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NON-EDIT TALK : CHAR , JIM * 小室哲哉

小室:
こんばんは、小室哲哉です。えぇとTK MUSIC CLAMP、8月にもう入ってですね、えぇ、暑いんですけれども。えぇ、たまには台本、台本もあるんですね、一応ね。その台本通りちょっといってみたいと思いますが。えぇとですね、あの、暑いんでですね、ビールをみなさん、たくさん飲むと思うんですが、あの、なんでお店入ってですね「とりあえずビール」って言うんでしょうかね? 注文に。多分、次になんか飲むからでしょうね。もう、他に飲もうとしてるからだと思うんですけどもね。
えぇ、まあそんな、ぜんぜん関係ない、まったく関係ないゲストの、今日はロンドンからというか、もう東京にいらっしゃるのかもしんないんですけども、の方と、まあその方を呼んでいただいて、僕がもう中学生ぐらいからですね、知ってますけれども、えぇ、ゲストの方はですね、今日はまあパッと、というわけで、CHARさんでした。

CHAR:
ええ。

小室:
ええ、と、ドラムスのJIM。では、よろしくお願いします。

CHAR:
よろしくお願いします。

小室:
あの、スタッフも僕も、ちょっと今日、緊張気味なんですよ。

CHAR:
なんでですか?

小室:
ええ、というのはですね、あの、僕、36なんですけども。

CHAR:
突然、告白の時間になっちゃった。

小室:
年齢的にほとんど下なんですよ、当たり前のように。もう、ゲストの方が。で、場合によってはその、なんですか? えぇと、一回り以上下とかも多くて、まあ、なんとなくこういうふうに「僕の若い頃はね」とかって話とか、そういうのが多い傾向があるんですけど、久々にこう、年上の方っていうか。

CHAR:
そんなに変わりませんけどね。

小室:
変わんないですけどね。そのキャリア的にですね。

CHAR:
ああ、なるほどね。

小室:
キャリア的に長いんで、なんとなくこう、違いますね、ちょっと。

CHAR:
あ、そうですか?

小室:
ちょっと違いますね。

CHAR:
雰囲気が?

小室:
僕はあのスタジオ前、CHARさんのとこの世田谷のほうの、とかもお借りしてたんで。

CHAR:
ええ、そんなこともありましたね。

小室:
多分、だからチラチラッとは、お目にかかってるんですけども。また、せっかく今日はあの、JIMさんも連れてきていただいて。

CHAR:
ええ、サイケデリックスとして。

小室:
サイケデリックスとしてのCHARさんということで、来てもらってるんで、そこらへんの話を聞きたいんですけども。とはいってもメインゲストなんで、案外こう、長いんですよ。いろんなお話できるんで。

CHAR:
あ、そうですか。まいったな、口下手なんで。

小室:
口下手なことないじゃないですか。けっこううまいですよね、話ね。

CHAR:
いや、そんなことないですけどね。

小室:
そうでもないですか? あの、サイケデリックスは、僕のイメージとしては今までのあの、いろんな形よりは、なんとなくこう、お茶の間っていうのも変ですけど、なんとなく一般的な方のアプローチが、自然にね、なんかしてるような印象があるんですけど、今までとはなんかアプローチ違いますかね? そんなことはないんですかね?

CHAR:
音楽的なですか?

小室:
音楽的に………まあ、音楽的にもそうですね。音楽的にも時代がこう、今、なんていうんですか? まあ、すごくジャジーなものもなんでも、なんでも受け入れられるような感じにはなってきてますよね? だから、そこらへんもCHARさんの頭の中でね、まあ、あんのかな? とか思ったんですけど。そんなにこう、こだわらなくても自然にやれば、スタイルやればね。

CHAR:
まあ、確かに今言ったように、一時に較べたら、80年代に較べたら今の方がまあ、なんつうのかな? まあこういう、こういう番組も含めて、音楽にこう、なんつうのかな? こだわりがなくなったっていうか、だからまあ、大ざっぱに言えば、楽になったっていうか。

小室:
そうですね、楽になりましたよね。

CHAR:
まあ、しつこくその、30過ぎても40過ぎてもやってるヤツがいるからこうなった、っていうのもあるかもしれないし、まあそれは一概になにかって言えないかもしれないけども、あの、うーん? わかんないけどやっぱ、土俵が広がったっていうか。

小室:
そうですね。

CHAR:
グランドが広がったから、まあ「良けりゃいいんじゃない?」っていう時代になったから。

小室:
そうですね、本当「良けりゃいい」っていう感じがあって、もしかしたらスタイルはね、CHARさんのなかでは変わらないのかもしれないですけど、でも今聴いて、これをファッションとしてとらえる人も、若い子ではいるし、すごく自然に「車で聴くのにいいね」って聴く人もいると思うんですよ。で、もしかしたら「すごいダンサブルだね」って取る人もいるような、そういうとらえかたがね、けっこう今の話のように広くなってるんで、なんで、そういう意味でけっこう「ああ、普通にみんな聴いてよ」って感じでサイケデリックスということでね、そういうふうになったのかな? っていうふうには思ったんですよ。

CHAR:
そう、だから、まあこっちもね、そういう意味じゃあ、こっちがお客を選んでもしょうがないっていうか、特にサイケデリックスの場合、なんつうのかな?

小室:
まああの、それこそあの、CMとかで鳴ってたりってとか、っていうのもそうなのかな? って思ってたんですけどね。

CHAR:
まあいろいろ、ま、仕事もしないといけないんでね。

小室:
でもまあ、あの、それでこう、そっちにね、コマーシャルにどうのこうのとか、そういうのにこう、ぜんぜんそう、迎合するとかっていうこと全くないですよね。

CHAR:
いや、まあその、俺がまあ二十代の時と違うのは、例えばコマーシャル一つにしても、この番組もそうかもしれないけども、えぇとまあ、こうやってパッと見渡してもなんつうのかな? みんなやっぱ音楽が好きでこう、音楽、映像にしてもそうだし、こういう番組もそうだし、作ってる気がするのね。んで、で、その音楽っつうのは基本に何があるかっていうと、やっぱりロックから始まっているような気がするのね。だから話が早くなったし、例えばコマーシャル一個やるにも、まあ、映像の監督さんと直接、まあそれは年齢的なこともあるかもしれないけども、どういうイメージで、どういう曲で、で、どうリンクさせてくかっていう話できるようになって。昔は音楽っつうのはコマーシャル、映像の中でも最後にくることで、まあ今もそういうとこあるけど、バジェットのこのへんじゃない? 音楽っていつも。それがまあ、少なくともその、クリエイティブな部分では、なんか同時に進行できるようになったんで、そのコマーシャルだからこうじゃなきゃいけないとか、もしくはアートだからこうじゃなきゃいけないっていうのは関係なくてね、その、一緒にその、違う分野の人たちと、同じテーブルで話しながら、いいものを作っていこうという会話ができるようになったから。まあだから、こういうとこにも出やすくなったし。

小室:
あ、そうですね。まあ好きなグループ、名前ひとつ言ってもわかる人が一緒に仕事してる人で増えてきましたよね。

CHAR:
そうだよね。だからもう、50歳になって、仮になったとしても、もうストーンズとかビートルズ知らないっていう、まあ、言わせないぞっていうのがあるじゃないすか。

小室:
まあ、それはそうですね。

CHAR:
まあ、意外とカラオケいって、演歌、歌っちゃうんですけど、そういう人はね。意地になって。歌います?

