「神奈川県厚木市の昭和音楽大学で」
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吉田 | はい,皆さん,今日は厚木までようこそ.さて,かねてより懸案の,新しいユニットを作って演奏しようじゃないかということで. |
光一 | 今日は30分間,カムカムギターキッズスペシャルということで,ここ昭和音楽大学の前におるわけです. |
坂崎 | どうしてここなんですか? |
光一 | お葉書をいただきました.「いつも楽しく見ています.この前LOVE LOVEを見ていたら,みなさんが新しい楽器をマスターするために先生を探していると言っていましたが,この学校は小人数制でのレッスンが特徴なので,細かいところも先生に熱心に教えてもらえます.皆さん,一度私たちの学校を見にきてもらえませんか?可愛い子もいっぱいいますよ」. |
吉田 | 本当かな?さっきから見渡してるんだけどね. |
光一 | 昭和音大,これはやっぱり先生に教えてもらうっていう. |
吉田 | 「先生」って先に生まれたって書くじゃない.これが気に入らない,俺は.先に生まれたってでかい面するなっていう.それはすべて俺のことなんだけど. |
坂崎 | 生徒さんが先生なんでしょ?それで,なんか今日中に発表するんですか?拓郎さん. |
吉田 | 今日中にですね,出来るとこまで練習して帰って,みんな.それなりにプロ根性でやってもらって,最後には学生を前に演奏を聞かせようという無謀な企画を立てたんです. |
剛 | 無謀ですね. |
吉田 | 曲,何をやるか.この時期にちなんで「きよしこの夜」. |
光一 | またやないかい.僕らがギターでやったじゃないですか. |
吉田 | これ,僕らの必ずスタート地点には,なくてはならない曲だから.で,もっと言うとこの曲以外に出来る曲はないだろう,俺たち.そういうわけで. |
光一 | とりあえず頑張りましょう.僕らだけでは学校の中わからないので. |
吉田 | そうですよね,僕,トイレの場所とかもわからない. |
光一 | 葉書をくれた3人が来てると思うんで.いらっしゃい.
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(お葉書をいただいた声楽科の大須賀さん,五嶋さん,倉岡さんに学校を案内していただきます)
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倉岡 | こんにちは. |
大須賀 | はじめまして. |
吉田 | 剛,すいません,その怪訝な顔は. |
剛 | いや,太陽がまぶしいんですよ,今日は. |
吉田 | 葉書をくれた人たちですか? |
光一 | 4年生いうと何歳ですか? |
倉岡 | 21です. |
五嶋 | 21です. |
大須賀 | 22です. |
剛 | だいたい同い年ぐらいですね. |
光一 | そうですね. |
吉田 | 剛,その怪訝な顔は. |
剛 | いや,太陽がまぶしくて. |
光一 | お3人さんは,チェロ,トランペット,コントラバス,ピアノが出来るわけですか? |
倉岡 | 私たちは声楽科なので歌を勉強してます. |
光一 | 歌を歌う学科. |
五嶋 | でも,学校には他の楽器の人たちがいるので大丈夫だと思います. |
光一 | じゃあ,案内してもらいましょう. |
剛 | そうですね. |
坂崎 | 参りましょう.
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(いよいよ学校の中へ)
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光一 | まずはピアノの先生からですか? |
剛 | 僕の先生ですね. |
光一 | 探しましょう. |
剛 | ぜんぜんトークなしで歩いてますけど.(←大歓声の中なので) |
坂崎 | 素で歩いてるな. |
吉田 | 何も話すことはない. |
大須賀 | こちらです.ピアノのレッスン室. |
剛 | はい,じゃあピアノのレッスン室に入りたいと思います.それでは. |
吉田 | こら,剛,入れよ,入れよ. |
剛 | なんかオッちゃんが. |
倉岡 | 入って下さい. |
剛 | 「なんや?」っていう顔されたんですけど.
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(ピアノの先生と対面レッスン室には奥村教授と生徒さんがいらっしゃいます)
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奥村 | 教えられる人たくさんいますよ. |
吉田 | それはここから選べということですか? |
剛 | っていうことですよね. |
吉田 | この3人の中から. |
剛 | 腕前なんかをちょっと. |
光一 | 聞きたいですね. |
吉田 | ちょっとなんか,「私,これぐらい弾けますよ」っていうのを. |
光一 | 得意な曲かなんかを.
