TK MUSIC CLAMP

TKMC

NON EDIT TALK : 小室哲哉★カールスモーキー石井


小室:
こんばんは、小室哲哉です。えぇとですね、こういう対談本が前回出たんですけども、今回、vol.2ですね、もうすぐ出ますので、またお買い求めください。それでですね、今日また、このvol.3にもしかたら載るんでしょうか、という感じで、昔から知ってるんですけど、お話したことはないかな?という方をお招きしています。カールスモーキー石井さんです。

石井:
どうも、石井です。

小室:
どうも。なんか、あんまり話す機会ないですね。

石井:
そうですね。

小室:
共通の知人がいないからですかね。

石井:
ええ。

小室:
いそうでいないと。

石井:
あの、昔ですね、えぇとあれは…trfじゃなくて…。

小室:
TMN?

石井:
TMネットワークの時にですね、宇都さんがですね、ウチのドラムと友達で。

小室:
ああ、ああ、RYO−J君。

石井:
ええ。RYO−Jと友達で。それでチラッと宇都さんとはお話したことあるんですよ。

小室:
そう、野球かなんかだよね。野球のチームかなんかやってましたよね。

石井:
ええ、なんかやってたみたいですね。

小室:
あれ、石井君も出てたんですか?出たわけじゃないんですよね?

石井:
ええ、僕は出なかったですけどね。スポーツ、あんまり好きじゃないんで。小室さんもなんか、好きそうじゃないですね。

小室:
あんまり率先してやらないですね。

石井:
ああ、でも、やるんですか?ゴルフとかそういうのは。

小室:
ゴルフはやらないです。球技は好きなんだけど。まあ、卓球ぐらいですか。

石井:
卓球ですか?

小室:
あと、ちょっとテニスとか。

石井:
ああ、でも卓球、似合うような感じしますよね、やってるっていう。

小室:
スタジオにあるじゃない。外国のスタジオとかは。

石井:
ああ、なるほど。あとなんか、こう、こんなの滑らしてカシャカシャッとかってやるヤツあるじゃないですか。なんていったっけな?

小室:
エアホッケーですか?

石井:
ああいうのなんか、似合いそうですね。

小室:
なんか、ああいうの得意ですね。

石井:
ちょっとこぢんまりした。

小室:
ちょっとハイテクな球技ですかね。まあ、好きだけど。ゴルフはやらないですね。やってくれって言われてるんですけどね、たくさん。

石井:
僕もね、すっごい言われるんですよ。

小室:
石井君はあの、先入観ですけど、なんかぴったりですね。

石井:
ゴルフですか?

小室:
ええ。

石井:
嫌なんですよ。ぜんぜんやったことないんですよ。

小室:
あ、本当に。チェックのスラックスとか似合いそうだけど。

石井:
ああ、よく言われますけどね。「お前やったらハマるぞ」とかって言われますけど。あんまりっていうか、ぜんぜんやったことないです。

小室:
あ、本当に。そうだよね、どっちかっていうとアレですよね、まあ、種類は違うかもしれないけど、僕と同じで仕事好きっていうか、仕事が趣味派ですよね。

石井:
そうですね。

小室:
映画とかもそうですよね。

石井:
そうですね。

小室:
趣味が昂じて、もう、どんどん、どんどん。

石井:
そういえば、このあいだアレをやってましたね、ミュージカルを。

小室:
えぇと、ライヴUFOの?

石井:
ええ。

小室:
ええ、やりました。

石井:
あれはあの、音楽?

小室:
音楽だけだけどね、あれはね。

石井:
あの踊りとかは違うんですか?

小室:
うん。え?僕が振りってことですか?

石井:
ええ、ええ。やればいいのになっていう。

小室:
振り?

石井:
振りまで。

小室:
振りは?振り付けしてるんだ?

石井:
僕ですか?時々やりますけどね。映画とかそういうのの音楽っていうのはあの、あの…『赤と黒』でしたっけ?

小室:
『天と地と』ですね。

石井:
『天と地と』か、ああ、そうかそうか。

小室:
まあ、ほとんど変わんないですね。

石井:
ええ。あれですよね。

小室:
あれだけですね。ちゃんとしっかりのめり込んでやったのはね。

石井:
あの後なんか、ものすごく疲れた顔でインタビュー受けてたの、僕、思い出しますけど。けっこう大変だったんですか?やっぱり。

小室:
やっぱあれ、監督に振り回されましたからね。

石井:
ああ、ああ。

小室:
カナダまで音楽を作るために…。

石井:
行って?

小室:
「来てほしい」って言われて。

石井:
音楽を作るために?

小室:
まあ、素材をね、実際、生の現場を見て、それで作ってほしいとか。

石井:
「雰囲気を味わえ」みたいな?

小室:
そう。あと、ラッシュでまだ音もSEもなんにも入ってない絵を、どこかアメリカのシアトルかサンフランシスコかどっかで、「今できたから、見にきてくれ」とかね。それも行きましたし。で、もちろんあの頃はね、まだTMネットワークで、これからまだ頑張んなきゃっていう時だから、もう全勢力を傾けてやりましたけどね。

石井:
うん、うん。

小室:
面白いのは、映画音楽じゃないですか、どっちかっていうと裏方の…。

石井:
そうですね。

小室:
なんだけど、全国を舞台挨拶に…。

石井:
え?行くんですか?

小室:
ええ、行くんですよ。

石井:
それもけっこう珍しい。

小室:
それも、監督じきじきに、直接、電話入ってきちゃって。「小室君、浅野温子とかと一緒に回ってくれ」って感じだったから、回りましたけどね。やっぱりすごかったですね。

石井:
あの、映画の世界って、また特殊な世界ですね。

小室:
特殊だから。

石井:
なんか、いろいろ自分でやりたいなって思うことも、できなくないですか?

小室:
どうでした?できないことありました?

石井:
いや、僕は割りかしあの、映画の音楽も、映像の方も自分でやりましたし。まあ、音楽の方も自分のバンドのフラッシュ金子っていうのがやってましたんで、そんなには。

小室:
ほとんど、じゃあ、まあ、仲間でできたっていう。

石井:
ええ、仲間でできたんで、楽だったですけどね。小室さんが受け負ったその『天と地と』は大変だったと思いますね。

小室:
大変でしたね。もうやっぱりディレクターチェアの隣にちゃんと椅子かなんか用意されたりしてて。

石井:
そこにはTETSUYAKOMUROとか書いてないんですか?

小室:
は、書いてなかったですけどね。

石井:
ああ、そうですか。

小室:
でもまあ、そこまで行くまでに人垣がたくさんあって、もう遠くに監督が座っててね。けっこう大変でしたよ。

石井:
あの、監督という職業に酔って監督やってる人と、もう本当に映画が好きでやってる人と、二種類いるような気がしないでもないですよね。なんか、見てると。

小室:
あの、CMの現場とかはよくいくでしょ?

石井:
ええ。

小室:
で、監督の椅子に座った周りの景色っていうのは、僕なんかちょっと遊びで座るじゃない、ギャグっていうか、まあ雑談の時に。あの景色っていうのは、自分の責任感をリアルタイムで感じる場所ですよね。

石井:
ああ、そうかもね。

小室:
音楽の場合、いくらプロデューサーっていっても、その場は一人でしょ。一人の作業が多いんで、あんまり直接感じないんですよ。でもなんか、背負ってる感じしますね、映画の監督って。

石井:
でも、特に小室さんのやってる音楽自体が、わりかし打ち込みというものが中心にあるから、個人作業じゃないですか。だから、バンドって意外にやりづらいんじゃないですか?

小室:
バンド…、そうですね。

石井:
例えば12人のバンドで「こうやってください」っていった場合。

小室:
ちょっともう、今は辛いですね。

石井:
辛いでしょ。

小室:
まあ、たまにはいいですけどね。たまに、自分もメンバーの一人として弾くとかはいいけど、譜面見ながらとか「これはこうして、ああして」とか指示するのは…。

石井:
自分がリーダーになってやってくっていうのは。

小室:
ちょっと辛い。面倒臭くなっちゃうね。

石井:
でも、それでもプロデュースをやっていくっていうのは?

