歩 :はい,本日のゲストは井筒和幸監督です. 進 :よろしくお願いします. 井筒 :こんばんは. 歩 :はじめましてですね? 井筒 :はじめましてです. 進 :はじめまして. 歩 :どうもはじめましてです. 進 :TOKIOさんの番組とかで,そうとう怒ってらっしゃる. 歩 :ご立腹ご立腹で. 井筒 :昔ね. 進 :そういう姿も見させていただいてますけど. 歩 :今日はご立腹にならないようにね. 進 :ならないようにね. 歩 :粗相のないように. 井筒 :いやいや,とんでもないです. 進 :トークの前から客が多いということでね. 井筒 :ものすごいたくさんや. 進 :え?あれ? 井筒 :恥ずかし. えなり:お願いしますよ,先輩.本番中ですよ. 井筒 :店先でゲロッパ. 歩 :見た客もゲロッパ. 進 :すいません.ごめんな. 歩 :おまえ,さっきダラーンとして. えなり:ということはオープニングでチャック全開だったってこと ですね? 進 :ここからも音楽を出してた.ミュージシャンは一回や二回 は開けといたほうがいいですよね. 高見沢:そう.こないだ俺もね,夏のイベントの時,3万人の前で 開いてた. 歩 :ええ? 進 :だから戸締まりはちゃんとしたほうがいいよね.大丈夫で す. 歩 :監督,今,非常にお忙しいとお聞きしました. 井筒 :映画のキャンペーンもそうやしね,東京もヒットして大阪 もヒットしてるから,すごいうれしくて,今度はうれし倒 れみたいな.ちょっと疲れました. 歩 :収録の前も大阪にいたということで. 井筒 :いたんですよ. 歩 :東京に来てここに来てくれたんですね.大変ですね. 井筒 :お二人に会いたかったんですよ. 進 :え?僕らに? 井筒 :一回,企画したことあってんねんけどね,僕. 歩 :え? 進 :そうなんですか? 井筒 :マジでね. 進 :どういう役で? 井筒 :そんなん今言うてええのかな? 進 :いいですよ. 井筒 :あのね,もともと不良少年の二人組がね,更正してね. 進 :こういう感じから? 歩 :似合うな. 井筒 :そういう感じから更正してね,建築会社を始めようと. それで自分の母校の中学校をもう一回ちゃんと建てようと. 進 :ええ話やん. 井筒 :それをほんまはね,「ソウルで行こう」なんていう野暮っ たいタイトルでね. 進 :メッチャええ話. 井筒 :それが「ゲロッパ」の元ダネみたいな時もあったの. 歩 :土台となって. 進 :やりたかったな. 井筒 :それで「いつ言おうか?」言うてる時に筆が折れてしまっ てね,「やっぱりやめよかな」って. 進 :いやいやいや. 井筒 :ちょっと先が見えなかった.それでも「ソウルで行こう」 っていうタイトルは,その頃からソウル音楽を使った何か 魂に触れるものを,いくら不良でもやる時にはやるんだと いう青春記をやりたかったわけ.ほんまやりたいんですよ. 歩 :本当ですか. 井筒 :やりましょうか. 進 :やりますよ. 井筒 :夜明けまで不良こいてて飲んでてね,ピアスに茶髪のまま 現場に行くと.いいでしょ? 進 :いいですね. 井筒 :ピンクとか黄色とか紫のさ. 歩 :ニッカボッカね. 井筒 :あんなんガッチリ似合いそうやんか. 進 :バリバリ似合いますよ. 歩 :似合うよなぁ. 井筒 :大阪弁でやりたかったんやけどね. 進 :関西弁で. 井筒 :それが「ゲロッパ」にちょっと生き残って,年輩の不良の 映画になったっていう.そんなとこにつながる. 歩 :監督の眼中にはKinKi Kidsなんか.「なんや?こいつら」 って. 井筒 :いやいや,とんでもないです.逆で,僕は最初,企画で. 2年半ぐらい前. 歩 :この番組をご覧になったことは? 井筒 :2回ぐらいありますよ.TOMさんとか知り合いやから. 歩 :知り合いですか? TOM :一緒に映画とかで遊ばせてもらったりしてたんです. 井筒 :TOMさんと映画やったもんね.ワイドショーの司会者の 役で. 歩 :その映像あるらしいですよ.見てみましょう. TOM :恥ずかしいね.
VTRへ
えなり:最高ですよ. 歩 :最高ですよ. 高見沢:すごい. 進 :両サイドの役者さんが一生懸命芝居の空間なのに,真ん中 のTOMさんだけコントになってますよ.出オチですよ. TOM :いきなりOKでしたよ. 井筒 :「岸和田少年愚連隊」を撮った後に松竹で撮ったやつでね, 「釣りバカ」なんかと一緒に封切られたんですよ.ただ, あんまり若い人が行かなかった写真ですからしょうがない んだけど,おもろかったよね? TOM :面白かったです. 歩 :ちょっとびっくりしたな. 高見沢:わかんなかったですよ. 進 :いいですな. 井筒 :一回テレビでやってくれたらええねん.知らんうちにみん な終わってるからね.サーサーサーサー流さされてくから, 情報って. 歩 :今のちょっとちゃんと見たいよ. 進 :すごい見たい.どういう流れでなぜ? 井筒 :すごい重要な役柄ですよ. 進 :見たい. 歩 :さあ,そういうわけでこちらのコーナー. 進 :いきましょう. 歩 :堂本一問一答! TOM :ああっ! 進 :えいっ! えなり:よっ! TOM :声出すぞ! 進 :ういっ! 歩 :さあ,監督にどんどん質問が来ますんで. TOM :よいしょ! 歩 :直感で答えてください. 進 :えいっ! 歩 :うるさい! TOM :よっしゃ,行こう! 歩 :前に座っていただいて.すいませんね.それでは参りましょ う.堂本一問一答! Q :井筒和幸監督に質問です.小さい頃のあだ名は何ですか? 井筒 :僕はね,「ジジイ」ですか.白髪があったから,昔から. 中学の時「爺」って言われてました. Q :それでは,学生時代「こんな悪ガキでした」というエピソー ドは? 進 :それ聞きたい. 井筒 :僕,優等生やったからな.一回だけ水泳部の部室で煙草喫っ たことあるな,中学3年生の時. Q :この人生,違った道を歩いていたら今ごろ何をしていたと 思いますか? 井筒 :学校の先生かヤクザか. 進 :ヤクザて! TOM :ヤクザて! 進 :監督,ヤクザて! 井筒 :学校の先生になりたかったです. 