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- 中居:
- どうもこんばんは、中居正広です。だいぶ暖かくなってきまして、見てる人のなかでね、別れのシーズンでもありますから、いろんな人と別れた人いらっしゃると思いますけど。ね、別れますとやっぱり、お別れするということは、非常に淋しいことでもあります。淋しい夜にはですね、ぴったりのこの番組、ぜひとも見ていただきたいと思います。
さあ、それではですね、今週のゲストの方を御紹介いたしましょう。テレビもですね、今までいろんなアーティストの方に来ていただいてるんですが、この番組は出やすいのでしょうか? ちょっと僕のほうでも定かではないんですけども、テレビに出られない方が、非常にこの番組にですね、出て下さる。今回もですね、本当にテレビにほとんどと言っていいほど出られない方ですね。何年振りになるんでしょうか? それとも何十年振りになるんでしょうかね? 御紹介しましょう。仲井戸麗市さんです。- 仲井戸:
- どうも。はじめまして。
- 中居:
- はじめまして。こんばんは。
- 仲井戸:
- こんばんは。よろしく。
- 中居:
- あの、以前ですね、小室哲哉さんがこの番組をやってた時に、清志郎さんがですね、来ていただいて。その時にですね、ちょうど仲井戸さんの話になりまして。
- 仲井戸:
- あら、嫌ですね。
- 中居:
- その時に清志郎さんがそんなに多くは。
- 仲井戸:
- 喋んなかった?
- 中居:
- ええ、喋らなかったんですよ。その時に「相方の仲井戸ってよく喋る奴がいる」って。
- 仲井戸:
- 最低ですね、あいつは。
- 中居:
- そんなことおっしゃってまして。そしたら小室さんが「仲井戸さんが出ていただけたらいいのにね」っていう話をしたら、「いや、でも、あいつはテレビは嫌いだから」って。「テレビが嫌いなんだよ」って言うんですよ。喋るのは好きだけども、テレビは嫌い?
- 仲井戸:
- いや、苦手っていうかね。嫌いじゃないんだけど。
- 中居:
- 苦手意識があるんですか?
- 仲井戸:
- いや、ドキドキしてる。
- 中居:
- 今ですか?
- 仲井戸:
- うん。ドキドキしてる。
- 中居:
- だって、ライヴなりね、昨年の夏、野音でやったじゃないですか。ああいう時の仲井戸さんの姿とかね、VTR等で見させていただきましたが。ああいうところでね、ガーッてね、「俺が仲井戸!!」じゃないですけど、自信を持った姿で立っている仲井戸さんから見れば、そういうふうに見ると今、緊張するっていうのもあんまりちょっとピンとこないんですけどもね。
- 仲井戸:
- いやね、どうしていいかわかんないんだよ。
- 中居:
- そんなもんですか?
- 仲井戸:
- いちおうミニギター持ってきてるから、手の位置はとりあえず決まるじゃない。これがないとさ、どうしていいかわかんない。いちおうこれで手は決まってんだけど、ちょっとまだ中は座ってないな。
- 中居:
- そうですか? いや、本当にもうリラックスしていただいて。あの、テレビはちなみに何年振りですか?
- 仲井戸:
- それこそだから清志郎たちとRCで、ここの放送局だと思うけど、出させてもらってからやっぱり10年ぐらい経ってるんじゃないかな?
- 中居:
- え? なんでそんなに? やっぱり苦手意識が強いがために、やっぱりずっと敬遠してきたんですか?
- 仲井戸:
- うん。それでほら、バンドの時はさ、清志郎も横にいるしさ、なんか4、5人で、みんなでワイワイやってる感じもあるじゃん。今、一人になったしね。あと、昔にね、もっと20年ぐらい前に出させてもらった時、自分がわけわかんなくて悪態ついたことがあんだよ。そういう自分も、もう嫌じゃない。そういうなんか独特の思いが残っちゃって。すごくだから、いろんな人に迷惑かけたの、昔。
- 中居:
- どんなことしちゃったんですか?
- 仲井戸:
- うん、なんか生番組だったのね。この放送局なんだけど。それで愛川欽也さんかなんかが司会のやつで。で、まあ、歌を一曲歌ったんだけど、その歌が自分であんまり歌いたくなかったのね。その歌ばっかその頃は歌わされてて、ちょっと世の中で評判で。で、嫌だったの。
- 中居:
- まあ、あるテレビ局行ってもね、回りのスタッフ、番組がそれを要求しますよ、やっぱりね。
- 仲井戸:
- そう。で、俺、二十歳ちょっと過ぎたぐらいだから、自分でそういうコントロールが出来なくて。「また、あれを歌わされるんだ」とかさ、パニクっちゃって。
- 中居:
- 自分が自ら歌うんじゃなくて、周りに歌わされてるっていう。
- 仲井戸:
- うん、なんかね、思いがね。それなら行かなきゃよかったんだけど、まあ、スタッフが呼びに来たし。行って本番で「こんなとこじゃ歌えねぇ!!」とか、それふうなことやっちゃったの。
- 中居:
- へぇー。
- 仲井戸:
- で、周りはもうパァーッてなっちゃってさ、俺はもう半ベソかきながらフジテレビの廊下をさ、走って。「家に帰ろう」と思って帰ったの。そういうの2、3回やってんだよ。
- 中居:
- 2、3回あるんですか?
