今回の事件



昭和二十三年、初夏。
井川辰弥(藤原竜也)という青年が、ラジオの人捜しで捜索を受けたところから今回の事件は始まる。

七歳にして母を亡くし、その後、孤児として苦労して育った彼の元に、実の父親の親戚から突然、捜索の手が及んだのだった。しかも、それは父からの莫大な遺産の相続人として……。
仲介に立つ弁護士の事務所で、代理人として彼を迎えに来た母方の祖父に初めて会ったまさにその時、事件の幕は切って落とされた。祖父が目の前で突然苦しみだし、血を吐いて死んだのだ。毒殺だった。それでも、辰弥は自らの出生の秘密を探りたい気持ちを抑えきれず、出生地である八つ墓村に赴くことを決意する。代わりに迎えに来た親戚筋の美しき女性・森美也子(若村麻由美)に連れられ、故郷へと帰る辰弥。しかし、それは村人には歓迎されざる帰還であった。


辰弥こそ、400年前の落ち武者殺しの子孫で、20数年前、村の32人を殺した犯人・要蔵(吹越満)の息子であったからだ。8人の落武者の「たたり」に怯える村人たち。果たして、悲劇は再び、村に襲いかかるのだった。辰弥が帰ってからというもの、実兄の久弥を皮切りに次々と、そして、まったく何の脈絡もなく村の人々が毒殺されていったのだ。

案の定、村人の辰弥への嫌疑と憎悪が高まる。そこへ現れたのが、かの名探偵・金田一耕助(稲垣吾郎)だった。
彼は、辰弥捜索の仲介に立った弁護士から、この事件の解決を依頼されて、やって来たのだった。何人目かの犠牲者が出たとき、現場で不可思議なメモが発見される。そこには、これまでの犠牲者たちの名前が、それぞれ村に実在する同様の立場の人と対に書かれており(例えば坊主が二人、尼が二人のように)、片方だけが消される形で並んでいた。
「くじ殺人……」
金田一の推理によれば、それは、対になったどちらか死ねばいいという動機なき殺人の可能性を指し示していた。混迷する事件、そして犯人の思惑……。
犯人はやはり宿命を背負った辰弥なのか。そうでなければ真犯人の意図は何なのか?浮かんでは消える真犯人と思しき人物たち。しかし、金田一にも真相が分からぬまま、事件はさらに進行し、犠牲者は増えた。苛立つ村人たちは、この事件を「たたり」の再来と決めつけ、辰弥への攻撃を始める。

八つ墓村の地底に張り巡る鍾乳洞の中、追い詰められた辰弥が絶体絶命の危機にさらされたその時、ようやく金田一の脳裏に、恐るべき真実の姿が浮かび上がる。

果たして、辰弥は無事、この危機を脱することが出来るのか? そして、真犯人はいったい誰なのか? その動機は?

金田一は、とうとう犯人と最後の対決に乗り出した……。