進 :似合うと思う. Q :さて,次の質問はこの方からです. VTR (西田俊行之さんと岸部一徳さん) 西田 :井筒監督の最新作「ゲロッパ」に出演させていただいてま す,西田敏之でございます. 岸部 :岸部一徳です. 西田 :どうも.けっこう監督は放ったらかしかなと思ったら意外 に神経質で,ちゃんと細かくTシャツなんかもたたむよう なタイプですね. 岸部 :繊細な感じで. 西田 :そういう人が,初めてお金を出して買ったレコードって どんなもんかなと思って. 岸部 :聞いてみたいですね. 西田 :聞いてみたいですね.ちなみに. 岸部 :僕はね,ちょっと古いんですけど,若山彰さんの「喜びも 悲しみも幾歳月」. 西田 :♪俺ら岬の〜. 岸部 :♪チャチャチャチャン〜. 西田 :♪灯台守は〜.感じじゃないなぁ. 岸部 :でしょ? 西田 :俺はプラターズの♪ユー,ネバー,ノー〜.じゃあ井筒さ ん,伺います.あなたが自腹で初めてお金を払って買った レコード,それは何ですか? 井筒 :それはね,モンキーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」 だったと思いますよ,確か.僕が中学3年生ぐらいの時か な? 進 :煙草を喫った後に買いに行ったと. 井筒 :うん.世界的にヒットした曲ですからね.まあ,ポップ カルチャーの最初でしょうね.洋楽から. Q :監督の初恋はいつですか?またそのお相手はどんな人です か? 歩 :聞きたいね. Q :中学3年生の時かな?初恋らしきもんじゃなかったけどな. なんか惚れられたんやね. 進 :ええ?監督,惚れられたて!? 井筒 :美人に惚れられたな.美人さんでしたね.学校のアイドル みたいな子でしたね. Q :その方は有名人言うと誰に似ていますか? 井筒 :誰かな?似てないんよ.誰かな?和泉雅子さんの若い時みた いな.知らないか,今の人は.ちょっとちゃうな. Q :ところで,次の質問はこの方からです. VTR(山本太郎さん):なんていうか,なぜに戦い続けるのか,そん なに戦い続けたら恨まれることもあるだろうし,敵を多く 作ることもあるだろうし,でもそれでも真摯なまでの監督 の戦いっぷりというか,その秘密を知りたいなと. 歩 :なるほど. 井筒 :社会というのはね,たくさんの人間がいるからですね, だから誰か一人にまとめてどっかに連れて行かれたくない から,だから意見を言うんです.それが大事なことだと 思う,今の社会でね.それが本当の民主主義だと思う. だから言い続けます.一人が行ってしまうとみんなそっち へ行ってしまうから,危ないことだと僕は思ってる. 歩 :どんどんなくなってしまいますよね. えなり:教訓にします. Q :「若気の至りだったなぁ」という甘酸っぱい思い出を教え てください. 井筒 :それは二十歳過ぎで初めて自分で仲間同士で映画を作って しまったことですね.低予算の映画だったけど,作ってし まったんですよ. 歩 :ある意味それがデビュー作? 井筒 :まあ,そうなんですけどね. 歩 :どんな映画だったんです? 井筒 :ポルノ映画. 進 :監督,ポルノて! 歩 :学生の頃? 井筒 :学生っていうか,僕,学生してないんで.もうプータロー だったから.元祖プータローだから,高校出てから2〜3年 プータローしてて,それですぐいきなり作ってしまったん ですよ.それから僕の映画人生は始まってるんですけどね. あれまあ,若気の至りやったな.1年間ぐらいウーッとなっ てたからな.ヘタだったから,やっぱり初めては.それは 当たり前やけど,自信過剰やったんですね.若気の至り. Q :そうした若い頃,いちばん苦しかったことは何でしたか? 井筒 :お金なかったこと.プータローだったから. Q :どうやって暮らしていたんですか? 進 :余計なお世話やで,「どうやって暮らしてた?」って. 高見沢:本当だよね. Q :すいませんでした. 進 :謝ってる. Q :どうやって生活してましたか? 井筒 :結局は聞いてるやないか.まあ,世に言うヒモ.っていう か,女の子にお小遣いもろうたりしてたんちゃうかな. ろくにアルバイトしてなかったから. Q :近々これを始めたいということはありますか? 井筒 :近々ですか?べつにないですね,なんも. Q :それでは人にこれをされるのはどうしても我慢できないと いうことは何ですか? 井筒 :べつになんもないですよ. Q :他人に指摘されて初めて気付いた自分の変なところはどこ ですか? 井筒 :いや,何にもないですよ. 進 :うまい.ちゃんと三ついった. Q :次の質問です.初めて東京に来た時びっくりしたことは 何ですか? 井筒 :それはね,俺が高校2年の時にヒッチハイクで来たんです よ,東京に初めて.名神乗り継いでトラック止めて.それ でね,銀座に来たらね,マクドナルドの1号店でハンバー ガー食べたこと.それはアメリカの味がしたわ. 歩 :それは戦前ですか? 井筒 :'71年とか'70年の話. 進 :'70年代の話. 歩 :なるほどね.失礼だぞ. 進 :いやいや,おまえやろ. TOM :あんたが言うなよ. 井筒 :戦前って知らんがな. Q :監督は家に帰ったらまず何をしますか? 井筒 :まずですね,「ゲロッパ」あ,違うか.あの,ウンコしま すね. 歩 :健康的な. Q :家の中でいちばんのくつろぎスペースは? 井筒 :だから便所ですよ. 進 :便所言うてるやん. 歩 :でもわかる.今すごい便所あるよね. TOM :すごいかどうかわかんないじゃんかよ. 歩 :パッと入ったらウィーンって勝手に開くの.それで用足し て離れたら勝手に流れる. 井筒 :便所って孤独な空間やからええやないの.誰も入ってこな いから. 歩 :まあ,一切トイレなんかしないから,俺. 井筒 :しないってどういうことや? 進 :思いっ切りしとるがな.このあいだも一緒になったがな. Q :次の質問です.「1年間仕事しちゃダメ」と言われたら 何をしますか? 井筒 :そうやなぁ,僕,趣味ないからね.まあ,毎日パーティー かな,夜な夜な.