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- 中居:
- どうもこんばんは、中居正広です。さて、4月始まりました。会社員の人も学生の人も、新たなスタートを。だいぶ慣れてきた時期でしょうかね? まだまだ慣れてない方もいらっしゃると思いますけど。
あ、そうだ、スタートと言えばですね、そうですね、今日のゲストの方は、ちょっと前に、また新たなスタートを切った人と言っても過言ではないんじゃないかと思います。それでは御紹介しましょう。今週のゲストです。和田アキ子さんです。- 和田:
- どうもこんばんは。
- 中居:
- こんばんは。
- 和田:
- よろしくお願いします。
- 中居:
- よろしくお願いします。4月の10日に誕生日を?
- 和田:
- はい。何もなかったね。
- 中居:
- 何かワーッとかやりました? 周りの人がやってくれたんじゃないですか?
- 和田:
- あの、今回はね、腰を傷めてるんで、いつもは飲むだけなんだけど、ちょっとアウトドアしたほうがいいっていうんで。で、最初はイチゴ狩りって言われたの。でも、イチゴ狩りはやめようと。で、幹事がヒロミだったから、ボーリング大会、いちおう。
- 中居:
- でも、腰は?
- 和田:
- いや、ゴルフしようと思ってたんだけど、ボーリングだとみんなの顔見れるし。
- 中居:
- もう腰のほうは完治しました?
- 和田:
- ダメなの。直ってないの。ついこのあいだもね、救急車で運んでもらった、病院へ。腰は気を付けたほうがいいよ。こない?
- 中居:
- いや、ぜんぜんこないですよ。
- 和田:
- いや、そのうちくるのよ、ああいうダンスしてると。無理でしょ?
- 中居:
- え? 無理っていいますと?
- 和田:
- 踊りも。いや、ウマくはなってるけど。
- 中居:
- やっぱり難しいですし、頑張りますよ、やっぱり。
- 和田:
- だけど、偉いよね。覚えてる? 違う局のさ、あと2つ足した局のさ、前のリハーサル室あるじゃない。
- 中居:
- 覚えてますよ、僕は。
- 和田:
- リハーサルの時、見に行って、バッタンバッタン踊ってたのに、今すごいもんね。
- 中居:
- 良かったです。
- 和田:
- いや、だからあの時、私ね、遊びに行くだけじゃなくてね、一緒に練習すりゃあよかったんだね。そうすると、今、歌って踊れるっていうか。
- 中居:
- いや、アッコさんはでも、歌だけでいいと思いますけどね。
- 和田:
- いやぁ、でもやっぱり踊りとかバッと決まったほうがいいですよ。
- 中居:
- 昔のVTRを先ほどチラッと見ましたけど、踊ってたじゃないですか。
- 和田:
- あれはリズムにノるだけで、踊りにはなってないですからね。
- 中居:
- いや、僕、思うんですけど、アッコさんみたいな、今、変な話、バラエティに多く出たりしますから、歌手のイメージがね、やっぱり薄れちゃうじゃないですけども。
- 和田:
- そう? それ、君じゃないの?
- 中居:
- さっきソウルのベストを、アッコさんのを聴いたんですよ。
- 和田:
- ああ、『ダイナマイト・ソウル』。
- 中居:
- ええ、『ダイナマイト・ソウル』。いや、カッコいいっスよ。
- 和田:
- 本当に?
- 中居:
- いや、マジで。
- 和田:
- 本当?
- 中居:
- 楽曲もそうですけども、コーラスの人で外人さん、黒人の人も入ってるじゃないですか。
- 和田:
- えぇとね、エッセンス・オブ・カプリコーン。
- 中居:
- それで今、僕も音楽いろいろ聴かせてもらうんですけども、なんて言うんですかね? まずソウルに合う人と合わない人っているんですよ。合いたくても合う人ってやっぱね、無理して歌ってるアーティストの人ってやっぱりいるんですけども、アッコさんの声ってね、ソウルに本当、合うんですよ。
- 和田:
- 声が低いからかな?
- 中居:
- 何ですかね? 僕わかんないですよ、これ。なんでかっていうのもわかんないですし。
- 和田:
- あの、ローヴォイスっていうかね、低いせいもあると思うんですよ、多分。でね、当時もそうでしたけども、あんまりロック歌ったりポップス歌う人で、女性シンガーいるんだけど、R&B、リズム&ブルース歌ってる女性ヴォーカリストって、日本てあんまいなかったじゃないですか。それもあるんじゃないかな? 合うように聴こえるっていうのは。
- 中居:
- 歌う人少ないですし、歌おうと思っても出来ない人っていると思うんですよ。
- 和田:
- いや、今、ウマいのいっぱいいるよ。
- 中居:
- いますかね?
- 和田:
- いる。
- 中居:
- でも、ウマくてもほら、声とか声量とかってあるじゃないですか。アッコさんのね、もうスゴいですよ。
- 和田:
- あ、嬉しい。そう言ってもらえると嬉しいですねぇ。
- 中居:
- いや、マジでスゴいっスよ。
- 和田:
- 本当?
- 中居:
- うん。だから、今のアーティストの人たちいないんですよ。アッコさんみたいな声質の人とか、迫力あるっていうか。何かわかんないですけど。
- 和田:
- どうしてね、でもね、デビューした時はね、本当、和製R&Bの女王って言われたんですよ。それで、さっき言ったようにバラエティとかやっちゃって、ちょっと歌手って遠のいたみたいだけど、今頃になって、みんななんでそんな評価してくれるんだろうね? 年とったから良くなってんのかな?
- 中居:
- いや、でも声質とかっていうのは、昔と今と変わんないじゃないですか。
- 和田:
- あんまりね。でも、昔のほうがやっぱりね。まあ、これはみんな知ってることだけど、十代の頃から煙草喫ってるし、酒飲んでるし、不良なんだけど、昔のほうがやっぱり声が若い。艶があるんですよ。
- 中居:
- 艶?
- 和田:
- うん、艶。ただ、キーとかはね、昔出たキーそのまんまでも歌えるんですけど、下げなくても。だけど、艶がやっぱりぜんぜん違いますね。可愛い。でも、歌で褒められると嬉しいよね、なんか。
- 中居:
- だから、今はいないんですよね。ブルース歌う人ってもちろん少ないですし、ソウルをね。あの楽曲もカッコいいっスよ。
- 和田:
- そう言っていただけると、もう本当にね。
- 中居:
- で、僕なんかが聴いてるものと似てたり。それで、外人さんの洋楽とか聴くじゃないですか。
- 和田:
- 「外人さんの洋楽」?
