トーク
「DOMOTO BROS. BAND&ゲストのトーク」
この HomePage だけのスペシャル編集版!


ゲスト:井筒和幸

歩  :はい,本日のゲストは井筒和幸監督です.
進  :よろしくお願いします.
井筒 :こんばんは.
歩  :はじめましてですね?
井筒 :はじめましてです.
進  :はじめまして.
歩  :どうもはじめましてです.
進  :TOKIOさんの番組とかで,そうとう怒ってらっしゃる.
歩  :ご立腹ご立腹で.
井筒 :昔ね.
進  :そういう姿も見させていただいてますけど.
歩  :今日はご立腹にならないようにね.
進  :ならないようにね.
歩  :粗相のないように.
井筒 :いやいや,とんでもないです.
進  :トークの前から客が多いということでね.
井筒 :ものすごいたくさんや.
進  :え?あれ?
井筒 :恥ずかし.
えなり:お願いしますよ,先輩.本番中ですよ.
井筒 :店先でゲロッパ.
歩  :見た客もゲロッパ.
進  :すいません.ごめんな.
歩  :おまえ,さっきダラーンとして.
えなり:ということはオープニングでチャック全開だったってこと
    ですね?
進  :ここからも音楽を出してた.ミュージシャンは一回や二回
    は開けといたほうがいいですよね.
高見沢:そう.こないだ俺もね,夏のイベントの時,3万人の前で
    開いてた.
歩  :ええ?
進  :だから戸締まりはちゃんとしたほうがいいよね.大丈夫で
    す.
歩  :監督,今,非常にお忙しいとお聞きしました.
井筒 :映画のキャンペーンもそうやしね,東京もヒットして大阪
    もヒットしてるから,すごいうれしくて,今度はうれし倒
    れみたいな.ちょっと疲れました.
歩  :収録の前も大阪にいたということで.
井筒 :いたんですよ.
歩  :東京に来てここに来てくれたんですね.大変ですね.
井筒 :お二人に会いたかったんですよ.
進  :え?僕らに?
井筒 :一回,企画したことあってんねんけどね,僕.
歩  :え?
進  :そうなんですか?
井筒 :マジでね.
進  :どういう役で?
井筒 :そんなん今言うてええのかな?
進  :いいですよ.
井筒 :あのね,もともと不良少年の二人組がね,更正してね.
進  :こういう感じから?
歩  :似合うな.
井筒 :そういう感じから更正してね,建築会社を始めようと.
    それで自分の母校の中学校をもう一回ちゃんと建てようと.
進  :ええ話やん.
井筒 :それをほんまはね,「ソウルで行こう」なんていう野暮っ
    たいタイトルでね.
進  :メッチャええ話.
井筒 :それが「ゲロッパ」の元ダネみたいな時もあったの.
歩  :土台となって.
進  :やりたかったな.
井筒 :それで「いつ言おうか?」言うてる時に筆が折れてしまっ
    てね,「やっぱりやめよかな」って.
進  :いやいやいや.
井筒 :ちょっと先が見えなかった.それでも「ソウルで行こう」
    っていうタイトルは,その頃からソウル音楽を使った何か
    魂に触れるものを,いくら不良でもやる時にはやるんだと
    いう青春記をやりたかったわけ.ほんまやりたいんですよ.
歩  :本当ですか.
井筒 :やりましょうか.
進  :やりますよ.
井筒 :夜明けまで不良こいてて飲んでてね,ピアスに茶髪のまま
    現場に行くと.いいでしょ?
進  :いいですね.
井筒 :ピンクとか黄色とか紫のさ.
歩  :ニッカボッカね.
井筒 :あんなんガッチリ似合いそうやんか.
進  :バリバリ似合いますよ.
歩  :似合うよなぁ.
井筒 :大阪弁でやりたかったんやけどね.
進  :関西弁で.
井筒 :それが「ゲロッパ」にちょっと生き残って,年輩の不良の
    映画になったっていう.そんなとこにつながる.
歩  :監督の眼中にはKinKi Kidsなんか.「なんや?こいつら」
    って.
井筒 :いやいや,とんでもないです.逆で,僕は最初,企画で.
    2年半ぐらい前.
歩  :この番組をご覧になったことは?
井筒 :2回ぐらいありますよ.TOMさんとか知り合いやから.
歩  :知り合いですか?
TOM  :一緒に映画とかで遊ばせてもらったりしてたんです.
井筒 :TOMさんと映画やったもんね.ワイドショーの司会者の
    役で.
歩  :その映像あるらしいですよ.見てみましょう.
TOM  :恥ずかしいね.

VTRへ

えなり:最高ですよ.
歩  :最高ですよ.
高見沢:すごい.
進  :両サイドの役者さんが一生懸命芝居の空間なのに,真ん中
    のTOMさんだけコントになってますよ.出オチですよ.
TOM  :いきなりOKでしたよ.
井筒 :「岸和田少年愚連隊」を撮った後に松竹で撮ったやつでね,
    「釣りバカ」なんかと一緒に封切られたんですよ.ただ,
    あんまり若い人が行かなかった写真ですからしょうがない
    んだけど,おもろかったよね?
TOM  :面白かったです.
歩  :ちょっとびっくりしたな.
高見沢:わかんなかったですよ.
進  :いいですな.
井筒 :一回テレビでやってくれたらええねん.知らんうちにみん
    な終わってるからね.サーサーサーサー流さされてくから,
    情報って.
歩  :今のちょっとちゃんと見たいよ.
進  :すごい見たい.どういう流れでなぜ?
井筒 :すごい重要な役柄ですよ.
進  :見たい.
歩  :さあ,そういうわけでこちらのコーナー.
進  :いきましょう.
歩  :堂本一問一答!
TOM  :ああっ!
進  :えいっ!
えなり:よっ!
TOM  :声出すぞ!
進  :ういっ!
歩  :さあ,監督にどんどん質問が来ますんで.
TOM  :よいしょ!
歩  :直感で答えてください.
進  :えいっ!
歩  :うるさい!
TOM  :よっしゃ,行こう!
歩  :前に座っていただいて.すいませんね.それでは参りましょ
    う.堂本一問一答!


Q  :井筒和幸監督に質問です.小さい頃のあだ名は何ですか?
井筒 :僕はね,「ジジイ」ですか.白髪があったから,昔から.
    中学の時「爺」って言われてました.
Q  :それでは,学生時代「こんな悪ガキでした」というエピソー
    ドは?
進  :それ聞きたい.
井筒 :僕,優等生やったからな.一回だけ水泳部の部室で煙草喫っ
    たことあるな,中学3年生の時.
Q  :この人生,違った道を歩いていたら今ごろ何をしていたと
    思いますか?
井筒 :学校の先生かヤクザか.
進  :ヤクザて!
TOM  :ヤクザて!
進  :監督,ヤクザて!
井筒 :学校の先生になりたかったです.
進  :似合うと思う.
