TK MUSIC CLAMP

TKMC

NON EDIT TALK : 小室哲哉★福山雅治


小室:
こんばんは、小室哲哉です。えぇとですね、やっと年明けて、今日で3回目でですね、まあ、通常の『TK MUSIC CLAMP』に戻ったかなという感じで。そういったゲストの方を今日はお招きしています。福山雅治さんですが。「通常の」というかですね。

福山:
どうも、どうも。

小室:
どうもはじめまして。

福山:
はじめまして。

小室:
ちゃんとお話しするのははじめてですけどね。

福山:
そうですね。

小室:
だんだんあの、ゲストの方も多種多様というかですね、いろんな人が。

福山:
になってきますよね、それはね。

小室:
なってきて、まあ、当然の結果なんですけども。あの、先週とかも、今田耕司君とかですね。

福山:
ほぉー。

小室:
TEI TOWA君となんか組んで。

福山:
はいはい。やってますよね。

小室:
やってるんで、びっくりしたんですけどね。

福山:
前だから、僕もなんか雑誌でそれを見た時に、それ、読めなくて。今田さんの留守番電話に「KOJI1200おめでとうございます」っていったらなんか、怒られましたけどね。なんか「よくわかんないな」と思いながら。

小室:
これも、会って初めてだったから失礼なんですけどね、そんなの、そんなのっていうか、イメージとかぜんぜん湧かなかったから。そしたらなんか、「DURAN DURANとか好きだった」とかいうんで。

福山:
なんか歌ってましたよ、でも。ドラマの撮影中とかも。

小室:
あ、そうですか。そういうゲストの方だったりとか、いろんな方だったんですけど。まあ、あの、最初の頃っていうのは、それこそ桑田さんとかも出てもらったりとか。あとはまあ、飛鳥だったりとか。なんていうんですかね? まあ、昔の人も含めて、案外わかりやすいミュージシャンのが多かったんですどね。あの、僕もそんなにみなさんのも、いつもいつもCD聴いてるわけじゃないんで、なんとなく自然に流れてきたりとか、そういう音楽でいつも感想とかいわせてもせっちゃってるんで、アルバムとか、ちゃんと聴いたことがないんですよ。

福山:
はいはい。

小室:
でも、どうなんですかね? 福山君のシングル、まあ、何枚も出てますよね? 

福山:
はい。

小室:
それとかと、その本質的なというか、なんかアルバムなんか作る時とかと、そんなには変わらないんですか? サウンドだったり流れっていうのは。

福山:
そうですね。まあ。

小室:
中にはぜんぜん違うのとかやる人いますからね、アルバムとかで。

福山:
だから、変えたつもりでもあんまり変わんないっていうのが正直なとこじゃないですかね? なんだろう? わかんないですけど、歌っちゃったらもうなんか、全部同じになっちゃうみたいなところがあって。自分ではそこを変えたことをやってるつもりでも、聞き手にとってはなんか「ああ、ああ、福山がやってんだ」みたいなところで、大枠のくくりになってしまうっていうか。そういう感じなんじゃないですかね? 

小室:
なるほどね。あ、じゃあ、シングルの印象とかも、そんなにいいアレでしょ? ベクトルは一緒っていうか。乗っかってるのはね。

福山:
そうですね。

小室:
あの、聴いててすごくコードであったりそういうのはシンプルだったりして、で、基本的にはフォークギターっていうかアコースティックでちゃんと歌える曲だと思うんですけども。あのメロディラインがね、やっぱり福山君のメロディなのかもしれないんですけど、あの、今までのフォークギターでというかアーティストでギター抱えてポッて出るメロディとは、どこかちょっと違うとこがありますね。

福山:
あ、そうですか? 

小室:
ええ。あの音楽的にいったらコード一個あったらCだったせド、ミ、ソで、どっから始まってもいいわけでしょ? 

福山:
はい。

小室:
で、これまあ、通常だったらソがいくんだけど、なんかちょっと違うとこから入るようなとこありますね。それがまあ、個性なのかもしれないんだけど。僕、それで福山君のとかテレビとかで、ちょっと立ち止まって見ちゃったりする時に、その部分で頭から終わりまで聴いちゃいますね、なんか。いわゆる、ちょっと僕だと読めないメロディラインとかあるんですよ。

福山:
あ、なるほど。

小室:
コード進行はすごくストレートなコード進行使ってるから、なんか大体、一番聴けば。

福山:
まあ、大体ね。

小室:
なんとなく「こう行くんだろうな」みたいのわかるんだけど。メロディの運び方がね、やっぱり僕がわかんないところがあったりして、それで「ああ、ああ。こう来て、こう来たんだ」っていうのすごいありましたね。

福山:
あ、なるほどね。僕なんかだと逆に、他の人の曲、例えば小室さんなんかまあ、小室さんのはもう、かなり耳に馴染んでるところがあるんで。

小室:
ああ、そうですね。そうなんですよ、僕。

福山:
まあ、どれも慣れてるというと変となんですけど。

小室:
癖がね、もう出まくっちゃってますからね。

福山:
ただやっぱり最初に聴いた時は、やっぱり僕なんかからすると逆に、予想がつかなかった部分がありましたね。まあ、それも僕は癖なんだと思うんですけど。

小室:
そうですね。 

福山:
あとね、コード進行に関してはね、あの、ライヴをやってくれるバックのミュージシャンが、よく間違えますよね。似たような進行と似たようなコードが多いんで。

小室:
ああ、はいはい、はいはい。

福山:
僕だから、一回のコンサートで、普通のGから始まるコード、曲のイントロが。半分以上あるんじゃないですか? 多分。

小室:
ああ、ああ、キー的にも? 