- 中居:
- 当り前のことなんですけども。洋楽を聴いてる感覚でアッコさんのを聴けたりするんですよ。
- 和田:
- あ、嬉しい。今ね、渋谷とか、『ダイナマイト・ソウル』は限られたところでしか売ってないんですよ。だけど、UAと一緒に平積みになって置いてくれてたり。けっこうそういうのって嬉しいよね。
- 中居:
- そういう曲なんですよ、本当に。
- 和田:
- それで、ジャケットはね、もう今から、今、デビューして29年なのね。10月来ると30年目に入るんだけど。ジャケットがね、29年前のデビューした時のまま。それが今のファッションにぴったしなんですよ、不思議と。
- 中居:
- そうですか。
- 和田:
- だから、そういう何気ないジャンバーも、そのままやっとくとまた流行るかもよ。
- 中居:
- そうですかね? まあ、今、60年代とか70年代とか流行ってたりするじゃないですか。だから、それが今になってアッコさんのね、ブルースでしょ。そういうのって女性でいないんですよ、今。本当、いないですよ。合う人っていうのかな。
- 和田:
- うーん? どうかな?
- 中居:
- それっていうのは、アッコさんなんかがずっと29年やってる間に、いろんな歌手の人がいるわけじゃないですか。もちろんポップスでアイドルの人もいれば、ロックの女性の人も。いろんなアーティストの人見て、「ああ、こういうふうな感じにしたいな」とか「こんなふうになれたらいいな」とか、当時憧れたアーティストの人とかっていらっしゃいます?
- 和田:
- 日本人?
- 中居:
- ええ。
- 和田:
- 日本人はいないんですよ。
- 中居:
- 真似をしようとした人とかいませんでした?
- 和田:
- ぜんぜんいないんです、日本人は。
- 中居:
- ああ、やっぱり。
- 和田:
- あのね、あの、変に取られると困るんだけど、中学生の頃に初めて聴いたのがレイ・チャールズでね。で、その時はあの、黒人ていうか、白人も怖いと思ってたの。その、もう全部アメリカでもイタリアでも、何でも外人は全部うちはアメリカ人って言ってたのね。で、その外人の人と会うっていう機会も少なかったし。で、レコード屋でレイ・チャールズの「愛さずにいられない」、「I Can't Stop Loving You」っていう歌があるんだけど、それをあるきっかけで聴いた時、ゾクゾクッとしたわけ。それでレコード屋の兄ちゃんに聞いたらね、「盲目だ」と。目が見えなくて、King of bluesと、リズム&ブルースの王者だと言われてるって。で、英語もわかんなくて。小学校までローマ字じゃない。
- 中居:
- 意味もわかんないですし。
- 和田:
- 意味もわかんないでしょ。ただ、日本語で「愛さずにいられない」っていいなって思ってたんだけど。その時に私は中学生だったんだけど、不良になるちょっと手前でね。保母さんか女ヤクザになりたかったの。
- 中居:
- すごいギャップですね。
- 和田:
- 子供は異常に好きなのよ。で、子供は好きだけど、まあ、そう、やんちゃするちょっと手前だったから。で、当時から多はかったからね。で、関西人て露骨に言うからさ。
- 中居:
- はっきり言いますよね。
- 和田:
- 「大きいなぁ」とかね、「デカいなぁ」とかって言われると、「デカいのが何が悪いんじゃ!? コラ。大っきいなってみぃ、おまえ」とかって言ってたの。だから、「これは中途半端な悪になるよりは、日本一の女の悪になってやろう」って思ってたの。
- 中居:
- 極めようって思ったんですね。
- 和田:
- そうそう。で、その時にレイ・チャールズの歌聴いて、「あら? 会ったこともないし、黒人の人だし、まして英語もわかんないのに、こんなに感動する。何の職業でもいいから、こんなふうに人を感動させられる職業に就きたいな」と思って。で、レイ・チャールズばっかり聴き出したの。それで、「ああ、こういうふうになりたい」って、レイ・チャールズの歌じゃなくて、こういう人を感動させられる。そしたらね、ものすごく失礼な言い方だけど、可哀想な人に思えたの。そのレイ・チャールズが。
- 中居:
- え? なんでですか?
- 和田:
- あのね、本とか読むと、やっぱり日本じゃ考えられないぐらい黒人社会と白人社会の差別がすごくて。で、自分のなかで、私も女として生まれてきてるのに、なんで大きいだけで怖がられたり「近寄り難い」って言われたりするんだろう? って、すごく悩んでたの。「もっと小さくなりたい」とかね。で、「あ、私と同じだ。私がこの人のレコードを買ってあげないと、この人、生活できないんだ」って思っちゃったの。
- 中居:
- 幼心にね。
- 和田:
- そうそう。それからずっと聴いててね、「ああいうふうになりたい」ってなって、「この人たちはみんな可哀想な人なんだ」って。本読めばね、エラ・フィッツジェラルドとかサラ・ボーンとか、そういう黒人ばっかり聴いてて。で、どうしてもその人たちばっかり聴いてたからね、日本で歌手になるってことも思ってなかったし。で、もともと歌手になったきっかけって、大阪の、今でいうライヴなんだけど、当時はジャズ喫茶っていうところで歌っててスカウトされて。
- 中居:
- え? それはいくつの時ですか?
- 和田:
- 16と半分ぐらい。17でデビューしたから。17とちょっとで。
- 中居:
- 喫茶店ですか?
- 和田:
- 私、年、ごまかしてたんですよ。年上に。
- 中居:
- 年上に?
- 和田:
- うん。働いちゃいけないから、18歳未満はそういうところで。
- 中居:
- 普通、逆ですよね? 若くして。
- 和田:
- 芸能界入る時はね。だから、その時19とか言って。でも、通用したんですよ。で、ダンスホールと、あと当時はね、ゴーゴー喫茶っていって、ゴーゴーガールがいて、今のお立ち台みたいな、ああいうとこのの女の子がいて、その時にスカウトされて東京に来たんだけど。
- 中居:
- その時って、なにを歌ってたんですか?
