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NON EDIT TALK : 小室哲哉★いしだ壱成


小室:
こんばんは。小室哲哉です。ええとですね、6月になってるらしいんですが、あの、いつもですね、お酒を飲んでると思いきや、いつもウーロン茶だったりしてたんですけど、今日はですね、こういうレゲエ・ラムですね、本当のお酒でいきたいと思いますが。今日は、このお酒にちなんでるのかちょっとわからないんですけど、そういったゲストをお招きしております。いしだ壱成君です。

いしだ:
こんばんは。

小室:
初めまして。

いしだ:
初めまして。

小室:
よろしくお願いします。僕も慣れてないんで、ぜんぜん。テレビで自分の番組なんていうのは初めてだし、司会なんてましてや初めてなんで、なんでも話してくれたほうが助かるんですよ。僕、聞き上手になりますから。

いしだ:
ええ、わかりました。

小室:
そういう感じなんですけど、ま、基本は音楽の話なんで、なんか僕も聞きたいことはあったんで、来てもらってるんですけども、あの、僕ね、今ね、ジャングルっていうのをずっと去年ぐらいから、あの、すごいハマっちゃってるですよ。で、すごくロンドン行って調べてけば調べてくほど、レゲエがね、ベーシックなもんで、ベースになってるところがあって、で、すごい遅ればせながらなんですけど、去年ぐらいからけっこう勉強してて。で、あの、たまたまね、知ってる子たちもいたみたいなんだけど、レゲエの若いDJや、セレクターの子たちと、音は今一緒にやってるんですよ、じつはね。で、お皿を回してもらって、MCとか入れてもらって、僕はそのそれにジャングルのための味つけを、いわゆるサンプリングで、キーボードで乗っけて、レゲエでね、あのB.P.Mでいったりすると80とか90ぐらいのを、僕は倍でとってるんですよ。その、160とか。

いしだ:
じゃあ、後ろではすごく早いですね、それは。

小室:
早いのと。

いしだ:
と、その前のたとえばベースラインとかが遅いみたいな。

小室:
遅いのと混ぜてやってるのね。だからあの、レゲエのファンの人は、そのゆっくりのほうしか耳に入ってこないんでね、自然に。で、その、ちょっと新しいほうのね、テクノっていうか、そういうループみたいなのがね、聴ける、そういうのを耳に感じちゃう人は、きっと早い方でとってるわけ。あの、もうもちろんロンドンとかでは、両方のカラーズの人達と、そういったロンドンのいわゆる少年たち、テクノ少年みたいのが、僕、見に行った時はもうまぜこぜで、すごい面白くて、それでハマっちゃったんだけど。そういう音楽をまあ、今やってんですよ。それで、変な方向なんだけど、それでちょっと今レゲエを。

いしだ:
ちょっと入ってるかなって?

小室:
ちょっと入ってきてて。で、たまたま、あの、ビッグ・マウンテンのキノっていうヤツとか、会う機会があったりして、で、案外レゲエの人達もポップスのこと、いろんなこと考えてんだなとかね。まあなんか、たまたまそういう機会があったんですよ、いろいろ。なんで、まず基本的にいしだ君とか、デビュー曲とか僕、聴きましたけど、あの、去年とかで。ま、やっぱりすごく新鮮だったんですよ。こういうところから入る人って、どうしてこれからなのかな?っていうような、素朴なね、疑問とかあったから、ちょっと聞きたいなって思ってて。なんか聞くところによると、もうかなりしっかり、もう生まれた頃からルーツがあるって。

いしだ:
そうですね。もう多分、最初に聴いたのがレゲエなんじゃないかなっていうぐらい。

小室:
一番最初に聴いた音楽が?