福山:
そうそう。キー的に。だからあと、進行も似てるから、「覚えにくい」っていいますよね。

小室:
ああ、なるほどね。ただまあ、本当、それがでも絶妙なところでやっぱり個性になってるから。僕とかの場合ってね、案外まあGでもいいんですけど、G→C→G→C→G→Cってずっといっても、Gのままいってもけっこう保っちゃう曲もあるんだよね。あの、Aメロとかほとんど音程ない、みたいなところもあるから、そういうの多いんだけど。福山君の場合、微妙にGでちょっとDいってCって、べつに3つのコードなんだけど、これ、順番違うだけで、もう曲がガラッと福山くんの中ではぜんぜん違う曲になっちゃうわけだよね? 

福山:
違いますよね、ぜんぜん。同じコード進行でも、ぜんぜん違いますよね。

小室:
だから、そこらへんは逆に音楽作る上でね、あの、福山くんの世界は非常にきめ細かいふうになってるんじゃないかな? そこらへんは。と思いますよ。

福山:
あとね、基本的に歌ってる内容が違えば曲も違うんだと思ってますからね。例えば同じメロディラインとかコード進行とかアレンジが近くても、歌ってる内容。その言葉とかじゃなくて、内容が違えばやってる本人が新鮮な気持ちになれるっていうところがあって。最初はね、だから自分の癖がものすごいそういうふうにあるから、「似たような曲ばっかりで、ちょっと困ったな」と思ってたんですけど。最近はどっか割り切ったから、逆にまた違うアプローチもなんかやりたいなと思うようになったるところはありますよ。

小室:
なるほどね。まあ、あの、今のね、音的なもんではやっぱりなんていうのかな? 福山くんのアルバムとか買った場合に、それだけまあ、枚数とかが膨大な数に膨れ上ってると思うんですけどね。やっぱり安心感がどっかにあるんじゃないかなと思ってるんですよ。勝手にマーケティングさせてもらうとね。いわゆるアルバム買ったらなんか、例えばですけどロックンロールだけじゃなくてテクノがあったりね。なんかもう、ジャズがあったりとかっていう指向の音楽だったら、まあ、そこまでやっぱり枚数っていかなかったような気がしてて。ある程度もう完全に非常に安心感があるような、その詞の世界やらそういうテーマとかはね、いろいろ全部違ったとしても、基本的な安心感とかはあるのかなと思ってたんですよね。サウンドなのか、ちょっとわかんないですけど。まあ、多分、声っていうのもあると思うんですけどね。声質がもう安心できるんですよ。まああの、とんでもないことやらないっていうか、スッ飛んだとこにいっちゃわないっていうかね。すごくそこらへんの安心感は感じますよね。

福山:
わりと自分がその、レコードを買いに行く時とかでも、そのへんの予感と匂いはけっこう大事にしてるみたいですね。例えばそのジャケット見てとか、ぜんぜん名前が知らない新人のアーティストのやつ、よく買いにいったりするんですけど。きっと自分が好きそうな、安心させてくれるような曲が「まあ、一曲は入ってるだろう」みたいなところで。サウンド的に、なんかとんでもないところにいってるもので、刺激をどうこうっていうところじゃないですね。なんか、いつの間にか。昔はもうちょっとその、なんだろう? 人のわからないことを「良し」としてたんですけど。人が知らないとか、人がわからないとか。そういうものがその、トンガってるというか、なんかノイズミュージックみたいなものとか「良し」としてたんですけどね。

小室:
なるほどね。

福山:
なんか、気が付いたらね、結局、自宅でギター一本でポロリと弾いて、まあ誰でもいいんですけど、それが恋人でも親でも兄弟でも友達でもいいんですけど。「おおぉ!」みたいなところが、なんかベーシックになってました、気が付いたら。

小室:
ああ、でも、そのままそういう気持ちで買いたい人が多いんじゃないかな? なんか、「そこでちょっと一曲やってよ」みたいな感じの。

福山:
そうそうそう。

小室:
それが掛けてね、ピッと押した時の感じと似てるんじゃないかな? そこらへんのポジションて感じ、すごいしますよね。だから、それはわかるんですよね。あの、詞の世界かどうかわかんないんですけど、主人公はどのぐらいの比率で御自分のまあ、なんていうんですかね? 自分の部分と、あと完璧に自分で誰かキャスティングして作るっていう、そのウェイトっていうのかな? それってどれぐらいですか? 曲にもよると思うんですけど。

福山:
そうですね…ただやっぱり、圧倒的にその、なんだろう? ゼロからは書けないですよね。それがべつに10が満点で、自分の。まあ、100でいいんだけど、その100%が自分のことを全部歌ってるとするならば、やっぱりゼロじゃあ書けないですね。それはキッカケとしてその0.000001ぐらいでもいいんですけど、なにかそういうものがないとキャスティングしても。キャスティングして書いたりするんですけど、なんかキャスティングすると「ありもしない方にいっちゃうのかな?」っいうのが、いつも自分の中にあって。なんか、それこそキャスティングして書こうと思ったその歌の主人公で、なんか出会いの歌とかを書こうかなとか思った時に、なんかもうそれがいつも頭に浮かぶんだけど、女の子と街角でバッタリ出会って、それでぶつかって、女の子のハンドバッグが落ちて、その中から定期入れが落ちてきて、みたいなね。

小室:
あ、ストーリー作ると? 

