2020.10.5 MON. UPDATE interview #06上杉一志役 吉田鋼太郎さん インタビュー

撮影もいよいよ大詰めを迎えようとしています。
振り返って見て、今回の現場の印象はいかがですか?
織田裕二さんも、鈴木保奈美さんも、今回初めてご一緒させていたただくので、緊張と期待……伝説のあのおふたりとご一緒できるワクワク感の中で始まったんですけど、織田さんも保奈美さんも、芝居に、あるいはこの作品に賭ける意気込みは並々ならぬものがあったので、「これは命がけで頑張らないといけないんだな」ということを痛感しながら日々奮闘したつもりです。
シーズン2ということで、すでにチームワークが出来上がっている
チームに後から加わるのは大変だとおっしゃる役者さんも
多いのですが、吉田さんの場合はいかがでしょうか?
後から参加するのが好きだという役者はほぼいないと思います(笑)。出来上がっているところに加わるんですから、チームワークを乱してもいけないし、前回よりももっともっと盛り上げなければいけないわけですから、いずれにせよ責任は重いですよね。だから最初はその大変さみたいなものを感じていましたけど、途中からはみなさんに快く受け入れていただいたので、伸び伸びやらせてもらっております。
上杉というキャラクターの強烈な存在感、異物感が、
このシーズン2をより面白くしてくれたと思います。
弁護士の役ですから、例えば声を荒げたり、あからさまな意地悪をしたりというのはないわけですよね。あくまでベースはリアルで進んでいきますから。でも、そこで「何故そういうことを言うか」「何故、そこにいるか」みたいなものが、ジワジワとみんなに嫌な感じを与えいく流れに、途中からやりがいを感じました。いかに陰湿な人でいるか、みたいなことを心がけていたら、楽しくなってきました(笑)。
劇中では、軽快なアメリカンサウンドのような音楽が多く
使われていますが、上杉の登場シーンだけ音楽も不気味でしたし。
そうでしたね(笑)。でも、僕は凄くこの役が好きですよ。
実際に織田裕二さんとお芝居をされてみての印象は?
織田さんは、本当に『SUITS/スーツ2』のことしか考えていないんです。お芝居をしていない時もね。なので、良い意味で、こちらも気が抜けないんです。演技をするときももちろん気は抜けないけど、それと同時に、負けちゃいけないという対抗心みたいなものも生まれました。甲斐も、割と言葉巧みに、なるべくバトルにならないように、強い言葉を避けながらしゃべっていくんですけど、「あなたのことを許さない」とか「あなたの息の根を止める」というような、上杉に対する決めゼリフのときには、織田さんから凄いオーラが出ているのを感じるんです。これは、今まで主役として数多くの修羅場をくぐり抜けてきたスターのオーラだと思います。それが、こちらに向かってボンボン飛んでくるので、たじろぎそうになりました。でも、それに対抗して踏みとどまっている自分も、何だかスキルが上がっているような気がして楽しかったです。本当に素晴らしい方だと思います。
上杉というキャラクターは大好きだというお話もありましたが、
演じるにあたって最初に何か決めたことはありましたか?
大きい声を出さない、ということですね。あくまでも紳士だと。で、むしろ最初の方は改心して“良い人”になっていますからね。だから、善人に見えるように努力はしたんですけど、ちょっとそれは難しかったかもしれない。「出てくるだけで怪しい」という意見も多かったので(笑)。そこはもう少し、頑張れば良かったという気もしています。
アメリカ版の原作ドラマを知らない人が見ていたら、
「上杉さんは本当は良い人かも」と錯覚させる場面も多かったですよね。
大輔(中島裕翔)に協力する姿もありましたし。
確かに、日本版にもそういうシーンがありましたし、上杉にも仕方ない事情があった、というようには見せていますけど、全然違いますよね。極悪人ですよ(笑)。だから、大輔くんを褒めているときだって、彼のことを本当にそう思って言っているわけではないですし。全部自分のためですから。なかなか、ここまでのヒールはいないんじゃないですか?
すべて自分の欲望のため?
その通りです。全部自分のためです(笑)。ただ、奥さんが亡くなった、ということに関しては可愛そうでしたね。同情するとすればそこかな、と思いますけど、結局改心していないですからね。
可愛い娘さんもいますし。
それなのに、ね(笑)。本当に酷いですよね。
一度、チカと甲斐に敗れたと思われた上杉が、この最終章で再び
牙をむきます。その見どころを含め、視聴者のみなさんに向けて
メッセージをお願いします。
上杉という男は、『幸村・上杉法律事務所』の幸村先生、甲斐先生にとっては完全に敵対するキャラクターであり、愛すべき人物などではない、ということは、みなさんも良くお分かりだと思います。その化けの皮がはがれていくというか、悪者であるということがあからさまになっていきますので、そのあからさま加減を、是非楽しみにしていただければと思います。
「これですべてが終わったわけじゃない」というセリフも不気味でした。
「いい加減にしろ!」「もう出てくるんじゃねぇ!」って感じですよね(笑)。でも、そう思われてこそ上杉だと思いますので、思う存分に演じたいと思います。

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