- 和田:
- その時はね、また不良になりかけた時だったから。
- 中居:
- やんちゃな時。
- 和田:
- そうそう。やんちゃな時だからね、プレスリーをずっと好きだったんだけど、「プレスリーはもうあかんで」とかっていうね。で、ビートルズがちょうど出かかってきた時で。で、「ビートルズもいまいちやで。何かカッコいい音楽ないかな」とかって言ったら、ギターやってる奴がジミ・ヘンとかB・B・キングとか。ジミ・ヘンドリックスの「紫の煙り」ってあるんですよ。で、「それ、ちょっとアッコ、やってみぃへんか」っていったらね、歌詞がすごい短かったの。♪Purple haze in my head〜かなんか。忘れちゃったけど。それから思い出したらみんなね、カッコいいとかってことになったのよ。それとか、オーティス・レディングのね、口笛、私は吹けないんだけど、バンドのメンバーがやってくれたりすると、不良って今でもそうだと思うんだけど、人のやってることはやりたくないの。何か先に行きたい。
- 中居:
- なんかありますね。自分は我が道を行くじゃないですけども。
- 和田:
- で、みんなと協調するのが嫌でさ、それでやったりして、カッコいいとか言われて。だから、東京に送ったテープっていうのは、もういろいろなテープですよ。ジーン・ビンセントの「Be bop lurer」って歌知ってる? ♪We're be bop ruler.She's my baby〜って。
- 中居:
- あ、聴いたことある。
- 和田:
- これね、わりとこれも簡単な。
- 中居:
- 聴いたことある、聴いたことある。
- 和田:
- ブスなルーラーちゃんていう歌なんだけどね。
- 中居:
- それを東京に?
- 和田:
- そうそう。それとかね、「Cancer city」とかね。
- 中居:
- 全部洋楽ばっかりですね。
- 和田:
- そう。それもね、英語がわかんなかったんだけど、耳で聴いて。当時のね、レコードっていうのはね、輸入盤ね、輸入盤はね、ビニール貼ってて、歌詞ついてなかったの。
- 中居:
- じゃあ、何がなんだかわかんないじゃないですか。
- 和田:
- そう。だから、耳で聴いてそのまんまだから。
- 中居:
- 音の感覚だけで覚えるわけですね。
- 和田:
- そう。だからヒドいよ。何だか意味わかんないんだけど、「One more time」とかっていうのはわかるじゃない。「Let's parking」とかよく言ってんの、私。それとか「古い日記」で、♪あの頃は〜ハッ!〜とかっていうのあるでしょ。あれも、なんだかスティービー・ワンダーがデビューした時かなんかに言ってたの、ハッ! とか。わりとその、ブラックミュージシャンは、そういうの多かったんですよ。なんか言ってたの、「Let's parking」とかハッ! とかなんか。それをそのまま言ってるから。ぜんぜん意味もわからず言ってたから、今は怖くて言えませんね。恐いもの知らずって怖いことですよ、本当に。
- 中居:
- アッコさんとかって、音楽の知識が黒人のものだったり、あっちのものばっかりですから。だから自分が発する音楽っていうのも、そういうものから影響されたものしか出てこないわけですよね。
- 和田:
- だけど、これが不思議なことにね、デビューしてからぜんぜんそういうのを聴いていないし。で、あんまり普段、音楽聴かないんですよ、今でも。嫌いなの。
- 中居:
- え? なんでですか?
- 和田:
- 音、好き?
- 中居:
- ええ、好きですよ。
- 和田:
- あ、そう。
- 中居:
- だから、今日、アッコさんの僕だから、うちで聴けるぐらいのあれですもん。
- 和田:
- 私、誰かにCDとかもらうでしょ。CDまずかけられないんですよ。
- 中居:
- え?
- 和田:
- まあ、かけようと思ったらかけれるけど、つい最近なの。CDがああいうふうにして音が出るってわかったのが。
- 中居:
- CDっていったら、もう7年8年になりますよ。
- 和田:
- そう。だから、マネージャーに「それだけは言わないで下さい」って言われてるんだけど。CDがパッとかけた時にね、最初、ふたも開けられなかったの。かけた時グルーッて回って、故障だと思ったの。本当に。で、今でもマネージャーにカセットテープに録ってもらってやっと聴く。
- 中居:
- ええ!?
- 和田:
- 家に音があるとダメなの。聴く?
- 中居:
- 聴きますよ。
- 和田:
- だから、ほとんど今の人の歌も知らないし。あの、勉強足らないですよね、そういう部分では。
- 中居:
- でも、ある意味ではいいかもしれないですよね。変なものが入らないで、自分の独学じゃないですけど、自分を信じるしかないですからね。自分の感性っていうのをね。
- 和田:
- そういうの部分では、まあ、いいって言われる時もあるけど、でも本当は聴かないとダメだよね。
- 中居:
- いろんなものを聴いて吸収するパターンと、でも、やんちゃな頃じゃないですけども、「私は私の音楽をずっとやっていく」って。
- 和田:
- でも、そういう気負いもないの。「私は私で」とかって、そういうのは基礎がある人とか、ある程度音楽に自信持ってる人。私ね、そのまんま音を楽しむっていってね、楽しく歌えればいいの。その時の雰囲気で。だから、今だったら「こういう歌を歌います」って言うと、その詞を訳してもらってね、自分でも半分訳して意味をわかって。で、哀しい歌なんだけど明るく歌いたいとか、明るい歌なんだけどちょっとアコースティックに歌いたいとかってあるけれども、そんなに自信もないんですよ。ただ、歌の仕事っていった時に「ああ、やれた」とかね、それとか言葉は悪いけど「ああ、勝った」とか「よぉし!! 気持ちいい」とかね、「これで飲みに行けるぞ」とかね、それがいちばん楽しい。だから、このあいだね、おたくの後輩、えぇと………。
- 中居:
- Kinki Kids。
- 和田:
- うん。と一緒にやらせてもらったの。すっごく楽しかった。
- 中居:
- あ、そうですか。
- 和田:
- 生のバンドでさ、ごまかしてもいいからさ、人間の音じゃない。もうすごい気持ちいい。血が騒ぐのよ、ああいうの。「かかってこんかい!!」みたいになるの。本当に。もうそれがいいのよ。で、そのバンドの人たちとね、初めて会ったんだけれども、「ここの音はこうしましょうよ」とかね。もうトランペットの人なんかもう唇半分切れそうなの、もう大変な音だから。高いキーで。「もう一回トライしてみましょうよ」とか言って出来た時の、もうなんて言うか、血が騒ぐのよ。いいのよ。だから、それがいちばんの楽しみなの。だから、他のところでね、よく言ってるのは、いつまでこういう世界にいるかわかんないけど、自分の夢は60、70、80になってもね、もう皺になろうが、染みになろうが、オシリ垂れようが、お腹出ようがね、声さえ出てればブルース歌い続けたいと。で、その時に今で言うSMAPみたいなのとね、みたいのって変な言い方じゃなくってよ、一緒に歌っても違和感ない自分でいれたら、私はもうその時に「ああ、歌手になってよかったなぁ」って思えるんじゃないかなと思うの。その時にね、真っ赤なマニキュアしてね、で、もっと禁煙運動盛んだと思うから、葉巻喫いたいの。で、嫌なババァになりたいわけ。もう、来ただけでビビるっていう。