福山:
ストーリーを作るともう30年前の漫画みたいな感じですよね。ダメですね、やっぱりね。それが自分の中で本当にあったことだったら堂々と書けるんだけど、キャスティングしてそういうことを書こうと思うとダメですね。

小室:
そうですね。 まあ、あの、僕も浮かぶ時は浮かびますけどね。ビルとビルの角でぶつかっちゃってとかっていうのは。なんか、よく出ちゃうね、交差点とかね。

福山:
夜の飲み屋で隣り合せで、「あちらの方からです」なんて。そんなことねぇ! っていうのに。

小室:
まあでもね、詞の世界であれもまあ、曲によってはイントロがあって、歌の歌い出しからお話しにしないといけない曲もあると思うから。最初の1〜2行は状況設定みたいな説明しなきゃいけない時もあるよね。それがまあ、酒場なのかわかんないけど。

福山:
そういうなんかメロディにしても詞にしても、自分なりのそのフォーマットが出来るまでって、やっぱりあっちいったりこっちいったりしましたね。

小室:
そうかもしれない。それはすごいわかりますね。最初のベーシックは最近、ここ1〜2年、福山君の中で出来上がっているような気がしますね。だから、さっきの安心感にちょっとつながるのかもしれないけど、なんとなくそれ、きっとオーバーラップして見てるとこもあるんじゃないかな? 買う人はね。

福山:
やっぱりなんか、そうですね。そのとんでもない方向にいったりしましたからね、昔は。話しの内容が5つぐらいあるみたいな、その一曲の中に。で、なにがいいたいのかわからない。

小室:
あ、でもね、それは僕も最初の頃、最初っていってもね、約10年ですね。詞、ちゃんと商品として詞を書いてから、もう今15年ぐらいなんですけど。10年間とか、自分で言いたいことがまあ、確実に伝わってないですね。「確実に伝わってる」じゃなくて、確実に相手になんのこと歌ってるのかわかんないっていうようなことが、ずっと続いていて。TMとかやってた頃でも、自分が書いてる詞に関してはね、なかなかしっかり捉えてもらえなかったですね。あの、それは何万人もいたら何万通りの捉え方があるっていう考え方はあっていいんですけど、ただ「作者はこう思ってるけど、私はこうとる、僕はこうとる」っていう基本もね、やっぱりなかなか作れなくて。「この人は振られたのか、振ったのか。別れたいのか、このままでいたいのか」ラブソングでもね、なかなかそこらへんができなかったんだけど。やっとね、ここ何年かはね、とりあえず僕が書いた女の子が主人公の曲が。僕、女の子の曲がほとんどなんで。

福山:
そうですね。

小室:
基本的には女の人なんですよ、主人公が。

福山:
ああいう女言葉というか、ああいうのってフォークはあったじゃないですか、わりと昔から。だから、フォークの世界には女言葉が。

小室:
ありましたね。

福山:
「どうしてナントカなの?」とか。

小室:
あれはなんだったんでしょうね? 

福山:
なんなんでしょうね? 

小室:
ああ、そういえばなんか、非常に女性的ですね。そう思いましたね。

福山:
うん。しかもその、なんていうんですかね? のれんというか、赤堤灯に限りなく近い感じの。ああいうのとはやっぱりぜんぜん違うんですか? 出てくる主人公の女の子は。

小室:
違いますね。もう、本当になんか、ここ一歩外出れば歩いてる女の子を絵がいて書いてますから。

福山:
それはあれなんですか? 自分が「こうあって欲しいな」みたいに思う願望みたいのがどっかにあるんですか? その出てくる主人公の設定って。

小室:
そういう時もありますけど、でもほとんどないですね。ほとんどやっぱりそのままを書きたいっていうか。

福山:
自分が女の子に? 

小室:
女の子から聞いたり見たりして、「こんなヤツいないよ」とかいって、みんなで輪になって怒られてる絵は見たくないっていうか。「ああ、ああ、わかるわかる」。せめて「あるある」っていってもらえるものをになってるかもしれないね。

福山:
パーツがけっこう新しいですよね。出てくる言葉のパーツが。

小室:
ああ、ああ、言葉のね。

福山:
聴いてると、だからその、新しいパーツと、今どきこんな言葉で喋らないし使わない言葉とかっていうのが同居してるのが、僕の受けてる印象なんですけどね。

小室:
ああ、なるほどね。

福山:
出てくるパーツは新しいんだけど、その感情の部分が昔っぽいというか。

小室:
ああ、そうかもしれないね。だから、そっちは無意識のうちにそういう潜在的な願望が入っちゃってるのかもしれないね。

福山:
だから、意外とバンカラなのかな? と思ってたんですけど。バンカラっていう言葉も古いですけど。

小室:
あの、けっこうそうだと思いますよ。なんか、ぜんぜんじつは今風じゃない考え方を持ってるかもしれないね。

福山:
なんとなくなんか。

小室:
それはすごく深いですね。だから、最初は女の子の曲とかいっても、なんかやっぱ照れましたよ。

福山:
照れますよね? 