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♪まずはシャブリエの1絵画風賞品集小品より「風景」を中本さんに演奏していただいています〜
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光一 | 何で急に顔が変わるんでしょうか? |
吉田 | 君いくつ? |
中本 | 22歳です. |
吉田 | OK,次の人. |
中本 | ダメですか? |
吉田 | 君出身どこ? |
松澤 | 長野です. |
吉田 | 何歳? |
松澤 | 歳です. |
吉田 | はい,頑張ろう.
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♪つづいてメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲第一番」を松澤貴美子さんに演奏していただいています〜
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剛 | なるほど. |
吉田 | いちばん楽しそうにしてるのは先生だけだね.はい,次.名字は? |
大谷内 | 大谷内です.21歳です. |
吉田 | 大谷内は22歳. |
大谷内 | 21です. |
吉田 | 21.はい,やってみよう. |
光一 | 「ねこふんじゃった」をお願いします.ト長調で. |
坂崎 | ト長調? |
光一 | 自分なりのアレンジも入れてみてはいかがでしょうか?
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♪「ねこふんじゃった」ト長調を大谷内さんに演奏していただいています〜
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吉田 | メロディ的にはこれがいちばん親しみやすいな.はい,3人の方に得意な曲をやっていただきました.剛君,生徒として,この先生なら信頼してついてけるっていう人を選んで下さい. |
剛 | どうしよう.
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(剛君は悩んだあげく,3人の先生みんなに教わることになりました)
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吉田 | まあさ,ピアノをちょっとやってたんだけど,そういう時間もあるけど,ちょっとお腹空いちゃってさ,なんか食わないと気が済まない.学食っていってさ,いわゆる安くてマズいとこがあるわけ.なんか美味しいものある? |
五嶋 | 美味しいものもあります. |
吉田 | ちょっとそれを食べに行こう.この学校って男の子少ないの? |
大須賀 | 少ないですね. |
倉岡 | 女の子に較べれば. |
光一 | やっぱりデキてるカップルとかいるの? |
倉岡 | います. |
五嶋 | みんな必ずすぐくっつきますよ. |
光一 | マジで? |
剛 | いいなぁ,こういう大学の.出会いあるで.いっぱいあるで,これ. |
光一 | カレーまん. |
坂崎 | カラアゲカレー. |
倉岡 | 懐かしい味がしますよ. |
吉田 | 本当だ. |
坂崎 | これ,学校に遊びに来ただけで終わるんじゃないの? |
吉田 | そこにトランペットが,なんか意味なく置いてあるよ. |
坂崎 | こんなところにトランペットが. |
剛 | 今から練習? |
坂崎 | まさか僕がここで?
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(トランペットの先生と対面)
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剛 | お食事中すいません,吹いてもらっていいですかね?一人ずつ. |
坂崎 | ここで音出していいんですか? |
剛 | 吉田拓郎がいるんで大丈夫です.
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♪ムソルグスキーの「組曲展覧会の絵」を皆さんで吹いていただいています〜
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吉田 | 「やって参りました,聖火のランナーが」っていう感じだね. |
坂崎 | 難しそうだな. |
光一 | 坂崎さん,どうしましょうか? |
坂崎 | じゃあ,4年生の彼女に.
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(坂崎さんのトランペットの先生は出口さんに決定)
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吉田 | どこ行くの? |
倉岡 | 今オーケストラの練習をしているので行ってみましょう. |
吉田 | 行きましょう. |
光一 | 僕と拓郎さんの番ですよ. |
剛 | でもいいな,なんかこういうの. |
吉田 | 学校だよね,学校. |
坂崎 | 学校ですね. |
吉田 | ドビュッシーですね. |
剛 | ここで恋の一つや二つ生まれるわけですよ. |
坂崎 | 生まれるよね. |
吉田 | ちょっとこの部屋入ってみようか.個室. |
坂崎 | 拓郎さんが個室に入っちゃったよ. |
吉田 | あ,入っちゃいけないんだ.ごめんなさい. |
光一 | 怒られてどないすんねん.幾つなんですか. |
吉田 | 俺,学校で怒られるの嫌なんだよ. |
倉岡 | こちらのホールで今練習してるとこなんです.