- 中居:
- やんちゃな気持ちは、やっぱりそこだけ残ってるんですね。
- 和田:
- で、ミュージシャンだけね、「どうしてあのミュージシャンがついてるの? アッコさんに」っていうぐらいカッコいいの演って。で、ちょっと小銭渡してさ、もう私が葉巻くわえると火だけつける男とかさ。ああいうふうにしてさ。で、なんかもういいのよ、歩けなくなったらマネージャーにドレスの下にローラースケートで、マネージャーにリモコン持ってくれって。で、私、マイク持って歌ってね、礼だけしたらまたピューッて戻ってくるから。それでブルース歌えてね、セッションできたらもう最高だよね。もうそれがね、私の唯一の夢。あとはね、1位になりたいとかね、そういうのぜんぜんないの。だから、残念なことに、29年間やってるのにさ、最近ほら、昔の歌とかよく流れるじゃない。
- 中居:
- ええ、ありますね。
- 和田:
- 当時の60年代、70年代、80年代。1回も出てこないのよ。あれさ、その当時の1位ってのやめてくれてさ、ベストテンまでやってくれるとね、私、3曲ぐらいはあるんだよ。「笑って許して」とか。「おいおい! もうちょっと下だったら」っていうとこでさ、カチャカチャカチャっていって、上の曲になっちゃうわけ。そうすると、みんな1曲でその当時を思い出すわけじゃない。全部に絡んでるんだけどね。何かしらで。
- 中居:
- そいう番組でアッコさんちょっとあんま見ないですね。
- 和田:
- 見ないでしょ。ところがそれ、もうちょっとランク下げてくれるとね、出てるんですよ。どっかしらにいるのに。
- 中居:
- でも、あまりそういうところに、先ほども言いましたけども、順位とか数字とかっていうのはこだわってないんですよね。
- 和田:
- あんま気にしてない。だけど、60、70になって、現役で歌ってて1位になったらカッコいいよね。
- 中居:
- カッコいいですね。
- 和田:
- それはね、やってみたいよ。なんかね。
- 中居:
- 「もう終わったんじゃないか」「そういうのにこだわらなくてもいいんじゃないか」っていう時期にこだわり続けてね。
- 和田:
- そうそう。「どうや、1位やで、おまえ。なってみぃ」みたいな。それで「いや、僕たちなりました」「過去形やないかい。今ならんかい! 今」ってね。私ほら、他人に厳しく自分に甘いからさ。
- 中居:
- 汚いっスね、それ。
- 和田:
- だけど、なんかそうなったらね。
- 中居:
- すごいわかりますね、それ。
- 和田:
- わかる?
- 中居:
- ええ、すごいわかりますよ。
- 和田:
- そういうふうになりたいのよ、なんか。あの、もともとさ、学校もちゃんと行ってるわけじゃないし、お行儀もそんな良くないけど、こういう世界で生きてさ、他の取り柄もないけど、なんか歌だけ人に評価されたから。最後はビシッと決めたい。そういうのあるよね。そのステージの上で死にたいとか、そういうこと出来ないよ。死ぬ時は畳の上とかベッドの上で死にたいけどさ。みんな呼んでね、それも。一回、死んだ振りして、みんなどういう顔してるか一回見てみたいっていうのもあるけど。
- 中居:
- やらしいですよ、それ。みんな来ちゃう。本当、すごい人数集まりますよ。
- 和田:
- 本当、そういうのをやってみたいのよ。じつはクッていってね、それでみんなの話もよーく聞いといて。自分でテープで録っておいてさ、ガバッと棺桶開けて「聞いたぞ」とかって。そういうなんか。
- 中居:
- ユーモアが欲しいんてでしょうね。
- 和田:
- うん、なんかね。もともと自分で言うのも変だけど、淋しがり屋もあるから。だから、わがままなの。すっごく楽しくして欲しい時と、一人でいたい時とのギャップが激し過ぎるの。だけど、歌を歌ってると、そういうことって忘れるじゃない。そうじゃない?
- 中居:
- 全部忘れますね。
- 和田:
- ね。
- 中居:
- 歌を今この場で歌う時の、その気分だけなんですよね。
- 和田:
- そうでしょ。だって、コンサートとかやって、同じ場所で同じ人数のお客さんがいらしても、自分のノリってあるじゃない。
- 中居:
- そう。毎回違う。あれ不思議ですよね。
- 和田:
- そうでしょ。だからすごいと思うの、みんな。私もそうだし。で、自分で「やった!!」って思っても、人があんまりなんかね、こなかったり。
- 中居:
- 「あれ?」って思う時ありますよね。
- 和田:
- それで、幕開いた瞬間に完全に自分もノれる時と、「あれ?」って普通にいつもやってるように終わるか、最初からハイテンションでいくかってあるじゃない。
- 中居:
- その時のコンディションとかありますしね。
- 和田:
- そうそう。だから、すごい楽しい仕事だと思ってるし。
- 中居:
- でも、アッコさんじゃあ、歌っていう存在は、アッコさんにとってものすごい存在なんでしょうね。
- 和田:
- 私ね、中居君とこんな話するとは夢にも思ってなかったんだけどね、本当に。あの、歌を歌ってる時はね、いい女でありたいの。本当に。あとの時はね、テレビとかラジオとかバラエティとかね、もう「面白い」とか「怖い」とか「デカい」とかでいいんだけど、歌ってる時だけは「おっ? いい女だな。どうしたの?」みたいに言われるとちょっといいな、みたいな。顔、形じゃなくてね。
- 中居:
- 歌を歌ってる和田アキ子っていう。
- 和田:
- そうそう。で、自分ではずっと歌手っていう意識があるんだけど、どうしてもバラエティのほうが多く見られがち。
- 中居:
- 出てるとやっぱりね。テレビはしょうがないと思いますよ。
- 和田:
- またね、好きなのよ、私。お笑いも。
- 中居:
- 好きなんじゃないですか。
- 和田:
- それでね、ヘタな新人より私のがウマいの、喋り。本当に。間とか。
- 中居:
- 面白かったりしますね。
- 和田:
- 自分もそうでしょ? そうでもない? 中居君て歌、歌ってんの?
- 中居:
- ………はい?
- 和田:
- あ、顔、引きつった。今、止まったよ。あ、そう。
- 中居:
- そういうことなんですよ。あの、僕もあれなんですけど………。
- 和田:
- ごめんね。
- 中居:
- やっぱりグループですから、ウマい人とやっぱり差があるんですよ。で、CD入る人と入らない人ってあるじゃないですか。で、ソロのパートもらえる人ともらえない人って。僕はでも、自分でわかってるんですよ。かなり重症なんですよね。でもね、僕ね、いろいろやってるじゃないですか、お芝居とか。何が好きかってね、正直僕は歌がいちばん好きなんですよ。本当、これは笑い事かもしれないですけど、僕ね、歌がいちばん好きなの。
- 和田:
- あ、そう。
- 中居:
- 歌ってる時がね、もうヘタだってみんな知ってるから。
- 和田:
- みんな知ってるって、知ってる?