小室:
仮歌とか、俺、自分で歌うから。もう100%自分で歌って渡すから、けっこう「ナントカなの」とか歌わなきゃならないからね。

福山:
「私」とか言っちゃうでしょ? それで。

小室:
歌いますね。最初もらった人はビックリしたでしょうね。

福山:
でしょうね。

小室:
「大丈夫なの? コイツ」みたいな。

福山:
「小室さんて…どっち側?」っていう感じだったでしょうね。

小室:
「あ、こういう人だったの?」っていう感じのはあったと思うね。

福山:
俺もたまにそうやりたいなと思うんですけどね、やっぱなかなか出来ないですね、そういう女言葉使った歌って。まあ、アプローチとしては面白いし。

小室:
なんか、僕、会ったことないけど、歌舞伎の人とかって、案外男っぽい人多いっていうの聞きますけどね。ああいう女形でしたっけ? 

福山:
はい。はい。

小室:
ああいう女性の演りますよね。だから、若干ああいうとこあるかもしれないね。なんか乗り移っちゃうっていうか。

福山:
乗り移っちゃう…。

小室:
なんか怖い話しですけど。そういうのがあるのかもしれないけど。まあ、ただね、なんかね、女の子を主人公にした方がね、描きやすいこともたくさん自分の中ではあって。

福山:
あ、そうなんですか。

小室:
例えば部屋の設定で、部屋があって、一人で部屋にいた時に、例えばボーッとして恋愛のことを考えてる時に、男もきっといろんなこと考えるんだと思うんだけど。例えばまあ、灰皿にたばこの吸い殻が一つ落ちてたとするでしょ、相手の。これ、男がこれを見て詞にしたらやっぱり怖いですよ、なんか。僕の中でね、なんか言わなくてもいいのかな? と思っちゃってて。そういう時は女の子に設定すると、俺はけっこう書きやすかったりするんで。

福山:
まあでも、「折れた煙草の吸い殻で」にはならないですよね? 

小室:
ならないです。

福山:
「あなたの嘘がわかるのよ」っていうふうには。

小室:
あ、でも、それ女なんですか? あの曲は。

福山:
あれは女から見た…。

小室:
男の人を歌ってる曲だよね? 

福山:
まあ、そうですよね。その、なんだろう? 女にすると出来ちゃうことって、まあ多々あるでしょうね。男だと設定とか行動とかで「そりゃおまえ、男がやっちゃいかんだろ!」っていうことってありますよね。

小室:
あるよね。みしかしたらじつはみんな、もしかしたらやっちゃったりするのかもしんないんですけど。

福山:
ただまあ、歌に出てきて欲しくなかったりとか。

小室:
そうですね。そういうことです。

福山:
「べつに、なにも歌に表現しなくてもいいだろう」みたいな。

小室:
「わかるから」みたいな。「いいんだから、それで」みたいなのあって。女の子だとそれが出来ちゃう時がね、あったりしますね。

福山:
そうですね。それが可愛く見えたりとかっていう。

小室:
だからね、あの、そうです。あの、なんとなく手が近くにあって、まあ、男だったら絶対ヒュッと「手をつなぎたい」っていう気持ちはいつも持ってて。でも、それを口にすると「僕は隣の娘の手を触りたいんだよ」みたいな詞になっちゃうんですけど、女の子にすれば。

福山:
そうですよね。「なんて可愛らしい女子だ」みたいなことになりますからね。

小室:
「時には触れたい」みたいなこと言ってもいいんですよ。

福山:
男が言うと、「どっち側だ?」っていう。

小室:
そうそう。そういうことになっちゃいますね。

福山:
そう考えるとやっぱりあれなんですか? さっきの最初の話しじゃないですけど、ゼロからはやっぱりなかなか書けないですね。だから、一個でも自分の中になんかあれば、例えばその「手をつなぎたい」っていう気持ちがまあ、一個あったとして。で、自分が本当にそれをやろうとしたとか、そう思ったんだっていうことがあればまあ、許せるんですけど。無いものをね、書いてくっていうのはなかなか難しいなと思って。

小室:
そうですね。だから、僕、福山君のちゃんと見たことないけど、そういう一節がなんかホロッと見えちゃうっていうか、その瞬間にね、赤裸々なっていうのかな? なんていうのかな? だから一行でも、一言か二言入ってるから、急にそこで歌、きっとCD聴いてる人がこういうふうに聴いてたら「え? そうなの? 本当?」みたいに、のめり込む一行ぐらいあると思うんですよ。で、やっとまたエンディングでフェードアウトしてくと、それでまたスーッとね、お話しに戻ってけるっていうか。なんかね、そんな感じなんで、全部が全部話しじゃないと思いますけどね。

福山:
そうですよね。

小室:
そこらへんがないとやっぱり。

福山:
なかなかね。いろんなこと考えちゃいますからね、書く時も。

小室:
考えますよね。

福山:
考えますよね。でも、お話しとして成立してるとか、楽曲として成立してるとかっていうとこだと、なんかちょっと「惜しい」って感じになっちゃうじゃないですか。やっぱりその、どっかやっぱポロリみたいなところがなんか欲しいなっていうのありますね。

小室:
ありますよね。なんか、なんていうのかな? あれですか? じゃあ、基本的には出会いよりは別れの方が? 

