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NON EDIT TALK : 小室哲哉★稲葉浩志 (from B'z)


小室:
今日のゲストは、B’zの稲葉君です。

稲葉:
よろしくお願いします。

小室:
ひとりはめずらしいよね。

稲葉:
そう、テレビ自体にもあんまり出ないですからね。

小室:
テレビに稲葉だけで出てたっていうのないよね。しかも喋りだけで。

稲葉:
ないと思いますよ。

小室:
特にリーダーの松本さんは、心配してるんじゃないかな。

稲葉:
まあ、そんなことはないと思いますけど。

小室:
松ちゃんはテレビが本当に嫌いになっちゃったね。

稲葉:
好きでしたっけ? どうなんでしょうね?

小室:
僕なんかは一緒にTMやってた時の、あの楽しいイメージがあるから。一緒に遊んでた頃のイメージが強いじゃない。その時のイメージだと、「あ、この人は、テレビとかきっと好きだろう」っていうイメージあったけどね。でも、なかなか嫌いだよね。

稲葉:
嫌いっていうかね、今、自分がテレビ出ていて、こう言うのも変ですけど、テレビってちょっと肌に合わないな、っていうところもありますけどね。

小室:
それはそうでしょ?稲葉君もそうでしょ?

稲葉:
ええ、まあ、田舎者だからっていうことも、あるのかもしれませんけど。

小室:
俺も司会をしてるからといって、テレビに出るのが好きだからってわけじゃないですよ、本当に。

稲葉:
そうですよね。TMNの最後のコンサートの後にレッド・シューズで飲んだとき、僕は当分はおもてには出ないって言ってらっしゃいましたからね。それがもう今や。

小室:
それってちょうど一年前ぐらいだよね、5月の19日だから。

稲葉:
東京ドームの日ですよね。

小室:
東京ドームの夜の打ち上げだったよね。本当に出るつもりはなかったのね。で、どうしちゃったんでしょうかね?出てますね。

稲葉:
私にそんな言い訳しなくても、はい。

小室:
稲葉君に言い訳してもしょうがないんですけど。稲葉君だけにでも聞きたいことがたくさんあると思うの、たくさんの人が。B’zに関してのことっていうのは、謎に包まれてることって多いじゃない。ほとんど姿を表さないもんね。シングル出た時にさ、一回ぐらいチョコッとテレビに出るじゃない。で、音楽誌にチョコッとだよね。

稲葉:
まあ、僕らが思ってる以上に、「表に出てない」っていうイメージあるみたいですけど。

小室:
二人は、そこそこと出てると思ってるんだ?

稲葉:
ちゃんととまでは言えませんけど。特にテレビに関してはね。

小室:
まあ、事は足りるぐらい、プロモーションはしてるなぁという感じなんだね。

稲葉:
ただ、テレビはね……。ずっと出いて、ちょっと出なくなると、「あの人は今」みたいになっちゃいますからね。

小室:
そうだね。でもB’zに関しては、まあそういう感じはないけどね。

稲葉:
その、例えば去年なんかは、一応ずっと全国ツアーしてましたから、いろんな場所に行って、ファンの方には会ってるんですけど。

小室:
その分だから、本当マスメディアっていうのに、乗っかってないからね。で、去年がもしかして、一番リリースも少ないのかな?

稲葉:
そうです。去年はアルバムと、シングルが2枚ぐらいですね。

小室:
あの、松ちゃんと話した時に、出してないとはいえ、ほら、2枚組だったじゃない。アルバムがね。だから2枚出したようなもんのボリュームを、ちゃんと届けてるし、そういう意味では、本当はね、量的にはべつに足りないとかじゃないんだけどね。ただやっぱり、1枚アルバムを春先に出して、シングル、ポッて出ただけだったからね。寂しく感じた人もいると思うんだけどね。さっきのさ、シングル新しいの、聴かせてもらった僕は限りではね、僕もやっぱりB’zに関してすごく近く接してたのは、TMも一緒にやって、松本とかともこう、交流がたくさんあった時のイメージがあるんで、このあいだの前の曲までの、ブルース色なのかな?そのB’zの曲と較べたら、今回の曲のほうが、馴染みはね、あるんだけどね。