小室:
プロデュースは、多分だから、究極の一人での孤独な作業だから、それを選べたっていうか、選んでるんですけど。

石井:
その、風の噂に聞くんですけど、なんかもう、一回スタジオに入ったらば、丸三日ぐらい出てこないんじゃないかって。

小室:
それは、すごい風の噂ですね。

石井:
すごい風の噂ですけどね。どういうものを食っているんだっていう。

小室:
そんなにスタジオに三日はいれないですよ、やっぱり。

石井:
そうでしょうね。なんかこう、入り込んだらわりかし長いでしょ?

小室:
うーん。ていってもまあ、3時間4時間じゃないですか?まあ、せいぜい。あんまり長くいない方。

石井:
ああ、そうなんですか。僕、大っ嫌いなんですよね。

小室:
スタジオが?

石井:
スタジオが。それでバンドでやってるくせにですね「歌だけになったら呼んで」とかね、一緒にいて煮詰まるのが嫌なんですよね。

小室:
あの、石井君はなんか一緒に弾いて、とかはやらないんだ?

石井:
やらないですね。楽器、大体、似合わないと自分で思ってますから。あと、曲はギターで作るんですけど、人の前であんまりやったことはないですね。ギター弾いたりとかそういうのは。

小室:
あ、そう?素朴な疑問で、もう昔から作詞も作曲も米米クラブじゃないですか。

石井:
ええ、そうですね。

小室:
だから聞きたかったんですけど、その分担っていうのはどうなってるのかな?って思ったんですけど。なんとなく勝手に、石井さんていうのは例えば詩の部分なのかな?とか。そんなの勝手に考えてたんですけど、そんなことはないですか?

石井:
ないですね。

小室:
曲によって?

石井:
ええ、ええ。だから、まあ、ほとんど作りますけど、あのジェームス小野田っていうすごいメイクしてるヤツがいるんですけど、そういうヤツの歌からなにから作りますけど。まあ、大体、自分で曲作りなんざ、なんか鼻唄っていうかね、一番いいと思ってる方なんですよ。で、とにかく鼻唄いっぱい集めていくっていうか。

小室:
あ、そうなんだ。

石井:
鼻唄いっぱい集めてって、で、みんながウケりゃあいいし、ウケなかったらダメなんだろう、ぐらいの気持ちで。あの、軽い気持ちでやってますよね。

小室:
じゃあ、そのバンドのメンバーに鼻唄を歌うと。

石井:
そうそう、そう。で「♪ドゥルル、スタ、ラ、スタ、ラララ、ララ、ラ〜こういうのどう?」なんつって「うん、いいね」なんつってね。で、いいと大体ドラムが入ってきて、ベースが入ってきてっていう感じになって。で、なんかバンドでいいところはあの、なんていうのかな?一個になり始めると、わりかし熱でもってできてっちゃうっていうのあるじゃないですか。そうすると、曲のその内容物というか、詩であったりメロディであったりも、微妙にそのバンドの色に変化してったりして。

小室:
ああ、そうですよね。

石井:
それが僕は楽しいですよね。なんかこう、だから、全部を自分の色にしなきゃ済まないっていうと、きっとバンドってやってらんないんだろうなって気はしますよね。

小室:
まあ、必ずあれですね、作る時にもう余白の部分、のりしろたくさん持って渡すんですね。

石井:
そうですね。あの、わりかし完璧主義なのは完璧主義なんですよ。

小室:
あ、そうなの?

石井:
そういうのがあるのは「こうやんなきゃ嫌だ」とかは思うんだけど、ことバンドっていうふうに考えると、それをやったらおしまいだなっていうのがありますよね。

小室:
へぇー。あ、じゃあ、それはどこでその最後の、完全な自分の納得するところに?持って帰ってくんですかね?最初、投げるじゃないですか、そこに鼻唄で、まあバンドふうに。

石井:
だからやっぱり、すっごい自分で落ち込む時もありますよ。「なんでこうなっちゃったんか?」っていう感じね。

小室:
イメージしたのがね。

石井:
うん。「なんでこいういふうにできちゃったかなぁ?」っていうのもあるけど。でもまあ、それがバンドということであればね、もう諦めるしかないというところなんですよね。

小室:
あの、想像してたのはすごいシリアスな、例えばバラードだったりしたのが、非常に米米ふうの、なんかお祭りみたいな曲になっちゃったりすることもあるんですか?

石井:
あ、ありますよ、それ。だから、自分ではなんか、月を見ながら女と愛を語らってる歌にしたいと思ってメロディを持っていきますよね。そしたらなんか、チャンチキおけさみたいになっちゃったりなんかして。「ちょっと待てよ」っていうのあるけども、まあ、それはそれでなんかバンドのメンバーがそれで喜んでるんだったら、まあ、それでいいのか、みたいなね。そういうとこありますよね。

小室:
リリースまでいって、売れちゃったりしてね、なんか。

石井:
もう、そうなるとあれですよね、がっかり通り越しちゃってね、遊ぶしかないっていうのありますけどね。

小室:
だから、敢えてそういうのを演じてるようなね、顔っていうか、俺なんて勝手に見る時もありますけどね。「ああ、哀愁だなぁ」なんて思って見る時もありますよ。

石井:
ええ、あの、自分を寂しい男だなって思う時もありますよね、テレビとか見てて。「なんでこんなとこで、こんなウケやんなきゃいけねぇんだろう?」とかね、思うとこあるけども。ただなんか、米米クラブの中の自分ていうのは、あくまでもアクターとしての存在感をアピールすればいいんだって思ってますよね。だから、あの、あくまでも自分は司会者であったりとか、それかなんかピエロであったりとかした方が、自分がいちばんやりやすいですよね。そういう立場にいた方が。で、いろいろ質変化できるし、そういう方がいいなっていう位置では、自分ではいますけどね。

小室:
なるほどね。米米でのポジションていうのは、すごいわかりやすいですね。なんか、そういう感じしますよね。

石井:
だから、なるだけフラットにいるっていうか、あんまり潜在意識の中で、先入観念ていうかな?それを持たないようにして米米は付き合ってますよね。

小室:
なるほど。

石井:
あの、TMネットワークの時って、曲って全部、小室さん書いたんですか?

小室:
全部じゃないですけどね。バラードとかは木根が書いてたけど、あとは僕が書いてましたよ。

石井:
あの、宇都宮さんでしたっけ、ヴォーカルの宇都宮さん、今度、違うバンド作りましたよね。

小室:
うん。BOYO−BOZOっていうのを。あれ、期間限定なんですけどね。

石井:
あ、そうなんですか。ずいぶん変わった感じがしましたよね。

小室:
まああの、そうですね、宇都はなんていうのかな?もともとロッド・スチュワートが好きで、ああいうシンプルなロックンロールも好きだったんですよ、ずっと。

石井:
ああ、なるほどね、そういう感じしますもんね。

小室:
もう、ひたすらロッドだったの。あの人の場合もTMネットワークのヴォーカルを演じるって感じでやってたと思うから。けっこう木根君もそうで。二人ともTMみたいにコンピューター好きとかいう二人じゃなかったんだね。

石井:
あの、台本見たら、TKって書いてあるんですよ。TetsuyaKomuroってことだと思うんですけど、で、TMネットワークのTMとか、TKとか、trfとか、なんか、そういうこだわりあるんですか?そういう字面が好きだ、みたいな。

小室:
うーん。字は好きなんですけどね。アルファベットはすごい大好きで、だから、コンピューターのフォントってありますよね、字体の。ああいうのも大好きなんですよ。そういえば美術系でしたよね?

石井:
はいはい。

小室:
ああいうのも、すごい好きで。タイピングとかもすごい好きなんですけど。別にTにこだわってるわけじゃないですよ。TMの時も、もうずっと…。

石井:
っていうか、その頭文字みたいなの多いですよね?たまたまなんですか?

