2018.10.1 MON. UPDATE

今回のドラマは全米大ヒットのドラマ『SUITS/スーツ』
が原作です。出演が決まったときのお気持ちからお願いします。
  • 織 田
    実は、出演することになってから原作ドラマを見たんですけど、見てみたら、まあ、すごいな、と(笑)。面白くて、シーズン6まで見たんですけど、とにかく羨ましいなと思いました(笑)。「こうやったらカッコいいだろうね」ということを贅沢にやっていますし、しかも(キャストの)呼吸も出来上がっていて成功している作品を日本でやる、と考えたら、もうこれはプレッシャーで。「うわぁ~!  簡単に引き受けちゃったな」と(笑)。でも、こうなったらこうなったで、「大企業に立ち向かう町工場の意地見せてやる!」という、今はそんな気持ちです(笑)。
  • 中 島
    僕は、お話をいただく前から作品を見ていましたが……まだシーズン4で止まっているんです。織田さん、もうシーズン6まで見たんですね。原作ドラマは織田さんがおっしゃっていたように、本当にカッコよくてオシャレですし、僕も「街並みや「オフィスどうするんだろう?」といろいろ考えていました……。けど、お話をいただいたときに、「マイク・ロスか!」と思って。
  • 織 田
    本読みに、向こうのプロデューサーがふたり来ていたんです。異様な緊張感だったよね。
  • 中 島
    こちらのプロデューサーさんから「文化が違うので、日本の文化に合うお話にしてくれて大丈夫だ」という風に伺っていましたが、とても緊張しました。でも、向こうのプロデューサーさんが織田さんと僕の掛け合いを見て、「もう君たちは大丈夫だから」って仰ってくれたので安心しました。日本語の本読みでしたが(笑)。
  • 織 田
    うん、俺も初めてだけど。でも、「やっていいよ」って言いながら、あとでダメ~って言われないかな(笑)。
  • 中 島
    難しいところですが、これはひとつのチャレンジだと思って、ポジティブに捉えています。
  • 織 田
    あとはもう、東京の素晴らしい場所を是非お借りしたいので、みなさんロケ場所の協力をしてくれたら嬉しいです。
  • 中 島
    おしゃれなところ、使いたいですよね!
おふたりは初共演ですが、お互いの印象は?
  • 中 島
    めちゃくちゃ優しいです。
  • 織 田
    優しいフリしてます(笑)。
  • 中 島
    え~っ!?
  • 織 田
    いえいえ、そんな言葉が来るとは思わなくて(笑)。
  • 中 島
    初めてお会いしたとき、「よろしくね」って握手してくださって。ふたりで鏡見ながら並んだり、肌の色の話をしたり(笑)。
中島さんは、ずっと第一線で活躍されている織田さんを
見てきたと思いますが……。
  • 中 島
    そうなんです。だから、めちゃくちゃ緊張してたんですけど、そういう風に優しく受け止めてくださいました、「すごく頼りにしている」というお言葉もいただいて……。「大丈夫かな?」と緊張しながらも、今は胸を借りるつもりでいます。
  • 織 田
    もう連ドラの主役なんて体力的にできないだろうと、いつも思いながらここ何年か来ているので。彼の体力が羨ましい(笑)。パッと芝居をやったときもキレがありそうだし、ふたりのお芝居がバディものなので、そういう呼吸が合わないといけないと思って。まあ、その辺は実際にお芝居をやってみないとわからないよね。
  • 中 島
    ご一緒できるシーンが待ち遠しいです。
  • 織 田
    それぞれまた、何をするときも世代間ギャップが出てくるだろうから、いろいろ勉強になるんじゃないかなと楽しみなんです。
弁護士役を演じるにあたって、準備されたことは?  織田さんは、
弁護士役は初めてではないですが……。
  • 織 田
    弁護士ということはほとんど意識していないです。それよりも、この作品が大事にしているのは、法律事務所の中の“ファミリー感”。事務所のちょっとした兄弟ゲンカや親子ゲンカというか。親が子供に期待するようなものにも置き換えられる作品だと思っているので、小難しいセリフや専門用語は少なくしてほしいなと(笑)。
  • 中 島
    その代わり、僕が言います。
  • 織 田
    そう、天才だからね。僕、それは以前の作品でやったので、もうそこは譲ろうかなって。「で?」ってひと言聞けばいいっていう(笑)。
  • 中 島
    僕は初めてなので、本物の弁護士さんにお話を伺いました。でも、織田さんがおっしゃるように、そんなに弁護士らしくしなくていいドラマだなという印象です。ただ、家族関係や世の中で問題視されているような、セクハラだったりパワハラを映し出しているドラマだと思うので、そういった知識を身に着けようと努力しました。
長い撮影期間を乗り切る秘訣は?
