね。そこはなんかあるんですよ、きっと。
- 中居:
- っていうか、もうちょっと伸びればそうなるんじゃないかと。
- 小沢:
- それはないんじゃないかな。
- 中居:
- でも、逆に世間の人に「こういうふうに思われたい」っていうのあります?
- 小沢:
- いや、ぜんぜん。あの、そんなことは気にしてられないというか。僕なんかはそうです。
- 中居:
- 例えば、女性だったらお化粧するのは「奇麗」って思われたいとか。例えば、僕なんかだったらやっぱり「男っぽく思われたい」とか。
- 小沢:
- あるんですか?
- 中居:
- いや、僕、例えばですけど。例えば、人間誰しも「こういうふうに思われたい」っていう、なんか願望じゃないですけども。
- 小沢:
- いやぁ、あの、世間一般にはないですね。あの、友達に「もうちょっとこう思われたい」というか、「こうしなくちゃな」とか思うことはありますけど。世間一般にはそんなこと考えてらんなくて。「そんなこと考えてる暇があったらフレーズの一つも考えなくちゃな」と思って。だからもうね、「オザケン」ていう人に関してはもう諦めてるっていうか、どうでもいい。
- 中居:
- ぜんぜんもう別人? 自分じゃない、別人が一人歩きしてるじゃないですけども、そういう感覚なんですかね?
- 小沢:
- ええ、そうですね。だから、で、嫌だとも全く思わないし。ただ、やっぱり家で物を作る自分と、「オザケン」の距離はどうでもいいというかな?
- 中居:
- ふーん。
- 小沢:
- あの、本当に人ごとですね。
- 中居:
- けっこう無関心ですね。
- 小沢:
- あの、そんなこと考えて…。僕はね、あの、そういう仕事じゃないので。自分でいいものを作って、その、音楽ってその、そうだな? 本当に視聴率にしたら本当にちょっとしか売れないっていうか。小室さんとか小林武志さんとかでも、視聴率に直したらね、ぜんぜんSMAPとかにかなわないんだけども、何故か流通する。顔はあんまり関係ないんじゃないかなと思って。だから、僕もあんまり気にしないように。
- 中居:
- それはでも、音楽との関連性を繋げるとっていうことですよね?
- 小沢:
- そうですね。僕は音楽のことしかあんま考えないようにしてます。
- 中居:
- でもあの、プロモーションビデオとかライヴとか、ちょっと観させていただきましたけども、かなり絵的にも僕はこだわりはあるんじゃないかな? とは思ってたんですけどもね。
- 小沢:
- プロモーションビデオはね、あの、昔からの友達が、あの、僕が「ライフ」っていうレコードを作った頃に、その子と「よし、ずっと本気でやろうぜ」なんて言って歩み出してるんですよ。だから、もういつも彼がすごくなんか、その時新鮮な楽しいことが起こればいいなと思って。「こういうふうにやって」とか、そういうことなんて一切言わないし。僕は行く時まで知らないんですよ。
- 中居:
- へぇー。じゃあ、一切じゃあ打ち合わせももちろん?
- 小沢:
- しないですね。だから、すごくなんかあの、楽しみなんですよ。
- 中居:
- え? それはでも、まあいくつかの作品があるとしても、自分で納得いかないじゃないですけども。
- 小沢:
- いや、いつもその時に「どうやって切り返そうかな?」って思うんですよ。あの、どうやって、その歌のプロモーションビデオ、僕も好きなんですけどね、観るのは。どういうふうにやれば、その友達ヨッチンて言うんですけど、ヨッチンがどうやったら。ヨッチンて言うのは悪いな。タケイ君て言うんですけど、タケイ君がどうやったらあの、一番楽しいかな? と思って。それに応えようと思うから、知らないんですよね、なんにも。例えば「痛快ウキウキ通り」っていう。
- 中居:
- ええ、ありました、はいはい。
- 小沢:
- あの、ルームランナーみたいなのの上を歩いていって、次々に事件が起こる。で、それをずっと回しっ放しでワン・カメで、一つのカメラでずっと撮ってるだけなんですよ。編集も一切なくて。それも行くまで知らなくて。いつも会ってる時に「そんなこっちゃないかなぁ?」と思ってたんだけど。行って「うわぁ、これやるんだ」と思って。ライヴぐらい頑張りました。
- 中居:
- あ、そう。いや、でも、やっぱりそのヨッチンを。
- 小沢:
- ヨッチンを。
- 中居:
- ヨッチンをまあ、心のなかでは信じてる部分ていうのは小沢さんのなかであるんでしょうね。
- 小沢:
- だし。あの、信じてるし、一緒にやっていく人がね、そうやって彼なら彼がその、もう出しちゃったから言うけど、タケイ君、ヨッチンならヨッチンがその、「いい映画をいつか撮らないかな」とか、おせっかいだけどすごく思うし。そうやって一緒に感覚を磨き上げて行く人が、たくさんいたらいいなと思って。いつもだから、「誰か一緒に何か仕事しないかな」って思っています。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- そう見えないですか?
- 中居:
- あ、いやいやいや。じゃあもう、僕はこうしてお会いして話すのは初めてじゃないですか。
- 小沢:
- そうですね。なんか擦れ違って。
- 中居:
- だから、僕なんかもやっり世間の人が思ってる、多分、僕なんかも世間の本当、一人だと思うんですけども。やっぱり小沢健二を、通称「オザケン」て言われている人へのイメージっていうのは、まあ、知ってるかもしれないですけど、今こう、活発にね、肩を出し、肌を剥き出しに「俺は音楽をやってるんだぞ!」と。「俺の音楽っていうのはよ!!」っていうなんか、口にはしなくてもなんか見ためでそういうふうに表現する方っていうのも、もちろんたくさんいると思うんですよ。それと逆に、やっぱり小沢さんていうのは、一見やっぱちょっと弱々しいんじゃないかとか。
- 小沢:
- ああ、べつに強いとは言いませんね。
- 中居:
- いわゆるオタクっぽいんじゃないかとか。
- 小沢:
- あ、オタクっぽいのはないですね。僕はね、オタクの人はよく知ってるんですけどね、オタクっぽいとか僕は言えないですね。
- 中居:
- だから、世間の人はそう思ってると思うんですよ。僕も、今こうやってお話する前までちょっとね。これ、偏見かもしれませんけど。
- 小沢:
- あ、わかった。いつもね、思うんですけど、テレビに出て「僕」とか言うからいけないんですね。あの、俺、ダメなんですよ。普段「俺」って言うんですけど、なんかあの、申し訳なくって。
- 中居:
- 申し訳ないって?
