ゲストとのLOVE LOVEなトーク#002


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泉谷しげる

泉谷
おまえ,どっか文句あんだろ? おまえ.
光一
いえいえ.いえいえ.こ,この衣装(ボタンがたくさん付いている)が可愛いらしいじゃないですか.
それ,やっぱ待ってる間に付けられたんですか? それ.
泉谷
やかましいわぃ!! 俺が裁縫なんてやるか!? おまえ.いや,これはだから,けっこう神経質な人にとっては辛い衣装らしいぜ.こういう細かいの嫌がる奴がいるんだ.
光一
あ,細かいの.
泉谷
まあ,そんな話はいいや.次いこう.
光一
正直言って,今日初めて知ったんですど,泉谷さんてミュージシャンなんですね.
し,失礼や.
光一
いや,いや.
泉谷
おまえ,失礼だぞ,この野郎!! 
光一
いや,ほんまに俺,バラエティ界の人かなぁ思うてたんですよ.
泉谷
いやいやいや,バラエティも好きなんだな.
光一
あ,好きですか.
泉谷
好きだしな.
光一
いや,今日,正直あの,リハーサルとか.
泉谷
いや,俺はどちらかというと,本当は曲芸やりたかったんだよ.
光一
曲芸? 
泉谷
影絵とかさ.
中国雑技団とか? 
泉谷
雑技団とかな.
光一
あ,なんかそういう芸持ってらっしゃいます?
泉谷
ない.
光一
あ,そうですか.
泉谷
ない,ない.
ないんですね.
泉谷
いや,ないんだけど.俺,本当はね,ミュージシャンとかね,あんまりなる気なかったね.
光一
あ,そのきっかけは? 
泉谷
いや,きっかけは本当,オーディションテープで.本当は,そのジャニーズみたいにだな,若ぇの仕切ってだな,事務所を作って,まあみんなを出してく.
光一
あ,プロデュースしたかったんですか? 
泉谷
そうそう.で,オーディションがあってさ,たまたまカセットがあってさ.で,最後の切れ目かなんかに「空いてっから,俺も入れとこう」って入れといたの.で,それが受かっちゃったんだよ.で,困っちゃってさ.
光一
やっぱ才能あるわけですよ.
泉谷
いや,だけどおめぇ,初めてテレビ出る時ってさ,まあ,少々悪いこともやってるわけじゃねぇかよぉ,なぁ? そうだよ.
光一
な,何ですか? 悪いことって.
何をやってるんですか? 
泉谷
万引き,カツアゲは当り前.ね,×××××、××××は当り前だろ? 
光一
それは……,それはヤバいですよ.
泉谷
ミュージシャンはだいたいやってますよねぇ? 
吉田
いやぁ? いやいやぁ?
光一
あ,どうなんですか? 拓郎さん,そのへんは.
拓郎さんはどうなんでしょう? 
泉谷
あれ? 俺だけ? やってんの.
吉田
いやいや,よく知らないけどさ.
光一
また先週と同じになってるわ.
ほんまや.おっかしいなぁ.
泉谷
おっかしいなぁ.
吉田
いや,いや.
泉谷
じゃあ,他のとこに振れ.別の話しよう.
光一
ええ,そんな泉谷さんにもですね,青春時代があったと思うんですよ.
吉田
「そんな泉谷さんにも」? 
そんな,こんな泉谷さんなもね.
光一
青春時代がね.
泉谷
すごい振りですねぇ.
どんな青春時代を送ってらっしゃったかっていう.
光一
青春時代ですよ.
泉谷
青春時代はね,やはりね,俺は漫画家になりたかったわけだよ.
光一
あ,漫画家?
漫画家目指してたんですか? 
吉田
絵ウマい.すごいウマい.
僕も最初,漫画家だったんですよ.
泉谷
あ,そうなの? 
吉田
絵がメチャウマい.
泉谷
だから,このTシャツなんかもデザインしたの,まあ俺でよ.
おお! いいですねぇ.
泉谷
いっちょ前にやってるわけよ.
光一
すごいじゃないですか.顔に合わないですねぇ.
泉谷
おい!! 
光一
いやいやいや.
泉谷
いやいや,あるわけよ.だから,さっきも言ったように,表に出る気はなかったのよ.
光一
ああ,こういうテレビとか.
泉谷
そうそう.その,風貌からいってもさ.
光一
ええ.