Q  :さて,次の質問はこの方からです.
VTR (西田俊行之さんと岸部一徳さん) 
西田 :井筒監督の最新作「ゲロッパ」に出演させていただいてま
    す,西田敏之でございます.
岸部 :岸部一徳です.
西田 :どうも.けっこう監督は放ったらかしかなと思ったら意外
    に神経質で,ちゃんと細かくTシャツなんかもたたむよう
    なタイプですね.
岸部 :繊細な感じで.
西田 :そういう人が,初めてお金を出して買ったレコードって
    どんなもんかなと思って.
岸部 :聞いてみたいですね.
西田 :聞いてみたいですね.ちなみに.
岸部 :僕はね,ちょっと古いんですけど,若山彰さんの「喜びも
    悲しみも幾歳月」.
西田 :♪俺ら岬の〜.
岸部 :♪チャチャチャチャン〜.
西田 :♪灯台守は〜.感じじゃないなぁ.
岸部 :でしょ?
西田 :俺はプラターズの♪ユー,ネバー,ノー〜.じゃあ井筒さ
    ん,伺います.あなたが自腹で初めてお金を払って買った
    レコード,それは何ですか?
井筒 :それはね,モンキーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」
    だったと思いますよ,確か.僕が中学3年生ぐらいの時か
    な?
進  :煙草を喫った後に買いに行ったと.
井筒 :うん.世界的にヒットした曲ですからね.まあ,ポップ
    カルチャーの最初でしょうね.洋楽から.
Q  :監督の初恋はいつですか?またそのお相手はどんな人です
    か?
歩  :聞きたいね.
Q  :中学3年生の時かな?初恋らしきもんじゃなかったけどな.
    なんか惚れられたんやね.
進  :ええ?監督,惚れられたて!?
井筒 :美人に惚れられたな.美人さんでしたね.学校のアイドル
    みたいな子でしたね.
Q  :その方は有名人言うと誰に似ていますか?
井筒 :誰かな?似てないんよ.誰かな?和泉雅子さんの若い時みた
    いな.知らないか,今の人は.ちょっとちゃうな.
Q  :ところで,次の質問はこの方からです.
VTR(山本太郎さん):なんていうか,なぜに戦い続けるのか,そん
    なに戦い続けたら恨まれることもあるだろうし,敵を多く
    作ることもあるだろうし,でもそれでも真摯なまでの監督
    の戦いっぷりというか,その秘密を知りたいなと.
歩  :なるほど.
井筒 :社会というのはね,たくさんの人間がいるからですね,
    だから誰か一人にまとめてどっかに連れて行かれたくない
    から,だから意見を言うんです.それが大事なことだと
    思う,今の社会でね.それが本当の民主主義だと思う.
    だから言い続けます.一人が行ってしまうとみんなそっち
    へ行ってしまうから,危ないことだと僕は思ってる.
歩  :どんどんなくなってしまいますよね.
えなり:教訓にします.
Q  :「若気の至りだったなぁ」という甘酸っぱい思い出を教え
    てください.
井筒 :それは二十歳過ぎで初めて自分で仲間同士で映画を作って
    しまったことですね.低予算の映画だったけど,作ってし
    まったんですよ.
歩  :ある意味それがデビュー作?
井筒 :まあ,そうなんですけどね.
歩  :どんな映画だったんです?
井筒 :ポルノ映画.
進  :監督,ポルノて!
歩  :学生の頃?
井筒 :学生っていうか,僕,学生してないんで.もうプータロー
    だったから.元祖プータローだから,高校出てから2〜3年
    プータローしてて,それですぐいきなり作ってしまったん
    ですよ.それから僕の映画人生は始まってるんですけどね.
    あれまあ,若気の至りやったな.1年間ぐらいウーッとなっ
    てたからな.ヘタだったから,やっぱり初めては.それは
    当たり前やけど,自信過剰やったんですね.若気の至り.
Q  :そうした若い頃,いちばん苦しかったことは何でしたか?
井筒 :お金なかったこと.プータローだったから.
Q  :どうやって暮らしていたんですか?
進  :余計なお世話やで,「どうやって暮らしてた?」って.
高見沢:本当だよね.
Q  :すいませんでした.
進  :謝ってる.
Q  :どうやって生活してましたか?
井筒 :結局は聞いてるやないか.まあ,世に言うヒモ.っていう
    か,女の子にお小遣いもろうたりしてたんちゃうかな.
    ろくにアルバイトしてなかったから.
Q  :近々これを始めたいということはありますか?
井筒 :近々ですか?べつにないですね,なんも.
Q  :それでは人にこれをされるのはどうしても我慢できないと
    いうことは何ですか?
井筒 :べつになんもないですよ.
Q  :他人に指摘されて初めて気付いた自分の変なところはどこ
    ですか?
井筒 :いや,何にもないですよ.
進  :うまい.ちゃんと三ついった.
Q  :次の質問です.初めて東京に来た時びっくりしたことは
    何ですか?
井筒 :それはね,俺が高校2年の時にヒッチハイクで来たんです
    よ,東京に初めて.名神乗り継いでトラック止めて.それ
    でね,銀座に来たらね,マクドナルドの1号店でハンバー
    ガー食べたこと.それはアメリカの味がしたわ.
歩  :それは戦前ですか?
井筒 :'71年とか'70年の話.
進  :'70年代の話.
歩  :なるほどね.失礼だぞ.
進  :いやいや,おまえやろ.
TOM  :あんたが言うなよ.
井筒 :戦前って知らんがな.
Q  :監督は家に帰ったらまず何をしますか?
井筒 :まずですね,「ゲロッパ」あ,違うか.あの,ウンコしま
    すね.
歩  :健康的な.
Q  :家の中でいちばんのくつろぎスペースは?
井筒 :だから便所ですよ.
進  :便所言うてるやん.
歩  :でもわかる.今すごい便所あるよね.
TOM  :すごいかどうかわかんないじゃんかよ.
歩  :パッと入ったらウィーンって勝手に開くの.それで用足し
    て離れたら勝手に流れる.
井筒 :便所って孤独な空間やからええやないの.誰も入ってこな
    いから.
歩  :まあ,一切トイレなんかしないから,俺.
井筒 :しないってどういうことや?
進  :思いっ切りしとるがな.このあいだも一緒になったがな.
Q  :次の質問です.「1年間仕事しちゃダメ」と言われたら
    何をしますか?
井筒 :そうやなぁ,僕,趣味ないからね.まあ,毎日パーティー
    かな,夜な夜な.どんな人らとでも.してみたいな.
Q  :今年中に挑戦したことは何ですか?あれば,それは何です
    か?
井筒 :今年中に挑戦?どっか行きたいですね.どっか行きたいけ
    ど,行く暇がないから.
Q  :それでは,今まで.
井筒 :あ,そうだ,旅行したいんだ,俺.
歩  :遅っ!思い出しました?
進  :びっくりするわ.
歩  :忙しくて頭離れてたんでしょうね.