小室:
いや、歌わないっス、僕。まあ、それはわかりますね。だから、うん、なんていうのかな? 特にCHARさんの場合は、もうそういう時代もあの、若い時っていうか、大変な時代、その合わせるのがね。もう、本当わかりづらい人たちとかの中でやってきた時代もあったと思いますし、だからもう、全部そこらへんのプロセスを見てきてると思うから、余計感じるかもしれないですね、そういう部分ね。

CHAR:
だから、基本的には何も変わってないような感じもするんだけども、でも少なくともなんつうのかな? やっぱりレコードがCDに変わった時から変わったっていうか。なんかレコードってやっぱり、こんくらいの大きさのもんで、「レコードです」って感じだったんだんだけどな。CDってこんくらいで「あ、CD」って感じなんだ、「それ、向こう置いといて」みたいな。だから良くいえばものすごいなんつうの? 気楽にこう、みんなが買えるものになったし、その、いまさら、例えば高校の一学期の時とか中学の時に、あの、自己紹介で「音楽鑑賞」とかって言う人が、僕らの時代はあったの。「竹中君、趣味は?」とかいうと「え? バスケと音楽鑑賞です」みたいな。だから今その、まさかオーディオ持ってない人いないだろうし、もう、一人一台、ヘタすれば二台三台ぐらいのもんで。

小室:
うん、そうですね。

CHAR:
だから、それはそれでいろんなTPOがあると思うから、それこそ、さっきおっしゃった、車の中だとか、セックスの時とか。いろいろあると思うんですよ。

小室:
なるほどね。

CHAR:
うん、だから音楽はそういうところで、その「これだ!!」って入り込むだけじゃなくって、広くこうなったから。ね?

JIM:
(訳)うん。

小室:
サイケデリックスの今日ね、聴かせてもらった曲とかも、例えばギターとドラムで♪トッ、タチー、チー〜とか♪ドゥドゥタ、ドゥドゥタ、ドゥドゥタ〜とかね、フィルとか入るでしょ。あれも、昔はロックで「技を聴かしてください」って感じでこう、聴いたと思うんですけど、今の人たちは僕がさっきいったように、それが映像とかファッションとかと一緒になって、ファーッて流れちゃうんだけど、例えば言い方としては「あ、お洒落だよね」とかいう言い方でね。

CHAR:
うん、なるほどね。言葉としてはね。

小室:
うん、言葉で、なっちゃって。で、それはじゃあもう、まあ自然な流れでね、そうなってきてるんで、うん、もうぜんぜんそこらへんは、もういいってことですよね。

CHAR:
うん、だから、まあ、はっきり言えば、ものすごい今ファッション見ても何見ても、俺が十代の時、まあ、ずっと同じ格好してるんだけど、基本的には。だから80年代にやっぱり、うーん? フレアーとかベルボトムのズボンを捜すのは、ものすごい苦労したし、今、どの店いったってあるんで「ちきしょー、ストレートはいてやろうかな」って思っちゃったけど。まあ、そういう意味では、ファッション的にも、あの、ものすごくまあ、当たり前っていったら当たり前なんだけど、60年代、60's、70'sになってるし、音楽も日本だけじゃなくて、やっぱイギリスでもアメリカでも、その頃のものがやっぱりこう、まあ、懐古主義とは違う、ちょっと違うような気がするのね、50年代のロカビリーとは。なんかもっと、アーティスティックな部分で、まあウッド・ストックの20周年だっけ? みたいのもあったし。そう「あ、なんだ、こんなことを昔の若者はやってたんだ」みたいなので、まあ、俺とかJIMとかそのまま大人になれないでそれやってると思うんだけども。

小室:
なるほどね。

CHAR:
だから、世の中全体がなんか、まあ、これがどこまで続くかわかんないけども、ただまたピコピコになられるのは困るなっていうか。だからドラムとかって一番80'sは困ったと思うのね。

小室:
 ああ、ああ、なるほどね。そうですね。

CHAR:
(訳)80年代はつらい時期だったよね?

JIM:
(訳)うん。

小室:
今、でも、あれなんですか? イギリスのまあ、僕もイギリスのすごく状況とかっての、気になるんですけども、その、今のサウンドの部分ではじゃあ、JIMなんかにとってはいい方向になってるんですかねぇ? すごく。そういうポジションっていうの。

CHAR:
(訳)今の(流行っている音楽の)スタイルについてどう思う? 60年代、70年代の音楽がリバイバルしてきて、JIMにとっていい方向にいっていると思うけど。

JIM:
(訳)そうそう、いいね。

小室:
(訳)生のドラムが必要とされているしね。

JIM:
(訳)そう、その方がぜんぜんいいよ。80年代は大変だったよ。

小室:
ああ、80's。

CHAR:
80年代は非常につらかったと。俺もつらかった。(訳)俺もつらかった。

JIM:
(訳)そうだね。CHARの音楽もまた流行ってきたね。

小室:
あの、バグルスの「ラジオスターの悲劇」っていうのあって、あ、ビデオスター? ラジオスターですね。

CHAR:
ええ。

小室:
あの「Videostar Killed Radiostar」って曲ありましたけど、なんかあれに近いものありましたよね、一瞬ね。

CHAR:
まあ、良い悪いは抜きにして、ものすごいやっぱりうーん? アーティストじゃなくて、やっぱりエンジニアとか、もしくはプロデューサーとか、そういう人たちが作ったきた。

小室:
そうですね。僕なんかが今、やってるようなことですけどね、そこらへんは。

CHAR:
だから、そういう世界はもちろん今でもあるし、逆に70'sも60'sもあったんだけども、やっぱりコンピューターだね、一番大きく出たのはね、それとビジュアルだと思うのね。

小室:
そうですね。あの、ちょっとぜんぜん関係ないかもしれない、ちなみになんですけど、ジャミロクワイとかね、ああいう人たちとかっていうのは、どう思いますかね?

CHAR:
(訳)ジャミロクワイとかってどう?

JIM:
(訳)好きだよ、もちろん。70年代のソウルミュージックがルーツにあるみたいだね。僕の耳にはスティービー・ワンダーのように聴こえたけど、初期のころのスティービーにね、そうでしょ? だけど、若いミュージシャンがしっかりとプレイしているところが印象的で、すごくいいことだと思うよ。いま最も乗っている(最盛期の)ミュージシャンだね。

小室:
ああいう人たちこう、若いじゃないですか? でもそう、ああいうスタイルをとってて、で、すごく、で、UKの匂いもまあ、スティービー・ワンダーに似てる時もありますけど、でもっていう気がして。

CHAR:
(訳)小室君は、ジャミロクワイにUKの匂いがするって。

JIM:
(訳)うん、確かにそれは言えるね。(サウンドに応じた)ジャズっぽいエッセンスの取り入れ方とかがね。

小室:
そう、あと僕なんかプライマル・スクリームとか。

CHAR:
(訳)プライマル・スクリーム知ってる?

