TK MUSIC CLAMP

TKMC

NON EDIT TALK : 小室哲哉★Bro.KORN


小室:
こんばんは、小室哲哉です。

マーク:
こんばんは、マークです。

小室:
変則的だからね、いたりいなかったりで。今日はいるんですね。

マーク:
ええ。今日はいます。

小室:
あの、マークがいる時は、お客さんがちょっと、なんていうんですか?気さくな方な場合が多いのかな?

マーク:
そうですかね?

小室:
お友達でもあるんですよね?

マーク:
はい。もう何回か一緒に。僕、憧れてましたから。

小室:
僕は遊んでもらったことはないんですけども。

マーク:
遊びましょう。

小室:
今日のゲストはですね、ブラザーコーンさんです。

マーク:
イェス。

コーン:
遊んでちょうだい、ぜひ。

小室:
どうも。

コーン:
はい、ということでお久し振りです。二人ともすごいお久し振りで。

小室:
お久し振りです。

マーク:
お久し振りです。

小室:
僕はもう、ラジオかなんかに一回出させていただいて。

コーン:
そう、一回来てもらって、それで今の音楽、まだこれからやるんだよ、っていう時でしたよね。

小室:
そうですよね。まだなんにも始まってなくて。

コーン:
それがもう、みるみる。

マーク:
それ、いつ頃なんですか?

コーン:
もうね…2年以上前じゃないかな?

小室:
うん。trfを作ったばっかりの時に、かけてもらえなかったわけ。あの、ダンスミュージックっていうか、テクノみたいなのやってたから。もう、モロだったでしょ?だったから、ラジオでもオンエアっつっても、かける場所なかったんですよ。そしたら。

コーン:
そうそう、そう。だから、これは僕は「面白いな」っつって、すごい打ち込みの仕方とか、そういう話をして。そうしたらダァーッ!もう、大当たりも。

小室:
その時まだ『EasydoDance』っていうのもなかったし。

コーン:
そうそう、なかった。で、その当時はなんだったっけ?

小室:
まだね、その、まあ、うーん…。

コーン:
やっぱテクノサウンドっていうもの?

小室:
テクノの初期の。

コーン:
その初期のはまだ、耳慣れないっていうかね。だから、YMOのテクノと、そんな大差ないぐらいのイメージ。テクノっていうのがね。

マーク:
それでコーンさんが、そういうダンス系の流すっていう?

コーン:
そうそう。そういう話をしてて。

小室:
あれはダンスミュージックの番組だったんですか?

コーン:
そうそう、ダンスミュージックの。

小室:
ソウル、古いのかけたりとか。

コーン:
そういう番組だったと思うんですけど。僕もちょっと、話の内容はすごいよく覚えてるんだけど、番組がどういう番組だったかっていうのは、ちょっと…。

小室:
なんか、リスナーからテープとかなんか…。

コーン:
ああ、そうだ、そうそう。なんかね。

小室:
そういうのやってましたよね。

コーン:
送られて、これはどういうアレンジしらいいのか?とか。

マーク:
曲を送ってくるんですか?

コーン:
そうそう。あとDJのヤツとかね。

小室:
なんかね、僕、バブルがやってるから、もっとオチャラケた番組だと思っていったら、すごい音楽的な番組だったの覚えてて。びっくりしちゃったんですけども。それとDJの紹介とかね、そういうのも。そこでかけてもらったのね。で、その時、僕がゲストで行って、trfじゃないのにtrfのお皿を持って、いわゆる「皿回し」ってヤツを。

コーン:
そうそう。

マーク:
え?皿、回したんですか?

小室:
プロモーションのことを「皿回し」っていうんだよ。

マーク:
あ、そうですか。

コーン:
それでね、こんなような話をしてたかもしんない。ユーロビートとハウスとテクノと、ゴチャ混ぜになってるっていうかね、頭の中が。だから、そういう話も多分したと思う。で、ここは明らかにこういうとこは違うとか、なんかいろいろ。

小室:
したかもしれないですね。僕もだから、それでけっこうコーンさんとか、どっちかっていうと僕のイメージでは、ブラックミュージックっていうね、はっきりわかんないですけど、ソウルとかそっちの方なのかな?と思ってたから「あ、けっこう詳しいな、この人」って。

コーン:
まあ、演歌も大好きなんだけど。

小室:
案外びっくりしましたね、それはね。

コーン:
でも、本当になんでも聴いちゃうっていうかね。結局、音楽でまあ、好きなものはそのブラックミュージックなんだけど、音楽そのものが好きになればなるほど、他のものに興味が出てくるっていうか。他のとこから見ると、こういうふうに見える、とかね。例えば外国によく行く方が、僕も年に一回、アメリカとか必ず行くんだけども、行けば行くほど日本がよくわかるっていう、あの意識。

マーク:
違うところが見えてくるという。

コーン:
そうそう、そう。日本の良い悪いということが、はっきり浮き彫りにされるっていうかね。でも、日本で育って、ずっと日本にいると、そういう日本しかわかんない。それもいいのかもしれないんだけど。

小室:
じゃあ、その基本の、日本みたいなものっていうのはブラックミュージックなんですか?コーンさんの場合。

コーン:
あのね、ブラックミュージックなんですけど、やっぱり侘び寂びをね、どうしてもね、僕は入れたい。うーん、これはだから、外国の方が、我々バブルガムブラザースの曲を聴くと「わかりやすい」って、よく言われるの。

小室:
ああ、なるほど。

コーン:
日本的だと。それが僕は狙いだったんで。で、自分の生きてきたそのプロセスの、そのメロディとか。全て、そういうなにかに影響されたかわかんないけど、日本の中のフォークかもしれない、ロックかもしれない。アメリカのFENで聴いてた白人のロックかもしれない。なんか、いろんなそのアレが混じっちゃってて。だから、そういった部分で、出来上がるメロディっていうのが、やっぱりもう、十何年経っちゃいましたけどね、結局、コーン節みたいになっちゃてて。でもあの、小室さんのも聴いてるとやっぱり、そういったその、日本のすごくオリエンタルな部分のメロディっていうのが、非常にやっぱり感じるんで、すごい嬉しかったなっていうね。