- 中居:
- いや、もうかなり浸透しましたね。
- 和田:
- あ、そう。
- 中居:
- かなりいいネタになってますよ、今。それで、でもわかってるから、あとは自己満足の世界ですからね。もう気持ち良くてしょうがないですよ。
- 和田:
- あ、やっぱりそうでしょ。だから、そういう時には音を楽しむ音楽になってるのよ。
- 中居:
- すんごい気持ちいい、歌は。
- 和田:
- だから、ウマいヘタ関係ないと思うよ。人のとり方だもん。
- 中居:
- そうですかね。
- 和田:
- うん。だから、例えば日本でもさ、さっきの話に戻るけど、ジャズ歌わせたらウマいとかね、リズム&ブルース歌わすとウマいっていう人いるじゃない、ロックでも。私はね、みんな和製ロックって言ってくれるんならいいけど、ことリズム&ブルースに関してはね、どんなウマい人でもやっぱり向こうの人のがウマいと思う。本場のほうが。本当に。ということは、やっぱりいかに楽しんで聴けるかとか、楽しんで歌えるかじゃないの? 結果。
- 中居:
- 聴くほうの立場も考えなきゃいけないのかなとも思いますし。
- 和田:
- だけど、それは向こうが勝手に選べるんだもん、そうでしょ。
- 中居:
- 僕ね、アッコさんの昔、前、なんの番組か忘れたんですけども、歌ってる姿見たんですよ。それであの、詞はね、すごい淋しい。
- 和田:
- 何だろう?
- 中居:
- 何の歌だったけかな? バラードなんですよ。静かな歌で。たまに、やっぱりすごい淋しそうな顔するんですよね。だから、これお芝居なのかな? それともガーッて入ってるのかな? って。
- 和田:
- あ、歌を歌ってる時は、やっぱり主人公になり切りますよ。
- 中居:
- そうでしょ。もう本当に淋しそうな顔するんですよ、アッコさん。
- 和田:
- 何の歌だろうな?
- 中居:
- それでもいちばん最後にね、本当に涙が出るくらい淋しそうな顔するんですけども、曲が終わったらね、ニコッとするんですよ。
- 和田:
- あ、そうだっけ?
- 中居:
- うん。ニコッとする時にね、それがまたね、すごく淋しくて。
- 和田:
- あ、じゃあね、失恋の歌かどうかは別にして、だいたい歌番組ってアガるんですよ、私。
- 中居:
- 緊張するんですか?
- 和田:
- メチャあがるの、本当に。で、それをみんなが信用してくんないんだけど。
- 中居:
- だって、何年やってるんですか?
- 和田:
- いや、年数の問題じゃないね。あれ不思議なことに。昔はね、ぜんぜんアガんなかった。で、「なんじゃい!?」みたいなね。「んな、歌なんて1曲か2曲」って思ってたの。今ね、本当にブルブル震える時あるんですよ、終わって。ぜんぜんダメ。水が飲めないの。コップ持つ手が震えて。それぐらいアガって歌えないですから。歌ってる時真剣で、歌い終わってホッとして笑ったのかもわかんない。どんな歌かはわかんないけど。だから、適度な緊張もいいとは言われるんだけど、いつもアガってるんだけど、誰にもそういうふうに見えないの。
- 中居:
- それはわかんないですよ。僕もわかんないですもん。
- 和田:
- だから、か弱いって言ったら変だけど、小さい人でさ「アガってるの」とか言うと「よしよし、よしよし」ってあるじゃない。「おら、アガっちゃってるよ。どうすんだ?」みたいな。私も良くないのよ、癖なのよ。「ほらほらほら、ちょっと胸さわってごらん」って。みんな「ええ!? ええ!?」みたいな。そんな変な意味じゃなくて本当にドッドッドッドッってしてんだけど、信用してくんないのよね。もう和田アキ子っていうイメージが、そういうことあり得ないみたいな。なんでこうなっちゃったんだろうね? 大きいからかな?
- 中居:
- それはもうバラエティとかで、いろんな人がやっぱり言いやすいような、みんなが言えるような空気を作ったりするじゃないですか、アッコさん。
- 和田:
- そう。私、べつに怒ってないんだよ。で、人を殴ったなんて、本当にないんだよ。殴ったらこの業界なんか、本当に生きていけないんだから。
- 中居:
- そういう変な話、裏の事件があったら、みんなやっぱりそういう人は「番組やっぱり和田アキ子じゃいろいろ問題があるから」ってなるわけじゃないですか。そういうのやっぱり、一般人の人はやっぱりね、もうしょうがないですね。
- 和田:
- だからね、昔ね、よくね、泣いてたのはね、以外に家帰ったら泣くのよ。ごめんね、いろいろ話飛んで。
- 中居:
- いえいえ、大丈夫ですよ。
- 和田:
- でね、いつもお酒飲んでるっていうイメージあるからさ。で、お酒飲んで酔っ払って、まあキスするぐらいは良かったの。で、夜中に電話したりね、一升瓶持って暴れたと。それも私ね、言う人によって笑ってくれると気が楽なのよ。だけど、みんな一般の人にまでそう思われてて。で、なんかアンケートとったの。「和田アキ子ってどう思う?」って街行く人に。そしたら、わりと好き嫌いを別にして、わりと知名度はあるのよ。知ってるのよ、幼稚園の子でもね。5歳ぐらいの子から、まあ、しっかりしてる90歳ぐらいまで。
- 中居:
- 幅広いと思いますよ。
- 和田:
- しっかりしてる90歳だよ。私、本当に泣いたのはね、「和田アキ子さんてどう?」「怖い」とか言ってるのよ。小学校の子供よ。「あ、そう。怖いの。どこが怖いの?」「だって、飲んだら暴れるもん」。おまえと飲んだか? 私は。ものすごいショックだった。第一、そんなとこで飲むわけないんだよ。これはもう、毎日泣いてた時あった。マネージャーに言って。「なんでそういうイメージなんだ?」って。「なんで私はそういうふうにとられるの? 一回も暴れてないよ」っていって。そんなテーブルをひっくり返したとかね、例えば、俳優の誰々と喧嘩したとかね。一回もないのに、なんかそういうイメージ。すごい悩んだことあったのよ。
- 中居:
- いや、僕なんかほら、冗談っていうか、周りの人のネタに過ぎないとか。あとやっぱり自由似しておかしくするためにね、あるじゃないですか。それを僕なんか、あれは面白いからって思うんですけども、一般の人っていうのは。
- 和田:
- そう言われるとショックよ、すごい。ましてや小学生の。それとか、本当に具合悪くてね、一回、目のさ、ちょっと不思議な病気だったんだけど、角膜がガラスみたいに落ちるのがあるんですよ。それでフラフラで病院行ったらさ、親子連れいたんだけどさ、お母さんが子供に向かってさ、子供が「アッコちゃんだ!!」って言うからさ、私、フラフラだったけど子供だから、「はぁ」とか言ってたのよ。それでそれはヨタヨタ歩いてたの。マネージャーがいないで自分でタクシー乗って行ったから。「あーら、またアッコちゃん酔ってるね」って言われた時、「ババァ、本当にシメるぞ! おめぇ!!」みたいなさ。でも、ここでシメるとまた言われる。「和田アキ子やっぱり」って言われる。そのやっぱりって言われるのが嫌なのと、なかか戦ってね。これでも一時期悩んだのよ、本当に。で、このごろフッ切れちゃった、もう。
- 中居:
- もうフッ切りました?