井筒 :そう.旅行したいんですよ,ほんま.旅行してないから.
    スイスに行きたいの.
進  :「行きたいの」言われてもね.
井筒 :スイスはね,直接民主主義の国なんでね,何かする時でも
    必ずみんなで国民投票するんですよ.それで永世中立国で
    す.そこの若者たちがどんな顔をしているか見てみたい.
    すごく行きたい.
Q  :次の質問です.今まで女性についたひどいウソは何です
    か?
井筒 :大阪にいてるのに,「今,東京にいてるねん」とか言うた
    ことかな.
Q  :逆に女性につかれたウソって何ですか?
井筒 :まあ,浮気されたことか.浮気してないのにされた.
    そんなことか.まあ,ようあることやな.
Q  :最近「いいなぁ」と思った人は誰ですか?
井筒 :常盤貴子ちゃん.素敵ですね.
Q  :今まででいちばん反省したお酒での失敗は何ですか?
井筒 :東京の警察署に泊められたこと.
Q  :いったい何をしたんですか?
井筒 :新宿でね,酔っ払って道路標識とか曲げたんですよ.
    それで逮捕されて.
TOM  :逮捕?
井筒 :逮捕.十日ぐらい入ってたかな.全国ネットで夕方の
    ニュースで出た.あれからちょっとお酒に対する考え方が
    変わりました.島田紳助君なんかと映画撮った後でしたね.
    ちょうどあんたたちの歳ぐらい.今20幾つだっけ?
進  :4です.
井筒 :ちょうどその頃ね.僕が28〜9で「ガキ帝国」って映画を
    撮った後に.
歩  :曲げてしまったと.
井筒 :はい,曲げて.何本か曲げたんだね.
歩  :何がしたかったんでしょうね.
井筒 :まあ,ちょっと.
進  :なんか邪魔やったでしょうね.
井筒 :なんか邪魔やったんやな.若気の至りやな.最低.そんな
    ことばっか聞くの?
Q  :失礼しました.それでは次の質問です.監督の人生を変え
    た映画って何ですか?
井筒 :これは「イージー・ライダー」ですね,高校2年生の時に
    見た.ピーター・フォンダとデニス・ホッパーがオート
    バイに,ハーレーに乗って.TOMさんなんか知ってるやろ?
TOM  :はい.
井筒 :あれ,僕ショックで高校行かなかったですね.高校で受験
    勉強してる場合じゃないなって思ったな.だからものすご
    い影響されてショックを受けました.だから映画ってもの
    すごい力があるんだなって.あの映画に出逢わなかったら
    映画の仕事してなかったかもわかんないし.
Q  :それでは,最近「なかなか面白いんじゃないの」って思っ
    た映画は?
井筒 :最近ですか?それはもう「ゲロッパ」しかないじゃないで
    すか.
歩  :そうですね.ゲロッパ!!
井筒 :びっくりするがな.
TOM  :どうなんだろう?そういうのは.
歩  :勢いです.
Q  :「俺って歳取ったなぁ」と思うのはどんな時ですか?
井筒 :ぜんぜんないですね.高校の頃とあんま変わってへんです
    わ.
Q  :それでは今いちばん気になっていることってどこですか?
井筒 :ど,どこ?
歩  :気になっていることで.
井筒 :そうか.頭ハゲてきたことぐらいかな.まあべつにでもね,
    かぶるほどのもんじゃないしね.ハゲてもええんちゃう?
    みたいな感じですね.あんま気になってないですね.
Q  :今の日本の社会に言いたいことって何ですか?
井筒 :そういうきな臭いこと考える大人たちがいるんだけど,
    もうちょっと平和的に考えていいんじゃないですか.
    だからちょっと幼児国だなと思うんですよ.僕,もっと
    大人の国になって欲しいなと思う.自信があればどことも
    ケンカしないですよ.自信がないからだ.だからもっと
    大人になって欲しい.幼児国,非常に.いつも思うこと.
    いつも僕がワイドショーなんかで言いたいこと,
    「大人になれ」.
Q  :監督の宝物は何ですか?
歩  :えらい質問変わったなぁ.
進  :コロッと.
井筒 :娘さんですな.小学校6年生ですけど.
Q  :それでは,その娘さんから「彼氏を紹介したい」と言われ
    ました.何と答えますか?
井筒 :「そんなん追い返せ」言います.
進  :まあ,自然やな,それが.
井筒 :嫌やな.
Q  :井筒和幸監督ありがとうございました.


歩  :ありがとうございました.お戻り下さい.このコーナー
    だけでわかりましたね,常に怒ってる人じゃないという.
    非常に正義感が強く,優しい心の持ち主なんだということ
    がかなり見えてきましたね.じゃあ聞いていきましょう.
    初恋のことを聞きました.惚れられたと.学校のアイドル
    と言われた人に惚れられたと.
井筒 :僕は恥ずかしがり屋やから,恋心とかそういうのなかったなぁ.
    「想われてるんや」とか周りがウワサしてただけで.
歩  :モテてたんですか?
井筒 :うーん?どうかな?
歩  :告白されて監督はどうしたんです?
井筒 :一緒にデートして映画見に行ったけどね.
歩  :その時も映画.
井筒 :その映画見に行った時にね,なんか僕はスティーヴ・
    マックイーンのね,ものすごいカーアクションの刑事物見
    にいったのよ,俺の好きな映画を.そしたらね,彼女はね,
    怖がってもうてね.僕は本人が横にいるのに映画にシビれ
    てたから,失礼な話ですわな,今から考えると.
歩  :彼女はその映画が怖いから楽しむ感じじゃなかったのに,
    監督は一生懸命.
井筒 :そうそう,僕のわがままで連れてった.
歩  :それは女性としてどうでしょう?由美さん.
吉村 :私はときめきました.あれ?間違ってる?間違ってない?
    そういう強引な男性が素敵です.
歩  :なるほどね.
井筒 :うれしいな.
進  :じゃあ,えなり君は?あ,男か.
えなり:今どういう振りなのかなと迷っちゃいました.
歩  :それで学生時代,ワルだったんですか?
井筒 :いや,ワルやなかったんやけどね.悪い友達いっぱい
    おったんですよ.だからちょっと真面目な人とか優等生と
    かよりもね,僕はわりと優等生やったんやけどね,聞かれ
    てへんか.悪っぽい奴のほうが好きだったわけよ.だから
    今でもね,不良を描き続けてたりね,あるいはあんたたち
    にそういう物語をさっき作りたいって原型みたいなやつね,
    思ったのはそういう悪さしてるやつのがね.
歩  :何か持ってるものありますよね.
井筒 :あるでしょ.まだ人生出来てないぶんだけどっかにガンガ
    ン当たったりするけどね,当たることによって人間ってい
    うのは形成されてくんだ,みたいな気分あるから,そうい
    うのが僕は好きなんです.だからね,その時たまたま水泳
    部のワルたちとね,っていうと水泳部の人たちに怒られる
    か,まあいいか.一緒にあれしてたんですよ.ちょっと悪
    の楽しみや.先生に怒られましたけどね.