どんな人らとでも.してみたいな. Q :今年中に挑戦したことは何ですか?あれば,それは何です か? 井筒 :今年中に挑戦?どっか行きたいですね.どっか行きたいけ ど,行く暇がないから. Q :それでは,今まで. 井筒 :あ,そうだ,旅行したいんだ,俺. 歩 :遅っ!思い出しました? 進 :びっくりするわ. 歩 :忙しくて頭離れてたんでしょうね. 井筒 :そう.旅行したいんですよ,ほんま.旅行してないから. スイスに行きたいの. 進 :「行きたいの」言われてもね. 井筒 :スイスはね,直接民主主義の国なんでね,何かする時でも 必ずみんなで国民投票するんですよ.それで永世中立国で す.そこの若者たちがどんな顔をしているか見てみたい. すごく行きたい. Q :次の質問です.今まで女性についたひどいウソは何です か? 井筒 :大阪にいてるのに,「今,東京にいてるねん」とか言うた ことかな. Q :逆に女性につかれたウソって何ですか? 井筒 :まあ,浮気されたことか.浮気してないのにされた. そんなことか.まあ,ようあることやな. Q :最近「いいなぁ」と思った人は誰ですか? 井筒 :常盤貴子ちゃん.素敵ですね. Q :今まででいちばん反省したお酒での失敗は何ですか? 井筒 :東京の警察署に泊められたこと. Q :いったい何をしたんですか? 井筒 :新宿でね,酔っ払って道路標識とか曲げたんですよ. それで逮捕されて. TOM :逮捕? 井筒 :逮捕.十日ぐらい入ってたかな.全国ネットで夕方の ニュースで出た.あれからちょっとお酒に対する考え方が 変わりました.島田紳助君なんかと映画撮った後でしたね. ちょうどあんたたちの歳ぐらい.今20幾つだっけ? 進 :4です. 井筒 :ちょうどその頃ね.僕が28〜9で「ガキ帝国」って映画を 撮った後に. 歩 :曲げてしまったと. 井筒 :はい,曲げて.何本か曲げたんだね. 歩 :何がしたかったんでしょうね. 井筒 :まあ,ちょっと. 進 :なんか邪魔やったでしょうね. 井筒 :なんか邪魔やったんやな.若気の至りやな.最低.そんな ことばっか聞くの? Q :失礼しました.それでは次の質問です.監督の人生を変え た映画って何ですか? 井筒 :これは「イージー・ライダー」ですね,高校2年生の時に 見た.ピーター・フォンダとデニス・ホッパーがオート バイに,ハーレーに乗って.TOMさんなんか知ってるやろ? TOM :はい. 井筒 :あれ,僕ショックで高校行かなかったですね.高校で受験 勉強してる場合じゃないなって思ったな.だからものすご い影響されてショックを受けました.だから映画ってもの すごい力があるんだなって.あの映画に出逢わなかったら 映画の仕事してなかったかもわかんないし. Q :それでは,最近「なかなか面白いんじゃないの」って思っ た映画は? 井筒 :最近ですか?それはもう「ゲロッパ」しかないじゃないで すか. 歩 :そうですね.ゲロッパ!! 井筒 :びっくりするがな. TOM :どうなんだろう?そういうのは. 歩 :勢いです. Q :「俺って歳取ったなぁ」と思うのはどんな時ですか? 井筒 :ぜんぜんないですね.高校の頃とあんま変わってへんです わ. Q :それでは今いちばん気になっていることってどこですか? 井筒 :ど,どこ? 歩 :気になっていることで. 井筒 :そうか.頭ハゲてきたことぐらいかな.まあべつにでもね, かぶるほどのもんじゃないしね.ハゲてもええんちゃう? みたいな感じですね.あんま気になってないですね. Q :今の日本の社会に言いたいことって何ですか? 井筒 :そういうきな臭いこと考える大人たちがいるんだけど, もうちょっと平和的に考えていいんじゃないですか. だからちょっと幼児国だなと思うんですよ.僕,もっと 大人の国になって欲しいなと思う.自信があればどことも ケンカしないですよ.自信がないからだ.だからもっと 大人になって欲しい.幼児国,非常に.いつも思うこと. いつも僕がワイドショーなんかで言いたいこと, 「大人になれ」. Q :監督の宝物は何ですか? 歩 :えらい質問変わったなぁ. 進 :コロッと. 井筒 :娘さんですな.小学校6年生ですけど. Q :それでは,その娘さんから「彼氏を紹介したい」と言われ ました.何と答えますか? 井筒 :「そんなん追い返せ」言います. 進 :まあ,自然やな,それが. 井筒 :嫌やな. Q :井筒和幸監督ありがとうございました.
歩 :ありがとうございました.お戻り下さい.このコーナー だけでわかりましたね,常に怒ってる人じゃないという. 非常に正義感が強く,優しい心の持ち主なんだということ がかなり見えてきましたね.じゃあ聞いていきましょう. 初恋のことを聞きました.惚れられたと.学校のアイドル と言われた人に惚れられたと. 井筒 :僕は恥ずかしがり屋やから,恋心とかそういうのなかったなぁ. 「想われてるんや」とか周りがウワサしてただけで. 歩 :モテてたんですか? 井筒 :うーん?どうかな? 歩 :告白されて監督はどうしたんです? 井筒 :一緒にデートして映画見に行ったけどね. 歩 :その時も映画. 井筒 :その映画見に行った時にね,なんか僕はスティーヴ・ マックイーンのね,ものすごいカーアクションの刑事物見 にいったのよ,俺の好きな映画を.そしたらね,彼女はね, 怖がってもうてね.僕は本人が横にいるのに映画にシビれ てたから,失礼な話ですわな,今から考えると. 歩 :彼女はその映画が怖いから楽しむ感じじゃなかったのに, 監督は一生懸命. 井筒 :そうそう,僕のわがままで連れてった. 歩 :それは女性としてどうでしょう?由美さん. 吉村 :私はときめきました.あれ?間違ってる?間違ってない? そういう強引な男性が素敵です. 歩 :なるほどね. 井筒 :うれしいな. 進 :じゃあ,えなり君は?あ,男か. えなり:今どういう振りなのかなと迷っちゃいました. 歩 :それで学生時代,ワルだったんですか? 井筒 :いや,ワルやなかったんやけどね.悪い友達いっぱい おったんですよ.