稲葉:
そうでしょうね。わりとヘヴィーなナンバーが多かったかもしんないですけどね、去年はね。

小室:
すごい歌がやっぱり、フィーチャーの仕方が、だんだんなんかボリューム感がね、すごい出てきたんで、あ、そういう路線なのかなって思ってて。もちろん今回のも、それがなくなっているわけじゃないけれど、でもやっぱり、ちょっと昔の雰囲気あって、僕なんか懐かしく感じて好きだけどね。

稲葉:
そのだから、やっぱ去年そういうずっとツアーをやってて、で、新しいもの作った時に、ツアー中だからその、すぐリアクションとかが得られるじゃないですか。そういうところで、なんかそういう自信っていうか、「これもいける」みたいな、そういうことの繰り返しで去年ずっとやってましたから。それが今度は自然な流れで、もうちょっと今度は違うものっていうか、いわゆる、ま、昔じゃないですけど、今まで従来のB’zの味も持ってて、でも新しいものっていうふうに、なったとは思うんですけどね。

小室:
あの、僕がね代々木、去年コンサート見にいかせてもらって、で、なんかまあ近い人からいうと、「今日はそんなにベストじゃなかったかもしんない」みたいな話久しぶりに見た感じでは、やっぱりもう二人とも、「バカうま」なんだよね。松本のギターはもちろんテクニック的にも言うことないし。

稲葉:
松本のギターには飽きちゃいました?そんなことはないですか。

小室:
飽きちゃったってことはないよ、「なんでそこまであなたは、A型みたいなギターなの」ってぐらい正確だよね。ブルースを弾いて、ラフにしてるのはわかるんだけど、巷のブルース・ギタリストから較べたら、やっぱり全部の音がしっかり出てくんのよ。6弦から1弦まで、上から下まで、すべてのフレーズがはっきりしてるし。それはしっかりしたテクニックがあっちゃうから、出てきちゃうのかなって思ってるんだけど。だからこれは「バカうま」な人だなって思って見てたけどね。で、稲葉の歌なんかに関しては、「すっげー」って思っちゃったね。

稲葉:
そうですか?一年ツアーやってると、けっこういろんな日がありますけどね。

小室:
当然、いろんな日があるだろうね。僕はたまたま一日を見ただけだけども、でも、やっぱウマいって思うね、羨ましいぐらい。俺なんて歌えないから。

稲葉:
え、そうですか?

小室:
歌えないじゃない。仮歌歌手だから。

稲葉:
コーラスの声が後頭部あたりで聴こえてますけど。

小室:
そう。バッキング・ヴォーカルだからさ。羨ましいよ、稲葉が。あれだけ歌えたら気持ちいいと思うもん。

稲葉:
それは、ないものねだりというか。声は……。

小室:
生まれながらのもんだしね。シャウトとか。昔からシャウトってできたっけ? ああいうふうに。

稲葉:
好きだったんですけど、ちょっとうっとおしいので抑えてたってところもありましたけども。楽器を操る人は、ギターでも、キーボードでも、僕からすると間接的なイメージになっちゃうんですね。でも、それで直接自分の声で喋ったり歌ったりするよりも、自分の感情を表現できるのは、すごいなと思いますけどね。

小室:
そうだね。それはないものねだりかもしれないけどね。でも、やっぱりロックからはいった人にとっては、シャウトした時のカッコよさっていうのはさ、別格じゃない。「シャウト一発」って言葉はなかったっけ?

稲葉:
「ファイト一発」じゃないですか、それは。

小室:
そうでした。でも、あるじゃない、シャウトの勢いの圧倒的な力って。「やっぱりなにもかなわないよな」ってとろがこあるでしょ。昔ね、僕はグラムロックとか好きで、T−Rexとかが好きだったの。中学の頃。で、マーク・ボランが歌アタマに、「イェッ!」ていうのがカッコよくて。もうそれだけで鳥肌がたっちゃって。「もうこれで一発でいいや」と思っちゃったこともあったぐらいだからね。やっぱり稲葉の「シャウト一発」を聴いて、もう震えちゃってる子もいるんじゃないかなって思うよね。

稲葉:
まあ、僕が人のそういうの聴いては、震えてたタイプですから。僕のシャウトみたいなもので、震えてくれる人がいてくれれば嬉しいですけどね。

小室:
やっぱりツアーの賜物ですかね?そこらへんはね。

稲葉:
いつのまにかツアー・バンドになっちゃいましたからね。デビューした頃はそんな感じじゃなかったんですけど。

小室:
デビューした頃、そんな骨太な感じじゃなかったよね。

稲葉:
ぜんぜん違いましたよ。

小室:
いつのまにか、ある時期に気がつくと二人がやけに、筋肉質になっいて。やけに体型が逞しくなっててね。浅黒くて。で、なんか自分が非常に病弱な人間に見えて。確かに病弱なんだけどね。

稲葉:
そうですか?