- 仲井戸:
- だから、ちょっと自分でそういうのもう嫌だしさ、とかさ。
- 中居:
- じゃあ、何ででしょうかね? やっぱりあの、テレビ、まあ音楽を作ってくうえで、やっぱりCDを出す。昔で言うとレコード出す。レコードを出すと、やっぱりいろんな人に聞いていただきたい。
- 仲井戸:
- そうだね。
- 中居:
- やっぱり、売れればやっぱり嬉しいじゃないですか。
- 仲井戸:
- それは間違いないよね。
- 中居:
- チャートが上になったら、もちろん正直な話、やっぱり嬉しいじゃないですか。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- そうするためには、やっぱりいろいろ手段がありますよね。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- 例えばCMスポット打つなり、雑誌の何かを飾る。その一つでもあるテレビの出演ていうものに対して、やっぱり。
- 仲井戸:
- だからね、今はね、まあいい歳さらして来たし、でも、ものすごい葛藤があるの、でも。
- 中居:
- はい。
- 仲井戸:
- 「自分がそこに、そういう場所に自分の場所として選んでいいのかな?」とかさ。「でも行けばいいじゃない」とかさ。「でも、おまえは行く必要ないんじゃないか? 自分の場所であれば」とかさ。でも、今、中居君が言ったように、「一人でも多くの人に聴いてもらいたいから、やったほうがいいんじゃないか?」とかさ。それは今、葛藤があるんだけど。でも、今日はいろんな人に「中居君ていい青年だし」とかさ、そういうの聞いてさ、「じゃあ、行ってみようかな」って勇気を持って来るんだけど、当時っていうのはそれさえも思えなくて。
- 中居:
- 余裕が無かったんですね。
- 仲井戸:
- もう、わけわかんないから。私生活も自分で一人暮し始めてたりしてさ。つまり、自分がどういう社会に立ってるかとか、わけわかんないわけ。それで、いきなりたくさんの人が前にいてさ、しかも周り大人の人ばっかりじゃない。「はい、君、歌って」とかやられちゃうと、パァーンとかなっちゃってたんじゃないかなと思う。だから、コントロールできなくてね。「これを一曲歌えば、きっと一人でも多くの人が自分の曲を聴いてくれる」なんていうことは、まさかその当時は思えてないから。
- 中居:
- そうですよね。そういう余裕ですよね。だから、物事を冷静に考えたら、「自分は好きな音楽を、ただ歌いたい時に歌いたい」っていう気持ちだけだったんでしょうね。
- 仲井戸:
- もしかしたらね。それできっと成り立ってた自分が、ある時そういう仕組の中にいてね、そこの自分がわかんなかったんだね、わけが。今もあんまりわかんないんだけど。まあ、少しは前よりわかるかもしれないけど。
- 中居:
- でも、それは仲井戸さんの音楽に対するプライドの一つだったかもしれませんよね。
- 仲井戸:
- そうかな。自分のなかでのね。だから、一つは「絶対、大人の言うこと聞くもんか」とかさ、そういう思いもあったし。
- 中居:
- 「大人に左右されたくない」って、そういう時期ありますよね。
- 仲井戸:
- あるよね。それとまあ、同じなのかもしれないけど、ある種、極端な世界でもあるじゃない。まあ、同じだと思うんだけど、どの世界も。と、俺は思ってたから。「絶対こいつらに巻かれない」とかさ、自分のガチガチの思いがそういう極限のとこで爆発しちゃったんじゃないかな。と、思うんだけど。行かなきゃ良かったんだけどね、きっと。その打ち合わせの段階で「行かない」って言ってさ。そういうことも出来なかった。
- 中居:
- もう整理がつかなかったんでしょうね。気持ちの整理が。
- 仲井戸:
- だと思うんだけど。
- 中居:
- まあそれから10年ないし20年経った今っていうのは、そのテレビだけに対してのことじゃないですけども、その物事に対する姿勢みたいなものって、やっぱり少しずつ変わってきました?
- 仲井戸:
- うん。なんかね、恥ずかしいけど、こんな歳になって。40過ぎてぐらいからね、俺、だいたい篭っちゃうタイプだったんだけど、なんか外に出て行くことの素敵さとかね。太陽とかさ、青空とかさ、人に合うことも含めて、ずいぶんもったいないことしてたな、みたいな思いはやっと出てきたのかな。すごくだから、外に出よう出ようと努力してる。
- 中居:
- 今までは、なんで内に篭るじゃないですけど、それは曲を作るためにだったり作品を作るために?
- 仲井戸:
- うん。それは俺の性格がそうみたい。家でね、自分の好きなブルースとかソウルのレコード聴いてて。若い頃から俺、酒飲むんだけど、一人で飲むタイプなの、レコード聴いて。それが本当に好きなの。べつにそこはひねくれてるわけじゃなくて、自分ちで自分の好きなレコードかけて、彼女がいれば最高だし。そういうタイプだったのね。だから、あんまり誘われても行かないし。
- 中居:
- それからですね、何がきっかけだったんでしょうかね? 「ちょっと外に出てみようかな」って思った。
- 仲井戸:
- うん。一つはね、年齢はあると思う、圧倒的に。自分が想像もしなかった年齢に自分が今いる、とかさ。バンドやり始めた頃なんて、まさか40までギター弾いてるなんて思いもよらないことだったの。
- 中居:
- 「ずっとやっていたいな」って、そういう気持ちもその当時は?
- 仲井戸:
- そういう思いも何もなかった。もう毎日ギター弾けてりゃいい、みたいなことだからさ。
- 中居:
- その時の自分が好きなことやってて。
- 仲井戸:
- うん。極端に言えばね。で、30っていうのも想像できなかったんだけど、30はとっくに越してさ。で、40なんて遥かに想像できない年齢も軽く越しちゃってさ。なんかそういう年齢的なこともあって。まあ、「ロックは関係ねぇぜ!」って言ってるほうがカッコいいからそう言いたいけど、間違いなく関係あると思うんでさ。なんかだから、年齢っていうことは一つ大きいと思うけど。あの、やれることたくさんやっといたほうがいいんじゃないかなっていう思いがすごく。
- 中居:
- それは何のためにですかね? それを通じて音楽に結果出せればいいんじゃないかって?
- 仲井戸:
- うん、きっと。俺はたまたま仕事が音楽になったけど、だけどもっと言えば普通の生活もそうかな。なんかね、今までこうしてきたものを、旅もなるべく行けたら行ったらいいんじゃないかとかさ。それはあの、なにもガチガチに思うんじゃなくて、無邪気にそういう楽しみとして思えるようになったっていうか、すごくそう思う。
- 中居:
- へぇー。いや、でも、それっていうのは僕あの、仲井戸さんの20年前の云々かんぬんっていうのは、僕、実際に記憶にも、もちろん見てなかったんですけども。でもあの、仲井戸さんのお話を聞いて、今回、アルバムが出ましたよね、チャボバンドとしまして。その音楽がいろんなロックなんですけど、いろんなジャンルの歌が。
- 仲井戸:
- あ、聴いてくれたんだ。
- 中居:
- ええ、聴かせていただきましたけど、いろんなジャンルの歌を作る人なんだな、歌う人なんだなっていう感じがしたんですよ。でも、周りの人から言えば、これはちょっと衝撃的な感じがする。チャボさんをずっと見てきた人は、すごい衝撃的で、今までロックずっとやってきた流れで考えれば、あのアルバムっていうのは、何かしら心境の変化がね、すごいあったんじゃないかって疑問に思ってる方がね、何人かいらっしゃったんですよ。いろんなの入ってますよね。
- 仲井戸:
- そうだね。ボサノバが入ってたりね。
- 中居:
- ええ、レゲエも。
- 仲井戸:
- 科白があったり、レゲエもあってね。
- 中居:
- ええ。なんか僕が踊れるような曲もありましたし。今までやってきた音楽と違ったテイストで今回作られたっていうのは?