小室:
たまたまは多いです。最近、去年ぐらいから篠原涼子にwithtとか付けたのは、あれは、この方がわかりやすいから、そのお手伝いしてるのが。わかりやすいから付けましょうとか。浜ちゃんのは、あれは浜ちゃんから「付けてくんないと困る」って言われてですね、付けたとかですね。trfっていうのも、あれもべつに。最初TKRaveFactryっていってたので、詰まってTになっただけだし。

石井:
あ、そうなんですか。

小室:
TMのTは、あれは多摩のTですから、多摩地区の。RYO−J君も多摩地区だと思うんですけど。

石井:
はいはい、そうですね。

小室:
三多摩地区のバンドだったんで。

石井:
あ、そういう意味があったんですか。

小室:
NHKのローカルの番組で『多摩ネットワーク』っていう番組あったんですよ。その、みんな車が多摩ナンバーだったんですよ。

石井:
あ、それで。

小室:
それだけだったんだけど。まあ、たまたまTだったですね。

石井:
いや、僕も頭文字だとTIに、TatsuyaIshiiってなるんですけど。あの、曲とかを作る時って、あれですか?あの、わりかしピアノっていうのが多いんですか?

小室:
うーんと、そうだね、僕の場合はどうかな?今はなんか、頭で考えちゃって、すぐ打ち込んじゃいますね。まあ、ピアノは弾くとなんか、弾きたくなっちゃう。僕、ピアノ習ってなかったから、二十歳すぎから弾きだしたんですよ。

石井:
…この番組出ると損しますよね。

小室:
損します?

石井:
ええ。

小室:
石井さんが?

石井:
いやいや、出てる人が。なんとなくこう、僕、ずっと見てるでしょ。そうすると、けっこう大きな古いアーティストの人たちとか、もうみんな知ってるっていう人たちが出てくるじゃないですか。で、小室さんとこう話してると、その人たちが小さく見えてくるんですよね。

小室:
どうして?

石井:
なんでだろうな?と思って考えたんですよ。で、大体、批判的な態度で小室さんに、まあ、食ってかかるとは言いませんけど、わりかしこう、なんか反発的な感じって多いですよね?

小室:
うーん、あの、反発かどうかわかんないけどね。

石井:
いや、ほら、やっぱり今、TetsuyaKomuroっていったら、時代の先端だ!みたいな、そういうあれがあって。やっぱり、どっか引け目っつうんじゃないけど、なんかこう、なんか羨ましいって思ってんのか…。

小室:
あ、でもね、きっと僕もそうでしょうね。今じゃなくて、何年か前で、まあ誰でもいいですけどね、誰か一番売れまくってる人ので、多分、出たらそういうふうになるんじゃないかな?

石井:
いや。露骨にそういうふうになる人と、ねぇ?やっぱりそれを隠しながら喋れる人といると思いますけど。わりかしこう、露骨に出ることが、僕、多いような気がするんですけど。

小室:
うーん。まあ、それはそれでどうなんですかね?どうですかね?

石井:
いや、俺、損だなぁと思いますよね、見てて。

小室:
ああ、なるほどね。

石井:
だから、見ててあの、小室さんの方が大人に見えるっちゅうか…。

小室:
一応ね、あの、まあ、完璧ホストに徹してるから。

石井:
なるほど。でもほら、出る方はさ、その、ホストとしての小室さんっていうんじゃないじゃない。どっちかっていうとね、ミュージシャン同士として話そうとしてここに座るわけだから。そうするとあの、話がさ、なんていうのかな?糠に釘刺すっていうんじゃないけど、一生懸命こう、釘を刺すんだけど、小室さんの方の逃げ方というか、逃げ方っていったらね、ちょっとあれかもしんないですけど。

小室:
まあ、かわしますよね。

石井:
かわすのはちょっとね「ああ、そうですか」みたいなんで、他人のような顔をしてしまうっていうのがよくあると思うんですけど。

小室:
だからあの、いくら小室哲哉の話を相手からされても、今ここにいる自分はその人間として答えませんよね。しませんよね。

石井:
うん、そうそう、そう。それが一番いいんじゃないかな。ただ、それ、気がつかない人が多いですよね。

小室:
なるほどね。

石井:
本音でぶつかっちゃうと損する番組だな、なんて思っちゃったりするんですけど。だからミュージシャンとしての小室哲哉という男と一緒に話すんだって考えると、ちょっとなんかこう「もっとはら割ろうぜ!」みたいなヤツも出てくんじゃないかなっていうね。

小室:
そうかもしれないね。はら割ってる人も、割ってない人も。けっこう割って話してくれる人もいますね。案外こう、構えるのかな?と思うと。あのね、このあいだ小山田圭吾君とか、世代がぐっと若い人の方がね、なんか、案外、構えなかったりしますね。

石井:
あ、なるほどね。それ、礼儀知らずっていうんじゃないんですか?

小室:
うーん。

石井:
それもあるでしょ、やっぱりね。人との話し方がよくわからねぇっていうね、そういうヤツもいるんでしょうね。

小室:
そうだね。だから、案外ポロッと自分の私的なこととか話しますよね。

石井:
あの、プロデュースをする年代っていうか、わりかしこう、若い年代をプロデュースしてくわけじゃないですか。

小室:
若いですね、みんな。

石井:
小室さんは多分、僕よりも一つ、二つ、上ですよね?

小室:
上ですよね。

石井:
そうすると、やっぱりそういう人たちと付き合っていくのに、なんていうのかな?言葉のボキャブラリーもそうだろうし、生まれた時代背景も違うんだろうし。そういう人たちと話していって、プロデュースしていって、で、うまくよくやっていけるなっていう気も、時々するんですよね。

小室:
今んとこはね、まだこっちが引っ張る役目が多いんてすよ。まだまだ主張が勝ってないっていうか、若い世代の若い主張の方が、まだまだパワーがね、僕たちの方が勝てる状況なんで。今、真ん中だからかもしれないし。上でもないし、下でもないという。

石井:
で、これが50、60になったらちょっとマズいっていうね。

小室:
ちょっとマズいでしょうね。で、あと何年か何年かって思って毎日やってんですよ。

石井:
小室さんて怒ることないんですか?あの、例えばまあ、この番組見ててね、あの、けっこう鋭いこと言われる時ありますよね。俺もけっこう面白くて見てるんだけども。「よく言ったなぁ」なんてね、思う時あるんだけど、怒らないじゃないですか。

小室:
いや、怒りようが…。どう怒ったらいいのかわからないですね。怒ったことあります?テレビでなんか。

石井:
いや、俺はないですけど。その、なんていうか、例えば、こういうテレビ番組だから、まあ怒らないっていうのもわかるけど、例えばプロデュースっていうことって、まあそんなにアマい話じゃないじゃないですか。例えば、音一つ狂ったってレコーディングしてる時は、やっぱりシビアじゃないですか。そういう時にやっぱり、何度いっても覚えてこないとか、難度いってもコイツ言うこと聞いてくんないとか、なんかそこで然るべき態度っていうのはないんですか?

小室:
うーん。怒るっていうのはないね。注意はするかもしれないけど。

石井:
「君さぁ、やめた方がいいんじゃないの?」みたいな、そういうのはないんですか?

小室:
あんまないね、僕はね。

石井:
ああ。けっこうわりかしこう、自由にやらしといて。

小室:
まあ、導くようには話しますけどね。

石井:
ああ「そこは違うんだよ」と。

小室:
「君」も言わないけど。「なんとか君とか、なになにちゃんが、もしもこうやってやっていくと、きっとここで行き詰まっちゃうから。今ここで直しておこうね」とかってことは言いますけど。

石井:
ああ、なるほどね。まあ、女の子の場合とかはね、そういうふうにしないと。

小室:
そうですね。女の子の方が多いからね、僕の場合。

石井:
難しいでしょ?