小室:
そう、あの、自分で作っててね、自然に出ちゃうメロディで、なんか向かし聴いた童謡みたいに聴こえちゃう時があるんですよ、自分で作ったメロディだけとると。で「これ、何人の人かは、このメロディカッコ悪いと思うかな?」とか、いろいろ頭で想像するんだけど、でもまあ「しょうがないよ、出ちゃったんだから」って思っていつも出すんですけど。案外そこが、みんなカラオケでは一番、力入れて歌ってるとこだったりするんですよ。

コーン:
そうそう、そうそう。そうなんだよね、これが。

小室:
そういうことがあるんですよね。

コーン:
あの♪Everybodydance〜って曲あるでしょ?あれがね、もう何回聴いても懐かしくて涙が出ちゃう。もう、何回も聴いてるんだけど、なぜか涙が込み上げる系のね、フレーズなんですよね。

小室:
ああ、そうですか。

コーン:
なぜかはわからないですけど。あれはもう、名曲だと思う。

小室:
ありがとうございます。やりたくてやりたくて、ずーっとやりたかったことなんですけど。まあ、trfもそれこそテクノから始まって、で、あそこにいきなり行けないじゃないですか?

コーン:
うん。そうですね。

小室:
だから、2年我慢してというか、そういう感じでやったんですけどね。

コーン:
で、あの、B.P.Mがやっぱりあそこでトンッと落ちてるっていうか、そのへんがね、やっぱり日本もそうだし世界でもそうだけど、いわゆるメジャーっていう部分の、いわゆるコアではないところをちょっと突いたなっていう。そのへんがもう、微妙にわかっちゃったんで、素晴らしいなっていう感じ。あのB.P.Mで日本人がね、ディスコで聴くと、昔のその、遊んでた人間たちが、今、甦ってくれるんじゃないかな?っていう。テンポって大事じゃないですか。

小室:
大事ですね。

コーン:
だからB.P.Mがもう2ぐらい違っちゃっても、ぜんぜん感じが変わっちゃうんで。だから、速いは速いで、またそのノりあるんだけど。だから、ジャングルとか出てきた時に「このリズム隊はどうなるんだろうな?」って、やっぱ僕は思ったんですよ。

マーク:
速いですよね。

コーン:
♪ドンツクタン、ツク、ドンツクタン、ツク〜ってね。なんかニュージャックスィングをメチャクチャ速くしてつないだみたいな。

小室:
なんか、始まった頃は、そういうジャズ系の人も、テクニックがある人はね、速いテンポのやってみたいから取り入れたみたいだけど。まあ結局はアンダーグラウンドに納まりましたね、ジャングルは。

コーン:
ああ、そうみたいですね。

小室:
そこに定着っていうか。

コーン:
でもね、その時に、L.Aとかの友達のDJに聞いたら、やっぱりその「ジャングルも入れなきゃなんないんだ」「いや、ジャングルキテるから」っていうね、時期が本当にあったよ。L.Aでもね。

小室:
あ、本当に。へぇー。

コーン:
だから、そういうヒップホップやってる人間たちも、ジャングルのビートつていうのは、すごい意識してたっていうか。

マーク:
レゲエ系の人がジャングルにハマった時期がありましたね。

コーン:
ああ、あったね。ほとんどレゲエ系に取り巻かれたっていう感じだったから。

小室:
まあだから、結局、半分のB.P.Mのね。まあ180だったらさ、半分の90に納まったね。ずーっと、先々週ぐらいまでL.Aに一か月くらいいたんですけど、もうB.P.Mはやっぱり、どんどん遅くなってる。

コーン:
そうそう。で、結局あの、ラップでも、本当にニューヨークでもL.Aでも、本当にB.P.Mは90とか以下。それがもう、絶対にあの黒人に絶賛される、アフタービート感じる、みたいな。そういう状況のが多いんで。あのメソッドマンなんかでも、とかあのへんももう、かなり遅いラップが流行ってて。ただ日本でね、まあ僕もJ−ラップとかなんとかいう名前をつけちゃったんだけど、日本でそういうラップも、ラインもラップしていく状況においては、非常に気持ちよく引っ張れるラッパーが、今すごいいっぱいいるんだけど、それを聴くオーディエンスの方が、あのテンポについていけないっていうのが、けっこうあるんだよね、日本人の人たちが。

小室:
それはまあ、難しいですよね、確かにね。

コーン:
やっぱりね、日本人てまだB.P.Mが速い方で盛り上がりたいっていうか、それはあの、土壌なのかもしれないんだけど。

小室:
そうですね。日本の環境っていうのもね、なんていうのかな?結局お酒で盛り上がるっていうか、若い人は。

コーン:
うん。そうそう、そう。

小室:
それが当たり前で基本だから。

コーン:
そういう感じ。でもね小室さん、それをどんどん遅くしていく状況っていうのがね、やっぱりね、日本人がついてきてるっていうのが、すごいと思うのね。だからダンスブームの時に、昔って、僕が遊んでる頃、踊りがウマいヤツっていっぱいいたのに、なんで俺が歳をとるたびに、若いヤツのリズム感がなくなってんだろうな?と思う時期があって。でもやっぱり、そんなことはなくて、ボビー・ブラウンとかね、ハマーがあのダンスやって、みんなハマ男君とかジャネ子さんとかいた時期に「なんだ、踊れるんじゃない」っていうね、感じがあったんで、すごく安心したっていうのがあって。「日本人の音感て、まんざらじゃないな」っていう。

小室:
まあ、僕なんかダンスとかぜんぜんできないんで、ダンサーっていうのはやっぱり、進歩してるとは思ってんですけどね。

コーン:
すごい進歩してる。

小室:
若い人も。

コーン:
で、体つきが進化してるでしょ?なんか。足は長ぇわ、手は長ぇわ。

小室:
腰、高いよね。

マーク:
動きとかも変わってきましたよね。

コーン:
だから、僕らの歳のダンサーが、ブラックミュージックで踊るダンサーたちがね、九州の方にいっぱいいるんだけど、ヨシボーというね昔からダンスの神様と言われている人間が、いつもブラザーたちが踊るのを、俺たちは体型で埋めるにはどうしたらいいかっつったら、つま先を立てて踊ったりね、膝から下を長く見せながらリズムを刻んでいかないと、絶対、日本人がいくら頑張ってもね、日本人の体型では華麗に見えないと。でも、そこをなんとか日本人で駆使していかなきゃいけないっていう、そういった苦労をずいぶんしてるダンサーがいて。でも今、そういう悩みはあんまりないっていうかね。

マーク:
つま先で踊ってたんですか?