- 仲井戸:
- うん。あのね、まあ、自分ではそんなに大上段に構えてないんだけど。まあ、俺は基本的にはビートルズから始まって、まあストーンズとかあって、彼らにブルースとかR&B教わって、それが一番好きなんだけど、なんかボサノバみたいのも普通に好きでさ。なんかそういう、今、自然に出た感じがあのアルバムのいろんな曲調だったんだけど。ブルース好きだからね、曲調が全部ブルースで12曲入るとかね、少なくともまだそこまで行けなくて。いずれそういうのもやってみたいんだけど、まだいろんなとこに興味があったりして、「ボサノバもいいな」とかね。で、それを自分なりに今やれたらいいかなっていう発想なんだけども。
- 中居:
- 昔からいろんなジャンルの曲っていうのは好きだったんですか?
- 仲井戸:
- うん。なんかね、聴くのはすごく好き。で、自分で出来るのは自分でもわかるわけじゃない。「聴くには聴くけど、これは俺にはできねぇな」とか。「そんなラップみたいのできねぇしな」とかさ。そういう自分なりの、いろんな学んだやつで自分の音楽が作りたいんじゃないかなっていう発想なんだけど。
- 中居:
- 今回のって、初めて自分で今まで聴いてきたいろんなのを自分でやるようになったっていうのはね、どういう心境の変化なのかな? と思って。それはやっぱり年齢から?
- 仲井戸:
- だから、まあその年齢のことずいぶん言ってるけど、年齢だけじゃなく、やっぱり音楽やってる時ってものすごい無邪気なとこもあるからね。初めて中学生の時ギター買った時の気持ちって残ってるじゃない。そういうとこもきっとあると思うんだけど。「あんな曲やりてえや」とか「あいつのああいう曲いいな。俺もああいう曲作ろう」とかさ。
- 中居:
- ありますよね。
- 仲井戸:
- そういうのあるよね。ダンスのウマい人を見たら「ああいうふうに踊りたいな」とか。
- 中居:
- ありますよね、ジャンルは違ってもそういうの。なるほどね。
- 仲井戸:
- そんな発想だと思うんだけど。
- 中居:
- で、あの、去年の野音でやった夏のライヴ、いろんな音楽評論家が、いろんな批評してまして。すごくね、あの、なんて言うんだろう? 何かすごく、いわゆる「これが本当のロックというものなんじゃないか」みたいなことを、一人じゃなくて何人もの音楽評論家の方が言っててね。「すごく心が休まる」みたいなことも書いてあったんですよ。「ああ、なるほどね、そういう表現の仕方もあるんだ」って。まあ、ロックって言いますと、ダンダンダンダンみたいなイメージがすごい強いんでね。だからチャボさんなんかがやっている音楽っていうのは、ちょっと和やかにもなれる魅力をもしかして秘めているんじゃないかなぁ、っていうのがあるんですよね。
- 仲井戸:
- なんかね、自分でも人のライヴ見に行って、いろんな流れとかあってさ、ガンガンっていうのも好きだけど、ちょっと緩い感じのとかね、そういうの自分でも好きだから、自分のステージングっていうのが自然にそうなるんだけと思うんだけれど。多分ね。
- 中居:
- いろんなのやってるっていうと、何が好きですか?
- 仲井戸:
- いちばん好きなのはね、やっぱりね、ブルースとかね、ブラックミュージックが好きなの、すごく。
- 中居:
- ブラックミュージック好き。
- 仲井戸:
- うん、すごく好き。あの、R&Bとかさ、ああいうのやっぱりすごい好きなの。最初はビートルズなんだけど。
- 中居:
- ちょっとかけ離れますよね。
- 仲井戸:
- 15、6の時ビートルズ聴いた時、もうびっくりしちゃってさ。ストーンズとか聴くとさ、彼らが子供の頃は、いろんな黒人の人聴いたりとかさ。それで俺も聴いてみようとかって思って、19ぐらいから。その頃はね、本当にブルースとかたくさん好きで。それでずっときてるんだけど、まあ、ボサノバも聴いたりとか。今はね、いつかブルース、自分の作りたいなって思いますよ。
- 中居:
- そうですよね。あれだけね、今回のアルバムもそうですけども、ブルースだけっていうわけにはね。
- 仲井戸:
- うん。まだそこまで、到底まだいけないし。「ブルースって何だよ?」って言われて、わかんないしね。探してんだけど、一生懸命。
- 中居:
- 聴くのは聴くけど自分でやる勇気っていうかね。
- 仲井戸:
- ね、難しいしさ。自分なりのが出来ればいいと思うんだけど。
- 中居:
- でも、音楽に目覚めた15、6から、いちばん最初は15、6?
- 仲井戸:
- 14か5ぐらいだよね、中2か中3。
- 中居:
- それからもう20年30年あまり年月が経っているわけじゃないですか。それでアマチュアとして、プロとして、バンドを組んで、それからまた違うバンドを組んで、それからソロになって。やっぱりバンドでやっている時の音楽に対する姿勢と、一人の時にやってる音楽の姿勢って、やっぱりちょっと変わるんじゃないかなぁと思うんですけど、いかがですか?
- 仲井戸:
- 違うよね。
- 中居:
- ぜんぜん違います?