だからちょっと真面目な人とか優等生と かよりもね,僕はわりと優等生やったんやけどね,聞かれ てへんか.悪っぽい奴のほうが好きだったわけよ.だから 今でもね,不良を描き続けてたりね,あるいはあんたたち にそういう物語をさっき作りたいって原型みたいなやつね, 思ったのはそういう悪さしてるやつのがね. 歩 :何か持ってるものありますよね. 井筒 :あるでしょ.まだ人生出来てないぶんだけどっかにガンガ ン当たったりするけどね,当たることによって人間ってい うのは形成されてくんだ,みたいな気分あるから,そうい うのが僕は好きなんです.だからね,その時たまたま水泳 部のワルたちとね,っていうと水泳部の人たちに怒られる か,まあいいか.一緒にあれしてたんですよ.ちょっと悪 の楽しみや.先生に怒られましたけどね. 歩 :監督も水泳部だったわけですか? 井筒 :いや,僕は水泳部には所属してなかったんだけど,一緒に 練習したりしてたんですよ. 歩 :何部だったんです? 井筒 :僕はバスケにいててね.バスケットなんかね,真面目なや つが多かったんでね,それが逆に嫌でね.水泳部の部室行っ てそんなんしてね. 歩 :水泳部のが煙草吸ったら絶対あかんような気するけど. TOM :でも消しやすいじゃん. えなり:そうですね. TOM :そういうことよ. 井筒 :うまい. 歩 :ダメダメ.マネしちゃいかんけど,でも監督のおっしゃっ てることわかります.何か悪さしてる人は何か持ってる. 井筒 :見つめてやりたいのよ.なんかどっか悩んでんのよ. 進 :悩んでるから,孤独やから,寂しいから何かね,とんがっ た態度とって. 井筒 :そやねん.それで当たるのよ.だからそういうの暖かく 見たいねん. 歩 :監督が先生になったら素晴らしいやんか. えなり:そうですね. 歩 :学校の先生っておっしゃってましたよね. 井筒 :なりたかったんですけどね.そんなアメリカのニューシネ マを見たから,ショックな映画を.それでもうね,教職は あきらめたんですわ. 歩 :まあでも今はね. 井筒 :もっと面白いことしてけるんじゃないか思うてね. 歩 :そして苦労話ですけど,お金がなかったと.そしてどうやっ て暮らしてたかと言うと,俗に言うヒモをやってたのかな という. 井筒 :いや,そういうのはべつにズルズルしてたわけやないんな いんだけど,プータローやからね.プータローずいぶんし てたから.4〜5年してたな.あの頃はフリーターいう言葉 なかったからね. 歩 :女性をだまして? 井筒 :いや,だましたいうわけやない.「ちょっとちょうだい」 とか.TOMさんもそんなんしてなかったですか? TOM :僕はバンドですからやってますよね. 井筒 :やってるんや. TOM :そうですね. 井筒 :やってるやんね.正直に言うたほうがええよ. TOM :だってバンドって食えないじゃん.今の奥さんだけど, その人が働いて,もちろん自分も働いてんですよね.働い てんだけど,結局は奥さんが働いたお金で食べてたのかな. 奥さんはその分,僕の夢を食べてくれたのかな. 歩 :なんか今日は人が違う. 高見沢:違うね. 進 :いい人. TOM :どうも. 歩 :高見沢さんはアルフィーの前は? 高見沢:学生でしたからね.やはり,そういった食えない部分あり ましたからバイトしたりとか. 歩 :バイトどんなのしました? 高見沢:いちばん過酷だったのはトラックの助手. 井筒 :俺もやった. 歩 :トラックの助手って? 高見沢:横にのって荷物一緒に. TOM :運転手さんの助手ね. 歩 :由美さんは?PUFFYの前. 吉村 :ものすごい貧乏でしたよ. TOM :貧乏自慢大好き. 吉村 :19とか二十歳の時に,自炊するのもお金なくて毎日ご飯食 べれなくて,コンビニでお弁当買ってくるじゃないですか. 「こんだけ朝食べたら,半分残して夜食べよ」って残しと いたんです. 歩 :そうなんや.バイトは? 吉村 :バイトもしましたよ,十代の時.けっこういろいろしまし たし.いちばん大変だったのが鉄筋工. えなり:え? 高見沢:鉄筋工やってたの? 歩 :鉄筋工? 吉村 :はい.やりましたよ,お給料がいいんで. TOM :そうか,なんか知らんことあるな. 歩 :えなり君は定年になる前は? えなり:いやいや.定年はもうちょっと. 歩 :あ,もうちょっとか. 進 :あと4〜5年ある. 歩 :バイト経験ないからな.えなり君もないでしょ? えなり:ないです. TOM :食えないっていいですよね. 井筒 :そうそう.僕もポルノ映画作ってたけど,食えるわけない ですよ.TOMさんと一緒でね,それでお小遣いもらったり, 「貸してくれや」ってそのまま返せなかったりね.そうい う女性っていうのは有り難いことだけど,悪いなと思った けどしゃーないな.迷惑ばっかかけて生きとるっスよ. 最低だ. 歩 :いやいや. TOM :本当だ.あんた最低だ. 井筒 :あんたに言われる筋合いはない. 歩 :そこで学ぶものがあったんですもんね. 井筒 :まあね,いつまでもこんなんしてないなと思ってね. 鉄筋工やったんか. 吉村 :はい. 井筒 :兄弟と鉄筋工で出来そうやね,僕が構想してたもの. 吉村 :じゃあ,お姉ちゃん役で. 井筒 :どうしても「ゲロッパ2」作りたくなってきたな. 進 :いいですよね. 井筒 :ええ感じやね. 進 :作業のシーンやってもらって. 吉村 :じゃあ他に何のシーンやるの? 進 :僕はラブ担当でいくから. 井筒 :ラブて!? 進 :ラブ担当で. 吉村 :うん,わかった. 井筒 :ラブって牛乳やないんやから. TOM :そういえばあったね. 歩 :そして東京に来てびっくりしたこと,高校2年の時に銀座 のマクドナルド1号店でハンバーガーを食べたのが衝撃だっ たと. 井筒 :そうそう,アメリカ文化やったからね,これからそういう 時代になんのやなと思った.で,ジーパンもまだ普及しか けてた頃やからね.「ああ,これからこうなるんやな」と 思った頃ですよ.アメリカ映画好きやったからね, 歩 :その当時,関西にはまだマクドナルドは? 井筒 :なかった,たしか.2号店か3号店ですよ. 