泉谷
謙遜だけどよ.その,なんつうか,「ちょっと俺はそういうのには向いてないな」みたいな.そういう.
光一
ああ,メチャクチャ向いてると思いますけどね.
泉谷
あ,そうかな? 
光一
ええ.
泉谷
だけど,とにかくそういうことをやりたかったわけよ.ところが時代が60年代だから,60年代はビートルズが出てきて,学生運動があって,なんつうの? 世の中がオォーッ!! って,こういう感じ.
光一
えぇ? 「オォーッ!!」ってどういう表現ですか? それ.
そういう世の中があったんですよ.
泉谷
あった.オォーッ!! ってこういう.バンマス,どう言ったらいいでしょうかね?
吉田
え? いやぁ.
泉谷
そういう感じですよね? 
吉田
だから,剛が「そういう世の中があったんだ」って言い聞かせてるわけよ.
泉谷
あったんだな.
光一
拓郎さんわかります?「オォーッ!!」っていう時代は.
吉田
あったあった.
光一
あ,ありましたか.
泉谷
あったんだよ.
で,どういう時代なんですか? 「オォーッ!!」っていう時代は.
泉谷
だから,デモはあるわ,ベトナム反戦運動とかさ.
ああ,はいはい.
泉谷
で,ボブ・ディランとかビートルズとかローリングストーンズとか.まあ,つまりアートとかそういうものがバァーッと出始めた時.で,ほら,直接絵を書いてるっていうのはさ,家の中でやってなきゃなんないじゃない.で,基本的に室内競技じゃん.
そうですね.
泉谷
で,どうも室内競技をやってると,身体が疼いちゃうんだな.
光一
動きたくなるわけですか? 
泉谷
そうそう,そうそう.なんか地味じゃないかなって思って,自分のなかでさ.それで,当時はエレキブームとかそういうのがあったから,ギター弾けないとカッコ悪いわけよ.
光一
それは誰に習ったんですか? 自分で? 
泉谷
我流ですよ.
あ,個人で.
泉谷
うん.で,他流試合に行くわけよ.だから,世田谷のアイツのとこに行こう,とかさ.目黒の何丁目のアイツとギター合戦しに行くわけ.「たのもう!」とか言ってさ.「俺は『ダイヤモンドヘッド』を弾けるぞ!」とか言ってな.よくわかんねぇけど,そのフレーズを弾きっこするわけ,近所で.で,「負けたぁ」なんて言いながら帰ってくんだけどさ.
光一
あ,そうですか.
泉谷
そうそう,そう.
光一
へぇー,
泉谷
で,金持ちかなんかがいると,金持ちの奴ってのはベランダかなんかでドラムとかギターを「俺は持ってるぞ」ってワザと腰掛けて弾くわけだ.「どうだ!? どうだ!?」って.
光一
あ,なるほど,なるほど.
泉谷
近所で.すっと,仲間になりたくなるわけな.で,なんとかメンバーに入れてもらいたくなるっつうの?  だからその,バンドなんか組むんでもさ,金持ちはドラムなわけよ.ドラムとヴォーカル.
光一
あ,金持ちは.
泉谷
そうそう,そうそう.
光一
え? ヴォーカルはなんで? 
泉谷
ヴォーカルはだから,一番いいポジションでしょ.一番カッコいいところで.
光一
あ,それは金で? 
泉谷
金で.
光一
あ,そうなんですか? 
泉谷
うん.
ああ,すごいですね.
泉谷
そう.ドラムを買えるっつうのは,やっぱり大した金持ちなんだよ.
光一
あ,そうですか.
泉谷
で,貧乏人はベース,サイドギター.
あ,貧乏人はベース.
光一
え? ドラムがいちばん金がかかるからとかですか? 
泉谷
そうそう.ドラムがいちばん金かかる.だから,これ一番.で,次はヴォーカル.
光一
ヴォーカルいちばん金かからなそうですね.
泉谷
かかんないんだけどスターでしょ,いちおうほら.
光一
いちばん目立ちますしね.
泉谷
いちばんいいとこ.
光一
メインですもんね.
泉谷
メイン.だから,そこはだから,大体そこを取り合うわけよ.で,取り合うんだけど,だいたい金を持ってる奴が勝っちゃって.歌はひどいんだけど,とりあえずそいつがメインなわけ.
光一
あ,やっぱり取り合いするわけですか.
泉谷
取り合いするわけよ.だから,うちらの時代はギターとヴォーカルとドラム.だいたいこれで殴り合いだぁな.