- 仲井戸:
- 違うね。多分、一人の時と、みんなでやってる時、何かの違いきっと感じられてると思うんだけど。簡単に言うと自由っていうのをキーワードだとするとさ、やっぱり4人5人のバンドっていうのは、自由が少なくなるっていうか。4分の1とかさ。その代わり助けてもらうことがあるよね。自分が4分の1だったら、横の清志郎が助けてくれるとかさ。その代わり自由は4分の1。で、一人は圧倒的に自由だっていう実感持ったのね。それを目指したいから、バンド一回止めて一人になりたかっただけど。不安がすごかったんだけど、すごい自由だった、やっぱり。今。
- 中居:
- その自由っていうのは、仲井戸さんにとってやっぱり一番メリットでした?
- 仲井戸:
- ものすごいメリットだった。もう決定的にものすごい探してたものだったから。
- 中居:
- へぇー。
- 仲井戸:
- それはバンドにはいろいろな時期があるよね。すごくいいふうに回ってる時もあれば、不自由さを感じる時もあったりするわけじゃん。で、やっぱりバンドってうのは、俺はすごい死ぬほど好きだけど、一回、一人になんないとダメなのかなって思ったのね。
- 中居:
- それはバンドでいる時っていうのは、やっぱり自分の好きな音楽を。
- 仲井戸:
- それぞれ4人5人、みんなあるわけじゃない。ね。
- 中居:
- 趣味も趣向もやっぱり違うでしょうし。
- 仲井戸:
- で、私生活も、プライベートも彼女が出来たりとかさ。だんだんね。そうするとやっぱり自由度が、バンドとしての自由度が薄れて。で、やっぱり極限になった時にちょっと難しいかなと思って、俺は一人になりたくて。あとほら、落合がさ、巨人にいれば成り立つんだけど、彼が巨人から追い出された時に、路頭に迷うんじゃ情けないと思うんだけど、彼は一匹狼でやるわけじゃない。そういう意味合いもあったかもしれないんだけど。
- 中居:
- わかります、わかります。
- 仲井戸:
- バンドっていう看板があれば俺は成り立つんだけど、一人で社会にポンッて出された時に、「どうしたらいいのかな?」ってなっちゃったらダセぇかな、とかさ。そういう思いは。
- 中居:
- でも、ある意味では、先ほども言いましたけど、清志郎さんがいた時は、頼ることが出来ますよね。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- で、喜びをみんなで分かち合える。で、悔しさもみんなで分かち合える。でも、一人になりますと、責任が全部、自分にくるわけですよね。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- いろんな人からの評判も。
- 仲井戸:
- 全部だよね。
- 中居:
- 全部、自分にくる。その時のプレッシャーじゃないですが、なんか重荷になるようなことってありませんでした?
- 仲井戸:
- 死ぬほどあった。ある。まあ、一人になって全国回らせてもらったんだけど、40本ぐらいかな? やっぱり地獄見た日のが多かったしさ。でも、ステージ出て、ステージのあの瞬間のいい時は知ってるわけじゃない。それをやっぱりたくさん味わいたいから出ていったと思うんだけど。もう、それは毎日、ものすごい葛藤だった。日記つけてたんだ、俺。そのツアーの時。一人で回ってる時。「なんで俺こんなことやってんのかな?」とかさ「ちくしょー!!」とかさ。「なんで今日、あんな奴と会ったんだ」とかね。「なんで俺、ステージで客にあんなおべんちゃら使うんだ」とかさ。いちいちそんなこと書いたりしてさ、もう毎日そういう葛藤あった。
- 中居:
- その時に「ああ、やっぱりバンドのほうが良かったな。一人になったのは間違いだったのか?」って?
- 仲井戸:
- うん、揺れた。「ああ、横にメンバーいればな」とかね。最初のね、初めて一人のツアーの名古屋のステージだったんだけど、本番でさ、リハまでは良かったんだけど、本番で一人だけでポーンて音出した時さ、金縛りになっちゃってさ。もう半分なかではさ、泣きベソかいてんの。
- 中居:
- え? なんでです?
- 仲井戸:
- いや、「やんなきゃよかった」と思って。「失敗したぁ!! こんなことするんじゃなかった!!」って思って。その何秒間のあいだの葛藤なんだけどさ、もう客はいるわけじゃない。「やめりゃあよかった!!」って。
- 中居:
- 時間はどんどん過ぎていきますよね。
- 仲井戸:
- そういうふうに、なんか葛藤あって。
- 中居:
- リハーサルはでもちゃんと?
- 仲井戸:
- うん、リハはね。「よし! 今日から全国回るぞ!」みたいなさ、思ったんだけど、本番出てってさ、ポーンてやったら「うわぁぁ!!」ってなっちゃって。でも、つぶれるわけにいかないわけじゃない。そういう葛藤が日々あった。だんだん慣れたけどね、怖かった。
- 中居:
- それはでもね、その時、自分がね、葛藤がある。まあ、簡単に言えば悩みに陥る時、バンドがいれば「俺こうなんだけれどもさ」って言えますけども。一人だったら自分で乗り越えて行かないと。
- 仲井戸:
- そうだよね。酒飲んでもしょうがないしさ。まあ、少しは飲むけど、そういうことで解決できることでもないしね。カラオケを歌いに行くわけじゃないしさ。
- 中居:
- そうですよね。そういうのは気持ちの発散とはまた違いますからね。
- 仲井戸:
- 違うよね、なんかね。
- 中居:
- それじゃ逃げれないですもんね。
- 仲井戸:
- 逃げれないよね。自分と向き合うしかないみたいな。
- 中居:
- それでもやっぱり、まあ場数じゃないですけども、ずっとやってくうちにやっぱり自分で。
- 仲井戸:
- そうだね。
- 中居:
- 慣れなんですかね?