いしだ:
ええ、まあ、すごく母親が音楽好きで、その周りにもいわゆるバンドやってる大人たちとか。まあ、ヒッピーやってるって言えばいいのかな?なんかそうやって、なんか日本中ツアーして回ったりとか。そういうわりと音楽的な人達がいっぱいいたんで、なんとなくこう、ちっちゃい頃からライブハウスに入り浸ったりとか、っていうことはしてて。で、あらためてレゲエって思ったのはまあ、それからけっこう後なんですけど。多分、あのすごい髪のオジちゃんっていったらボブ・マーレーだったりとか。

小室:
ボブ・マーレーだったりとか。

いしだ:
ええ、そのへんから入ってましたね。

小室:
あの、最近ね、やっててわかったんだけど、みんな一般的な人のイメージでいうレゲエってこう、ハネてるでしょ? 

いしだ:
♪ック、チャッコ、ック、チャッコ〜。

小室:
スウィングっていうかね、グルーヴがこうハネますよね。で、どっちかっていうと、こう、円みたいな物を描いて進む見たいな感じでしょ?

いしだ:
ソントロープっていうんですよ。

小室:
って言うんだ?

いしだ:
あの、一個だけ♪ツク、ツク、ダン、ツク〜っていう。

小室:
ああ、なるほどね。それでグルーヴが生まれるでしょ?で、そういうのと、なんかあの、ジャマイカンの人がやってるんだけど、もっとスクエアな感じっていうか♪ドン、ツトン、パン、ドン、ツトン、パン〜みたいな♪コン、クコン〜みたいなの。で、かなり違うじゃない、二つの。

いしだ:
まあその一つはこう、わりとジャマイカンの人がやると、すごくベイシーなんですよね、そのリズム自体が。まあこれは勝手な、聴いた感じの解釈なのかもしれないですけど。なんかこう、例えばスライ&ロビーなんかもう。僕、昔、好きで聴いてたんですけど、♪ドンツ、ドンツ、タンツ、ドンツ、ドンツク、ドッ、ドッ、タンツ〜みたいな、ちょっとすごく重いファンキー・レゲエっぽい。僕はそういうレゲエでいうと、そういうリズムが一番好きなんですけど。意外とこう、多種多様ありますからね。

小室:
あるよね。

いしだ:
ちょっとハネてるのとか。

小室:
こんなにね、まあ、聴いてはいたわけでしょ。こんなに多種多様だったと思わなかったから、あらためてびっくりしてるのね、最近ね。だから、当然そういったテクノロジーを、まあいわゆる打ち込みで、使ってできるレゲエもすごいあるでしょ。で、やっぱり絶対無理で、もうひたすらセッションかなんかして、パッと録らないとできないものもあって、「うーん? これはけっこう深いな」っていうね、最近は思いだしたとこでね。

いしだ:
僕はずっとあの、ルーツ・ロック・レゲエばっかり聴いてたんで、ボブ・マーレーから始まったあのへんの、ちょっとロックしてるのとか。それこそちょっとダブのほうにいってリー・ペリーとかティンカビリーとかまあそのへんの。

小室:
知らないですけど。

いしだ:
まあ、すごく古くて、古き良きみたいな感じで。でも最近になって、すごくいろんな方向にこう、枝分かれしてきたじゃないですか。例えばジャングルにしても、その一環だと思うんですけど。だからもう、けっこう僕なんかは最近のこう、まあ、ジャマイカでも、次から次へと新しいアーティストがいっぱい出てくるし、逆にもう、その別れた例えばジャングル、ダンス・ホール、ラバダブ、ルーツみたいな、そういう人種の違いっていうんですかね? そういうのまでバァーッと出てきちゃて、すごい人口が増えたなぁとも思ったんですけどね。

小室:
うん、そうだね。かなり市民権ってのかな?が、もう確実に、特に日本もすごいその機能?聞いた限りでは、間違いなく一番だと、マーケットとしては、レゲエとしては、っていってたんだけど。

いしだ:
そうですね。一昨年ぐらいからすごいですね、盛り上がりが。

小室:
市民権を得ちゃったって感じだね、そこらへんは。あの、それで、ああいうデビューの曲とか、次のシングルであったりとか、あれキーボードで打ち込みで作ってるんだっけ?