JIM:
(訳)うん。

小室:
ああいう人たちも、まあリズム、ノリがねそういう、生のノリをすごく。

CHAR:
(訳)生のサウンドからくる、ノリとかがいいって。

JIM:
(訳)そうだよね。ロンドンのアンダーグラウンドシーンでは大事件だね。

CHAR:
ロンドンじゃあそういうの、だから、ロンドンてけっこう、思ったよりそういったドラッグミュージックのエッセンスは大きいよね。(訳)本当にそういうものの影響は大きいよね。

JIM:
(訳)そう。僕たちはロンドンで、ブラックミュージックとともに育ってきて、黒人の喋り方の調子(あるいは歌う時の音程の取り方)とかが、子供のころから学校が一緒だったから、いろいろ混ざってるんだ、わかる? それがイギリスとアメリカの間で、(発音を始めとしたさまざまな)違ったものになってると思うんだ。アメリカだと、その(黒人と白人の)差がもっとはっきりしてるんだ。

CHAR:
わかる? 訳。

小室:
うん。

CHAR:
だからそのへんが日本とあの、イギリスと似てるとこでもあると思うのね。

小室:
はいはい、ええ。

CHAR:
その、アメリカで始まったことじゃない? R&Bだとかブルースだとか、そういうものって。それで日本とかはレコードで入ってきて、で、イギリスもやっぱり島国で離れたところにいて、で、耳でやっぱ「いい」っていうものをこう、聴いてきたと思うんだ。まあ、その比率的には圧倒的に彼がいったように、まあ、自分たちのクラスにまあ、黒人がいたと思うけども。だから、そういう意味ではこう、意外と同じリスペクト持って、黒人音楽を聴いてきた年代かな? と思うね。でも、それはすごいイギリスでも受け継がれてるし、日本でも、そうだな、特に関西いったら……。

小室:
そうみたいですね。

CHAR:
そのへんのブルースとかR&Bっつうのは。(訳)大阪は特別だよね、ブルースとかR&B関しては、特に。

小室:
(訳)JIMもそうそう感じる?

JIM:
(訳)そうだね、大阪はまさに、CHARのいう通りのところだね。

CHAR:
(訳)東京よりももっと?

JIM:
(訳)うん、やっぱりそうだね。

CHAR:
(訳)どうしてだろうね?

JIM:
(訳)さあ? 小さいけどいい店がいっぱいあって、僕には音楽の街って感じがする。

小室:
なるほど。

CHAR:
まあ、彼の目から見ても、大阪のがこう、ミュージックタウンだって。

小室:
なるほどね。へぇー。あの、こう、二人でっていうのはどうして? まあ、どうしてでも当然、基本的なことはもちろん、いろんな意味で合ったことはあると思うんですけど、こういう形にしたっていうのは?

CHAR:
うんとね、まあ、最初はCHAR&サイケデリックスで6年ぐらい前から始めてたんだけど、まあ、俺のソロの一環として。で、もうぜんぜん、もちろん、あ、ちょっと。(訳)最初に初めて会ったのって、何年ぐらい前だっけ?

JIM:
(訳)ああ、ずっと昔だった。

CHAR:
まあ、long time agoということで。

小室:
long time agoですか。

CHAR:
前に日本に、別の仕事できてた時に、俺が演奏してるの見たことあって、俺も演奏してるの見たことあって、なんかまあ、ピッて感じるものがあったんで、それからまあ十年以上経って、別の人の紹介でCHAR&サイケデリックスのドラマーとして来たんだけど。まあ、ステージを重ねるうえに、レコーディング重ねるうえに、だんだんこう「なんだ? こいつ」「なんだ? こいつ」みたいのあって。で、だんだん5人のバンドが4人になり、4人のバンドがトリオになって、で、トリオからついにデュオになって。もうあとはもう、なくなるというかね、まあ世界最小編成のバンドになったな、みたいな。

小室:
そうですね。ドラムとギターと歌で。

CHAR:
まあ、なぜそうなったかっていうと、さっきの話に戻るんだけども、やっぱりすごくエモーショナルな部分を大事にするドラマーだし。

小室:
聴かせてもらったんですけど、すごい歌ってますよね。ドラムがね。

CHAR:
(訳)JIMのドラムは歌ってるって。

JIM:
 ア、ドウモ。

CHAR:
本当そうなんだよ。俺も弾いて歌う立場だから、そのへんのダイナミックスをつけられる。それまでの音楽って、もっとさっきのあれもそうだけど♪ド、ツ、タ、ツ、ド、ツ、タ、ツ、ド、ツ、タ、ツ、ド、タ、タ、タ〜じゃない?早くもなんないし、遅くもなんないし、盛り上げもしないし、盛り下がりもしない音楽で。そういう意味ではものすごいやっぱり、その、子供の時に聴いてた音楽が一緒だったし、で、今やりたいもんも一緒だから、結局その、たまたまそれが、ロンドンと東京の悪ガキ同士になっちゃったんだけども、すごくそれが気持ちいいし。

小室:
そうですね。あの、まあただ、だからすごくそういうエモーショナルなんですけど、まあ僕たちが一応、若い側の耳で聴いたりすると、それがお洒落に聴こえますね。

CHAR:
あ、そう。お洒落っつうのは、どういうのがお洒落なの? 例えば。

小室:
どういったらいいんでしょうね? なんていうんでしょう? その、職人で、職人技で。

CHAR:
職人………?

小室:
「ここでテクニックを魅せてます」っていうこう、気負いっていうんじゃなくて、サラッとっていうんではないんですけど、でも、なにげなくバァッとできちゃってて、それ押しつけがましくない感じがすんですよ。

CHAR:
なるほどね。まあ、だからそれは二人で、もうものすごくテーマで、例えばものすごいテクニックもってるドラマーなの、じつは。

小室:
そうですよね。それはもう、わかります。

CHAR:
で、そのテクニックっつうのはまあ、いろんな種類があると思うんだけども、要するに速いとか、すごい派手とかっていうの。でもやっぱりツボっていうんですかね? 日本語でいうと。

小室:
ツボですかね?

CHAR:
それもやっぱり引き出しだと思うんだけども、そりゃまあ経験もあるかもしれないけども、そのへんがやっぱりそういう意味では、俺もお洒落だと思うのね。彼のドラムっつうのは。

小室:
だからまあ、make a senceしてるっていうのかな? っていうことなんだと思うんですけど、それ、すごく感じましたね。

CHAR:
(訳)小室君は、JIMのドラムは本当に…。(日本語で)お洒落って英語でなんていうんだろうね?