歩  :監督も水泳部だったわけですか?
井筒 :いや,僕は水泳部には所属してなかったんだけど,一緒に
    練習したりしてたんですよ.
歩  :何部だったんです?
井筒 :僕はバスケにいててね.バスケットなんかね,真面目なや
    つが多かったんでね,それが逆に嫌でね.水泳部の部室行っ
    てそんなんしてね.
歩  :水泳部のが煙草吸ったら絶対あかんような気するけど.
TOM  :でも消しやすいじゃん.
えなり:そうですね.
TOM  :そういうことよ.
井筒 :うまい.
歩  :ダメダメ.マネしちゃいかんけど,でも監督のおっしゃっ
    てることわかります.何か悪さしてる人は何か持ってる.
井筒 :見つめてやりたいのよ.なんかどっか悩んでんのよ.
進  :悩んでるから,孤独やから,寂しいから何かね,とんがっ
    た態度とって.
井筒 :そやねん.それで当たるのよ.だからそういうの暖かく
    見たいねん.
歩  :監督が先生になったら素晴らしいやんか.
えなり:そうですね.
歩  :学校の先生っておっしゃってましたよね.
井筒 :なりたかったんですけどね.そんなアメリカのニューシネ
    マを見たから,ショックな映画を.それでもうね,教職は
    あきらめたんですわ.
歩  :まあでも今はね.
井筒 :もっと面白いことしてけるんじゃないか思うてね.
歩  :そして苦労話ですけど,お金がなかったと.そしてどうやっ
    て暮らしてたかと言うと,俗に言うヒモをやってたのかな
    という.
井筒 :いや,そういうのはべつにズルズルしてたわけやないんな
    いんだけど,プータローやからね.プータローずいぶんし
    てたから.4〜5年してたな.あの頃はフリーターいう言葉
    なかったからね.
歩  :女性をだまして?
井筒 :いや,だましたいうわけやない.「ちょっとちょうだい」
    とか.TOMさんもそんなんしてなかったですか?
TOM  :僕はバンドですからやってますよね.
井筒 :やってるんや.
TOM  :そうですね.
井筒 :やってるやんね.正直に言うたほうがええよ.
TOM  :だってバンドって食えないじゃん.今の奥さんだけど,
    その人が働いて,もちろん自分も働いてんですよね.働い
    てんだけど,結局は奥さんが働いたお金で食べてたのかな.
    奥さんはその分,僕の夢を食べてくれたのかな.
歩  :なんか今日は人が違う.
高見沢:違うね.
進  :いい人.
TOM  :どうも.
歩  :高見沢さんはアルフィーの前は?
高見沢:学生でしたからね.やはり,そういった食えない部分あり
    ましたからバイトしたりとか.
歩  :バイトどんなのしました?
高見沢:いちばん過酷だったのはトラックの助手.
井筒 :俺もやった.
歩  :トラックの助手って?
高見沢:横にのって荷物一緒に.
TOM  :運転手さんの助手ね.
歩  :由美さんは?PUFFYの前.
吉村 :ものすごい貧乏でしたよ.
TOM  :貧乏自慢大好き.
吉村 :19とか二十歳の時に,自炊するのもお金なくて毎日ご飯食
    べれなくて,コンビニでお弁当買ってくるじゃないですか.
    「こんだけ朝食べたら,半分残して夜食べよ」って残しと
    いたんです.
歩  :そうなんや.バイトは?
吉村 :バイトもしましたよ,十代の時.けっこういろいろしまし
    たし.いちばん大変だったのが鉄筋工.
えなり:え?
高見沢:鉄筋工やってたの?
歩  :鉄筋工?
吉村 :はい.やりましたよ,お給料がいいんで.
TOM  :そうか,なんか知らんことあるな.
歩  :えなり君は定年になる前は?
えなり:いやいや.定年はもうちょっと.
歩  :あ,もうちょっとか.
進  :あと4〜5年ある.
歩  :バイト経験ないからな.えなり君もないでしょ?
えなり:ないです.
TOM  :食えないっていいですよね.
井筒 :そうそう.僕もポルノ映画作ってたけど,食えるわけない
    ですよ.TOMさんと一緒でね,それでお小遣いもらったり,
    「貸してくれや」ってそのまま返せなかったりね.そうい
    う女性っていうのは有り難いことだけど,悪いなと思った
    けどしゃーないな.迷惑ばっかかけて生きとるっスよ.
    最低だ.
歩  :いやいや.
TOM  :本当だ.あんた最低だ.
井筒 :あんたに言われる筋合いはない.
歩  :そこで学ぶものがあったんですもんね.
井筒 :まあね,いつまでもこんなんしてないなと思ってね.
    鉄筋工やったんか.
吉村 :はい.
井筒 :兄弟と鉄筋工で出来そうやね,僕が構想してたもの.
吉村 :じゃあ,お姉ちゃん役で.
井筒 :どうしても「ゲロッパ2」作りたくなってきたな.
進  :いいですよね.
井筒 :ええ感じやね.
進  :作業のシーンやってもらって.
吉村 :じゃあ他に何のシーンやるの?
進  :僕はラブ担当でいくから.
井筒 :ラブて!?
進  :ラブ担当で.
吉村 :うん,わかった.
井筒 :ラブって牛乳やないんやから.
TOM  :そういえばあったね.
歩  :そして東京に来てびっくりしたこと,高校2年の時に銀座
    のマクドナルド1号店でハンバーガーを食べたのが衝撃だっ
    たと.
井筒 :そうそう,アメリカ文化やったからね,これからそういう
    時代になんのやなと思った.で,ジーパンもまだ普及しか
    けてた頃やからね.「ああ,これからこうなるんやな」と
    思った頃ですよ.アメリカ映画好きやったからね,
歩  :その当時,関西にはまだマクドナルドは?
井筒 :なかった,たしか.2号店か3号店ですよ.
歩  :そういうどっか地方行った時とか,なんか衝撃なことです
    か?例えばライヴとかコンサートとか.
TOM  :関西行った時は衝撃的だったよ.関西の人って話しかける
    じゃん.歩いてると「な?TOMやん.TOMやん,な?な?な?
    みんなTOMやで.な?な?」.東京はしないって.それは
    ショックだったな.
歩  :高見沢さんは何かあります?
高見沢:やっぱり関西.大阪行くとすごくそういうフレンドリーな
    とこがすごく衝撃的でした.
井筒 :逆に話しかけられなかったら最低やで.
TOM  :そうなんですか?
井筒 :そういうとこあるわな.話しかけられることでいいんちゃ
    うの?
歩  :関西ではそれが当たり前.そして休みの日があったら,
    1年ぐらい仕事しちゃいけませんだったら,1年中
    パーティー.みんなで集まること好きなんですか?
井筒 :みんなでね,お酒飲んだりするの面白いじゃないですか.