光一
ああ,そうですか.
殴り合いで取り合いするんですか? 
泉谷
殴り合いで取り合い.だいたい対バン,対バンって言葉はグレた言葉なんだけど.
光一
タイバンで? 
胎盤てあの生まれた時についてくる? 
光一
あれではないですよね? 
泉谷
この野郎!! (机をひっくり返そうとする)
光一
まあまあ,まだ始まったばっかですから.
2回目ですから,まだ.
泉谷
あの,だからほら,一個のこういう場があって,演奏会.演奏会やると対抗するバンド.対バン.
光一
ああ,ああ.
対バン.略して.
光一
略して対バンや.
泉谷
で,その対バン.対バンやるわけじゃない.すっとさ,相手のグループがいい楽器持ってんなっていうと,だいたい盗んで帰っちゃうんだよな.
光一
ほぉー.
泉谷
おぅ,本当なんだから.ほんで,うちのメンバーのベースが盗まれちゃったの.で,ずっと経ってから,1年ぐらい経ってからあるバンドのライヴ見たら,そいつが盗まれたベース弾いてんだよ.そんで,「俺のベース返してくれ」っつったって「じこに証拠があんでい!」なんつってさ.
光一
キツいっスね.
泉谷
これは本当の話で,スパイダースの時代とか,みんなそうだったみたいよ,昔は.今でもあんじゃない? 
光一
今,ないんじゃないですか? 
泉谷
いや,あるでしょ.それが表立って出てないだけで.
光一
まあ,その頃は泉谷さんはギター? 
泉谷
だから,まあ,そのまあ,バイトだ.バイトっていうと変な言い方だけども,まあ要員のなかに足んないからやれ,とか.そういう感じでやってて,自分は絵描きになりたい.だから,その,プロになる気はないわけよ.
光一
とりあえずやっとこうと.
泉谷
だけどまあ,ダンパ.これがまたダンパっていうと,ダンパの時代なんだけど.
光一
ダンパって何ですか? 
泉谷
ダンスパーティーなんだけど.
ああ,ダンス.なんかダンプ松本が絡んでんのかと思いましたよ.
泉谷
ばか野郎! よしなさい.
ダンスパーティーですね.
泉谷
ダンスパーティー.
光一
ダンスパーティー.
泉谷
だから,今で言うとディスコだけど,まあ,クラブっつうんですか? 
光一
クラブね.クラブで弾いてたんですか? 
泉谷
だから,そういうのがいっぱい来るわけよ.
光一
はいはい,泉谷さんファンていました? 
泉谷
よよよよ.
光一
泣いてどないすんですか!? 
泉谷
そうね.いやいや,ファンとかそういう気はないなぁ.だってダンパだよ,おまえ.だから,俺たちはバックバンドなわけよ.
ああ,ああ.
泉谷
だから,踊らせてるわけよ.
光一
踊り? 
泉谷
だから.
光一
いちおう泉谷さんも踊れるわけですか? 
泉谷
いやいや,だから,楽器演ってっから踊れないんだけど.そんでツイストの時代だからさ.
ああ,ツイストね.
泉谷
ツイストですよ.なんだかしんないけど.そんで,あの,2時間ぐらい演ってっとチークタイムとかなんか始まんだ,これがな.
光一
チークタイム.
チークタイム.
光一
ありますわな.
泉谷
よくわかんねぇノリで.で,電気落としてスローナンバーやるとみんながくっ付いてさ.イチャイチャしてるわけよ.で,だんだん馬鹿馬鹿しくなってくるわけよ.
光一
演ってるほうは.
泉谷
そうだよ.
光一
弾いてるほうは.
泉谷
ね.そんな,こいつらのために,なんで俺がバックやってんだ? この野郎!っていう.「俺にも踊らせろ」とか言ってさ.で,踊ったはいいけど,チークの時に,その時15,6だろ.
光一
ええ,ええ.
泉谷
女性と抱きついて踊ったの初めてだから,立っちゃってよぉ.腰が引けちゃうわけよ.
光一
くっ付いただけで.
泉谷
そう,だけで.「いかんなぁ」と思いながらさ.バンマス,これはあの,青春時代の話ですから.
吉田
いや,意外な展開だね.
まあ,あの,俺の友達であった話が,授業中に寝てて,エッチな夢を見たらしいんです.
光一
ちょっと待って,ちょっと待って.あ,いいや,先に話していいや.