小室:
ツアーでも、何回も倒れてるし。

稲葉:
風の噂で聞いてましたけどね。

小室:
僕がTMNでツアーやってる時、すれ違ったことがあったでしょ。そのとき、やけに逞しく見えてね。で、聞いたらマシーンとかも松本の家にあるとか言うし。

稲葉:
昔はありましたね。

小室:
その時期かどうかわからないけど、逞しくなったよね。

稲葉:
そうですね。まあ見映えとかもありますけど、やってるとき……、例えば走るにしても、フィジカルな体力だけじゃなくて、音楽用の体力も含めて鍛えていきたいなって気持ちはありますけど。

小室:
駆けっことかは早かったの?

稲葉:
駆けっこ?僕は嫌いなんですよ。

小室:
嫌いなの?そうなの?でもステージの、あの瞬発力からすると早く見えるよね。上から下にさ、ババババッて走っていく時あるじゃない。あれを見てると、きっとこの人は100m走とかやってたんだろうな、とか思うんだけど。

稲葉:
そんなことないですよ。例えば、テニスでもコートの中だけではすごく速い人もいるじゃないですか?その感じですよ。多分自分のテリトリーの中だから、そう見えるだけじゃないですか。実際に直線で100mを走れっていわれたら、すごい遅いと思いますよ。

小室:
じゃあ、中学や高校ではそんなに速くなかったの?

稲葉:
陸上とかが一番嫌いでしたから。

小室:
ま、そういうものなんだろうね。松本も、僕だから言わせてもらえばね、ちょっとポッチャリした感じでしたよね?イメージとしてはね。でも、今は違うでしょ?

稲葉:
筋肉ガンガンについてますよ。

小室:
締まったよね、体型的に。

稲葉:
今はすっかり筋肉質みたいですけど。

小室:
でも、触ると柔らかかったりして。

稲葉:
カチカチですよ。

小室:
カチカチなの?あ、そう。じゃあ間違いなく、もう肉体も変わってるね。精神的にも変化したのかもしれないね。だって、一緒にTMNやってる当時は、ふざけて、ほっぺたとかブニュブニュとかやると……。

稲葉:
そんなことしてたんですか?

小室:
はい。してたんです。「すごい柔らかいよね、松ちゃんの肌」とかいってたぐらいだもん。

稲葉:
「モチ肌だ」って自分で言ってましたけどね。

小室:
そういう感じだったけどね。

稲葉:
でも、今は筋肉質ですよ。すごく硬いし。

小室:
だから、自然と音楽をはじめになにからなにまで、全体的に変わってくバンドだよね。

稲葉:
そうですね。でも、簡単に言っちゃうと、「形から入る」みたいなところもありますよね。

小室:
でも、自然にく見えるから。あまり無理してるようには見えないよ。

稲葉:
まあ、なんだかんだ言っても、自分達で楽しみながらやれてるんで。

小室:
そうか。さっきの話のテレビに出る出ないの問題も含めて、いろんなことを含めて、自分達で楽しめる中でやってるのがいいと思うけどね。それでちょっと言わせてもらえれば、ちゃんとマーケットは押さえてるじゃない。そこがすごいところだよ。いつもすべてのミュージシャンが悩むのは、好きなことと売れることの違いでしょ。その狭間でもがくわけじゃない。いわゆるバランスじゃない。好きなことを追求しちゃうと、もしかしたら売れなくなっちゃうかもしれない、と。でも、売れることだけやるのも……と。

稲葉:
でも、人によると、売れちゃったほうが、どんどん好きなことできるっていう場合もあるんじゃないですか。

小室:
そうだね。僕なんかは、もともとそっちの考え方だったから。「売れなきゃなんにも言えないよ」っていうことろあったからね。そういう方法でやってきたけれども。B’zに関しては、そこらへんが、いいバランスで来たと思うけれど。

稲葉:
そうですね。

小室:
しかもハイレベルでしょ。すごいレベルの高いところでの考え方だから。たいしたもんだと思うよね、本当に。シングルの『ねがい』って曲にしても、今あの曲をリリースされたら、カラオケで歌ってる少年や、男の人達の顔が浮かんじゃうもんね。

稲葉:
あ、そうですか。

小室:
浮かぶよ、やっぱり。

稲葉:
カラオケっていうのも、どうなんでしょうね?あれは。最近、B’zはあんまり歌われてないって話も聞きますけどね。

小室:
難しいもんね。

稲葉:
難しいですかね?