コーン:
いや、つま先をワザと立ててね、そういう感じに見せるっていう。

マーク:
バレリーナみたいですね。

コーン:
まあだけど、つま先で全部踊るわけじゃないんだけど、つま先を立てたリズム感でアフタービート感じさせるとかね。でも今、いないもんね。みんなすごいいい体してるから。男も女も。

小室:
そう、そう。腰、高いからね。

マーク:
そうですよね。

小室:
パンツ下げてても、一応、様になってるもんね。

マーク:
そう、パンツ下げてるんだけど、ブラザーのように「腰はここにあるぞ」っていうのわかるんだよね。

コーン:
パンツ下げて、めくるとパンツがこんだけ見えてんだけど、でもおかしくないなっていうね。昔だったらね「なんだ、おめぇ?」みたいに。

小室:
ただの胴長になっちゃいますけどね。

コーン:
そう。胴靴クラブっていって、胴の下すぐ靴の人もいましたからね。

マーク:
胴靴クラブ?

コーン:
胴靴クラブなんてありましたけどね。ソレもんですもんね、昔だったらね。で、音楽とそれからダンス、ファッションっていうものが、すごいもう、こんなに入り乱れてる日本っていうのを見てて、すごいびっくりしてる。

小室:
もう、渋谷とかは、一年に一回ぐらい、チラッとだけちょっと歩いたりするんですけど、なんか、撮影のエキストラみたいですよね、カッコよくて。

コーン:
ああ、そうそう、そう。

小室:
このあいだ、びっくりしちゃって。歩道とか車のとこに立ってる人、なんかモデルみたいなんだよ、みんな。

マーク:
カッコいいですよね。

コーン:
カッコいい、カッコいい。で、女子高生の服が、もう普段着みたいでしょ、なんか、ねぇ?制服なんだけど、普段着みたいなの。あれ、なぜ?

マーク:
お洒落になってきてるんでしょうかね?

小室:
ロスよりはお洒落だね、渋谷のほうが。少なくともファッションは。

コーン:
うーん。そうかもしれない。

小室:
なんか、あそこまで気を遣ってる国、ないんじゃないかな?

マーク:
だんだん個性的になってきたんでしょうね、若者みんなが。

コーン:
えぇとね、2〜3週間ぐらい前にちょっとL.Aいってて、仕事で。L.Aってやっぱり、山が見えちゃうところが。

小室:
うん。かもしれないですね。

コーン:
そういった部分がさ。まあシブいんだけど、やっぱり田舎っぽいよね。どうしてもニューヨークとかいくと、すっごい格好したブラザーとかシスター歩いてるもんね。L.Aのファッションて、やっぱ違うでしょ。ニューヨークみたいな寒いとこと。

小室:
一週間いると、どうでもよくなってきちゃうから、だんだん。

コーン:
そうそう、そう。

小室:
「今日もこのTシャツでいいや」ってなっちゃうんですよ、どうしてもね。慣れちゃうんですよ。

マーク:
なんなんでしょうね?空気なんでしょうかね?

コーン:
うーん、そうだね。

小室:
まあでも、そうだな、日本のダンスマーケットとかを聴いてるとね、やっぱりね、イギリス産が入ってきてるんですよ、すごく。

コーン:
うん。入ってますね。スキャットマン・ジョンとかね、あのへんの。

小室:
で、ストリートのファッションとか、そういうとこに流れてるのはアメリカっぽいんですよ。だから、二層になっちゃってるっていうか、なんか、そういう。CD屋さんがハッチャキになって売って、で、アンテナ張ってる子たちは、ちょっとヨーロッパ系っていうかイギリス系で、例えばブラン・ニュー・ヘヴィーズとかインコグニートとか、例えばジャミロクワイでもいいですけど。例えば、ああいうものだったりするんだけど。アメリカじゃあ、ぜんぜんああいうのはね、ほとんどなくて。やっぱりTLCだったりBoysUmenとか、わかりやすいものがさ、普通に。ジャネットもまだまだ、もちろんしっかりあるし、マイケル・ジャクソンもそうだけど、わかりやすい人たちがガァーンと。マライアとかも出てて。で、日本の街中も、そういうふうになんか、混ざってるんだけど、けっこうそれでも別れてる感じがするんですよ。

コーン:
すっごいUKもんが、本当に出てきてね、今。

小室:
出てきてますよね。

コーン:
で、UKもんでも、モロにヒップホップみたいのもあるし、やっぱりブルーノートレーベルとかあのへんで、やっぱりジャズをかまして。でも、僕があの、だれだっけな?ガリアーノとかにちょっと聞いた時に、やっぱり「ニューヨークでウケたい」っていうのね。絶対、自分たちの音楽。「ニューヨークで認められたい」って言葉、必ず言う。だからブラン・ニュー・ヘヴィーズは僕はあんまり認めてないっていうのは何故かっていうと、最初に出た頃のブラン・ニュー・ヘヴィーズっていうのが、非常にあの、アメリカの昔のソウルね、アベレージホワイトバンドとか、それからんだろうな?タワー・オブ・パワーとか。あのへんのノりを、すごいパクってたっていうイメージがすごくあって。今は自分たちのね、音楽になってきたんだけど。だから、出た時は「なんだ、これ?UKのタワー・オブ・パワーじゃん」とかね、言い切っちゃってる時期があって。で、ヤツらがやっぱり、やってきた段階っていうのがね、やっぱし今のインコグニートとかあのへんのものに、非常に近くなってるから。で、その中でも個性がいっぱい出てきたりしてるんでね。だから、UKの中のその音っていうのは、すごいそのUKだけで出来上がってるものが、ニューヨークにもすごい影響しちゃってるようなね、気がしてるんですよ。だから、今のUKもんて、ほとんど聴いても、カッコ悪くないんだね。で、カッコ悪いっていうもんが、かえってカッコよく聴かれちゃってたり。ね?『ゾンビ』とかあのへんの曲とか。だから、そういうふうなもので考えると、UKの勢力って、すごいことになってますよ、今。