泉谷
なんだよ? 
それで,エッチな夢を見ちゃって,「ああ,授業終わったんか」って思ったら,股間の異変に気付いたんですよ.「こらぁヤバいな」「起立」「おい,ちょっと,立ちなさい」.(前屈みに立つ).「おい,ちょっとどっか行こうぜ」「いや,俺,ちょっとお腹痛いねん」.
光一
いや,でも,俺,俺……,いいや.
泉谷
スカすんじゃねぇよ! おまえ!! 
光一
あの,なんか知らんけども,授業中っていうのは立ちますよ.いや,立つやん? 
泉谷
そうそう,そうそう.
光一
立ちますよね? 拓郎さん! 
泉谷
拓郎さん,立つよね!? 
吉田
いやいや……,立つ.
光一
ね,そうですすよ.あれ不思議ですよね.
泉谷
あれなんでだろうな? 
光一
なんでですかね? 
君ね,拓郎さんに「立つやろ!?」って言ったの,おまえが初めてやと思うで.
光一
ごめん.すんません.
おまえ,生まれて来て,拓郎さんが今まで生きてきて,「立つやろ!?」言われた  の今日が初めてやぞ.
泉谷
おまえが初めてだ.
光一
ちょっとエキサイティングやったわ.
「立つやろ?」はあるけども,「立つやろ!!」って.これはないやろ.
光一
ほんますいません.
泉谷
謝れ,おまえは.
光一
拓郎さんすいません.
吉田
いや,確かにね.
光一
今,同意を求めたかったんよ.
いや,ほんま焦るわ.
泉谷
いやぁ,今日暑いなあ.
光一
ほんま,暑いっスよ.
吉田
暑いよ.
泉谷
ヤベぇな,俺,こんな話してさ.マズいな,こんな話.
吉田
授業中立ったね,確かにね.
泉谷
立ったよね.
光一
ありますよね.
吉田
なんだろうな? あれなぁ.
光一
あれはなんででしょうね? 
泉谷
だから,なんだろうな? 
吉田
なんだろうな? 
泉谷
あのね,やっぱりね,まあ,エッチな夢見てるだけじゃくなくて,鞄とか制服とか机とかさ,感じるよね.
光一
鞄!? 
泉谷
なんだよ? 
光一
ちょ,ちょっと待って下さい.制服はわかりますよ. (客席ブーイング)
泉谷
うるせぇな! この野郎!! おまえら.感じるんだよ,この野郎!! 制服は.
光一
いや,感じるんだって.
泉谷
感じるんだよ! おまえら.
いや,「感じるんだよ」て言われても.
光一
でも.
泉谷
でも感じるんだよ.
光一
でも,鞄はわかりませんねぇ.
泉谷
え? そうかなぁ? 鞄の匂いとかゾクゾクする.
吉田
あのさ,まあ,俺,ノッてきたけどさ.
光一
嬉しい嬉しい.
吉田
机って後ろから前が見えるじゃない.必ず前にも.で,前が女子生徒だったりすっと,うなじが見えるじゃない.
泉谷
そうなんだよ.
吉田
うなじに何か感じない? 
泉谷
あるある.
吉田
変かなぁ? 
光一
いやいや.
泉谷
バンマス,でもわかるよ.
光一
ぜんぜんおかしくないですよ.
おかしくないっスよ.
泉谷
その通りだよ.
吉田
うなじを見てると,前を見たくなるんだよね.
泉谷
そうなんだよ,そうなんだよ.
光一
それはもう,至って普通の感情ですよ.
吉田
あ,そうですか.
泉谷
あとさ,あの,ほら,同じ制服着てる子でさ,一緒に男女共学でやってんじゃんよ.だけど,その時は制服だから,べつにそんなに何ともまあ,いつも制服見てるから何とも思わないんだけど,私服になった時にドキッとしない? 
光一
あ,わかります.
泉谷
「お! 今日,赤いセーター着てらぁ」みたいなさ.
光一
赤いセーター? 
泉谷
おお.「石鹸の匂いがする!」みたいにさ.ない? そういうの.
擦れ違った時に「おお」っていうのはありますよね.
泉谷
あるよね.つまり,普段着になった時の.
光一
いつもと違う.
泉谷
いつもと違う彼女.で,オジさんになると制服好きになるよな.