小室:
 わかんないです。

CHAR:
(訳)若い子たちは多分、俺たちがいつもやっていることだけど、JIMが♪ドゥロロロロロドゥロロロロロ〜ってフィルを入れたりすることが、好みに合ってるみたいなんだ。

JIM:
(訳)そうなんだ?

CHAR:
(訳)そう。それをヒップ(最も新しい)だとか、クール(いい感じ)とか思うみたい。

小室:
クール、クールですね。

JIM:
(訳)わかるわかる。

CHAR:
(訳)「おお、うまい!!」って。

JIM:
(訳)なるほど。

CHAR:
(訳)ギターとかも。

JIM:
(訳)わかったような気がする。

CHAR:
(訳)そう聴こえるみたい。

小室:
それとだから、同じようにその、フィルが♪ドゥロロッ〜ってきた時に♪ギャガギャーン〜ってきてるから、もう同じ感覚で。

CHAR:
それはまあ、カンバセーションなんだと思うね。

小室:
だと思うんですけどね。まああの、下のああいうリフがね、入ってくるとことかは、もうすべてそれでいっちゃうと、お洒落になっちゃうんですね。

CHAR:
お洒落になっちゃうんですか? 困っちゃったなぁ、俺、お洒落なのか。お洒落。

JIM:
(訳)なに?

CHAR:
(訳)日本でいうとこの、クールでヒップってこと。

JIM:
(訳)ああ、なるほど。

小室:
だから、カッコいいっていうと。

CHAR:
ちょっと違うね。

小室:
もっとまたね、こう「カッコいいよ、本当!!」っていう感じで、多分その、例えば、ジョニー・ルイス&チャーとかの時ので、男の子のファンがこう、アドリブとかでね「本当、カッコいいな」って思う気持ちと。

CHAR:
ちょっと違うと。

小室:
ちょっとまた、ちょっと違ってきてると思うんですけど。

CHAR:
なるほど。本、書いてくださいよ、今度。カッコいいとお洒落の違いみたいの。

小室:
これね、そこをすごく今日は一番ね、その、聞いてみたかったんですけど。

CHAR:
まあ、プロデューサーとしては、それ大事なことかもしれないね。お洒落とカッコいいの違いっつうのはね。俺もいろんな人、違うレベルでプロデュースしたり、もしくはサイケデリックスをプロデュースする時に、そのやっぱり、そのへんの、やっぱ、カッコいいとお洒落の違いっつうのは、あるかもしれない。

小室:
当然、ベーシックにはカッコよさがあるから「ただ洒落てるんじゃないよ」っていうふうに言えると思うんですけどね。そういうことなら。

CHAR:
だからきっと、お洒落っていうのは、多分、江戸時代の「洒落てるね」だと思うんだよね。言いたいのは。

小室:
ああ、はいはい、そうですね。

CHAR:
「粋だね」とかっていう。

小室:
そういうことですね。

CHAR:
職人からつながるので流れで。

小室:
はいはい、そういうことですね。

CHAR:
あれ、ぜったいカッコいいよね。

小室:
あ、そうですよね。もう、あれ江戸時代そうですね。

CHAR:
そうだよね。

小室:
洒落てるってことですね。

CHAR:
洒落てるっつうのは、ちょっとユーモアも効いてて、ちょっぴりエッチで。

小室:
エッチで?

CHAR:
それがないとダメなんだよね、お洒落は、きっと。

小室:
うん、それで技はもちろん持っててっていうとこですね。

CHAR:
普段は傘張りやってるんだけども、いざとなるとフッっていって出てくる。

小室:
うーん。そこらへんかもしれないですね。

CHAR:
わかる?

小室:
わかります、わかります。わかりましたよ。うーん? なんかわかりやすく説明してもらっちゃってますけどね、なんかね。

CHAR:
いやいや、いやいや。

小室:
うん、そう。まあ、だから、そこがまあ、一番話で今回聞いてみたかったとこなんですけどね。

CHAR:
なるほど。まあ、自然にそうなってる部分はあるんだけども、やっと今、二人にサイケデリックスでなって、余計その、なんつうのかな? こう、もちろん人間的にもいいヤツで、つき合いあるんだけど、やっぱドラマーとギタリストって単に。まあ、ドラム座ったらやっぱ怖いし。

小室:
怖いですか?

CHAR:
怖い怖い。

小室:
迫力ありそうですよね。

CHAR:
(訳)JIMがドラム叩いてる時、怖い。

JIM:
(訳)本当?

CHAR:
普段はすごい優しいジェントルメンなんだけど、一回座るとなんか、なんとも言えないこう。

小室:
編成はどういうふうに? ライヴとかは。

CHAR:
えぇと、前回までは4人だったり、5人だったり、キーボードがいたり、もう一人ギターがいたりしたんだけども、今回からは俺とまあ、JIM、ドラムと、あとベースのトリオで。

小室:
あ、べつにドラムがこう、前にきてるとかっていうわけじゃなくて? セッティング的には。

CHAR:
いや、よこからドラム、ギター………、嘘だよ、嘘、嘘。そういうのはべつにないですけども。

小室:
あ、別に普通ですか。

CHAR:
でも、二人でもできちゃうか、っていうのね。やろうと思えば。

小室:
ああ、なるほどね。あ、そうだ、あの、詞の部分では日本語っていうのどうなんですかね? そこらへんっていうのは。日本語の部分のこだわりっていうんですか? 英語の部分と。

CHAR:
うーん? 別に言葉にそんなこだわっているようで、じつはこだわってないんだけども。

小室:
まあ、やっぱり自然な方法っていうので英語なんですかね?

CHAR:
うーん。そうだね。だから日本語の詞も書くけども、日本語ってやっぱりものすごい、俺にとってはものすごいなんか、簡単そうで、ものすごく難しいし、あの、やっぱり、あんまり言葉に、そんな興味ある方じゃないのね。だから、できれば詞はやっぱり、詩人に頼んだ方がいいかなっていう。

小室:
あ、もしも日本語とかでっていう時は。

CHAR:
うん、だから本当に書くんであれば書くんだだけど、けっこうものすごい入り込んじゃうんで、とことん。日本語でもやっぱり、なんかこう、書いてね、それ、字の流れ、見た目が面白くないと嫌なの、俺。俺は漢字と片仮名しか使わないんだけど、平仮名使ったらどうしてもダメなのね、なんか。

小室:
ああ、片仮名ですか。

CHAR:
漢字と片仮名のあの、コンビネーションがすごくロックっぽいなって。どうしても平仮名って、ギャンっていうこう、なんか。

小室:
響きがないですか?

