インタビュー

沖田江里役・伊藤歩さん
まず、今回のチームの印象からお願いします。みなさん、普段からとても仲が良いですよね。
楽しいです。ステキな現場だと思います。
女性キャストが多い現場でもありますね。
そうですね。ただ、1話はたくさんのキャストの方がいた印象なんですけど、2話以降は宮地奈央役を演じている真木よう子さんとのシーンがほとんどで…。もしくは洵子役の板谷由夏さんとの編集部のシーンが多いので、それほどたくさんの女性キャストと会っているという感じはしていないんです。
江里というキャラクターを演じるにあたって、特に意識されていることは?
いままで演じてきた役の中で一番しゃべる(笑)。とにかくしゃべっている、という印象です。この作品にはコメディー的要素があると思っているので、そのスピード感みたいなものは、気を付けながら演じています。特に1、2話はスピード感が求められた印象がありますね。
伊藤さんのいろいろな表情を見ることができますね。
ありがとうございます。今回は、編集部の話というのが大きな要にもなっているんですよね。もちろん、宮地奈央という読者モデルの成長が中心軸にはなっているんですけど、裏側のもくろみというかストーリーラインとしては、私が演じている沖田江里も成長していく、というお話でもあります。江里は、1年前にライターに転身したばかりで、その前は海外ブランドのPR担当だった、という設定なので、ファッション関係にはもちろん詳しい女性なんですけど、ライターとしてのスキルはまだまだ、という状態なので、そこから彼女がどう成長していくのか、という部分ですね。リアルなお話でいうと、『STORY』(光文社)で稲沢朋子さんを発掘した方は、今でも二人三脚でやっていらっしゃるそうなんです。読者モデルから専属に、という流れの中で、イナトモさんが壁にぶつかる度にその都度一緒に乗り越えていく…時には励ましたり、時には叱咤したり、という形でやってきたそうなので、そういう部分も江里を通して、「ああ、こういう職業もあるんだ」って視聴者のみなさんに伝えられたらいいな、と思っています。
フリーランスにはフリーランスの苦労が当然あるわけですが、ファッション関係のライターさんにはまた別の苦労もあるようですね。
細かい仕事が多いそうですね。例えば、ロケバスの手配をしたり、カメラマンを自分で探したり、ロケ場所を借りる交渉をしたり…。好きじゃないと出来ない、厳しい世界なんじゃないかな、と思います。
劇中で、江里さんも苦労されていますよね。
そうですね。ただ、この『セシルのもくろみ』のストーリーは、それぞれのキャラクターが、それぞれの人生を大切にしていて、その中でいまこの瞬間に出会っている、という感じがするところがとても素敵だと思っているんです。江里も、ファッションが大好きで、挫折を味わっていまフリーのライターとして苦労してはいるけど、仕事に対して愛がある。ミヤジは家庭というものに対しての愛がある。吉瀬美智子さん演じるハマユカにしてもそうで、仕事に対する愛もプライドも持っている。そういう人生の厚みや個性の重みを、きちんと描いてくれている作品だと思います。
ミヤジと江里に、山上(金子ノブアキ)、トモさん(徳井義実)を加えた“チーム・ミヤジ”の空気感も素敵ですよね。
江里とミヤジは、女性同士というより、人間同士という感じのぶつかり合いをしているんですよね。そこが私は凄くいいな、と思っているんです。女性同士だと言えないことも実際にはあると思うんです。でも、ミヤジも江里も、言いたいことはちゃんと言いますし、そこにふたりの男性が入ってきて、ひとりはイケメンカメラマン、ひとりはジェンダーレスなカリスマメイク、とてもバランスの良いチームだと思います。
真木さんとのお芝居はいかがですか?
もちろん、宮地奈央とはまったく違うと思うんですけど、どこかで重なる部分もあると思うんです。正義感が強いところとか、1本芯が通っているところとか、カッコいいなと思う事が多々あります。一緒にいて、安心できる存在なんですよね。私の感覚が間違っていなければ、きっと相性がいいんじゃないかな、と思っています。いまはずっと一緒にいるので、現場でもずっとおしゃべりしています(笑)。
ミヤジと江里の関係性と、真木さんと伊藤さんの関係性で、似ていると思う部分はありますか?
どうなんでしょうか…?ほぼ毎日撮影で一緒にいるので、似ているのかどうかももうわからないくらいですね。私自身も普段の佇まいとは違うと思うんです。もしかしたら、いつもより強めかもしれないですし、言葉遣いも含めてちょっと荒っぽい部分もあるかもしれない。でも、あまり「切り替えて」という感じではなく、真木さんも普段からミヤジでいようとしてくれているし、私もそれに乗っけてもらっているような感じなので…。もしかしたら、このドラマの撮影が終わってからご飯を食べに行ったりしたらお互いに違う印象を持つのかもしれないですけど、いまはこの瞬間の“一緒にいる居方”みたいな感じなのかもしれないですね。
そういう空気感は、自然に生まれるものなんでしょうね。
そうだと思います。急に「お芝居してます、私たち」みたいな感じではないんです。いまこの流れの中で、いろいろな掛け合いをしてきて、積み重ねてきた結果がいまの私たちで、それがお芝居にも繋がってきているということなんじゃないかと思います。だから、いまこの時しか出せないミヤジと江里、というものが存在している気がしています。
視聴者のみなさんから「江里のファッションが素敵」という声もたくさんいただいています。
嬉しいです。最初は「編集者!」っていう感じの衣装を提案していただいていたんですけど、もともとファッションが好きで、ライターになったのは1年前、という設定があったので、いろいろ話し合ってあの形になったんです。色があるものを着たいという思いもあって、蛍光の黄色やピンクも着ていますね(笑)。「こういう色の組み合わせもあるんだ」という提案になればいいな、と思っています。
最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
タイトルが「もくろみ」なので、あくどいことを考えているという風に思いがちなんですけど、そういうことではなくて、女性が生きていく上で「こうしたい」「こう生きたい」ということを持っている女性たちのお話だと思うんです。そういう女性像がしっかりと描かれているので、それぞれのキャラクターに注目して見ていただきたいです。ミヤジのように、結婚して家庭を守るということも、もちろん素敵なことですけど、このドラマを見て「一生働いて行くのも悪くないかもな」という風に思ってもらえたらいいな、という思いもあります。あとはやっぱり、ミヤジが成長していく姿を楽しんでいただきたいですね。

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