小室:
難しいよ。

稲葉:
でも、trfとかも難しくないですか?

小室:
trfはどうなのかな?今もみんな歌ってるんじゃないかな?

稲葉:
きっと歌ってますよ。

小室:
歌ってるね。でもカラオケでは、B’zをお手本にしましたよ、僕は。trfとかの曲を作りはじめた頃は。

稲葉:
でも、うちの歌はみんなそれほど歌ってないんじゃないですかね?

小室:
とにかくB’zばっかり歌ってた時があったでしょ。みんなが。一連のヒット曲を。まあ、どこまで一連なのかわからないけどさ。とにかくカラオケで歌われてる曲があるでしょ?あそこらへんは研究しましたよ。どうしてみんながみんな、B’zを歌うのかなって。勉強したのね。ま、結論としたら、歌うと、単純に気持ちいいってことなんだけど。「稲葉の歌を歌いきった」っていう気持ちよさがあると思うね。キーも高いでしょ?

稲葉:
ちょっと高めですね。

小室:
で、カラオケボックスじゃなくてさ、進行の人とかがいる店あるでしょ。そういうところの店員の人が歌うよね。

稲葉:
お店のじょうずな人?盛り上げてくれる人ですね。

小室:
で、B’zを歌い切って、ちょっと鼻が高いみたいな。「やっぱり俺のほうが上だろ」みたいなさ。

稲葉:
そのネタで使われるという。

小室:
それでうまく歌うと「おお、あの人うまいな」って。しかもハモれちゃうとかね。そういう意味では、格好のネタだと思うしね。やっぱり稲葉並みに歌えたら、すごいっていう感じだよね。一つの「うまい」っていう基準になってると思うよ。

稲葉:
でもね、今は他のみなさんの、難しいでしょ。うちは僕が歌いやすいようにやってるから、たまたまそれがそういう感じで使われただけですから。今どうなのかわからないですけどね。

小室:
だんだん難しくなってるね。

稲葉:
でも、うまいですよね。最近のそういう人達。

小室:
うまくなってきてる。それは稲葉の影響もありますよ。絶対に。

稲葉:
いや、それはないでしょ。

小室:
あるよ。それと歌詞ね。稲葉の書く詞は、影響力あったと思うよ、すごくね。僕もびっくりしたもん。何かのインタビューで話したことがあるんだけども、日本語の使い方が面白いよね。でも、実は自然に作ってるの?だんだんシンプルになってきてるの?

稲葉:
自分の中の波みたいのがあって、凝りたい時と、削りたい時とかありますけどね。でも今は小室さんもすごいじゃないですか?

小室:
詞?

稲葉:
ええ。ずいぶん変わりましたよね。

小室:
なんか見てくれました?

稲葉:
大体は見てます。

小室:
うーん。自分でもわからないんだけどね。

稲葉:
あ、そうですか?

小室:
うん。自分でも何かを変えようと思って、変えたわけじゃないから。ただ、日本語が好きになってきているけど、今は。

稲葉:
面白いですよね?

小室:
面白くなってきてる。自分では歌えないけど、仮歌は歌うし、メロディも自分で歌って作るじゃない。だから、自分で歌った時にギクシャクした言葉は使いたくないからさ。

稲葉:
日本語なんですか?仮歌とかも。

小室:
その時が日本語だから、日本語ですんなり前に進まないといやなわけ。稲葉も同じ感じで作ってるのかな?とか思う時もあるし、自分で歌いやすくなきゃいやでしょ?

稲葉:
そうですね、やっぱり。でも、最初は、英語みたいなので仮歌を歌うんですけど。

小室:
前にも、言ってたよね、そうやるって。

稲葉:
今もほとんど同じですから。

小室:
今もなの?