いしだ:
ええと、まず自分で作る時はキーボードで自分の家で作って、で、まあ、今回は全部生で。

小室:
あ、生で。

いしだ:
もう、生で一発録りで「セッションしようよ」みたいな感じでやったんで。

小室:
そうなんだ。で、あの最初の頃のとはまた、次やる形っていうのぜんぜん違う?

いしだ:
ええ。

小室:
じゃあ、生でいわゆるギターがカッティングして? 

いしだ:
まあ、キーボードはローズとかあとはクラヴィネットとか使ってもらって、で、まあ、ドラム、ベースあとパーカッションとかなんか、もう本当に基本的なところで。

小室:
それに、それを作って、それから歌を?かぶせるっていうか。

いしだ:
それからまあ、オーバーダブするものはオーバーダブして、「あ、ここにこれ欲しいな」って、ま、そういうチョコチョコッとやって。で、あとは歌を入れて。まあだから非常に簡単なといえば簡単なやり方だったんですけど。

小室:
どうですか、それは。一番合ってます? 今。

いしだ:
なんとなくあの、一発録りっていうのがすごく大好きなんですよ。

小室:
ああ、そうなんだ、へぇー。

いしだ:
なんかこう、グルーヴ感も、生で出てくるグルーヴ感みたいなのも、すごくいいし。

小室:
それにじゃあ、歌詞とかは? 一緒に後で考えるの?

いしだ:
一緒に考えちゃいますね。

小室:
あの、歌詞とかもやっぱり、そういう自然な流れとかっていうのは、気にします? こう、あまり無理に作らない?

いしだ:
ええ。なんかすごくなんでしょうね? こう、日常的な言葉を使ったつもりなんだけど、後で見てみたらぜんぜん違ったとか。しょっちゅう。

小室:
僕ね、そんなには見せてもらってないんだけど、でもデビューアルバムとか見せてもらったことあって、パッパッパッて見せてもらったことあるんだけど、やっぱり使わない言葉けっこうあるなっていうか。

いしだ:
そうですね。やっぱりなんかしら増えてきちゃいますね。

小室:
ありますね、俺もね。だから、ええと、とちょっとね、なんかそういうなんていうかな? マーケット方向から見ちゃうのも失礼なんだけど、例えば去年とか、「あ、こういう人達が出てきてくれると、かわるなぁ」というようなことは、僕は思ってて、インタビューとかでね、何回かそういう話は、どっかでしてるんですよ。「こういうような人達で、ジャンルも多様化したほうがいいと思う」とかいうことはね、いったんですけど。だったら今度なんかまた、生でそういうのにいったりすると、世代的には、また、うーん、生まれて来るね、新しいものがね。あのね、去年のままでいったら、きっと打ち込みっぽいことで。

いしだ:
そうですね。ええ、もっと発展させた形になるのか。

小室:
コンテンポラリーなものになってくのかな、と思ってたから、それ、そこそこは見えるって感じもあったんだけど。生になるとわかんないよね、もう想像つかないよね。

いしだ:
そうそう。また自分でもなんか、ぜんぜん違うものができちゃったなっていう。

小室:
あ、そうなんですか?

いしだ:
っていう感じにはなったんですけど。

小室:
あの、なんていうのかな?今ちょっとマーケットとかいう話ししちゃったんだけど、そういうの一切あんま考えない? もう、それはそれって感じかな?

いしだ:
僕はそうですね。なんか、後で言われて「そうかなぁ」みたいな感じで。なんかこう、まあ、気にしないっていうか、そこまで頭が回らないっていうか。

小室:
とりあえず自然に出てきたものを?

いしだ:
とりあえず作ったものをそのままやって、それに歌乗っけて、で、まあ、できて、で、まあそこで初めて判断するみたいな感じだと思うんですけど。

小室:
そっか。あの、素朴に、なんでキーボードになったんですか?ギターとかじゃなかった?