- 和田:
- もういいやと思って。人のとり方っていうのはね、いろんなとり方で。
- 中居:
- それぞれで。
- 和田:
- うん。
- 中居:
- わかってくれる人だけわかってくれれば。
- 和田:
- そうそう。それで、べつに迷惑もかけてはいないし、べつに面倒も見てもらってないからさ。いいや、もうって。それまでね、不良できたし。まあ、自分で言うのも変だけど、よく自問自答すんのよ。「和田アキ子、なんぼのもんじゃい? おまえ」って声に出して私。「これこれこうやないか。最初デビューした時どないやった? おまえ。ファンもおらんやろ。どんだけ偉なってん?」って言ってると、「まあまあ、まあまあ、ええわ、人の言うこと気にせんとこ」とかっていうふうになっちゃって、楽になっちゃった。だから、本当はね、みんなが怖いっていうのもね、これも一理あるなって。で、私も笑い話で言ってたのよ。新人の人とか挨拶くるじゃない。で「おはようございまーす」とかって来るじゃない。「あ、頑張って下さいね」って、私、必ず椅子から立つんですよ、どなたがお見えになっても。「頑張って下さい。わざわざ御丁寧に」って言うんだけど、マネージャーに冗談で「おい、今見てみてろ。深呼吸してねぇか?」とかね。そういうのがね、どんどん伝わっていっちゃって、やっぱりビビってるとかってあるのよ。だけど、「なんで怖いの?」って聞いたらね、隙がないらしいの。私、まず遅刻しないし。遅刻嫌いなんですよ。飛行機とかそういうのはダメですよ。天候とか。だけど、だいたい遅刻しないのと、言ったことは守る。そういうのって芸能界って意外にアバウトだからさ。
- 中居:
- そう。当り前のことのようで。守って当り前のことができなかったり。
- 和田:
- そうそう。芸能界もおかしいよね。納得いかないのはさ、番組撮ってるスタッフに悪いんだけど、私たちが遅刻したりすると、すごい文句言うじゃない。で、まあ私たちの言葉でね、「デッパリ」とか「次もある」とかいいんだけど、外人のタレントが遅れたりさ、わがまま言うのって、意外にみんな言いなりだよな。
- 中居:
- はいはい、それは。
- 和田:
- あれ、腹立つと思わない? 本当に。あの時だけ外人になりたいよな。そう思わない?
- 中居:
- それはなんでまあ。
- 和田:
- 日本人だって絶対そうよ。
- 中居:
- 許されることじゃないですね。
- 和田:
- 本人に言わなくたってさ、影でさ、「いいよな、チッ。馬鹿野郎。生意気になりやがって。やってられねぇって言ってんだよ。やっとけやっとけ」とかってさ、プロデューサーでもディレクターでもなんでもあるじゃない。でも、本人の前ではさ、「いや、そうですか。はい、じゃあ、よろしくお願いします。いやぁ、楽しかったですよぉ」みたいな。もう指紋なくなりそうだもん。「いやぁ、楽しかったですねぇ。流石ですねぇ」。フジテレビ、特に多いからね。「いやぁ、もう最高!!」みたいなの。本当に。
- 中居:
- これ、フジテレビですよ。
- 和田:
- いやいや、知ってますよ。だけど、外人さん、外国のアーティストとか来るとさ、よくあるじゃない、記者会見でも2時間遅れても。
- 中居:
- 聞きますね。
- 和田:
- 「さすが大物」。2時間遅れて大物だったら、6時間ぐらい遅れたいよ、本当に。思わない? で、なんでもない、みんなが先に番組やっててさ、番組出てもらうんだけど、みんながやってることでも外人が。まあ、私たちとレベルがそれはもちろん違うけれども、その人たちも日本に仕事しに来てるんだからさ。その人たちには何でも言うこと聞いちゃうみたいなさ。だから、外タレは日本が天国なのよ。もう、本当にプロモーターに言って好きなもの食べさせてもらって。
- 中居:
- あらゆるものがありますからね。
- 和田:
- そう。それを私たちが言うとわがままとかさ。おかしいから、ちょっと外人になんない? ハーフとかさ。
- 中居:
- 僕は無理ですね。
- 和田:
- なんで? たまにはやろうよ、二人でさ。急に言うこと聞かなくなっちゃうの。
- 中居:
- いいですね。
- 和田:
- 「なに? これ。暗いね。やってられないわよ」とかさ。やってみようよ。
- 中居:
- びっくりしますよ、それ。
- 和田:
- その時は私がフォローしてあげるから。
- 中居:
- 嫌ですよ!! びっくりしますよ。アッコさんがやったら、本当にみんなビビっちゃいますよ。
- 和田:
- そうなの、私の場合は。
- 中居:
- そういう噂がまた流れちゃうんですよ。
- 和田:
- そうなのよ。
- 中居:
- ジョークでも、そういうこと言っちゃいけないんですよ、だからもう。
- 和田:
- それが悲しいのよ、また。なんかね、マネージャーとね、このあいだね、自分で言うのは変だけど、ある演歌の人がね、10人ぐらい連れてきてたから、「たまにはちょっとやってみようよ」って言ってやったんですよ。
- 中居:
- 10人ぐらい連れて来たっていいますと?