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(コントラバスとチェロの先生と対面ホールには星出教授とオーケストラの皆さんがいらっしゃいます)
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星出 | 誰か選んで下さって結構ですよ. |
光一 | じゃあ,コントラバスの皆さん,一斉に何か.ね,先生,ちょっと聞きたいんですよ. |
星出 | じゃあ,今の出だしのコントラバスやってみて.
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♪ヘンデルの「メサイア」を皆さんに演奏していただいています〜
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光一 | なるほど. |
剛 | カッコいいぞ. |
光一 | 力強い. |
吉田 | あの方に教わりますか?光一君. |
光一 | すごい身体ちっちゃいのにね,でかい楽器をもってるんだよね.そこがいいな.
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(光一君のコントラバスの先生は松本さんに決定)
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吉田 | チェロの皆さん,どうもこんにちは.それじゃあ,誰か一人俺にチェロを教えてやろうかなっていう人いないの? |
光一 | 脅迫じゃないですか,拓郎さん. |
吉田 | じゃあ,この3人の方に.お名前を. |
カルベ | カルベです. |
タケダ | タケダです. |
里美 | 里美です. |
(拓郎さんのチェロの先生は里美さんに決定)
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剛 | 拓郎さん,徐々に徐々にティンパニーに近付かないで下さい. |
吉田 | 一緒に見ようか.入ろうか?僕も.いい感じだね.俺,踊るよ,ティンパニーがあれば.踊るチェリスト.先生はそろそろ帰れっていう顔だね. |
光一 | 練習中ですもん.というわけで,これで全員,先生が決まりましたから,ちゃんと練習しましょう. |
吉田 | じゃあ,この学校を借りまして. |
剛 | 練習させていただきます. |
吉田 | どうも失礼しました.
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(個別レッスンへ)
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光一 | 拓郎さん,僕,テレビに映ってないんですけど. |
吉田 | 君どこにいるかわからない.楽器が.でも先生たるこの人もちっちゃいね. |
光一 | そうなんです. |
吉田 | ここは本当に今日いちばんユニークな組み合わせ.ベースを教える先生も生徒さんもまるっきり見えない. |
光一 | どうしたらいいの? |
吉田 | 先生,先生,なんでベースを選んだの?学校で習うのに. |
松本 | 高校の部活で. |
吉田 | 部活からやってたの? |
光一 | なんで高校の部活で? |
吉田 | 高校の時はもっとちっちゃかったろ?なんで? |
松本 | 先輩がいちばん優しそうだったから. |
吉田 | 好きな先輩がいたんじゃないの? |
松本 | 女子高です. |
吉田 | レズ?じゃないか.あ,じゃあ素敵な先輩がいて,優しい先輩がいてコントラバス.抵抗なかったですか?こんなでかい楽器. |
松本 | ありました. |
吉田 | 普通ね,バイオリンとかさ.これ,今は満足してますか?この大きさに.なんか言いながら.バカヤロー.何を言ってるんだ.すいません,今,番組を忘れちゃって. |
光一 | 盛り上がってるの一人だけですよ. |
吉田 | あ,そうですか.今,ちょっとアガってる.「この大きさに満足してる」なんかわけのわからない.剛,そこだけ3人もお付きがいるの? |
光一 | おいおい, |
吉田 | お付き3人.そういうわけで僕らは,いちばん最初にカムカムギターキッズでは,まずギターを覚えようっていう時に「きよしこの夜」をやりましたのでシーズン的にも「きよしこの夜」を選んでみましたが,ここで一緒にゴチャっとやってもしょうがないので,これから皆さんお待ちかね,個室. |
光一 | お待ちかねなの? |
吉田 | 皆さん個室で各先生と入り浸たり.入り浸たりじゃないか.ほぼ1時間,皆さん個人レッスンしていただいて. |
光一 | 1時間後に集合ですね. |
吉田 | 1時間後には,これを演奏して帰ります,ここで.
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(コントラバスのレッスン室では)
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光一 | もう移動だけで大変やねん,これ.よし,さっそくやろう. |
松本 | はい,じゃあ.
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(ピアノのレッスン室では)
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中本 | このまま終わったほうがいいよ.次は中指じゃなくて人差し指にしたら勝手にこっちに. |
松澤 | そうそう. |
大谷内 | そうそう.
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(トランペットのレッスン室では)
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出口 | 肩にすごい力が入ってますよ.はい,ダラダラ〜. |
坂崎 | ダラダラ〜. |
出口 | 普通にもって下さい.肩の力をダラーッと抜いて. |
坂崎 | なるほど.