稲葉:
で、メロディにというか、仮歌に日本語をはめていくって感じですよ。そうすると、当然、仮歌のノリとは変わってきちゃう所もあるんですけどね。日本語のノリのどっちを優先するかは、その時々によって違いますけど。

小室:
本人がいるから、ぜひ言いたいことがあるんだけど、稲葉の唱法は、頭がいい歌唱法だと思うのね。僕としては鍵盤でもギターとかでも、ドからレに移動する時に、行き先のレが見てるでしょ。鍵盤上でも、フレット上でも、次の音の場所が見えてるわけ。でも、稲葉の歌い方は音から音にいく時にね、すごく確実で、しかも瞬間移動してるような感じなわけ。

稲葉:
そうですか?

小室:
ワザと音と音をつなげる場合は別だよ。それは置いといて、音程としては、すごく確実なのに、この音からこの音に移動しますよ、っていうのが見えない時があるっていうか。ちょっと説明がしにくいんだけども、ある種のデジタルっぽさなのかもしれないけど。もう、事前に計算されていて「次はここにいくぞ」って指令がインプットされてるっていうか。

稲葉:
めちゃくちゃデジタルか、めちゃくちゃアナログか、どっちかですね。

小室:
うん。そういうことなの。それが僕の言い方では、賢いっていうか、頭のいい歌い方だってことになるんだよ。

稲葉:
その時は自分が気持ちいい時なのかな?

小室:
気持ちいい時なのかもしれないね。それが自然児的にやれてるから、そりゃもう才能だと思うけど。そこが世の中の聴く人の気持ちいいところに響くんだと思うのね。僕は。

稲葉:
すごい分析を……されてます。

小室:
だって、音程がさピッタリでしょ。それが気持ちいいツボに入った方がいいってわけじゃない。

稲葉:
ピッチに関しては、僕はまだまだですから。まだまだままならないとこが多いですよ。

小室:
本当に?稲葉君のピッチは本当に素晴らしいと思うけど。音程の取り方が素晴らしいよね。

稲葉:
そうですかね?

小室:
普通の人は、ドはドだと思うかもしれませんけど、ドの中でも幅があるわけですよ。ドの中でも低いドと高いドがあるの。ゴスペルを歌うなら、高いとか低いとか。その幅の中でどこを取るか、それの取り方は才能だと思うけどね。そこが気持ちいい歌のポイントだと思うよね。

稲葉:
そうですかね?

小室:
そこまでB’zを研究してるわけじゃないけど。

稲葉:
いや、すごいこと聞きましたね。

小室:
いいとこを取ってると思うね。そのピッチは松ちゃんがギターもいいピッチのコードだし、いいタイミングのリズムだし。狙って弾いてる部分と自然とそこにハマっちゃってる部分のバランスも絶妙だしね。そこに、稲葉君の音程とリズムのいいボーカルの落とし込みがあるから、なにやってもB’zの気持ちよさになるんだよね。

稲葉:
ま、ライブで練れてきたところも、あるかもしれないですけど。

小室:
それは絶対に変わらないところだよ。いい形で残ると思うけどね。

稲葉:
そう出来ればいいですけどもね。

小室:
ま、それが言いたかったこと。飲んでる席で、こんなの話をずっとしてもしょうがないからさ。

稲葉:
飲んでる時って、どういう話するんですか?

小室:
飲んでる時?飲んでる時に話してるじゃない?あ、でも、他にたくさん人がいるから、ふたりで飲みながら話したことないか。

稲葉:
お酒飲みましたっけ?

小室:
あまり印象ない?

稲葉:
僕がワインを飲まされたことありましたよね。

小室:
ベロベロになるまだ飲んでもらったことは何回かあるかな?稲葉さんは酔っ払っちゃうからね。最近は飲んでの?

稲葉:
あんまり。

小室:
やっぱり僕なんかのほうが稲葉君よりも歳がぜんぜん上だし、いつもある種恐縮してるよね?一緒にいるときは。

稲葉:
そうですか?

小室:
飲むところだと、ちょっと引き気味じゃない?

稲葉:
僕がですか?でも、あれはあれで楽しいんですけどね。でも、一応は最年少のことが多いから。

小室:
稲葉で最年少だもんね。すごい集団だよね。で、最年少だからってこともあるかもしれないけど、大体は引いてるでしょ。でも、ときどき机をガンッてたたく瞬間が見られるわけ。よし、わかった。いましょう。とことんやりましょう。みたいな決心した瞬間が見えるの。そこからはもうメチャクチャ飲んでくれるんだよね。

稲葉:
ありがとうございます。

小室:
自分でもあの瞬間が幸せだなと思う時があるの。

稲葉:
どの瞬間ですか?