CHAR:
ない。なんか女性っぽいっていうか。

小室:
まあまあ、丸いですよね、それはね。柔らかいというか確かに。ああ、それはちょっと僕はわかんないですけどね。(訳)CHARさんの詞について、どう思います? 英語の詞でも日本語の詞でも。

JIM:
(訳)素晴らしいよ。最初にまず、詞の元になるアイデアみたいなのを書き出すんだ。

CHAR:
まあ、もう一人詩人がいるから。

JIM:
(訳)その元になってるいい話は、CHARの経験の中からとか、CHARの身の回りの出来事とか、CHARの奥さんのこととか、そういったものがいろいろ織り混ぜてある、非常にパーソナルなもののいくつかで、それが基の部分にあるんだ。しかもそれらを、CHARはちゃんとした英語の響きで話すことができるからね。

小室:
そうですね、パッと聞いたらわかんないですよ、本当に。

CHAR:
わかんないすか? よく聞くとわかるってやつ?

小室:
よく聞くと「あ、CHARだ」ってなりますけど。

CHAR:
まあだから、まあ、確かにその、さっきの話に戻るけども、アメリカっていうそこの、例えば今、影響されてるね、ブルースとかから始まって、で、島国として、イギリスと日本が似てるっていったけども、一番大きな違いはやっぱりそこにあるよね。

小室:
ええ、ありますね、すごいね。

CHAR:
だからやっぱり、例えばポリス聴いて、最初にポリス聴いた時に「あ、レゲエに影響されてるな」って思うんだけど、レゲエはやんないじゃん。

小室:
うん、うんうん。

CHAR:
ものすごいインファレンス思いっきり持って、♪ン、ペ、カ、チ、ド、チ〜ってやるけども、やっぱりポリスサウンドじゃない。でもじゃあ、日本に入ってきた時は、同時にどうかっていったらば、みんなこうなって「レゲエやろうぜ」っつって、レゲエになっちゃうっていうこう。それはやっぱ、ひょっとしたらば、サウンドしか入ってこないからかもしれないね。

小室:
ああ、なるほどね。言葉がダイレクトじゃないですからね。

CHAR:
言葉が入ってくれば、だからその、さっきいったその、お洒落とかカッコいいっていう部分でしか、うーん? だからなんとかそこをサイケデリックスで超越したいなとは思ってるんだけども、野茂をみならって。

小室:
野茂ね。そうか、あの、じゃあ今の反対で、今度そういうこだわりの部分では、向こうのマーケットっていうのはどうですか? そのイングリッシュっていうか英語圏のマーケットに対しては。

CHAR:
そうだね、ものすごい全部を見たわけじゃないから、一概にはこうとは言えないけども、やっぱりヨーロッパは…(訳)日本以外のところでは、音楽ビジネスとしては厳しいよね?

JIM:
(訳)うん、時期的にも厳しいよ。

CHAR:
けっこうやっぱりさの、マーケットとしてはヨーロッパそんなもう、勢いはなくなってるし。

小室:
まあ、確かに日本の方が大きいですね。

CHAR:
ぜんぜん。そうなるとやっぱり、アメリカとかってことになると思うんだけど、アメリカやっぱり、うーん、意外と俺の見た目では、例えばハリウッドとかL.A、ロス・アンジェルスはやっぱり、日本より芸能界っぽいっていうか、まあ、bosh!!

小室:
too much businessなんですかね?

CHAR:
うーん? それはプロダクションにもよるけども、なんかやっぱり、人にもよるけど、やっぱり特にL.Aは、映画があって音楽があるって感じがするんだよね。

小室:
はいはい、うん。

CHAR:
だから、そのへんでなんか、まあ田舎だよね、L.Aは。で、ニューヨークはニューヨークでまた、別の国だと思うし。でもまあ。

小室:
そうやって考えてくと、日本のマーケットをとりあえずやるのが、それなりの面白さがあるんですかね?

CHAR:
俺なんかそういう意味じゃあ、もっともっとね、オーストラリアだとか、その、アジア・オセアニアっていうのかな? から、こう、近いとこから人に伝えていく方のが、まあ、俺らもニューヨークとかL.Aでやったりして、いろんなまあ、いい反応もあったんだけども、いざビジネスをやってこうとなると広いじゃん。

小室:
うん、周ってるだけでも確かに2〜3年かかりますね。

CHAR:
まあ、半分のバンドは解散するじゃない? ツアー行くだけで、実際。だから、いろんなやり方あると思うんだけども、まあそのへんは焦らず、もうそういう意味では、新しいスタートしてあの、挑戦していきたいなと思ってんだけども。

小室:
 まあでも、とりあえず日本のマーケットが面白いんでっていう。

CHAR:
まあ、一番近いところっていうか、見える場所のところに人に聴いてもらって、それで支持されないとやっぱり、三振は取れないんじゃないかと。

小室:
そうか、あの、こういうね、その、音楽のなんか一つ、なんか形にする時に、やっぱりある程度のグループ、集団というか、そのまあ、あんまりジャンル別けっていうのはしない方がいいかもしんなくても、例えばCHARさんのサイケデリックスがきた時に、それ風のものってありますよね? さっきのジャミロクワイの時も、まあそれなりにあの、そういう似たバンドがこう、出てきて、で、一つになったりすることありますよね? そういうこと考えた時に、こう、サイケデリックス出た場合に、どこらへん、若い人たち日本で考えるとね、どういう人たちがなんか、その、なんていうんですかね? 輪の中っていうか、イメージとしてなんですけどね。

CHAR:
そうだね。

小室:
バンドブームみたいのありましたよね? とりあえずは。ああいうのとはまた、ぜんぜん違いますよね。

CHAR:
とりあえずウチの子供は聴いてるよね、サイケデリックスの今度のアルバムは。あいつはもう、それこそイギリスもアメリカも、今の新しいものを全部CD持って聴いてるヤツが、今回の「STAND!」は、自分のCD帳に入れて。十いくつだっけかな? (訳)あいついくつだっけ?

JIM:
 ………?

CHAR:
15だけど、だからそのへんの、まだギター弾き始めたばっかりだけども、そいつも聴いて面白いと思ってるみたいだし、でもやっぱ、やるとなったらグリーンでいっちゃうんだけども。

小室:
うーん、グリーン。

CHAR:
だから、みんな日本の子供はちょっとわかんないけども、多分、日本の子も今、こういう60's、70'sのファッションが流行ってるってことは、そのへんのものを知りたいと思ってると思うのよ。で、それ掘り下げてくと出てくるものは、そういうヒッピームーブメントだったりっていう、基本的にはあんまり日本にない、なかったものっつうのかな? で、そん中で例えば、俺の最初の70年代の時に出したソロアルバムとかが、も、きっと出てきちゃうと思うのね、同じことやってっから。で、その延長線でサイケデリックスが90年代として見えてくれたらいいなって思うの。

小室:
うんうん、はいはいはい、わかりやすいです。

CHAR:
だから、うん、これからグレようとしてるヤツとか、もうグレてるヤツとかは、ちょっとサイケデリックス聴いちゃうと、あの、なんていうかな? よりグレられるし、なんかその、お洒落なグレかたっていうんですかね? 小室流に言いますと。が、できるんじゃないかな? アクティブだし、やっぱりスピード感があるし。

小室:
あの、そのスピード感覚はね、すごく合ってると思いますね。あの、今もあれですか? ムスタングなんですか?