小室:
今、まあ、湧いてはきてますよね。だから、日本て情報が速いから、それをダイレクトにポーンて今、来ちゃってるけど。アメリカとかは広くて大きいから、今、ニューヨークぐらいまで来てて、で、ハリウッドの、いわゆるショウビズまでくるのはまだね、かなり時間がかかるっていう感じで。

コーン:
ああ、なるほどね。でも、それをきっと狙ってるのかな?っていう感じもすんだけどね。

小室:
僕なんかの立場として、じゃあ、どこらへんをね、まあ、レクチャーも含めて提案してっていいのかな?って。

コーン:
今できるのは、あなたしかいないですからね、それをレクチャーするのは。

小室:
すごくね、迷ってるんですよ。だから、来年まあtrfもそうなんだけど、trfのメンバー、特にダンサーのサムとかとは話たりしてて。「来年どこにもってったらいいんだろうね?」みたいな。だから、すくなくともB.P.Mは、間違いなくゆっくりになるっていって、踊りだってそうだし、「まあ、4つ打ちはじゃあ、来年はとりあえずやめようか?」とかね。「もうそろそろ、やめてもみんな踊れるんじゃないの?」とかっていうことで、少しずつB.P.M遅くしてって。

コーン:
でもね、クリープみたいなB.P.Mだと、また踊れないし歌えないよね。日本の場合ね。だから、そのウマいB.P.Mが。これはね、言っちゃったらきっとネタばらしになっちゃうから、あとで僕が、番組、終わったら聞いとく。

小室:
まあ、間違いなくだから、ファッションはちゃんと取り入れられてて、日本の若い子たちはうまくアレンジもしてて。そういった、いわゆるアメリカのプロデュースチームがしっかり売ってる、そういう若いブラックの子たちのを、きれいに取り入れてるし。

マーク:
言えてますよね。

小室:
まあUKは、汚らしいからね、ファッション自体はね。

マーク:
でも、UKものも入ってますよね。ファッションの中でも。一時期パンクファッションが、ネオパンクとか言われたりとか。

コーン:
ネオもんがね、けっこう。

小室:
取り入れてんだね。

マーク:
やっぱ、あるんじゃないスか?

コーン:
だからUKでね、トーキング・ラウド・レーベルが出てきた時っていうのは、これはもう、完全にアメリカへの挑戦状を叩きつけたって感じだったよね。あのへんが出てきた時。インコグニートとか。だから、それはすごいもう、日本人がまた好きそうなね、音なんですよ、アレ。ブラン・ニュー・ヘヴィーズもそうだけど。

小室:
好きですよね。

コーン:
絶対好きなの。メロウだしね、ちょい侘び寂びが、必ずあるでしょ?UKのメロディラインて。だからそこがね、非常に日本の音楽に影響してるような気がする。

小室:
そう、なんかね、やっぱりジャミロクワイとかはアメリカにはスティービー・ワンダーがいるから。

マーク:
白人のスティービー・ワンダーって書かれてましたよね。

小室:
だから、日本では美味しい部分ていうか、気持ちいい部分だけがスーッとピックアップされたけどね。アメリカとかでは難しいんじゃないですか。

マーク:
アメリカでは、あまりヒットしなかったんですか?ジャミロクワイは。

小室:
うーん。そうね、まあ、本物がいるから。

コーン:
そうだよね、あんまり聞かなかったよね。

マーク:
なるほど。

コーン:
でも、彼らのアルバム聴くと、本当にブラックミュージックが好きなんだなって。

小室:
好きなんでしょうね。

コーン:
もう「大好きだな、コイツ」っていうぐらい。

マーク:
ビデオを見ててもそういう感じしますよね。あの動きとか。

コーン:
そうそう。本当に好きだと思う。彼らの場合は特にね。もう、いろんなもの聴いてるっていうのが、すごいわかるし。いろんなものに影響されてるっていうのもわかるし。

小室:
アレはどうですか?チラッとトリップホップとか名前出てきてますけど。僕もはっきりいって、ぜんぜんわからないんですけど。

コーン:
僕もね、アレ、どうなんのかちょっと…。

小室:
大体まず、どういうものを指すのかわかってないんですよ、僕。

コーン:
僕もね、よくわかんないんですよ。

マーク:
僕、一枚だけCDもらったんですよ、トリップホップ。

小室:
だって、プライマル・スクリームとか入ってるよ。

コーン:
そう、でも、ぜんぜん違う曲とかのイメージが入ってるんで、あれが、どこがどうなっているのかっていうのがわかんないんだよね。

小室:
それはべつにヒップホップの人たちがなんかいってるわけじゃないんですね?

コーン:
と、思いますよ、アレは。

マーク:
でも流行ってるって聞きますよね。

コーン:
すごい流行ってるんだってね。でも、ビデオじゃあ、そういう音楽ってまだないよね。

小室:
ないですね。

コーン:
僕、見たことないもん。

マーク:
プライマル・スクリームのビデオは見たんですけど、あれはロックですよね。コーンだって違うんだもん、アレ、ぜんぜん。

小室:
違うでしょうね。

コーン:
でも入ってるんだよね、アレは。なぜかわかんないんだけど。

マーク:
僕、聞きたかったんですけど、コーンさんと小室さんて、年齢ってどれぐらい違うんですか?

コーン:
僕のが上だけど。でも、ちょい上ぐらいでしょ?

小室:
うん。ちょい上でしょ。

コーン:
僕は大台、乗っちゃったんで、最近。

小室:
世代的には多分、そんなに遠くない世代ですよね。

マーク:
やっぱ、ダンスですよね?遊んでた頃って、同じようなとこで遊んだりとかしてなかったんですか?

小室:
大体、新宿ですか?

コーン:
そう、新宿。『Get』『TheOther』『SoulTrain』とか。

マーク:
じゃあ、もしかしたら会ってたっていうことも?