  • 織 田
    (中島に)元気でしょ?3本掛け持ちしても平気でしょ?
  • 中 島
    いや、3本はさすがにムリですよ(笑)。
  • 織 田
    ほかにいろいろやってるから大変だろうけど……。やさしいスケジュールでお願いします(笑)。
本家の『SUITS』はそれぞれアクの強いキャラクターばかり
だと思うので、日本版はどうなるのか楽しみです。
  • 織 田
    『SUITS』は、もうシーズンを重ねてずっとつながっていて、最初のころ、みんなが探り探り「どうしたらキャラクター作りが上手くいくかな?」というところから始まって、すごく長い時間をかけてやっているのでそれがもう完成形になっているじゃないですか。どのドラマもそうですけど、実際にスタッフとスタジオセットの中に入ったり、ロケ場所に行ったりしてお芝居をしているうちに見えてくるものもあると思うんです。ハーヴィーにはハーヴィーの良さがあるけど、まったく同じことはコピーできない。同じ白人の人がやったとしてもムリだっていうこともある。だから、甲斐の持ち味……それぞれが持っている武器は何かを考えていきたいです。「あの役はこうなのに、全然違うじゃない!」ではなくて、別物の何か、その決まったキャスティングのそれぞれの音を出して、「ああ、この音とこの音をこうやって組み合わせると気持ちいいハーモニーが出るんだね」っていうのが、徐々にできてくると思うんですよ。それをなるべく早い段階でつかめると嬉しいな、というのが今の正直な気持ちです。
  • 中 島
    原作モノにありがちなことってたくさんあると思うんですけど、向こうのプロデューサーさんが、日本の作品として作ってくれていいとおっしゃっていたので、日本ならではの『SUITS/スーツ』でいいんじゃないかなと僕は思っているんです。最初は、原作を結構見ていたので、そこからトレースしていこうかなと思っていたんですけど、やっぱり違う人間だし、難しいので諦めました。
  • 織 田
    できない、できない。
  • 中 島
    日本版として変えていく箇所はもちろん出てくると思いますが、向こうの良いところは盗んで、残すところは残すイメージでいると、雰囲気が少し出せるのかなって考えています。オフィスや外観、さらには人種も違いますが、一番の問題は文化ですね。やっぱり、向こうはおしゃれさが違うじゃないですか。その中で、どうやったら日本でやってもサムくならないかっていうところを探りながら、撮影に臨んでいます。
  • 織 田
    濃いファンの方は、あったか~い目で見てほしい(笑)。そしてまた新たなファンを獲得しにいきます。
先ほど、町工場という言葉もありましたが、
日本版ならではの良さ、面白さは?
  • 織 田
    やっぱり、日本の企業がどうやって世界と戦ってきたかっていう部分と、被っちゃうんですよね。国力じゃとてもかなわない。「これに勝つにはどうしたらいいの?  一矢報いるにはどうしたらいいの?」ということですよね。やっぱり日本人ならではの丁寧な気配りとか、勝てる要素って何かあると思うんですよ。そこをどれだけ頑張れるか。
  • 中 島
    シーズン1がストーリーのベースになっているので……。
  • 織 田
    物理的にやっちゃダメっていうのは、結構あることはある。「日本ではテレビで放送できません」というような縛りは多々出てくるので、画でバンって表現できたものができなくなる。これを全部守っていくと、「ただの普通の日本のドラマじゃないか!」ってなっちゃうから、じゃあそれをどうしたらいいのか、というのが難しいですよね。
  • 中 島
    やってみないとわからないですね。
中島さんの中で、日本でやることについて思うことは?
  • 中 島
    どうなんだろう。でも、国は違っても、人間として持っているものって、通じるものがあるじゃないですか、それぞれが大切に持っているものとか。話が進んでいく中で、キャラクターがそれぞれ持っているコンプレックスが明らかになっていく。大貴なんて顕著ですよね。経歴を詐称して弁護士になって、それを隠し通す覚悟でやっていくので、そういうハラハラしている感じとか。嘘をついたことがない人っていないと思うので、誰かしら持っているであろうコンプレックスがひとりひとりに反映されているのは、日本版でも楽しめると思います。
大貴はスーツの着こなしで成長度合いがわかると
思うんですけど、スーツの着こなしや衣装のこだわりは?