- 小沢:
- 「俺はさぁ」っていうのは。「俺さぁ」って普通に言うんですけど、なんか、なんて言うのかな? 大体は人がやってる番組にお邪魔するわけで、初対面だったりしますよね。だから、いきなり「俺」っていうのは、ちょっと嫌で。で、「僕」とか言ってるんですけど。
- 中居:
- え? 僕も「僕」ですよ。
- 小沢:
- あ、そうか。でも、中居君もあんま強いイメージないですね、多分。どうですか? 自分では。
- 中居:
- 僕はそうですね。強いイメージないですね。
- 小沢:
- あ、そうか。中居くんは「俺」って言わないんだ。
- 中居:
- いや、それはやっぱ「いや、俺はさぁ」とか話しますけど。うん、だからテレビ出ると声のトーンも変わりますし。
- 小沢:
- 変わるんですか? 普段、違うんですか?
- 中居:
- バラエティとかになると「あぁ、どうも! 今日はですね」ってなりますし。ええ、ぜんぜん変わりますし。
- 小沢:
- いろいろあるんですね。
- 中居:
- いろいろ引き出しあるんですけども。そういうふうに思われてるっていうのも、やっぱり自分にとってやっぱり関心ないって言っちゃおかしいですけども、そんなに。
- 小沢:
- あの、でも、そうですね。うん、あんま関係ないですね。ただ、なんていうか、うーん? そこらへんどうなんだろうな?
- 中居:
- いろんな人がやっぱり言ってくると思うんですよね。そんで、会う前のイメージと会ってからのイメージにギャップを感じる人とか。
- 小沢:
- ああ、違う。それは大体ね、「オザケン意外にでかい」って言われますね。背が。ちっちゃく見えるらしいんですよ。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 小沢:
- 僕、中居君よりでかいですよね。
- 中居:
- 大きいですよね。そんで、そう思いましたもん。
- 小沢:
- うわぁ、そうかぁ。みんなに言われるんですけど、「オザケン意外にでかいな」。でかいんですよ。
- 中居:
- え? 身長はちなみにおいくつなんですか?
- 小沢:
- 175ぐらいは。
- 中居:
- 大きいですよ。え? で、歳は?
- 小沢:
- 28です。なんでちっちゃく見られるかな?
- 中居:
- さっき僕のことなんか、25歳っておっしゃってましたよね。
- 小沢:
- 誰かが言ったんですよ、さっきそこで。「中居君は25だから」。
- 中居:
- 僕、まだ23歳なんですけど。
- 小沢:
- わかりました。すいません。わかりました。
- 中居:
- それでもう一つ聞きたいんですけども、詞を作る時に、詞を僕いくつか拝見させていただきましたけども、ま、「君」であったり「僕」であったり、いわゆるそのシチュエーションの中に女性っていうのかな、女の子って言ったほうが正しいかもしれませんが、必ずと言っていいほど入ってるんですよね。
- 小沢:
- あの、それ、珍しくないですよ。SMAPの曲も全部入ってんじゃないですか?
- 中居:
- まあ、僕らはあのね、僕らが作って僕らが歌ってるわけじゃないですから。
- 小沢:
- ああ、そうか。
- 中居:
- ええ。でも小沢さんの場合は、まあ自分で作られてるわけですよね。だから、自分の経験上のもとで作られて?
- 小沢:
- いや、ぜんぜんない、そういうの。
- 中居:
- あ、そうなんだ。
- 小沢:
- もう、全くないですね。
- 中居:
- 想像ですか?
- 小沢:
- うーん? そうですね。なんか曲のある部分が今はあの、ある部分の例えばそうですね「プラダの靴が欲しいの」っていうフレーズが最初に出ると、それはもうなんだかわからないわけで。その後を考えなきゃいけないんですよ。「プラダの靴が欲しいの」なんか全くもう、何にも関係ない。その時はね、友達の車乗ってて。それ、男の友達で、二人でなんかどっか行く途中で。で、「プラダの靴が欲しいの」なんて誰が言ったわけでもないんだけど、そういうことになって。それは曲の端っこ、切れっ端が出てきたのをどうにかして形にしようと。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- だから、そっから先がね、自分の経験だから何にもないですね。
- 中居:
- 想像力? 想像してでの詞なんですかね?
- 小沢:
- だし。あんまりラヴソングみたいの書いてる気はないです。
- 中居:
- あ、自分じゃあそういう気持ちで。
- 小沢:
- だから、よく言われんですけどね。あの、ぜんぜんないですね。
- 中居:
- いわゆるラヴソングっていう歌じゃないと思うんですよ。
- 小沢:
- ああ、「おまえが好きだ」みたいな。
- 中居:
- うん。「おまえが好きだ」「おまえだけ抱きたい」とか。例えばですよ。
- 小沢:
- 「おまえだけ抱きたい」、うん。
- 中居:
- でもなんか、ほのかなじゃないですけども、うん、なんか自然となんか成り行きが示しているラヴソングな気するんですけどね。
- 小沢:
- うーん?
- 中居:
- だから、「自分の経験がこういうふうに詞に出ているのかな?」って、僕ずっと思ってたんですよ。
- 小沢:
- いや、ないですね。
- 中居:
- え? 詞を書かれる時っていうのはもう、机に向かって「よし! 書こう」と思って書くんですか?
- 小沢:
- いや、それがなかなか出来なくて。ブラブラしながら。そうですね、俺でも、そんな「痛快ウキウキ通り」なんていう調子の体験もないし。だから、そうですね、実体験とかぜんぜんないですね。
- 中居:
- もしくは理想だったりするんですかね?
- 小沢:
- 理想とも関係ないんじゃないですかね?
- 中居:
- へぇー。どういう気持ちで書いてんだろう?
- 小沢:
- わかんないですね、そう言われるとね。
- 中居:
- 僕なんかも詞を書いた経験がないんで、わかんないんですよ。だから、大体ね、詞を書いたり曲を書いてる人っていうは。
- 小沢:
- でも、イメージだけありますよ、あの。
- 中居:
- 絵は浮かんでくるんですか?