小室:
もうちょいね、後かもしんないね。

コーン:
で、僕、あと『B.P』とかね。立川から青梅線乗って、基地のそばのあのへんとか。まあ、横浜にも『B.P』っつうのあったけども。でも、ほとんど根城が、新宿とかね、青山『パルスビート』とか。もう、毎日のようにいって、毎日のようにパーティー騒ぎ。

マーク:
やっぱソウルミュージック系ですか?

コーン:
だから、その頃はね、一番最初はRythm&Bluesだから、もう、そういうものでソウルステップとかって、決まった、ベース(基地?)からくる踊りを真似して。クック、ニック&チャッキーって、今、キングオブソウルっていう3人のオッちゃんたちがいるんですけど、私は師匠がニック岡井っていうんですけど、ニックさんとかがね、もう全盛期で。で、和製ソウルブラザースっていう、アフロで『可愛い人よ』を歌ってる時だったから。

小室:
『可愛い人よ』とかは、僕、お皿持ってます。買ったもん。

コーン:
そうそう、お皿がね、『可愛い人よ』のB面がね、『僕の彼女は三つ年上』っていうのが、あとから出たシングルで。その一番最初のはね、なんつうんだっけ?バラードが入ってるんですね。それをね、持ってないんで、どうしてもくれっていって一枚ね、つい最近もらっちゃったんだけど。

マーク:
プレミアもん?

コーン:
大プレミアもん。

小室:
まあ、よく聞いたことあるかもしれないけど、裏側にステップが書いてあるのね。

コーン:
そうそう、そう。

マーク:
ああ、そうなんですか?

小室:
ステップの仕方がね。

マーク:
あ、アルバムのジャケットの裏に?

コーン:
そうそう。ライナーノーツしてんのが、マイク越谷さんとかね。もう。そのへんの人たちがみんな。

マーク:
それを見ながら、鏡の前で?

コーン:
そうそう。よく、盆踊りのシングルとかめくると、足が出てるでしょ?あのHangTenのマークみたいなの。でもあれ、見づらくてぜんぜん踊れないんですよね。

小室:
あれじゃあ、わかんないですよね。

コーン:
わかんない。黒いのがどうだとか、白いのはなんか足を上げるとか。あれを図式にしてるっていう時代もすごいですよね。踊りを。じゃあ、上半身の踊りをどうすんだ?みたいな。

小室:
だから、僕なんかは、もうちょいあとだから、コモドアーズの『マシンガン』とか。

コーン:
ああ、でも、モロよ、それ。

小室:
モロですか。

コーン:
同じくらい。

小室:
あと『ハッスル』とか。

コーン:
『ヴァンプ』とかね。

小室:
『ソウル・ドラキュラ』とか。

コーン:
ああ、そうそう、そう。

小室:
クール&ザ・ギャングとか。もしかしたらアラベスクとかそういうのも、もうそういうユーロ系のも、ボニーMとかも入ってきたかもしれないですけど。

コーン:
そうそう、そうだね。これがね、なんかね、いいんですよ。あのメロディが。

小室:
僕はあのね、基本はボニーMなんですよ。

コーン:
ああ、ああ。

小室:
打ち込みの基本っていうか。

コーン:
ああ、なるほどね。そうだったのか。

小室:
あのキックの音が、どうしたらああいうドンッ、ドンッていう音が鳴るのかわかんなかったですから。

コーン:
あの4分打ち系ね。

小室:
それからなんだよね。それからドナ・サマーのジョルジォ・モルダーっていう人を知って、もうそっから。

コーン:
なるほどね。でも、ドナ・サマーはやっぱりディスコクイーンだな、っていうね。もうドナ・サマーがかかれば、ブワァッとフロアにいく、みたいな時期で。カンタベリーハウス時代。ボトル飲むとこうやって、ほかのデカいボトルに入れられて、「何ml残ってます」ってカードに書いて、何mlよ、今度きた時は。

小室:
あ、そうでしたっけ?

コーン:
酒をね、何mlって渡されちゃうっていう。

小室:
なんか、こういうジューッていうのはありますけどね、水割りをつくる。

コーン:
あ、そうそう、あったあった。あれで、コップをバァーッと並べてジャーーッと、一気に入れちゃうんだよね。

小室:
そう。それでバァーッとみんなとっていくんだよね。あとね『インディペンデントハウス』

コーン:
吉祥寺?

小室:
吉祥寺もあって。

コーン:
あ、新宿もできたんだ、あとからね。

小室:
新宿とかはあの頃、席を案内してくれて、で、ちゃんと男、女、男、女って座らせてくれたり。

マーク:
え?ちゃんと別けてですか?

コーン:
うん。ぜんぜん知らない女の子なのに。

マーク:
優しいお店ですね。

小室:
初めて行った時、嬉しくて。「どうすんだ?」って思ってたわけですよ。

マーク:
それはディスコなんですか?

小室:
ディスコ。ディスコで。

コーン:
なんか安いクラブみたいな感じだよね。

小室:
お見合いパブみたいな感じですよ、今でいったら。

コーン:
『マディソン』ていう電話かけれるとこあったでしょ?

小室:
知ってます。『マディソン』は。

マーク:
え?誰に電話するんですか?

コーン:
ボックスに電話ついてるの、全部。それで、テーブルに番号が書いてあって、あの女の子のとこが15番だったら、こうやって15とか回すと、リーンッてあっちで鳴ってるのがわかって「こっちきて飲まない?」なんつってね。そうすると、こうやって顔なんて見られたりして「また今度ね」なんて言われたりとかね。すごいですよね、あの頃の。

マーク:
すごいですね。そういうのやったらもうかりそうですけどね。

小室:
社交場っていう感じだったのかな?

マーク:
でも、音楽はガンガンで、踊ってる人もいると。

小室:
そうそう。

コーン:
で、今、スローダンスとかチークタイムとかないでしょ?