歩  :お酒飲んで標識曲げて.
井筒 :ええっちゅうねん.もう言わんといてぇな.全国ネットで
    言わんといて.
進  :二段階右折とかを曲げて.「なんでこう行くねん?」とか.
    手をつないでる親子に「いつ動くねん?」っていう.
歩  :スリップ注意の標識に「そんな走り方出来るか!?」.
井筒 :したらあかんよ.
歩  :絶対ダメですからね.
進  :みたいなことでたぶんね.
井筒 :若い時は酒いっぱい飲んでたから.
高見沢:お?
歩  :なんか落ちた?そんなこともあるよ.
進  :うっ.
吉村 :どうしたの?
えなり:どうした?衛生兵!衛生兵!助かるぞ.
吉村 :気道確保.
えなり:気道確保.
吉村 :えなり君.
進  :キスはやめてくれ.
歩  :といわけで,今の芝居は監督的にはどうだったですか?
井筒 :いい演技やったよ.ただ,えなりが「衛生兵」いう呼び方
    はないやろ.
えなり:「モルヒネ,モルヒネ」って.
井筒 :衛生兵て,いつ軍隊に行ったんや?オッさんやわ.
進  :衛生兵は違うな.
井筒 :彼の倒れ方は良かったんちゃう.ああいうメソッドって
    大事でしょ.パッと瞬間的に出来る.
進  :僕ね,撃たれた時にすぐ「ううっ」ってなるのが嫌いなん
    ですよ.いろんな人の演技見てて,パンッて撃たれた時に,
    撃たれたことを認識してからちょっと「うっ」ってなり
    始める感じがすごくリアル.ああいうのが好きなんで.
井筒 :わかるわかる.
進  :時代劇とかカメラに向かってこう.
歩  :今の斬られ方どうですか?
井筒 :斬られ役の人は顔を売ってからフレームアウトするの.
えなり:あと,綺麗にハケますからね.
進  :綺麗にハケて主役だけが残る.
えなり:そうそう.
井筒 :脇役さんの性やね.ちょっとでも画面に残りたい.それは
    もう今は流行らんけどな.
歩  :流行らないって,剛.
井筒 :まあでもそういう例もある.
歩  :でも撃たれたり斬られたりって,実際役者はその痛み実際
    に経験したことないじゃないですか.
井筒 :だからあんまりなんかね,撃たれたり言うのあんま作りた
    ないわ,僕は.
歩  :なるほど.
井筒 :アメリカ映画は撃たれたり殺されたりみたいのばっかりで
    しょ.
進  :そんなんばっかりですね.
井筒 :僕そういうの作りたくなかった.だから「ゲロッパ」でも
    誰も死にませんしね.そういうことやと思う.わからない
    ことをするなと.
歩  :そして人生を変えた映画作品は「イージー・ライダー」.
進  :優しいライダー.「ども,どぞ」.
歩  :いいライダーやね.
井筒 :そういう意味もあるねん.直訳すれば気楽なバタコ乗り.
    気楽なオートバイ野郎,そういう意味ですけどね.気楽な
    オートバイ野郎が二人でアメリカの南部の封建的なとこに
    旅してね.それで殺されてしまう話でしたけど,ショック
    でした.主人公二人とも死んでしまう.
高見沢:ね,髪が長いだけで.
井筒 :うん.髪が長いだけでね.
高見沢:こんなんすぐ殺されちゃいますよ.
井筒 :なんか髪が長かったり,なんか革ジャンを着てるだけとか
    ね.
歩  :今でも監督,殺したりとかは作りたくないっておっしゃっ
    てましたけど,その映画は?
井筒 :その時はアメリカのちょっとデフォルメした現実だから,
    当時のアメリカのね.
歩  :なるほど,だっただろうと.
井筒 :だっただろうみたいな感じでガーンと迫ってきたから.
    やられる側に意味があったわけね.やる側に意味のあるも
    のじゃないから.やられる側に.
歩  :監督,こういう映画だけは絶対あかんって定義あるんです
    か?
井筒 :そんなことはないんだけどね.ないんやけど,やっぱり
    若い人たちをね,暖かく見守ってくれるものでないと.
    なんか中学生同士がね,なんかね,戦争し合ったりね,
    あんなん嫌やわ.
歩  :なるほど.
井筒 :そんなんしないですよ.中学生とか高校生とか,もっとしっ
    かりしてると思う.
歩  :なるほど.というわけで,メンバーにですね,人生を変え
    た映画作品を聞いております.これ,各映画を監督に評価
    してもらいます.
吉村 :ええ?
進  :ドキドキするな.
井筒 :そんなたいそうなこと言いませんよ.
進  :「ん?あの映画?鼻クソや」とか言われたら.
歩  :まあ,人生変わったというか,自分の中でのベストワン
    ですね.それぞれ聞いてきましょうか.まず,剛さん.
進  :「ローズ」っていう映画があるんですよ.
井筒 :面白い映画だったね.感動的な映画だったね.
進  :多忙多忙で「休みが欲しい」とマネージャーに言うわけで
    すよ.「でも,おまえを待ってる人間はたくさんいる.
    働け」と.で働くんですけど,ドラッグにどんどんハマっ
    ていって,ドラッグ吸ってステージ上がってみんな盛り
    上げる.それでステージ終わったらフラフラなんですよ.
    それで偉いさんのとこに挨拶しにヘリコプターで挨拶しに
    行くんですよ.で,「おまえみたいのは鼻クソや」みたい
    こと言われるんですよ,ヴォーカルの彼女は.で,「ふざ
    けんな」と外出て,そしたらタクシーが来て乗せてくれと.
    「どこまで行けばいいんだよ?」「ニューヨーク行って」っ
    て行って,なんだかんだしてるうちに恋に落ちるわけです
    よ.普通の人と恋に落ちていい感じに行くねんけども,
    歌が嫌だと.
歩  :あとどんぐらいかかるの?
井筒 :まだわりと前半戦です.
歩  :ええ?まだ始まったばっかり?
進  :最終的には.
TOM  :もう最終的に?早いな.
進  :そのタクシードライバーは「歌,嫌いなんやろ?ドラッグ
    もやめてまえ」って男性が言うんですけど,馴染みの飲み
    屋行くと「ステージ上がれよ,歌ってくれよ」ってなった
    らドラッグ飲んでステージ行っちゃうんですよ.男の人は
    「ふざけんな」ってヒッチハイクしてどっか行っちゃうん
    ですよ.その人は取り残され,「どうするんだ?どうする
    んだ?」と.でもその夜はステージがある.で,地元の大
    学で親に電話して「今からライヴが」.そして彼女はみん
    なの待ってるステージにヘリコプターで登場します.で,
    客は盛り上がってて,そんななかまたドラッグをかましな
    がら大熱唱してるで,何でしたっけ?
歩  :覚えてねえのかよ?