- 小沢:
- あ、絵みたいな感じですね。あの、絵みたいなっていうのは、具体的に「この人がこう動いて、こうなってこうなって終わり」っていうんじゃないんですけど。なんか、そうですね。僕の場合は何を題材に、すいません真面目な話しで、何を題材に書こうとか思わなくて、ある気持ち。「この気持ちになればいいな」っいう物へだんだん近寄ってくのかな?
- 中居:
- ある気持ち?
- 小沢:
- 何かわかんないですけど。だから、題材はね、僕なんでもいいと思うんですよ。もっといろんなふうに書きたいし。なんか「爆弾犯人を追っかける」とか、そういう話しでもいいんじゃないかと思って。舞台設定はね、どうでもいいんです。
- 中居:
- ああ、そうなんだ。
- 小沢:
- ええ。でも、わかんないけど、SMAPとか書いてる人もそうじゃないかな?
- 中居:
- どんな感覚で書かれるんでしょうかね?
- 小沢:
- あるでしょうね。歌詞って気持ち悪いですよね。
- 中居:
- じゃあ、思いついたフレーズがあったら、メモをとったり?
- 小沢:
- うん。メモとります。
- 中居:
- メモをとって、それを組み合わせて書いたり?
- 小沢:
- そうですね。
- 中居:
- 机に「じゃあ書こう」っていう。常に「ああ、書かなければいけない」とか、そういうふうな状況に?
- 小沢:
- 曲はね、机に向かったほうが早いですね。こういって、こういって、っていうのは早いですけど。歌詞はね、机の前に座っても何にも。
- 中居:
- なんか、あるインタビューの雑誌読んだ時に、なんか喫茶店なんかにも入って詞をチョロっと書くような話もなんか書いてあったんですよ。
- 小沢:
- そうですね。喫茶店とか、そば屋とか。そういうとこはいいですね、すごく。
- 中居:
- 一人で?
- 小沢:
- 一人で。
- 中居:
- 何を考えながら? それはもう、詞をじゃあ。
- 小沢:
- いや、そば屋のお姉さんと喋りながら。子供産まれて「可愛いですね」とか言いながら。「せいろ二つ」とか言いながら。だから、そういうふうにしてないと、書けないんじゃないかなぁと、勝手に思っているんですよ。
- 中居:
- ええ、ええ。
- 小沢:
- そんなになんていうか、うーん? そんな簡単なこっちゃないっていうか。なんだろう? そんな机に向かってやるようなもんじゃなくて、いつも暮らして居るなかの感覚から、いい言葉しか選びたくないなと思って。だけど自分の生活とはぜんぜん関係ないんですけどね。
- 中居:
- へぇー。ああ、そんなもんなのかな?
- 小沢:
- うん。そば屋とかですよ、本当に。一番いいのは。
- 中居:
- そば屋?
- 小沢:
- うん。
- 中居:
- それはだから、あくまでも自分が落ち着ける場所なんでしょうかね?
- 小沢:
- 普通の暮らししてる時ですね。 スタジオとかあんまり。
- 中居:
- スタジオにじゃあ、篭ってなんかやるっていうのもほとんどない?
- 小沢:
- 音はね、楽しいですけど。歌詞はちょっと違うかなぁって思ってます。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- なんかわかんないですけど。
- 中居:
- いや、でも、最初、僕は、こういう経験がやっぱりあって、あるいは自分の経験と理想が合併したものがああいうふうな詞になのかなと思ってたんですよ。
- 小沢:
- いや、とんでもないっスよ。
- 中居:
- ああ、そうなんだ。
- 小沢:
- もう、ぜんぜんわからないですね。何のために歌詞を書いてるかもわからなければ、どっから来てんのか、どっからこれが出てんのかもわかんないです。
- 中居:
- え? じゃあ小沢さんは、まあ何のために音楽をやってるんですか?
- 小沢:
- 何かわかんないですね、なんか。
- 中居:
- 何に向かって音楽をなさってんのかな?
- 小沢:
- うーん? 何でしょうね?
- 中居:
- 目的であったり、目標であったり、目指すものであったり、夢であったりと、いろいろあると思うんですけども。
- 小沢:
- うーん? わからないですね。ただ、やればやるほど音楽、物を作ることはそうだと思うんですけど、やればやるほど自分がよくわかるというか。そういう気だけ。
- 中居:
- え? 自分がよくわかる?
- 小沢:
- うん。まあ、自分のダメなとことか、マシなとことかがわかるなぁと思いますけどね。
- 中居:
- じゃあ、例えば。
- 小沢:
- どうですか? ドラマとか出ると。
- 中居:
- 僕ですか? ドラマ?
- 小沢:
- ええ。
- 中居:
- ドラマは、うーん? 僕はなんか、僕はもう自分でもわかんないですよね。何に向かっているのかていう。
- 小沢:
- わかんないですよね。わかんないっス。
- 中居:
- だも、何かに向かってるのは、僕は確かだと自分で思うんですよ。でも、何かに向かってるんですよ。
- 小沢:
- うん、そうですね。なんかですね。
- 中居:
- 死ぬ時にわかればいいかなと。
- 小沢:
- お? 宗教的な。
- 中居:
- 死ぬ時に笑って死ねればいいかなって。
- 小沢:
- なかなか簡単にはでも、わかんないですね。
- 中居:
- なんか、すごい身近に言えば、例えばライヴで喜んでるお客さんの顔を見るがために頑張っているのかなっていう。ごく素朴でなんか、簡単なような気がするんですけどね。
- 小沢:
- うーん?
- 中居:
- ライヴとかでやっぱりお客さんていうのは? ライヴでお客さんにはどういうふうに楽しんでもらいたい? 例えば、いろいろ楽しんでもらいたいっていうのでもいいし、じっくり聴いてもらいたいっていうのは、いろいろな観方があると思うんですよね。どういうふうに観ていただきたいっていうのがありますか?
- 小沢:
- うーん? つまんない答え方ですけど、好きなように。でも、僕は…。
- 中居:
- 自由に?
- 小沢:
- そうですね。でも、どうでもいいです。どうにでも。
- 中居:
- でも、それっていうのはでも、お客さんと小沢さんと。小沢さんどうですか? お客さんとの関係っていうのは、どういうふうになってんですかね?
- 小沢:
- うーん? どうなってんでしょう?
- 中居:
- ただ単にお客さんとタレント。タレントじゃないや、歌手、小沢健二。ただ、単にそういう立場なんですか?
- 小沢:
- どういう関係なんでしょうね? そうですね、どういう…?