いしだ:
ええ、ギターはすごくやりたかったんですけど、もともとちっちゃい頃からすごい目立ちたがり屋さんで、絶対誰でも一回は言うと思うんですけど、目立ちたいからギターやりたかったんですよ。だけどFが押えられなくて、Fのコードが。

小室:
Fが押えられなくてやめた人って多いですね。

いしだ:
50万人ぐらいはいるよね、きっとね。星の数ほど。僕もやっぱりFが押えられなくって。ちょうど同じ時期にピアノと並行してスタートさせたんですよ。それでやっぱりピアノのほうが、なんとなく性に合ってたっていうか。

小室:
なるほどね。それでまたレゲエっていうのもね、すごい不思議だよね。

いしだ:
でも、レゲエのキーボードは面白いですよ、やっぱり。あの、初めてやつたバンドがレゲエバンドだったんですけど、あの、単音のキザみが、すごいもう「これだけで、もういいんだ」っていうぐらい。

小室:
今回は生の時もキーボードの人っていうは、基本的にはそういうバックビートっていうか、なのかな?

いしだ:
そうですね。

小室:
でもローズとか使うんだったらね、もうちょっとなんていうかね?

いしだ:
まあ、なんでしょう?

小室:
他のジャンルのスタイルも入ってるでしょうね。

いしだ:
ええ、けっこう。まあジャズであったりブルースっぽかったりしましたけど。    

小室:
あの、さっきちょっと共通なっていうか、僕はまあ友人といえないかもしれないけど、今お手伝いしてもらってる人達って感じだけど。

いしだ:
若いクルー?

小室:
うん。あの、いしだ君にとってそういうスペース、場所っていうのは、音楽のやっぱりなんか作る時の、すごい大事な場所なのかな?

いしだ:
そうですね、まあ、ある意味やっぱり助けになってるっていう部分もあるんでしょうけど。まあ、それ以前になんとなくこう、何かわかるじゃないですか? ノリ的に。「あ、合うな」とか「合わないな」とか。僕、合わないなっていう人はそんなにいないんですけど、やっぱりなんかこう、みんなでなんかDJでもやりながら、マイク奪い合いして「俺に歌わせろ」とかっていって、バァーッて歌ったら、今度は「ほらよ」っつってやったりとか。そういうなんかまあ、お遊びですよね。そういうのがすごい楽しかったりして。

小室:
 あの、クラブってさ、基本的にお皿で音楽を流すじゃない、基本的には。まあライブもあるけれど。あの、自分のものっていうのは、それとは別なわけ?

いしだ:
ああ、僕はなんかそうですね。別ですね、なんか。

小室:
 自分のをお皿にダイレクトカッティングして、ジャマイカかなんかからっていうのはない?

いしだ:
ない。夢としてそういうことはやってみたいなと。まあ今その、そういったやっぱり、そういうことやってるクルーの連中とかとも話してて、「いずれやりたいね」っていって。

小室:
 僕もね、初めてこのあいだその、マッド・マックスの子たちと今やってて、そういう話を聞いて、その場で、MCが要するにね、スタジオの周りにたむろしてると。たまってて、「ちょっとちょっと」っていって来させて。

いしだ:
それで全員歌わせて。

小室:
って言ってたよね。それでその場でもうプレスっていうかカットして、で、持って帰っちゃうみたいな。それで日本でかけていいっていう感じだからね。それはそれで、なんかすごいビジネスなんだなって思っちゃったんだけど。だからそういう、それで楽しむっていうのもあるし、ま、どっちかっていうと、その雰囲気だね。