CHAR:
も、使うし。

小室:
まあ、勝手なイメージでムスタングのあの音っていうのはね、その、剃刀っぽいっていうか、スピード感、感じるんですよね、僕なんか。だからすごく今のその、このへんの世代のスピード感は合ってると思いますね。ちょっとぜんぜん関係ないんですけど、ちょっと前なんか、まったく意味なく、なんかどっかの教授の話を聞く機会があって、で、まあその、その世代の子たちがね、あのまあ、動いてないと嫌な世代だとかいう話をしてて、電話でも携帯電話で。電話では、昔は座ってこうやってかけてたのが、まあ、こうやったりとかっていうようなことで、スピード感って話してたんですけど。なんかああいうCHARさんのギターのサウンドとかのスピード感っていうのはね、すごく合ってるような気がするんですよ。あのまあ、ナイフっぽいっていう言い方もあるかも、歯切れとか。

CHAR:
俺はね、だいたい60年代、70年代にね、そういうガキだったんだよね、今、思うと。その、まったく今と違って、no MTVだし、雑誌も2誌ぐらいしかなかったし、インフォメーションっていうのは、ほとんどなかった時代だったから、自分がアクティブにインフォメーション取りにいかないと、入ってこなかったのね。誰も伝えてくんない。だから、そのスピード感っちゅうの? もう「じゃあもう、ロンドン行くしかない」とか。

小室:
あ、もう発想のね、スピード感ありますよね。

CHAR:
うん。だから今みたいにこう、なんかこういうふうにやってって、どうのこうのしてって、ここになにかあるとかっていうんじゃなくて、そうやってこう、インフォメーションを、ノウハウを教えてくれるヤツがいなかったから、で、ましてロックはビジネスになってなくて、レコード出してる先輩っつうのも、本当に片手ぐらいしかなかったから。で、日本ではロックはダメだって言われてた時代だったから。でも、最初から要するに野球でいえば、大リーグ行くしかないっていう発想だったから、じゃあもう、高校の時からもう、そういう、まあ、渋谷だったけど、俺はヤサは。ピーピーピーピー、あっちいっちゃあ、こっち。道場破りみたいなのやって、「よし、とりあえず城南では一番だ」みたいな。と「城北に誰々ってさ、ウマいヤツがいる」とか。ところがすごいジャズギタリストがいて、いったらあれだった、なんだっけ? ジャズの。ほら、いるじゃない?

小室:
誰でしょう? 渡辺さんですか? 違います? 賀津美さんですよね?

CHAR:
そう!! 賀津美。うん。が、自由が丘のファイブスポット出てて、「お前より何級上だけど、おまえより速いぞ、手」とかいって、「チェックしに行く」とかいって。「俺はジャズじゃないから」みたいな。そういうことをやってて。だから、ものすごく似てるよね、今、街見るとね、なんか。子供と俺、ファッション一緒だし、まあ、あそこまでズボン下げないけど。

小室:
あ、下げてます?

CHAR:
下げまくってる。(訳)ウチの子ジーンズ下げてるよね。

JIM:
(訳)うん、そうだね。

小室:
あ、JIMなんかもその、十代のティーンエイジャーとか、自分のサイケデリックスの音楽、どう影響受けさせられるかとか、聞いて欲しいですね。

CHAR:
受けさせられるかねぇ。(訳)十代の、ティーンエイジャーに、もしサイケデリックスを聴かせたら、なにか考えたり、反応すると思うかい?

JIM:
(訳)うん、そうあって欲しいね。

CHAR:
(訳)いい反応だと思うかい?

JIM:
(訳)うん。そうかもしれないね。今のシーンではファンクのグルーヴが盛り上がってるし、僕たちには少しファンクの要素もあるじゃない? それは、僕らの中にまだ残っている、精神的な(いわゆるサイケのことか?)要素があるからだと思うんだ。だって、僕らがティーンエイジャーだった頃に、いつも一緒に聴いて育ってきた音楽シーンそのものが、リバイバルしてきているしね。ロックだって、僕たちが十代の頃にR&Bから派生していったんだからね。だから、今の子たちもそれをわかってて、R&Bを聴いてるんじゃないかな、と思うんだけど。

小室:
(訳)CHARさんと同じぐらい、僕とも話をしてもらいたいんだけど。ちょっと悔しい。

JIM:
(訳)はーい。

CHAR:
わかるって。そう、だから、ロックというよりも、R&Bだよね。

小室:
さすがに意志がもう、ぴったりですね。考え方が。

CHAR:
そうだね。だから、昨日もそんな話したんだけども、その、やっぱ自分で、なんかいいもの捜しに行くっていう態度。それが最近の子供もあるんじゃないかと思うのね。っていうのは、俺らの時と逆でtoo much informationだから。

小室:
はい。

CHAR:
もうどれも信じられない。

小室:
はい。

CHAR:
で、本当、友達から「小室がいってたから本当だよ」とか「CHARがいってたから本当だよ」とかって、そういうもう、ものすごいマイナーなインフォメーションっていうのかな? アンダーグラウンドのインフォメーション大事にしだしたんじゃないかなって思うの。

小室:
はい。

CHAR:
なんかテレビだとか、雑誌だとかで売ってんのは、ああ、もうわかってるよ、みたいな。でもそれは俺たちからインフォメーションなかったからいったんだけども、でも基本的にはその、ポジティブに出てくるのかな。今のがアグレッシブかもしれないよね。

小室:
ああ、そうですね。

CHAR:
なんかもっとこう、なんかファンキーでもなに聴いても。

小室:
あの、その、わかります。そこらへんは。だから、本当はあまりにもね、こう、今、教育もそうだったかもしんないですけど、グワーッときちゃってたから、ま、そこから抜け出そうとしてる人たちも多いと思いますね。あの、抜け出す時のなんか、テーマミュージック的には、CHARさんのギターの音はね、すごい合ってると思いますよ。

CHAR:
けっこう、脱会するには?

小室:
そういう映像がね、そういう映像があったとしたらね、ギャーンて音だけ一発あっても、すごくそこらへんイメージ、シンクロしますね。そこらへんはね。

CHAR:
だからまあ、子供っつっても、若いとかいっても、俺はそれは最終的には関係ないと思うのね。昔はものすごく世代に差があったと思うのね。ウチの親父なんて、ここの国の親父と戦ってたわけだし、当時の。(訳)親父の世代の話。

JIM:
(訳)はいはい。

CHAR:
あり得ないわけじゃん? こういう音楽を一緒にやるっていうのは。そこでもうすでにギャップがあって、そこでその、世代とかいう言葉が、ものすごいギャップがあるものとして捉えられたと思う。もう例えば俺と俺のガキとか、そういう部分では、俺と親父と較べたらば、無いに等しいと思うのね。だから、そういう意味では何十年か遅れて、今、日本もそういう時代になったっていうか、その一つの音楽を家族で楽しめるっていうかね。で、そこには絶対ロックは今までなかったんだけど、ウチの親父なんか「おまえ、チャー坊、そろそろちゃんとした仕事に就けよ」なんて、何年かぐらい前に、まだ言ってたから。「そ、そうだね」みたいな。でも、今はどっちかっていうと親が、ギタリストになりたいって言ったら、ギター買っちゃうぐらいの時だったけど、俺ん時はギターとシンナーやることってのは、同じレベルで、不良だって言われてた頃だから。