- 中居:
- ファンと歌手? 歌手とファン?
- 小沢:
- あんまりそういう感じじゃないです。わかんないけど。
- 中居:
- え? 僕もライヴビデオ観た時になんかね。
- 小沢:
- でも、昔のあれ、多分、観たのって去年とか一昨年のやつだと思うんですけど、なんか、どんどん変わってきてですね、あの、あんまりお客さんとかって考えないようになってます、もう。
- 中居:
- え? 歌ってる最中も?
- 小沢:
- うん。あの、お客さんという考え方というか。みんな音楽が好きだから、なんか「今夜はいいことあるかな」ぐらいの小さい野望ですけど。「なんか、今夜は楽しいかな」っていうぐらいでいいなぁと思いますね。なんか。
- 中居:
- へぇー。じゃあ、「俺の音楽を聴いてくれ!」とか、そういうなんか汗が出るような、そういう強いアピールみたいなのは特にないんですか?
- 小沢:
- うん、あの、すごい頑張ろうと思いますし、すごい頑張るのが好きだから、キチンとやりますけど。
- 中居:
- でも、やっぱり。
- 小沢:
- でも、べつに、僕を観に来てるとは思わないです。僕の音楽が好きで、なんか来てて。「あいつ馬鹿だな」って思いながら観てるっていう。でもなんか、なんていうか、ギュッて気持ちが出来ればいいなと思うんですけどね。
- 中居:
- じゃあ、そうですね、っていうことは、小沢健二の作ってる音楽に?
- 小沢:
- うん。それが好きなんだと思いますよ。だけど、それを、うん、それしか考えない。だから、今も話していても、そうですね、僕のことを聞かれてもあんまりわからないのは、みんなきっと音楽が好きなんであって、それ以外のことは何も期待してないっスよ。クイズ番組出たりとか。
- 中居:
- それは、そんなことはないですよ。
- 小沢:
- そんなことなくないっスよ。馬鹿だからね、クイズ番組とか出ても無理だし。あの、そういう図は誰も見たくないと思います。
- 中居:
- いや、それはでも、小沢健二という人間に興味がある人、絶対いると思いますよ。
- 小沢:
- いやぁ、そんなことないっスよ。
- 中居:
- いや、僕自身、今いろいろ聞いてるっていうのは、うん、やっぱり興味ありますもん。
- 小沢:
- いやぁ、なんもないっスよ。叩いても出ないっスよ。本当。
- 中居:
- やっぱ、人間、小沢健二っていう人柄であったり、人間性から生まれてくる意外な音楽性っていうのかな。
- 小沢:
- 意外な? そうですね。意外かもしんないですね。あの、新しいものはいつも作ってやろうとは、もちろん思ってますね。
- 中居:
- 人真似嫌いな方ですか?
- 小沢:
- 人真似というか、何も意識しないで例えば、なんでかよくわからないのは、音楽をやろうと思った時に「バンドをやろう」っていいって、何故かベース、ドラム、ギター、みたいに揃うのは、「誰の真似もしてないよ」とかって思うのかもしんないですけど、もういきなりその段階で真似というか、コピーだなぁと思って。音楽とか、本当に何の決まりもないと僕は思っていて。だから、なるべく固定観念は。まだまだぜんぜん固定観念が強いなと思うぐらいで。なるべく取っ払って。あの、原始に戻った音楽をやろうと思ってる。
- 中居:
- ほぉー。え? じゃあ、今度なんか新たに「こういう音楽をやりたいな」っていう。
- 小沢:
- うーん? もう、ただただそれに忠実に。なんか。
- 中居:
- 世にいろんな音楽あるじゃないですか。
- 小沢:
- ジャンルみたいなことですか?
- 中居:
- ええ、ジャンルにしろ。
- 小沢:
- ジャンルはどうでもいいですね。
- 中居:
- ね。フォークでもソウルでも、いろいろ。
- 小沢:
- ジャンルはもうどうでも。
- 中居:
- あんまりだから、周りに影響はされたくないっていう気持ちは強いみたいですね、じゃあ。
- 小沢:
- うーん? 他の人のはすごく音楽聴くのは、やっぱりすごく好きで聴きますけども。あの、なんていうか、人の真似してもしょうがないですからね。特に、無意識に真似をしてはいけないなぁと。真面目な話しですけど、すごく、これはね。なんか、うーん? そういうことではいかんなと思って。なんでしょう? よくわかんないス。すいません。
- 中居:
- なんか、自分のなかであれですね、でも、こだわりっていうのは多分、僕は持ってると思うんですよ。で、逆に流されないっていうのは、ある意味で自分の音楽性に対しての自信があるんじゃないかなと思うんですけどもね。
- 小沢:
- いや、本当にまだまだだなと思ってばっかりですけどね、音楽性はね。
- 中居:
- そうですか?
- 小沢:
- もうね、本当に。そういう意味でよくわかります、本当に。
- 中居:
- このあいだ、その春のツアーありましたよね?
- 小沢:
- はい。
- 中居:
- その春のツアーの前のインタビューのやつを読んでた時に、「いいです」と。
- 小沢:
- インタビューでね、大サービスしちゃうんですよ。サービスしないですか? なんか。
- 中居:
- ええ、ありますけどもね。
- 小沢:
- なんかありますよね。
- 中居:
- そしたらね、僕すごいいいなぁと思ったのが、「いいです」と。「このコンサートはいいんで、ぜひとも来て下さい」みたいなインタビューする人に言ってるのを聞いてて。「チケットはないですが、とにかく見て下さい」っていうのを書いてあったの見て、うん、自信はもちろんあるんでしょうけども、自分の音楽はあの、来ることによって楽しむことが出来ますよってなんかね。うん、だから、ある意味ではサービス精神のフレーズだったのかなとも思ったんですけどね。
- 小沢:
- サービス精神過剰で本当に嫌んなってますね。あの、ライヴはでも、いいですね、やっぱ。
- 中居:
- ライヴがいちばん好きですか?