いしだ:
そうですね。なんかこう一緒にやってて楽しいとか。まあ、とりあえずみんなで騒いでて楽しいみたいな。ノリが大事で。

小室:
そうだよね。そこらへんがね、僕たち、僕たちっていうか僕だね。僕なんかはねやっぱ世代的にちょうどないっていうか、なかった時期だから、すごい羨ましいなと思う。ここ、特に2〜3年かな?やっぱりそういうクラブシーンみたいのはね、あの、あるじゃない、カルチャーとしてなのかわかんないけど。だから、もしかしたら、なんかそういう、一般的になり過ぎちゃったなとか思ってるかもしれないけども、もうちょっとこう密かな楽しみの部分だったと思うんだよね。

いしだ:
そういう場所はありますからね。いくらでも。

小室:
またさらに、どっかこう深く入れるとこがあると。

いしだ:
ちっちゃいところでも、深いとこは深いですし。

小室:
でもそういうのは、羨ましいと思うね。だから、今年ぐらいから? あ、去年のまあ終わりぐらいからかな? もうそういう、いわゆる一切どこにも出さないで、まったくシークレットでイベントとかやり出してるんだけど、やっとね、密かな楽しみっていうのはね、ちょっとわかるようになったかな。「あ、これね」って感じで。

いしだ:
なんか、ふと突然やってくるもんですよね、なんかそういうのってなんか。とりあえずその時はもう酔っ払ってて、もうなんだかよくわかんないんだけど、いわゆるこう、みんなでバァーッて騒いで終わって、外に出て、階段上ったら、朝になってて「うわ、まぶしい」とか思いつつ、なんとなく幸せみたいな、そういう。

小室:
 ああ、そう。そんな明るい時に幸せって感じなきゃやっぱいけないんだね。

いしだ:
そうですね。やっぱりね。

小室:
「マズいよ」っていうんじゃダメなんだね。

いしだ:
ちょっとそれは。

小室:
あ、そこは僕ね、まだダメですね。

いしだ:
「まぶしい」って感じですね。

小室:
まぶしくて「これ、あ、ヤバいんじゃないか」って思っちゃうのはいけないよね。今ほら、早いじゃないもうだんだん、夏に向かって。

いしだ:
ああ、そうですね。

小室:
だから3時ぐらいでこう、なんかクローズしないとね、もう絶対明るいじゃない。もう4時半とかぐらいになってきちゃうとね。

いしだ:
もう、普通にいくと5時6時ですね。大体。

小室:
大体そうでしょ。もう完璧に全部朝ですよね。

いしだ:
世の中動いてるぜって感じ。

小室:
ちなみに、そうなった場合、どうすんですか?

いしだ:
いや、僕はもう、とことんズレていきますね。世の中からは。

小室:
それでも、どっかやってる店を捜すとか?

いしだ:
うん、まあその、例えば、誰でもそう思うでしょうけど、いかなきゃいけない場所がなかったりするとそのまま。どっかしらやってますから、都内のどっかは。そういうところに行って、「よし」っていって、続きで。

小室:
で、そのままズレていけるんだね、そうしたらね。それは、相当なやっぱり、なんていうのかな? こう、余裕がなきゃダメだね。時間的にも、日にちのね。でもそれがあの、なんていうのかな?すごいゆっくりとしたペースで、そういう音楽作ったりとか、そういう一つの条件だね。大事なことかもしれないね。

いしだ:
ま、吸収できますからね。すごくリズムが妙に、次の日も次の日も残ってたりとか、なんかこう、そのまんまわけもわからず、とりあえずシンセ、パッとつけていきなり作り始めちゃったりとか。

小室:
それはわかりますけどね。その気分はね。

いしだ:
勢いに乗った時にやっちゃおうみたいな。

小室:
なるほどなるほど。ちなみに、シンセでそういう時っていうのは、パッて作るとかって、どんな音で作るの? ピアノ?