小室:
ああ、でもそう。イギリスのまあ、僕なんかの友達のエンジニアの子供とかもね、一緒にみんな仕事したりしてますしね。そこらへんはその、CHARさんのCDをね、入れてとかってのはわかりますね。だんだん、似てると思いますよ。

CHAR:
だから、なんかすごい大きな変わり目っていうのあるとすれば、そのくらいで、後はそんなまあ。音楽ってやっぱりエモーションの部分で入ってくるから、それがものすごいオーバー・プロデュースされていようが、アーティスティックであろうが、なんだろうが、やってるヤツがその気になってれば、伝わるんじゃないかな? ウマいとか、そりゃヘタよりウマい方がいいけども、だって、やったら誰でもウマくなるし。

小室:
うーん、いやぁ、そんなことはないと…。

CHAR:
っていうか、まあ、そうじゃない人もいますけど。

小室:
いると思います。

CHAR:
まあまあ、今度ゆっくり実名は。

小室:
やっぱりそこらへんのテクニックが、なんか、うーん、やっぱりさっきの職人の話になっちゃいますけど。うん、それが持ってるからね、なんか出来るっていうのは、最近もっとかんじますけどね、僕なんか。やっぱり簡単に出来ること多くなってきてるんで、「センスさえ良ければいいんだよ」とか「アイデアさえ良ければいいんだよ」っていうことで、やりだした人も多いですから。その時に、ここまではよかったんだけど、次にいく時に困っちゃうような人、多いと思うんですよ。

CHAR:
なるほどね。まあでも、誰でもそうなんじゃないかな? 俺もやっぱりデビューした時二十歳ぐらいの時は、天才だと思ったし、もう、湯水のように曲なんか出来てたし。なんか、ピアノ、パッて弾いても「あ、俺、ひょっとしたらスティービー・ワンダーの血が入ってるかもしれない」みたいな、思ってたんだけども、やっぱり枯渇するもんなんだな、みたいな。やっぱりアイデアって蓄積されてるものだから。だから、特に今、その、20代のアーティストとかってのは、俺はすごいと思うのは、そういった俺なんかが持ってたこだわりがないところで、ノー・コンプレックスで入ってきてるから、続けられるヤツがいたら、俺はすごいヤツになるとと思うのね。だから、とりあえず逆に言えば、ダメなヤツはダメだと思うんだよ。

小室:
そうだと思いますね。

CHAR:
うん。「早くやめて、田舎、帰んなさい」みたいのあるけれども。

小室:
すごくそれは感じますね。はっきりしてきたと思いますから。

CHAR:
だからそれは、はっきりした方がいいに決まってるし、それは日本だけじゃないって感じがするよね。

小室:
あの、ちょっと話、飛んじゃうんですけど、江戸屋っていうので、まあ、間接的には、いろんなもの見たりして、わかってるつもりなんですけど。今のこの、その今の流れの、話の流れでの江戸屋っていうのは、あの、やっぱなんか関連ありますか? そのポジションとかっていうのは?

CHAR:
うーん。まあ、なぜ江戸屋をその、5〜6年前に、まあ、要するにインディのレコード会社を作る気になったかっていう、きっかけっつうのは、レコード屋のオヤジと喧嘩してからなのね。

小室:
すごい早い、でも、やっぱ一つのね、そういうエポックメイキングっていうんですか? と、思いますけど。

CHAR:
いやぁ、今、作れっつっても、そんなエネルギーないね。あん時、本当にそりゃその、年齢的なその、幼稚さもあったから、「面倒臭いから、レコード会社作っちゃおうぜ」みたいな発想で、やっちゃったところもあるんだけど。でもまあ、それが正解かどうかっていうのは、今から決まることだと思うし、それはどうかわかんないんだけども。ただやっぱり、俺が、それこそまた、まあ、まえの話に戻るけど、60年代、70年代ってやっぱり、レーベルで買ってたわけよだよね。

小室:
ええ。

CHAR:
「やっぱアイランドのフリーはいい」とかなんか、ポール・ロジャースとか書いてあるけど。(訳)レコードはレーベルで買ってたよね?

JIM:
(訳)そうだね。

CHAR:
やっぱりその、インディ的発想で、「ここのレーベル買えばいい」とかっていうのあって、で、高校生の時に、よくみんなで集まって、喫茶店で「将来やっぱりよぉ、自分達のよぉ、レーベル持って、スタジオ持ってよぉ」っていう話はしてたのを、まあ、それを実現してるだけっつったら、子供の時とそれは変わんないっていうか、なんかぜんぜん将来の展望とかないんだけど。ただやっぱり、90年代のアーティストっていうのは、俺みたいなアーティストだけじゃないし思うし、いろんな、それこそソウルセットみたいなアーティストもいれば、もっと新しいアーティストも出てくるだろうし。だから、そういうところに、そんだけやっぱりアンテナを持って、広げてあげていくかがテーマだと思って。

小室:
さっきソウルセットの人たちは出てくれたんですけど、「CHARさん知らないよ。メンバーがどれがどれだか、わかってないんじゃないか」とかいってましたよ。

CHAR:
あいつら、なんにもわかってないな、シメときましょう、じゃあ。

小室:
いや、でも、ああいう人たちが江戸屋っていってたんで、びっくりしたんですけどね。まあ、ぜんぜんまた違うから、うん。で、ちよっとそれも聞いてみたかったんですけどね。

CHAR:
だってまあ、いわゆるお洒落じゃん。

小室:
そうですよね。うん、なるほどね。

CHAR:
だから別に、音楽にはこだわってないんだけどね、江戸屋は。基本的には、うん。たまたま俺がミュージシャンだったから、音楽から始まって、レコード会社から始まっちゃったけど、そうじゃなくて、いろんなまあ、俗にいう文化っていうところで、絵描くヤツ、写真撮るヤツ、あと映像作る人、本を書く人、なんでもいいからなにか、そういう人たちがこう、集まって通っていけるような場所、その先はメジャーってもんがあるから。だから、俺はこれ以上、大きくしたくないし。その人が通ってメジャーに出てくためのなんか、まあ、悪い言葉だと思うけど、ふるいになってくれてもいいし、もしくは踏み台にしてくれてもいいし。

小室:
ああ、もう、そういうしっかりしたコンセプトがあるんですね。

CHAR:
うん。だから、要するに、なんでもありの場所にしたいの。「他のとこいったら、この本ことわられちゃったんですよ」と、「じゃあ江戸屋に来なさい」みたいな。

小室:
 ああ、なるほど。

CHAR:
「ウチはピー、入りませんよ」みたいな。「墨、入りませんから」みたいな。

小室:
ああ、そういうことですね。

CHAR:
でもまあ、なかなかそうはいかないんだよね。もうちょっと強い弁護士を会社に入れないとダメかなと思って。

小室:
なるほどね。じゃあ、あの、サイケデリックス一応、あの、やっぱりCHARさんプロデュースっていうか、プロデュースワークもあると思うんで、サイケデリックスもやっぱ、プロデュースてすよね? っていうことでの、今後のね、なんかもしも、まあ、ミュージシャン側っていうか、側じゃない方でのサイケデリックスのプロモートっていうか、こうやっていけばいいかな、というのは?