- 小沢:
- ライヴはうん、好きですね。何と較べたらいいかわかんないですけど、すごく好きですね。
- 中居:
- ライヴが好きって、やっぱりお客さんのダイレクトの反応であったり。なんですかね? そのライヴの魅力っていうのは。
- 小沢:
- 何でしょうね? 何ですか? でも、SMAPだからすごいやんだよね、たくさん。一日になんか。
- 中居:
- ええ、昔までやってました。最近はちょっと出来ないですけども。何でしょうかね? 小沢さんにとっての一番のライヴの魅力っていうのは。
- 小沢:
- あの、それで今言ってたんですけど、一回きりっ感じ。「この音楽をやるのは一回きりだな」っていつも思うんですよ。あの、まあ普通に歌詞があってメロディがある音楽なんで、今のところ少なくとも。あの、そんならアドリブが延々30分も続くとか、そういうことはないんですけども。それでも、全部アドリブのつもりでやってるし。いつもその、演奏してる完全に生演奏なんで、それはオーケストラも含めて生演奏なんで、必ずそういうふうにしてるんで。あの、演ってる側が仕事になっちゃいたくないんです。もう「これはこうやって、ここでこうやって持ち上げて、ここで落として終わり」みたいな。
- 中居:
- 段取りみたいなのは?
- 小沢:
- 絶対、嫌なの。で、あの、いつも新鮮さを保つために、ちょっとだけ「今日はここのところのコード進行を二つ変えます」とか、すごくそういう遊び、こっち側の、演奏いる側の遊びとか。それとか真面目に考えて「あそこのコーラス、もう一回繰り返したほうがいい」とかねそういうこともありますけど。いつも音楽を、同じことはもう二度とやりたくないと思うんですよ。
- 中居:
- へぇー。え? じゃあ、ステージもそうですか?
- 小沢:
- ステージもだから、そうですね、いつも。まあ、照明とかそういうことはわかんないですけど。音楽的には同じことを繰り返したりは絶対しないですね。
- 中居:
- へぇー。もうそれは、歌詞変えてちゃしょうがないから、歌詞は同じですけど。気持ちや流れや、あとはもう僕は人為的にアレンジを変えますから。あの、キーを変えたりするんですよ、突然。でも、音楽だから簡単なんです、口で言えばいいから。「今日はD♭でやります」とか言うと、なんていうのかな? そのキーによって音楽ってまたぜんぜん表情が違うし。なんか見つかるんですよね。で、必ずしも同じ気夢で、決まったキーで全部一回成功したものをもう一回やれば同じように成功するかというと、そうではないような気がするんですよ。やっぱり、ある時に人に会う時にすごくいい格好してって会って良かったから、もう一回その格好したらどうかっていうと、そうではないじゃないる
- 中居:
- わかります、わかります。
- 小沢:
- やっぱりその時の天気で靴下はかないとか、なんかあるわけで。そうやって一瞬一瞬をつかみ取りたいなって思いますね。なんかクソ真面目っぽくて嫌ですけどね、言っててね。
- 中居:
- 好きですけどもね。
- 小沢:
- うん、そういう感じって、なんかわかりませんか?
- 中居:
- うん、すごいわかりますよ。
- 小沢:
- 僕はね、なんか。
- 中居:
- 自分に飽きちゃうんですかね? 自分自信が。
- 小沢:
- あ、やっぱりね、いつもいいものって逃げていくような気がするんですよ。あの、いいものってなんか、わかります? ゴリッとくるっていうか。
- 中居:
- 自分が?
- 小沢:
- そう。周りも含めて盛り上がるようなものって。いつも逃げていくから、それに負けずに自分も走っていないと。なんかどうですか? わかりますか? すいません。
- 中居:
- 言ってることわかりますよ。
- 小沢:
- そう、だから、その度にこう来たらこう返すんじゃなくて、こう来たら今日はこっちへ返したら相手もまた違うかもしれないし。いつも新鮮な気持ちでいるためには、もう極端な話、曲順とかもメチャクチャに変えたいんですけど、それをやるとでも周りが大混乱になるから。
- 中居:
- すごい大変なことになりますね。
- 小沢:
- それはやりませんけど。曲順変えられないんだったら、キーやテンポや、そういうことを変えて。
- 中居:
- 些細なことでもね。
- 小沢:
- そう。いつも新鮮で。
- 中居:
- そしたらお客さんも例えば、一回目観て、二回目観た人っていうのも、たとえ二回観る人でも嬉しいでしょうね。
- 小沢:
- なんかね。
- 中居:
- 違う音楽が聴けたりすると。
- 小沢:
- なんか、いつもスリルがあるといいなと思って。
- 中居:
- あ、でも、そういうのは僕なんかにもあるかもしれないですね。
- 小沢:
- あの、喋りとか、いつもそうですよね。僕は喋りの延長が音楽なんじゃないかとか勝手に思ってるんですけど。喋りとかどうですか?
- 中居:
- 僕らのライヴはやっぱりそうですね。ネタは。
- 小沢:
- あ、じゃあ、ライヴのネタか。
- 中居:
- ライヴのネタなんですけどもね。
- 小沢:
- いや、普段のトークとかも。
- 中居:
- そうですね。飽きさせたくはない。
- 小沢:
- ね。
- 中居:
- なんか、いろんな番組やるっていうのも、いろんなジャンルやるっていうのも、一つに染まりたくないっていうのが自分の中の常に思ってること。赤色には染まりたくない。青にも染まりたくない。時には黄色であり、緑であったり。時には無色でもいいんじゃないかっていう。
- 小沢:
- なんかね。あの、赤色さんみたいになってきますよね、どんどんね。そうなるともう、ぜんぜん元の輝きではない。
- 中居:
- うん。でも、いろんな色にね、なった時の自分て言うのが、その時に輝いていれば。
- 小沢:
- そうですね。輝きっていうことだけ一緒であればいいなって。
- 中居:
- それがどういう方向性であれね。
- 小沢:
- 僕の場合、音楽ですけど。その、曲の長さも、繰り返す感じも、キーも違ったけど、なんていうか、すごく輝いてるなと思うことだけをキープするために、やっぱりいつもいろんなこと。だし。今レコーディングしてるものやなんかでも、すごく前のものと違うものを作ったりしてるんだけど。
- 中居:
- いわゆるアレンジを変えてるっていうことですか?
- 小沢:
- あの、そうですね。手法を。画家でもどんどん描く絵の時代が変わる、みたいな。やっぱり質をキープするためには、形はもういちいちブッ壊してやりたいなと。
- 中居:
- そしたら、その次への発想じゃないですけども、すごい苦しみません? 壊してから発想します? 発想してから壊します?