歩 :そういうどっか地方行った時とか,なんか衝撃なことです か?例えばライヴとかコンサートとか. TOM :関西行った時は衝撃的だったよ.関西の人って話しかける じゃん.歩いてると「な?TOMやん.TOMやん,な?な?な? みんなTOMやで.な?な?」.東京はしないって.それは ショックだったな. 歩 :高見沢さんは何かあります? 高見沢:やっぱり関西.大阪行くとすごくそういうフレンドリーな とこがすごく衝撃的でした. 井筒 :逆に話しかけられなかったら最低やで. TOM :そうなんですか? 井筒 :そういうとこあるわな.話しかけられることでいいんちゃ うの? 歩 :関西ではそれが当たり前.そして休みの日があったら, 1年ぐらい仕事しちゃいけませんだったら,1年中 パーティー.みんなで集まること好きなんですか? 井筒 :みんなでね,お酒飲んだりするの面白いじゃないですか. 歩 :お酒飲んで標識曲げて. 井筒 :ええっちゅうねん.もう言わんといてぇな.全国ネットで 言わんといて. 進 :二段階右折とかを曲げて.「なんでこう行くねん?」とか. 手をつないでる親子に「いつ動くねん?」っていう. 歩 :スリップ注意の標識に「そんな走り方出来るか!?」. 井筒 :したらあかんよ. 歩 :絶対ダメですからね. 進 :みたいなことでたぶんね. 井筒 :若い時は酒いっぱい飲んでたから. 高見沢:お? 歩 :なんか落ちた?そんなこともあるよ. 進 :うっ. 吉村 :どうしたの? えなり:どうした?衛生兵!衛生兵!助かるぞ. 吉村 :気道確保. えなり:気道確保. 吉村 :えなり君. 進 :キスはやめてくれ. 歩 :といわけで,今の芝居は監督的にはどうだったですか? 井筒 :いい演技やったよ.ただ,えなりが「衛生兵」いう呼び方 はないやろ. えなり:「モルヒネ,モルヒネ」って. 井筒 :衛生兵て,いつ軍隊に行ったんや?オッさんやわ. 進 :衛生兵は違うな. 井筒 :彼の倒れ方は良かったんちゃう.ああいうメソッドって 大事でしょ.パッと瞬間的に出来る. 進 :僕ね,撃たれた時にすぐ「ううっ」ってなるのが嫌いなん ですよ.いろんな人の演技見てて,パンッて撃たれた時に, 撃たれたことを認識してからちょっと「うっ」ってなり 始める感じがすごくリアル.ああいうのが好きなんで. 井筒 :わかるわかる. 進 :時代劇とかカメラに向かってこう. 歩 :今の斬られ方どうですか? 井筒 :斬られ役の人は顔を売ってからフレームアウトするの. えなり:あと,綺麗にハケますからね. 進 :綺麗にハケて主役だけが残る. えなり:そうそう. 井筒 :脇役さんの性やね.ちょっとでも画面に残りたい.それは もう今は流行らんけどな. 歩 :流行らないって,剛. 井筒 :まあでもそういう例もある. 歩 :でも撃たれたり斬られたりって,実際役者はその痛み実際 に経験したことないじゃないですか. 井筒 :だからあんまりなんかね,撃たれたり言うのあんま作りた ないわ,僕は. 歩 :なるほど. 井筒 :アメリカ映画は撃たれたり殺されたりみたいのばっかりで しょ. 進 :そんなんばっかりですね. 井筒 :僕そういうの作りたくなかった.だから「ゲロッパ」でも 誰も死にませんしね.そういうことやと思う.わからない ことをするなと. 歩 :そして人生を変えた映画作品は「イージー・ライダー」. 進 :優しいライダー.「ども,どぞ」. 歩 :いいライダーやね. 井筒 :そういう意味もあるねん.直訳すれば気楽なバタコ乗り. 気楽なオートバイ野郎,そういう意味ですけどね.気楽な オートバイ野郎が二人でアメリカの南部の封建的なとこに 旅してね.それで殺されてしまう話でしたけど,ショック でした.主人公二人とも死んでしまう. 高見沢:ね,髪が長いだけで. 井筒 :うん.髪が長いだけでね. 高見沢:こんなんすぐ殺されちゃいますよ. 井筒 :なんか髪が長かったり,なんか革ジャンを着てるだけとか ね. 歩 :今でも監督,殺したりとかは作りたくないっておっしゃっ てましたけど,その映画は? 井筒 :その時はアメリカのちょっとデフォルメした現実だから, 当時のアメリカのね. 歩 :なるほど,だっただろうと. 井筒 :だっただろうみたいな感じでガーンと迫ってきたから. やられる側に意味があったわけね.やる側に意味のあるも のじゃないから.やられる側に. 歩 :監督,こういう映画だけは絶対あかんって定義あるんです か? 井筒 :そんなことはないんだけどね.ないんやけど,やっぱり 若い人たちをね,暖かく見守ってくれるものでないと. なんか中学生同士がね,なんかね,戦争し合ったりね, あんなん嫌やわ. 歩 :なるほど. 井筒 :そんなんしないですよ.中学生とか高校生とか,もっとしっ かりしてると思う. 歩 :なるほど.というわけで,メンバーにですね,人生を変え た映画作品を聞いております.これ,各映画を監督に評価 してもらいます. 吉村 :ええ? 進 :ドキドキするな. 井筒 :そんなたいそうなこと言いませんよ. 進 :「ん?あの映画?鼻クソや」とか言われたら. 歩 :まあ,人生変わったというか,自分の中でのベストワン ですね.それぞれ聞いてきましょうか.まず,剛さん. 進 :「ローズ」っていう映画があるんですよ. 井筒 :面白い映画だったね.感動的な映画だったね. 進 :多忙多忙で「休みが欲しい」とマネージャーに言うわけで すよ.「でも,おまえを待ってる人間はたくさんいる. 働け」と.で働くんですけど,ドラッグにどんどんハマっ ていって,ドラッグ吸ってステージ上がってみんな盛り 上げる.それでステージ終わったらフラフラなんですよ. それで偉いさんのとこに挨拶しにヘリコプターで挨拶しに 行くんですよ.で,「おまえみたいのは鼻クソや」みたい こと言われるんですよ,ヴォーカルの彼女は.で,「ふざ けんな」と外出て,そしたらタクシーが来て乗せてくれと. 「どこまで行けばいいんだよ?」「ニューヨーク行って」っ て行って,なんだかんだしてるうちに恋に落ちるわけです よ.普通の人と恋に落ちていい感じに行くねんけども, 歌が嫌だと. 