進  :「男は女のためにこうあるべきなのよ」とかっていう詞の
    内容の歌を熱唱するわけですよ.で,最終的にバタンと
    ステージに倒れて終わり.来週のサザエさんは,みたいな.
井筒 :なんや.?それ.ごっついい映画やったのに.「ローズ」
    はサントラもものすごくヒットして.
進  :「これは剛くんが絶対に好きな映画の類だ」ということで,
    友達が貸してくれたんです.
井筒 :名作だ.
進  :6〜7回みましたよ.
井筒 :芸事やってる人は一回ぐらいは見たほうがいい映画やね.
    ステージマンの心意気,ミュージシャンの心意気,芸人の
    心意気.
歩  :えなり君は「独裁者」.
えなり:そうですね.チャップリンがヒトラーがまだ生きてる頃に
    風刺してる映画なんですけどね.
歩  :説明はもういいよ.
えなり:そうですね.
歩  :監督はどうですか?「独裁者」.
井筒 :見てないんですよ.
歩  :評価しようがないということですね.
井筒 :チャップリンよりキートンのが好きやから見てない.知ら
    ない.
歩  :なるほど.由美さんは「忠犬ハチ公物語」.
吉村 :泣きますよね.小学校の時に見たと思うんですけど,もの
    すごく泣いた覚えがあるんです.
井筒 :犬ものはやっぱ子供は泣くわな.犬は卑怯やで.
歩  :犬は卑怯?
進  :確かにね,あれだけ動物使うってね.
井筒 :人間対人間で泣かしたいな.でもわかるわ,言ってるのが.
    それは泣くでしょう.
歩  :高見沢さん,「離愁」.
高見沢:監督知ってますか?ロミー・シュナイダーが主演で.
井筒 :思い出した.
高見沢:ラストシーンがすごく感動的で.ナチスに捕まったレジス
    タンスの女性がロミー・シュナイダーで,男が来て「こい
    つ知ってるのか?」と.女は「この人は知らない」と.知っ
    てると言うと捕まっちゃうんですよ,男もね.で,男は去
    ろうとするんたけど,ふと振り返ってロミー・シュナイダー
    の顔と見つめ合って,手をこうやって,そこで止まるの.
歩  :そこで終わっちゃうんですか?
高見沢:そうそう.もちろん物語はたくさんあるんだけど,あまり
    にもそのラストシーンがすごく感動的だったんで.
歩  :いかがですか?
井筒 :すごい大問題作ですよ.僕も見ました.ロミー・シュナイ
    ダー,すごいいい女優さんですよ.
歩  :そして,僕は「のび太の魔界大冒険」.
TOM  :魔界大冒険な.
高見沢:ドラえもん?
歩  :石になっちゃうんだよ.
TOM  :もしもボックス使うやつじゃない?
歩  :そう,使うの.
TOM  :あれな.
歩  :知ってる?
TOM  :知ってる.
歩  :僕でもね,「告発」ってわかります?
井筒 :あったな.
歩  :あれ大好き.独房に入れられてるやつ.
井筒 :怖い映画やん.
歩  :あれ怖いですね.
井筒 :のび太が石になるとことぜんぜんちゃうぞ.メチャ怖いや
    ん.
歩  :そしてTOMさん.自分の口から言ってください.
TOM  :「ゲロッパ」.本当は質問が「いい映画は何とかだったで
    すか?」って書いてあったんで.僕は「ブルース・ブラザー
    ス」だったんですよ.完全にこの仕事選んだのブルース・
    ブラザースから.音楽が出来て,笑いが出来て,徹底して
    面白くて.ブルース・ブラザース最高.
歩  :「ゲロッパ」もドンピシャリですね.
TOM  :「ゲロッパ」もすごい面白いんですけど,ジェイムス・
    ブラウン出てくるでしょ?そっくりさんが.
井筒 :ええ,言うて言うて.
TOM  :その人でいいんですか?っていうようなジェイムス・ブラ
    ウンが出てくる.ぜんぜん似てない.
歩  :似てないんですか?
井筒 :いやいや,似てんのよ.
TOM  :うそ?
井筒 :僕だってハリウッド行って20人から選んできたんだから.
TOM  :あそこを?
井筒 :ほんまよ.
TOM  :え?いるでしょ?錦糸町あたりに.
井筒 :なんで錦糸町やねん?
TOM  :でも藤山さんがカッコいいのよ.
井筒 :藤山さんね.でもそのジェイムス・ブラウンのニセモノも
    なかなか面白い芸人さんですよ.営業やってるんだけど,
    似てないのが面白いのよ.
TOM  :だって僕,その人が出てきてジェイムス・ブラウンの物真
    似やってるんだけど,「この人は誰の物真似やってるんだ
    ろう?」って思ってたんだから.
井筒 :そんな言いなや.
歩  :確かにそれぞれ皆さんね.さあ,続いてこちらのコーナー
    参りましょう.堂本自分撮りイレブン!これはもう.
井筒 :「ゲロッパ」のブルース・ブラザースですね.二人ですね.
    東京で公開されてとりあえずヒットしたから,ちょっと前
    祝いしようかってちょっと飲んでたんですよ,久しぶりに.
歩  :撮影中っていうのはやっぱり忙しくて皆さんと行ったりは.
井筒 :なかなか飲めなかった.もう本当に忙しくて.みんな緊張
    してたから,一回ぐらい飲んだだけでね.ただヒットした
    から前祝いで.まだ気は許せない.まだ大阪も公開された
    ばっかりですから.またもう一回ぐらいパーティーしたい.
歩  :次.
進  :監督,これ写真.
井筒 :緊張しててね.緊張し過ぎてたんです,初日.
歩  :監督も緊張されるんですね.
井筒 :緊張しますがな.緊張するよ,これ.初日だって800人か
    ら.新宿の映画館ですけど.ものすごい雨の日に来てくれ
    てね.
歩  :雨の日に.
井筒 :もう涙ちょちょ切れたよ.緊張してて.
歩  :こちらは?
井筒 :高田文夫先生と西田敏行さんのNGと.ちょっとラジオ局で
    キャンペーンしてる最中.高田先生はね,すごく応援して
    くれてましてね,それで久しぶりに.
歩  :先ほどちょっと見せていただいたんですけど,週に東京・
    大阪間をずっと行ったり来たりして.
井筒 :ものすごい忙しかったですね,キャンペーン中ね.まった
    く寝る時間なくてね.
歩  :この一週間で2往復?
井筒 :なんか演歌歌手みたいなことしてたですよ.演歌歌手の
    キャンペーンみたい.
歩  :大阪のキャンペーン4回,テレビ・ラジオ12本,舞台挨拶
    3回.一週間だけです.
井筒 :そりゃバァーンとね,アメリカのハリウッドのね,ものす
    ごいお金を使った宣伝費でスポットバンバン流すだけ流す,
    そういう映画じゃないわけやから,やっぱり自ら「どうぞ
    見て下さい」って試写会行って挨拶しないとと思って頑張っ
    たんですよ,久しぶりに.でもお客さん来てくれて良かっ
    たですね.テレビを通じて感謝いたします.まだ見てない
    人はどんどん見に行ってください.