- 小沢:
- いや、壊すのがもう発想ですね。
- 中居:
- へぇー。あ、それいいですね。
- 小沢:
- ブッ壊すのはね、少なくとも音楽なんてちょっとやそっと叩いても壊れないですから。ボッコンボッコンにブッ叩くっていうのが。その時になんか発想がありますね。だからね今までずっとそう思っているし。これからもいつもブッ壊したいなぁっていう。
- 中居:
- でも、音楽っていうのは、正解がないですよね。
- 小沢:
- うーん? 正解がない?
- 中居:
- 方程式がないっていうか。例えば、この曲に何+何+何×何÷何=これ、とかいうことがないじゃないですか。
- 小沢:
- そうですね。ある程度はあるみたいなこともあるんですけど。それが好きじゃないんですね、僕は。あの、再生産されているものに全く興味がなくて。でも、再生産されて、なんていうのかな? あの、うーん? 生の人の生きてる感じがだんだん削がれていった音楽のほうが聴きやすいみたいなこともあるから、それはそれでいいなと思うんですけど。そう、音楽は正解がないっていうのに、今ごめんなさい、すいませんちょっと話が。当たってるかどうかわかんないんですけど、あの、なんていうのかな?
- 中居:
- 自分が自信を持って「これはいけるだろう」と思っても、周りの評価が。
- 小沢:
- あ、それはね、それは僕が考えることじゃないからいいんですけど。あの、僕が思ってるのは要するに、音楽って譜面で考えると、12個の音しかないとか、このタイミングしかない、みたいなことなんですけど。本当はね、どこでもいいんですよ。あの、音符の置きどこなんて。あの、なんかよくわかんないけど、ミとファの間でもいいんですね、ぜんぜんね。だから、そういう自由さを持ってやりたいなぁと思いますね。
- 中居:
- そうやって柔軟性がないとダメですよね。
- 小沢:
- うん、でも、そうですね。すごく興味がありますね。同じ歌でもいろんな人が歌って違うでしょ。
- 中居:
- ええ、ええ、ええ。
- 小沢:
- きっとみんな、それぞれのなんかトーンがあるんだなと思って。真面目っぽいですね、すいません。
- 中居:
- 今後、自分がどういうふうに転がっていくのも、自分じゃわかんないですね。
- 小沢:
- わかんないですね。あの、でも、いいものを作ろうと思うし。その「音楽を作りたい」っていう気持ちがすごく強いのは、本当にそうで。だいたい「これをやりたい」っていうイメージはすごくありますけど、なかなかそれに届かなくて、イライライライラして。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- 「馬鹿じゃねぇの!? 俺」っていうのはすごい思いますね、時々ね。
- 中居:
- え? そんな自己嫌悪に陥ることなんて。
- 小沢:
- 自己嫌悪? あ、でもね、あんまり。あんまりすごいグッタリはしないですけど。
- 中居:
- まあ、それはそれで「いいんじゃないか」って丸に収めたり。
- 小沢:
- うん。あの、無駄なことってきっとないからなぁと思ってますから。
- 中居:
- 後悔とかします?
- 小沢:
- うーん? 後悔すごいしてるつもりでいるんですけど、すぐ忘れちゃうんですよ。
- 中居:
- それは後悔ですかねぇ?
- 小沢:
- 後悔してますか?
- 中居:
- 僕は後悔しないですね。反省はしますけど。
- 小沢:
- あ、じゃあ、反省ぐらいなんですね、多分、俺も。
- 中居:
- 反省はしますけど、後悔はしないように気を付けてますけど。
- 小沢:
- ああ、そうですね。次のことへ、次のことへ興味が向いちゃうので、なぜか。
- 中居:
- うんうん、新しいものへ、新しいものへ。
- 小沢:
- ええ。「コケたな」って思うことは、それを見ると次へのあれになっちゃうからね、結局。見てるうちに、もう次のこと考え出してて、それかせボヤボヤボヤボヤッて消えちゃうんですかね。そんな感じですか? 反省っていうのは。
- 中居:
- そうですね。反省してもでも、反省はするけど、そう、でも、その反省したこと、自分の発言なり行動なりに後悔はないと。
- 小沢:
- うん。
- 中居:
- 「やんなきゃよかった」とは思わないですよ。
- 小沢:
- ああ、そうですね。「やんなきゃよかった」とは思わないですね。痛い目に合わないとわかんなかったりしますからね、本当に。
- 中居:
- ありますよね。それは音楽だけでなく私生活でもありますもんね。
- 小沢:
- いや、もうそうですね。だいたい音楽でっていうか、何かやってて言えることは、だいたい生活のなか何でも言えますよね。
- 中居:
- でも、さっきなんかあの、「真面目な話ですいません」「真面目な話ですいません」っておっしゃってましたけど、楽しい、はしゃぐの好きですか?
- 小沢:
- はしゃぐの大好きなんですよ。
- 中居:
- それが僕なんかね、わかんなかったんですよ。よくこう、世間体の多分、目でずっと小沢さんを見てまして本当に申し訳ないんですけど。
- 小沢:
- いえ、とんでもない。
- 中居:
- 「アアァーッ!!」とか「オオオォーッ!!」とか。
- 小沢:
- ああ、俺はもう、元は、元はっていうか、今でも音楽の基準はね、そういうとこにありますよ。
- 中居:
- ええぇー?
- 小沢:
- 一年ぐらい何もやんないでね、クラブとかばっかり行って過ごしてたことがあるんですよ。
- 中居:
- クラブっていうのは踊るクラブ?
- 小沢:
- そうそう、そう。それでその、そこに基準がみんなあるんですよね。だから、お酒と関係ない音楽っていうのは、あんま好きじゃないんですよ。
- 中居:
- ちょっと待ってください。お酒と関係ない音楽?
- 小沢:
- お酒と関係ない音楽。まあ、なんか変かな?
- 中居:
- ♪カローラIIに乗って〜
- 小沢:
- ああ、あれは関係ないですよ。あれ関係あんのかな? あれはCMの音楽だからどうだろう? 歌を歌いに行っただけですから。
- 中居:
- じゃあ、自分の中で? そうするとでも。
- 小沢:
- でも、あれも意外に。あれ、アートですね。CMの。あれはもう。
- 中居:
- ああ、そうなんですか。お酒と関係ある、関連性のあるもの?
- 小沢:
- うん。
- 中居:
- え? お酒ガンガンに飲まれるんですか?
- 小沢:
- ……………。
- 中居:
- 嫌いじゃない?