小室:
男の人のプロデュースってほとんどないから。で、よくいうんですけど、押しこの人も女性的な人をよくやってるんですよ。浜田さんとかも僕から見りゃあ、すごい女性的なんですよ。こう、優しくしてった方がいいみたいな。

石井:
でも、しかし、テレビ見てるとあの、TKの文字はずいぶん出てきますよね。

小室:
出てきますか?

石井:
ええ。アニメーション見ててもリリカちゃんとかね。

小室:
リリカちゃんですか。

石井:
リリカちゃんていうの、やってたんですよ、さっき。

小室:
あ、本当に。

石井:
それでも「小室哲哉編曲」って入ってましたからね。

小室:
リリカちゃんてなんだ?

石井:
なんかやってましたよ。アニメーションですけどね。まあ、他局ですからあんまりはっきりしたことは言えないでしょうけど。そういうのももう、洗脳っていうんじゃないけども。

小室:
そう、そういう言葉をよく使われますね。あと、このあいだ坂本龍一さんには教育させてるって言われましたけど。

石井:
ああ、なるほどね。教育っていうのはあるね。なんかこう、やっぱり世界を自分で構築していってしまう。まあ、自分でそういうふうにしようと思ってやってるわけじゃないんだろうけど。

小室:
しようと思ってるわけじゃないんだけどね。

石井:
たまたま仕事がそう来るから、それをやってくとどうしてもそれが世界を作ってってしまうという。

小室:
あと、そのオリジナリティーの部分の音が、けっこうダンスミュージックを核としてわかりやすいんですよ。だから小室っぽいって言いやすいっていうか。

石井:
もう、すぐに小室さんのやったってわかりますね。

小室:
わかりやすくなってるから。

石井:
それは意識して?

小室:
それも途中から意識しだしたんですよね。もうTMの『GetWild』とかありましたよね、あの頃はすごい、ファンからも「毎回、同じ曲ばっかで大丈夫なんですか?」みたいなファンレターをもらったりしてた訳ですよ。「音が一緒だ」とか「いつも曲にドンッツ、ドンッ、て4つ鳴ってていいんですか?」とか。

石井:
ああ、なるほどね。

小室:
「そういうのっていいことなんですか?」みたいな。まあ、それはでもやっぱりロンドンとかニューヨークとか行けば、クラブとかは20年ぐらいずっとそうですからね。相変わらずドンッ、ドンッ、いってますからね。だからそこらへんは5年ぐらい前から開き直って。

石井:
そうすると、そういうところを意識はしてるんですか?海外のそういう音楽状況っていうのは。

小室:
してます。だからやっぱり自分は「あ、いいんだ」って思うっていうか。

石井:
ニューロマンティックの時代ですよね?

小室:
うーんと、そうだね。そうですか?

石井:
僕、そうですね。

小室:
ビジュアル的にもそういう感じしましたけど。

石井:
遊んでた時代つていうのはニューロマンティックの時代ですよね。デュランデュランとかがもうすごい盛んにやってた頃ですよね。

小室:
なんであそこらへんが好きだったかっていうと、やっぱりダンスミュージックも入ってたからですね。ロックだけじゃなかったっていうか。

石井:
でも、このあいだあの、ちょっと大阪でコンサートやった時に、ちょうどあの、trfのなんか映像が流れてたんですよ。やりましたよね?夏のイベント。それで流れてて「あ、ダンスミュージックやるにはダンス、下手だな」っていう、そういうのもあったけど。じゃあ、ダンスが好きで音楽を作ってるっていうわけではないんですか?

小室:
あ、僕がですか?

石井:
ええ。

小室:
ああ、僕はそうですよ。ぜんぜん踊れないんですよ。

石井:
人を躍らせるために音楽を作るの?

小室:
そう。向こうのプロデューサーとかの人たちって、みんなデブっちょだったり、すげえ「こいつが?」っていうヤツがすっごいノリノリのダンスプロデューサーだったりしますからね。

石井:
なるほどね。

小室:
まあ、アメリカの場合は違うかもしれないけど。なんか黒人のヤツで、本人がやりたくてやってるって人も多いけどね。僕なんかはどっちかっていうと、ヨーロッパ寄りなんだよね。だから僕も、これは本当に本音なんだけども、できたらスタジオだけの方が…。

石井:
いい、と。

小室:
好きなんですよ。

石井:
まあ、自分の音楽を作って。で、それによって男とか女がイェーッ!って踊ってんのを見るのが楽しいと。

小室:
せいぜいDJブースまで。

石井:
ああ、なるほどね。

小室:
だから、そういう話をすると「一番いやらしい男だ」とか言われることもあるんだけどね、立場的にね。

石井:
立場的に、なんかオタッキーな感じがしますよね。

小室:
一番こう、楽しんでる様を見て。

石井:
ニヤッと。

小室:
俯瞰で見てるっていう。本当そうですよね、ニヤッですよね。ニコッて感じじゃないから。

石井:
ええ。感じじゃないですよね。

小室:
ニタッて感じだから、ちょっとそういう部分はあるんですけどね。まあ、そういう性分んですよね。

石井:
そうですね。性格的なものもあるかもしれないですね。

小室:
だから、石井さんの場合とかも、ある部分、開き直らなきゃいけない、センターステージっていうのがありますよね?上から出ようが下から出ようが、あそこに行かなきゃいけないっていう距離があると思うんですよ。

石井:
はい。

小室:
で、僕の場合はそれがまあ、時と場合によってはソデでもよかったりとか、上、ちょっと出るとか、下手のここらへんに、とかいうことも可能なわけでしょ。だから、石井君、ソデの横に立って踊ってたらやっぱりね、なんか。

石井:
ああ、そうですね。そういうのは許されない。

小室:
ですよね。ええ。病気かなんか。

石井:
「どうしたんでしょうね?」になっちゃいますもんね。

小室:
そこらへんが、よくズルいと言われることが多いですね。

石井:
なるほどね。陰の参謀みたいな人ですね。

小室:
そういうのが好きだったんですよね。

石井:
外国とかの音楽で、あの、まあ、アメリカだイギリスだっていうことじゃなくて、ずいぶん前、僕、ハンガリーに言ったことあるんですよ。その時に若いミュージシャンの、今、売れてるんだ、とかっていうミュージシャンのやつ聴いて、ものすごい感動したんですよ。けっこう良くて。で、そういうみんな知られてる国じゃない国の音楽で、例えばヨーロッパのオランダとか、ドイツとか、あんまりみんなに知られてないじゃないですか、音楽シーンが。そういうところで好きなのってあります?国って。

小室:
国はね、まあ、ヨーロッパはね、けっこう僕、もう知っちゃってんだよね。案外チャート的にも見たりとかしてるから。まあ、ダンスミュージックがけっこうメインだったりするんで。だから、俺なんか、ここ何年かで感動したのは、やつぱりバリのケチャックダンスとかですね。

石井:
ああ、バリね。

小室:
ああいうの、なんかやっぱり音ネタとして使える、みたいなとこあるから、完成されてるのよりは、そういうので、なんかつかえないかな、と思って。で、trfの『BoymeetsGirl』つて曲に、イントロにそのケチャックのオバさんにDATでこう、録って歌ってもらったんですよ。それ、サンプリングしてイントロに使ったりとかして。そういうのはやってますけど。

石井:
僕はあの、あつちのあの、イランとかイラクの方で鳴き女っていうのがいますよね?レロレロレロレロ〜ってヤツ。あれもすごいなと思いましたけどね。

小室:
そういうのは使わないんですか?

石井:
使いたいですよね。アレをなんか、とんでもないとこに入れたらおかしいですよね。

小室:
そういうのはもう、とっくにやってそうですけどね。

石井:
やりたいなぁって思ってて。意外とね、米米クラブってオーソドックスなんですよ。

小室:
うん。あの、サウンド的にはなんていったらいいんですかね?やっぱモータウンサウンドなんですか?

石井:
そうでしょうね。ウチのリーダーがそういうのすごい好きですからね。

小室:
あ、リーダーじゃないんだ?