歩  :続いての写真.
井筒 :これは僕の.
歩  :車.
井筒 :ミニクーパーです.
歩  :ミニクーパーはもう.
進  :生産中止ですね.
歩  :作らなくなっちゃったんですよね.
井筒 :そうですわ.乗ったことある?
進  :俺,友達が乗ってます.車高メチャ低いじゃないですか.
井筒 :低い低い.
進  :この車って出るは出るけど,加速っていう感じあんまない
    じゃないですか.
井筒 :そやね.遊園地のゴーカートみたい.
歩  :監督は車好きなんですか?
井筒 :好きいうわけじゃないけど,仕事でね,気楽に行けるで
    しょ,渋谷でも新宿でも六本木でも.
進  :でも似合いますよね.
井筒 :ただ,雨が漏りやがるのね.
歩  :雨漏り?
井筒 :バァーッて雨きたらね,どっか染みてんのよ.
進  :「濡れてんな」と.
井筒 :どこからか知らんけどね.でもイギリスの飾らない車やか
    ら.Mr.ビーンが乗ってた車やからね.
歩  :今新しくなったの,ミニじゃないぐらい大きくなっちゃい
    ましたもんね.
井筒 :そうですね.こんなんでいいんです.ガーンいかつい,
    でかい車よう乗らん.
歩  :よう乗らん.
高見沢:イギリスの車?
歩  :でかい車.
高見沢:そうだね.すいません.
TOM  :すいません.
井筒 :TOMさんなんかごっつい車乗ってる.
高見沢:そうなの?
井筒 :いかつい.最初乗った時帰ろうかな思った.
歩  :また似合ってますからね.
井筒 :ものすごいカッコいいアメ車
歩  :それでは続いての写真.こちらは?
井筒 :僕の尊敬していた「仁義なき戦い」の笠原和夫さんって
    いうシナリオライターなんですけど,おそらく日本一の
    シナリオライターだったと思いますけど,去年亡くならはっ
    て.それが最後に出さはった,こんな分厚い広辞苑ぐらい
    ある厚さの記録ですよ.インタビュー集ですね.
歩  :大事に.
井筒 :はい,それがこのあいだ出たんでね,「ゲロッパ」編集中
    だったんだけど一生懸命読もうと思って.すごい尊敬して
    ます.日本一のシナリオライターですね.
歩  :この写真の中に気になるとこあったんですけど,上のほう
    に写真ありますよね.あ,アップになった.
井筒 :うちのチビ.だいぶ古いやつです.
歩  :何年前ですか?
井筒 :だいぶ前やね.チビもう幾つや?三つ四つの頃かな?もうか
    れこれ10年近く前です.なんか間抜けな写真やね.
歩  :いやいや.
えなり:いい写真ですよ.
井筒 :娘さんは可愛らしいですよ.
歩  :娘さんごめんなさい,今お幾つでしたっけ?
井筒 :6年生ですけどね.でも娘さんで良かったな思うてね.
歩  :そうですか?
井筒 :男やったらまた苦労するしね.男って苦労するでしょ.
歩  :でも娘って心配じゃないですか?先ほども彼氏連れてきた
    らどうする?って話ありましたけど.
井筒 :それは心配やけど,結局は放っとかなしゃーないから.
歩  :いや,彼氏はビクビクですよ,監督のとこに挨拶に行かな
    あかんようなるとね.
井筒 :だからええ人誰かね.
進  :ぼ,僕ですか?
井筒 :包容力があって優しいてね,で,いざ言う時は強くてね.
歩  :そういう男性が.
TOM  :どうですか?その娘さんが好きになった人が映画監督かな
    んかで,ヒモになってるような男はどうですかねぇ?
井筒 :絶対嫌やね.
TOM  :いや,ヒモだけじゃなくて,曲げちゃうんですよ,
    いろいろ.どうですか?そういうの.
井筒 :しばいたるで.
歩  :あかんあかん.
進  :でも,女の子もお父さんみたいな人を好きになったりとか
    あるやん,なんか.だからたぶん,お嬢さんが年頃になら
    れて,付き合うた奴がこんな奴で.
歩  :挨拶も首だけで「ちぃス」って.
進  :そんなみたいなね,そんなんが来て.
井筒 :いいなぁ,絶対その映画撮ろう.
えなり:見たいですね.
進  :それで夜,新宿とか一緒に歩いてて,「ちょっと待って」
    フンッって.
井筒 :ええっちゅうねん,もう.
進  :そしたらお嬢さんちょっとポッとなるかも.「曲げた」
    って.
歩  :「上腕二頭筋がたまらない」とか.
井筒 :娘っていうのはでも,みんな多分そうやろうと思うけど,
    どっかにファザーコンプレックスあるからね.やっぱり
    自分のお父さんがいちばん素敵だなと思ってるとこある
    からね.お父さん見て育ってきたわけだから.だからちょっ
    とお父さんより違う男性を見ると理想と違うみたいなね,
    複雑な観念が産まれるんですよ.べつに悪いことじゃない
    ですよ.ファザーコンプレックスは面白い現象というか,
    人間の自然なこと.
歩  :家族思いだという監督の一面が見れましたね.
進  :見れました.標識を曲げるという.
井筒 :「ゲロッパ」はだから,そういう父と娘の話なんですよ.
歩  :なるほど.
井筒 :本当はね.笑いだけじゃなくてそこを見て欲しいんですけ
    どね.
歩  :もちろん.というわけで,井筒監督の自分撮りイレブン
    でした.それではこのコーナーです.剛さん,いくよ.


「ベストヒットたかみー」


歩  :せーの.
進・歩:堂本!
高見沢:ベストヒットたかみー!です.今週はですね,井筒監督も
    大好きだと言われています,エレキの若大将,加山雄三
    さんの特集です.まずはVTRをご覧になって下さい.
VTR:エレキの若大将,加山雄三.1960年,映画界に彗星のごと
    く現れ,「若大将シリーズ」が空前の大ヒット.映画の中
    で歌われた「君といつまでも」や「お嫁においで」「夕陽
    は赤く」といったエレキサウンドは,当時の若者たちの心
    をとらえ,日本に空前のエレキブームを巻き起こしました.
    また,俳優,歌手としてだけでなく作曲家としても活躍の
    場を広げ,谷村新司と共に作った「サライ」は世代を越え
    て愛される名曲に.いつまでも色あせない彼の名曲は,発
    売から30年以上経った今でも世代や時代を越え愛され続け,
    井上陽水や福山雅治ら様々なアーティストがカヴァーして
    います.今夜はそんな和製ポップスの巨匠,加山雄三さん
    にスポットを当てます.
高見沢:はい.エレキの若大将,加山雄三さんですけど,井筒監督
    はもう加山さんと言えば.