- 仲井戸:
- 一つはあると思う。自分で何か対処の仕方を自分なりにつかんでいくわけじゃん。「あ、こういう時はお客さんこういう顔してても、俺に敵意があるわけじゃないんだ」とかさ。俺、そういうの感じるとキレるほうだから、「もっとそういうのは違う感じで理解すればいいんだ」とかさ。やっぱり一つは場を踏むことは大きいと思うけどね。
- 中居:
- へぇー。そういうのってあるんだ。
- 仲井戸:
- うん、あるね。いや、中居君もきっと日々あると思うけどさ。
- 中居:
- やっぱり一人になった時の不安ていうのはね、どこにも寄りかかれない不安ていうのが。
- 仲井戸:
- 自由もあるよね、でも。
- 中居:
- 自由ありますよね。
- 仲井戸:
- あるよね。
- 中居:
- で、そこを乗り越えた時の自分ていうのは、すごい喜びが。
- 仲井戸:
- あるよね。
- 中居:
- バンド以上に、グループ以上にもしかしたらあるかもしれませんよね。
- 仲井戸:
- 「ちょっと俺、あそこやれたのかな」とかね。
- 中居:
- ね。その充実感というか、満足感の高さっていうのがね、濃厚なものになるんじゃないかなっていうのありますよね。でも、さきほどあの、「二十歳の時に30になっても40になってもギターをやってるとは思わなかった」っておっしゃってましたけど、今、現に今でもやってらっしゃいますし。多分、今後もやっぱりずっと。
- 仲井戸:
- うん。もう、やってると思う。くたばるまで多分。
- 中居:
- ずっとやるでしょうね。
- 仲井戸:
- もう他に出来ないし。
- 中居:
- やっぱり作品を作るのが好きなんですかね? 演奏するのが好きなんですかね?
- 仲井戸:
- そうね、その好き嫌いでいうニュアンス、何とも言えないんだけど。つまり、自分がさ、たまたま俺、自分で曲書くタイプなんだけど、なんか書かざるを得ない。それは自分で選んだし、嫌なら辞めりゃあいいんだけど、ある種の宿命? 成り立たないんだよね、歌にしないと。例えば映画見ようがさ、近所のオバさんと道で会おうが、中居君と今日会おうが、そういうことを何か歌に昇華させないと自分が成り立たないっていうか、それは嫌なの、ある意味で。なんか逃れたいんだけど、じゃあ辞めればいいわけじゃない。でも、辞めない、辞められない自分ももうわかっちゃったりとか。そりゃあ、いい曲出来た時は嬉しいし。でも、一回離れたいとかって思うんだけどさ。プロ野球ニュース見ててもさ、「今日の落合の心境は、歌にすると……」みたいなこと、やっちゃうとこがあるんだよね。それは決して好きではない。
- 中居:
- 好きではない?
- 仲井戸:
- 好きではないと思う。ただ、もうやらざるを得ない自分もわかってるし。もう、そっから逃れられないっていうかさ。それもわかってる。
- 中居:
- 音楽と自分を引き離すわけにはいかないんでしょうね。
- 仲井戸:
- うん。それはスカして言ってんじゃなくて、もう、なんかそういう「自分は選んだんだな」っていう。この頃は自分でそう思ってる。
- 中居:
- ずっとやっていくんでしょうね。
- 仲井戸:
- うん。多分もうやっていくんだと思う。で、今、俺、「バンドマンていうのは、仕事なんだ」っていうのをちゃんと言いたいっていうかさ。バンドマンと言いながらお巡りに捕まると「自由業です」言っちゃうみたいなさ、悔しいのあったりとか。バンドマンていう仕事ってことを、なんかすごく言いたくて。
- 中居:
- いや、でもね、ずっと続けることっていうのは、あの、辞めることはすごく簡単だと思いますし。続けることって、もちろん好きだからこそ続けるんでしょうけど、続けることってすごい難しい、困難なことだと思うんですよ。本当、先ほども言ったように、何かにぶち当るじゃないですが。
- 仲井戸:
- そうだね。日々ね。
- 中居:
- ええ。「もう辞めちゃおうかな」っていう時もありますし。でも、音楽をやっていくうえで得ることっていうのもありますし。
- 仲井戸:
- そうだね。自分がそれを通してじゃなきゃ。もう社会のなかで市民生活してるわけだから、たまたまギターだったんだけど。それはサッカーボールでも何でもよかったんだけど、たまたま俺はギターで。なんか社会との接点ていうかね、そういうこともあるのかもしれないなと思うんだけど。
- 中居:
- 音楽を長年やってて、技術的なものももちろんそうですし、得るものって音楽性とかもあるでしょうけども、ぜんぜん音楽とは関係ないところで自分で吸収したものってあります? 音楽を通じて。
- 仲井戸:
- 何だろうな? 具体的にはね、音楽をやってる人と出会ったりとか。まあ、大きく言えば音楽まなかだろうけど。まあ、そういう人と何人と出会えたかわかんないけど、俺に音楽がなかったら外に出ないまんまのね、少年のあの頃の俺だったら誰にも出会えなかったのかもしれないとかね。そういうこと考えると、ものすごく得たものはたくさんあると思うけど。清志郎と出会ったこともきっとそうだと思うし。それはすごく思うけれど。
- 中居:
- 音楽をきっかけに、音楽を通じて。
- 仲井戸:
- 「ああいう奴と会った」とかね。それは音楽を越えた付き合いもあるような気がするから、そういうことはきっとたくさんあると思うんだよね。
- 中居:
- でもね、20年30年ないし音楽をすることによっていろんな人と出会って、ギター一本だったりしますからね。
- 仲井戸:
- そうだね。
- 中居:
- ギター一本でいろんな得ることが。でも、いちばん最初にギター持ったのは?
- 仲井戸:
- 14ぐらいかな?
- 中居:
- いちばん最初の時の感触みたいのって覚えてます?
- 仲井戸:
- 覚えてるよ、すごく。
- 中居:
- 自分でお買いになったんですか?
- 仲井戸:
- うん。あのね、銀座の某デパートでね、雑貨物バーゲンでさ、フライパンの横にかかってた。1480円かな?
- 中居:
- 当時の1480円ていうのは?
- 仲井戸:
- でも安いよね。
- 中居:
- 安いほうですか。
- 仲井戸:
- まあ、今のよりはずいぶんあれだけど。自分のお小遣いで買ってさ。もう抱えてさ。ボール紙のケースで街を走ってたの覚えてる。もう最高だった。
- 中居:
- 以前からずっと弾きたいと?
- 仲井戸:
- うん。もうビートルズ出てからね。俺、長嶋さんになりたかったんだけどさ、野球選手に。
- 中居:
- 長嶋監督?