歩 :あとどんぐらいかかるの? 井筒 :まだわりと前半戦です. 歩 :ええ?まだ始まったばっかり? 進 :最終的には. TOM :もう最終的に?早いな. 進 :そのタクシードライバーは「歌,嫌いなんやろ?ドラッグ もやめてまえ」って男性が言うんですけど,馴染みの飲み 屋行くと「ステージ上がれよ,歌ってくれよ」ってなった らドラッグ飲んでステージ行っちゃうんですよ.男の人は 「ふざけんな」ってヒッチハイクしてどっか行っちゃうん ですよ.その人は取り残され,「どうするんだ?どうする んだ?」と.でもその夜はステージがある.で,地元の大 学で親に電話して「今からライヴが」.そして彼女はみん なの待ってるステージにヘリコプターで登場します.で, 客は盛り上がってて,そんななかまたドラッグをかましな がら大熱唱してるで,何でしたっけ? 歩 :覚えてねえのかよ? 進 :「男は女のためにこうあるべきなのよ」とかっていう詞の 内容の歌を熱唱するわけですよ.で,最終的にバタンと ステージに倒れて終わり.来週のサザエさんは,みたいな. 井筒 :なんや.?それ.ごっついい映画やったのに.「ローズ」 はサントラもものすごくヒットして. 進 :「これは剛くんが絶対に好きな映画の類だ」ということで, 友達が貸してくれたんです. 井筒 :名作だ. 進 :6〜7回みましたよ. 井筒 :芸事やってる人は一回ぐらいは見たほうがいい映画やね. ステージマンの心意気,ミュージシャンの心意気,芸人の 心意気. 歩 :えなり君は「独裁者」. えなり:そうですね.チャップリンがヒトラーがまだ生きてる頃に 風刺してる映画なんですけどね. 歩 :説明はもういいよ. えなり:そうですね. 歩 :監督はどうですか?「独裁者」. 井筒 :見てないんですよ. 歩 :評価しようがないということですね. 井筒 :チャップリンよりキートンのが好きやから見てない.知ら ない. 歩 :なるほど.由美さんは「忠犬ハチ公物語」. 吉村 :泣きますよね.小学校の時に見たと思うんですけど,もの すごく泣いた覚えがあるんです. 井筒 :犬ものはやっぱ子供は泣くわな.犬は卑怯やで. 歩 :犬は卑怯? 進 :確かにね,あれだけ動物使うってね. 井筒 :人間対人間で泣かしたいな.でもわかるわ,言ってるのが. それは泣くでしょう. 歩 :高見沢さん,「離愁」. 高見沢:監督知ってますか?ロミー・シュナイダーが主演で. 井筒 :思い出した. 高見沢:ラストシーンがすごく感動的で.ナチスに捕まったレジス タンスの女性がロミー・シュナイダーで,男が来て「こい つ知ってるのか?」と.女は「この人は知らない」と.知っ てると言うと捕まっちゃうんですよ,男もね.で,男は去 ろうとするんたけど,ふと振り返ってロミー・シュナイダー の顔と見つめ合って,手をこうやって,そこで止まるの. 歩 :そこで終わっちゃうんですか? 高見沢:そうそう.もちろん物語はたくさんあるんだけど,あまり にもそのラストシーンがすごく感動的だったんで. 歩 :いかがですか? 井筒 :すごい大問題作ですよ.僕も見ました.ロミー・シュナイ ダー,すごいいい女優さんですよ. 歩 :そして,僕は「のび太の魔界大冒険」. TOM :魔界大冒険な. 高見沢:ドラえもん? 歩 :石になっちゃうんだよ. TOM :もしもボックス使うやつじゃない? 歩 :そう,使うの. TOM :あれな. 歩 :知ってる? TOM :知ってる. 歩 :僕でもね,「告発」ってわかります? 井筒 :あったな. 歩 :あれ大好き.独房に入れられてるやつ. 井筒 :怖い映画やん. 歩 :あれ怖いですね. 井筒 :のび太が石になるとことぜんぜんちゃうぞ.メチャ怖いや ん. 歩 :そしてTOMさん.自分の口から言ってください. TOM :「ゲロッパ」.本当は質問が「いい映画は何とかだったで すか?」って書いてあったんで.僕は「ブルース・ブラザー ス」だったんですよ.完全にこの仕事選んだのブルース・ ブラザースから.音楽が出来て,笑いが出来て,徹底して 面白くて.ブルース・ブラザース最高. 歩 :「ゲロッパ」もドンピシャリですね. TOM :「ゲロッパ」もすごい面白いんですけど,ジェイムス・ ブラウン出てくるでしょ?そっくりさんが. 井筒 :ええ,言うて言うて. TOM :その人でいいんですか?っていうようなジェイムス・ブラ ウンが出てくる.ぜんぜん似てない. 歩 :似てないんですか? 井筒 :いやいや,似てんのよ. TOM :うそ? 井筒 :僕だってハリウッド行って20人から選んできたんだから. TOM :あそこを? 井筒 :ほんまよ. TOM :え?いるでしょ?錦糸町あたりに. 井筒 :なんで錦糸町やねん? TOM :でも藤山さんがカッコいいのよ. 井筒 :藤山さんね.でもそのジェイムス・ブラウンのニセモノも なかなか面白い芸人さんですよ.営業やってるんだけど, 似てないのが面白いのよ. TOM :だって僕,その人が出てきてジェイムス・ブラウンの物真 似やってるんだけど,「この人は誰の物真似やってるんだ ろう?」って思ってたんだから. 井筒 :そんな言いなや. 歩 :確かにそれぞれ皆さんね.さあ,続いてこちらのコーナー 参りましょう.堂本自分撮りイレブン!これはもう. 井筒 :「ゲロッパ」のブルース・ブラザースですね.二人ですね. 東京で公開されてとりあえずヒットしたから,ちょっと前 祝いしようかってちょっと飲んでたんですよ,久しぶりに. 歩 :撮影中っていうのはやっぱり忙しくて皆さんと行ったりは. 井筒 :なかなか飲めなかった.もう本当に忙しくて.みんな緊張 してたから,一回ぐらい飲んだだけでね.ただヒットした から前祝いで.まだ気は許せない.まだ大阪も公開された ばっかりですから.またもう一回ぐらいパーティーしたい. 歩 :次. 進 :監督,これ写真. 井筒 :緊張しててね.緊張し過ぎてたんです,初日. 歩 :監督も緊張されるんですね. 井筒 :緊張しますがな.緊張するよ,これ.初日だって800人か ら.新宿の映画館ですけど.ものすごい雨の日に来てくれ てね. 