- 和田:
- ある演歌の人が10人ぐらい従えて局にお入りになったの。
- 中居:
- あ、はいはい。
- 和田:
- で、「やろうよ、レコード会社とか全部呼んで」って。それで、今まで「おはようございます」って下向いて入る癖があるんだけど、「堂々と歩こうぜ」って。そしたら本当すごいね。前のマネージャーとか煙草喫ってるじゃない。「おはようっス」って私と見ると「おはようございます!!」ってなるの。だから、これはやっぱりヤバいなって。普通にしとかなきゃね。それでなくても怖いって思われてるんだから。
- 中居:
- でも、日頃はでもね。日頃のアッコさん知ってる人っていうのは、もうわかってるわけですから。
- 和田:
- いや、意外にそうでもないよ。
- 中居:
- だから、一般の人とかっていうのはちょっとね、そこらへんまだちょっと疎いと思うんですよ。浸透性がやっぱり遅いですから。
- 和田:
- なんかね、飛行場とかさ、新幹線の駅なんかでさ、行くと「おお! やっぱりでけぇ!!」とか言う奴、本当にシメてやろうと思う時ある。放っといてくれよ。口に出さなくていいと思わない? 本当に。それとかね、私もまたおせっかいであの、ちょっと音楽の話と違うけど、携帯とか新幹線で鳴ったりすると腹立つんですよ。アナウンスがあるのにね、「携帯電話はデッキでおかけください」って言ってるのに。それもまた悲しいことにね、関西人が多いんですよ。
- 中居:
- アッコさんもそうじゃないですか。
- 和田:
- いや、だから、私が東京出て来て、もう人生の半分以上なんだけど。このあいだも新幹線に乗ってさ、マネージャーが「やめてください」って言うんだけど、その人が何回もかけるの。で、言ってて「携帯はデッキでおかけ下さい」って言うのにわざわざ電話かけて。斜めくらい前で。「はい、もしもし、わしや。今、新幹線乗ってるねん。電話してくれ」。ムカついてしょうがなかった。で、ムカつくからマネージャーに「言ってくる」って。「いいですから。黙ってて下さい」。ダメなの。許せない。「あのね、さっきのアナウンス、聞こえませんでしたか?」。関西人もすごいね。「なんや? 聞こえへんかったわ」「あんた、聞こえないのに、よう電話聞こえるねぇ」「なんやねん?」「いや、迷惑です」。言った後、心臓ドキドキよ。「ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい。どうしよう、どうしよう、どうしよう」とかって思うんだけど、余計なことするから、余計それを聞いてた周りの人は、悪いことはしてないんだけど、「和田アッコってすげぇ」ってなっちゃうわけよ。
- 中居:
- ある意味でね。
- 和田:
- ズルいと思わない? 嫌がってんのよ。明らかに嫌な顔してるくせに、自分では言えないのに言っちゃうと、まずその電話かけてる、明らかに禁止されてることをやってる人を変だと思うより、言った私を「やっぱりすげぇ」って思う。これも淋しいよね。
- 中居:
- でも、それはアッコさんのほうが正解なわけですから。
- 和田:
- だけど、なかなか正義がね、そのまんま通るっていうのは少ないんですね。悲しいね。
- 中居:
- いや、でも、それはでも、見てる人はちゃんと見てますよ。と、思います、僕。神様はそこらへんに僕はいると思いますよ。
- 和田:
- あんたって、年のわりに本当になんか、例えがジジ臭いね。
- 中居:
- 神様がいるって僕は信じてますからね。
- 和田:
- 私もそうなの。私もだから、朝、絶対に一番水で。窓あけるんだけど、窓あけて「神様、今日一日、誰にも喧嘩しないで、楽しくみんなに好かれますように。怪我のないように」ってずっと何十年やってるのよ。
- 中居:
- 毎日ですか?
- 和田:
- うん。
- 中居:
- へぇー。
- 和田:
- 前は塩もやってたんだけど、塩、固まるからさ。皿洗うの大変だろ。だから、なんかそういうふうに思ってると、どっかで神様がいるんだって思うと、なんか優しくなれる時ってあるよね。
- 中居:
- あります。それは本当にありますよね。
- 和田:
- ね。絶対に神様は見ててくれてる、とかさ。
- 中居:
- ガチガチになっててもね、フッとなんかね。
- 和田:
- そうそう。私もそうなの。
- 中居:
- そういうのありますけどね。
- 和田:
- 歌なんか歌う時は、さっき言ったレイ・チャールズが私の心のなかで神様でさ。で、レイちゃんに礼っていって出ていくのよ。で、帰ってきて「ありがとう」ってやるんだけど。心のなかでね、やっぱり何かの神様がいるって私も思ってる。どっかで見てくれてる。
- 中居:
- そんなことは、あるようでないようでわかんないんですけど、思ってて僕は損はないなって思ったりするんですよ。
- 和田:
- 私もね、べつに何にも信心してないのよ。困った時の神頼みで。ひどい時なんか「神様!!」なんて、十字架切ってから手を合わせたり。なんか、そう思ったほうが、うん、本当、優しくなれるっていうかさ。あるよね。
- 中居:
- でも、特に日頃歌う時、いちばん心掛けてることとか、大事にしてることってあります?
- 和田:
- 大事にしてること?
- 中居:
- 「和田アキ子の私の歌は、常に歌う時は心に」って。
- 和田:
- あの、やっぱり歌う時は真剣ですよ、どんな歌でも。だから、ある意味では、アガったりするのもね、意識過剰なのかもわかんない。それしか辿り着かないの。「なんでこんなにアガるのやろ?」って思った時に、「アッコ、おまえ、意識し過ぎちゃうか?」っていうね。「ちゃんと歌わなあかん」とか「みんなにウマいって言われてるから、間違うたらあかん」「間違うてもええやないか」っていうのがあるけれども。歌を歌う時には、なんかそれしかないから、私。人に認められたのが。あと、ずっと昔、喧嘩強いっていうことだけだったからさ。だから、それぐらいは、それこそ神様が与えてくれたんだから。勉強もしてないし、そんな可愛いで売ったわけでもないのに与えてくれたから、やっぱりちゃんと全うしなきゃいけないっていうのがあるから、すごい緊張するよね。で、ライヴっていうか、自分のバンドじゃない時ね、他のバンドさんとやった時に、バンドさんの雰囲気を壊さないようにノって聴いてる人が心地よい。それが速い音楽でも、スローなバラードでも、聴いてる人が心地よいふうにするためには。もうこの年になるとさ、自分であんまり年齢感じたことないんだけど、ミュージシャンの人でも年下多いからさ。そうすると、いい意味でも悪い意味でも、立ててくれるんですよ。すごく私をね。で、小さい頃から私に憧れてたとかさ、っていう人と一緒になにると、なんて言うか、ちょっと音楽のスタートが同じとこからスタート出来ないわけ。それが嫌なの。何とか同じところからスタートして、一緒にテンション上げたいわけ。で、音楽ってそんなもんだ思うから。やり始めたら先輩後輩って関係ないと思うのね。そういうことは、もし年下の人と一緒に演る時はそこらへん意識するし。同じレベルとか自分より上の人と一緒に演る時は、なんとかこの人たちに迷惑かけないように歌いたいと思うし。だから、とにかく歌を歌ってる時は、聴いてる人が心地よい。で、感動してくれるものを。