- 仲井戸:
- そうそう、当時の背番号3番に憧れて。俺なんかの世代は、たくさん長嶋さんに憧れる人が多くてね。で、ビートルズが64年ぐらいに出てきてさ、もう「あ、グローブよりギターだ!」みたいになって、ギターもずっと。俺、新宿の街をチョロチョロしてるような子だったから。毎日デパートに見張りに行ってさ「これを買うんだ!!」って。もう、買った時は最高だった。
- 中居:
- 嬉しかった。
- 仲井戸:
- うん。もう抱えてバス亭まで走って。「おまえらと違うぞ! 俺は」みたいな。「ギター持ってんだ!!」て。
- 中居:
- 家帰って、やっぱりもうすぐ?
- 仲井戸:
- もう。勉強ももちろんしないしさ。もう一生懸命。
- 中居:
- でも、わかんないですよね? 最初どういうふうに弾けばいいのか。
- 仲井戸:
- うん。ビートルズ弾きたいんだけど、「ロックンロール」やりたいんだけど、教則本買ったら「サクラサクラ」って。「なんか違うな」なんて。でも嬉しかった。
- 中居:
- 14、15の時。何ですかね? ギターの魅力っていうのは。いろんなアーティストのね、。万事の方もいらっしゃると思いますし。個人個人やっぱりギターの魅力、多分、違うと思うんですよね。チャボさんが考えてる、思っているギターの魅力っていうのは?
- 仲井戸:
- あのね、まあ細かく言えばタッチが好きとかさ、音色が好きとか、そういうことになるんだろうけど。チラッとさっきも言ったけど、多分ね、同じかどうかわかんないけど、サッカー好きな子はさ、勉強なんか出来なくてもさ、彼女いなくても、サッカーのボール蹴らせたらすごい奴っているわけじゃない。そいつがさ、なんかこれさえあれば、みたいなことってあるじゃない。ダンス踊らせたらもう、とにかくウマいとかさ。そういうことと何か似てるんじゃないかな。まあ、俺はウマくないけど、ギター持ったら自分が成り立つみたいな。「居場所があるんだ!」みたいな。先生にね、どんなに怒られようが、友達とウマくいかなかったり、彼女にフラれようが、新宿の街で補導されようが、ギター持つと自分がさ、なんか居場所があるっていうか。そういうことで、だんだん楽器がたまんなく好きになっちゃうんだろうね。だから、この形が好きとか、いろんな細かいこともあるんだろうけど、そういう自分の決定的な。
- 中居:
- 自分の帰るところなんでしょうね。
- 仲井戸:
- そうかもね。俺にとってはね。
- 中居:
- 心の拠り所だったりね。
- 仲井戸:
- CHARが、あいつは「機関銃だ」って言ったけどね。「ギター持ちゃあ、機関銃みたいなもんだ」って。すごくそれわかる。あいつにとってはね、「ギター持ちゃあ、俺は大丈夫なんだ」って。俺にとってはね、例えば杖だったりさ。なんかそういう。
- 中居:
- 僕もね、あの、すごく野球が好きで。
- 仲井戸:
- あ、好きなんだ。
- 中居:
- ちょっと今、似てるなぁと思ったんですけど、僕は野球だけできればすごい幸せだったんですよ。で、小さい頃、勉強もちろんしないですし。だからね、僕なんかの世代でいうと、ちょうどファミコンとかテレビゲームとかで、みんな内に内に入って。
- 仲井戸:
- そういう少年じゃなかったの?
- 中居:
- 僕はもう野球。朝起きて、みんなが「今日の朝のアニメ見た?」っていうのに、僕はもう、朝起きたらとにかく一人でマラソンして、一人で素振りして、一人で壁に。とにかく野球やってる自分がすごく好きでもありましたし。そう、だから、自分のなかで成立してたんでしょうね。
- 仲井戸:
- グローブ持ってね。
- 中居:
- グローブ持って。だから、僕はチャボさんがギターを買った時の喜び、それと同じように僕はグローブ自分で買った時の喜びっていうのは、野球計り知れないものがありましたし。
- 仲井戸:
- 多分、同じかもね。
- 中居:
- 僕はもちろん勉強もしませんでしたし、もう野球だけ。でも、野球だけやらせたら、実力的なところはやっぱり差があるでしょうけども、野球に対する姿勢だったりっていうものは、他の誰にも負けたくないなっていう気持ちはありましたね。
- 仲井戸:
- あるよね。なんか自分の好きなものでね。
- 中居:
- だから、これっていうものを持ってると、やっぱり今でも野球はやめらんないですもんね。
- 仲井戸:
- 野球部?
- 中居:
- 僕はあの、ちょっと怪我で小学校の時に挫折したんですけど。
- 仲井戸:
- あ、本当。
- 中居:
- 僕は絶対プロ野球になろうと思いましたし。
- 仲井戸:
- 本当。すげぇなぁ。
- 中居:
- 絶対にプロ野球選手になろうと。でも、プロ野球選手になるためには、高校もやっぱりそれなりの高校に行かなきゃいけなくて。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- そのためには少しは勉強しなきゃいけないのかな、とかも考えましたし。だから、人間なんか、自分が「これをやらせたら!!」っていうものを持つと、すごく何事に対しても自信がもてたりするのかなって。
- 仲井戸:
- だけどさ、多分、当時って自信とかがあるわけではないよね。
- 中居:
- ないんでよね。
- 仲井戸:
- 「俺は最高にウマいんだ」って思ってるわけでもないし。ま、プロやっぱりいきたいけど、仕事として自分がやってくとかも、そんなふうには思ってないじゃない。
- 中居:
- そう。漠然とね、そういうことは思わないんですけどね。
- 仲井戸:
- 音楽で仕事するとか思ってるわけじゃなかったしさ。だから、その日の成り立ち方として、その日ギターがあれば、自分の居場所があるとかさ。ボールもてば、とかね。
- 中居:
- そうです、そうです。
- 仲井戸:
- なんかそういうことだったりね。
- 中居:
- だから、けっこうなんか今、話を聞きましてね、ちょっと共通点があったりして、なんか面白いなぁと思ったんですけど。そうですよね、ギターですよね。だから、今もね、座る時にもミニギターがあったほうが。
- 仲井戸:
- なんか手の位置がね。ないとね、やっぱりどうしていいかね。
- 中居:
- ギター以外に好きなものってあります?
