モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―
入間瑛 理奈役 山口 紗弥加さん
『モンテ・クリスト伯−華麗なる復讐−』への出演が決まった時のお気持ちは?
「タイトルから、私が(演じる役が)華麗に復讐される?だとしたらどんな風に?と、何だかそわそわするような、妙な興奮がありました(笑)。私は原作を読んでいないので、原作を元にした映画でしか作品を知りません。今回は現代の日本が舞台だということもあり、あえて原作を読みませんでした。台本片手に勇者気取りで大冒険です!
最初に台本を読まれて、いかがでしたか?
「物語の冒頭でディーン(・フジオカ)さんが漁師役だと知った時、一体どんな漁師さんになるんだろう?と(笑)。海の男と聞けば、私の中では荒々しく野性的なイメージ。美しくエレガントなディーンさんとは対極にあるような気がして、そのギャップにワクワクして。1話を観て、底抜けに明るい暖の豪快な笑顔に、日本ではない異国の海を見たような…そんな新鮮な気分でした。すみれ(山本美月)と暖の純愛がもう、可愛いやら恥ずかしいやら…嫉妬にも似た気持ちで2人を祝福してました(笑)。私は悪い役なので…」
入間瑛 理奈役 山口 紗弥加さん
瑛理奈は怖いですね。冒頭の明るい演技がまた…。
「そこはかとない違和感が欲しかったとはいえ、最初の頃の瑛理奈は天真爛漫、テンション高くKY(空気読めない)な感じでしたからね。夫の公平を演じている(高橋)克典さんはドン引きされているようでした(笑)。芝居を重ねていくごとに、少しずつ体が離れていくんですよ。夫婦の間に物理的な距離ができる。“役名を変えて、入間パー子にしたら?”なんて、冗談にして笑って下さってたんですけどね、その優しさが、逆に痛いというか。瑛理奈の中に横たわる孤独、禁断の果実に触れてしまったような気がしてドキッとしました。視聴者の皆さんには、"瑛理奈ってちょっとウザいよね"を入口に、いつしか、何らかの関心を持っていただけるようになればシメシメ…なんて、淡い期待を抱いてみたり。瑛理奈ってきっと、愛されたい、注目されたい人だから
瑛理奈はどのような女性だと?
「とにかく明るく…私自身、瑛理奈はどこへ向かっているんだろう?と不安の中、前だけを見て突き進んできました。そして、裏の顔が出てくるんですが…。瑛理奈には罪悪感というものが決定的に欠如していて、自分が信じる幸せのため、正しいと思ったことをただひたすらに実行しているように見えます。強烈な自己顕示欲の持ち主で、渇望感に取り憑かれてる。悪魔は悪魔でも、瑛理奈には天真爛漫な悪魔でいてほしい。"悪い女"ではなく、"怖い女"で在ってほしいし、そう在りたいです」
天真爛漫な悪魔…手がつけられませんね?
「でも、瑛理奈の行動の裏には愛されたいというアピールがあると思うんです。それはひとえに、公平さんへの重すぎる愛情で、強すぎる自己愛なんだけど、その愛は実の息子の瑛人(宇都宮太良)にも等しく注がれていて。未蘭(岸井ゆきの)には決して向けられることのない歪な母子愛…それがどこに着地するのか?を考えると、胸の辺りがザワザワします。瑛理奈自身には止められない…もしかすると、現実からどんどん分離していることにも気づいてさえいない狂気の終着点は楽しみです
入間瑛 理奈役 山口 紗弥加さん
そんな瑛理奈の気持ちをどのように思われますか?
「共感はちょっと、難しいかな…。ただ、この作品の登場人物は瑛理奈だけでなく、ほぼ全員が、それぞれに欲深く罪深い…煩悩の塊のような人たちです。実際の私たちはそれを人前で上手に隠して生活しているだけで、大小の差こそあれ、中身はドラマに出てくる業の深い人間たちと大して変わらないんじゃないかな、と。なので、例えフィクションだとしても、欲望剥き出しで生きる人間を、滑稽なほど誠実に演じている役者の皆さんの"業"のようなものが、チラチラチラチラ…見え隠れしているような気がして、恐ろしくもあり、大変興味深いです(笑)。この人って、もしかすると私かもしれないな…なんて、自分を重ね内省しながら観ているところも正直あります(笑)」
真海の復讐への執念をどのように?
「1,2話を観ると、そうなりますよね…お察ししますと。全てを奪われた上に、お母さんまで亡くなっていて…あれは殺人ですよ、明らかに。ですが、このストーリーが怖いのは、本来なら被害者にあたる人間が罪を犯しているようにも見えたり、作為と不作為が入り混じって、善悪がわからなくなる瞬間があるということ。計画犯、実行犯までは同罪として、真海はどこまで、誰にまで、その怒りをぶつければ良いのか?と。目線を変えると、そうせざるを得なかっただろう事情が窺える人もいたりして…でも、そこはやっぱり、真海の気持ちでドラマを追いかけて下さい!
入間瑛 理奈役 山口 紗弥加さん
共演者のみなさんと演じられていかがですか?
「克典さんには、私が10代の頃からお世話になっていて、その時は兄妹の設定でした。20年が経って、今では夫婦だなんて…何だかヘンな感じです(笑)。大らかなディーンさんによる癒し効果なのか、現場はやわらかな雰囲気で。みなさんが程よい距離感でいらっしゃるような気がします。3話、真海の別荘での食事会撮影の合間では、わっと盛り上がって、すっと波が引くような、そんな時間が度々あって。その余韻、何事もなかったかのような静けさに、みなさん、いま何を考えているんだろう?なんて…あれこれ想像してはドラマ同様、スリリングな緊張感を楽しんでいました」
今回のドラマのテーマ、復讐についてはどう思われますか?
「倫理的、道徳的にも全肯定はできないし、とても悲しいことだと思う。復讐を果たせてとして、残るのはきっと、虚しさだけだとも思います。だけど一方で、悪は暴かれ、正しく裁かれるべきだとも。どんなに些細なことだって、悪いことをすれば償い、改めることは当然のこと。そんなことは子供だって知っていて。だけど…不条理なこの世界では何が正しくて、正しくないのか、分からなくなることも多いです。だからこそ、私は、被害者とその家族、当事者にしか分からない痛みにできる限り寄り添いたい。そう思います」
視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。
スピード感のあるサスペンスとして非日常のスリルを楽しみながら、ヒューマンドラマとしてもそれぞれの人間の言動に注目していただけたら…。瑛理奈の選択を見届けていただけたら、本望です!

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