- 中居:
- アッコさん最初にね、レコード聴いたように感動できる。
- 和田:
- うん、そうそう。「ああ、いい歌だ」って。だから、カラオケで歌えなくても、べつに私の歌聴いて勇気づけられるとか、泣けたとか、元気になったとかって言ってくれるほうが嬉しい。カラオケ行った時に自分の歌を歌われるとね、無理して歌ってもらってるみたいで、なんか、かゆい時があんのよ。だから、あんまり「何が何でもこうやって歌うんだ!」っていうのはないけれども、歌はやっぱり聖域っていうかね。自分の最後の神聖な場所だから、ちゃんと演りたいっていうのはあるね。で、いい女でいたいから、ドレス着て。違う、もう本当の歌手・和田アキ子。
- 中居:
- 絶対にもう歌に対しては、疎かにしたくないんでしょうね。
- 和田:
- そう。絶対ね。だから、命懸けですよ。このあいだ、ある番組である人がね、ライヴやってる時に、小さい会場なんだけど、70人ぐらいのとこでおやりになって。それで、朝から雨降ってたからね、自分で感じてお客様が寝てくれればいいなって思ったんだって。
- 中居:
- なんで? 自分で聴いて欲しいじゃないですか。
- 和田:
- 歌を聴いて、寝てくれれば成功だって思ったんだって。で、本当に寝ちゃったらしいの。いや、宇崎竜堂さんなんだけど。自分でおっしゃったの。私はそんなこと耐えられない。死ぬ思いでね、人にはわかんないわけじゃない。
- 中居:
- 経緯っていうか、過程は。
- 和田:
- で、コンサートって前からチケット買って下さって。で、その前の晩に私が例えば、ついこのあいだで言えば腰痛で救急車で運ばれようが、点滴打とうが、腰にブロック打ってね、必死の思いで。リハーサルも声が出なくてって思う時にね、寝られたらね、耐えられないよ、私なんか。ヘナヘナヘナー、みたいな。でも、人によってやっぱり、それがいいっていう人もいるから。
- 中居:
- それも人それぞれでしょうね。
- 和田:
- だけど、私は歌ってる時は、やっぱり真剣に聴いて欲しい。だから、歓声とかも嬉しいけど、拍手とかさ、アンコールとかっていうと、なんか「よし! また頑張ろう」みたいのない?
- 中居:
- ありますよ。だから、一回アッコさん、ディナーショウかなんかで12歳以下の人はお断わりって。
- 和田:
- あ、うちダメなの。
- 中居:
- ね。書いてて僕、びっくりしたんですよ。
- 和田:
- わかんないもん、歌。
- 中居:
- そう、言ってたんですよね。「わかんないから、12歳以下の人には私の歌は」。
- 和田:
- コンサートもそうなの。前はね、「笑って許して」とか歌ってアッコちゃーん!! とかね。あの、♪笑って許して〜アッコ!! ってね、人に聞いたら、初めてらしいの、日本で。リズムにのって掛け声を掛けるって。それまでは「はるみ! はるみ! はるみ! はるみ! はるみ!」とか「チーター、チーター、チーター」とか演歌の人はね、「日本一! サブちゃん!!」とかってあったんだけど、なかったらしいの。子供よく来てたんだけど、バラードを歌ってる時にね、「ギャー!!」とかね、ダメ。覚めちゃって。
- 中居:
- なるほどね、わかります。
- 和田:
- ほら、イントロで入れる時あるじゃない、自分で。グーッときて、ヒューッと出そうと思うと、ギャァ!! とかね。あと、今で言うと携帯電話とかポケベル。「ふざけんじゃねぇ!!」と思う。だから、何回も言うし。で、「生意気ですけど、お子さんは私の歌はまだわからない」。かといって大人が理解するかっていうと、これも難しいよ、歌っていうのは。さっきも言ったように、10点満点てないからね。1+1=2とは限らないし。5でもいいし、ゼロでもいいわけだから。でも、まだわかんないと思う。だから、そのへんではミュージシャンにも悪いしね。そういう客席のちょっとしたことがステージに上がってると意外に聞こえるでしょ。
- 中居:
- 聞こえます、聞こえます。
- 和田:
- 冬なんかさ、風邪ひかれてんだけど、咳とかポーンとやられても、なんか聞こえるじゃない。されるほうも気を遣われてるんだけど、こっちはこっちで真剣に演ってんのに、ピッと引くっていうかさ。
- 中居:
- わかりますね。
- 和田:
- だから、すごくわがままなんだけど、子供は第好きなんだけれども、コンサートとかはダメですね。
- 中居:
- そこらへんは、ちゃんとやっぱり自分のなかで一線を置いてっていうか。
- 和田:
- でも、これ、ずっとデビューした時からだから。
- 中居:
- みたいですね。
- 和田:
- 今、急に決めたことじゃないから、もう当り前になってる。
- 中居:
- いや、でも、60、70になって、ヨボヨボになって1位になるっていうのをね。
- 和田:
- やってみたいね、その時ちょっとなんか。
- 中居:
- また本当、その時お話したいですもん。
- 和田:
- ね。その時にさ、「ちょっと中居、マニキュア塗って」とかっつってさ。
- 中居:
- 「はい、はいー」とか言って。
- 和田:
- そうそう。それで「行くよ」って言って二人でさ、「みんなお待たせ」って。ちっちゃいとこでいいじゃない。「今日はちょっと、声があんまりでないからCのブルースコードあたりで」とか言って。♪何年か前〜ダッタ、ダッタ、ダッタ〜話した通り〜って。カッコいいよ。
- 中居:
- 楽しいでしょうね。
- 和田:
- うん。やろうよ。
- 中居:
- その夢はね、本当、何年後、10年、20年、30年後になるかもしれませんけどもね。
- 和田:
- やろうよ。カッコいいよ。
- 中居:
- 1位はなって欲しいですね。
- 和田:
- 1位ね。
- 中居:
- ボヨボヨの1位。
- 和田:
- おまえ、ボヨボヨって言うなよ。ヨボヨボだよ。
- 中居:
- そうですね。
- 和田:
- ボヨボヨってなんか、霞んじゃうじゃない。
- 中居:
- 今後の活動も楽しみにしてますんで。
- 和田:
- いやいや、もう本当、ありがとう。
- 中居:
- 今日はどうもありがとうございました。
- 和田:
- なんか中居君とね、こういう話できて嬉しい。
- 中居:
- 初めてですもんね。
- 和田:
- ね。私のが緊張しました。ありがとうございました。
- 中居:
- いや、とんでもない。はい、ゲストは和田アキ子さんでした。どうもありがとうございました。
- 和田:
- どうも。