- 仲井戸:
- まあ、俺はレコードと。あと、ちょっと本がガキの頃読まなかったから、それもったいないと思って、本も好きなんだけど。結局ね、それでいつの間にか仕事になってるでしょ。だから、ミュージシャン仲間で釣りが好きな人とかいたりして、すごく羨ましいんだけど、ないの。やっぱりレコード屋行くことが最高に楽しみとかさ。自分はそれがワクワクする。前の晩にレコードリスト書いたりしてさ。結局そこしかない。なんか趣味欲しいんだけどさ。清志郎にも言われたのね「仲井戸君は何か趣味持ちなさいよ」って。
- 中居:
- でも、それってでも、すごくあの、ある意味で幸せなことかもしれませんよ。
- 仲井戸:
- でも、趣味ある人、羨ましいよ。
- 中居:
- 羨ましいですか?
- 仲井戸:
- うん。すごく羨ましい。釣り出来る人とか、すごく羨ましい。
- 中居:
- 僕も趣味がないんですよ。
- 仲井戸:
- ないの?
- 中居:
- ええ。
- 仲井戸:
- 踊りとか?
- 中居:
- いや、踊るっていっても、家では踊れないですし。
- 仲井戸:
- そうだよね。
- 中居:
- 僕もアウトドアっていうよりか、家のなかで篭ってるほうなんで。で、僕も家で毎日お酒飲むんですよ。
- 仲井戸:
- あ、そう。へぇー。
- 中居:
- あんまり外でウワァーっていうのあんまりないんで。まあ、誘われてもあんまり行くほうでもないんですけども。でも家でなんか、なにやってんでしょうかね? 物事考えて。
- 仲井戸:
- もしかしたら、人と接するのがすごく多いから、何も無い空間に自分を置いとくのがすごく救いがあるんじゃない?
- 中居:
- そう。自分の気付かないところでもしかしたらそうかもしれないですね。
- 仲井戸:
- もしかしたらね。
- 中居:
- もしかして、ちょっと似てるところがあるかもしれませんね。
- 仲井戸:
- かもね。
- 中居:
- いや、でも、ギターでいちばん思い出深い物事って何かあります? ギターを通じて。
- 仲井戸:
- そうだね。やっぱり最初に買った時とか。あと当時、俺たちは学校で禁止だったんだよね。その、エレキギターがさ。やっぱり不良のナントカで。学校でやっちゃいけないっていう時代だったのね。だから、学校持ってくにも隠して持ってくとか、先生に見つかったらいけないとか。そういうことの景色とか。でも、自分はもう夢中なわけじゃない。そういう直接ギターの話じゃないけど、そういうティーンエイジャーの頃の自分の景色っていうのがすごく残ってるっていうか。それがギターへの思いが、すごい強い感じとして残ってるのかな。あと、駅からさ、ギター抱えてね。「今日も先公が何か言うかな」とかさ。「でも、絶対、関係ねぇ」とか。そういうギターの思いが、景色としてたくさん残ってるかな。
- 中居:
- ギターに対する思いがすごい強いんでしょうね。
- 仲井戸:
- なんかね、すごいそういうこと覚えてる。初めてショーウィンドウに見たギターの思いとかさ。そういうことをたくさん覚えてる。それはなんか、変わらないみたい、今も。
- 中居:
- そのいちばん最初にギター持った時の喜び、その感触と。
- 仲井戸:
- うん。ギター小僧って、きっとみんなそうじゃないかな。
- 中居:
- ずっと一緒なんですかね?
- 仲井戸:
- 多分ね。完璧に同じかどうかわかんないけど、とても似てる。
- 中居:
- 今、いろんなバンドの方々いらっしゃるじゃないですか。それ見て、実際どう感じます? いろんな形態のいろんなバンドがいて、いろんな音楽。同じロック、またロックのなかでもいろんなジャンルがあったりするじゃないですか。今のロック界ってどういうふうに思います?
- 仲井戸:
- まあ、俺の正直なとこでは、自分のことが精一杯で、あまり元来「彼はどうのこうの」って分析できないタイプなの。まあ、自分なりにやればいいっていうタイプだから。でも、普通にテレビがあったり歌番組があったり、まあFM聴いたりとかすれば入ってくるものあるよね。そのなかで「この子はすごいな」「詞も書く奴だ」とか「リズムがすげぇな」とかね、思う子もいれば、俺なりに「笑わせんなよ」と思う子もいれば。それは俺のなかで収めとけゃあいいことで。「じゃあ、自分が立つ位置はどこかな?」とかって自分なりに思ったりとか。ぐらいかな、俺は。あんまりまあ、批判て簡単だから。今はそういうふうに向きたくないっていうか。すごいのに出会った時は、本当に「参ったな」と思うしね。自分の発奮材料に見たりとか。
- 中居:
- 影響されるようなことってあります?
- 仲井戸:
- うん、もちろんたくさんある。
- 中居:
- 「ちょっとここを参考に」みたいのってありますか?
- 仲井戸:
- うん。その参考の仕方も、「あの子がああやってやってんなら、じゃあ、俺は違うパターンにしようか」っていう参考の仕方かもしれないけど。「あの子いいことやってるから、俺もやろう」とはやんないタイプだから。どっちかっていうと避けたいタイプだから。でも、まあ影響っていったら影響だもんね。
- 中居:
- なるほどね。
- 仲井戸:
- でもね、前よりあんまり気になんなくなった。
- 中居:
- 昔はやっぱり?
- 仲井戸:
- ある時期はね。世の中って何が流行っていてとかさ。でも、なんか結局そういうの俺は元来得意じゃないし。自分なりでいいのかな。
- 中居:
- 我が道を行くですよね。
- 仲井戸:
- 自分なりのね。それでたくさんの人にね、一人でも聴いてもらえたらそれがベストなのかな。
- 中居:
- なるほどね。もう今後はまあ、ずっとね、ギターを持って生きていくと思うんですが、またグループとして、ソロとして、また趣向を変えて音楽をやっていくっていうか、何か考えてます?
- 仲井戸:
- うん。そんなわけで、90年代入ってから一人で何年かやったんで、バンド小僧としてはバンドがやっぱり恋しくてね、去年作ったんですけど。で、アルバムも出せたんで、このあいだ。バンドはやっぱりやりたくてね、やるつもりなんです。で、まあ一人もやれる確信があったから、並行できたら最高なんだけど。ただ、今度バンドは、何かを感じたらそのバンドはすぐ辞めようと思って。乗り越えようとすることは辞めようと。
- 中居:
- え? どういうことですか?