いしだ:
まあでも、4リズム全部。ドラム、ベース、コードって。

小室:
あ、出しちゃうんだ。

いしだ:
ただ僕、あんまり一応ATARIとか持ってるは持ってるんですけど、機械に疎いんですよ。キーボードなのに。

小室:
キーボードなのに。あんまり好きなほうじゃないの? 打ち込みとか。

いしだ:
ええ、っていうか、すごくやりたいなとは思ってるんですけど、どうしてもやっぱり、この分厚いマニュアルを見ただけで、もう僕は「えっ!?」てこうやって感じで。だから、もう手で全部ドラムも入れちゃったりとか。あと、ま、大体あの、セッションとかライブとかで使ってるのは、ローズとか、クラヴィネットとかなんですけど。あと、ハモンドとか。

小室:
なるほど。え、全部本物の?

いしだ:
ええ。

小室:
音じゃなくてね。え、クラヴィネットじゃホーナーとか?

いしだ:
ホーナーのD-6です。

小室:
 あ、そうなんだ。ローズもじゃあスーツケースかなんかですか?

いしだ:
ええスーツケースで。毎回それを車に押し込んで運んだりしてるんですけど。

小室:
そうなんだ。あれ?今なんだっけ?あとはオルガンも使ってるの?

いしだ:
ハモンドをつかってます。

小室:
 ハモンドも。

いしだ:
あの、本物じゃないんですけどね、B-3とかじゃなくてちっちゃい、このぐらいの。

小室:
そうなんだ。僕たちが20年前ぐらいとかに、一番憧れてた楽器だね、そこらへんのはね。

いしだ:
僕は戻っちゃってるんですかね?じゃあ。

小室:
まあでも、今でも使えるからね、もちろん。すごい全部、存在感があって、シンセじゃ適わないような音はたくさんあるし。

いしだ:
まあ、すごく、クラヴィなんかにするとすごいあの、ディストーションとかフェイズとかかけて、アンプ、フル・テンでガァーッとか上げて、ギャーッていうそのなんかギターっぽいような音はすごく好きで。それでもう虜になっちゃってるんですけどね。

小室:
なるほどね。いや、その気持ちはすごいね、わかるけど、わかるんだけど、あの、すっごい昔の今引っ張ってきて、自分の記憶から。で、「ああ、そう、わかるよ」っていう感じなんだね。僕もクラヴィネットっていうので、それはあのファズとかね、「マーシャルとかで鳴らしたら、ギターに負けないんじゃないか」とか思って、やったりしてやってたこともあるし。あの、ずっとね、ギターにコンプレックスっていうの? 劣等感持ってたほうだから。っていうか、ギターがやっぱり一番主役で、キーボード、ずっとキーボードだったでしょ。で、やっぱり適わないから、その、目立つ目立たないもそうだし、やっぱサポートするのはキーボードたったりとか。で、なんとかやっぱ勝ちたいっていう気持ちがずっと強かったから、対抗意識は今でもあるのね。今でも、まだこんな歳になっても、シンセで一生懸命ギターの音を、ギターに負けないような音を作って、とかいうこともまだやってるし。で、しょうがないから自分で今ギター弾いて、で、サンプリングをして、で、弾いたりとか。そのぐらいこだわったりまだしてるから、もうそれは20年以上もうずっとそういうねなんか劣等感があるのね。それでギターリストにっていうのとは違うだけど、そのギターの音はね。

いしだ:
いや、でも、やっぱりわかります、すごく。あの、僕もなんか最近そう思い始めることが多かったんですけど。まず、すっごく単純な理由からいって、動けないじゃないですか。下に滑車でも付けないと。

小室:
そうだね。

いしだ:
そのへんからまず始まって、やっぱりなんとなくこう、ギタリストって羨ましいって、ギタリストっていうんじゃないけど、やっぱりギターっていう楽器に対してすごく羨ましいなって思ったり。