石井:
僕がリーダーじゃないですよ。

小室:
あ、そうなんだ。音楽はフラッシュさんがリーダー?

石井:
そうですね、金子とそれからベースのBONが、大体、プロデュースと、あとはまあ、音楽全般的なとこはやってますから。

小室:
なるほどね。あ、じゃあもう、ある種、広告塔みたいな感じで?

石井:
それはありますね。

小室:
ああ、ちょっと僕なんか、そこらへんは知らなかった。

石井:
でも、小室さんもTMネットワークの時そうだったんじゃないですか?だって、どっちかっていうと、宇都宮さんよりも小室さんの方がなんか、脚光を浴びてたっていうとこってないですか?

小室:
うーん。だから、他の部分でTMの場合は思ったより売れなかったんですよ。自分が思ってたほどは。

石井:
ああ、なるほどね。

小室:
要は、例えば100万枚とか、そういうのは作れなかったバンドだったから。で、まあ、アルバムもそうだし。で、そういうのでなんか他の要素をいろいろ持ってきて、話題を作ろうと思って、で、自分で曲を他の人に提供したりして。で、それをきっかけにTMに目を向かせようとしたりとか、そういうことをやってたんで。三人だけで普通にやって、普通にコンサートやって、ってやるとね、やっぱもうダメだったんだよね。あまりにもね、固定ファンが多すぎてっていうか、強すぎて。

石井:
ああ、なるほどね。

小室:
よく聞きましたよね、クラスの中でもTMファンだけがこう、孤立して喧嘩したりとかね。

石井:
ああ、そうなの?

小室:
TMファンだけ、とかね。

石井:
まあ、それだけ個性が強かったっていうことなんでしょうね。

小室:
だから、そういうのでいろんなことやったんだと思うのね。結局、いろんなことやったのが、そのまま形になってきて、こういうプロデュースワークみたいなことになってきちゃったんだと思うけど。

石井:
やっぱ、じゃあアレだ、自分でやれなかったことみたいのがあって。

小室:
うん、そうそう、そう。

石井:
それがどうしてもやってみたいと。

小室:
うん。

石井:
っていう欲求不満みたいのがいっぱい溜ってて。

小室:
うん、溜ってたね。

石井:
今はもう、とにかくそれを放出してるっていう。

小室:
そうかもしれない。

石井:
そうしたら健全ですよ、それは。

小室:
うん。今、考えてやってることじゃないんだよね。ずっとやり残したことですよね。

石井:
を、やってるというね。

小室:
もう、一番わかりやすいのが、CDの100万枚っていうか、ミリオンヒット出してみたいねぇ、という気持ちが、ずっとTMの時もあったし。

石井:
それ、潔いですよね。そういう言葉って、あまり言わないじゃないですか。

小室:
そうですかね?

石井:
「俺、100万枚売ってみてぇんだ」とかね。「おめえは数のために音楽やってんのか?」みたいに言われるの嫌だから、なんかちょっと「うーん、やっぱりなんていうかな?青春の…」とかなんかこう、言葉濁して言ってるけど、じつは「なんだおまえ、結局100万枚のヒットつくりてぇんじゃん」みたいなヤツって、けっこういますよね。

小室:
まあ、そうですね。

石井:
そこいくと、はっきりそうやって言うってことは、まあ、男らしいっていうか、まあ、潔いっていうか。

小室:
それはずっと思ってたしね。まあ、けっこう前から言ってたんですよ。で、アルバムも結局、結局っていうことないけど、売れなかった。

石井:
だってtrfって300万ぐらいいってるんでしょ?

小室:
trfは…。

石井:
全部合わせると1000万枚ぐらい、いってるんでしょ?

小室:
全部はもうなんか、今年はの倍ぐらい、いくらしいですけどね。

石井:
2000万枚ぐらい、いっちゃう。

小室:
なんか言ってましたけどね。

石井:
ほぉー。

小室:
それはでも、いろんな使い方ですから。一曲で何回もリミックスしたりとか、いろいろ出して作ってるんで。一曲で三度ぐらい美味しい思いしてたりもするんで、枚数はそれでね増えてるんで。あの、一枚にしたらぜんぜんもっと枚数大きい人たち、たくさんいると思いますよ。ドリカムとかのなんて、一枚にしたら圧倒的に売れてると思うし。

石井:
うん、なるほどね。

小室:
だから、まあ続けるのがね。

石井:
でも、続けるって大変じゃないですか。

小室:
続けることは大変ですね。

石井:
ね。それがすごいですよ。

小室:
いや、だから、今、急に勃発したわけじゃないんだけどね、僕がやってる仕事はね。けっこう十年ぐらいのいろいろアイデアは…。なんか、けっこう今日は喋ってるんですよ。ほとんどいつも聞き手なんですよね。聞き上手ですか?

石井:
いや、そんなことないですよ。どっちかっていうと喋る方ですけど。

小室:
どっちかっていうとそうですよね。なんか、話、飛びますけど、石井君が司会でこういう番組をやるもんだな、って思ってましたよ、ずっと。

石井:
僕がですか?できないですよね。

小室:
できないですか?

石井:
あの、人の話をずっと聞いてるというか、聞き上手だったら小室さんのほうがウマいですよ。聞き上手ですよ。だから、僕はあの、どっちかっていうと、てめぇのこと喋っちゃうことの方が多いから、やっぱりこう、自分の主張みたいなのが大き過ぎると、言葉にできる主張を持ち過ぎてる人は、ダメだと思いますよね。言葉にできない主張を持ってる人の方がいいですよね。

小室:
あの、そう。石井君なんかが、勝手に僕の想像だと、テレビに出るのはね、けっこう敢えて抑えてるのかな?とかね。

石井:
ええ、それはありますよね。

小室:
けっこう出たら出たで、いろいろお話ができると思うから。

石井:
でも、よくこの番組、請け負いましたね。

小室:
どういうわけか、請け負うことになっちゃつたんですね。

石井:
させられた、って感じなんですか?

小室:
うーんと、最初はもちろん、僕からの企画じゃないですよ。

石井:
「やってみたらどうですか?」と。

小室:
「やって見ましょう」っていうことで。半年だったんですよ、最初は。

石井:
もう、かれこれ…20年ぐらい?そんなにやってないですね。

小室:
うん、『いいとも』じゃないですからね。

石井:
ずいぶんやってますよね。

小室:
うん、だから『笑っていいとも』みたいになっちゃったら、どうしようと思って不安なんだよね。

石井:
僕、今やってる音楽番組では一番好きですよね。

小室:
そうですか。客観的に見て、こんなにゲストが豪華なのはないと思いますよ。

石井:
うん。で、あと、わりかし本音がポロポロ、ポロポロ出ちゃったりとか、その人のなんか、なんていうかな?まあ、変な話、醜い部分とかもペロッと出ちゃったりとか。なんか、そういうのが出るってことは、やっぱりプロデューサーなんだなっていう気がしますよね。

小室:
ああ、ああ、そうかな?