小室:
ないですね。

マーク:
ないですね。

コーン:
昔、なんでこんなにカップルがいきなり、今までバラバラだったのに、こうやって踊っちゃうのかな?ってぐらいね。

小室:
そうですね。

コーン:
今、フロアーでそういうの、あんま見ないでしょ。

マーク:
絶対ないですね。

小室:
まあそれが、アメリカのプロムみたいな感じで、誰かパートナーがいないとしょうがなかった、みたいな。

コーン:
そうそうそう。パートナーがいないと入れてくんなかったりとかね。フロアーに出られなかったりね。

小室:
あれはいいきっかけですよね。

コーン:
そうそう、そう。

小室:
「踊ろうよ」っていうことで。今「踊ろうよ」なんて声かける人いないじゃないですか。

マーク:
いないですね。踊ってるとこいって「飲もうよ」ですもんね。

小室:
それすごい、まあ、いいのかわかんないけど、でも場を作る盛り上げは、お店自体が頑張ってましたね。

コーン:
昔はね、そういうなんか、本当に盛り上げて、カップルをって。

マーク:
いい時代でしたね。

コーン:
だって、気持ちが強気のヤツはいいけど、女の子にも声かけられない弱気なヤツでも、いきなり電話があって、となりにバンッて座らせられれば「あ、どうも」なんてね。一応は言えるから。

マーク:
ナイスなシステムだ。

小室:
なんかそういうとこだ、と思って。今度また行きたくなるんだよるね。

マーク:
なんでそういうのがなくなっちゃったんですかね?

コーン:
それからはやっぱり『キス・レィディオ』とかね、六本木の。あのへんができてから、やっぱりグループでみんな、溜れるクラブ、ディスコみたいなので。で、その頃からクラブっていう名前がチョボチョボ出始めて。

小室:
それはあれですか?『ネペンタ』とかの前ですか?

コーン:
『ネペンタ』とかのちょい後ぐらい。これ、あの、知らない人は、なにをいってるのか、宇宙人の会話みたいになってるかもしれない。

小室:
変な名前ですよね、『ネペンタ』なんて。

コーン:
いろんなね、スクウェア・ビルっていうディスコビルがあって、あそこもずいぶんいろんな店変わったりして。でも、スクウェア・ビルが六本木にできたから、そういったパーティーとかね。昼間、パーティーやるのは、ああいうとこで。

マーク:
そうですね。

コーン:
あれはウマい営業の仕方。必ず昼間はパーティー会場にしててね。

小室:
で、高校生とかにパー券で集めさせて。で、夜は通常営業してましたよね。

コーン:
僕は高校の時はだから、そういうところがないんで、喫茶店を貸し切って、持ち込みのレコードでかけて、それで必ずチークタイムはの『青い鍵』をかけたりとか。

小室:
やりましたよ、僕たちも喫茶店で。飯田橋とか水道橋とか。

コーン:
ああ、そうそう。僕らがやったのね、青山学院のね、『ラパンセ』っていう喫茶店。今はあるかどうかわかんないけど。そこでやってたな。

マーク:
DJブースがあるんですか?喫茶店に。

コーン:
そんなものはぜんぜんなくて。だから、自分立ちでターンテーブルは持ち込みで。

マーク:
ああ、持ち込みで。

小室:
で、PAと。生バンドもやった時もありましたね。

コーン:
生バンドもあったけど、ほとんどスピーカーなんてのを2〜3個ポン、ポン、ポンて。エーストーンかなんかの。それは古いか、ちょっと。

小室:
でも、怪しかったんですよ、ちょっと。雰囲気としては。

マーク:
いやぁ、楽しそうですよ。

小室:
コンチでした?格好は。

コーン:
コンチネンタル。コンチって呼んでたね。なんかこんなロンブーかなんか履いてね、バギー系のなんか。で、オールバック、ボブ・ウルフとかなんとか。ボブカットで。

小室:
上はね、アンサンブル。カーディガンとベスト。

コーン:
あと、冬はヘチマのなんかカーディガンみたいの着て。

小室:
今見ると、妙な格好でしたよね。じゃあ、ほとんど一緒ですね?

コーン:
一緒ですね、やっぱり。ぜんぜん。

マーク:
一緒なんだ。

小室:
先輩って感じですね。ちょうど。

コーン:
でもね、そんなことばっかりやってて。でね、例えばパー券っていうのは、名刺に例えば5月3日だったら503で。で、6時から8時だったら6008とか書いて。それで名前がコーンって書いて、それでもう、それがパー券なのね。

マーク:
ああ、そういうシンプルな。

コーン:
そう。で、場所だけチョコッっと書いて「なんとかのとなり、G」とか、例えば。そういう、名前の頭文字だけ書いて。で、なんかこう、パクられたりした時のためにね、これは電話番号だよって。知らないヤツはみんな、そこに電話しちゃったりなんかして。「なんか通じないなぁ」っていってんだけど、じつはそれは5月3日の6時から8時っていう意味をしてると。すごい凝ったことをやってて。

マーク:
いや、そんだけ楽しいことやってたから、楽しいですよね。

コーン:
ニューヨークに『PayDay』っていうのが前あって、それディスコで。で、どこにも公表されないの。それで、土曜の夜か金曜の夜になると、必ずどっかで、その有名なDJとかがきてて。その『PayDay』っていうディスコが、月に一回かな?PayDayだから。それをみんな捜すの、口コミで。「次の『PayDay』はどこだか知ってるか?」って。で、教えないの。「自分で捜せ」って。で、それに似てるのね。

小室:
似てるね。まあ、Raveとかもそういう感じだったからね。場所はちょっとわかんないとかね。

マーク:
まあ、僕が行くクラブとか、ハッと気が付くとなんか「あれ?なにしてるんだろう?」っていう雰囲気になっちゃうから。そういうの聞くと、すごい羨ましいですよね。

小室:
そう。たまに空しさがね、訪れる時ってあるよね。今のっていうか。まあ、いつの時もそうかもしれないけど。なんかね、そういう空しさが怖かったと思うんですよ、あの時代って。

マーク:
ああ、なるほどね。

小室:
寂しくなっちゃうのがね。だからみんなで盛り上げようとしたのかもしれないよ。

マーク:
だから小室さんのイベントとかに初めて行った時、楽しかったですもん。

コーン:
やっぱりね、そういう気持ちがでるから、どっかにね、そういうの出して。音楽以外のとこにもね、仲間意識だの音だの、全部そういった意識で。それはね、わかるヤツには絶対わかっちゃうから。すごい面白いと思う。