福山:
の方が多かったです、前は。やっぱりその、僕、長崎なんですけど、長崎から汽車に乗って東京に来たっていう世界の人間ですから。だから、自ずと別ればっかりでしたね。一個の別れで、それこそ何曲も書いたり。

小室:
なるほどね。

福山:
なんなんでしょうね? 精算しようと思ってるのか、手紙を手だしてるのか、わかんないんですけど。

小室:
あ、それは僕がいくら設定しようと思っても、やっぱりその空間移動っていうのがないから。

福山:
ああ。小室さんどこなんですか? 出身。

小室:
僕、東京ですから、ずっと。

福山:
東京なんですか。

小室:
そういう思いきってどっか動いたっていう、巨大な引っ越しってないですね。

福山:
なんか人生の引っ越しみたいな感じでしたから。

小室:
ですよね。それはだから、絶対、潜在的などっかに入ってると思うもんね、きっとね。

福山:
うん。だからなんかね、やっぱり未だにその東京に住んでるっていう感覚は、じつはないんですよ。まあ、18の頃まで長崎にいたんですけど。

小室:
何年ぐらいなんですか? それから。

福山:
それから、もう東京に出てきて8年ぐらいになるんですけど。もちろん東京で経験したことや、体感してることの方が今はでかいんですけど。でもやっぱり、長崎にいた頃の方が「ここに住んでるんだ」っていう、根を生やした感ってやっぱりあって。未だにないですもんね、仕事場だ、遊び場だみたいな状況ですよね。

小室:
なんか、あれなんじゃないかな? 脳の記憶がどうだかわかんないけど、ギターでコード弾く時、上から下にストロークじゃなくて、下から上に、1弦から♪チャラララーン〜ってなる瞬間に、やっぱりそういうどっかで必ずホームタウンの方が画像として瞬間バッと浮かぶとか? 

福山:
汽車とか? 

小室:
汽車とか駅とか。

福山:
♪キャラコーン〜っていうやつですよね? 

小室:
っていった時に、もう本当、1フレーズもないぐらいかもしんないけど、そういうのが出てきたりするんじゃないかな? わかんないですけどね。

福山:
まあでもね、あの、節々にありますよ。どっか自分の中で音楽を聴く時の構え、気持ちの構えっていうのは、その郷愁というか哀愁というか叙情というか。なにかこう、走っていて、その後ろ髪引かれるでもなく、なんかそういう、なにか哀しい部分がどっかありますよね。それに自分が、自分の曲じゃなくてもいいんだけど、人の曲でも自分の中のそういう部分に触れると、なんかその曲が好きになるみたいな。イメージ、映像で出てくるしとか。なんかね、その、「イェーイ」ではないんだなって思って。なんか鎮痛剤というかね、どこか。

小室:
多分、「ロックンロール!」「イェーイ!」でいった曲でもぜんぜんOKなんだけども、多分そのまあ、これもフォークにもよくありましたけどね、いわゆるお祭りのあとのね、哀愁感ですか? 

福山:
祭のね。

小室:
ね、そういうのありましたね。あれは僕はある種すごく、その、盛り上がるだけ盛り上がった部分の後の曲としては、そういう部分もきっと多分、福山君だったら書くだろうなと思いますよ。

福山:
けっこうありますよね、意外と。

小室:
まあ、お祭り騒ぎなり、盛り上がった気持ちの、本当にグォーンとくるものですよね。

福山:
「それもまた良し」みたいなとこなんですけどね、自分で。だからといってオイオイ泣いてるわけではないんですけど。

小室:
そういうのはね、まあ、男性のアーティストでけっこういい絵になりますよね。そこらへんはなかなか女性のアーティストとしての曲も詞の世界も難しいとこですね、すごく。

福山:
男性の詞っていうのはけっこうどうなんです? あんまり最近書いてないですか? 

小室:
もう、浜ちゃんの2曲だけですね、今年。

福山:
ああ、ああ。はいはい、はい。

小室:
あの2曲以外は多分…なかったです。

福山:
あれもやっぱりだから、あの1曲目の方とかは哀愁って感じでしたけどね。僕が聴いた感じでは。なんか「生き方」みたいなそういうとこで。

小室:
そうですね。まあ、もしもね、気間ちゃんがあの人がもっと遠いところ、例えば汽車じゃないと行けないとことから来たりとかしてる人だったら、もうちょっとそういうシーンだったのかもしれないですけどね。まあ、話しの限りでいろいろ聞いてる限りでは、やっぱりあの人の場合もそんなに関西っていうのをドッと背負ってる人じゃなかったんで。もう、すごい東京の生活に慣れてるっていうか。

福山:
ああ、なるほどね。

小室:
慣れ親しんでる人だったんで、もうちょっと距離が短いよね。あの、ポッと浮かんだ時の移動の距離が、非常に仕事場、会社だったりとかそういう場所から自分の家みたいな距離感だったんですよ。だからそう、それこそ長崎だったりとかまあ、もしかしたら青森とか、そういう遠いとこからの距離感は彼に感じなかったのね。

福山:
なるほど。

小室:
だからあの、なんかあの、「窓の景色」どうのっていうフレーズあるんですけど、もうぜんぜんそういった長い距離をボーッと椅子に座って見てる景色じゃないんだよね。やっぱり車でチョコっとした距離だったりとか、電車の立って何駅ぐらいの感覚だったりして。

福山:
通学みたいなもんですね。

小室:
そうですね。通勤とかそういう感じだったからね。なんか、彼にはそういうもの感じちゃったんですよね。

福山:
長かったですからね。電車、寝台車で19時間ぐらいかかりましたよ。

小室:
それは敢えてそうしたんですか? じゃなくてそういう状況で? 