石井:
だから、そういう人のなんていうかな?裏表というか、その人の持っているテイストみたいなのをピュッと引き出す、なんかそういう魔力みたいなのを持ってらっしゃるのかな?っていう気はちょっとしますよね。

小室:
僕もね、だから、最初はすごくネガティブだったんですけど、まあ、これだけ回数重ねて、いろんな方のお話し聞くと、この短い時間で確かにね、なにを言いたかったのかとか、これから何したいのかとか、そういうのがこうね、見つけるのが楽しくなってきたんですよ、少しは。やっぱり、わかんない人もいますよ、たくさん。

石井:
僕だとやっぱり、迷っちゃいますね。こうやって毎回、毎回、人と話してて、で、いろんな考え方あるじゃないですか。自分は赤がいいなぁと思ってて「赤いい、赤いい」なんて思ってて「いやぁ、青ってすげえいいんだよ」って言われちゃうと、「青もいいかもしれないな」なんて思っちゃうタイプだから、あんまり人とのコミュニケーションを、あまりにも多くやり過ぎると、自分の個性みたいなのが流出してしまうっていうか、ふやけてしまうっていうか。「本当にこれでいいのかな?」っていう、その確固たる自信が失せていってしまうような恐怖ってありますよね。そういうのってないですか?あんまり人の話し聞き過ぎちゃって、自分の今やつてる仕事、悩んじゃうって。

小室:
僕の場合はね、それがないんですよね。本当、スーッと入ってきて。だから、さっきもいったんですけど、小室哲哉であって小室哲哉でないんですよ、ここにいる時は。もうホスト小室哲哉に慣れてるんで。

石井:
そう言われると、必死になって話してる人が馬鹿みたいですよね。一生懸命時分の主張をして「小室さん、違いますよ、それは。俺は小室さんの言ってること、それは違うと思うな」なんて、必死になつていってる人が馬鹿みたいに見えちゃいますよね。

小室:
まあ、聞きますけどね、ちゃんと。で「ああ、こういう考え方もあるな」と、思うんですけど。やっぱりね、音楽がね、同じ邦楽という中かもしれないんだけど、やっぱりね、ぜんぜん違うんですよ。

石井:
でも、邦楽と思ってないんじゃないですか?自分で。

小室:
うん、自分もそうかもしれないけど、あまりにもやっぱりジャンルがね、違うんですよね。例えばチャートで隣り合わせになってたとしても、すごい離れたところにいる音楽な感じなんですよ。なんで、だからギスギスした感じでは、僕も話に入らないで済むってところもあるし。やり方が例えば、打ち込みにしてやってる人もゲストに来たりして、そういう話をしても、やっぱりね、ちょっと違うんですよね。

石井:
じゃあそれは、その人を馬鹿にしてるってことじゃないですよね?

小室:
馬鹿にしてるってことじゃないですね。

石井:
そういうことではなくて「ああ、俺とは違うわ」っていう?

小室:
うん。ぜんぜんそうじゃないですよ。

石井:
ああ、やっぱり…それは馬鹿にしてるってことですね。でも、あれですね、柔らか〜く人と話してて、それで人を斬る人っているじゃないですか。「ああ、そうですか。じゃあ、あんまり御教養はないみたいですね」とかって、ゆっくり言うんだけどすっごいキツいこといってる、みたいなね。

小室:
あのね、僕はね、小学校ぐらいの時からよく言われましたね。

石井:
そうでしょ。イジめられたんじゃないですか?けっこう。

小室:
イジめはなかったですけど、そんなに。なにげなくキツい、って言われる。「なにげなくお友達を、あなた傷つけてるのよ」とかね、先生から言われたこととかね、ありましたよ、けっこう。自分ではね、なんか自転車、誰かが買ってきて、それでなんか自転車で「あ、こけ、こんなのも付いてないんだね」とか明るく言っちゃったりしたことあるんですよ。すごい傷つけちゃったことあって。

石井:
ああ、嫌なタイプですね。

小室:
その時、それは自分でも嫌なタイプって思って、それからそれでもすごい気を付けるようにしたんですよ。その時ね、誰かに注意されたんじゃなくて、フッて自分で思って。

石井:
「これはいけないんだ」と。

小室:
自分がそれを持ってたわけじゃないんですよ。

石井:
意外とそういう言われ方しますと、自殺とかしますよね。

小室:
その人が?

石井:
ええ。

小室:
アブないですね。

石井:
やっぱり「おまえなんか馬鹿野郎!馬鹿野郎!馬鹿野郎!」なんてやられた方が「くっそー」とかっつって、で、あとから仲良くなったりするけど、なんか「へぇー、意外と馬鹿なんだ」とかっていつて、スッと帰られちゃったりなんかすると、そのまんま落ち込んじゃってね。

小室:
そう、なんか残っちゃったりするでしょうね。

石井:
ええ、しますよ。

小室:
だからもう、本当、その時、今、ポッと出てきたのは、まだしっかりその時の思い出っていうか、それは教訓で覚えてるんですけど。なんか、それからは本当、気を付けるようにしてるんですけどね。それでもやっぱ、そういう片鱗てあるんですかね。

石井:
ただあの、音楽聴いてて、「この人は過激な人だな」っていう気はしますよ。

小室:
ああ、音でですか。

石井:
ええ。音のなんていうか、尖り方というか、突き刺さり方というか。で、あの、決して穏やかな人ではないな、っていう気はしますけどね。まあその、根本的には非常にお優しいとは思うんですけども。

小室:
そんなことないですよ。

石井:
ただあの、すごくこう、なんていうのかな?鋭い刃物を持ってらっしゃるな、っていう気はちょっとしましたけどね。

小室:
まあ、キツいかもしんないですね。基本的にはね。あのねそうか。でも石井君もだから、今日ここに出てる石井君ていうのは、そこらへんアレなんですかね?パフォーマーの一つの?そういうわけでもない?

石井:
いや、それだから、さっきね、小室さんの意見で「今、僕がいるのは、僕じゃないんだよ」っていうね、その「僕は小室哲哉であって、小室哲哉でないんだ」っていうのを聞いちゃうじゃないですか。そうすると「いや、待てよ。じゃあ俺も、石井竜也という本名で、自分を出すのは損だなぁ」とかって思っちゃいますよね。そうするとなんか、言っちゃあいけないことなんですよ、それって。

小室:
あ、そうですね。

石井:
そうですよ。

小室:
いや、それはね、なんで今日言ったかっていうと、石井君が「あ、本質をね、今日は付いてきてんだな」っていうことで。

石井:
ああ、なるほど。

小室:
だったら、かえってそのままやるのは悪いのかな?って思ったんですよ。

石井:
ああ、なるほど。僕に合わせて?

小室:
いや、合わせたわけじゃないんだけど、あの「これは本音をぶつけ合う番組です」と言った場合に、本音同士じゃないと失礼かなと。それはいろんなゲストの方によるんでね。やっぱり最初っから最後まで、もう自分をピシッとバリアー張ってる人もいるし。

石井:
あの、小室さんの態度を見てるとわかりますね。テレビ見てて「ああ、乗ってないんだな」とかね。なんかそういう部分ていうのありますよね。こうやって(椅子にもたれながら)「ああ、そうなんだ」って話してる時と、今みたいにこうやって(テーブルに肘を突いて)話してる時と、両方ありますね。

小室:
ありますか。そういうウォッチングで怖いね。

石井:
いや、意外とファンの方っていうのは見てるんじゃないですかね?そういう、ちょっとした表情とか。

小室:
石井さんでさえそういうふうに見てるわけだからね、ちゃんと。

石井:
そうですよ。僕みたいにがさつな人間でさえわかりますからね。

小室:
いや、鋭く見てるじゃないですか。

石井:
あの、一番今まででやり辛かったゲストの方ってだれなんですか?

小室:
うーん。吉田拓郎さんじゃないですかね。

石井:
ああ、あれ面白かったですもん。

小室:
一番、面白いと言われたし。

石井:
アレは面白かったですよね。

小室:
清志郎さんも大変でしたけどね。

石井:
清志郎さんはどんな感じだったんですか?なんか歌っちゃったりしたんですか?

小室:
やっぱりすごくホンワカした人だったんで、どこを持ったらいいのかわかんないっていうか。ぜんぜん楽しかったんですけど。あとは小林武史さんとか、一回もニヤリともしてくれなかったんで、ピシッとビジネストークをしましたけどね。

石井:
ああ、そうですか。やり辛い方いっぱいいますからね。

小室:
いろいろ面白いですけどね。

石井:
じゃあ、僕は、今日はけっこう。

小室:
石井君もでも、今日ちょっと面白かった。想像してたのとは違う。

石井:
想像ってどんなの想像してたんですか?もっとフザけるのかな?とか。

小室:
えぇと、だから広告塔っていうか、米米クラブであったり、その監督さんの

石井:
さんていうののなんていうか、コメンテーターっていうんですか。映画の時、すごいたくさんインタビューしてたじゃない、僕もああいうので見てたんで。

石井:
もうやりたくもないのに、ずいぶんやりましたよ。

小室:
すごいやってたでしよ。ああいうのとかも見てたんで。

石井:
でもあの、大変な作業ですよね、あの、プロモーションっていうのは。

小室:
大変ですよね。

石井:
あの、他の方をプロデュースする時にプロモーションとかも、企画とかするんですか?