小室:
どんなキーボード、鍵盤を弾く人に聞いても、やっぱありますね、それはね。    

いしだ:
あるでしょうね、やっぱり。そういう話って今まあ、いろんなキーボーディストの人とかと話したけど、そういう話は初めてしました。

小室:
あ、そう。本当。うん、なんかね、僕はずっと対抗意識まだ持ってるしね、ギターに対して。それがないとやっぱり、僕の場合はなんかサウンド作りができないっていうぐらい。とこもあった。あのテクノとかね、多分あんまりほとんど聞かないと思うけど、やってた時にそういう音どれも、ギターにもしかしたら勝てるかもしれないっていう、そのパワフルなところがね、音楽的にね、だったりとかいうのもあって。なんかけっこう僕とか、そういうとこあるんだよね、ずっとね。だから、うーん、まあ目立ちたいっていう気持ちもあったと思うし、僕もね。こう肩からかけてみたりしたけど。

いしだ:
ありますよね。持ってみたり、強引に。やっぱ重い。

小室:
やっぱり一番いいのはね、こうちゃんとね、こうやって弾くのが一番うまく弾けるんだよ。

いしだ:
結局ね、それがね、一番いいんですよね。

小室:
歌を歌うんだったら、歌もこうやって歌ってるの?ステージっていうのは。もう立ってキーボードは無視してる?

いしだ:
やっぱりコーラスやる時とかまあ、ありますけどね。まあ大体自分で本当に歌う時はやっぱり普通に。キーボードは無視すると。

小室:
無視するしかないかもしんないよね。表現方法がけっこうちっちゃくなっちゃうでしょ。そうか、スティービー・ワンダーとかも好きなんじゃないの? じゃあ。

いしだ:
ああ、大好きです。

小室:
大好きですよね。きっとね。

いしだ:
ものすごく。

小室:
今いった楽器、全部駆使してますからね。それはね。

いしだ:
そっからなんですよ。

小室:
あ、そう。クラヴィネットを有名にしたのはやっぱ、スティービー・ワンダーですからね、きっと。

いしだ:
「迷信」とかですか?

小室:
一般的にはあそこらへんかな。あ、でもスライとかもそうだけどね。

いしだ:
そうですね。僕はあれなんですよ、一番最初にそういう楽器の名前耳にしたのは、あのボブ・マーレーの「ウェラーズ」のキーボーディストの二人いて、一人クラヴィとオルガン弾いてる人がいるんですけど、ワイア・リンドっていうその人がもう、カッコよくて。で、あの、ドイツかなんかで、ボブ・マーレーが死ぬ何回か前ぐらいの、本当にもう最後の頃のライブビデオ見たんですけど、そしたらもう、そのワイア・リンドが、こうハモンドがドンて置いてあって、その上にクラヴィが置いてあって、サングラスをかけてるですね。で、こう多分ドレッドだと思うんですけど、こう帽子をかぶってて、このまんまで動かない。♪コキャ、コキャコ、コキャ、コキャコ〜これでえんえん。

小室:
人間シーケンサーですね、本当に。

いしだ:
その姿がもう。

小室:
あ、それがたまらなくカッコよかった?

いしだ:
たまらずカッコよくて。それからもうウォーッっていってしまったんですけど。

小室:
なるほどね。いろんな入り方があるね。いや、俺はハービー・ハンコックかなとか思ったんだけど、やっぱちょっと違うか。

いしだ:
は、そんなに馴染みないんですけど。

小室:
なるほどね。なんかキーボードマガジンみたいなテレビになっちゃいましたね。

いしだ:
気がつけば。まあ、それもまた。

小室:
これはですね、かなりマニアックな番組なんですよ。

いしだ:
よかった。

小室:
フジテレビといえども、こういうのもありということで、いいんですけどね。そうか、あのじゃあ、今度の次のシングルなんかも、そういう楽器は入ってるのかな? 音は、ガンガン。

いしだ:
ええ、わりとよく、多用したつもりなんですけどもね。

小室:
フェンダーとかの音はこう、してくれたりするんですか?