小室:
あの、カッコいいんだけど、オープンしてクローズまでになんのまとまりもない、MCもなんにも、一切まとめる作業はないクラブでしょ?ただ始まって終わる。まあ、来ることで楽しむみたいな。あれはあれでカッコいいのかもしんないですけど、だから、今マークがいったみたいに、なんとなく来ちゃって、たまたまコミュニケーションがなにもなかったら、空しく帰るだけじゃん?その人のことを心配しちゃうとこあるよね。オーガナイザーとしてはね。

コーン:
そうそう、そう。だからね、昔のディスコに、最近、取材とかでね「昔どうでしたか?」なんて聞かれるとね、やっぱり「楽し過ぎるのが怖かった」っていうかね「なんでこんなに楽しいんだろう?」「こんな楽しくちゃいけない」って、毎日思ってたのね。で、きっと十年後には、もうなんにもできない、もうただのそのへんを歩いてる、なんていうんだろ?言葉にすると。その系の、いわゆるレゲエ系の人たち、あの上野系の。になっちゃってんじゃないかな?とかね。だから楽し過ぎる裏腹がすごい怖くて。でも毎日、バッグを新宿のロッカーに置いて、そこで着替えて、それでディスコに向かってく。で、例えば『Get』だったら、3階にあるんですよ、ビルの。それで、2階通り越したぐらいの時に♪ドン、ド、ドン、ドッドド、ドンッ〜てディスコの音が流れてくると、ドキドキするの。「早く着かないかな」って。たかが3階まで行く間がドキドキしてた。あの時代ってなんだったのかな?と思うぐらいね。でも、バァーッとドアが開いた瞬間「はい、いらっしゃいませ!はーい、コンちゃん!」とか言われてね。で、顔になってる時にね、あの自分の優越感。

小室:
顔になったっていうね。

コーン:
そうそう、そう。それまで踊りも踊れなくてね、ずーっと一週間、人の踊りをずーっと見て。ビデオもない時代だからね。それで、忘れないように家に帰って、夜中こうやってドタバタやって親父に怒られたりとか。で、次の日高校とか中学とかにいって、かならず後ろで何人かの不良と一緒に、踊り合わせてて。「おまえ、それ右足からだ」「いや、左足からだ」「昨日、俺、見てきたんだから」とかいって。で、だんだんヌシになってくわけね、そうやって。ディスコとかクラブで。そうするとあの、従業員と一緒に、そこのメンバーと一緒に賄いを食う始めての日があって、ね。今でいえば黒服なんかと一緒に、店がハケて、で、その賄いを食った瞬間に「俺はここは制覇した」というようなね、優越感があった毎日だったんだね。で、やっぱり、そうやって彼女ができると。「踊りがウマい」「顔だ」と、これがいちばんモテた秘訣でね。でね、そこでね、一番履き違えちゃいけないのが顔役とタカリの違いなのね。タカリっていうのは、毎日いくんだけど「おい、入れろよ、二人いるんだから。今日ちょっと、タダにしといてよ、悪ぃな」こういっちゃうのがタカリなの。それで、いつもアイスクリームを差し入れして「ゴメンネ、今日も二人いるんだけど」「いいですよ。はい、お通しして」なんていう。これはやっぱり、気を遣いながら顔になっていくという。これとタカリはまるで違ってた。で、タカリはいつのまにかその街からいなくなったりなんかするんですよ。

マーク:
あ、いなくなっちゃうんですか。

コーン:
ディスコっていうのは、全部、情報がまわるの速いから。

小室:
ああ、速いんだよね。

コーン:
「あのお客来たら、入れない方がいいよ」とかっていうのは。

マーク:
出禁てヤツですね。

コーン:
そうそう。出入り禁止ってヤツ。今でもすごいありますけどね。で、それを知らない人たちがね、まあ、芸能界の方も何人かいらっしゃったみたいですけど。そういう方々が、どんなメジャーな方でも入れないディスコが何件もありましたからね。だから、それはやっぱり昔から遊んでて、その頃、黒服とかやったヤツが必ずディスコの店長とか社長になるわけ、その頃。だから、六本木はほとんど僕の友達がソレなのよ。『マハラジャ』成田兄弟しかりね、そういう。だから、昔っから知ってるから、だからそういったあの、遊ぶにもルールっていうものが非常に。でルールをわきまえてたかな、っていうね。

マーク:
ちゃんと夜遊びにもルールはあったわけですか。

小室:
うん。まあ、メチャクチャに楽しんでる感じじゃなかったね。

コーン:
そうそう、そう。

小室:
ある程度そういうなんか、ちょっとしたしきたりっていうか。

マーク:
そのしきたりがまた楽しいと。

コーン:
そうそう、そうそう。

小室:
それはそう思ったね。

コーン:
これがまたね、いいんだな。

マーク:
遊び上手ってヤツですね。

小室:
まさに今はどうなんですかね?クラブシーンていうのでね、それがあるのかどうか。

コーン:
そういうのは確かにあると思うんだけど、やっぱり、いかにそのレセプションで顔だしてるかっていうのあるでしょ?新しいクラブかディスコができると、必ずレセプションて会うヤツ。「あ、また会ったね」で「また会ったね」っていう。そういうのが、やっぱり「ああ、アイツはぜんぜんOKじゃない?」っていうのがなんか、暗黙の了解になってたりね。「アイツはけっこう、礼儀あるよ」みたいな。そういったしきたりっていうのは、まだ東京にもぜんぜん残ってる。ただ、それが表だってないだけで。昔は表だってたでしょ?それが。

マーク:
じゃあ、そのルールさえ守れば、楽しく遊べるわけですね。

小室:
まあでも、昔の方がよかったのかどうかわかんないけど、それがちゃんと華があったよね。

マーク:
ありましたね。お話し聞いてると。

小室:
それに華やかさがあって。

コーン:
派手だった。

小室:
だから、今もしも、それ、そのまま同じことやっても、話題にもなんにもなんないかもしれないですよね。

コーン:
例えば僕らみたいに、こういう職業やってれば、業界人みたいな部分で捉えられちゃうんで、それはまた別個の問題になってくるでしょ。でも、昔はこういう仕事してない時に、そういった優越感を自分で獲っいてくっていうのは大変なことでしょ。ぜんぜん周りは知らない人たちの中に飛び込んでいって。