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(チェロのレッスン室では)
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吉田 | おかしい? |
里美 | 椅子に斜めに座って,楽器は椅子の方向なんです. |
吉田 | え? |
里美 | こう座って,楽器が. |
吉田 | 椅子まっすぐになると.わかったわかった. |
里美 | 正面じゃないんですよ. |
吉田 | 椅子にこう座って,楽器はこう? |
里美 | そうですね.もうちょっと立てて.
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(コントラバスのレッスン室では)
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光一 | ミ,シ,ラ? |
松本 | ファ,ミ,シ. |
光一 | ファ,ミ,シ. |
松本 | ファ,ミ,シとソを覚えれば完璧です.
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(ピアノのレッスン室では)
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中本 | 頭で次の音を考えて歌ってくと. |
剛 | ♪ンンン,ン〜ンンン〜.
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(トランペットのレッスン室では)
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坂崎 | 歩いてると力抜けるかもしれないな. |
出口 | そうかも.他のことに気をとられて.
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(チェロのレッスン室では)
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里美 | 形からやったほうが楽かもしれない. |
吉田 | 形.どういうんですか? |
里美 | 左手を決めちゃって. |
吉田 | むしろここにガムテープ貼ったほうが早い. |
里美 | 弾けなくなっちゃう. |
吉田 | 指板のに下にさ. |
里美 | 印?鉛筆とかだったら後で消せるんですけど. |
吉田 | ここにね.それが嬉しいね. |
里美 | そのほうがいいですか? |
吉田 | 書こう.
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(1時間が経ち,全員が不安を残したままホールで合奏へ)
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剛 | 1,2,3. |
吉田 | そんな遅いの? |
光一 | コミックバンドじゃないか.
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(いよいよ初披露満席の会場舞台そででは)
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吉田 | まあ,あれだよ.こういうつもりで来てないよ,僕は本当に. |
光一 | いや,拓郎さんが言い出したんじゃないですか. |
吉田 | いや,こういう学校に来て,楽器を習おうとは思ったけど,こんな正装の衣装で人が入ってるとこで演奏するなんて. |
光一 | 拓郎さんが発表するって言ったんですよ. |
吉田 | お? |
坂崎 | うまくいったら文化祭も回るって. |
剛 | って言ったのは拓郎さんですよ,確かに. |
吉田 | それはそうかもしれないけど,こういう時は救えよ,俺を少しは. |
剛 | その意見がいろんな人伝いになって,形が変わってこういう形になったと. |
吉田 | これは人が多すぎるよ. |
剛 | かなり. |
吉田 | 俺のコンサートより客入ってるかもしれない. |
光一 | マジですごい失敗した場合どうします? |
吉田 | やり直そう. |
光一 | バラバラバラってなっちゃったら. |
剛 | そんなもんやり直すよ. |
吉田 | 「ちゃんと聞いてなかったな,何人目」とか言って人のせいにしちゃったりして.そんな無駄話してないで行こうよ. |
剛 | そうですね. |
吉田 | 行きましょう.
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(いよいよ「きよしこの夜」へ)
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倉岡 | それではお呼びいたしましょう.皆さん,どうぞ!! |
吉田 | 今回は,まず坂崎幸之助さんです,拍手.僕ら初めての楽器なんですよ.だから,どう弾いていいのかも今日教わって,どう持つのかも今日教わったんですが.先生,どうも.よく音楽大学にいらっしゃるようなピアノの先生で,寝てるんだか寝てないんだかよくわかんない感じですけど.いかがですか?頭は今ピアノで一杯ですか? |
剛 | はい.もう正直ボケる気も何もありません. |
吉田 | それじゃあやろうか.有名な世界の大ヒット曲「きよしこの夜」を.皆さん一緒に演奏を楽しんで下さい. |
光一 | もう帰りたいです. |
吉田 | よろしくお願いします. |
剛 | 1,2. |
吉田 | そんなカウントで? |
剛 | それでは,ただいまより私たち四天王の. |
吉田 | 早くしてくれ. |
剛 | 「きよしこの夜」.1,2,3.1,2,3.
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♪きよしこの夜昭和音楽大学声楽科の皆さんの歌と一緒に〜
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吉田 | やったよ.すげえ出来は良かった. |
光一 | 本当ですか? |
剛 | 非常に良かったです. |
吉田 | 最高に. |