福山:
っていうかね、飛行機っていうのは全く考えなかったですよね。飛行機、高いと思ってたんですよ。で、値段調べたら、3000円ぐらいしか変わらなかったですね。ただまあ、どっかあったんじゃないですか。自分の中でその、「やっぱり列車」みたいな感じで。だからなんかね、未だにその、なんか背負ってる感じがあるし、怨念のようになんか長崎ってものに縛られてる感じもするし。それはなんか抜けないですね、自分で。

小室:
あの、ツアーとかそういう時で戻るでしょ? きっと。そういうこともあるでしょ? 

福山:
はいはい、はい。

小室:
そういう時に自分の家なのかわかんないですけど、家に戻った時にはなんか「あ、戻んなきゃ」っていう感じあります? 東京に。

福山:
東京にですか? 東京はだからもう、そういった意味じゃ東京の方が一番和むんですけどね。原風景とかもっとベーシックなところで、どっか座りが悪そうな感じですよ、自分で。

小室:
ああ、はいはい、はい。なるほどね。

福山:
だから、面白がってやってんですけど、どっかそのまあ、根を生やせないというか。まあ、先々変わってくんでしょうけどね。それこそ結婚したりとか子供産まれたとかここが俺の新しい家だとか。自分のじゃなくても、自分がなんだろう? 選んだパートナーや子供とかのホームグラウンドになるんだったらそれはそれで変わってくのかもしんないですけど。やっぱ、今ないですよね。

小室:
なるほどね。まあでも、それはけっこう曲作りには大きいでしょうね。なんか、そういうのがないと。

福山:
だからなんか、移動してるっていうのが好きみたいですよ。なんでもいいんですけど。車でもいいし。ジッとしてらんないんですよね。絶えず景色が変わってないと。

小室:
じゃあ、ツアーとか率先してやってるんだ? どっちかっていったら。

福山:
ツアー好きですね。だから、そうやって転々としてるのが。

小室:
なるほどね。俺なんかダメだもんね。

福山:
ダメですか? 

小室:
好きだと思ってたんだけども、やっぱりダメだったね。

福山:
それはパンツを洗うのが嫌とか、そういうのではなく? 

小室:
まあ、基本的にホテルとかはダメだったんだけど。ツアーで何回入院したかわかんないしね。過労で。

福山:
それは過労なんですか? 

小室:
過労です。

福山:
嫌々病ではなく? 

小室:
うん。きっとそれもあるかもしれない。もう自然と熱が出てきちゃうのかもしんないけど。

福山:
ああ、ああ、「お腹痛い」とか。

小室:
いろんな地方の病院知ってますよ、入院してますから。

福山:
あ、そうなんですか。

小室:
秋田でも入院したし、小樽でも入院したしね。全部大体、半分救急車で会場からっていうのがあったから。

福山:
へぇー。

小室:
沖縄でも入院したしね。

福山:
まあでも、似合いますよね、でもね。なんか、そういうのが。

小室:
よく言われますけどね。大したそんな思い病気じゃないんだけども、でも、症状として大体、栄養失調とかね。「この人、栄養失調ですよ」とか診断で言われてなったこともあるしね。

福山:
まあでも、それだってね、コンサート終わってガァーッと飲んでズボン脱いで、みたいな感じじゃないですしね、やっぱりね。

小室:
そうだね 。やっぱり合ってないなと思ったけどね。

福山:
じゃあ、曲作りっていうか、スタジオワークみたいなものが自分の中であれなんですか? 

小室:
そうだね 。 

福山:
コンサートよりもやっぱり、なんか制作みたいなとこが? 

小室:
そうだね 。その方が合ってるんだろうね、きっとね。そこらへんもう、ここ何年かでそれがわかってきたんで、ぜんぜん大丈夫になったけれども。

福山:
前、ギルバート・オサリバン さんに会った時も、なんかそんなこと言ってましたよ。なんせ、そのコンサートが嫌いだと。

小室:
なるほど。

福山:
っていうから「いや、でも、ギルバートさんの場合は世界的に有名なんだから、海を越えて遠くの人たちがギルバートさんの歌を生で聴きたくて、待ってるはずですよ」っていったら「いや、僕はレコードで完結してるから」って。

小室:
あ、そう。

福山:
困ったアイルランドの人だなと思いましたけどね。

小室:
そうだね 。まああの、自分がね、いいショウとか見るとそういう気持ちはわかるよね、すごくね。「やっぱり生はすごいな」って本当に思うけど、あれは代え難いものですけどね。