- 仲井戸:
- うん。だからさ、日々団体でやってるとさ、さっきの話じゃないけど、4分の1になるわけじゃない。でも、みんなで乗り越えようとすることがあるわけじゃない。それは良さだと思うのね。「どうしようかなぁ? あいつと意見違うし、俺はどうすればいいんだ?」っていうことがきっと来た時にね、それは小さいことでは日々あると思うけど、決定的な何かが来た場合には、その時に「それを乗り越えて」とはもうやんないつもり。それでそれは終わろうと思って。次に行こうと思って。それはもう自分で「したくない」っていうはっきりした意思があるのと、その時は俺が作ったバンドは終わる時なんだと思って、乗り越えようとするのはよそうと思って。新しいバンド作ればいいっていう思いが今ある。
- 中居:
- でも、絶対出てきますよね。
- 仲井戸:
- うん、きっとね。
- 中居:
- 必ずありますよね。
- 仲井戸:
- それは日々乗り越えてったりすることだろうけど、なんか自分が決定的なものを感じた大きなものが来た時に、それでも乗り越えようとすることもあるじゃない。「みんなでやっていこう」って。きっと今のバンドはしないと思う。新しく作ってそこで終わろうと思って。
- 中居:
- それはでも、周りのメンバーの人っていうのは、認知してくれるんでしょうかね?
- 仲井戸:
- うん、それはしてもらおうがせざろうが、俺は出るっていうか、そのバンドを辞めようと思って。自分の作ったバンドでもあるから、もちろん話してね、「辞めようと思う」っていうつもりなの。
- 中居:
- で、改めて新たな形で?
- 仲井戸:
- うん。その時きたらね。そうなんないように長く続けたいけど。すごく今のバンド気に入ってるんで。極限的なことを言えば、そういう思いは今からっていうか。
- 中居:
- でも、今後じゃあ、わからないですね、どういうふうに転がるかっていうのは。
- 仲井戸:
- うん、そうだね。
- 中居:
- 本当、わからないですよね。
- 仲井戸:
- どうなるかわからない。
- 中居:
- 御自身でもやっぱりわからない部分てあるんじゃないですか?
- 仲井戸:
- 不安と期待と。まあ、今は期待のが大きいけどね。
- 中居:
- どっちに転がるのか。
- 仲井戸:
- ね。わかんないもんね。
- 中居:
- ずっと一人でやっていくのか、また改めてバンドができるのか。それともこのバンドでずっとやっていくのか。でも、スリルがあるって言えばスリルがあるかもしれませんね。
- 仲井戸:
- まあ、そういう緊張感は悪くないかな。明日終わっちゃったりして。「解散!!」なんて。
- 中居:
- それはちょっと早いですよ。でも、それも有り得るかもしれないですよね。
- 仲井戸:
- ないとは言えない。
- 中居:
- ないとは言えないですよね。その少しの可能性がいろんなところでいろんな形で秘めてるっていうのは、見てる側としてもやっぱり期待と、緊迫感を持って見るかもしれないですし。
- 仲井戸:
- そうかもね。だから、あんまり馴れ合いの感じでね、やってるっていうのも嫌だしね。
- 中居:
- 馴れ合いっていうのも、決して悪くないんですけどもね、そういうのが慢性化してしまうとね。
- 仲井戸:
- うん。みんなで慣れていい呼吸になるのは最高だしね。それはあるもんね、いろいろ。その時その時で。
- 中居:
- あるところで緊張感っていうのは、絶対もっていなければいけないんじゃないかと。
- 仲井戸:
- そうだよね。多分ね。「また、こいつとかよ」なんて嫌々じゃヤダもんね。
- 中居:
- やっぱりやってくうえで楽しいほうがいいですからね。
- 仲井戸:
- それは間違いないよね、基本的にはね。
- 中居:
- 楽しいのがやっぱり。
- 仲井戸:
- 絶対、間違いないよね。
- 中居:
- 楽しいことって、そう毎日ね、ないですからね。「うわぁ、今、楽しいな」っていうことが四六時中あるわけじゃないですから。本当、ちょっとした瞬間でも、なんか「あ、楽しいな」ってなんか思えるようなね、仲間といるっていうのは大事じゃないかと思いますよね。
- 仲井戸:
- 絶対だよね。
- 中居:
- 今後はでも、そのチャボバンドのメンバーと、やっぱりライヴ中心ですか?
- 仲井戸:
- うん。せっかく去年デビューして、今年アルバムが2月に出せたんで、5月ぐらいから全国。
- 中居:
- 全国ですか。
- 仲井戸:
- うん。「なるべくたくさんやらせて」ってスタッフに頼んだんだけど。
- 中居:
- どのぐらい回られるんですか?
- 仲井戸:
- 30本ぐらいかな?
- 中居:
- 30本?
- 仲井戸:
- 「なるべくやらせて」って言ったの。
- 中居:
- お客さんてどんなお客さんですか?
- 仲井戸:
- たくさんいろんな。俺を昔から聴いてる人なんか、もう子供連れてくる人いるし。それこそ高校生の女の子がなぜかいたりね。「なんでこういう子がいるの?」って。いろいろだね。バンドやってる子もいるし、俺と同年配の人もいるし。
- 中居:
- 多分だから、仲井戸さんが14、5の時にビートルズに憧れてギターを買う。その心境と同じように仲井戸さんを見てギターを買おうっていう人はね、やっぱり変な話、五万といるわけですから。
- 仲井戸:
- なんか、そういう人来てくれると嬉しいよね。
- 中居:
- ある意味で世代世代の交代じゃないですけどもね、順繰りじゃないですけども、バトンタッチできるとね、いいんじゃないかなと思うんですけど。今日は本当、どうもありがとうございます。
- 仲井戸:
- ありがとう。
- 中居:
- 面白いお話を本当に。
- 仲井戸:
- 助けていただきまして。
- 中居:
- いえ、とんでもございません。はい、今週のゲスト、チャボさんこと仲井戸麗市さんでした。どうもありがとうございました。
- 仲井戸:
- ありがとうございました。