小室:
しますよ。こうしよう、ああしようって。

石井:
「この文字はちょっと違うよ」とか。例えばプロモーションビデオとかも?

小室:
うん。しますよ、そういうのは。それはあの、コースありますけど。松・竹・梅で。

石井:
ああ、そうですか。

小室:
人によっては音だけのもありますから。

石井:
その、松・竹・梅とかって言えちゃうのが、またいいですよね。なんか「うん、君はちょっとゴメンネ、この値段じゃあ、ちょっと困っちゃうんだな」っていう。「だったら、梅でお願い」って。

小室:
うん。本人には言わないですけどね。

石井:
言わないけど、そういうようなランク付けで。

小室:
それはメーカーとね。

石井:
話し合って、「じゃあ、梅でいきましょう」みたいな。

小室:
そうです。

石井:
その何百万とかっていうヒットっていう部分で、アイテムっていうのが多分、小室さんの中で、きっと家の引き出しの中にあるのか、自分の頭の中にだけあるのかわかんないんだけど、そういうアイテムみたいなのを、チョイチョイと出してきて、で、プロデュースしてくっていう方法なんですか?それともその場、その場でやってく方なんですか?

小室:
え?うーん、いや、その場、その場ですよ。アイテムっていったって、僕はまだいまだにアレですよ、『君がいるだけで』を抜いてないですよ。枚数的に。

石井:
いや、そんなことはないでしょう。

小室:
本当なんだ。一枚でまだ『WOWWARTONIGHT』とか『愛しさと切なさと』とか、アレが僕の中の200万越してる最近ので、250とかいってないですから。たからああいう、あの時の瞬発力とかも研究しましたよ。

石井:
ああ、そうですか。「なぜか?」という。

小室:
アレは初回がすごかったんですよ。

石井:
そうですね。よく御存知ですね。

小室:
そういうのは、すごい見ますね。

石井:
こうやって聞いてると、やっぱあれですね、商売人て感じですよね。

小室:
もうビジネスマンになっちゃいますよね。

石井:
ね。まあもっとも、僕は『君がいるだけで』の時にいったんだけど「何百万枚とかね、何千万枚とかっていってるけど、じつは何千万人とか何百万人ていう、聴いてくれてる人は人間なんだから、枚数じゃないんじゃないか?」ってコメントも出したことあるんですけども、ただそれはその「売れたから言えるんであって、売れねえ人は言えないんだよ」って、よく社長から怒られましたけど。でもまあ、その、枚数とかっていうこだわりっていうか、その、僕、今ちょっと話してて「ああ、やっぱりこだわってらっしゃるんだ」と、ね。改めてそういうふうに感じたんですけど、やっぱりその枚数と、それから曲の善し悪しというか、そういうことっていうのは、もう自分の中では、はっきりとその、なんていうんですか?枠組みにちゃんとスコンと入ってるんですか?

小室:
そうですね。こだわって、顕著に出ますね、それはね。

石井:
いい曲は売れると。

小室:
と、いうことですよね。と、思ってますね。

石井:
歌詞っていうのは、いつもいろんな方が作詞を?

小室:
うん。書いてくれる場合もあるし、自分で書く場合も。

石井:
自分で書く場合っていうのは、歌詞の場合はわりかし冷めた歌詞が多いんじゃないですか?

小室:
うん、そうですね。あんまり熱い歌詞じゃないよね。歌詞の場合はでも、自分はそんなに、なるべく主張しないようにって、歌詞に関してのみはそのアーティストっていうか、歌う人のことを考えて作ってるんですけどね。ちょっと最近、辛いですね。

石井:
ああ、そうですか。

小室:
ちょっと前、この番組中の前半の方は、詩、書く人たくさん出てくるでしょ。例えば飛鳥とかにも「詩、書くの、今、楽しいよ」みたいな話してたんだけど、それから半年ぐらいしか経ってないんだけど、もう辛い、今ね。

石井:
ああ、そうですか。

小室:
言葉がないっちゅうか。

石井:
大体、アイテムになっちゃいましたよね。詩って。

小室:
そうなんですよ。

石井:
日本の今のね、アニメーションの主題歌もそうだし、もう演歌まで、全部なんかその、言葉のアイテムは決まってるっていうか。それでもう、そのアイテムを並べ換えることによって売ってるっていう感じで。それってでも、けっこう断末魔っぽいところないですか?

小室:
そう。だから、新曲、一個新しい単語見つけられたら、もう出来上がりっていうか、もう嬉しいっていうぐらいで。一個見つかると、とりあえず書けるかなっていう感じだね。そのぐらいになっちゃってきてるので。

石井:
自分でこれからまあ、音楽しかやってないと言いつつも、映像の仕事とかそういうのやりたいとは思わないんですか?

小室:
映像はね、一回、挫折してるんですよ。一家に、映画会社まで作ったことがあるんですけど。映画を作ろうと思って。

石井:
ああ、そうですか。

小室:
それで、もうやっぱり、作る前に、もうお金集める時にやめちゃったんですよ。「あ、やっぱ無理だ」と思って。「自信ない」と思って。

石井:
ビジネス的に無理だと?

小室:
ビジネス的にもそうだし、自分がそうやって企画して、まあ、監督までは考えてなかったけど。企画自体ね、これはちょっとダメだって思ってね。やめちゃったんですよ

石井:
やっぱプロデューサー志向なんですね。

小室:
うん。その時点でやめるって思ったのがそうですね。そういう、もうちょっと冷めて見てるっていうとこで、プロデューサー志向だったと思う。

石井:
そうですよね。

小室:
監督志向っていうのかな、その映像のね、本当に作りたいヤツだったら、やりたいよね。絶対やっちゃうでしょうね。

石井:
うん。そうでしょうね。

小室:
と、思いましたね、その時ね。だから、それからは手、出してないんですよ。

石井:
あれですか?あの、例えば僕が「こういう映画撮りたいんだ」という時に、僕が「小室さん、やってくださいよ」っていった場合に、例えばその映画のテイストに合わせて音楽作りますよね。その時にあの、現場レベルまでこう、なんていうか、手を伸ばせるアレンジャーとして、存在し得るなんていうかな?気構えっていうのはもう、じゃあ今はあんまりないスか?

小室:
それ、映画音楽ですよね?

石井:
映画音楽。

小室:
ええ、ありますよ。

石井:
それはある?

小室:
は、すごいありますよ。

石井:
それでその『天と地と』で、もうそれは嫌になっちゃったとかって、そういうことじゃないんですか?

小室:
じゃないですね。音楽スタッフとして、一スタッフとしての音楽はね、相変わらずやりたいと思う。

石井:
そこに存在し得ると。 個々いい映像だったら。

石井:
楽しいですよね。

小室:
それはね、楽しいですね。まあ、あのね、なんにも入ってないのに付けるのって、一番楽しいですよね。

石井:
そうですね。音楽で死んじゃったり生きたりしますからね。

小室:
あれは楽しいですね。だからもう、それはいずれまた、いい絵とかがね、あればやりたいなと思ってるんですけど、すごく。

石井:
僕はあの、小室さんはすごいわがままな人だと思ってましたね。

小室:
基本はそうだと思いますけど。

石井:
そうでしょうね。じゃないと、人のプロデュースなんてできないですよね。だから、もうちょっとね、まあ、この番組始まって、見ててそういうイメージはなくなりましたけど、あの、やっぱり最初の人伝、ただ見かけだけの判断でいうと、すごいナイーヴで、それですごいなんていうかな?ちょっと病的に神経質で、ちょっと近づき難いような、そういうイメージを自分から醸し出してくるような人なのかな?って、ずっと思ってたんで。で、この番組、始まって「ああ、こういう人だったのか」っていう、ちよっと意外な感じがしましたよね。それは、今の感じが普通なんでしょ?