井筒 :そうですね.「君といつまでも」や「夜空の星」とかの頃
    やね.'65年の頃かな.
高見沢:レコードとかお買いになりました?
井筒 :買ってますよ.
高見沢:僕も「デイ・ドリーム・ビリーバー」は中学1年の時に買っ
    たんですよ.同じ世代ですから.
井筒 :でも加山雄三さんも買いましたよ.修学旅行なんか,みん
    なバスの中でマイク取り合いして歌ってたもん.
高見沢:「夜空の星」とかですよね.いろいろ若大将ありますけど.
進  :若大将づくしですね.
高見沢:KinKi Kidsのお二人は若大将の映画見ことは?
進  :ないですね.
歩  :ないと思いますね.
高見沢:加山さんというと,僕らの中では若大将というイメージが
    あるんですね.
歩  :やっぱり高見沢さんも聞いてたりしたんですか?
高見沢:小学生だったから,見てて「あ,カッコいいな」って感じ
    でね.
歩  :高見沢さんも小学生か.
高見沢:俺だって小学生の時あるよ.
歩  :ランドセルしょってました?
高見沢:そうだよ.通ってたよ.昔からこんな髪長いわけじゃない
    し,昔からこんな服着てたわけじゃない.
歩  :ランドセルは黒?
高見沢:黒だよ.青だったかな?
進  :ゴールドとかじゃないんですか?
高見沢:違うよ.えなり君は知らないよね?
えなり:わかんないですね.
高見沢:由美ちゃんは?
吉村 :私も知らないですね.
高見沢:TOMちゃんは知ってるよね.
TOM  :若大将といえば青大将出てくるんですね.田中邦衛さん.
歩  :「若大将対青大将」ってありますもんね.
TOM  :エレキの寺内タケシさんの.
高見沢:併映されてた映画が「キングコング対ゴジラ」だったの.
井筒 :必ず怪獣ものと一緒に.
高見沢:そう.だから怪獣を好きになると若大将も好きになっちゃ
    う.
井筒 :自動的にね.
高見沢:自動的に.
歩  :すごいですね.
井筒 :今から見たらね,陳腐な話なんだわ.
高見沢:そうですよね,本当に.まあ,加山さんと僕らは一緒に
    武道館のステージに出たことありますし,ゲストに来てく
    れたこともありますし.
歩  :ハワイでね.
進  :会ったことある.お料理ご馳走になりました.
歩  :僕は光進丸に.剛も.
進  :乗った乗った.
TOM  :加山さんと乗ったの?でかい?
進  :でかかったです.
井筒 :だってその頃からもう光進丸持ってはったからね.
高見沢:持ってましたよね.
進  :その頃から.
井筒 :明星とかに「光進丸」って書いてあったもんね.
歩  :だから本当に航海士とか機関士とかがいないと乗れないぐ
    らいの大きさですね.
TOM  :立って入れるってこと?下のとこに.
歩  :入れます.
TOM  :すごいな.
進  :お料理もうまいし.そのせっかく作っていただいた料理を,
    吉田拓郎は船酔いで食べてなかった.乗る前に「酔い止め
    飲んだほうがいいですよ.僕飲みましたもん」「そんなの
    効かないんだよ.気分次第だよ」「でもいちおう,最悪の
    時のために胃薬渡しときますから」「ポケットに入れとく
    よ」と.それでバァーッと行って5分後ぐらいに「ヤバい
    ヤバい」と.「お料理ご馳走になるんだから,美味しそう
    に食べないといけないから,飲んだほうがいいです」と.
    「いや,ちょっと胃薬飲むと余計にキツいかもしれない」
    みたいなことで.それで料理が出てきて,ステーキを焼い
    てくださったんです.
高見沢:加山さん自身が?
進  :はい.で,僕は酔い止め飲んでますからぜんぜん平気パク
    パク食べで「うまいうまい」って.拓郎さんは「ちょっと
    勘弁」って.収録終わったら近くの岸に船を移動させてく
    れって,えらい変なとこ入ってってちっこいボートが拓郎
    さん乗せて,拓郎さん「ちょっとお先に」って.
歩  :そうだったっけ.
高見沢:加山さん僕はね,肖像画を描いてもらった.曲を一緒に作っ
    たら.
歩  :もう肖像画みたいなもんですからね.
高見沢:なんで?まあ,いろんな映画ありますが,井筒監督はこう
    いった映画は作られないんですか?やっぱりどっちかって
    いうと,これらはハイソサエティなあれですよね.
井筒 :そうそう,ハイソサエティというかね,上品な大学に行っ
    てる上品な.
高見沢:そうですよね.作られてる作品と逆ですよね,「ガキ帝国」
    とか.
井筒 :そういうの見過ぎたせいもあるかもわからない.
高見沢:その反動で?
井筒 :反動があるかもわからない.
高見沢:こういうのはよう作らんっていうことですね.
井筒 :そうやな,よう作らんなぁ.
高見沢:そういうことですね.ということで,今日はですね,
    加山雄三さんのヒット曲の中からですね,「夜空の星」を
    セッションしたいと思います.
TOM  :歌わないの?今日.歌いません?
井筒 :いいよ,そんなの.
歩  :歌いましょうよ.
TOM  :せったく来たんだもん.まさかキャンペーンに来たわけで
    もあるまいし.
歩  :歌いましょう.
TOM  :遊びに来たのに.
進  :歌いましょうよ.
歩  :いてくれて,歌えるとこだけ歌ってもらえば.
進  :だって曲はご存じなんでしょ?
井筒 :知ってますよ.
TOM  :みんな歌ってるし.一緒に歌いましょう.
井筒 :♪二人を〜?
TOM  :違う違う.
高見沢:♪僕の行くところへ〜.
TOM  :やりましょう.
歩  :素晴らしい.
進  :やりましょやりましょ.
歩  :というわけで,最後に監督,感想だけ先にいただきたいん
    ですけど.本日は「堂本兄弟」に来ていただいていかがだっ
    たでしょうか?
井筒 :いや,もう二人に会えて嬉しかったな.
歩  :いえいえ,そんな.
進  :そんな言うていただいてほんま嬉しいですわ.
歩  :ありがとうございます.
TOM  :井筒監督,歌がうまいんでよかったな.
井筒 :まだ歌ってないがな.
TOM  :良かった良かった.
進  :ね,あそこのフェイクのとことかね.
えなり:さすが「ゲロッパ」.
高見沢:意外とギターうまいんだね.
歩  :うまいうまい,ってギター弾くんだ?
進  :ハンマリングが絶妙で.
歩  :井筒監督,今,本当にお忙しいかと思いますけど,頑張っ
    て下さい.
井筒 :はい.
進  :頑張っていただきたいと思います.
歩  :本日のゲストは井筒和幸監督でした.ありがとうございま
    した.
進  :ありがとうございました.

♪夜空の星へ〜

歩  :はい,本日のゲストは井筒和幸監督でした.ありがとうご
    ざいました.
井筒 :ありがとうございました



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