福山:
まあでも、体質というか。

小室:
も、あるからね。まあ、なるべくね、いい状況でやれたらやりたいけどね、それはね。でも、いいですね、そういうふうに自分が動くの好きだったらね。

福山:
なんか好きなんですよね。なんせ、絶えず動いてるのが好きですね。

小室:
でも、じゃあ、ぜんぜんあれですけど、あの、なんだ? ドラマの仕事とかっていうのは、ずっと動かないんじゃないですか? けっこう一箇所で。

福山:
そうですね。いや、でもほら、ロケにいくっていうのもあるから。ドラマに関係ないんですけど。ドラマはもうだから、最初ね、僕、ドラマもね、よく言うじゃないですか。同じ表現として括ってしまえばなんでも一緒なんだと。と思ってたんですけど、違いましたね、やっぱりね。ドラマはドラマなんだなっていう。まあ、いろんな役者の方いるし、全員が全員そうじゃないんだけど、要するにやっぱり、声が掛かってキャスティングされて、で、演じるわけじゃないですか。かなり全部が全部そうじゃないにしても、プレイヤーっていう感じなんだなと思って。要するに「福山雅治レコードつくります。じゃあギター誰々」。まあ例えば「じゃあ、小室さん鍵盤弾いてくださいよ」みたいな感じのいわゆるキャスティングで。主役はべつにあったところでの、プレイヤーっていう感じが強いんだなと思って。だから、そうじゃなくて自分がドラマとか映画とか舞台の中で自分を投影したいと思ってる人はやっぱ、脚本・監督・主演とかやっぱりやるんだなっていうのが、なんかわかって。「ああ、なるほどね」っていう感じですよね。

小室:
そうでしょうね。音楽なんか、これだけ自分で作ってる場合だったら、すごくそういうプレイヤー的な感覚だなって思うと思います。僕なんかもそう思いますからね、きっとね。

福山:
ドラマ、やってことないんでしたっけ? 

小室:
ないです。

福山:
出てませんでしたっけ? 宇都宮さんでしたっけ? 

小室:
あ、宇都は出てましたね。

福山:
なんか言ってました? 出た時。

小室:
やっぱ「俺はぜんぜん合わない」って言ってましたね。

福山:
あ、そうですか。

小室:
もう、やり始める前から言ってような気もするけど。もう多分やんないんじゃないかと思うんですけど。

福山:
ドラマ、嫌いじゃないんですけどね。もちろん好きで出てるんですけど、なかなかだからね、ここ最近ですね、いろいろ考えるようになったのは。前はもうちょっとね、出ていられたら幸せだったんですけど。最近はちょっとね、いろんなこと考えて。

小室:
まあ、外野から見ればね、キャスティング的にもルックス的にもスゴいなかなか貴重なポジションだと思うんですけど、俺なんか音楽の方から見ちゃうから、福山君の声、そのぐらいの音域の声の人っていうの今、キャストで日本の中で、なかなか若い人も含めてですけど、いないと思うんですよ。だから、すごくね、大事な声だなと思いますけどね。

福山:
大事な声ですか? 

小室:
べつにアニメの声優さんじゃないんですけど。みんなやっぱりカーンて声が張るっちゅうんですかね? 僕もまあ、女の子の声とかでやっぱり、けっこうエッジの効いてる方が好きなんですけど、そういう声が多くて。で、男の人も、なんかそういう声が多くて。福山君の場合、すごくやっぱりある種さっきの話しにつながるかもしれないですけど、ちょっと哀しい声っていうか、思い声っていうのかな? わかんないけど。

福山:
嫌いでしたからね、なんせ自分の声が。

小室:
あ、そうなんですか。

福山:
ええ。だから、昔は本当に、もうちょっとハスキーで高くてっていうような声に憧れてて。

小室:
あ、でも、ハスキーじゃない、けっこう。

福山:
これ、ハスキーっていうんですかね? やっぱりこういうのって。

小室:
うん。あの、ちゃんと枯れた部分ありますよ。

福山:
だからね、昔はね、 本当になんせレンジが狭いんですよ。音域が。

小室:
そう? 

福山:
「これ、ヴォーカリストとしてダメだな」と思ってたんですよ、自分で、半ば。

小室:
音域、狭いようには聞こえないけどね。

福山:
狭いんですよね。だから、普通に歌で使ってるのって、オクターヴ以上ないですよね。

小室:
ふーん、そうなの? 

福山:
だから、曲を作って「よっしゃ、いい曲出来た」と思って、改めていろいろ細工したりしてみると、「ん? これは出ないだろ」とかね、削っていったりとかね、しますから、やっぱ。

小室:
あ、本当に。

福山:
「これ、下はまあ、カッコいいんだけど、これ、レコードはいけるけど、ライヴダメだろ、ここは」とかね、ありますよ。

小室:
へぇー。すごいでも、大事ないい声だと思いますけどね。あの、耳から聞こえない声域もってますよね。

福山:
あ、そうですか? 僕もね、けっこう嫌いだったんですけど、去年アメリカにレコーディングにいった時に、アメリカ人のエンジニアとか、アメリカのコーラスの人に「いい声ね」って言われてから、「なんだ」と思って。「意外とそうか?」って思って。まあ、楽器じゃないですか、声って。ああ、楽器としてちゃんと「いい」って言ってもらえるんだっていうまあ、アメリカ人特有のお世辞かなとか思ったんだけど、まあでも、「いい」って言ったんだからしょうがないっていうことで、信じることにしたんですけど。でも、楽器としてけっこういいと思ってくれるんだっていうことは、けっこう嬉しかったですよね。

小室:
いや、すごくあの、よく倍音とか言いますけどね。あの、一音、ワンノートはワンノートだけど、人間の声っていうのは。でも、倍音があるからね、すごいハモってるような声じゃないですか。だからやっぱり福山君の場合は、下もすごいしっかりあると思うしね。なかなかそこらへんの声の人も、またちょっといないと思いますからね。

福山:
そうですか。

小室:
まあ、ドラマなんか、歌ってなくてもちょうどないところなボンでくるからね。カブっても聞こえると思いますよ。だから、音声さんとかけっこう録りやすいんじゃないかな? そういう気がするんだけど。

福山:
どうなんでしょうか? 音声さん。

小室:
そういうとこ見る人はあんまりいないと思いますけど。

福山:
あんまいないですけどね。

小室:
変な見方しますけどね。

福山:
いやいや、やっぱ大事でしょ。

小室:
そう思いますけどね。まあ、貴重だと思いますよ。まあ、じゃあ、基本的にはツアーやレコーディングはゆっくりやって。ツアーやったりしてると、けっこう自分のローテーション的にはいい感じかなっていう? 