マーク:
そうですね。

コーン:
だから、そういうのが面白かったよね。喧嘩ももちろんしたし。熱い・狭い・喧嘩って、三条件あったしね、ディスコの。もうグチャグチャな汗かいてね。

小室:
僕なんかは、こういうコーンさんみたいな人は、憧れてる人たちだったのね。僕たちなんてね東京郊外から、1時間ぐらい電車で六本木までいったりしてたから。

コーン:
いや、でも、それはすごいですよね。行くってこと自体が。だから僕が福生の方に行くのと一緒だから、逆に。

小室:
まあ、だから、そういうのは全部、ちょっとしたクラブイベントを300人でも開く時でも、そういう気分はあるよね。だからけっこうこの、なに?パー券にしてもなんにしても、けっこう気になっちゃうっていうか、気、遣っちゃうよね。

マーク:
さっきのあのパー券の話、面白いですよね。そういうの、また出るかもしれないですね。

コーン:
そういうのやって欲しいっていうか。

小室:
やんなきゃいけないですよね。やらないと。

コーン:
テレビで言っちゃって、みんなやって、みんな捕まっちゃっても困っちゃうんだけど。

小室:
やってるのかもしれないし、ちょっと実態はわかんないけど。まあ、だから、そろそろじゃあちょっと、まとめたいと思いますが。なんにもまとまってないんですが。

コーン:
なんかすごい方向性の話に…。私がくると、どうしてもディスコとかそういう話になっちゃいまして。

小室:
まあ、基本は音楽なんで、ぜんぜん問題ないですけどね。だからまあ、いつもね、なんか、そういうアンダーグラウンドから盛り上げていこうという気持ちはね、あるんですけどね。

コーン:
アンダーグラウンドからメジャーに変わる、その瞬間の意識っていうのが、非常に難しいでしょ?

小室:
難しいですね。

コーン:
で、アンダーグラウンドですごいカッコよく評価されてたものが、メジャーになってもっとカッコいいもんにしたつもりが、…あれ?ってみんなオーディエンスが思っちゃったりとかする瞬間。でも、それは僕はね、見てる方、聞いてる方のひとが変わったとしても、それは僕はね、素晴らしいことだと思うんですよ。マイケル・ジャクソンがね「KingofPop」って帽子に刺繍をしてるあの姿は、まさに王者だと思うし。でも、僕はハマーはそうじゃなかったと思うんだよね。ハマーは逆になってしまったから。メジャーになっちゃったために、自分を出せなくなってきたような気がちょっとして。ハマーの音自体は、最近また盛り上がってきたんだけど、一時期ね。やっぱりマイケル・ジャクソンになれなかったっていう。ダンスをね、あそこまで広めた王者がね。それだったらボビー・ブラウンの方が、評価されちゃったかな?っていう気持ちがあるのね。だからやっぱり、「KingofPop」っていう、あのマイケル・ジャクソンも、僕はやっぱすごい人間だな、と思うし。カッコいいしね。

小室:
そうですね、最近また。流石だなと思いますね。

コーン:
すごいと思う。

マーク:
まあ、思いっきり楽しんでた人たちが、今、思いっきりみんなを楽しませてるわけですよね。

小室:
楽しませるのがね、仕事なんですけどね。

マーク:
思いっきり楽しんできたから、楽しませられるんでしょうね。

コーン:
そうそう、そう。使われたことがないヤツに、人を使うことはできない、みたいなもんでね。やっぱしそういう、いわゆるクラビングをしてきた人間たちは、ある程度、なにがカッコ悪くて、なにがカッコいいのかっていうの、自分の中で思ってても、人間関係だけはすごい硬派であるみたいな部分はね、残ってるかなっていう感じですよ。非常に私はいい話を、今回はしていただいたなっていう感じです。

小室:
ありがとうございます。いや、本当すごく面白いよね。

マーク:
面白かったですよ。いや、僕もこれから楽しみます。

コーン:
いや、こういう気持ちがね、わかってくれる人間がね、やっぱね、減ってるんだよね。

小室:
だからもう、あとはだから、これを本当にやってかないと、っていうふうな気持ちは、いつも持ってるんですけどね。なかなかね、イベントも大変だったもんね。毎週土曜日、一回やるだけでも、労力としてはね、大変なんですよね。

コーン:
うん。大変、大変。

マーク:
すごかった。でも楽しかったですよ。

小室:
楽しかったよね。

コーン:
これからもどんどん始まってくわけだから。

小室:
そういうワンナイトイベントみたいのはやってないんですか?

コーン:
やってますよ。

小室:
やってますか。

コーン:
うん。やってるし、けっこう過激なイベントになっちゃったりとかもするし。まあ、本当になんか、もう40になったばっかりで、ラップの僕のソロアルバムとかね、出しちゃったりとかもしてるんで。まあ、50になっても60になっても、感性は中学校の頃と変わってないんで。ただ体がちょっと動かないかな、っていうね。ありますけどね。

小室:
無理はちょっとね、出来なくなってきてますけどね。

コーン:
でも、思ってることは一緒なので。

小室:
そういうちっちゃいのもね、どんどんやっていってほしいですよね。僕たちも、なるべくちっちゃいのはね、コンスタントにやりたいよね。

マーク:
やりたいですね。

小室:
12月くらいから、本当はやんなきゃいけないんですけどね。

マーク:
やるんですか?

小室:
やらなきゃいけないな、と思ってます。

マーク:
やりたいですね。

コーン:
なんかあったら、一つ。

小室:
はい。呼んでみたいです。TJMには来てもらえなかったね、そういえばね。けっこう、きてもらっても、面白かったと思うんですけど。

コーン:
なんか面白いことがあったら、呼んでくださいってことで。

小室:
はい。じゃあ、ありがとうございました。

コーン:
どうも。

マーク:
ありがとうございました。



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