小室:
うん、普通ですね。だから、これきっと、打ち合わせとかで話してる時も。

石井:
まあ、こういう感じと。

小室:
こういう感じで。もしも石井君がなんか、例えば映画の話をもってきたとすれば、きっとこういう感じで。

石井:
だからでも、仕事が増えるんですね。やっぱり話づらい人に仕事、持ってかないですもんね、スタッフは。

小室:
そうですかね?

石井:
いや、持ってかないですよ。僕なんか、映画作ったりしてても「うん、それはちょっと違うかな?」とかって。

小室:
そういう人いるんですか?

石井:
まあ、そういう人いるじゃないですか。「僕は違うと思うな、それは」なんて、最初から否定されちゃうと「うーん、そういう人とはちょっとできないな」ってなりますもんね。

小室:
まあ、これが映画になると話が長くなっちゃうんですけど、ふくらんじゃうんで。まあ、そろそろまとめますけど、それでも多分、許容範囲があるんですよ。僕も「どう考えても無理だ」っていう場合は、やっぱ「無理だ」ってその前に言うし。なんとか自分で助けるとプラスにね、まあなんか、なるかな?っていう時だけですよ。全部が全部受けるわけじゃないですからね。断ってるんですけどね、これでもけっこう。

石井:
ああ、そうですか。もう、とんでもない数の電話が、今、事務所にかかりきりという。

小室:
とりあえず今は、ちょっとタイムリーですからね。その音的にもね。

石井:
これ、自分で最後に聞きたいなと思うのは「どのぐらいの期間、これいくかな?」みたいなの考えるんですか?

小室:
うん。僕も聞きたいですね、それはね。すごい有能なそういうアナリストっていうんですか?そういう人がいたら聞いてみたいですね。どのぐらいいくんでしょうかね?Beingっていうのがずっと全盛でキテて。で、なんか「Being終わったね」みたいな話もあったけど、Beingの人まだ売れてますよね、ガンガン。相変わらず上位に入ってたりとかね、してるんで。

石井:
Being本当に、番組まで作っちゃうぐらいすごかったですね、一時期。

小室:
もつんだな、と思いますね。

石井:
うーん。なるほど。やっぱり、やりようというか。

小室:
うん。そうですね。なんかすごいね、今ね、40分?50分ぐらい話してる?

石井:
「まとめてください」って出てますね。まとめるっつってもねぇ。

小室:
もともと、まとまらない番組なんですよ。

石井:
そうですね。

小室:
始まりもなんか、ダラダラと始まって。

石井:
「じゃあ、本当に、今日はどうもありがとうございました」私が言っても仕方ないですね、ええ。なんかいろいろ聞いちゃいましたね、裏話。

小室:
なんか、お互い聞きたいことが多すぎてね。

石井:
ええ、そうですね。お互いに。

小室:
質問攻め。

石井:
そうですね。

小室:
僕、もうちょっと聞きたいこともあったんですよ。衣装のこととかね。

石井:
衣装って自分でやってんですか?

小室:
いや、自分じゃやってないです。

石井:
あ、そうですか。

小室:
でも、衣装とか、すごい聞きたかったですね。けっこうこだわりとかね。

石井:
じゃあ、これ、2回に別けたらどうですか?

小室:
別けたいくらいですよ。

石井:
ねぇ。別けた方がいいですよ、きっと。

小室:
どうせ総集編とか、またいろんなスペシャルとかね、けっこうあるんで。

石井:
ねぇ、あったりしてね。

小室:
ウマく使い回しはしようと、きっと考えてるでしょう。

石井:
チェッ。そうか。

小室:
この静かな中にも、ウネりはあったと思いますね。話の。

石井:
あ、話のね。充分あったんじゃないですかね?ウネりはあったと思いますね。なんか僕も人生の勉強になりました。

小室:
湖のような静けさじゃないですよね、一応。

石井:
いや、そうですね。でもあの、わりかしそうじゃないですか?どの方と話してもこういう感じになるんじゃないですか?

小室:
うん、そうですね。思わぬ人が盛り上がったりしましたけどね。ピチカート・ファイブの小西さんとか。あんな人が…。

石井:
「あんな人」っていう、そんな言い方はないですよ。「あんな人」なんて、そんな人でなしみたいな言い方はよくないですよ。

小室:
あんな武骨なっていうか、喋らなさそうな人が、僕とダジャレ合戦したり。そういう展開になった時に…。

石井:
あんな馬鹿なことやるんですね。

小室:
馬鹿なこととか言ってる。

石井:
ああ、そうか。それもアレですよね。ああ、そうですか。でもあの、そういう意外な人と会えるというね、メリットもありますよね。こういう番組やってると。いいなぁ、僕もやってみたいな、こういうの。面白そうだなぁ。

小室:
これはこれでね、なんとか楽しさをさがさないと、辛いだけですね。

石井:
あ、さがしてるんですか?

小室:
やりながらですけどね。

石井:
まあでもね、辛い質問なんかも、投げかけられる時もあるでしょうから。そういう時はやっぱりね。

小室:
なにせ台本もないですからね。

石井:
でも、台本覚えないでしょ?

小室:
台本はあっても、まあしょうがないけど。この人はこういう人ですと。で、こういう質問をすると、こういう感じでっていうのがなにもないですから。探り、探りでしょうね。

石井:
ああ、じゃあ、今日はずいぶん長いトークの方なんですね。

小室:
長いトークの方ですよ。

石井:
一番長いトークって誰だったんですか?

小室:
石井君じゃないですかねぇ?

石井:
ああ、そうですか。僕が一番長い?ああ、よかった。じゃあ帰りましょうか、そろそろ。ああ、そうですか。

小室:
ネッチリ話せたと思うんですよ。

石井:
ああ、そうですか。ありがとうございます。またなんかの機会にね。

小室:
そうですね。お酒、飲むんですか?

石井:
僕ですか?ぜんぜん飲まないです。

小室:
あ、飲まないんですか。飲まない感じは、ちょっとしたんですけど。

石井:
飲まれるんですか?

小室:
僕もあんまり飲まない。

石井:
じゃあ、お茶かなんか飲みながら。ジジイとババアみたいですね。

小室:
話をもう一個すると面白いですね、きっとね。

石井:
そうですね。

小室:
今、入り口なんでね。

石井:
そうですね。お互いになにか探り合ってるなっていう。

小室:
今日ほどね、お互い探ってるっていうのが画面に出たのはないと思う。

石井:
ないですか?いや、探ってないですよ、べつに僕。

小室:
本当?

石井:
ええ。いやほら、僕の場合はわりかしあの、見られてるところもあるでしょうけども、小室さんの場合はほら、こういう番組に出てるにも係わらず、わりかしベールに包まれてる。

小室:
そうですね。

石井:
不思議なね。だから「この人、夜、ひょっとしたら女性の下着、盗んでるんじゃないかな?」と思うようなフシもこう、見えてくるし。かといって「ひょっとしたらこういう人が、なんかサッカーとか好きで、じつは立ってみると筋肉モリモリだったりなんかするんじゃないか」って思うようなフシも出てきたりするし。

小室:
わからないことが多い?

石井:
不思議な方ですよ。

小室:
けっこう週刊誌とかも出てるんですけどね。

石井:
でも、アレですよね。秘密を保持してるという。

小室:
してますかね?

石井:
うん。すごいな、と思いますよ。飄々と世間を渡ってらっしゃるビジネスマン、ていうイメージを、僕は持ちましたね、ええ。

小室:
じゃあ、もうちょっと深く。

石井:
今度ね。

小室:
ええ、話しましょう。話したいですね。ありがとうございました。長々と。

石井:
いえ、いえ、とんでもないです。これからまた何人ものゲストを?

小室:
今日はあと3組あります。

石井:
3組?ああ、もうあとは流してください。

小室:
はい。


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