  • 織 田
    自分のスーツ? もう頑張れる限界まで頑張っています(笑)
  • 中 島
    めちゃめちゃカッコイイじゃないですか。体格的にも似合っているので、渋さがすごく出るというか。僕らはまだ、渋さを出そうと思っても出せないじゃないですか。そこがやっぱり違うところだなって、思い知らされましたね。大貴は初め、喪服なんです。なので、だんだんたしなみとか、スーツを着た上でマナーとかを意識していこうかなと思います。例えば、座っている時にボタンを1つはずすとか、そういうマナーみたいなものは向こうでもあるし、こっちでも同じかなと思うので。あとは、マイク・ロスのネクタイのノットが結構細いので、そういうのはトレースしていこうかなと思っています。
ご自身が演じるキャラクターの魅力や面白さは?
  • 織 田
    甲斐は経験豊富で、デキる男で、負けず嫌いで。一見、完成されているかのように聞こえちゃうんですけど、実はまだ未完成で、上司の幸村チカ(鈴木保奈美)からなかなかシニアにさせてもらえない。それは別に意地悪でもなんでもなくて、まだ足りてないから。プレーヤーとしては、エースでけちのつけようがないんだけど、そこから役職が上がって、今後は部下を育てるようになったら……。今まではずっとひとりで戦ってきた男で、いっさいアソシエイトや部下を持ってないんです。唯一いるのが秘書だけ。6割7割の力で勝てる試合を、もうずっとやってきた人なんですね。だけど彼(大貴)の要求がすごくピュアで、依頼人の気持ちに寄り添うので。手段を選ばなければ6、7割で勝てるけど、そこでまたひとつ、彼の要求に応えるために……それは何故かっていうと、自分にもそういう時代があったわけですよね、勝つっていうことは、絶対に必要なこと。勝てない弁護士なんて、誰も頼みたくないから。だけど、そこにもうひとつ、相手の気持ちに寄り添う。勝つこと=お金を得て、それで解決することでよしとしていたけど、もうひとつ課題を投げかけられた。でも、そういうことによって成長していく。ふたりだけじゃなくて、出演者全員が、実はとちょっとずつ成長していくんですよね。それぞれに魅力があり、欠点があったりするんですけど、その辺も段々色濃く出てくると思うので。ホントにファミリーというかホーム、ひとつのファーム。その大家族が面白くなるといいなと思っています。
  • 中 島
    僕はもう、言わずもがなの完全記憶能力ですかね(笑)。セリフがセリフなので、今ちょうど欲しいな、と思っているところで(笑)。1回で暗記できたら、心配事がひとつ減るのにと思って。でも、それを持っているからパーフェクトな人間かと言ったら、そうでもなくて。それを上手く生かし切れていないからくすぶっている、みたいな。まさに宝の持ち腐れで、「俺だったらもうちょっとうまく使うのにな」って考えている人は、多分ごまんといると思うんですよ。大貴の能力ってすごく憧れるけど、「あ、そこは完全じゃないんだ」っていう、天は二物を与えずじゃないですけど、そういう部分ですね。あと1話で、いろいろな表情が見られると思います。悪友と話しているときだったり、自分をずっと育ててきてくれた祖母に話すときだったり。そういうところも魅力だなと思っています。大貴は、甲斐とはまったく逆のアプローチで裁判に臨むんです。けど、若かりしころの甲斐と似たような感情を持っていたりするので、一見違うように見えても、ベースは同じだったりするのかな、と感じる部分もあるんです。青臭い部分もありますし、世渡りが全然上手くないというか…。もう少し上手くやって嘘をついたりすれば、裁判も勝てるんだけど、ちょっとこじらせちゃう、みたいな。そういうところは、かわいい部分でもあるし、憎めない部分でもあるかなと。甲斐という大人、そして上下関係がある日本の文化の中でも、相手と対等でいることですかね。そこも魅力だと思います。どうしても、年上の方や、目上の方だと……。
  • 織 田
    敬いなさい(笑)。まあ、日本だとこうだよね。だけど、体育会系の縦ノリというよりは、甲斐チームの方は、多分そういうのは関係ないんですよね。自分が若いころは、もっと生意気だったんでしょうね。むしろそういうのは撤廃して、実力のある人が上に行けばいいとか、一緒に組みたいとか。僕も古いタイプの日本人なので、カチンとくる瞬間があるかもしれません。だけど、それは逆に日本版の場合、入れた方がいいのか、止めた方がいいのか、これも悩みどころで。世代間の流行り廃りのカッコよさのギャップとか、シャレ感の違いとか、そういうのは出せると思うんですけど……。ちょっと入れた方が逆に面白いかもしれないし、あるとなんか遠慮しちゃうと思ったら、止めた方がいいのかとか。その辺をどうするのかも、お楽しみに(笑)。

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