光一
いや,僕も好きです. (客席ブーイング)
光一
なんで「エエェーッ!!」言うねん!? 正直や.さぁ,それではですね,泉谷さんの本性を明かすべく,番組ではこういうものを用意してるんですけどね.
ガチャガチャマシーン.
光一
ガチャガチャマシーンです.これ,懐かしいですよね.
泉谷
なに? このくだらねぇの,これ.
いや,くだらない言われても.
光一
いえ,これにいちばん金かけてるんですから.
泉谷
え? 
光一
いや,この中にですね,いろいろ質問が書いてるわけですよ.
泉谷
え? 今,十分質問したじゃんよぉ.
光一
いやいや,これからっスよ.それで,これから出てきたものの質問を泉谷さんに答えてもらうという.
泉谷
あ,そう.嫌な番組だねぇ,これね.
光一
じゃあ,とりあえず回していただけますか? 
本性を明かしてもらいますから.
泉谷
あ,そう.はい.で,俺が回すの? これ.
光一
はいはい.100円はいりませんから.
泉谷
なんだかなぁ,嫌だなぁ.帰ろうかなぁ? 
光一
ジャジャン! あ,これ,いい質問ですねぇ.
いいなぁ.
泉谷
どんなや? 
光一
「あなたの恐い人は誰ですか?」.
泉谷
恐い人? うん,いい質問だねぇ,それは.
泉谷さんが恐いなという.
泉谷
恐いのは,やっぱり親父だったかもしんねぇなぁ.親父だったかもしんないし.
光一
父親? 
泉谷
父親だったかもしんねぇなぁ.あ,でも,父親だけじゃねぇなぁ.先輩も全部.まぁ,ある意味じゃあ吉田拓郎も恐かったかもしんないね.
光一
あ,そうですか?
泉谷
だから,俺らの世代っていうのは,全部恐いんだよ,先輩が.
光一
先輩が.
吉田
でも,やっぱ親父恐いんでしょ.
泉谷
恐いなんて.
吉田
親父の話,恐いよ,すごく.聞いてて恐いもん,俺.
親父は? 
泉谷
でぇく,でぇく.
大工だったらしいですね.
泉谷
だから,喧嘩となるとノコギリ,ハンマー,ノミで喧嘩すんだから.額がバックリ割れるんだから.
光一
そんな危険なんですか? 
泉谷
おお.そこで俺なんか,けっこう過敏になったんだよ.だから,運動神経が良くなったっていうか.だからその,ナイフとか釘が飛んでくんだからさ,喧嘩でも.
光一
そういう環境が泉谷さんをこういうふうにしたわけですね.
泉谷
まあ,だから,近所のとか友達の親でも,恐くない親っていなかったな.
光一
あ,そうですか.うちの親,ぜんぜん恐くないですよ.
俺のミツグはメッチャ弱いっスよ.
泉谷
呼び捨てんのか!? おまえは!! 
いやいや,なあミツグ.
光一
「なあ」やない,「なあ」やない.
泉谷
あ,そう.今,いくつぐらいなの? 親父.
光一
泉谷さんぐらいじゃないですかね? 
泉谷
40? 
うち,もうごっつ上ですよ.
光一
47,8ぐらいですかね.
泉谷
若ぇなぁ.
吉田
若いね.
泉谷
俺ら,おまえらの親父か.今日からおまえらの親父になってやる,なんてな.嫌だろうな,こんな親父.
光一
それでもおかしくないわけですからね.
泉谷
謙遜だよ,この野郎! 本当にもう.
光一
じゃあ,そういうなんか刃物とかが恐かったんですか? 
泉谷
いや,刃物っていう問題じゃなくて,その,親父自体が恐いのよ.そのだから,友達の親だろうが,近所の親だろうが,みんな恐いのよ.先生も恐いわけよ.で,だから,チョークは飛んでくるわ,竹刀で殴られるわ.
光一
年上っていうのが恐いんですね.
泉谷
年上は恐いわけよ.
光一
あそこにいるオッちゃん,メッチャ恐そうにないですけどね.ほんまに.
泉谷
だいたい,恐い親父来ねぇよ,ここに.
光一
来ないですよね.
泉谷
こねぇよ,おまえ.だから,それを押し退けていくっていうのはさ,まあ,ある意味じゃあその,燃えたね.その,つまり,彼らと闘っていくっていうの?
光一
あ,闘っていく,なるほど.
泉谷
つまり,もう負けたらもう負けなわけよ.でも,そうだよね? 恐かったよね?親父.


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