歩 :雨の日に. 井筒 :もう涙ちょちょ切れたよ.緊張してて. 歩 :こちらは? 井筒 :高田文夫先生と西田敏行さんのNGと.ちょっとラジオ局で キャンペーンしてる最中.高田先生はね,すごく応援して くれてましてね,それで久しぶりに. 歩 :先ほどちょっと見せていただいたんですけど,週に東京・ 大阪間をずっと行ったり来たりして. 井筒 :ものすごい忙しかったですね,キャンペーン中ね.まった く寝る時間なくてね. 歩 :この一週間で2往復? 井筒 :なんか演歌歌手みたいなことしてたですよ.演歌歌手の キャンペーンみたい. 歩 :大阪のキャンペーン4回,テレビ・ラジオ12本,舞台挨拶 3回.一週間だけです. 井筒 :そりゃバァーンとね,アメリカのハリウッドのね,ものす ごいお金を使った宣伝費でスポットバンバン流すだけ流す, そういう映画じゃないわけやから,やっぱり自ら「どうぞ 見て下さい」って試写会行って挨拶しないとと思って頑張っ たんですよ,久しぶりに.でもお客さん来てくれて良かっ たですね.テレビを通じて感謝いたします.まだ見てない 人はどんどん見に行ってください. 歩 :続いての写真. 井筒 :これは僕の. 歩 :車. 井筒 :ミニクーパーです. 歩 :ミニクーパーはもう. 進 :生産中止ですね. 歩 :作らなくなっちゃったんですよね. 井筒 :そうですわ.乗ったことある? 進 :俺,友達が乗ってます.車高メチャ低いじゃないですか. 井筒 :低い低い. 進 :この車って出るは出るけど,加速っていう感じあんまない じゃないですか. 井筒 :そやね.遊園地のゴーカートみたい. 歩 :監督は車好きなんですか? 井筒 :好きいうわけじゃないけど,仕事でね,気楽に行けるで しょ,渋谷でも新宿でも六本木でも. 進 :でも似合いますよね. 井筒 :ただ,雨が漏りやがるのね. 歩 :雨漏り? 井筒 :バァーッて雨きたらね,どっか染みてんのよ. 進 :「濡れてんな」と. 井筒 :どこからか知らんけどね.でもイギリスの飾らない車やか ら.Mr.ビーンが乗ってた車やからね. 歩 :今新しくなったの,ミニじゃないぐらい大きくなっちゃい ましたもんね. 井筒 :そうですね.こんなんでいいんです.ガーンいかつい, でかい車よう乗らん. 歩 :よう乗らん. 高見沢:イギリスの車? 歩 :でかい車. 高見沢:そうだね.すいません. TOM :すいません. 井筒 :TOMさんなんかごっつい車乗ってる. 高見沢:そうなの? 井筒 :いかつい.最初乗った時帰ろうかな思った. 歩 :また似合ってますからね. 井筒 :ものすごいカッコいいアメ車 歩 :それでは続いての写真.こちらは? 井筒 :僕の尊敬していた「仁義なき戦い」の笠原和夫さんって いうシナリオライターなんですけど,おそらく日本一の シナリオライターだったと思いますけど,去年亡くならはっ て.それが最後に出さはった,こんな分厚い広辞苑ぐらい ある厚さの記録ですよ.インタビュー集ですね. 歩 :大事に. 井筒 :はい,それがこのあいだ出たんでね,「ゲロッパ」編集中 だったんだけど一生懸命読もうと思って.すごい尊敬して ます.日本一のシナリオライターですね. 歩 :この写真の中に気になるとこあったんですけど,上のほう に写真ありますよね.あ,アップになった. 井筒 :うちのチビ.だいぶ古いやつです. 歩 :何年前ですか? 井筒 :だいぶ前やね.チビもう幾つや?三つ四つの頃かな?もうか れこれ10年近く前です.なんか間抜けな写真やね. 歩 :いやいや. えなり:いい写真ですよ. 井筒 :娘さんは可愛らしいですよ. 歩 :娘さんごめんなさい,今お幾つでしたっけ? 井筒 :6年生ですけどね.でも娘さんで良かったな思うてね. 歩 :そうですか? 井筒 :男やったらまた苦労するしね.男って苦労するでしょ. 歩 :でも娘って心配じゃないですか?先ほども彼氏連れてきた らどうする?って話ありましたけど. 井筒 :それは心配やけど,結局は放っとかなしゃーないから. 歩 :いや,彼氏はビクビクですよ,監督のとこに挨拶に行かな あかんようなるとね. 井筒 :だからええ人誰かね. 進 :ぼ,僕ですか? 井筒 :包容力があって優しいてね,で,いざ言う時は強くてね. 歩 :そういう男性が. TOM :どうですか?その娘さんが好きになった人が映画監督かな んかで,ヒモになってるような男はどうですかねぇ? 井筒 :絶対嫌やね. TOM :いや,ヒモだけじゃなくて,曲げちゃうんですよ, いろいろ.どうですか?そういうの. 井筒 :しばいたるで. 歩 :あかんあかん. 進 :でも,女の子もお父さんみたいな人を好きになったりとか あるやん,なんか.だからたぶん,お嬢さんが年頃になら れて,付き合うた奴がこんな奴で. 歩 :挨拶も首だけで「ちぃス」って. 進 :そんなみたいなね,そんなんが来て. 井筒 :いいなぁ,絶対その映画撮ろう. えなり:見たいですね. 進 :それで夜,新宿とか一緒に歩いてて,「ちょっと待って」 フンッって. 井筒 :ええっちゅうねん,もう. 進 :そしたらお嬢さんちょっとポッとなるかも.「曲げた」 って. 歩 :「上腕二頭筋がたまらない」とか. 井筒 :娘っていうのはでも,みんな多分そうやろうと思うけど, どっかにファザーコンプレックスあるからね.やっぱり 自分のお父さんがいちばん素敵だなと思ってるとこある からね.お父さん見て育ってきたわけだから.だからちょっ とお父さんより違う男性を見ると理想と違うみたいなね, 複雑な観念が産まれるんですよ.べつに悪いことじゃない ですよ.ファザーコンプレックスは面白い現象というか, 人間の自然なこと. 歩 :家族思いだという監督の一面が見れましたね. 進 :見れました.標識を曲げるという. 井筒 :「ゲロッパ」はだから,そういう父と娘の話なんですよ. 歩 :なるほど. 井筒 :本当はね.笑いだけじゃなくてそこを見て欲しいんですけ どね. 歩 :もちろん.というわけで,井筒監督の自分撮りイレブン でした.それではこのコーナーです.剛さん,いくよ.