CHAR:
そうだね。あの、さっきいったように、やっぱり歌ってんの英語だし、そっち側のマーケットっていうのかな? っていうもんを、具体的に考えていった時に、どういう、逆にいうと編成、もしくは、なんだな? 方法論? みたいなものをちょっと、真剣に考えようかなっていうふうに思ってるけどね。っていうか、やっと二人になれたんで、二人になれたっちゃあ、危ないね。

小室:
危ない。十年ぐらいで二人になって。

CHAR:
だから…(訳)この先、これからどうなると思う?

JIM:
(訳)どうだろう? わかんないや。何があるかわかんないからね。でもまあ、やるしかないよね。

CHAR:
(訳)そうだね。

JIM:
(訳)このまま続けるか、今、やめるかだろうね。

CHAR:
今やめるか続けるか、どっちかにしましょうって。さすがに気が短いですね、ドラマーは。まあ、だから、そういう意味では、なるようになるっていう部分もあるけども、ある種やっぱりそういう意味では、その、アメリカならアメリカ、日本以外の場所のマーケットっつうのは、やっぱそれなりに、少しはやっぱ方法論だとかってものを、考えたほうがいいと思うんで、まったく同じ作法では、無礼になることもあると思うんで、なにかまず、日本でっていうのかな? エネルギーつけて、それでこう、そうだな、まあ、やっぱり多くの人に聞いてもらいたいっていうのが第一なんで。

小室:
あの、日本の中ではね、マーケットっていうのは、そういうマーケットがなんか、今あると思うんですよ。あの、洋楽ファンっていうのとは、ちょっとまた違って、また、結局、最初に戻っちゃうんですけど、「洒落た感じだよね」っていうので、くくりで聴く人が、山ほどいると思うんで、そういうとこでポコッて入っちゃっても、なんか、入れちゃうようなものになってるような気がすんですよね。だから、なんか見えるんですけどね、そこらへんてすごい、僕なりに。

CHAR:
だからそう、そのへんはだから、今までって、日本のマーケットっていうと、なんかどうしてもそっち側に合わせて物を作るっていう。特に俺がテレビの、まあ、60、70年代の時代はね。「こうじゃなきゃいけない」ってことがものすごく多くあった。でも今は、こっち側で決められるし、もしくは、その人たちと相談して「この方が面白いじゃんか」っていえる時代がきてるんで、確かに本当、おっしゃる通りに、今までとは想像以上にその、マーケットっつったらあれだけども、その耳を傾けてくれる人っていうのかな? 無条件にっていうの? 多くなってると思うんで、その、それをどうプロデュースするかっていうのは、また別なんだけど、俺たちはやり続けることでしか、そのへんは刺激していけないと思うし。で、まあ、やってりゃあ、大体ロックなんつうのは、大体そうだな、ティーンエイジャーになると一回通るとこじゃん。

小室:
はい、そうですね。

CHAR:
急にくるけどね。自分の子供見てると面白いけども。

小室:
ああ、うん。

CHAR:
thirteenていうteenになった瞬間に、まあ、急にわかんないけど、毛もはえたりっていうのかな。ホルモンのバランスでロックが欲しくなるのかどうかわかんないけど。それまでわかんないけど、いわゆる邦楽っていうんですか? CD買ってたのが、ピタッて止まる感じ。すごいなと思って。

小室:
すごい、いいサンプリングが近くにいますね、それはね。

CHAR:
そうなんだ。だから、俺はものすごいうれしいよね。俺がだから、自分ではレコード屋いって買わないようなレコードってあるじゃない? インフォメーション不足で。それ、一日中、鳴ってっから。うるさいとも言えないし。

小室:
うーん? それ、うるさいと思ったらダメじゃないですか?

CHAR:
でも、うるさい時うるさいよ。パンテラとか一日中かけられてみ?

小室:
親父になっちゃったと思うんですか?

CHAR:
そうそうそう。でもね、やっぱりいいサンプルだと思うし、逆に将来、危ないライバルだなって思うっていうか。

小室:
あ、それはカッコいいですね、そういう感じはね。

CHAR:
「おまえ、ベース弾けよ」とか言われたらどうしよう?

小室:
「ギターは俺だから」とか言われて?

CHAR:
「おまえ、ギターいいけど」みたいな。

小室:
なるほどね。

CHAR:
(訳)JIM、子供に「おまえべース弾いたほうがいいよ」って言われたらどうしよう?

JIM:
(訳)いいんじゃない?

CHAR:
(訳)いい?

JIM:
(訳)僕の子供もドラマーなんだよ。

CHAR:
(訳)まだまだ若い(未熟な)ドラマー?

JIM:
(訳)うん。

小室:
まあ、あの、こういうので僕、海外の、海外のっていうことないんですけど、ミュージシャンの方は今回、初めてなんでね。で、よくありがちですけど、なんかメッセージとか欲しいですよね。

CHAR:
(訳)JIMが初めての“外人”のゲストなんだって。

小室:
(訳)初めての海外のミュージシャンのゲストだし、JIMのことを知りたがってる、日本のファンに向けての、メッセージをお願いしたいんだけど。

CHAR:
(訳)大きな鼻とか?

JIM:
(訳)大きな鼻もそうだけどね。

CHAR:
(訳)日本のファンのために、なにか簡単でいいから、メッセージを頼むよ。

JIM:
(訳)ああ、じゃあ、これでいい? 「Hollo. Thank you. ドウモアリガトウ。forever」。

小室:
野球選手みたいですねぇ。

JIM:
(訳)僕らの演奏を見にきてね。

CHAR:
うん、そうだね。

JIM:
(訳)僕に会いにきてよ。

小室:
ありがとう。

CHAR:
「ライヴで会いたい」と言ってます。

小室:
今後は、予定、近くにありますか? これ8月9日なんですけど。

CHAR:
うーん? と、よく俺、わかんないんだけど、ありますよ。

小室:
ありますか。

CHAR:
ええ。あの、あると思います。

小室:
じゃあ、まあ、出るということですね。

CHAR:
はい。

小室:
じゃあ、ちょっと、長くなっちゃったんですけども。

CHAR:
いや、ちょっとすいません。長くしちゃって。

小室:
ありがとうございました。本当に。ありがとうございました。

CHAR:
どうもありがとうございました。

小室:
どうもありがとう。ありがとう。

JIM:
 Thank You、ドウモ。

小室:
うん。

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