福山:
そうですね。ただやっぱりね、なんだかんだワガママなんでしょうね。それだけをやってると、一応ワラジがあるじゃないですか、自分のいくつか。で、例えば音楽なら音楽だけやってると、「あ、なんか、ドラマが最近、こういうふうに盛り上がってるんだって?」とかいって「僕も出たいな」とかね。性ですよね、その。どっかやっぱりね、ミーハーですよね。

小室:
あ、でもね、わかりますね。僕は音楽のフィールドは出ないですけど、音楽の中のそのいろんなアーティストだったりとかプロデュースだったりとかっていうんで、あっちやったりこっちやったりっていうのもあるのと同じかもしれませんね。まあ、ある種ドラマはメジャーシーンなのかな? そういうわけでもないんですかね? 

福山:
やっぱメジャーですかね。

小室:
今、ミーハーっていうので、そういうある程度の賑わせるっていうんですか? 世間を。

福山:
なんかやっぱり、結局その、嫌いじゃないんでしょうね。自分はテレビに出ることとか、歌番組がなんせ苦手なんですけど、テレビの。ここで喋ってる分にはなんかいいんですけど。歌番組が苦手で。で、「嫌だな」と思ってるんだけど、人が出てるの見ると「ああ、出たいな」とかっていうのってね、あるんですよね。なんか僕が自分でやりたいことの本質とか云々とかではなく、ありません? なんかそういうのって。

小室:
あります。

福山:
例えばその、なんて゛もいいんですけど、スポーツ新聞の記事でもなんでもいいんですけど、大きく出てると嬉しいっていうような。

小室:
うん。で、あんまりね、変に出過ぎたりとかね、出ちゃうと。

福山:
まあ、出過ぎるとまたなんか、劣化したような気になるんだけど。

小室:
それは毎日、闘いですね、本当。そのバランス保ってかないとね、ダメだからね。でも、その気持ちなかったらね、絶対その長崎から全部ボコッとはやっぱり、出なかったでしょうからね。

福山:
出たがりなんでしょうか? だからね、そのへんは自分で思ってたのとやっぱり違いましたよね。もうちょっとね、その、バッくれた感じがカッコいいのかな? って思ってたんですよ、自分。バッくれることができたら、もっとカッコいいなと思ってたんですけど、なんかダメでしたね。

小室:
こうやってテレビに出てる人で、本当に100%バッくれられる性格の人はいないでしょうね。

福山:
「じゃあ、出んなよ」ってことになりますからね。

小室:
そうなりますよね。もう、必ずそういうことを言われるでしょうね。「いやぁ、俺は逃げたいんですよ」とかいって「いいよ、べつに。じゃあ、どうぞ」って感じですかね。まあ、それでいいと思いますけどね。だから、バランス感覚ですよね、そこらへんは本当。

福山:
そうですね。その人なりのありますね。

小室:
でも、すごいですね。今いくつです? 

福山:
今年26です。

小室:
6ですか。

福山:
今年もうすぐだから、7になるんですけど。

小室:
で、そこらへんほとんど僕なんか理解できること、理解してますね、かなり。そこらへんのバランス感覚っていうのはね。

福山:
「オヤジ」って言われますよね、でも、本当に。

小室:
ああ、ああ。僕、話し初めて聞いて、年齢よりはかなり上ですね、なんかね。とか思っちゃったですけどね。僕なんか、今だって、僕、今37ですけど、もう8になりますけどね。今、ぜんぜん年齢下げてないもん、話してて。

福山:
そうですか? 

小室:
もう、そのまんまで話ししてるもんね。それでわかっちゃうっていうのは、そこらへんどうなんですかね? 

福山:
ちっちゃい頃から人の鼻の穴を見て生きてきたせいかもしれない。

小室:
面白いですね、それ。

福山:
いやいや、いや。まあね、いろんなことが。

小室:
ありますからね。じゃあ、ちょっとね、もうけっこうお話し聞いちゃったんでね、そろそろ締めましょうって言ってからもう約30分近く経ってるかもしれない。

福山:
あ、そうなんですか。

小室:
たくさんお話ししてもらっちゃって。

福山:
いやぁ、意外と喋れますよね。

小室:
喋れますね。

福山:
僕もおしゃべりですからね。

小室:
あ、そうなんだ? 

福山:
ええ。

小室:
もっとね、お話しをしてもらえないのかと思ったんですけどね。

福山:
まあ、もうちょっと。

小室:
よかったです。ありがとうございました。

福山:
どうも、どうも。

小室:
また、なんかあったら。

福山:
なんかあったら。

小室:
よろしくお願いします。

福山:
はい、どうも。


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