「ベストヒットたかみー」
歩 :せーの. 進・歩:堂本! 高見沢:ベストヒットたかみー!です.今週はですね,井筒監督も 大好きだと言われています,エレキの若大将,加山雄三 さんの特集です.まずはVTRをご覧になって下さい. VTR:エレキの若大将,加山雄三.1960年,映画界に彗星のごと く現れ,「若大将シリーズ」が空前の大ヒット.映画の中 で歌われた「君といつまでも」や「お嫁においで」「夕陽 は赤く」といったエレキサウンドは,当時の若者たちの心 をとらえ,日本に空前のエレキブームを巻き起こしました. また,俳優,歌手としてだけでなく作曲家としても活躍の 場を広げ,谷村新司と共に作った「サライ」は世代を越え て愛される名曲に.いつまでも色あせない彼の名曲は,発 売から30年以上経った今でも世代や時代を越え愛され続け, 井上陽水や福山雅治ら様々なアーティストがカヴァーして います.今夜はそんな和製ポップスの巨匠,加山雄三さん にスポットを当てます. 高見沢:はい.エレキの若大将,加山雄三さんですけど,井筒監督 はもう加山さんと言えば. 井筒 :そうですね.「君といつまでも」や「夜空の星」とかの頃 やね.'65年の頃かな. 高見沢:レコードとかお買いになりました? 井筒 :買ってますよ. 高見沢:僕も「デイ・ドリーム・ビリーバー」は中学1年の時に買っ たんですよ.同じ世代ですから. 井筒 :でも加山雄三さんも買いましたよ.修学旅行なんか,みん なバスの中でマイク取り合いして歌ってたもん. 高見沢:「夜空の星」とかですよね.いろいろ若大将ありますけど. 進 :若大将づくしですね. 高見沢:KinKi Kidsのお二人は若大将の映画見ことは? 進 :ないですね. 歩 :ないと思いますね. 高見沢:加山さんというと,僕らの中では若大将というイメージが あるんですね. 歩 :やっぱり高見沢さんも聞いてたりしたんですか? 高見沢:小学生だったから,見てて「あ,カッコいいな」って感じ でね. 歩 :高見沢さんも小学生か. 高見沢:俺だって小学生の時あるよ. 歩 :ランドセルしょってました? 高見沢:そうだよ.通ってたよ.昔からこんな髪長いわけじゃない し,昔からこんな服着てたわけじゃない. 歩 :ランドセルは黒? 高見沢:黒だよ.青だったかな? 進 :ゴールドとかじゃないんですか? 高見沢:違うよ.えなり君は知らないよね? えなり:わかんないですね. 高見沢:由美ちゃんは? 吉村 :私も知らないですね. 高見沢:TOMちゃんは知ってるよね. TOM :若大将といえば青大将出てくるんですね.田中邦衛さん. 歩 :「若大将対青大将」ってありますもんね. TOM :エレキの寺内タケシさんの. 高見沢:併映されてた映画が「キングコング対ゴジラ」だったの. 井筒 :必ず怪獣ものと一緒に. 高見沢:そう.だから怪獣を好きになると若大将も好きになっちゃ う. 井筒 :自動的にね. 高見沢:自動的に. 歩 :すごいですね. 井筒 :今から見たらね,陳腐な話なんだわ. 高見沢:そうですよね,本当に.まあ,加山さんと僕らは一緒に 武道館のステージに出たことありますし,ゲストに来てく れたこともありますし. 歩 :ハワイでね. 進 :会ったことある.お料理ご馳走になりました. 歩 :僕は光進丸に.剛も. 進 :乗った乗った. TOM :加山さんと乗ったの?でかい? 進 :でかかったです. 井筒 :だってその頃からもう光進丸持ってはったからね. 高見沢:持ってましたよね. 進 :その頃から. 井筒 :明星とかに「光進丸」って書いてあったもんね. 歩 :だから本当に航海士とか機関士とかがいないと乗れないぐ らいの大きさですね. TOM :立って入れるってこと?下のとこに. 歩 :入れます. TOM :すごいな. 進 :お料理もうまいし.そのせっかく作っていただいた料理を, 吉田拓郎は船酔いで食べてなかった.乗る前に「酔い止め 飲んだほうがいいですよ.僕飲みましたもん」「そんなの 効かないんだよ.気分次第だよ」「でもいちおう,最悪の 時のために胃薬渡しときますから」「ポケットに入れとく よ」と.それでバァーッと行って5分後ぐらいに「ヤバい ヤバい」と.「お料理ご馳走になるんだから,美味しそう に食べないといけないから,飲んだほうがいいです」と. 「いや,ちょっと胃薬飲むと余計にキツいかもしれない」 みたいなことで.それで料理が出てきて,ステーキを焼い てくださったんです. 高見沢:加山さん自身が? 進 :はい.で,僕は酔い止め飲んでますからぜんぜん平気パク パク食べで「うまいうまい」って.拓郎さんは「ちょっと 勘弁」って.収録終わったら近くの岸に船を移動させてく れって,えらい変なとこ入ってってちっこいボートが拓郎 さん乗せて,拓郎さん「ちょっとお先に」って. 歩 :そうだったっけ. 高見沢:加山さん僕はね,肖像画を描いてもらった.曲を一緒に作っ たら. 歩 :もう肖像画みたいなもんですからね. 高見沢:なんで?まあ,いろんな映画ありますが,井筒監督はこう いった映画は作られないんですか?やっぱりどっちかって いうと,これらはハイソサエティなあれですよね. 井筒 :そうそう,ハイソサエティというかね,上品な大学に行っ てる上品な. 高見沢:そうですよね.作られてる作品と逆ですよね,「ガキ帝国」 とか. 井筒 :そういうの見過ぎたせいもあるかもわからない. 高見沢:その反動で? 井筒 :反動があるかもわからない. 高見沢:こういうのはよう作らんっていうことですね. 井筒 :そうやな,よう作らんなぁ. 高見沢:そういうことですね.ということで,今日はですね, 加山雄三さんのヒット曲の中からですね,「夜空の星」を セッションしたいと思います. TOM :歌わないの?今日.歌いません? 井筒 :いいよ,そんなの. 歩 :歌いましょうよ. TOM :せったく来たんだもん.まさかキャンペーンに来たわけで もあるまいし. 歩 :歌いましょう. TOM :遊びに来たのに. 進 :歌いましょうよ. 歩 :いてくれて,歌えるとこだけ歌ってもらえば. 進 :だって曲はご存じなんでしょ? 井筒 :知ってますよ. TOM :みんな歌ってるし.一緒に歌いましょう. 井筒 :♪二人を〜? TOM :違う違う. 高見沢:♪僕の行くところへ〜. TOM :やりましょう. 歩 :素晴らしい. 進 :やりましょやりましょ. 歩 :というわけで,最後に監督,感想だけ先にいただきたいん ですけど.本日は「堂本兄弟」に来ていただいていかがだっ たでしょうか? 井筒 :いや,もう二人に会えて嬉しかったな. 歩 :いえいえ,そんな. 進 :そんな言うていただいてほんま嬉しいですわ. 歩 :ありがとうございます. TOM :井筒監督,歌がうまいんでよかったな. 井筒 :まだ歌ってないがな. TOM :良かった良かった. 進 :ね,あそこのフェイクのとことかね. えなり:さすが「ゲロッパ」. 高見沢:意外とギターうまいんだね. 歩 :うまいうまい,ってギター弾くんだ? 進 :ハンマリングが絶妙で. 歩 :井筒監督,今,本当にお忙しいかと思いますけど,頑張っ て下さい. 井筒 :はい. 進 :頑張っていただきたいと思います. 歩 :本日のゲストは井筒和幸監督でした.ありがとうございま した. 進 :ありがとうございました.
♪夜空の星へ〜
歩 :はい,本日のゲストは井筒和幸監督でした.ありがとうご ざいました. 井筒 :ありがとうございました
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