小室:
「もうなんでもいいや」と、「なんでもやりますよ」と、稲葉が腹を決めた瞬間。

稲葉:
あ、もうその時点では乗ってますから。

小室:
その時に自分の中で、密かな幸せを感じて。

稲葉:
そうだったんですか?

小室:
「なんたってB’zのヴォーカルだよ」ってフレーズが頭の中にあって。「B’zのヴォーカルが、俺の言うこと、なんでも聞いてくれるんだ」って、「なんでもやってくれるよ、こいつは」とか思った瞬間、そこでは言わないけど、すごい幸せなんだよね。

稲葉:
でも、そういうときの小室さんは幸せのオーラが出てますよ。

小室:
「今だけは俺の手のひらで泳いでるぞ」というような。その店から帰っちゃうと、もう終わりなんだけどね。

稲葉:
でも、泳いでる人が気持ちよければ、何の問題もないでしょ。

小室:
いつのまにか帰っちゃってるんだよね。

稲葉:
僕ですか?

小室:
いつのまにか、なにがなんだかわかんなくなって、運ばれて帰っちゃた時もありましたよね。

稲葉:
昔は。

小室:
また、あの感じで飲んでみたいですけどね。

稲葉:
そうですね。

小室:
ツアーの先にでも行けばいいの?

稲葉:
ツアー中はあんまり。

小室:
飲まない?

稲葉:
うん。で、みんなで飲むってことは、あまりないんです。

小室:
去年、松本と飲んだことがあるの。で、松ちゃんも「HEY!HEY!HEY!」は見てくれてるらしいんで。見てくれる?

稲葉:
見てますよ。

小室:
あ、本当に。

稲葉:
「また出てるよ」って。「まんざらでもなさそうだな」とか話になってますよ、今は。

小室:
そうでしょうね。どうですか?ダウンタウンとかは?

稲葉:
すごく好きですよ。

小室:
あの間にはいるのはいや?

稲葉:
見るのは好きですけど。

小室:
あの間はたまんないって感じ?

稲葉:
いや、どうなんでしょうかね?会ってみたい気もしますけど。

小室:
なんかミスター・チルドレンの人達よりは、B’zの二人の方が楽しめそうな気がするんだけどね。桜井さんとかは本当に苦しいような顔をしてる時があるんだけど。

稲葉:
そのやりとりがですか?

小室:
なんかB’zの二人だったら、「けっこう喰っちゃうんじゃないかな」って気がするけどね。

稲葉:
それはないでしょう。

小室:
あるよ。きっとあの二人も、B’zを好きだと思うけどね。絶対カラオケで歌ってると思うね特に浜ちゃんとかは。

稲葉:
そうですか?

小室:
歌ってるよね、絶対。そうだ、ちょっとおたくのリーダーにも話そうかな?

稲葉:
話そうかな?何をですか?

小室:
べつに僕、「HEY!HEY!HEY!」のまわし者でもないんですけど。

稲葉:
でも、一応は交渉の窓口になろうか、と?

小室:
交渉の余地はあるという感じでね。

稲葉:
小室さんが交渉すると、ちょっと……。

小室:
でも、逃げそうだしな、松ちゃんは。

稲葉:
ま、「俺はいいよ」って言うと思いますけど。

小室:
で、『ねがい』はすごい気に入りました。

稲葉:
ありがとうございます。

小室:
カラオケとかでも聞いてみたいな。他の人が歌ってるのをね。

稲葉:
そうですね。

小室:
また、どっかでって感じだけど、なかなか会ってもらえないしね。

稲葉:
でも、六本木あたりにいるんじゃないですか?

小室:
いないよ。

稲葉:
そうですか。

小室:
なに?今のリアクションは。疑ってるでしょ。本当にいないから。

稲葉:
いや、いそうな感じがするんですけど。

小室:
僕じゃないでしょ、それは。

稲葉:
いや、わかんないですけどね。

小室:
いける時間があると思う?

稲葉:
なさそうですよね。

小室:
そこは、ミュージシャン的にわかってほしいんだけど。

稲葉:
でも、いわゆるスタジオワークとかじゃなくても、仕事してそうじゃないですか。街の中とかでも。小室さんを見てると、そんな感じしますけど。

小室:
アンケート調査やったりとか?

稲葉:
街をながめていても、頭の中では仕事になってるというか。でも、驚くでしょうね。小室さんがチラシを配ってたら。

小室:
時給は高いよ。


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