- 小沢:
- そうですね、いや、すごい好きですよ。
- 中居:
- はしゃいだりします?
- 小沢:
- あの、そうですよ、はしゃぎ頭ですよ。はっちゃけ大臣ですよ、もう。
- 中居:
- ちょっと想像つきませんね。
- 小沢:
- ああ、あんま人前で見せるもんじゃないですから。
- 中居:
- あ、そうなんだ。え? じゃあ、「飲み行こうぜ、飲み行こうぜ」「飲め飲め、飲め飲め」「もう一杯持ってこい、もう一杯」。
- 小沢:
- いや、あの、どういう飲み会とかそういうのわかんないですけど、なんかそういう。なんか。塩、テキーラ、レモン、みたいなのは、もういちばん率先して。最も大量にやるのが自分です。
- 中居:
- ふざけるの好きですか?
- 小沢:
- 騒ぐの好きです。でも、仕事とは何の関係もないというか。
- 中居:
- それはある意味でストレスの?
- 小沢:
- ストレスじゃないです。僕は楽しいばっかりですよ。
- 中居:
- とにかく自ら楽しみたいがために、やっぱりはしゃいだり。
- 小沢:
- 盛り上げ、盛り上げ。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- 飲ませ、飲ませ。
- 中居:
- 考え付かないですね。想像付かないですね。
- 小沢:
- そうですか? いや、それ、小沢健二はそういう人ですね。
- 中居:
- 「オザケン」じゃなく?
- 小沢:
- 「オザケン」はいいんじゃないですか?
- 中居:
- 「オザケン」はお酒飲めないでしょうね。
- 小沢:
- 「オザケン」どうだろう? いや、俺、「オザケン」の正体よくわかんないですけど。「オザケン」は関係ないですよ。「オザケン」は酒飲まない…?
- 中居:
- 飲まないですね。
- 小沢:
- いや、でもね、わかんないっスよ。人によっていろいろ捉え方が違うんじゃないかな。
- 中居:
- いや、でも、ちょっと想像付きませんね、本当に。
- 小沢:
- そうですか?
- 中居:
- うん。ちょっとビックリじゃないですけども。自分で率先してそういうの、え? ってことはあの…。
- 小沢:
- なんでそんなに意外な顔を?
- 中居:
- これ、僕だけかな? これ、テレビ見てる人もそんなような気するけどな。
- 小沢:
- あんまりそういうこと聞かれないですからね。だから。
- 中居:
- 僕、聞いてることがちょっと違ったのかな? もしかして。あんま聞かれません?
- 小沢:
- あの、なんだろ? だいたい音楽の話ばっかりしてるから。その時はあの、あんま関係ないですけど。あ、そう言ったら、お酒影響ありますね。お酒と遊ぶこと。
- 中居:
- え? 小沢さんにとって、音楽離れた小沢さんがいるじゃないですか。常にそれともう、音楽のことは常に頭の中にどっか引っかかったり、考えてたりしてます?
- 小沢:
- カッコ悪いですけどね、けっこうそうですよ。何やってても。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- テキーラ、カーッ飲んでても、「オォラァー!」ってやってても、どっかにこの「オォラァー!」でワンフレーズ出来ねえかなと思ってますよ、馬鹿だから。本当にそこはね、カッコ悪いなって思うんですけどね。あの、どっかでなんか狙ってるっていうかね。狙ってるのは獲物をね。とこはあるかなぁ?
- 中居:
- え? それって、意識して忘れないようにしているのか、無意識のままなのか、忘れたいんだけど引っ掛かっているのか。
- 小沢:
- うーん? どうなってんでしょう? わかんないですけどね。
- 中居:
- 多分、もう無意識のままにもう、もう習慣だと思うんですよね。
- 小沢:
- だからね、そうですね、忘れたいんですけどね。
- 中居:
- あ、それは面白いかもしんないですね。「オォラァー!」「アァー!」で出来ないかなっていうんですよね。
- 小沢:
- そうですね。僕、そんな中居君みたいに上品な飲み方じゃないっスよ。
- 中居:
- いや、僕も。僕はお酒弱いんでね。
- 小沢:
- そうなんですか?
- 中居:
- ええ。本当、テキーラなんて飲ったら「エェーッ! どーも!」。もう本当、これ以上赤るくなっちゃいますもんね。
- 小沢:
- そうですか。僕も明るくなりっ放しで帰ってこれないですよ。
- 中居:
- え? 朝まで飲まれたりもするんですか? じゃあ。
- 小沢:
- いや、最近あんまり暇がなくて、それもないですけど。朝までどころか昼まで。
- 中居:
- へぇー。
- 小沢:
- うん。なんていうことをしてましたね。してましたし、いつでもしたいですね。
- 中居:
- やっぱり今でも時間に制限であったり?
- 小沢:
- あの、ね、なんか、それはそれで。あんま暇ないんですけどね。
- 中居:
- へぇー。常にやっぱり音楽と隣り合わせになってるわけだ。
- 小沢:
- そうですね。はしゃいでてもどっかでね。
- 中居:
- 例えばじゃあ、好きな女の子といても多分、音楽のことは離れないでしょうね。
- 小沢:
- 何をすれば離れますかね?
- 中居:
- 離したいと思います? どっかで。ある時は忘れたいなっていう。
- 小沢:
- うーん? どうですか? SMAP中居と離れたいですか?
- 中居:
- え?
- 小沢:
- SMAP中居と離れたいと思いますか?
- 中居:
- え? これ、本音トークですか?
- 小沢:
- はい。
- 中居:
- それともテレビ用でいいんですか?
- 小沢:
- 何ですか? それ。わかんない。
- 中居:
- テレビ用ですと、やっぱり「いや、僕はもうSMAPの中居ですからね、ええ」。でも、家に帰ったらやっぱり、自然とやっぱりSMAPの中居っていうか、中居正広っていう人間に戻ったりしますけどね。
- 小沢:
- ふーん。
- 中居:
- でも、音楽が隣り合せっていってたじゃないですか。僕の場合は笑いなんですよ。
- 小沢:
- 笑い?