いしだ:
ええ、気持ち悪く。ォンウォンォンて。

小室:
なってるんですね。それは聴いてみたいですね、ぜひね。

いしだ:
ぜひぜひ。

小室:
ムーグとかは? なんて、まだしつこくいろいろキーボードの話い。

いしだ:
ムーグはね。

小室:
しつこい?

いしだ:
まだそこまでいってないんですよ、じつは。

小室:
あ、本当に。あのね、ムーグ・シンセサイザーだけは、多分レゲエの人もすごい使ってると思うんですよ、あの音は。ピョ〜ンていう音は。

いしだ:
そうですね。ベースラインで使ってると思うし。

小室:
ベースも使ってんじゃないかな。ぜひミニ・ムーグは買ってほしいですね。

いしだ:
ほしいんですよ。ちょっとここんとこクシュッ、クシュッてくすぐられてしまうんですけど。

小室:
ミニ・ムーグはきっと、すごくいろんなことできると思うね。ローズとも相性メチャクチャいいしね。クラヴィともきっといいと思いますよ。

いしだ:
わかりました。

小室:
あの、MIDIとか付いてないね。

いしだ:
MIDI・ムーグじゃないミニ・ムーグですね。

小室:
ミニ・ムーグをね、ぜひ。こう、木の枠のとかね。

いしだ:
はいはい。

小室:
買ってもらっちゃったりするとね。今30万ぐらいじゃないのかな? 前は60何万とかして、僕たち買えなかったんですよね。ちょっと捜しときましょうか?    

いしだ:
もう、お願いします。安いのがあれば。

小室:
僕はね、今MIDIしかないんで、俺もじつはほしいんですけどね。

いしだ:
みんな言いますね、でも、最近。ムーグ、ムーグって。

小室:
ムーグ、ムーグっていってるでしょ?

いしだ:
なぜか。界隈のキーボーディストはみんな。

小室:
フェイザーとかもよく聞きますよね。

いしだ:
ええ。いろいろね。

小室:
マニアック………、ごめんなさい。ぜんぜんわかんないかもしれない。 

いしだ:
専門的な話になっていきますよね。

小室:
そうですね。あの、ぜひ、じゃあ、イベントとか密かにやってますから。

いしだ:
ええ。ぜひぜひ。

小室:
一応、弾いてますから。ちゃんとこう。

いしだ:
あ、わかりました。

小室:
サンプリング叩いてるだけなんですけど。

いしだ:
噂を聞けば、じゃあ。でもよく僕あの、夜遊びに行ってて、あのtrfのコウさんとかとばったり会って、「あっ」とかっていって。とりあえず気がついた時には彼がDJやってその、西ピーが歌ってて、僕が酔っ払って横で踊ってて、みたいなそういうこともあって。

小室:
あ、本当に。

いしだ:
ええ、よくなんか出くわすんで。

小室:
けっこう近づいてますね、いろいろね。

いしだ:
出くわすかもしれないですね、そのうちどっかで。

小室:
ええ、じゃあその時は一緒にお願いします。

いしだ:
ピコピコやらせてください。

小室:
キーボード同士なんで、こう、重なって弾かなきゃなんないかもしれないけどね。場所が狭いとこだと。

いしだ:
仲良く並んでこう、ブースの中で、収まりましょう。

小室:
わかりました。じゃあ、そういうとこでシメましょうかね。

いしだ:
そうですね。

小室:
一時間番組じゃないですから。どうもありがと。

いしだ:
どうもありがとうございます。

小室:
なんだ、ぜんぜん飲まなかったですね。

いしだ:
いや、なんかもう顔が熱くなってきちゃったんで、こりゃいかんと思って。

小室:
ちょっとずつ飲んでるけど、いい感じじゃない、ちょっと飲むのは。 

いしだ:
チビチビ飲みながらチビチビ話すという。

小室:
なんかロンリコぐらいキツいんじゃないの? そんなことないの? 度数は40度ですね。

いしだ:
40度ってけっこう濃いほうですね。

小室:
40度、濃いよね。

いしだ:
でも美味しい。


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