- 中居:
- ええ。笑いと隣り合わせなんですよ。だから、なんか面白い、音楽だったら詞を作ったり、面白いフレーズがあったらノートにとる。僕はなんか面白いフレーズとか思いついたら、それをメモとるんですよ。「よし! 明日の『いいとも』で言ってやろう」「今度のコンサートでこれをアレンジして入れられないかな?」。笑いと隣り合せっていうのあるかもしれない。
- 小沢:
- でも、きっとみんなそうですよね。一生懸命やってる人はね。
- 中居:
- 何かあるんでしょうね、自分の中で。
- 小沢:
- なんか残っちゃいますね。
- 中居:
- あ、そうなんだ。もうじゃあ、音楽取ったらもう、大変ですね。
- 小沢:
- 音楽取ったらっていうか、取れないですけどね。なんかね。
- 中居:
- 取れない。
- 小沢:
- 浅ましいとも思いますよね、ちょっと。いつもなんか「なんかなぁ」と思って。なんか。
- 中居:
- でも、決してそういう自分が嫌いじゃないんでしょうね、自分自身で。
- 小沢:
- うーん? どうなんでしょうね? わかんないですよ、そういうのは。
- 中居:
- あんまりそう深く考えたりもしないんですか?
- 小沢:
- そうですね。そういうことは、考えても答え出ないですから。
- 中居:
- あれなんですかね? 表現的には呑気っていう言葉が合ってんのかな?
- 小沢:
- 呑気?
- 中居:
- 呑気。
- 小沢:
- 能天気?
- 中居:
- 能天気。
- 小沢:
- ああ、能天気ね。能天気いいですよね。あの、能天気どうですか?
- 中居:
- 僕は好きですよ。
- 小沢:
- 能天気いいですよね。
- 中居:
- 能天気。呑気っていうと、ちょっとなんか気がないような気がしてね。
- 小沢:
- なんか、緩いですよね。
- 中居:
- 緩いですよね。能天気っていうと、天気がないんですもん。
- 小沢:
- そうですか? 違うんじゃないですか?
- 中居:
- 違いますね。
- 小沢:
- あんまり僕も自身ないですけど。
- 中居:
- 能天気。でも、我が道を行くタイプですよね。
- 小沢:
- 我が道を行くしかないですよ、きっと。
- 中居:
- 自分の芯ていうのを持ってらっしゃる方だなと、今話してて思いましたけど。
- 小沢:
- いやいや。みんな持ってんですよ。僕なんかもう、フラフラフラフラしてて、そればっかりで。
- 中居:
- でも、自分のなんかするべきことであったり、考えるべきことであったり、作るべきものをやっぱり自分で認識したうえでやっぱりうん、活動してるような気するんですけどね。
- 小沢:
- そうですね。そうでありたいと思って。
- 中居:
- じゃあ、最後に、今後なんですけども、今後はどうですか? まだ何を発明するか自分でもわからないとおっしゃってましたけども。
- 小沢:
- うん、発明。そうですね、なんかいつも新鮮に。形ではなくて、質を追っかけて。その色がどの色でも輝いてるってことは同じって質を追っかけたいし。そういうふうに人に接していたいなと思います。
- 中居:
- なるほどね。
- 小沢:
- 真面目っぽいですね。
- 中居:
- なんか、真面目っぽいのなんか、自分なんか。
- 小沢:
- なんか、ふざけたこと言ってるほうが楽ですよね。
- 中居:
- 楽?
- 小沢:
- ええ。
- 中居:
- ふざけてるのも難しいですよ。
- 小沢:
- あ、そうですね、きっと。
- 中居:
- ええ。難しいんですよ。あ、そう、最後にもう一つ。今なんか欲しい物ありますか?
- 小沢:
- 欲しい物? なんだっけな?
- 中居:
- 椅子はダメですよ。
- 小沢:
- え?
- 中居:
- あの、この椅子はもう。ちょっちと予約が。
- 小沢:
- あ、ここで欲しい物ですか?
- 中居:
- いや、ここじゃなくて、もう何でもいいです。いや、べつにあげるわけじゃないんですけどもね。
- 小沢:
- しめしめ。
- 中居:
- なんか欲しい物ってあります? それはだから、見えないものでもいいですし、形になってるものでもいいですし。
- 小沢:
- 欲しい物? 何が欲しいかな? うーん?
- 中居:
- 一番なにが欲しいですか?
- 小沢:
- なにが欲しいですかね? ……ダッセー、ぜんぜん思い付かないっス。
- 中居:
- ちょっと物いっぱいあるじゃないですか。僕はお金がいちばん欲しいですけどね。ええ、お金、お金。
- 小沢:
- みんないいますね。
- 中居:
- ええ。何が欲しいですか?
- 小沢:
- んんー? 何が欲しかったっけな?
- 中居:
- それは、ある意味では自分の今の、小沢健二という自分が、絶対、満足してると思うんです。満足してんじゃないかな?
- 小沢:
- いや、もう、不満だらけ、もう。ぜんぜん自分がダメでダメで。ダメだなと。
- 中居:
- なんでダメって思うんだろう?
- 小沢:
- 思ってますよ。なんだろ? 欲しい物。今、言わないともらえないんですよね?
- 中居:
- いやいや、あげるとは言ってないですけども。物じゃなくても、例えば時間であったり。
- 小沢:
- ああ、時間。時間はあんまあってもなぁ。締まりがないですからね。なんだろ? あの、こういう寝そべるあの、日光浴するベッドっていうか椅子みたいなやつ欲しいですね。
- 中居:
- ん?
- 小沢:
- あの、日光浴する、こういう折り畳みのビーチナントカみたいなのが欲しいです。
- 中居:
- ……そんなの買えばいいじゃないですか。
- 小沢:
- そうですね。欲しいですね、あれが。
- 中居:
- へぇー。またなんで? 外でゆっくりしたいってことですかね?
- 小沢:
- そうですね。このあいだ、そうしようと思ったらね、椅子なかったから。そのぐらいですよ、俺、望み。地に足着いてます。
- 中居:
- ああ、なるほどね。それでもあの、平常心じゃないですけども、そういうのは忘れて欲しくないっていうのありますね、うん。
- 小沢:
- もっとでっかいことって言っても、ないですからね。
- 中居:
- なんかホッとしました。やっぱりあの、うん、同じ人間なんだなって。
- 小沢:
- 同じ人間ですよ。
- 中居:
- また今後の活動も楽しみにしてますんで。
- 小沢:
- ありがとうございます。
- 中居:
- ぜひ頑張っていただきたいと思います。
- 小沢:
- ありがとうございます。
- 中居:
- はい、今週のゲストは小沢健二さんでした。どうもありがとうございました。
- 小沢:
- ありがとうございました。